海の事故-1(船の事故)


2023.10.30-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASRBZ5J9ZRBZPIHB00F.html?iref=comtop_BreakingNews_list
密漁の船?海保が乗り込むと無人…海に逃げたか 明石沖で底引き網漁
(宮島昌英)

  30日未明、兵庫県明石市の林崎港から南西に530メートルの付近海域で、警戒中の神戸海上保安部の巡視艇「きくかぜ」が、底引き網漁が禁止されている海域で操業する漁船を発見した。禁止海域での操業について事情を聴くために停船させ、午前2時40分ごろ海上保安部員が漁船に乗り込むと無人だったという。

  同部によると、停船を呼びかけた際には船の後方に人がいたという。操業者が海に逃げたり落下したりした可能性があるとみて、操業者の行方を捜索している。
  船は明石浦漁港に所属する個人所有の底引き網漁船で、所有者と連絡が取れていないという。無人だった漁船のプロペラには漁網が絡まっていたという。当時海は晴れていて視界が良く、波も穏やかだった。(宮島昌英)


2023.09.06-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASR9664K3R96UTIL00P.html
知床観光船事故、遺族が国賠提訴 「ハッチ不具合見逃し、国に責任」
(金子和史)

  北海道・知床半島沖で昨年4月に観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故死亡した甲板員曽山聖(あきら)さん(当時27)の両親=東京都=が、事故は国の船体検査が不十分だったことが原因だとして、国に計約1億800万円の賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。提訴は4日付。事故をめぐり、国の責任を問う訴訟は初めて。
  事故を調査している国の運輸安全委員会によると、国に代わって検査を担う日本小型船舶検査機構(JCI)が、事故前に観光船の検査を実施した際、検査対象項目だった船首甲板部のハッチの開閉試験を省略して合格とした。同委は、ハッチのふたが密閉できずに海水が船底に入り込んだことが沈没原因とみている。
  両親は訴状で、検査でハッチの不具合を発見して不合格としていれば、船は出航できず事故は起きなかったと主張。国には安全に航行できる能力のない船を検査に合格させた責任があると訴えている。
  両親は3月、観光船の運航会社「知床遊覧船」と桂田精一社長にも、計約1億1900万円の損害賠償を求める訴訟を同地裁に起こしている。国土交通省は「訴状を受け取っておらず、コメントは差し控える」としている。(金子和史)


2023.06.29-日本海テレビ-https://www.nkt-tv.co.jp/pc-news/news91pl20ijp6vz3ip3cb.html
潜水艇「タイタン」残骸を引き揚げ 中に遺体とみられるものも… 耐圧室の形が大破の一因か

  海底の「タイタニック号」を探索するツアー中に、水圧で押しつぶされたとみられる潜水艇「タイタン」の残骸が引き揚げられました。残骸の中には遺体とみられるものが含まれていたということです。一方、耐圧室の「筒状」の部分はみられませんでした。専門家は、これが事故の原因につながった可能性を指摘します。

  28日、雨の中、一隻の船がカナダ・ニューファンドランド島の港に入ってきました。積まれていたのは、円盤のような物体や壁の一部らしき板。すべて、海中で見つかった潜水艇「タイタン」の残骸です。無数のコードが絡み合った、機械のようなものも見られました。
  これらの発見が、事故の原因解明につながるのでしょうか。水深4000メートルの海底に沈むタイタニック号を目指して5人が乗り、消息を絶った潜水艇「タイタン」。4日後、カナダの無人探査機がタイタニック号から約500メートルの地点に、潜水艇の5つの大きな残骸を発見しました。
アメリカ沿岸警備隊(22日 アメリカ・ボストン)
  「これらの残骸は潜水艇の耐圧室が大破したことを意味している」
  潜水艇は水圧で押しつぶされたとみられ、アメリカの沿岸警備隊は乗っていた5人全員が死亡したとみられると発表しました。そして、消息不明から10日たち、潜水艇の残骸が陸にあがりました。残骸の中には、遺体とみられるものも含まれていたといいます。
  専門家は「引き揚げられたのは、耐圧室の先頭部分。コードが絡み合った機械は“潜水艇の心臓”ともいえる耐圧室の制御システムの一部。そして、後部と台座の一部ではないか」と話します。
潜水艇に詳しい東海大学海洋学部 山田吉彦教授
「(耐圧室の)筒状の部分がないとなると、この筒状の部分に圧力がかかり壊れたと考えられます」引き揚げた中に、耐圧室の「筒状」の部分はみられませんでした。専門家は、これが事故の原因につながった可能性を指摘します。
 東海大学海洋学部 山田吉彦教授
  「おおよその潜水艇は耐圧室はみんな球状なんです。タイタンは耐圧室が筒状になっていた。そこに圧力がかかりやすい」球体であれば圧力を逃がしやすい一方、筒状だと、もろに圧力を受けやすいという違いがあるといいます。
 東海大学海洋学部 山田吉彦教授
  「耐圧室の胴の(筒状の)部分は見つからないんじゃないか。人が入っていたところが集中的にすごい圧力がかかり、船体が壊れた」
現地メディアによると、乗っていた5人のうち、パキスタンの実業家と19歳の息子について、実業家の妻は「自分が乗るはずだったが息子に譲った」と語っています。
  パキスタン実業家の妻-「私は息子に譲ったんです。あの子は本当に行きたかったから。本当に本当に彼らがいなくて寂しいです」
アメリカの沿岸警備隊は、引き揚げた残骸を調べ、原因究明を進めるとみられます。


2023.06.29-Yahoo!Japanニュース(JIJI.COM.)-https://news.yahoo.co.jp/articles/6300f6deb10b936588808d6ee98cccbabe6ab0dd
沈没2日前、ハッチに隙間か 浸水との関連分析へ 知床観光船事故・運輸安全委

  北海道・知床半島沖で昨年4月、死者・行方不明者26人を出した観光船「KAZU I(カズワン)」の沈没事故で、事故2日前に行われた救命訓練の際、船のハッチのふたが完全に閉まらず、数センチの隙間がある状態で運航していた可能性があることが29日、運輸安全委員会が公表した報告書案で分かった。

  運輸安全委は昨年12月、船前方のハッチなどから浸水し、沈没した可能性が高いとする調査経過報告書を発表。来月26日に関係者や有識者を対象とした意見聴取会を開くなどし、沈没原因との関連を調べる。
  報告書案によると、事故2日前に行われた救命訓練に参加した同業他社の従業員が「ハッチのふたが約3センチ浮いている状態だった」と証言。「コツをつかんでいないと完全に閉めることができないと感じた。事故当日までに、専門業者が修理した様子はなかった」と話したという。
  海底から引き揚げたカズワンの船体からは約50センチ四方のハッチのふたが無くなっており、状態を検証できていなかった。このため運輸安全委は、ハッチの閉まり具合を調べるため、模型を新たに作製。目撃者の証言や救命訓練時に撮影された写真を基に、ハッチのふたを固定するクリップを同じように回してみたところ、ハッチとふたの間に1.5~3センチの隙間が生じ、クリップは固定されなかった。


2023.06.23-Yahoo!Japanニユース(テレ朝ニュース)-https://news.yahoo.co.jp/articles/7cfcfbd943c662564f17777fd05bcb7617c034fd
乗員5人の生存は絶望的 海底に潜水艇の破片 潜水開始数時間後に“爆発音”
(C) CABLE NEWS NETWORK 2023。・・・テレビ朝日

  「タイタニック号」の観光ツアー中に消息を絶った潜水艇について、アメリカの沿岸警備隊は乗っていた5人の生存が絶望的との見方を示しました。捜索活動の拠点があるボストンから報告です。

   (鈴木彩加記者報告)  捜索を続けてきた沿岸警備隊は海底で大きな破片を発見したと明らかにしました。それは「大惨事が起きたことを示していた」と述べました。  潜水艇「タイタン」はアメリカ東部ボストンから1500キロほど離れた北大西洋で消息を絶ち、5日目を迎えていました。
  そうしたなか、沿岸警備隊は会見を開き、タイタニック号の船首からおよそ500メートル離れた海底で5つの破片を発見し、これがタイタンのものと断定をしたと発表しました。
   タイタンは外部からの圧力によって損壊したと説明されましたが、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルは18日にタイタンが潜水を開始した数時間後に海軍の音響探知システムによって爆発音のような音を検知していたと伝えました。
   ただ、18日の時点ではタイタンの損壊は確認できていなかったため、それについて公表はせず、そのエリアに絞り込んで捜索を続けていたということです。
   沿岸警備隊はなぜこうしたことが起きたのか原因を究明するため、今後も海底での捜索を続けるとしています。
(C) CABLE NEWS NETWORK 2023。・・・テレビ朝日


2023.06.22-YahooJapanニュース(朝日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/1a95b9c3e51dc06ef203885ce8e07b4c83f9507b
酸素切れる96時間迫り捜索懸命 タイタニック号探索で不明の潜水艇

  豪華客船タイタニック号の残骸を見に行くツアーに向かった米潜水艇が行方不明になった事故で、米東部時間22日朝(日本時間22日夜)、緊急用の酸素の残量があるとされる96時間が経過した。米国やカナダなどが24時間態勢で捜索しているが、海中で探知した音も解明されず、厳しい状態が続いている。

  消息を絶ったのは潜水艇「タイタン」。米沿岸警備隊によると、18日午前8時ごろ出港し、潜水から約1時間45分後に通信が途絶えた。同日午後3時に戻る予定だった。  
  運営会社「オーシャンゲート」によると、タイタンは全長6・7メートルで水深4千メートルまで潜水できるという。タイタニック号は1912年、氷山に衝突し、海底3800メートルに沈んでいるとされる。
  英国やパキスタンの富豪ら5人を乗せた潜水艇は、暗黒の深海に眠る残骸を見るツアーに出た。
  米沿岸警備隊は21日午後、記者団に対し「極めて複雑な捜索を行っている」と述べた。カナダのP3哨戒機が20日と21日朝、海中から「打撃音」のような音を探知した。そこで音の発生源とみられる地域を中心に捜索を展開。航空機による上空からと、海中では2機の無人潜水機(ROV)を使って調べている。  
  しかし、「音の発生源が何かを特定するのは極めて難しい」。ほかの生物のものなど完全に違う音の可能性も除外できないという。音のデータは米海軍や専門家らとも共有して分析を進めている。
朝日新聞社


2023.06.20-Yahoo!Japanニュース(CNN co.jp.)-https://news.yahoo.co.jp/articles/99134a94f69e3a970a977becc874ac0d62fffcca
タイタニック残骸近くで潜航艇が消息絶つ、5人乗船 米沿岸警備隊が捜索開始

  (CNN) 米沿岸警備隊は19日、CNNの取材に答え、1912年に沈没した豪華客船タイタニックの残骸の近くで行方の分からなくなった潜水艇を捜索していると明らかにした。潜水艇は残骸を見るツアーに使用されているもので、5人が乗り込んでいるという。

  沿岸警備隊によると、全長約6.4メートルの潜水艇は18日午前、海上にいる船舶「ポーラー・プリンス」の乗組員との連絡がつかなくなった。同船はタイタニックの残骸が沈む現場の海上まで潜水艇を輸送するのに使用された。
  沿岸警備隊は18日、ポーラー・プリンスの乗組員から潜水艇が消息を絶ったとの通報を受けた。隊の幹部は19日に会見を開き、潜水艇に乗った人々の捜索に全力を尽くすと説明。
  海上と上空からの捜索を開始したと付け加えた。 現場は米マサチューセッツ州ケープコッドから約1450キロ離れており、水深は約4000メートル。陸地から遠く、捜索は難航しているという。
  また上記の幹部は、潜水艇には70~96時間分の緊急用の酸素が積み込まれていると考えられると述べた。潜水艇の運営会社からの情報を基に伝えた。
   タイタニックの残骸を見るツアーは、カナダ東部のセントジョンズを基点に約740キロ離れた沈没現場へ向かう。8日間の日程で、6人まで参加が可能。


2023.02.22-Yahoo!Japanニュース(テレビ高知)-https://news.yahoo.co.jp/articles/9978055ab5584c196524b6d214359770c1e9e5ec
シラスウナギ漁の5人が海に流される…海保が全員無事救助 同じ場所では9日にも3人が流される(高知・仁淀川河口)

