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JXSA-宇宙問題-1



2023.03.13-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230312-WULXHEXXWNIP7AJ4G23AECWICM/
若田光一さん搭乗の宇宙船、地球に帰還

  国際宇宙ステーション(ISS)での長期滞在を終えた宇宙飛行士の若田光一さん(59)ら4人を乗せた米スペースX社の新型宇宙船クルードラゴンが日本時間12日午前、米フロリダ沖に着水し、地球に帰還した。

  若田さんらは日本時間11日午後にISSを出発した。宇宙船は大気圏に突入するとパラシュートを展開、その後、しぶきを上げて着水した。クルードラゴンには、米国とロシアの飛行士計3人も同乗している。
  若田さんは今回、日本人最多となる5回目の宇宙飛行で、自身初となる船外活動などを行った。宇宙滞在は通算500日を超えた。日本人宇宙飛行士では、古川聡さん(58)が年内に2回目のISS長期滞在に臨む予定。



2023.03.07-Yahoo!Japanニユース(毎日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/dcbae7f10eb6ba014cebb5804e981fc27ac12218
H3ロケット初号機、打ち上げ失敗 2段目エンジン着火せず指令破壊
【垂水友里香】

  宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7日、新型主力機H3ロケット初号機を種子島宇宙センター(鹿児島県)から発射したが、2段目のエンジンが着火せず、発射から約14分後に指令破壊した。搭載した地球観測衛星「だいち3号」を予定の軌道に打ち上げられず、発射は失敗した。

  JAXAは2022年10月の小型主力機イプシロンロケット6号機にも失敗している。相次ぐ失敗で日本の宇宙開発への影響は不可避で、大きな痛手となる。
  指令破壊は、機体が思わぬ場所に墜落して被害を及ぼさないよう、地上から指示を出して爆破する操作。機体はフィリピン東方沖の海上に落下したとみられ、被害は確認されていない。
  初号機は2月17日にも電源系統の誤作動で発射を直前に中止。JAXAは異常を解消できたとして、予備期間である3月10日までに発射を間に合わせていた。  JAXAと文部科学省は7日、対策本部を設置して原因究明を始めた。記者会見したJAXAの山川宏理事長は「関係者や国民の皆様に深くおわびする。失敗が続いていることを重く受け止めている」と陳謝した。
  永岡桂子文科相は「早急に原因を究明し、全力でスピード感をもち対応する」との談話を出した。
  H3は01年から運用する現在の主力機H2Aロケットの後継機で、1994年にデビューしたH2ロケット以来、29年ぶりに国産主力機を新規開発した。今後20年間の日本の宇宙輸送の中心を担う。
  当初は20年度の初号機発射を予定していたが、新型主エンジンのタービンの動翼にひびが入るなどの不具合で2回延期されている。  全長約63メートル(初号機は約57メートル)、直径約5・2メートルで、H2Aより一回り大きく、衛星打ち上げ能力を1・3倍に高めた。開発や部品の低コスト化を図り、1回の発射費用を最小形態でH2Aの半額の約50億円に下げることを目指す。
  だいち3号は可視光などで地表を観測する最新の光学衛星。解像度は11年に運用を終えた初代だいちの3倍以上あり、災害の監視や地図情報の取得などを担う予定だった。
【垂水友里香】


2023.02.18-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/822f258b1c0b19f54b220f5a08ebc51a7de0ce09
打ち上げ中止のH3ロケット、機体組立棟に戻る 原因究明急ぐ

  17日午前の打ち上げの数秒前に異常が検知され、打ち上げを中止した日本の次世代大型ロケット「H3」初号機は18日、原因究明や機体の点検作業のため、発射地点から移動し、大型ロケット組立棟に戻された

  打ち上げ中止後、発射地点に置かれていた初号機は、17日夜から18日未明にかけて燃料の抜き取りや配管の接続を外す作業を実施。18日午前10時ごろから、約30分かけて組立棟に移動した。
  宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、「まだ異常の原因については分かっていないが、制御システムのデータを解析するなどして解明を急ぎ、早期の再打ち上げにつなげたい」としている。
  H3は、H2Aの後継となる基幹ロケット。初号機は17日午前10時37分に打ち上げられ、防災などに利用する国の先進光学衛星「だいち3号」を高度669キロの軌道に投入する予定だった。


2023.02.17-Yahoo!Japanニュース(MBC南日本放送)-https://news.yahoo.co.jp/articles/bcd08d3610b13be2bdd2f14efb04a7ff5156ef5d
【速報】H3ロケット初号機 予定時間に打ちあがらず 補助ロケット点火せず 鹿児島種子島宇宙センター

  新型ロケットH3が、午前10時37分に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げらる予定でしたが打ち上げ時間になっても発射台にとどまっています

  JAXAによりますと、メインエンジンは点火されましたが、 固体ロケットブースターには着火しなかったということで、状況を確認しています。 H3は、全長約57メートル、直径約5.2メートル、重量は422トン(衛星含まず)で、国産ロケットでは最大です。現在運用されているH2Aの後継機で、日本の新型主力ロケットとして2014年から開発が始まりました。 打ち上げは当初2020年度に計画されていましたが、新型メインエンジンLE-9のトラブルが原因で2年延期。今月12日に予定されていた打ち上げも、天候不良や風速データの入力システムの不具合などで3回延期されていました。


2023.02.17-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230217/k10013982841000.html
「H3」ロケット初号機 きょう午前10時37分打ち上げへ 鹿児島

  日本の大型ロケットとしておよそ30年ぶりに新たに開発された「H3」の初号機の打ち上げが、17日午前10時37分に鹿児島県の種子島宇宙センターで行われます。

  30年ぶりに新開発の国産大型ロケット「H3」は、現在の主力ロケット「H2A」の後継機で、JAXA=宇宙航空研究開発機構と三菱重工業が、2000億円余りかけて開発しています。
  ロケットは、すでに発射地点に移され、打ち上げに向けた準備が進められています。
  「H3」の全長は、最長でおよそ63メートル。
  日本の大型ロケットとしてはおよそ30年ぶりの新規開発で、宇宙に運べる重量を「H2A」のおよそ1.3倍に増強し、打ち上げコストを現在の半分程度に抑える計画で9年前に開発に着手しました。
  初号機の打ち上げは当初、2020年度の予定でしたが、新型のメインエンジンの開発に難航し、年度をまたぐ2度の延期を経て、打ち上げにこぎ着けました。
  「H3」は、競争が激しさを増しているロケットの打ち上げビジネスで海外に対抗するねらいがあるほか、アメリカなどが人類の宇宙進出の足がかりとして月を探査する「アルテミス計画」にも活用される予定で、国産の新たな主力ロケットとして順調な滑り出しが見せられるか、打ち上げが注目されます。
  初号機は、人工衛星を覆うカバーの「フェアリング」に短いタイプを使用しているため、全長はおよそ57メートルで、災害状況の把握などに活用が期待される地球観測衛星「だいち3号」が搭載されています。
  「H3」初号機はこのあと、午前10時37分に種子島宇宙センターから打ち上げられる予定です。


2023.02.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230216-RG7AYVITBZLIPDNNXGU45JHSYA/
太陽系誕生直後の物質か 小惑星りゅうぐうから発見 東北大G

  東北大などの研究グループは16日、探査機「はやぶさ2」が回収した小惑星りゅうぐうの試料の石に、太陽系の誕生直後、太陽付近でできたとみられる物質が含まれていたと発表した。りゅうぐうの元となる母天体は太陽から遠く離れた領域にあったとみられ、物質はそこまで運ばれた可能性がある。約46億年前にできた太陽系の成立過程の解明につながると期待される。

  はやぶさ2は平成26年、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打ち上げ、搭載した回収カプセルは令和2年に地球に帰還した。
  りゅうぐうは地球と火星の公転軌道の近くを回る大きさ約900メートルの小惑星。先行研究で、りゅうぐうの試料には、太陽系の誕生直後に存在した太陽を取り巻くガス円盤「原始太陽系星雲」でできた可能性がある2種類の粒子が含まれることが判明。東北大などの研究グループは、粒子を詳細に分析した。
  2種類はカルシウムとアルミニウムに富む粒子と、かんらん石や鉄からなる粒子で、酸素同位体比や成分、組織を調べると、太陽系が形成された最も早い段階に太陽付近でつくられた可能性が高いことが分かった。いずれの物質もりゅうぐうの母天体付近に存在した可能性は低いという。
  原始太陽系星雲内で形成した後、太陽から遠く離れたりゅうぐう母天体の集積領域まで運ばれたと推定される。ただ、どのようにして運ばれたかは不明だという。成果は英科学誌電子版に掲載された。
  JAXAのホームページによると、りゅうぐうは、太陽系が生まれた頃の水や有機物が、今でも残されていると考えられている。地球の水はどこから来たのか、生命を構成する有機物はどこでできたのかという疑問を解くのがはやぶさ2の目的だという。


2023.01.31-Yahoo!Japanニュース(KYODO)-https://news.yahoo.co.jp/articles/b57aee6abd8afb739a55a8f33e9a75e756150306
配管詰まり打ち上げ失敗か イプシロン、JAXAが分析

   昨年10月に衛星の打ち上げに失敗した小型固体燃料ロケットイプシロン6号機について、JAXAは3日、姿勢制御に用いるガスジェット装置が機能しなかったのは、配管が詰まったのが原因とみられるとの分析結果を明らかにした。文部科学省の有識者委員会に報告した。

   JAXAによると、姿勢制御装置用の燃料タンクを区切るゴム膜が変形するなどし、配管をふさいだとみられる。装置に備えられた弁が正常に動かなかった可能性も検討したが、製造段階までさかのぼって分析、異常がないことを確認した。
  今月13日に発射予定の新型主力機H3ロケット1号機は、本来の状態でも影響はなかったことが判明した。



2022.11.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20221125-NS36CLUROJJANJMSUBQHIJJTWQ/
古川飛行士の研究で不正か JAXA、処分検討

  宇宙航空研究開発機構(JAXA)の古川聡飛行士(58)が総括責任者を務める国際宇宙ステーション(ISS)での生活を模した実験で、データの書き換えなどの捏造や改ざんに相当する行為があったことが25日、関係者への取材で分かった。JAXAは同日、文部科学省や厚生労働省に報告し、古川氏ら関係者の処分を検討する。

  実験は、ISSのような閉鎖環境とストレスに関するもので、茨城県つくば市の施設で実施された。閉鎖環境に入った参加者の血液や尿、精神状態に関するデータを取ったが、評価の書き換えなどがあったという。実験結果は論文として発表されていない。


2022.10.12-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221012/k10013856061000.html
日本のロケット「イプシロン」打ち上げ失敗 地上から破壊指令

  日本の小型ロケット「イプシロン」6号機は12日午前、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられましたが、ロケットに異常が発生したため、機体を破壊する信号が送られ、打ち上げは失敗しました。

  「イプシロン」6号機は、12日午前9時50分ごろ、鹿児島県肝付町にある内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられましたが、JAXA=宇宙航空研究開発機構によりますと、ロケットに異常が発生したため、打ち上げのおよそ6分半後に機体を破壊する信号を送ったということです。異常の原因については明らかになっていません。

  JAXAは12日午後会見し、2段目と3段目のロケットを切り離す前にロケットの姿勢が目標からずれ、地球の周回軌道に投入できないと判断したと説明しました。また、破壊された機体はフィリピン東の海上に落下したと推定されるとしています。
  JAXAの山川宏理事長は「関係する皆様の期待に応えられず深くおわび申し上げる。今後、早急に原因の究明や対策を図り、わが国の宇宙開発利用に対する信頼を取り戻すべく全力を尽くしていきたい」と述べました。
  「イプシロン」は、小型の人工衛星を低コストで打ち上げようとJAXAが開発した全長26メートルのロケットで、今回の6号機には、福岡市のベンチャー企業が開発した2つの商業衛星や公募で選ばれた企業や大学の実証実験を行う衛星などあわせて8つの衛星が搭載されていました。
  今回の打ち上げは「イプシロン」としては初めてとなる商業衛星の打ち上げで、需要が高まる小型の人工衛星の打ち上げビジネスへの本格的な参入につながるのか注目されていました。
  日本の主力ロケットの打ち上げ失敗は、2003年のH2Aロケット6号機以来で、「イプシロン」としては今回が初めてです。
企業や大学などが開発した8つの人工衛星を搭
  
8つの人工衛星のうち、福岡市のベンチャー企業「QPS研究所」の2つの衛星は、「イプシロン」として初めてとなる商業衛星の打ち上げ受注で、ロケットの設計や製造を担当する「IHIエアロスペース」がJAXAに打ち上げを委託していました。

