警察の問題-1
2025.03.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20250301-BCHE6PVC3FPTFCI4FTVVQ7O7CY/
巡査部長、臨場したアパートから現金3千万円盗む 合鍵使い侵入、窃盗などの疑いで逮捕
高齢男性の死亡事案の捜査で臨場したアパートを再訪し、合鍵と現金約3千万円を盗んだなどとして、
警視庁は1日、窃盗などの疑いで、蒲田署刑事組織犯罪対策課の巡査部長、A容疑者(45)=横浜市鶴見区江ケ崎町=を逮捕した。容疑を認めている。
警視庁によると、小林容疑者は1月31日、東京都大田区のアパートで高齢の住人男性が死亡した事案を受けて、上司とともに臨場。同日夜、署で預かった鍵を持って再度一人でアパートに行き、室内に入って現金300万円と合鍵を盗んだ。この合鍵を使って2月4日、再び部屋に侵入し、さらに現金約2700万円を盗んだとしている。
同月23日に現金を盗んだことを上司に自ら申告。現金は全額押収された。
男性の死亡に事件性はなかった。警視庁は「関係者に心よりおわび申し上げる。捜査を尽くし、事実関係を明らかにして厳正に対処する」としている。
2024.12.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241202-QK2CMLFXERJO5F7SNRX7YD6NJI/
危険運転の適用に道開く「実質的危険」とは 大分194キロ事故判決、大きな先例となるか
大分市の一般道で令和3年、時速194キロの車が起こした死亡事故で、
大分地裁は11月28日の判決で、危険運転致死罪の成立を認めた。
過去の裁判では、猛スピードでも進路の逸脱がない場合、危険運転には当たらないとされてきたが、大分地裁はこれを覆し、ハードルが高すぎると批判されてきた同罪の適用に新たな視点を提供した。高速度事故を巡り、今後同様の司法判断が広がるか注目される。
「制御困難」の意義
裁判での主要な争点は被告の元少年(23)=事故当時(19)=の運転が、同罪の要件である
「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」に該当するか否かだった。
猛スピードだったとはいえ、被告の車は直線道路をそれることなく進み、右折車と衝突。このため弁護側は「車線に沿って直進できていた」として制御困難にはあたらないと主張し、過失致死罪にとどまると訴えた。
過去の裁判で、同じく進路逸脱の有無が焦点となったのが、津市の直線道路で平成30年、時速146キロの車がタクシーに衝突して5人が死傷した事故だ。
名古屋高裁は令和3年、制御困難とは「自車を進路から逸脱させたことを意味する」と判示。事故を起こした車が進路を逸脱していなかったことを理由に、1審に続いて危険運転致死傷罪ではなく過失致死傷罪を適用していた。
進路逸脱なしでも可
これに対し今回の大分地裁判決は、制御困難の意義について、ハンドルやブレーキ操作のわずかなミスで進路を逸脱して事故を起こす「実質的危険性」がある高速度での走行を指すとし、実際に逸脱がない場合も、制御困難に含まれるとの判断を示した。
そのうえで、現場道路は15年以上改修舗装されておらず「わだち割れ」(路面の凹凸)が生じていた▽一般に速度が速くなれば揺れが大きくなり、ハンドル操作の回数も増えるところ、被告は
▽法定速度の3倍以上の高速度で走行した
▽夜間運転は視力低下や視野狭窄(きょうさく)を招くが、事故の時間は夜間で、付近も暗かった-といった事情を挙げ、実質的危険性を認めた。
弁護側は過去にも一般道を170~180キロで複数回走り「操作に支障が生じたことはなかった」とも訴えたが、実際に進路逸脱がなくても、実質的危険性が認められれば制御困難にあたるとし、過去の「結果」は「評価を左右しない」と重視しなかった。
東京高裁の判断枠組みを応用
一方、こうした大分地裁判決は令和4年の東京高裁判決を参照する形で示された。
車がカーブを曲がり切れず、対向車線にはみ出した事故で、物理的にカーブを曲がることが不可能な「限界旋回速度」以下でも、危険運転を適用できるかが争点に。
東京高裁は限界旋回速度以下でも制御困難に当たりうると認定し、
危険運転を適用した。今回の大分地裁判決は、この東京高裁の判断枠組みを直線道路の事故に取り入れた形だ。
東京都立大の星周一郎教授(刑事法)は大分地裁判決について「法解釈上、蛇行やスピンが生じる『直前の状態』でも危険運転の適用は可能といわれてきたが、実際に適用されたのは知る限り初めて。現場が完全な直線道路で認めたのは一歩踏み込んだ判断といえる」と分析する。