  警察と消防、海上保安庁などによりますと、22日午後8時半ごろ、「シラスウナギ漁をしていた複数人が流された」と通報があったということです。

  海上保安庁の船が救助活動にあたり、午後10時までに成人男性5人が救助されました。5人とも、ライフジャケットを着ていたということです。全員、ケガはありません。「8人くらいが流された」という情報もありましたが、流されたのは5人だったことが分かり、高知海上保安部は捜索を中止しました。
  高知海上保安部によりますと、現場は高知市と土佐市の間を流れる仁淀川で、26人グループでシラスウナギ漁をしていたということです。当時、満潮から干潮へと向かう時間帯のため、引き潮が強く、仁淀川河口から900メートル沖まで流されたということです。
  この場所では、2月9日の午後10時すぎにも、シラスウナギ漁をしていた男性3人が流される事故がありました。その時に流され、救助された人は、テレビ高知の取材に対し、「川の流れに近い場所で、流されてしまった。ちょうど引き潮の時間帯で、余計に勢いがついて一気に流された。」と話していました。
テレビ高知



2022.12.09-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/national/20221209-OYT1T50088/
知床事故、船首側ハッチから浸水し沈没か…運輸安全委員会が来週中にも調査内容公表へ

  北海道・知床半島沖で今年4月に起きた観光船「KAZU I(カズワン)」(乗客乗員26人)の事故で、運輸安全委員会が、船倉への出入り口となる船首側のハッチが閉まっておらず、船倉に海水が入り込み沈没した可能性が高いとみていることが、関係者への取材でわかった。運輸安全委員会は来週中にも、こうした調査内容を公表する方向で調整している。

  関係者によると、船首のハッチは本来、密閉するカバーが付いている。しかし、閉まっていなかった可能性があるという。
  事故当時、カズワンからは「船首浸水、沈んでいる。エンジン使えない」との118番通報があった。運輸安全委員会は、ハッチから船首下部の船倉に海水が流れ込んだとみている
   カズワンの甲板の下は、船倉のほか、エンジンがある「機関室」、 かじ を動かす機械がある「 舵機だき 室」など4区画に分かれている。各区画は隔壁で仕切られているが、沈没後に船体を引き揚げ調べたところ、隔壁3枚に穴が開けられていた。運輸安全委員会は、この穴を通り船倉から入った海水が機関室などにも広がったとみている。
  事故では、船長を含む20人の死亡を確認、6人が行方不明となっており、海上保安庁が業務上過失致死容疑で捜査を続けている。
  国土交通省が設置した事故対策検討委員会は、今月中に再発防止策を取りまとめる予定で、運輸安全委員会の調査内容を対策に反映することを検討する。


2022.09.23-MH NEWS WEB(北海道NEWS WEB)-https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20220922/7000050866.html
知床観光船沈没事故 23日で発生から5か月 不明者捜索続

  知床半島沖で観光船が沈没し、18人が死亡、8人が行方不明になっている事故は、発生から23日で5か月となります。現場周辺ではいまも行方不明者の捜索が続けられています。

  ことし4月に知床半島の沖合で乗客・乗員26人を乗せた観光船「KAZU 1」(19トン)が沈没した事故では、これまでに18人の死亡が確認され、残る8人はいまも行方が分かっていません。沈没現場に近い半島の沿岸では、ボランティアの人たちがたびたび捜索にあたっているほか、第1管区海上保安本部と警察も21日から改めて集中的な捜索を実施しています。
  半島の沿岸部ではこれまでに数十個にのぼる骨などが見つかっていて、海上保安本部や警察がDNA鑑定を進めています。
  一方、事故原因については、海上保安本部と国の運輸安全委員会が海底から引き揚げられた船体を調べるなどして特定
を進めています。また、海上保安本部は、運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長から任意で事情を聴くなどして業務上過失致死の疑いで捜査していますが、事故原因が特定されない中で捜査は長期化が予想されています。
【集中捜索2日目が終了】
  知床半島沖で観光船が沈没した事故から5か月になるのを前に、海上保安本部と警察は行方不明者の手がかりを見つけようと、21日に引き続き、半島の沿岸で集中的な捜索を行いました。
  ことし4月23日、知床半島の沖合で乗客乗員あわせて26人を乗せた観光船「KAZU 1」(19トン)が沈没した事故は、18人が死亡し、今も8人の行方が分かっていません。
  第1管区海上保安本部と警察は事故から23日で5か月になるのを前に、行方不明者につながる手がかりを見つけようと、21日に引き続いて半島西側の沿岸で集中的な捜索を行いました。このうち警察が沈没現場に近いルシャ湾の南側の海岸線を捜索したところ、啓吉湾の付近で小銭入れや運動靴などが見つかったということで、行方不明者の所持品かどうか確認を進めることにしています。
  一方、海上保安本部によりますと、21日に半島の沿岸部で骨のようなもの7つが見つかっていましたが、22日の捜索では新たな手がかりは見つからなかったということです。集中捜索は23日も行われます。
【運航切り上げる業者も】
  知床半島沖で観光船が沈没し、18人が死亡、8人が行方不明になっている事故は、発生から23日で5か月です。安全運航の自主ルールを設けて地元で営業を続けてきた観光船事業者の1つは乗客が集まらず、今シーズンの運航を今月26日で切り上げることを決めました。知床観光の拠点になっている斜里町ウトロには、23日からの3連休を前に道内外から多くの観光客が訪れています
  兵庫県から訪れた20代の男性は「コロナの感染者数も減ってきたので来ました。知床五湖を見て、サケを食べてみたいです」と話し、家族旅行で訪れた40代の女性は「きれいな海や海産物を使ったホテルの食事を満喫しました」と話していました。
  一方で、先月から今シーズンの運航を始めた小型観光船の事業者の1つは乗客が集まらず、来月20まで予定していた運航を今月26日で切り上げることを決めました。この事業者によりますと、先月の乗客数はコロナ禍の前の3年前に比べて1割から2割程度にとどまり、来月も増加が見込めないと判断したということです。
  斜里町ウトロの小型観光船の運航事業者でつくる協議会は事故の後、運航判断を複数の事業者で協議し、原則、単独運航をしないといった自主ルールを設けて営業を続けてきましたが、事故のダメージから抜け出せずにいる状況を物語る形になりました。運航の切り上げを決めた「知床世界遺産クルーズFOX」の渡部健太郎船長は「運航終了は今月に入って利用客が激減した中での苦渋の決断です。安全のルールは作りましたが、来シーズン、知床を訪れる人が増えるか不安なので、ルールの改善を冬の間に進めていきたい」と話していました。


2022.09.10-Yahoo!Japanニュース(毎日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/5d94c5a1515dcb24a86c64f1c45e64a984d7f18f
国後島などで発見の3遺体、小樽到着 知床観光船事故の乗船者か

  北海道・知床半島沖で観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が沈没した事故で、乗船者とみられる男女計3人の遺体を乗せた海上保安庁の巡視船「つがる」が10日午前、小樽港(北海道小樽市)に到着した。遺体はロシアの実効支配する北方領土・国後(くなしり)島やサハリン島南部で見つかり、9日にサハリン島・コルサコフでロシア側から引き渡された。日本側で改めてDNA型鑑定を実施し、身元を確認する。

  3人は、いずれも北海道在住で乗客の20代女性と50代男性、カズワンの甲板員、曽山(そやま)聖(あきら)さん(行方不明時27歳)とみられる。
【谷口拓未】


2022.08.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220829-5LCRTF3LC5KKHOUJWCYYLYDNYA/?outputType=amp
遺体引き取り「調整加速」 官房長官、知床事故で

  松野博一官房長官は29日の記者会見で、北海道・知床半島沖の観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」沈没事故に関し、男女計3人の遺体の引き取りを巡るロシアとの合意を受け「可能な限り早く実現するよう調整を加速したい」と述べた。同時に「現時点でめどを申し上げられる段階にないが、最善を尽くしたい」と強調した。

  日露両政府は、海上保安庁の巡視船がサハリンの港へ遺体を引き取りに行くことで合意した


2022.07.22-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220722-TEHCR5GQ4ZLCZEHBY63POB4TJY/?outputType=amp
知床事故なお12人不明 露からの3遺体引き渡し滞る

  北海道・知床半島沖で観光船「KAZU Ⅰ(カズ・ワン)」が沈没し、14人が死亡、12人が行方不明となった事故は23日で発生から3カ月。これまでに、ロシアが不法占拠する北方領土の国後島とロシア極東サハリン南部で乗員乗客とみられる男女3人の遺体が見つかっているが、いまだ遺体の引き渡しは行われていない。事故で親族を亡くした50代の男性が産経新聞の取材に応じ、「一日も早く家族の元に返してあげてほしい」と語った。

  松野博一官房長官は20日、遺体の引き渡しに関して「人道的観点から一日でも早く実現できるよう引き続きロシア側と調整を進める」と述べた。しかし、遺族の男性は、日露両政府の調整が難航しているのではないかと疑問視。家族向けのオンライン説明会でも質問したが、「外交上の問題なので説明できない」と言われたという。「なぜこんなに長引いているのか。何が足かせになっているのか知りたい」と訴える。

  沈没事故から3カ月が経過し、関連の報道も減りつつあることから、男性は「事故の風化だけはさせてほしくない」と強調した。
  第1管区海上保安本部(小樽)によると、自衛隊や道警などと連携し、これまでに巡視船や民間の漁船など延べ約790隻、ヘリや航空機延べ約300機を投入し捜索を続けているが、新たな手がかりは見つかりにくくなっている。


2022.07.20-日本経済新聞(KYODO)-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF201NC0Q2A720C2000000/
サハリンで発見の男性遺体、DNA一致と連絡 知床事故

  海上保安庁は20日、北海道・知床半島沖の観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」沈没事故行方不明になった乗客の男性と、ロシア極東サハリン南部で見つかった男性の遺体のDNA型が一致したとの連絡が、ロシア側から19日にあったと明らかにした。遺体の引き渡しに向調整している。

  松野博一官房長官は20日の記者会見で、遺体の引き渡しについて「人道的観点から一日も早く実現できるよう調整を進める」と述べた。
  海上保安庁によると、遺体は「KAZU」と書かれた赤い救命胴衣を着用し、黒い携帯電話や車の鍵、腕時計も見つかっていた。日本側でDNA型のデータをまとめ、外交ルートを通じてロシア側へ提供、ロシア側が鑑定した。引き渡し後は日本側で改めて身元確認する方針。
  ロシアが実効支配する北方領土・国後島でも2人の遺体が見つかっており、ロシア側から6月、行方不明の甲板員(当時27)と乗客の女性とDNA型が一致したとの連絡があった〔共同〕


2022.06.29-NHK NEWS WEB -https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220629/k10013693351000.html
知床観光船沈没 見つかった遺体の救命胴衣に「KAZU」の文字

  北海道の知床半島沖で観光船が沈没した事故で、サハリン南部の沿岸で見つかった日本人とみられる遺体について、つけていた救命胴衣には船名のKAZUという文字が記されていたことが関係者への取材で分かりました。

  遺体は男性とみられ、海上保安庁などは行方がわかっていない乗客・乗員12人のうちの1人の可能性が高いとみて、ロシア当局との間で身元の特定に向けた調整を進める見通しです。
  知床半島の沖合で観光船「KAZU 1」が沈没した事故では、14人が死亡し、いまも12人の行方が分かっておらず、28日午後、ロシア当局から、サハリン南部の沿岸で日本人とみられる遺体が見つかったと日本側に連絡がありました。
  これまでの調べで、遺体は救命胴衣をつけていたことが確認されていますが、観光船の名前と同じ「KAZU」という文字が記されていたことが関係者への取材で分かりました。
  また、遺体は男性とみられ、黒色の携帯電話や車の鍵などの所持品もあったとロシア当局から報告を受けているということです。
  海上保安庁などは、見つかった遺体はいまも行方が分かっていない観光船の乗客・乗員12人のうちの1人の可能性が高いとみて、ロシア当局との間で身元の特定に向けた調整を進める見通しです。


2022.06.24-JIJI COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2022062400393&g=soc
国後島の2遺体、DNA一致 ロシア側から連絡―知床沈没事故

  北海道・知床半島沖で26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、第1管区海上保安本部(小樽市)などは24日、北方領土・国後島で見つかった男女2人の遺体について、DNA型鑑定の結果、乗船者のDNA型と一致したとロシア側から連絡があったことを明らかにした。

  関係者によると、DNA型が一致したのは東京都調布市の甲板員曽山聖さん=不明当時(27)=と、北海道北見市の女性。遺体の引き渡しの後、日本で改めてDNA型鑑定し身元を確認する。遺体の早期引き渡しに向け、外交ルートを通じて調整を急ぐ。DNA型のデータは9日にロシア側に送付していた。
  国後島周辺では5月6日に女性の遺体が見つかり、同19日には男性の遺体が発見されたとロシア側から連絡があった。男性の遺体の近くでは「ソヤマ・アキラ」と書かれた運転免許証が発見されている。
  事故は4月23日に発生。乗客24人と乗員2人が乗船していた。14人の死亡が確認され、行方不明者12人の捜索が続いている。


