かんぽ生命保険問題


2019.12.27-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191227/k10012230541000.html
かんぽ生命問題 3か月間一部業務停止命令 金融庁と総務省

かんぽ生命の保険の不適切な販売問題で、金融庁と総務省は27日、内部の管理体制に重大な問題があったなどとして、保険販売の業務を3か月間、停止するよう命じる行政処分を出しました。日本郵政グループに業務停止命令が出るのは初めてで、抜本的な改革を迫った形です。
  発表によりますと金融庁は、かんぽ生命の保険の販売で、事実と異なる説明などをして顧客に二重払いの不利益を生じさせるなど、法律に違反する行為が認められたとしています。
  そのうえで、営業現場で実現が難しいノルマが設定され、過度に重視された結果、問題が起き顧客の苦情や報道などにより問題の端緒を得ていたにもかかわらず十分に実態を把握せず、内部の管理体制に重大な問題があったと判断しました。
  このため、かんぽ生命と日本郵便に対して保険販売の業務を来月1日から3か月間、停止するよう命じる行政処分を出しました。
  ただ、地方などの顧客に配慮し、顧客が保険の契約を希望する場合は例外とすることにしています。
  また、親会社の日本郵政を含む3社に対して、経営責任の明確化などを求めた業務改善命令を出し、業務改善計画を来月中に提出するよう求めました。
  一方、総務省も事態を重く見て日本郵便に対して、保険販売の業務を3か月間、停止するよう命じる行政処分を出しました。
  また、グループの内部管理体制に問題があるとして、日本郵政と日本郵便に対して、経営責任の明確化などを求める業務改善命令を出しました。
  今回の行政処分をめぐっては、総務省の前の事務次官が日本郵政の鈴木康雄・上級副社長に対して処分の検討状況を漏らしたとして事実上、更迭されるという事態が起きていました。
  日本郵政グループが平成19年に民営化されたあと、金融庁や総務省が業務停止を命じるのは初めてで、厳しい処分に踏み込むことで日本郵政グループに抜本的な改革を迫った形です。
かんぽ生命問題の経緯
かんぽ生命の保険をめぐっては、顧客が保険料を二重に支払ったり、無保険の状態になったりする不適切な販売が多数明らかになり会社側が、およそ18万3000件の契約を詳しく調べてきました。
  会社側は今月18日、およそ18万3000件のうち、法令や社内ルールに違反する疑いのある販売が1万2836件確認されたこと、法令や社内ルールに反する事例が合わせて670件あったことを明らかにしました。
  また、この問題の原因を調べている特別調査委員会が、法令などに違反する疑いのある契約のおよそ半数をもとに分析したところ、全体の70%余りの契約者が60歳以上で、性別では、およそ85%が女性、およそ15%が男性だったということです。
  ただ、調査は終わっておらず、なお全容の解明には至っていません。
  この問題で金融庁と総務省は、日本郵政グループの経営管理体制に問題があるとして行政処分の検討を進めてきましたが、その過程で総務省の鈴木茂樹前事務次官が、日本郵政の鈴木康雄上級副社長に総務省の処分の検討状況を漏らしていたことが発覚し、今月20日、高市総務大臣は、鈴木前事務次官を事実上、更迭しました。
日本郵政グループと監督官庁
日本郵政グループのうち、持ち株会社の「日本郵政」と、郵便事業を担う「日本郵便」の2社は総務省が監督していて、金融事業を担う「ゆうちょ銀行」と、「かんぽ生命」の2社は金融庁が監督しています。
  日本郵政グループは平成19年に民営化されましたが、今も日本郵政の株式のおよそ57%は政府が保有しています。
  また、日本郵政株式会社法のもとで、日本郵政の取締役の選任や解任には総務大臣の認可が必要になっています。
日本郵政の株式 3回目の売却時期 不透明に
かんぽ生命の保険の不適切な販売問題の影響で、政府が東日本大震災の復興財源に充てるために予定している、日本郵政の株式の3回目の売却の時期が不透明になっています。
  政府は、東日本大震災の復興財源として保有している日本郵政の株式の売却を進めていて、早ければことしの秋にも3回目の売却を行う方向で担当する証券会社の選定など、手続きを進めていました。
  令和4年度、2022年度までに日本郵政株の売却によって4兆円を確保する方針で、このうち3回目は、10億株余りを売却して1兆2000億円を確保する計画です。
  しかし、今回の一連の問題をきっかけに日本郵政の株価が下落しているため、今のままでは必要な資金が調達できない可能性が出ていて、売却の時期が不透明になっています。
  日本郵政グループの信頼回復が果たせるかどうかは、東日本大震災の復興財源の計画にも影響することになります。