  このほかの6つはJAXA=宇宙航空研究開発機構が「革新的衛星技術実証」と呼ばれるプログラムで公募し、選ばれた衛星です。  企業が開発した部品を搭載し、宇宙空間で実証するためのJAXAの衛星「小型実証衛星3号機」  名古屋大学の衛星「MAGNARO」  九州工業大学の衛星「MITSUBA」  米子工業高等専門学校の衛星「KOSEN-2」  早稲田大学の衛星「WASEDA-SAT-ZERO」  一般財団法人の未来科学研究所の衛星「FSI-SAT」
搭載の衛星を開発した企業は
  「QPS研究所」の大西俊輔社長は「九州でつくった衛星を九州で打ち上げるという意味で感慨深く、きょうを迎えましたが、やはりロケットは100%完璧なものではないと感じています。まずは詳細な報告を待ちたい」と話していました。
  そのうえで「衛星の開発は喜びや悲しみ、さまざまなものが合わさってできるものだと思う。今回の経験も大きな財産になると思うので、より一層力強い開発体制でさらにいいものをつくるという原動力に変えていきたい」と話していました。
全国8高専が共同開発の衛星も
  人工衛星「KOSEN-2」は2年余りをかけて全国の8つの高専が共同開発し、海底の地殻変動のデータを集める予定だったということです。
  12日は、米子工業高等専門学校でおよそ30人の学生などがオンラインで打ち上げの様子を見守り、大きな煙とともに打ち上げられると歓声をあげていました。
  しかしその後、打ち上げが失敗したことが分かり、電子制御工学科5年の吉岡玲志さんは「闇の中で手探りするように研究開発を進めてきたので、残念で複雑な気持ちです」と話していました。
  米子高専では今月から全国の高専とともに、新たな人工衛星「KOSEN-3」の開発を始めるということで、開発の指導にあたった徳光政弘准教授は、「失敗は非常に残念ですが、『KOSEN-3』の開発に全精力を注ぎ、さらによい衛星をつくりたい」と話していました。
専門家「失敗が連続しないことが大事 事故原因を」
  三菱重工業でH2Aロケットなどの開発や運用に関わってきた東京理科大学の小笠原宏教授は打ち上げ失敗による商業衛星受注への影響について「今回の打ち上げが商業利用のきっかけになるはずだったと思うので痛手なのは間違いない。失敗が連続しないことが大事で事故原因を究明して次の7、8号機の打ち上げを連続して成功させれば、マーケットはついてくると思う」と話していました。
  打ち上げ失敗の原因については「2段目のロケットの燃焼は完璧だったので、3段目との分離までに、小型のエンジンやロケットの姿勢を把握するセンサーなどになんらかのトラブルが起きた可能性がある」と指摘しました。
  一方、新型ロケット「H3」の開発などへの影響については「今回の失敗で開発が止まることはないと思う。今回の事故による影響がないか徹底的に評価するはずだ」と話していました。
官房長官「重く受け止め 原因究明と必要な対応講じたい」
  松野官房長官は、12日午後の記者会見で「JAXAからは『イプシロン』ロケットの打ち上げ失敗について、第2段と第3段の分離可否の判断時点で目標姿勢からずれ、当初の軌道に投入できないとの判断により、午前9時57分に『指令破壊信号』を送出したとの報告がなされていると承知している」と述べました。
  そのうえで「文部科学省JAXAの対策本部を中心に、原因の把握と対策の検討が行われる。今後の宇宙政策にどのような影響を与えるか、現時点で予断を持って言える状況にはないが、打ち上げ失敗を重く受け止めて、原因の究明を早急に進め、必要な対応を講じていきたい」と述べました。
文科相「信頼取り戻すべく 関係者とともに全力で対応」
  永岡文部科学大臣は12日午後に談話を発表し「打ち上げが失敗に終わり、国民の期待に応えられなかったことは、誠に残念だ。今回の事態を受け、文部科学省に対策本部を設置するとともに、専門的な見地からの徹底した原因究明を行うよう指示した。また、JAXA=宇宙航空研究開発機構に対し、状況の早急な把握などを指示した。早急に原因を究明して対策を立て、わが国の宇宙開発利用に対する信頼を取り戻すべく、関係者とともに全力で対応していく」としています。


2022.08.27-Yahoo!Japanニュース(Scinece Portal)
小さな機体に大きな期待 月面着陸機「オモテナシ」など29日打ち上げ
(草下健夫 / サイエンスポータル編集部)
(1)
  史上最小の機体で月面に着陸する宇宙航空研究開発機構JAXA)の実証機「オモテナシ」が29日、米国の新型大型ロケットで打ち上げられる。国際協力による月探査の本格化を前に、低コストでの月の科学研究や利用に道を開くとの期待がある。月面にふんわり降り立つ「軟着陸」ではないものの、日本初の月面着陸がかかった機体ともいわれ、注目される。東京大学などが開発した軌道制御技術実証機も同時に出発する。
小包サイズでいざ挑戦
  「どこまで小さな機体で月に着陸できるのか、挑戦する。月面着陸は従来、国の宇宙機関などにしかできなかった。しかし超小型、低コストでできるなら、大学や中小企業、お金があれば個人にも手が届く。探査のいろいろなアイデアが出てくるようになるだろう」
  オモテナシの開発を進めてきたJAXA宇宙科学研究所の橋本樹明(たつあき)教授は、こう力説する。10センチ角の立方体が1~数個連なった大きさの超小型の衛星や探査機を一般に「キューブサット」と呼ぶ。オモテナシは立方体6個分、小包サイズのキューブサット。史上最小の機体による月面着陸に挑む。開発費は7~8億円程度とみられる。

  機体は本体、固体ロケット、着陸部の3つの要素からなり、計12.6キロ。初打ち上げとなる米国の大型ロケットに、宇宙船に相乗りする形で搭載されている。26日時点の計画では、日本時間29日午後9時33分、米フロリダ州のケネディー宇宙センターから打ち上げられる。
  ロケットから分離後に電源が入り、本体表面の太陽電池パネルを太陽に向ける。翌日に本体のガスジェットで月面へと軌道を修正。打ち上げ直前、機体を回転させて姿勢を安定させ、固体ロケットで減速する。本体から分かれた固体ロケットと着陸部がつながった状態で、秒速50メートルほどで月面に着陸。着陸部から電波を発信し、地球で成否を確認する。

  着陸は暫定で9月4日昼の見込みで、南緯30~60度付近を目指す。成功確率はもともと60%ほどとみられていたが、あいにく8月29日に打ち上げると月の日陰を避ける必要があり、30%ほどに落ちるという。  着陸部にカメラはないが、本体に搭載しており、飛行中に地球の撮影を試みる。本体には放射線の線量計も搭載した。
(2)
速度が残る「セミハードランディング」
  計画の大きなポイントは、着陸方法だ。宇宙船がパラシュートを開き、減速しながら地上へゆっくりと軟着陸(ソフトランディング)する写真を見たことがあるだろう。大気がない月ではパラシュートが使えないため、噴射を利用する。飛行士を乗せて軟着陸したアポロも、そうだった。軟着陸には、速度を精密に制御できる液体燃料エンジンが必要だが、構造が複雑で小型化には限界がある。そこでオモテナシは固体燃料ロケットを採用し、軟着陸は諦めた。速度を制御せず激突する硬着陸(ハードランディング)は免れるものの、着陸時にある程度の速度が残る「セミハードランディング」することにした
  オモテナシは日本初の月面「着陸」に挑むとされるが、一般にイメージされるであろう軟着陸でないことに留意したい。衝撃に耐えるよう、着陸部と固体ロケットのつなぎ目には緩衝材が取り付けられ、また着陸部の中に樹脂を詰めて隙間をなくし、搭載機器を衝撃から守る構造にした。ちなみにセミハードランディングは橋本氏が考えた言葉で、「準硬着陸」といった訳語は特に定まっていないという。

  日本の機体は工学実験衛星「ひてん」や月周回探査機「かぐや」が、それぞれ1993年と2009年に役目を終える際、月面に硬着陸している。月面を目指した実験・探査ではなく機体は衝撃で破壊されたが、単に到達したという点でならば、これらが先とも言えなくもない。
  日本の月面軟着陸としては、高精度の着陸技術を実証する「スリム(SLIM)」がJAXAにより計画され、今年度にH2Aロケット47号機で打ち上げられる。オモテナシに着陸では先を越されるものの、精密技術に注目したい。米国のロケットなどを利用して年内の着陸を目指す、民間の計画もある。
命名の理由は…やっぱり
  オモテナシを搭載するロケットは「SLS」(Space Launch System)。スペースシャトルの事実上の後継ロケットとして開発が始まり、その後は米国主導の国際協力により月探査を進める「アルテミス計画」で、有人宇宙船「オリオン(オライオン)」を搭載するべく開発が進んだ。今回が初飛行で、無人のオリオンが月上空を周回し10月に地球に帰還する試験飛行「アルテミス1」に用いられる。
(3)
  2015年に米航空宇宙局(NASA)からJAXAに対し、アルテミス1でSLSに相乗りする探査機を米国外からも追加募集するとの連絡が入った。
  そこで、当時18年の予定だったアルテミス1に向け、わずか1~2カ月で複数の提案がまとめられ、その中からオモテナシなどが選ばれた。日米伊の10機が打ち上げられる。
   なお、オモテナシ(OMOTENASHI)は「Outstanding MOon exploration TEchnologies demonstrated by NAno Semi-Hard Impactor」の頭文字に由来するという。オ・モ・テ・ナ・シ…。「聞き覚えのある言葉だが、意識したか?」と橋本氏に尋ねると、「まさに意識した」とのことだ。
   「以前はアルテミス1が2018~19年に打ち上げられる計画だったので、20年に予定されていた東京五輪の直前であり、良いのではと考えた。また、アルテミス1をきっかけとして月探査が広がるのなら、最初に月に到着して、皆さんを『おもてなし』したいという意味も込めた」
   アルテミス1が延期を重ねるうちに五輪は昨年、終わった。タイミングを逸した観もあるが、日本人のおもてなしの心を、改めて世界に伝える機会となるかもしれない。
軌道を工夫し、推進剤を節約する「エクレウス」
  もう1つの軌道制御技術実証機は、天体の引力のバランスが取れた特異な場所に向かう「エクレウス」だ。JAXAと東京大学が中心となって開発した。オモテナシと同じく、10センチ角の立方体6個分の大きさのキューブサットだ。
  ある天体が別の天体の周りを回る場合に、それらの引力が釣り合う5つの位置をラグランジュ点」と呼ぶ。探査機などはそこに留まり続けられ、推進剤(燃料)を節約できるとされる。アニメ作品などで、スペースコロニーの建設位置としてラグランジュ点を聞いたことのある人も多いかもしれない。
  月と地球、太陽の引力が釣り合うラグランジュ点のうち、地球から見て月の裏側には、将来の宇宙ステーションの候補地である「地球-月系の第2ラグランジュ点」がある。エクレウスは効率よく軌道制御をしながら、そこへ向かう技術を実証する。
  月の引力などを利用して軌道と速度を変える「月スイングバイ」や、太陽の引力を利用。複雑な軌道をたどる代わりに、推進剤の消費を大幅に抑える。29日に打ち上げると、月スイングバイは2回行う。第2ラグランジュ点に1年後に到達する。エクレウス(EQUULEUS)は「EQUilibriUm Lunar-Earth point 6U Spacecraft」の略という(equilibriumは平衡の意)。
   JAXA宇宙科学研究所の船瀬龍教授(東京大学大学院工学系研究科准教授)は「月周辺には将来、人や物資を月面に送るための中継地点の宇宙ステーションができ、大きな物流が起こる。ここを拠点に、超小型衛星がエクレウスのように軌道制御技術を使って火星など、もっと遠くに行けるようになる。実現に貢献したい」と説明する。エクレウスは地球磁気圏の荷電粒子、月面への天体衝突で生じる閃光(せんこう)、宇宙空間のちりの観測も行う。
   エクレウスのもう一つの注目ポイントは、推進剤が水であることだ。液体の水を蒸発させ、ノズルから出すシンプルな仕組み。「水は打ち上げ時の安全審査で有利だ。将来は月や小惑星から水を採取して探査機に入れれば、さらに遠くに飛んでいける」(船瀬氏)。2019年に、東京大学などが開発した同じ仕組みの超小型衛星を国際宇宙ステーション(ISS)から放出したものの、うまくいかなかったという。再挑戦に期待がかかる。
   「山椒(さんしょう)は小粒でもピリリと辛い」という言葉がある。オモテナシとエクレウスの機体はごく小さく、こなす仕事も一見、小惑星の物質を地球に持ち帰った「はやぶさ2」などのような派手さには欠ける。しかし成功すれば将来にわたり、人類の宇宙探査や利用を身近にする可能性を秘める。
  月、さらに遠くの宇宙へと、私たちの思いをかき立ててくれることにもなりそうだ。
(草下健夫 / サイエンスポータル編集部)