2022.06.16-北海道新聞(障害福祉&政治・社会・平和問題ニュースサイト)-https://gogotamu2019.blog.fc2.com/blog-entry-35667.html
知床遊覧船事業取り消し 違反19件 国交省「改善意識見られず」

  オホーツク管内斜里町の知床半島沖で小型観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、国土交通省は16日、運航会社「知床遊覧船」(同町)の事業許可を取り消した。安全管理に関する法令違反19件を確認し「改善意識が見られない」と結論付けた。桂田精一社長(58)が14日に提出した「国に対する世論の批判を回避するための見せしめだ」とする陳述書については、処分の判断を変える内容ではないとした。

  事業許可取り消しは海上運送法に基づく処分として最も重く、事故を理由に取り消すのは全国初。今回の処分とは別に、第1管区海上保安本部(小樽)が業務上過失致死の疑いで桂田社長の立件も視野に入れて捜査している。
  国交省は事故翌日の4月24日から同社へ特別監査を実施。運航管理者の桂田社長が事務所に常駐していなかったことなど安全管理規程違反17件を中心に、法令違反行為として19件を認定した。小林基樹・海事局内航課長は処分の理由について「過去の特別監査で指摘された事項の違反を繰り返し、事業を継続させると再び重大事故を起こす蓋然(がい ぜん)性が高い」と説明した。

  国交省は6月14日、同社の主張を聞く聴聞を実施したが、桂田社長は出席せず「事故責任を事業者だけに押し付けている」などとする陳述書を提出。これについて小林課長は「精査したが、処分の判断を変更すべき内容と認められない」と述べた。
  北海道運輸局は16日、処分の通知文書を同社宛てに発送。岩城宏幸局長名で「事実を重く受け止め、引き続き、行方不明者の捜索に協力し、乗客家族の損害賠償に真摯(しん し)に対応するよう求める」と記した書面を同封した。桂田社長にも同日、電話で処分を知らせた。細かいやりとりはなかったという。
  同社は処分に不服があれば3カ月以内に審査請求できるが、関係者によると申し立てはしない見通し。処分確定後は2年間、事業許可を再取得できなくなる。

知床遊覧船の桂田社長「不服申し立てしない」…事業許可取り消しに「不満は全くない」(2022年6月17日配信『読売新聞』)
  北海道・知床半島沖で観光船「KAZU I(カズワン)」(乗客乗員26人)が沈没した事故で、運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長(58)は17日、読売新聞の取材に応じ、国土交通省による旅客船事業許可の取り消しについて、「不満は全くない。不服申し立てをするつもりもない」と話した。
  国交省は16日、荒天が予想される中で船を出航させるなど海上運送法に関する違反があったとして、事業許可を取り消した。処分に不服がある場合、3か月以内に不服審査の申し立てができる。


2022.06.11-熊本日日新聞-https://kumanichi.com/articles/687672
知床、エンジン減らし船底改造-専門家「不適格な部分多い」

  北海道・知床半島沖で沈没した観光船「KAZU 1(カズワン)」は運航会社「知床遊覧船」に所有権が移ってから船底部などに改造を受け、エンジンが2基から1基に減っていた。関係者への取材で11日、分かった。燃費が良くなり維持費は下がるが、事故リスクが高まるとの指摘も。浸水の恐れがある箇所は未改造で、いずれも法的に問題ないが、専門家は「旅客船として不適格な部分が多かった」と話す。

  関係者や小型船舶登録原簿などによると、船は1985年に進水し、広島や岡山など波が穏やかな瀬戸内海の定期航路で使われた。エンジンは2基だったが、知床遊覧船に渡って以降、1基になった。


2022.06.05-Yahoo!Japanニュース(北海道新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/0c6c2c7a1b82b3658fda89bae51bf1ceffedc4a2
エンジン室の壁に穴 知床事故 補強不十分で浸水か

  【斜里】オホーツク管内斜里町沖で小型観光船「KAZU 1(カズワン)」(19トン)が沈没した事故で、第1管区海上保安本部(小樽)が船体を陸揚げした後に行った調査で、甲板下にあるエンジン室の壁に穴が開いているのが確認されたことが4日、捜査関係者などへの取材で分かった。穴は、国土交通省による検査で指摘を受け、事故前は運航会社がふさいでいたという。1管本部は穴をふさぐ補強が不十分だったため、船内に浸水した際に穴が開き、エンジン室に水が入りやすくなっていたとみて調べている。

  カズワンの甲板下には、「隔壁」と呼ばれる壁が3カ所あり、前方から船倉、船倉、エンジン室、舵機(だき)室と、四つの空間に分かれていた。  捜査関係者やカズワンの運航会社「知床遊覧船」の関係者によると、穴はいずれの隔壁にも設けられ、事故前はエンジン室前後の壁の穴は木の板でふさがれていた事故後の1管本部の調査では、板が破れていたことが確認されたという。穴は、備品を出し入れする目的などのため、事故前に同社が開けたとみられる。  事故の数カ月前に船内に入った関係者によると、エンジン室前後の穴の大きさは縦横40センチ程度で、木の板でふさがれていた。

   エンジン室前後の壁の穴については、国交省も昨年4月に行ったカズワンの船体検査で開いていることを確認し、出火や延焼防止の観点から、ふさぐよう指示。同省は同6月と今年4月の検査で、ふさいであることを確認した。木の板は同省の指示を受け、設置したとみられる


2022.06.02-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/article/20220602-C4LYYS5AN5JLTFC5MUUWKSR3KE/
船底の損傷、沈没との関連慎重捜査 知床観光船事故

  北海道・知床半島沖で沈没し、専門業者により海底から引き揚げられた観光船「KAZU Ⅰ(カズ・ワン)」の船底の後方で見られた穴や亀裂のような損傷をめぐり、専門家から沈没との関係について慎重な見解が出ている。座礁事故でみられるこすれた跡などが確認されていないためだ。カズ・ワンは曳航(えいこう)中、海底に再び落下しており、その際に生じた損傷の可能性もある。第1管区海上保安本部(小樽)が事故との関係を慎重に調べている

  損傷状況は沈没原因の特定につながる有力な物証だが、元海上保安監で海上災害防止センター理事長の伊藤裕康氏は「穴は下から突き上げたような形状。落下した際にできた損傷の可能性がある」と指摘する。
  浅瀬や暗礁に乗り上げる座礁事故では船底にこすれた跡が残るが、カズ・ワンでは確認されておらず、伊藤氏は「船底の損傷は沈没原因につながるものではない可能性が高い」との見方を示す。
  カズ・ワンは5月23日に事故現場の海底からつり上げられ、翌24日、曳航中に水深182メートルの海底に再び落下。事故当時の状態を完全に保ったまま引き揚げることができなかった。
  事故当日の4月23日午後1時すぎ、カズ・ワンと無線交信した同業他社の従業員が「浸水してエンジンが止まっている。前の方が沈んでいる」とのSOSを聞いていた。沈没のメカニズムを明らかにするためには、船長が操作するスロットルレバーの位置やエンジンの状況、船内から回収されたタブレット端末などの解析も進める必要がある。

  元第3管区海上保安本部長で日本水難救済会常務理事を務める遠山純司(あつし)氏は「船底の穴がいつどのようにして開いたのか、どのように浸水したのか。それを特定することが沈没原因を解明する最も大きなポイントだ」と強調。海保関係者は「予断を持たず、あらゆる可能性を視野に慎重に捜査を進める」と語った。


2022.06.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220601-2YRYM6WT45K6VCKQ2N3EZNPMZ4/
知床観光船事故 保険適用どこまで…先行き見えぬ乗客家族への補償

  観光船「KAZU Ⅰ(カズ・ワン)」の沈没事故では、海上保安庁が捜査する運航会社「知床遊覧船」に対する刑事責任の追及と並行し、会社側から乗客の家族らへの補償交渉も進められている。金銭面は保険金で賄われるとみられるが、乗客によって補償額が異なるケースも想定され、解決への道は容易には見通せない。(吉沢智美)

  保険業界関係者によると、船舶の場合、船舶自体の損害などを補償する「船体保険」、船舶の運航などに伴う賠償金などを補償する「船主責任保険」、乗客らへの賠償金などを補償する「船客傷害賠償責任保険」の3つに加入しているのが一般的とされる。

  船舶事故では通常、運航責任者である船長が一義的な責任を負うが、商法上、船舶所有者も共同賠償責任を問われる。カズ・ワンの豊田徳幸船長(55)は行方不明のままで、豊田船長の家族が相続放棄した場合、運航会社が賠償責任を負うことになる。
  桂田精一社長(58)が参加し、5月7日に開かれた家族への説明会で、知床遊覧船の弁護士は1人上限1億円の「船客傷害賠償責任保険」に加入していると説明。死亡時の葬儀代や現地にいる家族の滞在費への対応にも触れたという。
  上限1億円という賠償額は「ごく一般的なライン」(業界関係者)。行方不明の乗客も、行方不明と認定された翌日から3カ月以上経過した場合に死亡したと推定され、支払い対象になるという。
  運輸事故の補償問題に詳しい伊藤康典弁護士によると、実際の賠償額は慰謝料や逸失利益、現地にいる家族の滞在費などを合わせて算出され、慰謝料は2千万~2800万円が相場だ。伊藤弁護士は「逸失利益は年齢や年収によって変わるが、上限1億円の保険金が満額支払われるケースは少ない」と打ち明ける。


2022.05.27-JIJI com.-https://www.jiji.com/jc/article?k=2022052700144&g=soc
引き揚げ完了、網走港に 沈没観光船近く陸揚げ―月末に大規模捜索・海保など

  北海道・知床半島沖で26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、第1管区海上保安本部(小樽市)などは27日、海面まで引き揚げた船体を作業台船の上に移動させ、網走港(網走市)まで運んだ。台船上で水抜き作業をした後、28日以降に同港へ陸揚げする。

  事故ではなお12人が行方不明となっている。関係者によると、同本部などは態勢を拡充した大規模な捜索を月末に実施。地元漁船の参加も予定されている。
  カズワンは26日、事故から約1カ月ぶりに海面まで引き揚げられた。船体は海上保安庁と契約した専門業者の作業台船「海進」の左舷に固定され、同日夜にウトロ港(斜里町)沖の浅い海域までえい航されていた。
  作業台船はいかりを下ろして徹夜で準備を進め、27日未明にクレーンで甲板上に船体を移動させ、一連の引き揚げ作業を完了。同日午後、網走港に着いた。
  同本部などは、作業台船を網走港に停泊させた状態で、1~2日かけて船体内にたまった水をポンプで抜く作業を実施。その後、クレーンを使って陸揚げする。陸揚げ後、船体の損傷状況などを詳しく調査し、事故原因の究明や業務上過失致死容疑などでの捜索を本格化させる。


2022.05.26-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220526/k10013645191000.html
知床 観光船 再びつり上げる作業完了 作業船の上に引き揚げへ

  北海道 知床半島沖で沈没し、24日に作業船で運ばれていた際に落下した観光船について、26日、北海道斜里町沖で再びつり上げる作業が行われ、海面上に浮上した船体が午後7時10分すぎ、作業船の横に固定され、つり上げ作業が完了しました。

  作業船は、午後7時22分に、引き揚げ作業に適した水深の斜里町のウトロ沖に向けて移動を開始したということです。
  船体は作業船に横付けした状態で南におよそ7キロ離れたウトロ沖の水深の浅い海域に向けて運ばれていて、到着後にクレーンで作業船の上に引き揚げられる見通しです。
  海上保安庁によりますと、移動には3時間、その後、引き揚げ作業の開始から終了するまで5時間を要すると試算していて、作業船の上に引き揚げられるのは早ければ27日の午前3時半ごろになるということです。
  船体は最終的には網走港に運ばれ、船内の水を抜いてから陸揚げされることになっています。
「KAZU 1」船体の大部分をシートで覆われている状態
  NHKのヘリコプターから午後7時半ごろに撮影した映像では、作業船に横付けされた「KAZU 1」は船体の大部分をシートで覆われていましたが、船首付近の手すりが外れてなくなっているほか、船体の後部にある手すりも変形しているのがわかります。
  また、船首付近の窓ガラスが1枚、外れていて、作業員と見られる男性が窓枠から外に身を乗り出している様子も確認できました。
日本水難救済会 常務理事「予想した以上にほとんど損傷ない」
  海上保安庁で、警備・救難業務に長年携わった、日本水難救済会の遠山純司 常務理事は、海面上に浮上した船体について「甲板上の構造物を見ると、客室の前面の真ん中のガラスはベニヤ板で補修していて破れたように思えるが、予想した以上にほとんど損傷もなく、強い、前からの波で破損が生じたような感じではないという印象だ」と話しています。
  その上で、「甲板上のハッチも補強していたように見えたが、どういうタイミングで開いたのかも、原因を考える上でポイントになると思う。ただ、沈没原因を特定するためには、いまはまだ水面下にある船底の損傷の状況や、時計など、船内に残された物の有無を確認することが必要だ」と指摘しています。