2019.12.25-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191225/k10012227791000.html
日本郵政グループ3社長が辞任へ かんぽ生命 不適切販売問題

かんぽ生命の保険の不適切な販売問題で、日本郵政の長門正貢社長ら、グループ3社のトップが責任を明確にするため、そろって辞任することになりました。不適切販売の問題が、42万人の社員を抱える巨大グループの経営トップの辞任に発展することになります。
  かんぽ生命の保険をめぐっては顧客が保険料を二重で支払うなどの不適切な販売が問題になり、会社は、今月18日、法令や社内ルールに違反する疑いのある販売が1万2800件余り確認され、実際に違反が認められた契約も670件に上っていることを明らかにしました。
  関係者によりますと、この問題で日本郵政の長門社長のほか、保険の販売を担う日本郵便の横山邦男社長、それにかんぽ生命の植平光彦社長の3人が経営責任を明確にするため、そろって辞任することになりました。
  また、総務省の前の事務次官から行政処分の検討状況を聞き出したとされる日本郵政の鈴木康雄上級副社長の進退も議論されています。
  この問題では、金融庁がかんぽ生命と日本郵便に対して3か月間、一部業務の停止を命じる方針を固めて25日両社に通知し、27日、処分を出すことにしています。金融庁は親会社の日本郵政に対しても業務改善命令を出す方針で、総務省も日本郵政と日本郵便に行政処分を行う予定です。
  日本郵政の長門社長は今月18日の記者会見で、「しかるべき経営責任をしかるべきタイミングで示す」と述べていましたが、金融庁や総務省が経営責任を明確にするよう厳しく求める方針の中で、辞任は避けられないと判断したとみられます。
  これらの人事は、会社が27日開く指名委員会や取締役会をへて発表される見通しで、不適切販売の問題が、42万人の社員を抱える巨大グループの経営トップの辞任に発展することになります。
立民 安住国会対策委員長「総務委員会の閉会中審査を」
立憲民主党の安住国会対策委員長は、自民党の森山国会対策委員長と会談し、かんぽ生命保険と総務省をめぐる問題について、国会で高市総務大臣から説明を受けるため、総務委員会の閉会中審査の開催を求めました。
  これに対し森山氏は、持ち帰って検討する考えを示しました。国民 玉木代表「天下りは禁止すべき」
  国民民主党の玉木代表は、記者会見で、「かんぽ生命の保険の不適切な販売や、情報を漏らした総務省の対応は極めて問題だ。完全にうみを出し切るという観点から、社長の辞任で終わらせず、総務省から、かんぽ生命などに対する天下りを禁止すべきだ。野党全体として厳しく対応したい」と述べました。


2019.12.21-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191221/k10012223611000.html
かんぽ生命問題 新規販売3か月停止の行政処分を検討 金融庁