2022.06.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220610-B4DMSCFDKZMRHK7NS4V6L2XH6Q/
はやぶさ2 砂のアミノ酸は23種 リュウグウ起源は「氷天体」の新説

  日本の探査機はやぶさ2が持ち帰った小惑星リュウグウの試料を詳しく分析した結果生命の源となるアミノ酸23種類を検出したと岡山大などの研究チームが10日、正式に発表した。また、試料が含む金属粒子の並び方が整然としていることなどから、リュウグウの起源は従来の説と異なり、氷が主な成分の「氷天体」とみられることも分かったという。地球生命の誕生の謎や太陽系の成り立ちの解明が大きく進みそうだ。

  見つかったアミノ酸は、構造がわずかに異なる「異性体」も含めて23種類。体内のエネルギー生産に関わるアスパラギン酸、食物のうま味成分のグルタミン酸のほか、体内で作れないバリンやロイシンなど、生物のタンパク質合成に必要なアミノ酸を含んでいた
  生命に欠かせないアミノ酸の起源は、46億年前に誕生してから地球で起きたさまざまな現象による化学反応で作られたという説と、宇宙から飛来した隕石などに付着して到来したという説があり、今回の発見は後者の説の補強となる。
  また、試料を電子顕微鏡などで観察した結果、体積に占める隙間の割合を示す空隙率(くうげきりつ)が約50%のスカスカの構造で、そこに含まれる磁鉄鉱の粒子が、まるで大きさごとに整理したように分かれて分布していることが判明した。リュウグウはこれまで、天体同士が衝突して細かい破片となり、それが引き付け合って集まり形成されたと考えられてきたが、この考え方では説明がつかない構造という。
  そのため研究チームは、リュウグウの起源は大量の氷からなり、有機物や金属を豊富に含む大きさ数十キロの氷天体が起源だとする新説を提唱した。

  氷天体は原始太陽系の外縁部の軌道にあり、太陽系の形成から260万年後以降に他の天体との衝突などで破壊。太陽の引力で太陽に近い軌道に移動し、氷を主成分とする大きさ数キロの核を持つ彗星(すいせい)になった。この核の氷が太陽熱で蒸発してなくなり、残った物質でできたのが、リュウグウをはじめとする有機物や水が豊富で空隙の多い低密度の小惑星だとしている。
  氷天体の内部では、アルミニウムの原子核が崩壊してマグネシウムに変化する現象が起き、その際に生じたエネルギーでいったん高熱となり、エネルギーを使い切って再び冷えたとみられている。
  チームによると、試料で観察された整然と並ぶ磁鉄鉱粒子は、氷天体が熱せられて冷える過程で、氷と水の境界部分で少しずつ生成され、この並び方になったという。アミノ酸も、温度変化で起きた多様な化学反応で生じたとみている。また、氷天体の氷を除いた部分の空隙率は30~60%で、リュウグウの試料の空隙率約50%と矛盾しない。

  岡山大の中村栄三・特任教授は「リュウグウをはじめとした炭素系の物質を主成分とする炭素質小惑星の起源は、いずれも氷天体だとみられる。仮説の正しさを証明するため、リュウグウの試料をさらに詳しく分析したい」と話している。


2022.06.06-JIJI.com-https://www.jiji.com/jc/article?k=2022060600206&g=soc
「りゅうぐう」の砂からアミノ酸 生命のもと、地球外で初確認―はやぶさ2が採取・JAXA

  宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」小惑星「りゅうぐう」で採取し、地球に持ち帰った砂から、生命を形作るたんぱく質の材料となるアミノ酸が20種類以上見つかったことが6日、関係者への取材で分かった。これまで、地球に落ちてきた隕石(いんせき)からの検出例はあるが、地球外から直接持ち帰った試料から見つかったのは初めて。

  地球の生命起源の材料をめぐっては、地球で生成されたとする説と、宇宙空間で生成され隕石などの形で飛来したとする説があるが、発見は地球外説を後押しする形になる。
  JAXAは2020年12月、はやぶさ2から分離され、地球に帰還したカプセルからりゅうぐうの砂約5.4グラムを回収。地球の物質が混ざらないよう、真空環境や窒素で満たした装置内で分類や測定などを行った後、国内外の大学や研究機関が参加する初期分析チームが、有機物や化学組成、鉱物などの分野ごとに詳しい分析を続けてきた。
  これまでの分析で、りゅうぐうの砂には有機物や水の存在が確認されているが、初期分析チームの解析で、20種類以上のアミノ酸が検出されたという。成果は近く論文で公開される見通し。


2022.05.25-JETRO(日本貿易振興機構-ジエトロ)-https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/05/678ae1bcb382c7af.html
米NASAネルソン長官、日米の宇宙探査協力を歓迎

  米航空宇宙局(NASA)は5月24日、岸田文雄首相とジョー・バイデン米大統領の日米首脳による共同声明(2022年5月24日記事参照)において、宇宙探査の分野での協力が盛り込まれたことを受けて、ビル・ネルソン長官のコメントを発表した。

  声明では、日米両国が日本人宇宙飛行士を月周回有人拠点「ゲートウェイ」に搭乗させることについて2022年内に実施協定の調印を目指すとしたほか、将来的には有人月着陸プロジェクト「アルテミス計画」(注1)において、日本人宇宙飛行士の月面着陸を目指すという目標を含め、有人およびロボットによる宇宙探査で協力することが明記された。

  ネルソン長官は「日本と米国の宇宙飛行士が共に月面を歩くという両国共通の願いは、地球上の人類の利益のために責任を持って透明性ある宇宙開発を行うという、両国共通の価値観を反映したもの」と述べた上で、「この歴史的な発表は、バイデン大統領が米国単独ではなく、志を同じくするパートナーとともに歩んでいくということを再び世界の国々に示すものだ。われわれはアルテミス計画の下で、科学や経済的機会など共通の価値観を有する国々とともに、宇宙への投資と探査を行っていく」と述べた。
  また、NASAは、これまでの日米協力の事例として、(1)気候変動に関する予測能力を向上させるための地球観測データの利用、(2)日本が小惑星探査機「はやぶさ2」が採取した小惑星サンプルを2021年11月に米国に提供し、米国は小惑星「ベンヌ」のサンプルを2023年に日本に提供する予定であるなどの相互共有、(3)国際宇宙ステーション(ISS)やアルテミス計画において、宇宙航空研究開発機構(JAXA)がNASAの重要なパートナーであり、特にゲートウェイの国際居住モジュール(I-HAB)において環境制御・生命維持システム、電池、熱制御、画像処理装置などを通じた基幹システムの技術協力、などを挙げた。
  なお、岸田首相とバイデン大統領は2022年5月23日に、JAXAの山川宏理事長、油井亀美也宇宙飛行士および大西卓哉宇宙飛行士の案内を受け、「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから地球に持ち帰ったサンプルの実物や、「はやぶさ2」、「全球降水観測計画・二周波降水レーダ」および「有人与圧ローバー」(注2)の模型を視察している。
  (注1)米国が提案している国際宇宙探査計画で、2024年有人月面着陸、2030年代の有人火星着陸を目指すと発表。また月周回有人拠点「ゲートウェイ」を構築する計画を発表し、日本政府も参画を表明している。
  (注2)アルテミス計画における月面探査で活用が期待される、宇宙飛行士が専用宇宙服なしで滞在可能な与圧空間を有した月面探査車。
(葛西泰介)(米国、日本)



2021.11.09-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211109-3RHONCS4J5IKVKS6CTGUCC2A7U/
イプシロン5号機打ち上げ成功 高専や企業の衛星9機搭載

  宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9日午前、小型ロケットイプシロン5号機を鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げた。高知工業高等専門学校など国立高専10校が共同開発した小型衛星や民間企業の衛星など、同型機では最多の9機を搭載。衛星全てを予定の軌道に投入し、打ち上げは成功した。当初10月の打ち上げ予定だったが、装置の不具合や強風などのため3回延期していた。

  イプシロン打ち上げは、衛星7機を宇宙に運んだ平成31年1月以来。
  衛星などを開発した教育機関や企業に、実証実験の機会を提供するプログラムの一環。宇宙産業の競争力強化を目指す。
  5号機は直径2・6メートル、全長26メートル、重さ96トン。大型H2Aロケットの固体ロケットブースターを1段目に転用するなど、コストダウンを図った。打ち上げ費用を含めた総開発費は58億円


2021.05.25-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/life/news/210525/lif2105250004-n1.html
リュウグウに「スカスカの岩石」 はやぶさ2の画像で発見

  宇宙航空研究開発機構(JAXA)は25日、探査機「はやぶさ2」が特殊なカメラで撮影した小惑星リュウグウの画像の解析で、水に浮く軽石のように密度が低い「スカスカの岩石」を発見したと発表した。これまでもリュウグウの密度は低いとみられていた。はやぶさ2が地球に持ち帰った試料にも含まれる可能性が高いという。

  岩石は、直径約9メートルのクレーターの中心部で発見された。10センチ程度の赤黒い岩石が、直径数十センチの範囲に密集しており、表面温度のデータ解析などから体積の70%以上が空洞で、水に浮く密度と判明した。
  宇宙を漂う塵の集合体である「微惑星」が徐々に凝集し、中心の密度は高いが表面をスカスカの岩石が覆うリュウグウの母天体を形成。それが壊れて集まり、リュウグウができたのではないかとみられている。今回の発見は、この仮説の裏付けにつながる。
  はやぶさ2がリュウグウに着地をした際にも、スカスカの岩石の特徴と同じ赤黒い物質が舞い上がったという。そのため、解析を行った坂谷尚哉・立教大助教は「地球に持ち帰ったリュウグウの試料に含まれている可能性が高く、その分析によって、リュウグウの成り立ちの謎解明がさらに進むのではないか」と話している。


2021.01.23-マイナビニュース-https://news.mynavi.jp/article/20210124-1668911/
H3ロケット初号機がプレス公開、H-IIA/Bとの違いを画像でチェック!

  宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業(MHI)は1月23日、MHIの飛島工場(愛知県海部郡飛島村)において、H3ロケット初号機のコア機体(第1段+第2段)をプレス向けに公開した。H3ロケットの実機が公開されたのはこれが初めて。この後、コア機体は26日に出荷し、種子島へ輸送。2021年度中の打ち上げに向け、射場作業を開始する予定だ。

  H3ロケットは、現行の基幹ロケットH-IIA/Bの後継機。全長は63m、直径は5.2mの大型ロケットで、日本のロケットとしては過去最大となる。第1段エンジン「LE-9」は2基または3基、固体ロケットブースタ「SRB-3」は0/2/4本のコンフィギュレーションがあり、初号機はLE-9が2基、SRB-3が2本の「H3-22」型となる。
  ちなみに、H3ロケットの全長63mというのはロングタイプのフェアリングを搭載したときの数字だが、初号機はショートタイプなので、これより6m低くなり、全長は57mだ。ただ、これでもH-IIBの56mよりは少し高く、日本最大という点は変わらない。

  なお直径は、H-IIAが4.0m、H-IIBが5.2m(第1段)だった。H3はH-IIBと同じとなるが、第2段も同じ太さで、くびれは無い点が異なる。H-IIBのくびれはロケットファンに人気が高く、この点だけは残念に思っている人も多いかもしれない(筆者もだ)。
  そのため実際に機体を見てみると、第2段がかなり大きくなった印象を受ける。外側から見えるのは液体水素タンクの部分であるが、直径が大きくなった分、全体的に平べったく見えるものの、タンクの容量はH-IIAの1.5倍もあるそうだ。