2022.05.24-Yahoo!Japanニュース(テレ朝 News)-https://news.yahoo.co.jp/articles/8344f44e10daf4cad79f5a48b84aeb3674e6578b
曳航中の「KAZU1」水深182mに落下…「知床遊覧船」事業認可取り消しへ

  24日にも引き揚げが行われる予定だった知床の観光船「KAZU1」が、曳航中に、今度は深さ182メートルの海底に落下しました。前回よりもさらに深い海底から一体どのように引き揚げるのか。海上保安庁などが対応に追われています。

  視界の悪い船の上を動く船員。カメラは慌ただしく作業に追われる船上を捉えました。その直前から記者は異変を感じ取っていました。  大きなトラブルが判明したのは、正午過ぎです。原因究明は、再び遠のくのでしょうか…。
   沈没から1カ月が過ぎ、23日ようやくその船体がかすかに見えた「KAZU1」。24日午前8時から10時ごろ、曳航中に落下。事態は振り出しに戻りました。映像が撮られたのが、11時すぎ。23日に見えていた「KAZU1」の船体は見ることができません。船に何が起きたのでしょうか。
   カシュニの滝近くの沈没現場で海面20メートルまで引き揚げられた「KAZU1」。船体を傷つけないよう、非常にゆっくりと進み、斜里町沖合を目指していました。ウトロ漁港西11キロの地点で海上保安庁に落下の情報が入ったのが、24日10時20分です。
   海保への連絡:「KAZU1を海底に落としてしまった」 その後、水中カメラで捜索したところ、11時42分に船体を発見。最初に発見された水深はおよそ120メートルでしたが、今回落下した場所はさらに深い、182メートルです。一面、霧に包まれた24日朝の斜里町。確かに、条件がいい天候ではありませんでした。  見る限り海は荒れていませんが、地元漁師は、潮の流れの速さを感じていました。
   地元漁師:「潮がすごく速い。潮が速いから俺ら帰ってきた」 一体なぜ、船は落下したのでしょうか。23日に行われた作業はこうです。まず、黄色い骨組みのようなものが海中に降ろされます。そこから海底120メートルで「スリング」と呼ばれるベルトを通し、引き揚げが行われました。

   考えられる可能性としては、ベルトが何らかの理由でちぎれ落下したパターン。また、ベルトが作業船から外れ、落下したパターン。さらに考えられる可能性として、ベルトからすり抜けて落下したパターンも考えられます。
   現場は当時、カシュニの滝方向に潮が流れ、進行方向とは逆の「逆潮」だったという証言もあります。地元漁師:「曳航している方向に(潮が)向かっている感じ。潮に向かっているようなスタイルになっていると思う。その辺は考えて曳航していたと思うが、それ以上に潮の影響があったのでは」  新たに分かったこともあります。曳航している際、目視は常にしていたわけではなく、気づいた時には「KAZU1」の姿が見えなかったといいます。
   海保担当者:「目視で10時ごろ確認したら確認できず、水中カメラを入れたが確認できなかったと連絡があった」

   立憲民主党・大串博志議員:「ずっと船の上からKAZU1を見ながら曳航していると思ったが、そうではなく時々見に行っていたということか?」  海保担当者:「そのように聞いている」立憲民主党・大串博志議員:「途中途中でしか目視していなかった。ある時、確認したら船影がなかった。これはやや驚きだ」 海保担当者:「船を曳航しているので常時、確認しながらと話はしている。ただ実際船が脱落しているので、なぜそうなったのか確認しなければ」事故は防げたのではないか。折しも24日、運航会社への重い処分の方針が明らかになりました。

   特別監査を行った国交省。その結果、出航判断の基準が守られていなかったことや、運航管理責任者である桂田社長が外出していて事務所にいなかったことなど、海上運送法の違反が複数確認されたということです。
   最も重い処分に、大臣は強い言葉でその理由を述べています。斉藤国土交通大臣:「安全管理規程により構築されるべき複層的なセーフティーネットが機能せず、輸送の安全確保の仕組みを破綻させました。昨年6月の特別監査で指摘された事項の違反を繰り返すなど、安全管理体制の改善意識がみられないことが、今回の特別監査において確認されました」  来月14日に知床遊覧船から意見を聞き、来月中旬にも行政処分としては最も重い事業許可の取り消しをする方針です。
   いまだ行方が分かっていない12人。そして、いまだ分かっていない事故原因。その大きな手掛かりとなるはずだった船体の落下。作業はどこからやり直すのでしょうか。


2022.05.21-河北新報 ONLINE NEWS-https://kahoku.news/articles/knp2022052101000236.htm
国後島で発見遺体は不明甲板員か 知床沈没、そばに運転免許証

  北海道・知床半島沖で観光船が沈没した事故で、ロシアが実効支配する北方領土・国後島で見つかった遺体のそばで日本の車の運転免許証が見つかっていたことが21日、分かった。第1管区海上保安本部(小樽)が明らかにした。名義人の氏名の読みから、事故で行方不明となっている曽山聖甲板員(27)の可能性がある。

   現場海域では21日、海上保安庁から依頼された「日本サルヴェージ」による船体引き揚げの準備作業が始まった。
   1管によると、ロシア側が19日に「国後島西岸で性別不明の遺体が見つかった」と連絡。その後、遺体のそばに「ソヤマ・アキラ」名義の免許証があったとの情報を寄せた。


2022.05.19-Yahoo!Japanニュース(毎日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/37208a88e5a0b351ee31959369359f6138cbe1a2
飽和潜水で船内捜索、不明者見つからず 知床観光船事故-【平家勇大】

  北海道・知床半島沖で観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が沈没した事故で、海上保安庁の依頼を受けた民間業者「日本サルヴェージ」の潜水士が19日午後、水深約120メートルの海底に沈んだ船に「飽和潜水」という特殊な手法で入り、船内を捜索した。この日の捜索では、行方不明者は見つからなかった。これまでの捜索はカメラを備えた無人潜水機によるもので、実際に人が潜って捜索するのは今回が初めて。飽和潜水による捜索は20日も行われる予定だ。

  飽和潜水の機材を積んだ同社の作業船「海進」は午前7時ごろ、現場海域に到着した。第1管区海上保安本部によると、当初は午後1時の作業開始を予定していたが、潮流が強いことから一時的に作業を見合わせた。同3時半ごろに作業を再開し、同4時10分ごろに潜水士3人を乗せたカプセル型の水中エレベーターが水深約100メートルに到達。同25分ごろから飽和潜水による捜索に着手し、午後6時半ごろ終了した。
  飽和潜水は深い海での作業を可能にする特殊な潜水技術。潜水士らはまず、船上の完全密閉の小部屋「加圧室」に入り、作業地点の深い海と同じ気圧に体を慣らした。その後、同じ気圧に保たれた水中エレベーターで海中へ潜った。
  水深約120メートルでは地上の約13倍の圧力を受ける。深く潜って水圧が高くなるほど、呼吸で取り込む窒素が血液や体の組織に溶けやすくなり、浮上時に窒素が気泡となって血管や臓器を傷つける減圧症(潜水病)の危険性が高まる。このため捜索の際は、あらかじめ同じ気圧に体を慣らしておく必要がある。
  事故では、乗客乗員計26人のうち今も12人の行方がわかっていない。飽和潜水による捜索は2日程度で終了し、船体引き揚げに向けた調査も行われる見通し。
【平家勇大】


2022.05.14-RAKUTEN Infoseek News(KYODO)-https://news.infoseek.co.jp/article/kyodo_kd-newspack-2022051401000634/
運航補助歴「4年半」と社長申告 元社員は否定、知床観光船事故

  北海道・知床半島沖の観光船「KAZU 1(カズワン)」沈没事故で、運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長(58)が昨年3月、自らを運航管理者」に選任したと国に届け出た際、「4年半にわたり、会社で運航管理補助の経験がある」と申告していたことが14日分かった。この期間中に同社に在籍した男性は「補助は全くやっていない」と証言。国土交通省は特別監査に着手し、実態解明を進めている。

  国交省への取材によると、桂田社長は北海道運輸局に自らを運航管理者に任命したとする書類と自社作成の資格証明書を提出。16年10月~21年3月、運航管理補助の経験があるなどと記入していた。


2022.05.13-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220513/k10013624371000.html
国後島で女性の遺体発見 観光船事故の行方不明者の可能性も

  北方領土の国後島の海岸で女性の遺体を発見したとロシア側から連絡があり、第1管区海上保安本部は、北海道の知床半島沖で沈没した観光船の乗客の可能性もあるとみてロシア側と連絡を取り合い確認を進めることにしています。

  第1管区海上保安本部によりますと、北方領土の国後島の海岸に女性の遺体が打ち上げられているのが見つかったと今月10日、ロシア側から連絡を受けたということです。遺体は今月6日に島の西側の海岸で見つかり、その後、島にある病院に収容されましたが、身元の特定につながる所持品などは見つかっていないということです。
  国後島に近い知床半島の沖合では、先月23日に観光船「KAZU 1」が沈没する事故があり、今も12人の行方が分からなくなっています。
  海上保安本部は、見つかった遺体は沈没した観光船の乗客の可能性もあるとみて、すでに乗客の家族にこの情報を伝えているということです。引き続き、ロシア側と連絡を取り合い、身元の確認を進めることにしています。
  一方、観光船の沈没事故をめぐっては、海上保安本部などが知床半島から国後島の周辺にかけての広い範囲で夜を徹して行方不明者を捜しているほか、警察は来週、半島東部の羅臼町側の海岸線で陸地からの捜索を行う予定です。
行方不明者発見の経緯
  最初に行方不明者が見つかったのは、事故翌日の先月24日午前。現場のカシュニの滝付近から北東に14キロほど離れた知床岬の西側や北東の海上や岩場などで10人が見つかりました。
  同じ日の夜、現場からより離れた知床岬の東およそ14キロの海上でも1人が見つかりました。さらに事故から6日目の先月28日、知床岬の南南東およそ23キロから24キロの海上で合わせて3人が見つかり、現場から知床半島をはさんで羅臼町側の海域に達していました。
  海上保安本部は、知床半島周辺から北方領土の国後島周辺まで範囲を広げて捜索を続けていますが、先月28日を最後に行方不明者は見つかっていません。
  一方、先月27日、ロシアの警備艦が国後島の西側の海域で救命胴衣を着けて漂流する人を見つけましたが、天候が悪く救助できないまま見失ったということです。そして13日新たに、今月6日国後島の西側の海岸に女性の遺体が打ち上げられているのが見つかったとロシア側から連絡があったことが明らかになりました。
  海上保安本部は、行方不明になっている観光船の乗客の可能性もあるとみて確認を進めることにしています。
官房長官 “すでに該当の可能性あるご家族に伝えた”
  松野官房長官は、午後の記者会見で「女性については、現時点で事故との関係性は不明だが、今月10日にロシア当局から海上保安庁に対して『6日に国後島の西岸で女性の遺体が発見され、国籍は不明で、今後詳細が分かれば連絡する』などと情報提供があった。提供された情報は、すでに海上保安庁が該当する可能性があるご家族に伝えた。外交ルートを通じて、ロシア側にさらなる情報を照会し、事実関係の確認を進める」と述べました。
  また、記者団が「観光船に乗っていた人のリュックサックが国後島沖で発見され、ロシア側が引き上げたという情報があるが」と質問したのに対し、松野官房長官は、先月28日にロシア側から海上保安庁に対して、日本人名義の銀行カードが入ったリュックサックを引き上げたと連絡があり、外交ルートで引き渡すよう申し入れていると明らかにしました。


2022.05.07-日本経済新聞(KYODO)-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE072YU0X00C22A5000000/
知床事故 国交省、運航会社の事業許可取り消し検討-〔共同〕

  北海道・知床半島沖の観光船沈没事故で、国土交通省が運航会社「知床遊覧船」(北海道斜里町)に実施している特別監査の内容を踏まえ、同社の事業許可取り消しを含む処分を検討していることが7日、分かった。取り消しは海上運送法に基づく行政処分では最も重い。