かんぽ生命の保険の不適切な販売問題で、金融庁は、かんぽ生命と日本郵便の内部の管理体制に重大な問題があったとして、新規の保険販売の業務を3か月間、停止する行政処分を検討しています。
  かんぽ生命の保険販売をめぐっては、保険料を二重に支払うなど顧客が不利益を受けた契約がみつかり、会社側の内部調査で法令や社内ルールに違反している疑いのある契約が1万2836件確認され、実際に670件で違反があったことがわかっています。
  金融庁は、この問題でかんぽ生命と日本郵便への立ち入り検査を行ってきました。その結果、ノルマの達成が過度に重視されていたほか、経営陣も現場の実態を十分に把握していないなど、内部の管理体制に重大な問題があったと判断しました。
  このため、かんぽ生命と日本郵便に対して新規の保険販売の業務を3か月間、停止するよう命令する行政処分を検討しています。親会社の日本郵政に対しても、グループの統治に問題があったとして業務改善命令を出し、各社に経営責任を明確化するよう求めることも検討しています。
  金融庁は、来週はじめにも会社側からこの問題に関する追加の報告を受ける予定で、それを踏まえて処分の内容を決めることにしています。


2019.12.20-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191220/k10012223071000.html?utm_int=detail_contents_news-related_001
総務省 鈴木事務次官を更迭 かんぽ生命問題で情報漏えい

かんぽ生命の保険の不適切な販売をめぐる問題で、高市総務大臣は、記者会見し、総務省の鈴木茂樹事務次官が行政処分の検討状況を会社側に漏らしたとして、事実上、更迭したことを明らかにしました。

高市総務大臣は夕方、緊急に記者会見し、かんぽ生命の保険の不適切な販売をめぐる問題で総務省の鈴木茂樹・事務次官が日本郵政の鈴木康雄・上級副社長に対し、総務省が年内に予定している日本郵政グループに対する行政処分の検討状況を漏らしていたと発表しました。
  高市大臣によりますと、大臣室での幹部との話の内容が日本郵政側に漏れていると疑わざるをえない情報が入ったことから、内部監察を実施した結果、鈴木次官が日本郵政の鈴木・上級副社長に電話で情報を漏らしていたことがわかり、鈴木次官も認めたということです。
  このため、総務省は、20日付けで鈴木次官を停職3か月の懲戒処分とすることを決め、鈴木次官からは20日、辞表が提出され、高市大臣は辞職を認めたということで、事実上更迭しました。
  鈴木次官は、19日夜、高市大臣に電話で「自分の軽率な行為でご迷惑をかけて大変申し訳なかった」と話したということです。
  鈴木次官は旧郵政省出身で、ことし7月に事務次官に就任しました。日本郵政の鈴木・上級副社長も旧郵政省出身の元総務省事務次官です。
  高市大臣は「同じ旧郵政省採用の先輩、後輩の間で何かやむをえない事情があったのだろう。総務省OBが日本郵政グループの取締役などに就任することは好ましくない」と述べました。
  高市大臣は、「事務方のトップによる公務に対する信頼性を著しく失墜する行為は誠に残念で、おわび申し上げる」と陳謝しました。そして、今回の問題の責任をとって、大臣給与3か月分を自主返納することを明らかにしました。
  後任には、総務審議官の黒田武一郎氏が就任することになりました。日本郵政は「現在、事実関係を確認中であることからコメントは差し控えます」としています。

かんぽ生命問題とは
かんぽ生命の保険をめぐっては、顧客が保険料を二重に支払うといった不適切な販売が多数明らかになり、会社側がおよそ18万3000件の契約を詳しく調べてきました。会社側は18日、およそ18万3000件のうち、法令や社内ルールに違反する疑いのある販売が1万2836件確認されたことや、法令や社内ルールに反する事例が合わせて670件あったと明らかにしました。
  これについて金融庁は、ノルマの達成が過度に重視されていたほか、経営陣も現場の実態を十分に把握しておらず、内部の管理体制に重大な問題があったとみて、来週にもかんぽ生命と日本郵便に対して一部の業務の停止命令を出す方向で検討を進めています。
  また総務省も今月13日に、日本郵政と日本郵便に対して原因分析や改善案などを示すよう報告徴求命令を出し、今月23日までに報告するよう求めているほか、グループのガバナンス=企業統治に問題があったとみて、日本郵政と日本郵便に対して業務改善命令を出す方向で検討しています。
日本郵政 鈴木康雄上級副社長は旧郵政省の先輩
日本郵政の鈴木康雄上級副社長は旧郵政省の出身で、平成21年に総務省の事務方トップである事務次官を務めました。20日辞職した総務省の鈴木茂樹前事務次官とは旧郵政省の先輩・後輩の関係にあたります。
  鈴木康雄氏は総務省を退官したあと、平成25年に日本郵政の副社長に就任し、平成27年からは上級副社長を務めています。
  かんぽ生命の保険の不適切な販売をめぐっては、衆議院の予算委員会などに参考人としてたびたび出席し、問題の原因や背景を説明しました。また、この問題を報じた去年4月のNHKの番組、「クローズアップ現代プラス」の放送後に抗議を行った経緯などについて答弁をしていました。