  またこの段間部は、H-IIA/Bから大きく変わったところである。従来はCFRP製だったが、H3は金属製。重くはなるものの、打鋲をロボットにより自動化したことで、大幅な低コスト化を実現したという。重さよりもコストを重視した形だ。
  この段間部には従来、搭載衛星のロゴがデザインされていたが、金属製への変更により、表面は梁でデコボコに。この場所に何かを描くのは難しくなったため、デザインはフェアリングに集約された。
  このデザインについて、JAXAの岡田匡史プロジェクトマネージャは、「H3は無駄なものを省いた設計になっている。それを表現するデザインもシンプルなものにした」と述べる。なお従来は、フェアリングは左右側に分離していたが、H3は90°変えて前後側に分離する。機能的にはどちらでも構わないそうで、この変更もデザイン的な理由とのこと。
  もう1つ、デザイン的に目を引くのは、第1段の中央に描かれる国名の表記が「NIPPON」から「JAPAN」に変わったことだ。これは、H3ではより強くグローバルサービスをイメージするために、海外で通りが良い英語表記にしたという。
  そのほか非常に細かい点であるが、筆者が注目したいのはブースタの取り付け方式。従来は、ブースタ1本あたり、2本のスラストストラットで第1段を持ち上げていたが、H3では1本のスラストピンで推力を伝えるシンプルな方式になっている。

  またH3では移動発射台(ML)での支持方式も変わる。H3はH-IIBよりさらに高くなるため、既存の整備組立棟(VAB)に格納するには、機体をMLにめり込ませる形で搭載する必要があった。MLの穴の側面には可動式の支持アームが4か所あり、ここで機体を固定。離床直後には引っ込む仕組みだ。
  今後、H3ロケットの開発の場は種子島に移る。まず注目したいのが、この3月にも実施する予定の極低温点検だ。この試験では、初めて射点に立つH3ロケットが見られるはず。分離放擲試験で使用したロングタイプの黒いフェアリングを搭載するという、かなりレアな姿が拝めるはずなので、楽しみにしておこう。

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
※新型コロナウイルス感染症についての最新情報は、 厚生労働省 内閣官房 首相官邸 のウェブサイトなど公的機関で発表されている情報も合わせてご確認ください。



2020.12.06-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/life/news/201206/lif2012060025-n1.html
「長い苦労報われた」 はやぶさ2チーム 着陸に安堵

  「やった!」。6日午前2時半過ぎ、相模原市の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の管制室に喜びの声が響いた。小惑星探査機「はやぶさ2」から分離された試料カプセルが大気圏突入を無事に切り抜け、位置を伝える電波を発信していることが分かった瞬間だった。

  電波を発信できたことの意味は、着陸位置が探しやすくなるだけではない。発信とセットになっているパラシュートを開く動作が成功し、オーストラリア南部の砂漠に向けて予定通り、緩やかに降下している証拠でもあった。
  緊張した表情でモニター画面を見つめていた管制室のメンバーに、弾けるような明るい笑顔が広がり、拍手が渦巻いた。
  午前3時過ぎには、カプセルからの電波が途絶えたことが伝えられた。カプセルの位置が、地上に設置された高さ2~3メートルのアンテナよりも低くなったことを示す現象だ。責任者の津田雄一プロジェクトマネージャは「電波が途絶えたことは、着陸を意味している。本当によかった」と、ほっとした表情を浮かべた。
  その後、オーストラリアのカプセル回収チームから、電波の分析によって着陸位置がほぼ推定できたとの連絡が入った。JAXAの久保田孝教授は「全てが順調に進んで感動した。長い苦労が報われた」と、喜びを語った。
  JAXAは午前5時ごろに、着陸したカプセルをヘリコプターで発見したとツイッターで報告。メンバーは「最大の山場を無事に乗り越えられた。試料の分析結果がとても楽しみだ」と話した。


2020.11.29-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201129/k10012736931000.html
「データ中継衛星」搭載のH2Aロケット43号機打ち上げ成功

  地球を観測した人工衛星データや画像を高速通信で地上に中継することができる「データ中継衛星」を搭載したH2Aロケットの43号機が29日午後4時すぎに鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、打ち上げは成功しました。
  鹿児島県にある種子島宇宙センターでは「データ中継衛星」を搭載したH2Aロケット43号機が午後4時25分に打ち上げられました。
  ロケットはメインエンジンと補助エンジンに点火して上昇をはじめ、上空で補助エンジンや1段目などを切り離しながら飛行を続けました。
  ロケットは打ち上げからおよそ30分後、高度およそ300キロで予定どおり「データ中継衛星」を分離し、打ち上げは成功しました。
  この「データ中継衛星」は、地球を観測した人工衛星のデータや画像を高速通信で地上の基地局に中継するほか、内閣衛星情報センターの情報収集衛星のデータも中継します。
  「データ中継衛星」は今後、衛星のエンジンを使って赤道上空およそ3万6000キロの静止衛星の軌道に入る計画です。
  「データ中継衛星」を使うと衛星が観測したデータを送ることができる時間が9倍になり、1日に平均およそ9時間送信することができるようになります。
  H2Aロケットは、打ち上げ能力を強化したH2Bロケットも含めると、2005年の7号機以来、46回連続で打ち上げに成功していて、通算では52回の打ち上げで51回成功となり、成功率は98%と世界最高の水準です。
菅首相「安全保障 危機管理に万全期す」
  菅総理大臣は「H2Aロケットの43号機が打ち上げられ、搭載していた『データ中継衛星』は所定の軌道に投入された。政府としては、この『データ中継衛星』を含む情報収集衛星を最大限活用し、今後ともわが国の安全保障および危機管理に万全を期す所存だ」というコメントを発表しました。
井上科学技術相「頼もしく思う」
  宇宙政策を担当する、井上科学技術担当大臣は、「わが国の宇宙活動を支える基幹ロケットの民間打ち上げサービスが順調に進められていることを頼もしく思う。今回の打ち上げ成功により、宇宙基本計画の大きな柱である安全保障や基盤技術の強化が着実に推進されるものと考えている」という談話を発表しました。


2020.10.21-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20201021/k00/00m/040/009000c
「米国版はやぶさ」が小惑星に着陸、試料採取に成功か

  「米国版はやぶさ」と称される米航空宇宙局(NASA)の探査機オシリス・レックスが20日午後(日本時間21日午前)、小惑星ベンヌに着陸した。チームは「すべて計画通りに進んだ」と発表し、岩石の採取に成功したとみられる。目標の60グラム以上、入手できたかどうかは後日、判明する。こうした試料(サンプル)を地球に持ち帰るため小惑星に着陸した探査機は、日本の「はやぶさ」「はやぶさ2」に続き世界で3機目となる。
  日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)はオシリス・レックスとはやぶさ2の試料を交換する協定を結んでおり、米国から採取試料の分配を受ける予定。JAXAは宇宙科学研究所(相模原市)内にクリーンチャンバーと呼ばれる専用の分析装置を整備し、宇宙の物質分析に関わる人材の育成にも着手する。探査機「はやぶさ」「はやぶさ2」で確立した、天体から試料を地球に持ち帰る探査手法「サンプルリターン」を日本の「お家芸」に育て、将来も継続する狙いがある。
  また日米の探査機が採取した小惑星の試料を日米が協力して比較、分析することで、太陽系の成り立ちに、より多角的に迫れると期待されている。
  ベンヌはそろばんの玉のような形をした直径約500メートルの小惑星で現在、地球から3億キロ以上離れている。探査機は2016年9月に打ち上げられ、18年12月にベンヌ上空に到着、着陸のための観測などを続けていた。

  今回オシリス・レックスは上空からベンヌに徐々に近づき、アーム状の装置を接地させて窒素ガスを地表面に吹き付け、舞い上がった砂粒や小石の採取に挑んだ。20日午後6時過ぎ、着地して上昇に転じたデータをNASAに送ってきた。はやぶさ2の津田雄一・プロジェクトマネジャーは「大胆に、整然と、素晴らしい運用でした。着陸時の映像が楽しみです」とコメントした。
  はやぶさ2は昨年、小惑星リュウグウの着陸に2回成功したが、ベンヌもリュウグウと同様に、表面は想定以上に大きな岩だらけだった。探査機による観測データの分析から今回、NASAは事前にベンヌ北半球の「ナイチンゲール」と名付けられたクレーターを着陸地点に選んでいた。
3年9月に地球に帰還へ
  オシリス・レックスは順調なら23年9月に地球に帰還する。先立つ今年12月には、はやぶさ2がリュウグウで採取した試料入りのカプセルを地球に届け、JAXAがオーストラリアの砂漠地帯で回収する予定だ。
  日米の探査機が持ち帰る試料が十分な量なら、JAXAはNASAにリュウグウの試料の10%(0・01グラム以上)を提供し、ベンヌの試料の0・5%(0・3グラム以上)を受け取る。

  JAXA宇宙科学研究所の国中均所長は「手つかずの塊をもらえる予定で、うまく我々で取り扱えば、はやぶさ2の試料と詳細な比較ができる。それぞれが独立して解析し、結果が一致すれば科学的信ぴょう性も価値も上がる」と日米の試料を比較する意義を説明する。
  宇宙研は来年度以降、主に大学からベンヌなどの試料分析に携わる若手研究者を受け入れる。日本は、はやぶさ2に続く探査として、火星の衛星フォボスから試料を持ち帰る計画「MMX」探査機の打ち上げを24年に予定している。専門家の育成で科学的成果の最大化と、MMX以降の新たな探査戦略につなげる方針だ。
  米国も今夏、火星に向けて探査車「パーシビアランス」を打ち上げた。火星表面の試料を採取しておき、早ければ31年に後継のミッションが地球に持ち帰る計画だ。国中所長は「ぜひとも、火星表面サンプルも手に入れたい」と話し、火星探査でも日米の試料比較で全体像を明らかにしたい考えを示す。
  内閣府宇宙開発戦略推進事務局の幹部は「一つ一つの宇宙探査が高額化していて、今後は各国が分担する国際的なミッションが増えていく。その意味でも、サンプルリターンを確固たるものにして、日本が世界で主導的な位置に立つことが重要だ」と今後を見据える。【池田知広】


2020.8.3-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200803/k10012547541000.html
米 「クルードラゴン」地球に帰還 有人宇宙船運用正式に再開へ

  宇宙飛行士を乗せたアメリカの宇宙船「クルードラゴン」が、日本時間の3日、地球に無事、帰還しました。これにより、スペースシャトルの退役以来途絶えていたアメリカの有人宇宙船の運用が正式に再開されることになります。
  アメリカの民間企業スペースXが開発した宇宙船「クルードラゴン」は、ことし5月、2人の宇宙飛行士を乗せて打ち上げられ、その後、国際宇宙ステーションにドッキングし、民間企業として初めて国際宇宙ステーションに宇宙飛行士を送り届けることに成功しました。
  2人の宇宙飛行士はおよそ2か月間滞在し、再び2人を乗せた「クルードラゴン」は、日本時間の3日午前3時48分、フロリダ州沖のメキシコ湾の海上に着水しました。
  アメリカの有人宇宙飛行はスペースシャトルの退役以来、9年ぶりで、最終試験として行われた今回の打ち上げや地球への帰還の成功により、アメリカの有人宇宙船の運用が正式に再開されることになります。
  宇宙船が無事帰還したことについて、トランプ大統領はツイッターに「とても興奮している」と投稿しました。
  NASAとスペースXは、日本人宇宙飛行士の野口聡一さんら4人が乗り込む「クルードラゴン」を、運用段階の1号機として来月下旬以降、打ち上げる予定です。
  アメリカでは、航空機大手「ボーイング」が開発する有人宇宙船「スターライナー」もことし中に試験飛行を行う予定で、今後、民間企業による宇宙飛行が本格化するものとみられます。
野口聡一さん「臨戦態勢に入った」
  運用段階の1号機に搭乗する日本人宇宙飛行士の野口聡一さんはNHKの取材に対して、「事前の懸念をすべてクリアした完璧なミッションだった。自分たちのミッションに向けカプセルや宇宙服の確認を進めるなど、臨戦態勢に入った。新型コロナウイルスや豪雨など厳しい状況がある中で、未来に希望を抱いてもらえるような飛行にしたい」と意気込みを語りました。
 また、民間の宇宙船が運用段階に入ることについて、「民間企業が切り開く宇宙開発に、NASAが顧客として参加するという大きなパラダイムシフトがおきている。宇宙飛行の価格が下がるほか安全性が高まることも期待でき、今後、さまざまなプレーヤーが宇宙開発に参加することになると思う」と指摘しました。


2020.7.20-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200720/k10012523901000.html
H2Aロケット打ち上げ成功 UAEの火星探査機を分離