「非常に画期的」
「制御困難な高速度」を巡っては、津市のケース以外でも
100キロを超える死亡事故で「過失」と判断された事例があり、
かねて一般感覚との乖離(かいり)が指摘されてきた。
危険運転致死傷罪の要件の在り方を議論する法務省の有識者検討会は11月下旬、高速度の数値基準の設定などを盛り込んだ報告書をまとめ、法改正に向けた動きが本格化している。
宇都宮市の国道で令和5年、時速160キロ超の車がバイクに追突した事故も今後、
危険運転致死罪で審理される。遺族の代理人を務める高橋正人弁護士(第二東京弁護士会)は大分地裁判決を「非常に画期的で大きな先例。直線道路での追突、(右折車と直進車の)『右直事故』で同罪が成立しやすくなる」と評価した。
大分194キロ死亡事故
大分市の一般道で令和3年2月9日午後11時ごろ、当時19歳だった元少年(23)が運転する乗用車が法定速度の3倍を超える時速194キロで交差点に進入し、右折車と衝突。会社員の小柳憲さん=当時(50)=が死亡した。大分地検はいったん
自動車運転処罰法違反の過失致死罪で男を在宅起訴。遺族が同法違反の危険運転致死罪の適用を求めて署名活動を行い、その後同罪への訴因変更が認められた。
大分地裁は11月28日、同罪の成立を認め、懲役8年(求刑懲役12年)を言い渡した。
2024.11.17-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241117-ZLILLNB4DFEG5HPGF2XY2DVJUM/
川口クルド人の危険運転も念頭、市長ら取り締まり相次ぎ要望 埼玉県警「適正に続ける」
埼玉県川口市で交通死亡事故が多発し、奥ノ木信夫市長や地方議員らが県警に対し、市内に集住するトルコの少数民族クルド人の危険運転も念頭に、取り締まりを強化するよう相次ぎ要望書を出す事態となっている。
県は同市を「交通事故防止特別対策地域」に指定、県警は「適正な取り締まりを続ける」としている。
市内では
9月23日、トルコ国籍の少年(18)が無免許で乗用車を運転、原付バイクの男性2人が死傷するひき逃げ事件が発生。
同29日には、中国人の少年(19)が飲酒運転で一方通行を逆走して車と衝突し、運転していた会社役員の男性が死亡する事故が起きた。
この結果、
同市は、人口50万人以上の市で3カ月以内に6人以上の交通死亡事故があった場合に指定される特別対策地域となった。期間は10月8日から3カ月間。市によると、今年は9月末時点で9人が死亡し、昨年1年間の8人をすでに上回り過去5年間の同時期で最多という。
こうした状況を受け、川口市の奥ノ木市長は10月17日、
市内を管轄する川口、武南両署長に対し、違法運転などの取り締まり強化を求める要望書を提出。死亡事故について「法令違反と運転技術の過信や順法意識の欠如が要因」と指摘した。
要望書はその上で、
クルド人らが経営する解体資材置き場周辺での過積載や速度超過などの危険運転を念頭に、「市民からは生活上の安全が脅かされるのではないかと今後を危惧する声が数多く寄せられている」として、取り締まりの強化などを求めている。
また、10月1日には県議会の立憲民主党などでつくる会派などが県警本部に対し、11月8日には川口市議会の自民党市議団が川口、武南両署に対し、それぞれ同様の要望書を出した。
埼玉県警は取材に対し
「県民の安心・安全のため引き続き適正な取り締まりと交通安全の広報・啓発を続けていく」としている。
2024.07.09-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240709-VYXN7JZP4ZI7BPULTWWACKWDQ4/
警察庁サイバー特捜部が初摘発 他人のIDで銀行サイトに不正アクセス疑い、44歳男逮捕
インターネットバンキングによる不正送金のため、他人のIDやパスワードを使ったとして、
警察庁サイバー特別捜査部や警視庁などの合同捜査本部は9日、
不正アクセス禁止法違反容疑で、無職、A容疑者(44)を逮捕した。
サイバー特捜部は国の警察機関として直接捜査する数少ない組織で、2022年4月に前身組織が発足して以来、国内での容疑者摘発は初めて。
逮捕容疑は他の男と共謀して昨年1月、他人のIDとパスワードを使って銀行のサイトに不正にアクセスしたとしている。