2019.12.20-NHK NEWS WEB-https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-191220X541?fm=topics
総務省、天下り先と癒着=NHKへの圧力疑惑再燃も

総務省の鈴木茂樹事務次官が、同省次官経験者で日本郵政上級副社長の鈴木康雄氏に、かんぽ生命保険の不適切販売問題をめぐる行政処分案の検討状況を漏らしていた。郵政グループには旧郵政省(現総務省)OBが役員などに就く慣行が残っており、監督官庁が天下り先と癒着している衝撃的な実態が浮き彫りとなった。副社長の進退も問われる見通し。
 不適切販売問題を報じた昨年4月の番組をめぐり、鈴木副社長がNHKに圧力をかけたとされる疑惑も再燃しそうだ。
 鈴木副社長と鈴木次官はともに旧郵政省出身。副社長は2009年7月から半年間、次官を務めた。情報漏えいは、不適切販売をめぐり、総務省と金融庁がそれぞれ月内に出す行政処分の内容を詰めているさなかに行われた。副社長が総務省の処分案に口出ししていないのかも問われそうだ。
 昨年4月の番組をめぐっては、鈴木副社長の主導で日本郵政がNHKに抗議したとされる。副社長は国会に参考人として呼ばれ、野党から「放送行政に長く携わった立場を利用してNHKに圧力をかけた」と追及された。これに関する野党の合同ヒアリングでは、副社長が「(退官後に)権限の行使などありようもない」と反論していた。しかし、今回の情報漏えい発覚で、この発言の信ぴょう性にも疑問符が付き、圧力疑惑が再燃しかねない。
 旧通産省(現経済産業省)OBがトップに天下っていた商工中金でも、国の支援に基づく危機対応融資で長年にわたり不正が繰り返されていたことが発覚。東日本銀行では、元国税庁長官の頭取時代に不適切な融資が多発した。
 高市早苗総務相は20日の記者会見で「日本郵政グループの取締役に総務省OBが就任するのは好ましくない」と述べた。
 鈴木副社長は同日夜、神奈川県内の自宅前で、詰め掛けた報道陣に「鈴木次官が情報を漏らしたのか」と聞かれたが、終始無言だった。


2019.12.19-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news
かんぽ問題「会社を正しい方向に」 社外取締役の日商三村会頭

かんぽ生命の保険が不適切に販売された問題で、日本商工会議所の三村会頭は、みずからが親会社、日本郵政の社外取締役を務めていることを踏まえ、「社外取締役にも結果責任はあるが、会社を正しい方向に変えるために今後発言したい」と述べました。
  この中で、三村会頭は日本郵政グループが18日、かんぽ生命の契約のうち、法令や社内ルールに違反する疑いのある販売が1万2800件余りに上ると明らかにしたことについて、「どんなことがあっても社外取締役にも結果責任はある。その責任を貫徹するためにみんなと一緒に努力したい」と述べました。
  そのうえで、「今回のようなことは、会社を正しい方向に変える絶好の好機だと思ってそういう観点から今後発言していきたい。数々の問題があることは承知しているが、それを直すことが従業員のモラルを向上させるために大切なことだと思う」と述べ、社外取締役として積極的に意見を述べ社内体制の改革に取り組みたいという考えを示しました。


2019.12.18-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191218/k10012219641000.html?utm_int=detail_contents_news-related_003
かんぽ1万4000人余分の契約を復元