  中東のUAE=アラブ首長国連邦の火星探査機を搭載したH2Aロケットが、20日午前7時前に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、探査機は予定どおり分離されて打ち上げは成功しました。
  H2Aロケットの42号機は、UAEが開発した火星探査機「HOPE」を載せて、20日午前6時58分に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられました
  ロケットは補助ロケットや1段目などを切り離しながら上昇を続け、打ち上げからおよそ1時間後の午前8時前に高度430キロ余りで探査機を予定どおり切り離し、打ち上げは成功しました。
  搭載されたUAEの探査機は、太陽電池パネルを広げると全長およそ8メートル、重さは1.5トンほどあり、UAEの建国50年にあたる来年、火星を回る軌道に入って火星の大気の観測などを行う計画です。
  UAEから4年前に打ち上げを受注して準備を進めてきたもので、三菱重工業が海外から受注した人工衛星をH2Aロケットで打ち上げるのは今回で4回目でした。
  H2Aロケットは打ち上げ能力を増強したH2Bロケットも含めると、2005年以来、45回連続で打ち上げに成功したことになり、打ち上げの成功率は98%と世界でも最高水準を維持していて、三菱重工業は受注競争が激しくなっている人工衛星の打ち上げビジネスを拡大させたい考えです。
UAEの宇宙センター 多くの職員見守る
  日本のH2Aロケットで打ち上げられた火星探査機を開発した中東のUAE=アラブ首長国連邦のドバイ郊外にある宇宙センターでは、多くの職員が打ち上げの様子を見守りました。
  日本時間の20日朝、打ち上げられたH2Aロケットの42号機に搭載された火星探査機「HOPE」は、UAEのドバイ郊外にある「ムハンマド・ビン・ラーシド宇宙センター」がアメリカの大学の協力を得て開発したものです。
  日本時間の午前7時前、現地時間の午前2時前に鹿児島県の種子島宇宙センターからロケットが打ち上げられると、職員らは生中継の映像を食い入るようにみつめていました。
  その後、日本時間の午前8時10分ごろに探査機から最初の信号を受信したことを確認すると職員らは拍手し、安心した表情を浮かべていました。
  今回のプロジェクトに参加した女性技術者のヘッサ・アリさんは「ことばで表わせないほどうれしいです。『希望』という探査機の名前が示すとおり、不可能なことはないということを示すプロジェクトになると思う」と話していました。
  UAEの探査機は今後、7か月ほどかけて、火星を回る軌道に到着し、大気の観測を行う予定です。
  来年、建国50年を迎えるUAEとしては宇宙開発を進めることで先端技術を獲得するとともにアラブ諸国で初めて火星探査を成功させることで国威の発揚を目指していると見られます。


2020.5.9-Sankei Biz-https://www.sankeibiz.jp/business/news/200509/cpc2005091410001-n1.htm
「金星の嵐」謎を解明 探査機あかつき

  宇宙航空研究開発機構(JAXA)の金星探査機「あかつき」の観測で、金星の大気上層部を高速で周回する嵐の詳しい仕組みが明らかになった昼夜の温度差によって生まれる熱の波が高速化を推進しているという。米科学誌サイエンスに論文が掲載された。
  金星の自転周期は地球換算で約243日とゆっくりしているが、高度50~70キロにある雲の層では、その約60倍の速さに当たる約4日で1周する高速の風が西向きに吹いている。この嵐は「スーパーローテーション」(超回転)と呼ばれ、速度が維持される仕組みなどが大きな謎となっていた。
  北海道大などのチームは、あかつきに搭載した紫外線カメラで撮影した金星の雲の様子を解析。赤外線カメラによる温度データも合わせてメカニズムを推定した。
   その結果、太陽の放射熱による昼夜の温度差で生じる大気運動が勢いを生み、赤道付近で最速となるスーパーローテーションの速度維持に重要な役割を果たしていることが判明した。
   あかつきは2010年に打ち上げられたが、軌道投入に失敗。5年後に再挑戦して成功し、観測を続けている。


2020.5.8-Yahoo!!ニュース(KYODO共同新聞)-https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200508-00000005-kyodonews-soci
りゅうぐう、かつて太陽近く周回 探査機はやぶさ2の観測で判明

  宇宙航空研究開発機構(JAXA)などのチームは、小惑星りゅうぐうが過去の一時期、現在よりも太陽に近い軌道を回っていたとみられることが探査機はやぶさ2の観測で判明したと8日付の米科学誌サイエンス電子版に発表した。
  表面の岩石や土は800万~30万年前ごろに強い太陽光を浴び、変性したとみられる。りゅうぐうは現在は地球と火星の軌道の近くで太陽の周りを周回しているが、この期間はもっと太陽の近くを回っていたらしい。地球より近くを回っていた可能性もあるという。
  チームの諸田智克・東大准教授は「(より大きな)惑星の重力の影響で軌道が変わった可能性がある」と話している。



2019.11.13-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191113/k10012175411000.html
「はやぶさ2」小惑星を出発 地球への帰還目指す

小惑星への2度の着陸に成功した日本の探査機「はやぶさ2」は、13日午前10時すぎ、地球への帰還を目指してエンジンを噴射し、小惑星「リュウグウ」を出発しました。
  日本の探査機「はやぶさ2」は、3年半かけて小惑星「リュウグウ」に到着し、岩石の破片を採取するため2度の着陸に成功するなど、およそ1年半にわたる探査を終えました。
  JAXA=宇宙航空研究開発機構は、「はやぶさ2」に対して、帰還のために姿勢を制御するエンジンを噴射する信号を送り、13日午前10時すぎに無事に噴射して「リュウグウ」を出発したことを確認しました。b
  「はやぶさ2」は今後、姿勢を変更するなどしたあと、今月20日からおよそ2週間、メインエンジンであるイオンエンジンの試験運転を行い、来月3日以降にイオンエンジンを本格的に噴射して地球に向かう計画です。
  また、「はやぶさ2」は、「お別れ観測」として搭載しているカメラで離れていく「リュウグウ」の撮影を行いました。
  「はやぶさ2」は、来年11月から12月に「リュウグウ」の岩石の破片が入ったとみられるカプセルを分離して、オーストラリアの砂漠地帯に落下させる計画で、その後、国内の研究者などが岩石の破片を詳しく分析することになっています。
  JAXAは、「お別れ観測」として「はやぶさ2」が出発した10分後の午前10時15分に撮影した「リュウグウ」の画像を公開しました。
  画像は、およそ20キロの距離から撮影していて、「こまのような形」とも言われた「リュウグウ」の特徴的な形が、暗闇の宇宙の中で浮かび上がっています。

出発確認時の管制室の画像も公開
JAXAは、「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」を出発したことを確認した時の管制室の画像を公開しました。
  13日午前10時20分ごろ、「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」を出発したことを示すデータをモニターで確認すると、関係者がそろって立ち上がって笑顔で拍手をしている様子が映し出されています。

プロジェクトの関係者は
JAXAの津田雄一プロジェクトマネージャは「時を忘れるほど夢中なひとときをくれた、リュウグウをついに出発します。おかげでよい年をとることができました。『はやぶさ2』は進路一路地球を目指します」とコメントしました。
  また、JAXAの吉川真ミッションマネージャは「リュウグウが見えてきてからの1年半、感動の連続でした。すべてに感謝しつつ地球への帰還という最後のミッションに挑みます」とコメントしました。


スペースX
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(英: Space Exploration Technologies Corp.)、通称スペースX(SpaceX)は、ロケット・宇宙船の開発・打ち上げといった宇宙輸送(商業軌道輸送サービス)を業務とする、アメリカ合衆国の企業。2002年に決済サービスベンチャー企業PayPalの創設者、イーロン・マスクにより設立された。スペースXは2000年代に多数創設された民間宇宙ベンチャーの一社であるが、新興企業にも関わらず、低コストのロケットで商業衛星市場で大きなシェアを獲得している。
打ち上げロケットファルコン9ファルコンヘビー、ならびにファルコン9で打ち上げるドラゴン宇宙船を開発している。スペースXは、費用と品質を管理するために、大部分のコンポーネントを自社で開発しており、その中にはマーリンケストレルドラコといったファルコンロケットで使われているロケットエンジンとドラゴン宇宙船が含まれる。拠点はカリフォルニア州ホーソーンに所在し、この拠点には本社機能と組立工場に加えてロケット発射時とミッション中の管制を行うコントロールセンターも備えている。完成した機体は工場から射場までをトレーラーに乗せられてトラックで引かれて道路を移動する
概要
2002年イーロン・マスクによりカリフォルニア州エルセグンドで設立される。
2006年にNASAは、国際宇宙ステーション (ISS) 物資補給のための打上げ機の設計とデモ飛行を行う商業軌道輸送サービス (COTS) を同社と契約した。2010年12月9日にCOTSデモ飛行1ミッションの打上げを行い、同社は民間企業としては世界で初めて軌道に乗った宇宙機の回収に成功した。 またNASAは、有人型のドラゴン宇宙船の開発とデモ飛行を行う宇宙飛行士の商業乗員輸送開発 (CCDev) プログラムとして同社と契約した。同社は、ファルコン9ロケットと有人型ドラゴン宇宙船を2017年には初飛行させる予定である。
2012年にドラゴンをISSに民間機として初のドッキングを成功させ、補給物資や実験装置を送り届けた。また2015年には、ファルコン9の第1段により、世界初となる衛星打ち上げロケットの垂直着陸を達成した
2016年には、これまでユナイテッド・ローンチ・アライアンス社の独占状態にあった米軍事衛星の打ち上げ市場への初参入も果たしている。
スペースXは民間による火星探査移民構想も掲げており、2016年にはそのための輸送システムであるインタープラネタリー・トランスポート・システム(後のBFR)を発表するとともに、早ければ2020年代にも飛行を開始するとの目標を明らかにしている


2019.9.29-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/life/news/190929/lif1909290035-n1.html
前沢氏の月旅行に…宇宙船の試作機公開 米スペースX

米宇宙ベンチャーのスペースXは28日、開発中の次世代宇宙船「スターシップ」試作機を南部テキサス州の施設で公開した。スターシップは完成後、インターネット衣料品通販大手ZOZO(ゾゾ)前社長、前沢友作氏の月旅行に使われる見込み。
 スペースXのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、早ければ来年にも初めて人を乗せて飛行させたいとした。前沢氏が開発資金を援助しているという。
 スターシップは長さ50メートル、直径9メートル。開発中のロケット「スーパーヘビー」に搭載して打ち上げる。スターシップもスーパーヘビーも再利用が可能で、将来は100人を乗せて月や火星などに飛行することを目指す。 同社は2カ月以内に、試作機を使って高度約20キロへの打ち上げと着陸の試験を実施するという。(共同)


2019.9.18-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/life/news/180918/lif1809180008-n1.html
米「スペースX」月旅行 前沢友作氏が契約 初の民間人旅行者に

【ロサンゼルス=住井亨介】米宇宙ベンチャーのスペースX社は17日、月を周回して戻ってくる旅行計画について、衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイの前沢友作社長(42)と契約したことを明らかにした。月面には降りないが、実現すれば民間人としては初めての月旅行になる見込み。 同社が開発を進めている大型ロケット「ビッグ・ファルコン・ロケット(BFR)」に搭乗し、地球と月を往復する。
 火星への有人飛行を目指す同社は今年2月、別の大型ロケットの試験機を打ち上げ、マスク氏所有のスポーツカーを火星への軌道に投入することに成功している。 米航空宇宙局(NASA)は1960~70年代にアポロ計画で月へ人を送ったが、計画が終了した72年を最後に人類は月へ行っていない。


2019.8.25-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/life/news/190925/lif1909250004-n1.html
物資補給機こうのとり、打ち上げ成功

国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶ補給機「こうのとり」8号機を載せたH2Bロケット8号機が25日午前1時5分5秒、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられた。こうのとりは予定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。順調にいけば28日夜、ISSに到着する。
 飛行士の飲料水や食料のほか、重力が生物に与える影響を調べる実験装置や、宇宙の全方位を一度に撮影できるカメラなど計約5・3トンを搭載した。エジプトなどが開発に関わった超小型衛星3基や、ISSの主電源となる日本製リチウムイオン電池のバッテリー6個も載せた。
 H2Bは主力機のH2Aを強化した国産最大のロケットで、8回連続の成功。打ち上げは当初11日の予定だったが、発射台の火災などで2度延期された。


2019.9.11-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49660750R10C19A9000000/
H2Bロケット打ち上げ中止 発射台付近で火災
再打ち上げ「1~2日では難しい」


三菱重工業は11日、種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げを予定していた基幹ロケット「H2B」8号機の打ち上げを中止すると発表した。午前6時33分に打ち上げを予定していたが、午前3時5分ごろにロケット下部の発射台付近で火災が発生したためだ。三菱重工は同日朝に記者会見し、「今の時点で1~2日で再打ち上げするのは難しい」との見通しを明らかにした。