  また、同社の桂田精一社長が自らを「運航管理者」に選任する際、同省に「3年以上の実務経験がある」と届け出ていたことや、船舶免許は持っていなかったことも判明した。
  海上運送法施行規則は、運航管理者の要件について船長として3年以上または甲板員として5年以上の経験運航管理の3年以上の実務経験――などと定めている。同省関係者によると、桂田社長は自らが3年以上の実務経験に該当するとして北海道運輸局に書類を提出していた。
  桂田社長は乗客の家族に当初、観光船の船長が運航管理者だと誤って説明したほか、配布した文書に「運航について社員に任せている部分が多かった」と記載していた。
〔共同〕


2022.05.01-JIJI COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2022050100151&g=soc
水中カメラで捜索続く 救助要請、乗客携帯から―知床観光船事故

  北海道・知床半島沖で26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が遭難した事故で、第1管区海上保安本部(小樽市)などは1日も行方不明者12人の捜索を続けた。水深約120メートルの海底で見つかった船体の中に取り残されている可能性もあるとみて、引き続き水中カメラを投入して調べている。

  海保によると、先月30日は海上自衛隊と共に水中カメラで船体の確認を進めた。海自からは船の後部ドアが開いた状態との報告を受けたが、行方不明者につながる手掛かりは得られなかったという。1日は北海道警も加えた3機関がカメラを投入する予定。
 事故当日のカズワンからの救助要請が、乗客の携帯電話から発信されていたことも判明した。カズワンの運航会社側は事故3日前の国の検査で、航路上の大半が通信エリア外とされる自分の携帯を外部との通信手段として申請しており、つながらなかった可能性がある。


2022.04.29-東京新聞(KYODOU)-https://www.tokyo-np.co.jp/article/174631
遭難した観光船を知床沖「カシュニの滝」付近の海底で発見 海自が水中カメラで確認

  北海道・知床半島沖で乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU 1(カズワン)」=19トン=が遭難した事故で、海上自衛隊が29日、現場海域を水中カメラで調べた結果、沈んでいるカズワンを確認した。不明者が船内に取り残されている恐れもあり確認を急ぐ。事故では14人が死亡、12人が行方不明となっている。

   海上保安庁などによると、不明者を捜索している船の水中音波探知機(ソナー)に、カズワンから救助要請があった「カシュニの滝」付近の海中で船体らしき反応があった。現場海域周辺は岩礁や浅瀬が多いほか、海底の地形も複雑。沿岸部の水深は数十メートル程度だが、沖に出れば100メートル以上になるところがあり、すり鉢状に急に深くなる場所もある。
   カズワンは23日午前10時ごろ、斜里町のウトロ港を出た。午後1時15分ごろ、北東約27キロのカシュニの滝付近で「船首が浸水している」と第1管区海上保安本部(小樽)に救助を要請。同2時ごろ、運航する知床遊覧船(斜里町)に「30度ほど傾いている」と連絡後、音信が途絶えた。(共同)


2022.04.29-FNN プライムオンライン(北海道文化放送)-https://www.fnn.jp/articles/-/353960
知床観光船遭難 死亡確認の3人 KAZU1の救命胴衣着用 成人男性 海面に浮いている状態で発見

  北海道斜里町の知床半島沖で26人が乗った観光船KAZU1(カズワン)が遭難した事故で、4月28日午後、新たに3人が見つかり、搬送後に死亡が確認されました。3人ともKAZU1の救命胴衣を着用していました。

   第一管区海上保安本部によると、今回見つかった3人は、知床半島のこれまで乗客が見つかった斜里町沖と反対側の羅臼町側で見つかりました。
   3人のうち2人は28日午後4時30分、知床岬灯台から南南東方向23.9キロメートル付近の海域で、海上自衛隊が救助しました。 もう1人は、28日午後6時13分、同じ南南東方向に23.0キロメートル付近の海域で海上保安庁の巡視船が救助したということです。 見つかった3人は、いずれも海面に浮いている状態で発見されました。 3人とも成人の男性で、搬送後死亡が確認されました。3人ともKAZU1の救命胴衣を着用していました。
   UHBの気象予報士によると、事故発生の23日から27日にかけて、海流が知床半島の北側から羅臼町側にまわり込んでいるものがあるということです。
   海保では、3人は乗客乗員とみて身元確認などを急いでいます。
   この遭難事故では、27日までに計11人が見つかり死亡が確認されていて、今回新たに3人が見つかり、残る12人の乗客乗員の捜索が続けられています


2022.04.28-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220428/k10013602791000.html
知床 観光船遭難 運航会社の社長“出航の判断は間違い”と謝罪

  北海道 知床半島の沖合で11人が死亡、15人が行方不明になった観光船の事故で27日、運航会社の社長が記者会見を行い、事故当日、出航を決めた判断について「いまとなれば間違っていたと思っている」と述べ謝罪しました。第1管区海上保安本部は事故の背景に安全管理上の問題がなかったか実態把握を進めることにしています。
  今月23日、乗客・乗員26人を乗せた観光船「KAZU 1」(19トン)が知床半島の沖合を航行中に遭難した事故は、これまでに見つかった乗客11人が死亡し、ほかの15人はいまも行方が分かっていません。

  27日に観光船の運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長が事故の後、初めて記者会見しました。
  冒頭、謝罪のことばを述べた桂田社長は当日の朝、船長から「出航可能」という報告を踏まえ海が荒れるようであれば引き返す、条件付きの運航とすることにして出航を決めたと説明しました。
  また、事故の当日、事務所の無線のアンテナが故障していたうえ、船の衛星電話も修理中で使えないなど、連絡手段が不十分だったにもかかわらず、出航を決定していたということです。
  桂田社長は出航を決めた判断の是非を問われると「いまとなれば、間違っていたと思っている」と述べました。
  第1管区海上保安本部は、事故の背景に安全管理上の問題がなかったか会社側から話を聞くなどして実態把握を進めることにしています。一方、現場海域の周辺では事故から6日目となる28日も捜索が続けられていて、海上保安本部などが行方不明者の発見を急ぐことにしています。


2022.04.25-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220425/k10013597401000.html
知床 観光船遭難事故 新たに子ども1人死亡確認 死者は計11人に

  北海道の知床半島の沖合で乗客・乗員26人が乗った観光船が遭難した事故は、新たに子ども1人の死亡が発表され、これまでに現場海域の周辺で救助された11人全員の死亡が確認されました。
事故から3日目となる25日も海上保安本部や自衛隊などが範囲を広げて捜索を続けています。

  23日、乗客・乗員26人を乗せ斜里町ウトロを出港した観光船「KAZU 1(19トン)」が知床半島の沖合を航行中に遭難した事故は24日、現場海域の周辺で見つかった男性7人、女性3人の合わせて10人が死亡したほか、第1管区海上保安本部は25日、24日夜に新たに救助された子ども1人の死亡が確認されたと発表しました。
  これでこれまでに救助された11人全員の死亡が確認されたことになり、第1管区海上保安本部が身元の確認を進めています。
範囲を広げて捜索継続
  一方、現場海域の周辺では事故から3日目の25日も海上保安本部や自衛隊、それに地元の漁業関係者などが捜索に当たっています。
  ただ知床半島沿岸の海域は場所によって水深が100メートル以上と深いところがあるうえ潮の流れが速く、海上保安本部によりますと、救助された人の中には半島の先端から東へ14キロ余りの沖合に流されていた人もいたということです。
  海上保安本部などは時間の経過によってほかにも沖合に流された人がいるとみて、さらに範囲を広げて捜索を続けることにしています。
死亡した子ども 東京の3歳の女の子か
  斜里町によりますと、新たに死亡が確認された子どもは東京都内から両親と訪れていた3歳の女の子とみられるということです。また町によりますと、一緒に乗船していたとみられる両親はまだ見つかっていないということです。
国の船舶事故調査官 当時の海域の状況など情報収集
  国の運輸安全委員会の船舶事故調査官が斜里町を訪れ、運航会社「知床遊覧船」の事務所や地元の漁協などを回り当時の海域の状況などについて情報収集を行いました。
  25日午前、国の運輸安全委員会の船舶事故調査官3人は斜里町役場のウトロ支所に設けられた現地対策本部を訪れました。続いて正午ごろ観光船の運航会社「知床遊覧船」の事務所に入り、従業員から話を聞きました。社長への聞き取りは救助や遺族対応の支障とならないよう25日は行っていないということです。
  さらに午後2時ごろには地元の漁協を訪れ、現場海域の特徴などについて情報を確認したということです。
  日程を終えた大熊寛章 統括船舶事故調査官は「事故当時は天候が悪かったと聞いているので海面や天候の状況を分析していく。今後は関係者や地域をよく知る人から気象や船体についての情報を収集していく。船体が見つかっていないので可能なかぎり船体に関する情報を多方面から収集したい」と述べました。船舶事故調査官は26日も情報の収集と分析を続けることにしています。
斜里町ウトロ 小型の観光船運航の4社 来月8日まで運航自粛
  斜里町ウトロで小型の観光船を運航している4社は遭難事故を受けて、観光船の運航を来月8日まで自粛することを決めました。知床斜里町観光協会によりますと「知床小型観光船協議会」は23日に発生した遭難事故を受けて、観光船の運航を来月8日まで自粛することを決めました。
  自粛するのは遭難した観光船を運航していた「知床遊覧船」を含めて協議会に所属している4社で、いずれも乗員50人程度の小型船を運航しています。来月9日以降、運航するかどうかは未定だということです。
  観光協会によりますと「知床遊覧船」は23日から、そのほかの3社のうち2社は早ければ今月28日から運航を始める予定だったということです。また大型の観光船「おーろら」についても、運航会社が今月28日から始める予定だった運航を来月8日まで取りやめる方針だということです。
官房副長官「政府一体となって対応に全力」
  磯崎官房副長官は記者会見で「亡くなられた方々に心より哀悼の意を表するとともに、ご家族の方々にお悔やみを申し上げたい。事案の発生を受け岸田総理大臣から人命救助を最優先にあらゆる手段を尽くして救助に取り組むよう指示があった」と述べました。そのうえで「おととい午後5時半に官邸内に情報連絡室を設置し関連情報の集約を行うとともに、現場周辺海域では海上保安庁の巡視船艇や航空機などが連携しながら捜索救助活動を行っている。またきのう国土交通省が現地対策本部を設置し国土交通大臣を派遣するなど、政府一体となって対応に全力を挙げている。引き続き行方不明者の捜索救助活動に全力を尽くしていきたい」と述べました。

  また磯崎官房副長官は「当日の運航の判断は各運航事業者が作成する安全管理規程に基づいて当日の気象などを考慮して行うことになっている。現在実施中の特別監査でこれらの点についても確認を行っており、監査結果などを踏まえて早急に再発防止策を取りまとめたい」と述べました。
官房副長官 初動対応を説明
  一方、磯崎官房副長官は記者会見で「海上保安庁の捜索部隊が現場に到着するまで時間がかかった理由はなぜか」と問われたのに対し「午後1時13分ごろに救助要請を受けた。最も近い釧路航空基地所属の回転翼機は当時、哨戒業務中で現場海域が遠方で、つり上げ救助などの活動時間を確保するために燃料を補給する必要があった」と述べました。そして「救助活動を行うための海上保安庁の潜水士を同乗させる必要があったことから午後2時38分に釧路航空基地へいったん帰投し、給油活動および潜水士を同乗させたのちに午後3時20分に基地を出発し午後4時30分に現地付近海域に到着した」と述べました。
  そのうえで「今般の捜索活動では狭い区域で一度に航空機が集中しないよう管内の航空基地からの距離、機体の状況などを踏まえて関係機関も含めた空域調整をし、現場海域において連続した捜索活動を行うために必要な勢力を投入した」と述べました。
  また船による救助について「航空機と同じく午後1時22分ごろに道東を管轄する部署に所属する巡視船に対して発動の指示を行った。通常の速力であれば、より早期に現場付近に到着できたと考えられるが当日、海上が荒天下だったため通常の速力が出せず最初に到着した巡視船も午後5時55分に現地付近に到着した。海上が非常に荒天だったことが通常よりも時間がかかった原因だと認識している」と述べました。
  さらに「海上保安庁と自衛隊との連携など初動対応に問題はなかったか」と問われたのに対し、磯崎官房副長官は「救助要請を受けた時点で現場付近海域の具体的な状況が不明だったことから、海上保安庁の航空機による現場確認を実施したうえで災害派遣を要請した。海上保安庁の航空機ではカバーできない夜間の時間帯も連続して捜索を行うため航空自衛隊と分担調整を行い災害派遣の要請が受理された。しっかりと連携が取れた中で行動したと承知している」と述べました。
公明 山口代表「原因調査し再発防止策を確立してもらいたい」
  公明党の山口代表は訪問先の熊本市で記者団に対し「犠牲になった方のご冥福を心からお祈り申し上げる。船の安全性や操船に問題はなかったか、気象条件を甘く見すぎていなかったかなどさまざまなことが考えられるので、国土交通省には原因をしっかり調査し再発防止策を確立してもらいたい。大型連休で人出が増えると予測されるので、事業者などには乗り物や遊具などの安全点検をしっかり行ってもらいたい」と述べました。