  かんぽ生命の保険の不適切な販売問題で、日本郵政グループは18日の記者会見で、これまでに1万4755人の顧客に対して、希望に応じて不利益を受ける前の契約に戻すなどの対応を取ったことを明らかにしました。
  このうち新旧の保険で保険料の二重払いが生じた事例では、およそ4億2000万円を顧客に支払ったとしています。


2019.12.18-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191218/k10012219361000.html?utm_int=detail_contents_news-related_004
かんぽ生命 保険の不適切販売の疑い1万2800件余 特別調査委

かんぽ生命の保険の不適切な販売問題を調査してきた外部の弁護士による特別調査委員会が18日調査報告書を公表し、この中で、法令や社内ルールに違反する疑いのある販売がこれまでに1万2800件余り確認されたことを明らかにしました。
かんぽ生命の保険の不適切な販売問題を調査してきた外部の弁護士による特別調査委員会は18日午後3時から都内で記者会見し、この問題の調査報告書を公表しました。
  この中では、顧客に不利益を与えた可能性があるとして会社側が内部調査を進めてきたおよそ18万3000件のうち、これまでに14万8000件について顧客の意向確認が終わったとしています。この中で、法令や社内ルールに違反する疑いのある販売が1万2836件確認されたということです。
  このうち、販売担当者への調査も踏まえて法令違反が認められた事例は今月15日時点で48件、社内ルール違反が認められた事例は622件で、合わせて670件の不正な販売が確認されたとしています。