三菱重工によると、午前3時5分ごろ、移動発射台のエンジンの噴射を外に逃がす開口部付近から火災が発生し、2時間近く燃えた。同部品は鋼鉄製で耐熱材に覆われていた。原因はわかっていないという。
H2Bはこれまで天候不順による延期はあったが、過去全7回で打ち上げに成功してきた。H2Bとしては延期を除き、初の重大トラブルとなる。三菱重工の打上執行責任者の田村篤俊氏は「7号機でも部品の不具合などはあったが、知っている限りこうした事例はない。重大な責任を感じている」と述べた。今後は三菱重工と宇宙航空研究開発機構(JAXA)が原因を調査する。究明には時間がかかる可能性がある。
今回の打ち上げは2018年11月に「宇宙活動法」が施行され、許認可制で民主導でロケットを打ち上げる枠組みができてからの初のH2B打ち上げだった。執行責任は三菱重工に移管されていた。
H2BはH2Aの約2倍の約8トンの衛星打ち上げ能力を誇る日本最大のロケット。国際宇宙ステーション(ISS)へ食料や実験装置などの物資を運ぶため、JAXAの無人補給機「こうのとり」8号機を載せていた。ISSの食料などの物資については、JAXAの担当者は「十分な備蓄があるので当面は問題ない」と説明している。


2019.8.25-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://special.sankei.com/f/life/article/20190825/0001.html
第8部 宇宙の攻防(5) 宇宙の未来読み解く鍵
-この連載は小野晋史、草下健夫、長内洋介、西見由章、黒瀬悦成、田中靖人、松村信仁、グラフィックは田中杏奈が担当しました。-

宇宙はどのように生まれ、未来はどうなる。この究極の問いに挑む研究が、重要な局面を迎えている。「暗黒物質」などの謎の解明に向けて世界がしのぎを削る中で、科学力の低下が叫ばれる日本は存在感を発揮できるのか。 標高5千メートルを超える南米チリのアタカマ高地で昨年末、日米欧などが開発した観測装置「ポーラーベア2」が動き出した。誕生直後の宇宙から届く「原始重力波」と呼ばれる時空のゆらぎを捉える望遠鏡だ。
 宇宙は138億年前の誕生直後、原子核ほどの大きさしかない極微の空間が、一瞬で太陽系並みのサイズに拡大する、とてつもない急膨張が起き、その後にビッグバンが起きた。東京大の佐藤勝彦名誉教授らが提唱した「インフレーション理論」に基づく仮説だ。 この急膨張で生じた原始重力波の痕跡を見つければ、理論を証明するノーベル賞級の大発見になる。ビッグバン前夜の宇宙を読み解く鍵を求めて、各国のチームが激しく競い合う。

 日本は地上より観測に有利な宇宙空間でも発見に挑む。高エネルギー加速器研究機構などは観測衛星「ライトバード」を2027年度に打ち上げる計画だ。羽澄(はずみ)昌史教授(素粒子宇宙物理学)は「20年代に打ち上げられる原始重力波の観測衛星は世界中でこれだけ。検出競争で日本は良い位置にいる」と自信をみせる。
 宇宙を構成する物質のうち、私たちが知っているのはわずか5%にすぎない。残りは27%が暗黒物質、68%は暗黒エネルギーが占めると推測されており、いずれも正体は不明だ。

 「ダークマター」とも呼ばれる暗黒物質は、銀河の形成など宇宙の進化に重要な役割を果たしたとされる。その解明に向け各国が一番乗りを競っている。 欧州チームはイタリア中部のグランサッソの地下に最新の観測装置を年内にも完成させる。空気中にわずかに存在するキセノンで満たされており、宇宙から飛来した暗黒物質が衝突すると、かすかな光を生じる。その検出を目指すのだ。結果は5年後にも出る。 「暗黒物質は重さも衝突の頻度も予言できない。発見できれば非常にエキサイティングだ」。計画に参加する東大宇宙線研究所の森山茂栄教授(宇宙素粒子物理学)は期待を寄せる。
 一方、中国は欧州チームの中心メンバーを引き抜くなどして、観測装置「パンダX」で発見を目指す。近く実験を始めるとみられ、基礎科学でも日米欧を急速に追い上げる。
 宇宙の未来を知るには、究極の謎である暗黒エネルギーの解明が欠かせない。暗黒物質は、その重力によって物質を互いに近づける働きを持つ。対する暗黒エネルギーは、互いに遠ざけようとする正反対の力だ。ビッグバン後の宇宙膨張の原動力となってきた。
 暗黒エネルギーの力が暗黒物質より弱ければ、宇宙はいずれ膨張が止まり、収縮に転じる。逆に強ければ永遠に膨張が続く。暗黒エネルギーの性質が、宇宙の将来を左右するわけだ。
 これを探究する装置を東大カブリ数物連携宇宙研究機構が開発し、米ハワイにある国立天文台の「すばる望遠鏡」に22年に設置する。約2400個の天体を同時観測し、それぞれが放つ光の波長をもとに地球からの距離を算出。遠くの天体ほど過去の姿にさかのぼれることから、時間とともに暗黒エネルギーの性質が変わるのかを調べる。 同機構の田村直之特任准教授(観測天文学)は「性質が変化していたら、暗黒エネルギーの正体として何が考えられるのか、新しい議論が始まる」と意気込む。
 千葉県柏市にある東大カブリ研究機構。毎日午後3時にティータイムが開かれる。約80人の研究者は吹き抜けのホールに集まり、お菓子を食べながら談笑を始める。 大半は外国人で会話も英語。ときおり黒板に計算式を書きながら議論する。国の垣根を越えた交流と自由な空気が、新たな着想を生む。ドイツから来たカイ・シュミッツさんは「何げない話からしっかりした議論に広がっていく」と話す。
 大栗博司機構長は「海外から研究者を招くには日本発の魅力的な研究が必要だ。海外の人材が日本での成果でノーベル賞を受賞するようになってほしい」と期待を込める。
 優秀な人材を国外に流出させるのではなく、海外から集めて次の扉を開いていく。人口減少が続く日本が科学技術立国として新時代を生き抜くには、もはや欠かせない条件だ。

 この連載は小野晋史、草下健夫、長内洋介、西見由章、黒瀬悦成、田中靖人、松村信仁、グラフィックは田中杏奈が担当しました。


2019.8.21-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://special.sankei.com/f/life/article/20190821/0001.html
第8部 宇宙の攻防(3) 地球外生命「発見近い」

広大な宇宙で生命を育むのは地球だけなのか。この根源的な疑問に答えを出そうと、世界の科学者たちが挑んでいる。科学と技術の進歩により生命の新たな世界が見えてくる。 「地球外生命の発見前夜というべき新時代を、今まさに迎えているのです」
 東京工業大の実験室(東京都目黒区)。木星の周りを回る衛星エウロパの環境を再現した装置を前に、関根康人教授はこう語った。 エウロパでは、氷で覆われた地表から水が噴出しており、地下に海があることが近年の研究で判明し、脚光を浴びている。液体の水のほか有機物とエネルギーがあれば、生命が存在できる条件がそろうからだ。 宇宙での生命探しといえば、まず火星が思い浮かぶ。しかし、この約10年で木星や土星の衛星が生命を宿す可能性が浮上。地味な存在だった小さな衛星に科学者が熱い視線を注ぎ始めた。土星の衛星エンケラドスは生命の3条件を満たすことが既に確認されている。「あとは実際に生まれているかどうかだ」と関根氏は話す。

 こうした中、日本では地下に海があるとみられる木星の3衛星で、生命の手掛かりを探る「ジュース計画」が進行している。欧州と共同で3年後に探査機を打ち上げ、主に衛星ガニメデで、地表に噴出した海水に生命活動の可能性を示す成分があるか調べる。 この動きに対し、米国はエウロパの探査を決定。衛星を周回して詳しく調べる日欧と違って近くを横切るだけだが、大本命のエウロパだけに展開は読めない。太陽系の生命探しをめぐり日欧と米国が激しい競争を繰り広げることになった。
 米国は今年6月、初期の地球に似ているとされる土星の衛星タイタンの探査も決めている。かつては空想するしかなかった地球外生命の存在。惑星科学と探査技術の進歩で解明に手が届きかけている。10年後に火星、20年後に木星などの衛星から物質を持ち帰ることができれば、直接の証拠をつかめるかもしれない。 生命探しは、はるか遠くの太陽系の外側まで及んでいる。太陽系外惑星は1995年以降、既に4千個以上が発見され、地球と同じ岩石を主成分とするタイプも多く見つかった。
 最大の関心は、生命を育む「第二の地球」が存在するかどうかだ。米国は昨年4月、太陽系外惑星の候補を探す人工衛星「テス」を打ち上げた。日本などが地上の望遠鏡で本当に惑星かどうかを判定し、2年後に打ち上げる米国の宇宙望遠鏡などで大気中のガス成分を分析する。
 恒星からほどよい距離にあり、液体の水が存在できる温度の惑星で、生物が作り出す酸素やメタンなどのガスが見つかれば、生命が存在する可能性が高い。 テスの科学担当で、米マサチューセッツ工科大教授のサラ・シーガー氏は「希望的に言えば、生命を養える惑星が十数個見つかるだろう」と期待を込める。
 計画提案者の一人で、自然科学研究機構アストロバイオロジーセンターの成田憲保特任准教授は「太陽系外は探査機が行けないため生命を直接確認できないが、生命が作りだす大気成分を人類の手で早く見つけたい」と意気込む。

  宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究棟(相模原市)では、厳重に管理されたクリーンルームで国際宇宙ステーション(ISS)から届いた実験試料の分析準備が行われている。宇宙空間で採取したちりに、微生物や生命のもとになる有機物が含まれているかを調べる「たんぽぽ計画」だ。
 生命はタンポポの綿毛のように宇宙空間をふわふわと漂い、惑星間を移動している-。ノーベル賞を受賞したスウェーデンの科学者、スバンテ・アレニウスが100年以上前に提唱した「パンスペルミア仮説」。その検証が計画の目的だ。 「もし地球の微生物が宇宙で確認できたら、生命は星の間を移動してもおかしくない。宇宙のどこかに生命が存在する可能性が高まることにもなる」。計画を統括する東京薬科大の山岸明彦名誉教授は指摘する。
 多くの科学者は生命は地球だけの存在ではなく、宇宙に普遍的に存在する可能性が高いと考えてきた。証拠探しの旅は、いよいよ山場へ向かう。来年には小惑星探査機「はやぶさ2」も生命の起源に迫る岩石を地球に持ち帰る。人類の生命観は大きく転換するかもしれない。


2019.8.20-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankeibiz.jp/business/news/190717/cpc1907170500001-n2.htm
「宇宙ブーム」再び到来も “大国”の無残な凋落 
(1)
ロシアの宇宙船「ソユーズ」による日本人宇宙飛行士の打ち上げや帰還を取材するため、モスクワ郊外の「飛行管制センター」には幾度も足を運んだ。近代的な建物を想像されるかもしれないが、実際には、ソ連時代にタイムスリップしたような、レトロ感たっぷりの低層施設である。(遠藤良介)

オペレーション・ルームの大部屋には飛行経路などを映す大画面があるが、かなり旧式だ。暗い廊下を挟んでずらりと執務室が並んでいる内部構造は、ソ連の役所そのものである。ロシアでは一般的なことだが、飛行管制センターでも、トイレの洋式便器に便座は付いていなかった。

米国の宇宙船「アポロ11号」が月に降りたってから20日で50年を迎える。当時の米国を月に駆り立てたのは、ソ連との熾烈な競争にほかならなかった。
 アポロ11号より10年以上も前の1957年、ソ連は世界初の人工衛星「スプートニク」を打ち上げ、61年にはガガーリンによる初の有人宇宙飛行を行った。冷戦下、宇宙開発で出遅れた米国が、国の威信をかけたのがアポロ計画だった。
 翻って今、再び「宇宙ブーム」が到来している。米国は5年以内に、月の周回軌道に新宇宙ステーションを建設する計画だ。新興勢力の台頭もめざましい。中国は今年1月、無人探査機を世界で初めて月面裏側に着陸させた。今月15日予定の発射は延期となったが、インドも月に無人探査機を送り込もうとしている。
(2)
  目立つのはロシアの凋落だ。米科学者団体の昨年11月末時点の集計によると、宇宙空間で稼働している人工衛星の数は、米国が849、中国が284で、ロシアは152と水をあけられている。日本は80余りだ。
  米スペースシャトルが2011年に退役し、地球と国際宇宙ステーション(ISS)を飛行士が往復する手段はソユーズだけとなった。ロシアはこのソ連時代の「遺産」で存在感を保ってきたが、独壇場は終わりに近い。米スペースX社は3月、有人型のドラゴン宇宙船を発射し、ISSとのドッキングや帰還を成功させた。米ボーイング社も有人宇宙船を開発中だ。