2022.04.24-NHK NEWS WEB - https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220424/k10013596181000.html
観光船の捜索 救助された10人の死亡確認 北海道 知床半島沖

  23日、北海道の知床半島の沖合で乗員 乗客26人が乗った観光船が遭難した事故で、これまでに救助されていた男女合わせて10人の死亡が確認されました。海上保安本部が身元の確認を進めるとともに、現場海域の周辺でほかに人がいないか引き続き、捜索にあたっています。
  23日、北海道斜里町ウトロを出港し知床半島の沖合を航行していた観光船「KAZU 1(19トン)」から「船首が浸水し、沈みかかっている」と救助要請の通報があり、その後連絡が取れなくなった遭難事故では、子ども2人を含む24人の乗客のほか、斜里町に住む豊田徳幸船長(54)と甲板員で東京 調布市の曽山聖さん(27)の合わせて26人の行方が分からなくなっています

  海上保安庁や災害派遣要請を受けた自衛隊などが斜里町の「カシュニの滝」近くの海域で捜索を続けた結果、24日はこれまでに知床岬の先端付近の海上や岩場などで合わせて10人が相次いで救助されました。第1管区海上保安本部によりますと、10人は病院に運ばれるなどしましたが、その後いずれも死亡が確認されたということです。亡くなったのは男性7人女性3人で、いずれも大人とみられるということです。
  海上保安本部が身元の確認を進めるとともに、現場海域の周辺でほかに人がいないか、引き続き自衛隊などと合同で捜索にあたっています。10人発見の場所は重点捜索範囲の北側 船が北に流されたか
  海上保安庁によりますと、通報があった北海道斜里町の「カシュニの滝」と呼ばれる場所の近くの海域を中心に捜索を進めていましたが、10人が見つかったのは、北におよそ14キロ離れた知床岬の周辺で、当初重点を置いた捜索の範囲より北寄りだったということです。
  付近からは観光船が備えていたとみられる救命道具も見つかっています。知床半島の西側の海域は北向きの潮の流れで、観光船の乗員は「エンジンが止まっていて、自力で航行できない」と話していたということで、海上保安庁は観光船が通報した場所から動けないまま北に流された可能性もあるとみて詳しいいきさつを調べています。
乗客の年齢は10歳未満~70歳代
  国土交通省は、観光船の乗客24人について、年齢は10歳未満から70歳代で、居住地は北海道から九州地方までの9つの都道府県であることを明らかにしました。また、捜索活動については、観光船がすでに沈没している可能性もあるとして、水中音波探知機を使って海底の状況を調べているほか、捜索範囲を知床半島の先端から半径およそ20キロのエリアまで広げているということです。
  一方、今回の事故を受けて全国の旅客船の事業者に対して、改めて船の点検や運航の安全を徹底するよう文書で求めたということです。
佐賀 有田町の男性と連絡取れず 同じ町内の男性2人と乗船か
  この事故で、乗客のうち1人は佐賀県有田町の78歳の男性とみられ、事故のあと連絡が取れなくなっていることがわかりました。この男性の長男によりますと、親族が観光船を運営する会社に問い合わせたところ、男性がこの観光船に乗っていたことがわかったということです。男性は今月20日から町内の友人の男性2人とともに北海道旅行に出かけ、船にも3人で乗っていたと聞いたということです。
  この男性の長男はNHKの取材に対し「状況はかなり厳しいと思うが、なんとか生きていてほしい。なぜこんなことになったのか会社に説明してほしい」と話していました。
救助された9人中5人は救命胴衣着用
  NHKのヘリコプターで午後0時15分ごろ、知床岬の先端付近の上空から撮影した映像では、岩場に「KAZU 1」と書かれたオレンジと白の浮き輪が打ち上げられているのが確認できます。
  また海上保安庁によりますと、午前中に救助された9人のうち、5人については、救命胴衣を着けた状態で見つかったということです。運航会社は、乗客・乗員の全員が救命胴衣を着けていたと説明しているということで、海上保安庁は、ほかの4人については発見されるまでの間に救命胴衣が脱げるなどした可能性もあるとしています。
斜里町で家族対象の説明会 運航会社の社長が謝罪
  事故を受けて行方不明になっている乗客の家族などを対象に会社や国の担当者などが、斜里町で説明会を開きました。説明会は斜里町内の施設で午後から行われ、観光船の運航会社の社長のほか、斜里町の馬場隆町長、それに国土交通省や海上保安庁の担当者などが出席しました。
  説明会のあと、馬場町長は取材に応じ、「きょうは20人余りの家族が出席し、捜索に関する情報が入ってこないことに強く憤っていると言われた。このため今後は、1日3回説明会を開くことにする」と説明しました。町長によりますと、乗客の多くは道外の関東や関西、それに四国や九州地方から訪れていたということです。
  また、説明会で運航会社の社長が家族に謝罪したのに対し、家族からは「しっかり責任を持って対応して欲しい」などと厳しい声が上がっていたということです。
  馬場町長は「10人の方が犠牲になり、大変残念なことになってしまったが、まだ見つかっていない人たちが元気なかたちで発見されることを願うしかない」と話していました。
国交省 事故の観光船運航会社への特別監査始める
  この事故を受けて斉藤国土交通大臣は、24日午後1時ごろ、北海道斜里町に設けられた現地対策本部を訪れました。そして、事故の調査にあたっている職員に対し、観光船を運営する会社に速やかに特別監査を行うよう指示をしました。そのうえで「遭難した方のご家族の気持ちに十分配慮し、できる限りの支援と情報提供をしてほしい」と訓示しました。
  また、斉藤大臣は、現地対策本部で行方不明者の家族と面会し、一刻も早い救助を行うよう要請を受けたということです。そして24日午後4時、国土交通省の担当者4人が観光船「KAZU 1」を運航する「知床遊覧船」の事務所に入り調査を始めました。
  国土交通省によりますと、この会社が運航し、今回事故が起きた観光船は、去年5月には浮遊物にぶつかって乗客3人がけがをする事故を起こしていたほか、去年6月にも座礁事故を起こし、会社は国に改善報告書を提出していたということです。
  国土交通省は再び事故が起きた事態を重くみて、法律の基準に基づき運航していたかや船の整備状況は適切だったかなどについて詳しく調べるほか、会社の代表などから聴き取りを行うことにしています。
北海道が災害対策本部会議
  24日午前に開かれた道の災害対策本部会議は、鈴木知事のほか捜索にあたっている第1管区海上保安本部や自衛隊の担当者らが出席して行われました。
  この中で鈴木知事は「海上保安本部、自衛隊、警察と連携して、安否が不明となっている人の一刻も早い救助活動に全力を挙げて取り組んでいく。救助が必要な人が発見された場合の医療救護活動や、家族が現地にいる際のきめ細かな対応など、人命を最優先として、家族の方々の気持ちに寄り添った支援をしてほしい」と述べました。
  また会議では、網走厚生病院からDMAT=災害派遣医療チームが派遣され、斜里町ウトロの救護所で対応にあたる体制がとられていることが説明されました。さらに、気象台の担当者は現場周辺の海域の海水温は5度以下の状況が数日続くため注意が必要だと報告しました。
鈴木知事 「人命救助を最優先 原因究明の徹底を」
  北海道の鈴木知事は、災害対策本部会議のあと記者団に対し、「斉藤国土交通大臣と電話で対応を協議し、私からは、人命救助を最優先で連携して取り組むということを 申し上げるとともに、なぜ、こういった状況になったのか、指導・監督権限を持つ国土交通省として原因究明を徹底して行ってほしいとお願いした」と述べました。
  そのうえで、「安否が不明とされる中で、乗客の家族の中には大変な不安を感じながら、現地に入られる方も出てくると思う。道として、そういった皆さんに寄り添った対応をしていきたい」と述べました。
  また、鈴木知事は、大型連休を控え「各観光地で、連休に入る前に安全確認を再点検するよう呼びかけていくことが大事だ。安全、安心に北海道に来てもらえるよう、指導・監督権限を持っている国とも連携し、できるだけ早く呼びかけを行っていきたい」と述べました。
町民「無事であってほしい」
  観光船に乗っていたとみられる人が発見されたことを受けて、斜里町内の飲食店で働く40代の女性は「ひと事とは思えないような気持ちです。無事であってほしい」と絞り出すような声で話していました。
  また、ウトロ港の近くに住む60代の男性は、「見つかってよかったというのも半分あるし、心配しています。町の人もみんなそうだと思います」と話していました。
  漁業関係者によりますと、24日午前6時ごろ、斜里町のウトロ港で消防や海上保安庁の関係者、それに漁業者らが話し合い、漁業者に捜索協力の要請がされたということです。これを受けてウトロ港から次々と船が捜索に向かいました。
船長は去年6月 浅瀬に乗り上げる事故で書類送検
  「KAZU 1」は、去年6月、浅瀬に乗り上げる事故を起こしていました。
  第1管区海上保安本部によりますと、「KAZU 1」は、去年6月11日、斜里町のウトロ漁港を出港した直後に浅瀬に乗り上げました。観光船には子ども2人を含む乗客21人と乗員2人のあわせて23人が乗っていましたが、けが人はなく、自力で浅瀬を離れて港に戻ったということです。
  この事故では、今回の遭難で行方が分からなくなっている豊田徳幸船長(54)が業務上過失往来危険の疑いで書類送検されていました。第1管区海上保安本部は当初、42歳の船長と説明していましたが、その後、発表を訂正しました。
家族対象の相談窓口(03-5253-8969)を設置
  国土交通省は24日夜、対策本部会議を開きました。この中で斉藤国土交通大臣は、乗客の家族などへの支援について「現地対策本部で安否確認などの情報提供を求める痛切な声を聞いた。関係部局でご要望にしっかりと対応して欲しい」と述べ、24時間体制で支援を行うよう指示しました。
  国土交通省では「公共交通事故被害者支援室」に乗客の家族などを対象にした相談窓口を設け、当面、24時間、相談を受け付けます。
  電話:03-5253-8969 - Mail:hqt-k-shien@gxb.mlit.go.jp
  国土交通省は、25日から渡辺副大臣を現地の対策本部に派遣し、行方が分からなくなっている人の捜索に全力をあげるとともに観光船の運航会社への特別監査を引き続き実施して、安全管理体制に問題がなかったかどうかなどついて詳しく調べることにしています。


2022.04.23-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/national/20220423-OYT1T50223/
消息不明の遊覧船、昨年に浅瀬に座礁…知床沖であいつぐ観光船事故

  北海道・知床半島沖では、観光船による事故がたびたび発生している。
  2005年6月には、知床岬灯台沖の「観音岩」付近で、遊覧航行していた観光船が岩に乗り上げて座礁し、航行不能になる事故が発生。この船には観光客32人が乗船しており、うち26人が床に投げ出されるなどして重軽傷を負った。

  また、19年6月には小型観光船が航行中、 操舵そうだ ミスで船体が大きく揺れ、乗客37人中6人が転倒して肘を骨折するなど重軽傷を負った。今回事故を起こした観光船「KAZU I」は昨年6月にも、出港後に座礁事故を起こしていた。
  このほか、北海道小樽市や宮城県石巻市などでも、過去に観光船の座礁事故や衝突事故が発生し、複数のけが人が出ている。


2022.04.23-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASQ4R6FQLQ4RUTIL02B.html
「浸水」と通報あった観光船、発見できず 夜間は捜索困難に 北海道

  第1管区海上保安本部によると23日午後1時13分ごろ、北海道・知床半島西部沖を航行中の観光船から、「浸水している」との118番通報があった。航行していたとみられる現場付近には海上保安庁のヘリコプターなどが到着し、捜索しているが、午後9時時点で船は発見できていないという。

  船は北海道斜里町の「知床遊覧船」が運航する「KAZUⅠ(カズ ワン)」。乗員・乗客は計26人で、大人22人、子ども2人、乗組員2人とみられる。自力航行が出来る状況かどうかは不明という。
  海上保安庁によると、現地にはこのヘリを含めて、巡視船艇5隻、航空機2機を出動させている。午後7時半現在で航空機2機と巡視船3隻が現場付近についているが、手がかりはないという。夜間になると、捜索が難しくなるという。
  観光船は知床半島西部の「カシュニの滝」の沖合を航行していたという。