販売方法に問題ある社員を厚遇
調査報告書では、今回の問題の原因として、営業目標の達成のために保険の販売手法に問題がある社員を厚遇してきたため、不適正な募集が黙認される風潮が形成され、不適切な販売手法が各地に広まったことなどを挙げています。
  また、営業目標の必達主義を背景にした厳しい営業推進管理が行われていたこと、一部の社員に対して達成困難な営業目標が課されていたこと、さらに不適正な販売を防ぐ態勢の整備が不十分だったことや、日本郵政グループのガバナンス、企業統治の在り方にも問題があったと指摘しています。
契約者の7割余りが60歳以上
18日公表された特別調査委員会による調査の報告書では、法令や社内ルールに違反した疑いがある販売が6300件余り確認されていたことし9月の中間報告段階での数字をもとに、不適切な販売の実態を分析しています。
  それによりますと、法令や社内ルールに違反した疑いのある販売に関わった社員は、保険の販売実績のあるおよそ9万人のうち、1%から2%程度だったとしています。
  また、法令などに違反する疑いのある販売のうち、優秀だとされる、年間の販売実績が500万円以上の渉外社員と200万円以上の窓口社員が関わった事例はおよそ26%にのぼったとしています。
  さらに、法令などに違反する疑いのある販売の契約者をみると、およそ32%が60代、およそ30%が70代、およそ10%が80代などと、全体の70%余りが60歳以上だったとしています。
  性別では、およそ85%が女性、およそ15%が男性だったということです。このほか、営業を担当する社員に対し不適切な保険の販売についてアンケートを行った結果、「職場で不適切な募集を見聞きしたことがある」という回答が、半数程度にのぼったことも明らかにしました。
特別調査委 再発防止策を提言
一方、特別調査委員会は再発防止策として、
▽保険の営業の際に顧客に説明する場面を録音や録画して可視化すること
▽新規契約の獲得に偏った手当てや人事評価の体系を見直すこと
▽不適切な営業を行った社員やその管理者に対して処分を徹底すること
などを提言しています。
特別調査委の報告書 NHKの番組での報道にも言及
報告書は『問題が発覚した経緯』とする項目のなかで、去年4月にNHKの番組、「クローズアップ現代+」が報道したことにもふれています。
  報告書では番組が問題を報じたあともかんぽ生命と日本郵便は「すでに把握済みの過去の事象が取り上げられたにすぎず、不適切な募集を抑止する施策によって着実に成果があがっている」などという認識だったと指摘しました。
  番組による報道について、長門社長は18日の記者会見で「たいした問題ではないと否定してしまった」と述べました。
  報告書によりますと、かんぽ生命は、番組のあとの去年6月下旬以降も金融庁に対して、施策の進捗(しんちょく)を継続的に報告していましたが、経済合理性がない可能性のある契約のサンプル調査を行った際も「ほぼ全件で顧客の意向に沿っている」などとする調査結果を報告していたとしています。
  このあとも、かんぽ生命は金融庁から顧客保護に反する事象に早急に対応するよう指導を受けたほか、ことし5月以降も金融庁や総務省から報告を求められ、報道が相次いだとしています。
伊藤委員長「再発防止徹底を」
かんぽ生命の保険の不適切な販売問題を調査してきた弁護士で、特別調査委員会の伊藤鉄男委員長は、18日の記者会見で、「会社が詳しい調査の対象としている乗り換え契約だけで不適切な販売があったわけではないことは明らかだ。今回提言した対策を本当に実行すれば不適切な募集は解決すると思っている」と述べ再発防止策の徹底を求めました。
  そのうえで、特別調査委員会として今年度末まで追加の調査を進める考えを示しました。
寺脇委員「苦情対策 成功とは言い難い」
特別調査委員会の寺脇一峰委員は記者会見で、会社側の苦情の対応について「対策を策定して苦情を減らそうとしたが、残念なことは苦情を減らすということが目的になってしまった。苦情を分析して、背後の原因を解明して対応していくというところまで到達できずに苦情を減らそうと集中したため、総合的には成功したとは言い難かった」と述べました。
調査できたのは全体の4割 営業活動再開も困難
かんぽ生命の保険をめぐっては、ことし6月以降、古い契約から新しい契約に移る「乗り換え」の際に、顧客が新たな保険に入れず無保険の状態になったり、新旧両方の保険で保険料を二重に支払ったりといった不適切な販売が多数に上っていることが分かりました。
  保険の販売を担う日本郵便は、顧客からの問い合わせ対応を優先させるため、7月半ば以降、保険の営業活動を自粛。
  7月24日には問題の原因を調べるため、外部の弁護士による特別調査委員会を設置しました。
  そして7月31日、過去5年分の契約について調査を進めた結果、不適切な販売だった可能性のある契約がおよそ18万3000件に上ることを明らかにし、個別に顧客を訪問するなどして詳しく調査することを決めました。
  さらにおよそ3000万件の契約すべてを対象に、顧客が意向に沿わず不利益を被ったものがないか検証することにしたほか、過剰だと指摘されていた営業目標、いわゆるノルマを見直すことになりました。
  ことし9月に公表された内部調査の中間報告では、顧客に虚偽の説明をするなどの法令違反や、契約内容を適切に説明していないなどの社内ルール違反といった不正が疑われる事例が合わせて6327件確認されました。このうち法令違反が疑われる事例はおよそ1400件でした。