  安定感を誇ったソユーズだが、昨年8月には、ISSに接続したソユーズの穴が原因でISSの気圧低下が発生。地上作業での過失による穴だった。10月にはソユーズ発射直後に異常が生じ、米露の飛行士が緊急カプセルで脱出した。
 ロシアは12年から、将来の新型ロケット発射も見据え、極東で「ボストーチヌイ宇宙基地」を建設している。だが、給与未払いによる労働者のストライキが度重なり、100億ルーブル(約172億円)の不適切支出が発覚するなど醜聞続きだ。工期は大幅に遅れている。
 ロシアではソ連崩壊後の1990年代、国家資金が宇宙分野に回らず、人材が大量に流出した。その後も、国家機関と国営企業による非効率で不透明な宇宙事業運営が続き、現場の士気低下が著しい。2014年のクリミア併合以降は、ウクライナや欧米諸国との関係悪化でロケットや衛星の部品調達にも影響が出ている。
 米国同様に民間活力を導入し、国際協調路線に復帰せねば活路は開けない。専門家にはそんな意見が根強いが、プーチン露政権が耳を傾ける様子はない。(外信部編集委員兼論説委員)


2019.8.20-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://special.sankei.com/f/international/article/20190820/0001.html
第8部 宇宙の攻防(2) 月へ火星へ 大国の野望

「資源」と「領有」にらみ米中が覇権争い

 米国が月面に再び人を送り込む。アポロ計画で旧ソ連(ロシア)との競争を制してから半世紀。今度は第3の宇宙大国として台頭する中国とつばぜり合いが始まった。覇権争いの舞台は火星へ続く。
 「米国人が5年以内に月に着陸する」。今年3月、ペンス副大統領はこう宣言した。新計画の名称はギリシャ神話に登場する月の女神「アルテミス」。全知全能の神であるゼウスの娘で、アポロンの双子のきょうだいにあたる。月面の栄光を受け継ぎ「偉大な米国」を再現する決意がにじむ。
 米国は月を周回する基地を作り、ここから2028年に月面へ降りる予定だった。新計画はこれを4年も早めることになる。宇宙飛行士の大西卓哉さんは「正直驚いた。残された時間が短く、安全を担保できるのか心配だ」と話す。
 なぜ急ぐのか。再選を目指すトランプ大統領の実績作りだけではない。大きな影響を与えたのは「宇宙強国」への道をひた走る中国の存在だ。
 今年1月、中国の無人探査機「嫦娥(じょうが)4号」が月の裏側に世界で初めて着陸した。地球から電波が届かず直接交信できないため、技術的に難しかった裏側への着陸。それは将来の有人着陸への序章にすぎない。21世紀の月面をリードするのは中国だと世界に発信し、米国に衝撃を与えた。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)で国際部参事を務めた辻野照久氏は「最初に月に行った米国は、他国にはできないと安心して放っていた。だが熱心になった中国を意識し、恐れ始めた」とみる。
 米国は月の基地を国際協力で建設する方針で、日欧露などに参加を呼びかけている。一方、中国の張克倹・国家航天局長は4月の演説で「10年以内に有人月探査を行い、月面基地を建設したい」と表明。「アポロ後」の月面をめぐり、米中が主導権を争う構図が鮮明になった。
 米中に共通するのは月の南極を目指すことだ。南極には水が氷の状態で残っている。これを電気分解すれば、飛行士が呼吸するための酸素や、ロケット燃料の水素を作り出せるのだ。

 アポロ時代は月に行くこと自体が目的だったが、これからは暮らすことが求められる。資源が豊富な南極は最も魅力的な場所だ。
 インドも7月に打ち上げた無人探査機で月の南極に降りる。日本も21年度に無人着陸機「スリム」を打ち上げた後、インドと協力して南極を目指す。
 大阪大の渡辺浩崇特任准教授(宇宙政策)は、各国の着陸機が成功すると、今後10年間で、月の資源争奪や宇宙条約で禁止されている領有につながる可能性が高まるとみる。
 「国や企業が月の一部を占有すれば、現状ではほぼ自由に資源を獲得できてしまう。事実上の実効支配が行われる可能性があり、国際的なルールづくりの議論が急速に進むだろう」
 中国は03年にソ連、米国に続く有人宇宙飛行に成功し、22年には独自の宇宙ステーション完成を目指す。米露が主導する国際宇宙ステーション(ISS)は24年以降に運用を継続するか決まっておらず、中国が唯一のステーション保有国となれば、世界のパワーバランスに影響を与えかねない。米国は有人活動の空白期を避けるためにも、月への歩みを急ぐ必要がある。
 米国は月の基地を足がかりに、30年代に火星有人飛行を狙う。成功すればアポロ以上の偉業となる計画を中国は座視しないだろう。
 今年7月、中国・山東省で開かれたフォーラム。月面探査計画の首席科学者、欧陽自遠氏は来年に打ち上げる火星探査機の目的の一つとして、火星を長期間かけて改造し、人類を移住させる計画の研究を挙げた。
 「未来の地球は、おそらく居住に適さなくなる。人類の知恵と長期間の努力により、火星を紺碧(こんぺき)の空と緑の平原を持つ新世界に改造できる」
 「宇宙強国」を掲げる中国の野望はとどまるところを知らない。


2019.8.19-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://special.sankei.com/f/column/article/20190819/0001.html
第8部 宇宙の攻防(1) 米中戦争は宇宙から始まる

軍事情報を握る人工衛星を破壊せよ

宇宙が新たな戦場となりつつある。米国と中国の覇権争いが激化する中で人工衛星を攻撃し、陸海空の支配を狙う「宇宙戦争」が現実味を帯びてきた。はざまに立つ日本も対応を迫られる。宇宙が新たな戦場となりつつある。米国と中国の覇権争いが激化する中で人工衛星を攻撃し、陸海空の支配を狙う「宇宙戦争」が現実味を帯びてきた。はざまに立つ日本も対応を迫られる。
 地球を周回する中国の宇宙ステーションからレーザー砲が放たれ、米国の軍事衛星が次々と破壊される。通信網がまひし、機能不全に陥った米軍に「制宙権」を確保した中国軍が襲いかかる-。
 地球を周回する中国の宇宙ステーションからレーザー砲が放たれ、米国の軍事衛星が次々と破壊される。通信網がまひし、機能不全に陥った米軍に「制宙権」を確保した中国軍が襲いかかる-。

日米の防衛関係者らの間で話題になった米国の近未来小説「ゴースト・フリート」の開戦シーンだ。小説ではこの後、中国軍は米ハワイを占領し、日本は中立を宣言。在日米軍は撤退し、用済みとなった戦闘機「F35」が沖縄に残される。
 現実離れした描写もあるが、防衛省関係者は「宇宙から戦闘が始まった点は注目に値する。たかが小説とは言い切れない」。背景にあるのは、自国の人工衛星が突然攻撃される「宇宙の真珠湾攻撃(スペース・パールハーバー)」への危機感だ。この第一撃が、戦争の帰趨(きすう)を決めかねない。
 高度に情報化された現代戦は人工衛星が不可欠だ。軍事通信、衛星利用測位システム(GPS)を通じた部隊の移動や巡航ミサイル攻撃、弾道ミサイルの早期警戒や地上の偵察など、多くの場面で鍵を握る。これらがまひすると陸海空軍は最新装備を生かせず、最悪の場合は敗戦に至る。核兵器の使用を含む核戦略も、厳重に秘匿された通信衛星の回線に支えられている。
 だが、人工衛星は守りが脆弱(ぜいじゃく)だ。直径数センチの物体が衝突しただけでも機能を失う。防御用の重い装甲は、打ち上げに膨大なエネルギーが必要になるため装備できない事情がある。
 衛星の機能はサイバー攻撃でも妨害できるが、難度は高い。これに対してミサイルや別の衛星による体当たり、電波妨害、レーザー照射などの攻撃は比較的容易で有効とされ、米中露などは多様な衛星攻撃兵器(ASAT)の開発を進めている。

 トランプ米大統領は今年2月、陸海空軍や海兵隊などと並ぶ組織として「宇宙軍」を来年創設するため、大統領令に署名した。その前段階となる宇宙統合軍を年内に立ち上げる。背景にあるのは「宇宙強国」を掲げて急速に追い上げる中国への焦りだ。
 習近平国家主席は2015年、宇宙やサイバー、電磁波などの戦闘領域を担う「戦略支援部隊」を人民解放軍に創設した。米科学者団体などによると、中国の偵察衛星や測位衛星の数は既に米国を上回る。16年には、解読が不可能とされる量子暗号通信の本格的な実験衛星を世界に先駆けて打ち上げた。圧倒的とされた米国の軍事的優位性は宇宙空間で崩れつつあるのだ
 米国は中露を念頭に、宇宙における自国への攻撃を想定した対抗演習「スペースフラッグ」を17年から実施している。防衛省防衛研究所の福島康仁主任研究官(宇宙政策)は「宇宙を制することは、戦いの勝敗を決める重要な鍵だ。衛星への攻撃兵器は、国際社会にとって大きな脅威となり得る」と指摘する。

衛星狙う宇宙戦、体当たり攻撃も 装備は、法制度は…日本どう対応
 中国・北京。2015年9月、抗日戦争勝利70年の記念軍事パレードが各国の元首らを招いて天安門広場で行われた。注目を集めたのは迷彩色のミサイル「東風(DF)21D」。米空母を狙う兵器として知られるが、衛星攻撃ミサイルの元になったといわれる。 衛星を攻撃するミサイル技術は米国やロシア(旧ソ連)が冷戦期に確立。追い上げる中国は07年に衛星の破壊実験を行い技術力を実証した。その後も衛星を破壊しない形で発射実験を繰り返しており、米国防情報局(DIA)は今年2月に発表した報告書で「既に実戦配備している」とした。
 弾道ミサイルの発射を探知する早期警戒衛星は、高度3万6千キロの静止軌道を周回する。中国は13年、高度約3万キロに達するミサイルを発射しており、早期警戒衛星を攻撃できるミサイルの開発も時間の問題だ。米国の早期警戒衛星は、北朝鮮などの弾道ミサイルから日本を守るための要でもあり、大きな脅威となる。
 宇宙戦では他国の衛星に体当たりして攻撃する「キラー衛星」も威力を発揮する。中国は10年に地球近傍の低軌道で、16年には静止軌道で衛星同士の接近実験を行ったとされる。宇宙航空研究開発機構(JAXA)元国際部参事の辻野照久氏は「中国には非常時に国家総動員を行う体制があり、民間衛星による体当たりも想定される」と話す。
 「宇宙では、もはや米国が安全に作戦行動を実施する特権を行使できなくなった」。米宇宙統合軍の司令官に就くジェイ・レイモンド空軍大将は今年6月、上院軍事委員会の公聴会でこう強調した。

米国の宇宙軍は東西冷戦下の1985年、旧ソ連の弾道ミサイルを宇宙空間などで破壊する「戦略防衛構想」(SDI)を進めていたレーガン政権下に設立されたのが始まりだ。通称「スターウォーズ計画」と呼ばれたが、米中枢同時テロを受けた米軍組織の見直しで2002年に解体され、核戦略などを担う戦略軍に吸収された。
 復活を決めたのは中露が宇宙への軍事的進出を鮮明にしているためだ。レイモンド大将は「中露は米軍が宇宙で衛星に依存しきっていることに着目している」と述べ、宇宙空間が米軍のアキレス腱(けん)になりつつあるとの見方を示した。
 衛星への攻撃は、ミサイルやキラー衛星を使うと大量の破片が宇宙ごみとしてまき散らされ、自国や第三国の衛星にも脅威となりかねない。そこで電波を使った通信妨害などの攻撃が現実的ともいわれる。
 ロシアは14年に介入したウクライナ紛争で、通信妨害によってウクライナ軍の軍用通信を遮断し、自軍の優勢を確保した。米紙は昨年、中国が南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島に電波妨害の装置を配備したと報じた。もしも配備が事実なら、南シナ海での有事に米軍の通信が阻害される恐れは十分にある