2024.06.06-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240606-3NAQBFRNBZMN7O5PRYUALC2RVA/
「開けろ」「うるせえ」押し問答も 警視庁公安部が革労協主流派拠点を捜索
東京都港区の米国大使館付近で抗議活動をした後、公務執行妨害容疑で革労協主流派活動家の男が現行犯逮捕された事件で、
警視庁公安部は6日、関係先として同派の活動拠点「現代社」(東京都杉並区)を家宅捜索した。
6日午前8時過ぎ、赤いベストを着用した捜査員が拠点前に現れ、捜索を開始。「開けろっていってんだろ」と迫る捜査員と、
拠点にいた男性が
「うるせえ」「偉そうなこと言ってんなって言ってんだよ」などと押し問答になる一幕もあった。
捜査関係者によると、逮捕された男はA容疑者(75)。A容疑者は5月29日、米国大使館付近でイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃に対する抗議活動に従事。その後、
港区虎ノ門の路上で警備中の機動隊員に殴りかかろうとするなど公務を妨害したとして現行犯逮捕された。
2024.04.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240415-PFQ7VKY3VFNPXKCWKBHTIO3O3U/
難事件解決へ導いた大阪府警「指紋の神様」退職 職人魂の原点は困難極めた照合5万件
(中井芳野)
大阪府警で「指紋の神様」と称された鑑定員が今春、退職した。
府警鑑識課鑑定指導室長だった正木啓史さん(60)。
30年以上にわたって指紋一筋、丁寧な仕事と温厚な人柄から部署を超えて慕われてきた。
難事件の現場に残された指紋をその確かな目でデータベースと照合し、解決に導いたケースは数知れない。培った技術とそれを支える職人魂は後進に引き継がれている。
地道な照合作業
現場に遺留された指紋を拡大鏡でのぞく。指紋それぞれにある隆起状のしま模様「隆線(りゅうせん)」の特徴を洗い出し、警察庁のデータベース上に蓄積された指紋と照らし合わせていく。頼りにするのは長年の経験と自身の目だ。
大前提として、
運よく現場に残されて証拠品となった指紋も、完全な状態で残っていることはほぼなく、かすれていたり不鮮明だったりする。その分指紋の特徴をどのように捉えるかに照合の行方はかかってくるが、その作業は緻密で鑑定員の腕に左右される。
もちろんスムーズに一致する指紋は少なく、何千、何万分のデータを見続けても「かすりもしない」。そもそもデータベースに記録がなければ一致すらできず、どこで作業に見切りをつけるのか、頭を悩ませてきた。
「諦めたらそこで終わり」。そんなときは自身にこう言い聞かせてきた。
果てしない作業でも納得するまで確認し続ける。
一度作業を中断した指紋も、時間を見つけては一人作業にいそしむことも。「気になってまうんです。もしかしたら一致させてあげれたかもって」
被害者らへの思い
ここまで心血を注ぐのは、ある遺族との出会いがあったからだ。
平成13年に大阪市内で男性が殺害された強盗殺人事件。容疑者の浮上に時間がかかる中、現場に唯一の証拠として残されたのが指紋だった。この照合も困難を極めたが、鑑定方法を変えながら約5万件の指紋と照らし合わせた末に一致。この結果が捜査を大きく進展させ、事件発生から約3カ月後、容疑者の確保にいたった。
その後の公判で、正木さんは指紋鑑定の経緯を証言。有罪を見届け、法廷を後にしたところで、男性の遺族から呼び止められた。「あなたのおかげです」。手を握られ、何度も感謝の言葉を伝えられた。
「自分の仕事で救われる人がいる」。これまで日々の鑑定が、どう先につながっているのかを考えてこなかっただけに衝撃だった。以来、
どの事件の照合作業でも常に被害者やその家族に思いをはせる。困難な照合にぶつかっても、自身の家族が事件に巻き込まれたことを想像し、「自分が見つけたらなあかん」と奮い立たせてきた。
「人の目」だからこそ
高校卒業後の昭和59年、府警の一般職員として採用され、鑑識課の十指指紋係に配属となった。そこから始まった
鑑定員としての人生。平成30年には卓越した技能や知識を持つ警察職員に与えられる
「警察庁指定広域技能指導官」に任命され、後世の指導にも邁進(まいしん)してきた。
DNA型鑑定や成分鑑定など科学捜査は目まぐるしく進展しているが、長年照合作業に携わった経験から強くこう思う。
「今も指紋は重要な証拠の一つであることに変わりはない。指紋の照合は地道で繊細な作業。機械ではなく、人の目でしかできない」
(中井芳野)