  一方、この時点ではおよそ18万3000件のうち、調査ができたのは全体の4割以下にとどまり、速やかな調査を求める声が強まりました。
  自粛している営業活動についても、当初は9月からの再開を目指していましたが、問題の拡大を受けてたびたび再開を延期。
  現在は来月から段階的に再開させるとしていますが、これも難しい状況になっています。
2年で7件契約の80代女性は
かんぽ生命は顧客に不利益を与えた可能性のある契約として、およそ18万3000件を対象に契約者に書面で連絡するなど、詳しく調査を進めています。
  NHKの取材に応じた、関西地方に住む80代の女性も調査対象となっている契約者の1人です。無保険の状態があったとして、ことし8月に確認を求める書類を受け取りました。同じ敷地内に住む60代の息子によりますと、みずからが仕事で留守の間に郵便局員が自宅を訪ねて、母親が次々と生命保険に加入したということです。
  2017年8月から2019年5月までの間に7件の生命保険に加入し、月々の保険料が合わせて60万円になることを、息子はことし9月に、初めて知ったとしています。息子は「毎月60万円余りの保険をこれから10年もかけるとは、そんな金どうするのか。全然知らなかった」と話していました。かんぽ生命の社内ルールでは2013年以降、契約者が70歳以上の場合には、契約の際に家族に同席を求めることになっていますが、息子が同席したことはないということです。息子によりますと、母親は認知機能が低下していて「私はそんな手荒い保険に入っていない」と説明しているということです。
  母親は「郵便局から来る人はいい人で、本当にいい人が来てくれたなぁと思うけれども、こんなことしているとは思わなかった」と話していました。
元郵便局長「目標達成のプレッシャーや企業体質が原因に」
かんぽ生命の保険の販売に携わっていた郵便局の元局長がNHKの電話インタビューに応じ、問題の原因として、営業目標を達成することへのプレッシャーや、営業成績が優秀な社員を優遇するといった企業体質があったのではないかと証言しました。
  東日本の郵便局で、最近まで局長を務めていた男性は保険の不適切な販売問題の原因について、「低金利によって商品の魅力が低下し、ほかの会社と戦える商品ではなくなってしまったときに、何が何でも営業目標を達成しないといけないというプレッシャーはあった。どんな手を使っても達成しなければというふうに走ってしまったということと、それを暗黙のうちに容認してしまっている社風、会社の体質が原因ではないかと思います」と述べました。
  そして、優秀な営業成績を上げている社員の中にも不適切な販売方法を多用している人がいたことは十分に考えられるとしたうえで、「どういう手を使っていても実績を上げる社員に対しては上司であってもものが言いづらい状況だったのは確かだ。新規の募集が多い人が偉かったり、何をしても許されるみたいな会社の空気になってしまっていた」と証言しました。
  不正を防ぐ仕組みについても「実績をあげることを優先していたので、不適正な契約を防止するフィルターは、ほぼほぼ形式的なものしかなかったと思う」と述べました。
  また、日本郵政と傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命の3社が4年前に株式を上場したあと、収益を上げるための社内的な号令が強まったと述べ、日本郵政グループに対して「会社の組織や体質をいちから聖域なくすべて作り替えないと信頼回復は無理ではないか。そうでないとまた何年かして同じ問題が出てきてしまう」として、抜本的な改革が必要だと話していました。
金融庁と総務省が処分を検討
かんぽ生命の保険の不適切な販売問題で、金融庁は、ことし9月からかんぽ生命と日本郵便に対して立ち入り検査を行いました。
  その結果、ノルマの達成が過度に重視されていたほか経営陣も現場の実態を十分に把握しておらず、内部の管理体制に重大な問題があったとみています。
  このため、金融庁は今月末ににもかんぽ生命と日本郵便に対して一部の業務の停止命令を出す方向で検討を進めています。
  また、親会社の日本郵政に対してはグループの統治に問題があったとみて、業務改善命令を出す方向で調整しています。
  このほか、総務省もグループのガバナンス=企業統治に問題があったとみて、日本郵政と日本郵便に対して業務改善命令を出す方向で検討しています。
麻生副総理「不利益受けた客への対応が肝心」
かんぽ生命の保険の不適切な販売問題について、麻生副総理兼金融担当大臣は臨時閣議のあとの記者会見で、「不利益を被った客に対して、どうやって対応するのかという点がいちばん肝心なところだ。そのうえでコンプライアンスやガバナンスの体制など、さまざまな問題について、今後、検討していくのだと思うので、それを見守らなければいけない」と述べました。
  また、かんぽ生命の営業再開の時期について麻生副総理は「不利益を被った人たちに、どういう対応をしたのかという答えは、まだ出ていないのではないか。その答えを出さなければ、どうにもならない」と述べました。
官房長官「抜本的な改善に向けての取り組みが必要」
菅官房長官は18日午前の記者会見で、「日本郵政グループとして、不利益を被ったお客様への対応に万全を期すとともに、コンプライアンス体制やガバナンスなどについて、抜本的な改善に向けて取り組んでいくことが必要だ。経営責任については、そのうえで判断をすることだと思う」と述べました。








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