2022.03.21-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASQ3P55HCQ3PTLTB006.html
種子島沖でマグロ漁船火災 乗組員1人死亡、4人が行方不明

  21日午前7時25分ごろ、鹿児島県・種子島沖を航行中のコンテナ船から「火災船を確認した」との情報を海上保安庁が受信した。第10管区海上保安本部によると、火災が起きた船には日本人を含む乗組員8人がおり、4人が救助されたがうち1人が死亡、ほか4人が行方不明という。

  火災が発生したのは、高知県須崎市の会社が所有するマグロはえ縄漁船「第51勇仁丸」(19トン)。乗組員は日本人2人とインドネシア人6人。
  現場は種子島から南東約185キロメートルの海上。午前7時半ごろ、インドネシア人3人が、付近を航行していたタンカーに救助された。いずれも意識があるという。そのうちの1人は、同日早朝にエンジン室のほうから爆発音が聞こえ、船室に煙が入ってきたため、インドネシア人の乗組員は全員海に飛び込んだ、と説明しているという。
  午後1時半ごろには、海保の巡視船が漂流中の別の男性乗組員1人を救助したが、間もなく死亡。10管が残る4人を捜索している。



2021.08.13-河北新報 Online News-https://kahoku.news/articles/20210812khn000042.html
船体二つに割れ油流出 八戸港沖でパナマ船座礁

  青森県八戸市の八戸港で11日にパナマ船籍の貨物船「クリムゾン ポラリス」(3万9910トン)が座礁し、船体に亀裂が入った事故で、第2管区海上保安本部(塩釜市)は12日、船体が朝になって二つに割れ、油が流出したと発表した。2管本部の巡視船などが油の除去と船の監視を続けている。

  政府は同日、首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置運輸安全委員会は船舶事故調査官3人を現地に派遣した。青森県も災害警戒本部を設け、漏れた油が県内の海岸に到達する場合に備え、海保や関係漁協と情報交換している。

  2管本部によると、船は港から北約4キロの海上に停泊している。割れた船体のうち船首部分の移動は確認されていない。船尾部は漂流状態だが、近くにとどまっている。船からは約20メートル四方の板状の荷室のふたも流出し、三沢市の三沢漁港の防波堤付近に漂着した。

  船尾部付近から長さ約24・3キロ、最大幅約800メートルの範囲で、茶色の油が浮遊しているのが確認された。午後4時15分現在、先端が三沢漁港の北約12キロ付近へ達しているという。
  貨物船は11日に港内で座礁し、自力で移動したものの、荒天で航行困難となった。船体の一部に入った亀裂が拡大し、フィリピン人と中国人の乗組員21人が救助された。木材チップを積み、タイから八戸港に向かっていた。


2021.07.24-NHK NEWS WEB-
海水浴場で5歳男児が死亡など全国で水の事故相次ぐ

  5歳の男の子が鳥取県米子市の海水浴場で死亡するなど、24日は、全国で水の事故が相次ぎました

5歳男児が死亡 海でおぼれたか
  24日午前11時すぎ、米子市皆生温泉にある海水浴場、「皆生温泉海遊ビーチ」で、男の子がうつ伏せの状態で浮かんでいるのを海水浴客が見つけました。男の子は海から引き上げられて病院に運ばれましたが、およそ2時間半後に死亡が確認されました。
  警察によりますと亡くなったのは、米子市内に住む保育園児の野上丈尊くん(5)で、父親と兄と一緒に24日午前10時ごろから海水浴に訪れていたということです。男の子が見つかったのは、波打ち際からおよそ15メートルのところに海水浴場を囲むように並ぶ波消しブロックの砂浜側で、波は穏やかな状態だったということです。
  海の深さは1メートル40センチほどで当時、1人で泳いでいたということで、警察は誤って溺れたとみて詳しい状況を調べています。
男子高校生1人が死亡 北海道
  24日午後4時ごろ、北海道小樽市銭函3丁目の新川の河口付近で17歳の男子高校生1人の行方がわからなくなったと一緒にいた友人から海上保安部に通報がありました。
  消防や警察、それに海上保安部が捜索した結果、およそ1時間後に海の中で男子高校生を発見しましたが、搬送先の病院で死亡が確認されました。
  警察によりますと、死亡したのは札幌市手稲区の園部寛人さん(17)で24日は10人の友人と一緒に、現場の河口付近を訪れ、このうち4人と川に入って遊んでいたということです。
男子高校生が心肺停止 愛媛
  24日午後2時ごろ、愛媛県大洲市の肱川で「川に入っていた1人が溺れたようだ」という通報が消防にありました。
  警察や消防によりますと、溺れたのは大洲市の17歳の男子高校生で午後5時半ごろ川の中から救助し、病院に搬送しました。心肺停止の状態だということです。高校生は24日午後1時ごろから友人5人と一緒に川で泳いでいたということです。
  現場は大洲市の観光名所「臥龍山荘」の近くで、川は水深5メートルから10メートルほどある場所だということです。
  警察は高校生が川遊びをしているうちに溺れたとみて、詳しい状況を調べています。大洲市は24日の最高気温が35.3度と猛暑日となっていました。
留学生が行方不明に 愛知
  24日午後4時すぎ、田原市日出町の海岸近くにいた人から「3人グループのうちの1人が溺れている」と消防に通報がありました。
  鳥羽海上保安部などによりますと、行方がわからなくなっているのは、愛知県豊橋市に住む24歳の外国人留学生の男性で、この男性を含む大学生3人で泳ぎに来ていたということです。
  現場は、渥美半島の先端にある遊泳が禁止されている海岸で、海上保安部や警察、消防などが、ヘリコプターや巡視艇などを出して捜索しましたが見つからず、25日朝から改めて捜索することにしています。
46歳男性が死亡 三重
  24日午前8時ごろ、三重県紀北町の又口川で大阪・城東区の壽崎博さん(46)が水中で意識を失っているのを友人たちが見つけ消防に通報しました。
  警察や消防によりますと、壽崎さんは友人たちに救助されてドクターヘリで病院に搬送されましたが、昼すぎに死亡が確認されました。警察によりますと壽崎さんは、友人4人と24日朝、紀北町を訪れ、川遊びをしていたということで、警察は当時の状況を詳しく調べています。
  紀北町の山あいを流れる又口川は、清流で知られる銚子川の支流で、警察によりますと現場の川幅は5メートルほど深さはおよそ2メートルあるということです。
62歳男性が死亡 兵庫
  24日午後2時半ごろ、兵庫県たつの市の沖ノ唐荷島で「沖合で海水浴をしていた男性が溺れて心肺停止している」と消防に通報がありました。消防が男性を救助し市内の病院に搬送しましたが、およそ1時間半後に死亡が確認されました。
  姫路海上保安部によりますと、死亡したのは大阪・吹田市に住む自営業の伊藤浩さん(62)で、24日朝から友人と海水浴に訪れ、当時、沖ノ唐荷島から5キロほど離れた沖合で1人で泳いでいたということです。
  海上保安部は、泳いでいた際、誤って海水を飲んで溺れたとみて当時の詳しい状況を調べています。


2021.07.07-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210707-WCINHBTGXVKUXHIHHHF6LYH42U/
船舶大型化が招く事故リスク 海上保険料15%アップも

  貨物船が座礁事故などを起こしたときのために加入する海上保険の保険料が上昇傾向にある。業界関係者によると、保険料の水準は今年1月に15~20%も上昇。過去10年程度でみても同様の流れが続いている。背景には多発する事故や、海運業界が運送効率向上のために進めてきた船舶の大型化に伴う事故被害額の高額化がある。3月にエジプト・スエズ運河で座礁事故を起こしたコンテナ船も最大クラスの大きさだった。船舶の大型化は悪天候の影響を受けやすくなるという欠点もあり、規制の必要性も指摘されている。

  「世界で大型船の全損や座礁、火災事故が相次いでおり、保険料率が引き上がる要因になっている」大手損害保険会社の担当者は、そう説明する。保険料率は保険金額に対する保険料の比率を示す値。水準は契約ごとにさまざまだが、ある保険代理店の担当者は「例えば貨物保険でいえば積む貨物の価格に対して0・3~0・5%をめどに保険料の交渉が始まることが多い」と話す。
  業界関係者によると、今年1月の契約更改期、保険料率の世界的な水準が従来より15~20%も上昇した。ここ2、3年は保険料率が上がっており、10年程度でみても、やはり上昇傾向が続いているという。

  保険会社がリスク分散のために加入する「再保険」を引き受けている英ロイズ保険組合の市場でも、昨年1年間で保険料率が1割上昇した。このことが各保険会社が顧客に求める保険料率のアップにつながっている。
  背景にあるのは船舶の大型化だ。世界のコンテナ船の大きさを20フィートコンテナを1単位(TEU)とした積載個数で見ると、最大クラスの船舶は2000年前後は7060TEUだったが、昨年5月段階では3倍を超える2万4千TEUとなった。スエズ運河で事故を起こしたコンテナ船も同クラスで、全長は東京タワー(333メートル)を超える400メートルにも及ぶ。ひとたび事故を起こせば被害は極めて大きくなる

  船舶の大型化は運搬量を増やして費用対効果を上げようとする海運会社の戦略の表れでもあるが、リスクの高さが表面化している形だ。海運に詳しい福知山公立大の篠原正人特命教授は「荷が高くなれば風の影響を受けやすくなるなど、巨大船は運河の通行はもとより、港に入るにも危険が増す。安全輸送よりも商売優先になっており、何らかの規制が必要だ」と指摘している。(福田涼太郎)


2021.02.11-Yahoo !Japanニュース(TBS NEWS)-https://news.yahoo.co.jp/articles/59374a94986b6933235d3c7d0e8caf950cc64e59
訓練指導役の隊員が複数同乗か、海自潜水艦そうりゅう衝突事故(11日11:21)

  海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」と民間の商船が衝突した事故で、「そうりゅう」には訓練を指導する複数の隊員が乗船していたことがわかりました。
  事故当時、「そうりゅう」は、定期点検を終えた後に乗組員が操だ技術などを確認する訓練中でした。防衛省関係者によりますと、この訓練では、指導役の隊員が潜水艦に同乗し、乗組員の基本動作や連携などを指導するということで、事故発生時も「そうりゅう」には複数の指導役の隊員が乗船していたということです。
   商船と衝突した際の浮上が指導の対象だったかどうかなどを海上保安庁が調べていて、自衛隊も指導役の隊員の指示や監督の状況について、調査を進めていく方針です。(11日11:21)



2020.12.14-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/affairs/news/201214/afr2012140002-n1.html
津波で流され八丈島に漂着 宮城の漁船、10年近くで600キロ

   平成23年の東日本大震災の際、宮城県気仙沼市の漁港から津波で流された漁船が、600キロ以上離れた伊豆諸島の八丈島(東京都八丈町)に漂着したことが14日、八丈島漁業協同組合などへの取材で分かった。10年近く漂流していたとみられる。
   漁協によると、船は10日午後、八丈島の海岸付近を漂っているのが見つかり、地元漁師らが11日朝までにロープで港に引っ張って陸揚げした。繊維強化プラスチック(FRP)製で全長約5メートル。サンゴが大量に付着していた。
   船の登録番号から宮城県漁協唐桑支所(宮城県気仙沼市)所属と判明。同支所によると、東日本大震災で唐桑半島の漁港から流されていた。
   漁船は今後、八丈島で処分する方向で調整を進めているという。


2020.11.28-NHK NEWS WEB(茨木 NEWS WEB)-https://www3.nhk.or.jp/lnews/mito/20201128/1070011472.html
貨物船と遊漁船が衝突 1人死亡