 日本も遅ればせながら対応を本格化させた。昨年12月に決定した防衛計画の大綱では宇宙やサイバー、電磁波といった「新領域」での防衛力整備を強調。防衛省は「現代戦を遂行する上で、宇宙空間は死活的に重要だ」と明言する。
 日本が力を入れるのは衛星や宇宙ごみなどを地上から見張る宇宙状況監視(SSA)。日本の衛星に不審な物体が接近すれば、回避して被害を未然に防ぐ。現在はJAXAが行っているが、航空自衛隊も100人規模の専門部隊を発足させ、22年度に山口県でレーダーを稼働させる。衛星を攻撃するには軌道を正確に把握する必要があり、そのためにもSSAは不可欠だが、日本には衛星を攻撃する能力はほとんどない。

 宇宙での奇襲攻撃は地上と同様に国連憲章に違反するが、実際に起きる可能性は否定できない。自国の衛星が攻撃を受けた場合、米国は相手国のミサイル基地などを破壊する対抗措置が可能だが、日本は憲法9条や「武力行使の新3要件」などで宇宙は対象外とされており、経済制裁などの措置しかできない。 多数の衛星が破壊され、自衛隊が完全にまひした場合、日本はどうするのか。宇宙戦をにらんだ装備や法制度に向け、議論を深める必要が出てきた。
 慶応大宇宙法研究センター副所長の青木節子教授(国際法)は「宇宙での武力攻撃について、どんなときに自衛権発動の要件にし得るのかを整理しておくことが大事だ」と提言する。


2010.7.13-JAXA-http://www.jaxa.jp/projects/sas/hayabusa2/index_j.html
深宇宙探査技術の確立、そして新しい挑戦-2020年末頃に地球に帰還する予定

  「はやぶさ2」は「はやぶさ」で実証した技術を継承し発展させることでより確実なものに仕上げ、深宇宙往復探査技術を確立させて将来の探査技術の基盤を築いていくとともに、新たな技術にも挑戦します。
  「はやぶさ2」の本体の基本構造は「はやぶさ」とほぼ同じですが、いくつか変更する点があります。
例えば「はやぶさ」ではお椀型だったアンテナが「はやぶさ2」では平面アンテナになるなど、「はやぶさ」以降に進展した技術を導入します。また、「はやぶさ」に無かったものとして「衝突装置」で人工的にクレーターを形成する新たな機能の搭載を検討しています。
  人工的に作ることができるクレーターは直径が数メートル程度の小さいものと予想されていますが、衝突により露出した表面からサンプルを採取することで、宇宙風化や熱などの影響をあまり受けていない、新鮮な地下物質の調査が出来ると期待されています。
  「はやぶさ2」は2014年12月3日に種子島宇宙センターからH-IIAロケット26号機により打ち上げられました。C型小惑星「Ryugu」(リュウグウ)に到着するのは2018年半ばで、1年半ほど小惑星に滞在して2019年末頃に小惑星から出発、そして2020年末頃に地球に帰還する予定です。


2019.6.25-産経フオト-産経ニュース-https://www.sankei.com/photo/story/news/190625/sty1906250010-n1.html
2回目の着陸7月11日に はやぶさ2、地下物質採取

  宇宙航空研究開発機構(JAXA)は25日、探査機はやぶさ2による小惑星りゅうぐうへの2回目の着陸を、7月11日に行うと発表した。4月につくった人工クレーター付近に散乱した地下の岩石を採取することは科学的な意義が大きく、安全に着陸することも可能だと判断した。機体の安全を最優先にし、着陸せずに帰還する考え方もあったが、JAXAの津田雄一准教授は「着陸する技術力は十分にある。挑戦をしない選択肢はない」と話した。

  はやぶさ2は2月に最初の着陸を果たし、既に表面の岩石採取に成功したとみられる。しかし表面の岩石は宇宙線や太陽風などにさらされて風化していると考えられており、風化していない地下物質の採取も目指している。


はやぶさ2-wikipedia
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

はやぶさ2は、小惑星探査機はやぶさ」(第20号科学衛星MUSES-C)の後継機として宇宙航空研究開発機構 (JAXA) で開発された   小惑星探査機である。地球近傍小惑星 リュウグウ」への着陸およびサンプルリターンが計画されている。「はやぶさ2」という名称は探査機   を用いる小惑星探査プロジェクト名にも使われている。2014年12月3日種子島宇宙センター大型ロケット発射場からH-IIAロケット26号機で打ち上げられた
  世界で初めて小惑星の物質を持ち帰ることに成功した探査機「はやぶさ」の後継機で、初号機が小惑星往復に初めて挑んだ「実験機」だったのに対し、有機物や水のある小惑星を探査して生命誕生の謎を解明するという科学的成果を上げるための初の「実用機」として開発された
  基本設計は初代「はやぶさ」と同一だが、「はやぶさ」の運用を通じて明らかになった問題点を解決した改良機となっている。サンプル採取方式は「はやぶさ」と同じく「タッチダウン」方式であるが、事前に爆発によって衝突体を突入させて直径数メートルのクレーターを作ることによって深部の試料を採取できるようにする。採取した物質は耐熱カプセルに収納されて地球に回収される。着陸用小型ローバーの「ミネルバ2
   (2-1A, 2-1B, 2-2の計3基)、およびドイツとフランスが開発した小型着陸機「マスコット」も搭載されている。
はやぶさからの変更点
先代が航行途中にトラブルに見舞われたため、安定航行を目的としてさまざまな変更がおこなわれた。「はやぶさ」のようなパラボラアンテナに代わり、「あかつき」と同様の高利得平面アンテナ(スロットアレイアンテナ)を使用し[4][5]、破損があった化学燃料スラスタ配管の再検討[6]や制御装置であるリアクションホイールの信頼性向上などの改良が行われた。イオンエンジンはμ10の推力を 8 mN から 10 mN へと向上させた改良型を使用する
  また、試料を取るための方法も大幅に改良される。まず新機能として、小惑星表面だけでなく小惑星内部の砂礫の採取のための衝突装置 (SCI:Small Carry-on Impactor) を搭載する。SCIは成形炸薬を内蔵しており、探査機本体から切り離された後本体が小惑星の陰に隠れる約40分後に起爆、重さ 2 kg の純銅製衝突体を爆圧によって変形させつつ目標天体に衝突させ、クレーターを作る[7]。このクレーター内または周辺で試料を採取することにより小惑星内部の調査が可能となる。JAXAとしてこのような構造を持つ探査機は初めて[要出典]。SCI 全体の質量が
  18 kg、爆薬の質量は 4.7 kgある。銅板の質量は 2.5 kg だが、発射時に一部がちぎれて弾丸としては約 2 kg になる。衝突体の衝突時には本体は小惑星の裏側へ退避するため、衝突の様子を撮影するためにDCAM3と名付けた分離カメラを装備している
 初代はやぶさのように試料採取用の筒(サンプラーホーン)を小惑星の表面に当て、内部でプロジェクタイルと呼ばれる弾丸を打ち出し、それを小惑星表面に当てることで舞い上がった砂礫を採取する。プロジェクタイルの形状は「はやぶさ」の弾丸型から円錐型へと変更される。
  頂点の角度は90度に設定されており、プロジェクタイルが3g以上の質量をもつ場合には弾丸型よりも効率的な試料採取が可能となる。もし初号機と同じように弾丸が発射されなくてもサンプルを引っ掛けて持ち上げられる仕組みも追加された他、サンプルから発生したガスも採取できるように改良されている。2014年11月には、NASAのオシリス・レックスが小惑星で採取したサンプルとはやぶさ2が採取するサンプルを相互に提供し合うことで合意した。はやぶさ2には、サンプラホーンの先端を撮るカメラCAM-Cも搭載されており、これはJAXAへの寄付金で作られた。満身創痍での運用となった初代と比べ、確実に運用する為の改良が行われた。
  たとえば、初代はやぶさにおいてイトカワに着地させることが出来なかった「ミネルバ」(着地探査ローバー)の搭載数は、1基から3基に増加、ドイツ航空宇宙センターフランス国立宇宙研究センターが共同開発した着陸ローバー「マスコット」(MASCOT, Mobile Asteroid Surface Scout)と併せて運用される。同じく初代では信頼性強化の改造が裏目となり、3基中2基が運用不能となったリアクションホイールも3基から4基へと増加され、なおかつ最後の1基はなるべく着陸時までは温存するため、はやぶさ帰還時の運用経験を活かし可能な限り1基のリアクション・ホイールと太陽光圧を利用した運用を行っている。また、新たにKaバンド(32GHz帯)の高速通信が可能な平面アンテナを従来のXバンド(8GHz)アンテナに追加したことで、全般的な高速通信速度が可能な中で、極限時の指令運用(完全自律判断によるタッチダウンと比べた場合指令誘導とすると極端な高速化ができる)をより速やかに図ることができるようになった(従来のパラボラアンテナを小型軽量の平面アンテナに変えて同一面に2枚のアンテナを配置できた)。
  さらに、目標小惑星であるリュウグウが、自転速度7時間半長径920mのほぼ球形で、何より自転軸が黄道面に対して横倒しに近く、それが垂直であったイトカワが12時間の自転毎に天体全面を観察できた事と比べて極めて効率が悪いため、イトカワでの3ヵ月に比べて6倍にあたる1年半を費やして調査することにしている。

  2019年3月 航空宇宙局(NASA)は11日、月を周回する新たな宇宙ステーションの建設構想の分担を発表した。日米欧露などの宇宙機構が調整した。日本の宇宙開発機構(JAXA)の月ステーション分担作業は欧州宇宙機構(ESA)と共同で居住区を開発し米国と共同で物資輸送が主な仕事である。
  新ステーションは「ゲートウエー」と呼ばれ、米国が主導。2022年に建設開始、26年頃に完成する予定である。NASAはゲートウエーを月面や火星の友人探査の中継点にする予定である。(2019.3.12)
  宇宙の成り立ちを探る次世代加速器「国際リニアコライダー(ILC)の巨大実験場施設について多大な資金が必要であるが、建設を誘致するために日米欧に建設提供の意思があることを政府は表明した。「ILC」は日米欧の物理学者が岩手・宮城両県にまたがる北上山地への建設構想を進めている。そのように「ILC」建設に多大な費用がかかるために日本学術会議は当初難色を示すように進言していたが、政府は科学技術の幅広い波及効果や教育効果、そして東北地方の復旧につながることから、政府は前向きな姿勢を示すことが今後大切と判断した(2019.3.5)
  「天の川」に中型ブラックホール発見-地球がある天の川銀河の中心付近に、質量が太陽の3万倍の中型ブラックホールが存在することを、国立天文台などの研究チームが突き止めた。重力が強く、光も物質も脱出できない天体のブラックホールは、太陽の数倍から十数倍の小型と、100万~100億倍の大型が確認されている。(2019.3.5)
  国産初のジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)を開発中の三菱航空機は4日、国土交通省のパイロットが操縦して安全性を審査する飛行試験が米国で始まったと明らかにした。(2019.3.5)
  2019年2月 探査機「はやぶさ2」小惑星「リュウグウ」へ着地成功。(JAXA)宇宙航空研究開発機構が確認しました。表面の資料を採取するための弾丸を発射したことも確認している。生命の起源に関する謎の解明が期待される。(2019.2.22)
  宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」が22日、地球から約3億キロ離れた小惑星「リュウグウ」に着地予定である。猫の額と言われるほどの狭い着地場所ではあるが、この探査機のプロジェクトマネイジャー着陸成功に自身を示す。「はやぶさ2」は平成26年に打ち上げられ、昨年6月に「リュウグウ」に到着、今年7月までに計3回着地する予定である。(2019.2.17)
  2019年1月  国産初のジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)で三菱航空機がカナダの航空機・鉄道車両大手の「バンバルディア」を提訴。同社は昨年10月同社の機密情報を「MRJ開発」に不正使用したと米シアトルの連邦地裁に提訴しており、今回の三菱航空機の提訴はその反訴である。(2019.1.30)
和歌山県:民間小型ロケット発射場は「串本町」でと、誘致へ予算20億円を計上。小型ロケット打ち上げに関しては、「スペースワン」(キャノン電子、IHIエアロスペースなど28年8月4社出資した会社)は2020年に打ち上げ20機を予定している。(2019.1.26)
  「イプシロン」4号機の打ち上げ成功(2019.1.18AM9:50-JAXA(宇宙航空研究開発機構) 宇宙開発への民間参入を促す「宇宙活動法」が2018年11月に施工されて初の打ち上げ:今回は制作費が安く、開発期間が短い小型衛星打ち上げ成功はいみが大きい(ちなみに民間協力の衛星を全て成功している)
  「はやぶさ2号」が小惑星-リユウグウ-に来月に着地予定。採取に挑戦3回目-来年末地球に帰還予定。「リユウグウ」は想像以上に岩石が多く、実際に着陸できるか不明(2019.1.14)







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