  28日朝、茨城県の鹿島港の入り口付近で貨物船と遊漁船が衝突して、遊漁船に乗っていた12人全員が海に投げ出され乗客の男性1人が死亡したほか、11人がけがをしました。
  鹿島海上保安署は港に入ろうとしていた貨物船と港を出ようとしていた遊漁船が衝突したと見て、国の運輸安全委員会とともに事故の原因を調べています。
  28日午前5時半ごろ、茨城県の鹿島港の入り口付近で貨物船「はやと」498トンと遊漁船「第五不動丸」が衝突し、「第五不動丸」に乗っていた乗客10人と乗組員2人のあわせて12人全員が海に投げ出されました。
  まもなく全員救助されましたが、このうち、乗客で都内に住む46歳の男性が死亡し、ほかの乗客9人と乗組員2人のあわせて11人がけがをしました。
  この事故で「第五不動丸」は船体のほとんどが水没して船首部分だけが海面に出た状態になりました。
  鹿島海上保安署や双方の会社などによりますと、貨物船は、積み荷を載せるため28日鹿島港に入港する予定だったということです。
  一方の遊漁船は、釣り客を乗せて沖に向かう途中だったということで、鹿島海上保安署は港に入ろうとしていた貨物船と港を出ようとしていた遊漁船が衝突したと見て、国の運輸安全委員会とともに当時の状況と事故の原因を調べています。
  国の運輸安全委員会の調査官3人は、28日午後3時半すぎ、事故の調査のため鹿島海上保安署に入りました。
  その後、末門賢巳船舶事故調査官がNHKの取材に応じ、「本格的な情報収集はこれから行っていく。まだ、あたりが暗い早朝の衝突事故ということで双方の見張りがポイントとなってくると思うが予断を持たず、貨物船や遊漁船の双方から話を聞いたり衝突の痕を確認したりして事実を明らかにしていきたい」と話していました。


せきれい丸沈没事故
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


  せきれい丸沈没事故は、1945年(昭和20年)12月9日に発生した海難事故播淡連絡汽船せきれい丸が台風並の荒天の中、定員100名の3倍を超える乗客を乗せたことにより、復原力を失って瀬戸内海東端に位置する明石海峡の松帆の浦沖合1500mで転覆沈没し、死者・行方不明304名を出す惨事になった

  1945年12月9日明石海峡晴天であったが、台風並みの突風が吹き荒れていた。当時は船舶の運航権限は全て船長に任されていて播淡連絡汽船所属、播淡連絡船せきれい丸の船長も当便を欠航する予定であった。しかし淡路島から対岸の明石市京阪神方面の闇市に買い出しに行く人や、生鮮品の行商人が黒山の人だかりで出航を待っており、彼らの一部にせがまれて岩屋港を出航し対岸の明石港に向かった。せきれい丸は総トン数34t、長さ19m、幅4m、定員100名の木造船であったが定員の3倍以上の乗組員5名、乗客344名を乗せていた。
  9時頃、松帆崎1.5km沖合で西からの突風に吹かれたため寒風と波を避けようと乗客が右舷に集まりだした。このため、せきれい丸は傾き激しい潮流と波にあおられ転覆して沈没した。付近で操業中の漁船群が救助に向かい、45人を救助したが死者・行方不明304名を出す惨事となった。せきれい丸の船長は救助を拒否し、そのまま船とともに沈み殉職した。遺体が確認されたのは17名、287名は行方不明のままとなった

  第二次世界大戦終結の3ヶ月後であり、戦前の古い船舶に定員以上の乗客を乗せることが当たり前のように行われていた背景がある。この事故が起きた後も1955年にかけて瀬戸内海各地で旅客船の遭難が相次ぎ、本州四国連絡橋架橋運動が盛んとなった。明石海峡では以前から架橋構想があったものの、神戸市長や淡路島出身の国会議員の働きかけから半世紀後に明石海峡大橋架橋が成就した。
  1987年(昭和62年)、明石海峡大橋の工事開始を契機に海上安全の願いを込めて淡路市岩屋の鳥ノ山展望台に慰霊碑がせきれい丸の遭難者慰霊碑建立会によって建てられた。碑文には「当時は戦後の混乱期で十分な供養もなされないまま今日に至ったが、このたび明石海峡の架橋工事(が)始まるのを契機に、犠牲者の慰霊とともに平和と海上安全の願いを込めて、この塔を建立した」と記されている



えひめ丸事故
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


えひめ丸事故は、2001年2月10日8時45分(日本時間)、アメリカ・ハワイ州のオアフ島沖で愛媛県立宇和島水産高等学校の練習船だったえひめ丸に浮上してきたアメリカ海軍の原子力潜水艦グリーンビルの不注意で衝突し沈没させた事故。乗務員の35人のうち、えひめ丸に取り残された教員5人と生徒4人が死亡し、救出されたうち9人がPTSDと診断された。
概要
  愛媛県立宇和島水産高等学校に所属する漁業練習船えひめ丸(499トン)が浮上したアメリカ海軍所属のロサンゼルス級攻撃型原子力潜水艦グリーンビルと衝突しエンジン周辺を損傷、約5分程度の間に沈没した。えひめ丸側35名の乗務員の内9名が死亡し、衝突の際に海上に投げ出された26名は救出されたがその内の1名が鎖骨骨折、うち11名が軽傷を負った。

  この事故の際、浮上以前からソナーでえひめ丸の存在に気付いてはいたが、グリーンビルには民間人16名が搭乗、グリーンビルのクルー等はこの民間人の対応に追われ、ソナーによる確認作業が等閑になっていたとされる。その他にもいくつかのミスが事故の原因とされている。事故後にグリーンビルは現場海域に留まったものの同乗の民間人に配慮して積極的な救難活動を行わなかったとする非難の声がある。一方で衝突当時周辺の海はかなり荒れており(波高3-6フィート)、潜水艦が積極的な救助活動を行うことは難しかったとアメリカ海軍は主張している。アメリカ海軍側が早々に捜索を打ち切ろうとした際に現場に派遣されていた桜田義孝外務大臣政務官が「捜索を打ち切ると言われたから断ると言ってやった」と報道陣の前で啖呵を切ったシーンが話題になった。
  同年2月16日には水深600mの地点で沈んでいたえひめ丸の船体が発見された。えひめ丸の引き上げを希望する行方不明者家族側と、引き上げコストを理由に難色を示すアメリカ海軍側の意見のすれ違いもあった。しかし、2001年10月16日、一旦船体をダイバーが潜行して調査できる水深35mの位置まで移動させ、ダイバー等による1か月以上の捜索を実施後、えひめ丸の船体は水深1800mの海底に移動された。
  当時の森喜朗首相は事故発生時に休暇を取得、ゴルフをしていたが、事故の一報ののちもそのままゴルフ場に留まったことが大きな問題となり、内閣総理大臣を辞任した(森喜朗#えひめ丸事故を参照)。
捜索と引き上げの是非
  えひめ丸は600mもの海底に沈んだため、船体引き上げは困難であり、当初はアメリカの慣習に従い船体は放置される予定だった。
  しかし、事故発生時から行方不明者家族らにより沈没した船体の引き上げが強く望まれたこと、日本の火葬による葬儀の風習、また日本人の感情などに配慮したアメリカ側は、代行案として船体の浅瀬への曳航を提示、行方不明者家族側もこれを了承した。日本政府は2001年8月に愛媛県からの要請により潜水艦救難艦ちはや災害派遣し、遺体捜索作業を行った。日本側の支援のもと、船体を浅海底に移送し、アメリカ海軍のダイバーが11月7日までに行方不明者9名の内8人の遺体を収容した。

  この引き上げ・曳航作業の資金として、アメリカは6,000万ドルを投入した。このことはアメリカ国内で議論を呼び、拠出の事実のみを批判するアメリカ人も存在した。英語圏のマスコミ報道ではえひめ丸について「漁船」 (fish boat)と紹介され、高校生が乗っていた実習船であることを報道した記事は少なかった。日本の産経新聞は「こうしたアメリカへのある種の“甘え”はこれきりにしたい」など、日米両国に対し終始批判的だった。
  引き上げ後の調査で、えひめ丸は船底のフレーム21から54にかけて「くの字」状の亀裂が入っていたことが判明し、下から突き上げられたことによる衝撃で沈没したことが確認された。
事故後
  当時のグリーンビルの艦長であるスコット・ワドル中佐(当時)は事故の責任について軍法会議で審議されることはなく、司令官決裁による減俸処分を受けただけで、後に軍を名誉除隊した(懲戒免職に相当する不名誉除隊ではなく、軍人年金などの受給資格のある一般退職となった。退職後、ただちに海軍関連の企業に再就職した)。2002年12月には愛媛県宇和島市を訪れ、宇和島市内にあるえひめ丸慰霊碑に献花した。
  2002年11月30日、5代目えひめ丸が建造され愛媛県に引き渡されている。また、ホノルルと宇和島に慰霊碑が建立されている。
   ・2003年、全国水産高校長協会が2月10日を「海の安全祈念日」に制定した。
   ・時期不明、アメリカ合衆国大統領ジョージ・ウォーカー・ブッシュは電話で森首相に謝罪し、アメリカの責任を全面的に認めた。
   ・ハワイの航海カヌーホクレアはえひめ丸の犠牲者追悼の意味も込めて、2007年5月に宇和島市を訪問した。ナイノア・トンプソン船長は水産高校をクルーと共に訪れ慰霊碑の前で献花、同校等でワークショップを開催した。
   ・2006年2月10日より和歌山県の高野山高等学校の宗教科生が高野山 奥之院燈籠堂にてえひめ丸慰霊法会を毎年厳修している。
   ・NTSB(アメリカ国家運輸安全委員会)は、2005年10月19日にこの事故に関する報告書を出している。この報告書では、グリーンビルのワドル元艦長の責任を含めアメリカ海軍による内部調査の多くの部分を認めている。ワドル元艦長は2003年にThe Right Thing(ISBN 1591450365)と題した著書を出版し、この事故にどのように対応したかを述べている。
   ・えひめ丸事故の追悼歌・鎮魂歌として、以下の楽曲が制作された。
   ・「えひめ丸」(作曲・演奏:ジェイク・シマブクロ
   ・「あゝえひめ丸」(作詞:沖良雄、作曲:玉井知湖、歌:田中幸子、沖美恵子)
   ・「海よ 鴎よ 島々よ」(作詞:宮内たけし、作曲:町田真理子、歌:町田真理子、多田周子
  2006年にえひめ丸に乗船していた元実習生の一人が、別の実習生に恐喝を行った容疑で逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けた。この事件は事故後の実習生たちの心のケアにあたっていた関係者にも衝撃を走らせた。
  事故から10年経った2011年から(2020年を除く)、宇和島市では「うわじまハワイアンフェスティバル」が行われている。事故を風化させないために、また、もともと宇和島市の姉妹都市であったホノルル市との友好を深めることが目的である。
  発生から20年目の2021年、グリーンビルのワドル元艦長が、遺族に謝罪するとともに「事故の責任は自分にある」とする遺族宛ての書簡をまとめ、公表した。また2021年のホノルルでの慰霊式典は新型コロナウイルス感染拡大及び日本国内一部地域にて改正・新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいて発令された緊急事態宣言の影響を受け、日本からの遺族の参加を中止した。
慰霊碑
  2002年、ハワイ州・オアフ島のホノルルカカアコ・ウォーターフロント・パーク内に当時の高野山高校宗教科の生徒らが寄付を募り、慰霊碑が設置された。2018年6月4日には、訪米中の秋篠宮夫妻が立ち寄り慰霊を行っている。 また、高野山高校宗教科の海外研修としてハワイに何度か訪れて、慰霊碑の前で物故者慰霊法会をしている。

類似する事故
以下は、海難事故のうち潜水艦と船舶が衝突した事故である。
  ・1981年4月9日、日本船籍の日昇丸が、東シナ海でアメリカ海軍の原子力潜水艦ジョージ・ワシントンに下から突き上げられ沈没するえひめ丸とよく似た事故(米原潜当て逃げ事件)が発生している。この事故で2人が犠牲になった。
  ・1988年7月23日、海上自衛隊の潜水艦「なだしお」が遊漁船「第一富士丸」と横須賀沖で衝突する事故(なだしお事件)が発生し、遊漁船の乗客39名・乗員9名のうち30名が死亡し、17名が重軽傷を負った。
  ・1988年8月26日ペルー海軍所属の潜水艦パコーチャ(BAP Pacocha, SS-48)と三重県の遠洋マグロ漁船「第8共和丸」がペルー・カヤオ港外で衝突しパコーチャが沈没、パコーチャの艦長ら8人が死亡した。パコーチャは元はアメリカ海軍のバラオ級潜水艦アトゥルで、アトゥルは第二次世界大戦では対日通商破壊作戦に従事し、1944年11月1日浅間丸を撃沈した潜水艦であった。なお同艦は浮上後スペアパーツとして使われた。
  ・2006年11月21日、宮崎県沖で、海上自衛隊の練習潜水艦「あさしお」とパナマ船籍の貨物船スプリング オースターが接触したが、双方とも損傷が軽微で負傷者がでなかった。
  ・2007年1月9日ホルムズ海峡ロサンゼルス級原子力潜水艦のニューポート・ニューズが日本のマンモスタンカー「最上川」(16万トン)に衝突、双方に負傷者は出なかったが「最上川」の船底部を損壊し航行不能になった。







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