感染病の問題-1(医療)


2024.04.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240416-7VBNOLEQORLJFFGLBW4HEJ3T3U/
高い致死率 マダニ媒介感染症「SFTS」東進拡大 ペット通じた感染も
(三宅陽子)

  マダニが媒介する感染症で、致死率の高い「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の感染報告が拡大している。西日本中心だった感染地域は徐々に東進、昨年の国内の患者数は過去最多を更新した。マダニに刺される以外にもペットが感染ルートとなる事例も報告され、警戒が高まっている

広がる感染地域
  SFTSウイルスを媒介するマダニ(成ダニで3~8ミリほど)は主に森林や草地に生息し、人や動物に取り付くと皮膚に口器を突き刺し、吸血後は10~20ミリほどになる。活動が盛んな春から秋にかけては、刺される危険性が高まる
  SFTSは2011年に中国で報告され、日本では13(平成25)年に患者が確認された。患者は60代以上が多く、高齢者は重症化しやすいが、対症療法が主体。国立感染症研究所によると、致死率は6~30%とされる
  感染地域は山口県や宮崎県など西日本が中心だったが、令和3年に愛知県や静岡県で、4年には富山県で確認されるなど東進を続けている。患者報告のある地域以外でもSFTSウイルスを保有するマダニや感染した動物は見つかっている。国内の患者は増加傾向で、昨年は前年(118人)を上回る133人と過去最多となった。
ペット通じた感染も
  患者は農作業中や林業従事者が目立つが、猫や犬を通じた感染も明らかとなっている宮崎県内の動物病院に勤める獣医師の奥山寛子さん(49)は平成30年夏、SFTSに感染。感染の怖さを身をもって知った
  発端は治療していた猫だった。発熱や黄疸(おうだん)症状などのほか、白血球と血小板の減少がみられ、SFTSが疑われていた
  感染につながったとみられるのが、隔離室での処置中。注射の穿刺部位から漏れ出していた点滴液が血液とともに、猫の身震いで飛散。猫の体と床を拭いた。手袋はしていたが、ゴーグルなどは着用していなかった猫は飼い主の要望で自宅に戻り、死んだ。その後、SFTS陽性が確認された。
  奥山さんに異変が現れたのは猫との接触から10日目のことだった。38度台の発熱と倦怠感(けんたいかん)に襲われた。夜間救急を受診し、医師にこれまでの経緯を説明。血液検査を経て入院措置となり、SFTS陽性が判明した
  高熱に立っていられないほどの強いだるさ…。それでも主治医からはSFTSの患者の中では、「軽症な方だ」といわれた。10日間の入院で回復し、退院。奥山さんは、「今は診療時の感染防護具の装着を心がけている」と語る。
屋外飼育はリスクに
  感染研の公表資料によれば、令和4年9月までに、猫560症例、犬36症例がSFTSと確定診断された。発症動物から獣医療従事者への感染は同年7月末時点で10例確認されており、飼い主への直接感染も9例以上確認されているという。
  SFTSに詳しい宮崎大の岡林環樹教授は「屋外に出ることのあるペットの猫や犬の場合、マダニに噛まれたり、感染した動物と接触したりして感染してしまうリスクがある」と説明。SFTS以外の感染症をもらってくるリスクを下げるためにも「猫は屋内飼育が望ましい」とし、「犬を散歩する際は虫よけ剤をつけ、帰宅後はマダニがついていないか、チェックする習慣もつけてほしい」と呼びかけている。(三宅陽子)

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
  主にSFTSウイルスを保有しているマダニに刺されることで感染。感染した猫や犬を通じた感染報告もある。6~14日程度の潜伏期間を経て発熱、倦怠感のほか、嘔吐、腹痛などの消化器症状が表れることが多い吸血中のマダニに気付いたら、無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、体内に病原体が入りやすくなったりする恐れがあるため、速やかに医療機関の皮膚科などで処置を受ける必要がある


2024.04.08-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240408-7MIKV2UJZBM3REJOIEJ2Y77RD4/
コレラから避難の船沈没、モザンビークで90人超死亡

  アフリカ南部モザンビーク北部のナンプラ州当局7日、州内などで流行中のコレラから逃れようとする人々を乗せ、沖合の島を目指していた船が沈没し、90人超が死亡したと明らかにした。英BBC放送が伝えた。州当局は定員オーバーだったとみて、詳しい原因を調べている。

  モザンビークの一部地域ではコレラがまん延しており、昨年10月以降、1万3000人以上が感染し、約30人が死亡した(共同)


2023.12.22-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231222-3CJMSP774JIBHBYGQPPNLOY3QI/
中国で流行の〝歩く肺炎〟 年末年始控え国内でも警戒
(三宅陽子)(高橋謙造)

  中国などで流行する呼吸器感染症「マイコプラズマ肺炎」への警戒が高まっている。比較的軽症で済む人が多く〝歩く肺炎〟とも呼ばれるが、しつこい咳(せき)が特徴で、重症化することも。中国では薬が効きにくい「薬剤耐性」の問題が指摘されており、国内でも抗生剤不足が影を落とす。人の往来が活発化する年末年始を控え、医療現場からは不安の声が挙がっている。

コロナ禍で抵抗力減
  マイコプラズマ肺炎は主に飛沫(ひまつ)や接触で広がるとされ、発熱、咳、倦怠(けんたい)感など風邪に似た症状を引き起こす。国内では患者の約8割が14歳以下とされるが、大人の感染報告もある。近年は全国的流行は起きていない。
  こうした中、中国では今冬、北部を中心にインフルエンザやマイコプラズマ肺炎などが複合的に流行し、小児科に患者が殺到。韓国などでもマイコプラズマ肺炎の感染拡大が伝えられる。
  帝京大大学院教授で小児科医の高橋謙造氏は、新型コロナウイルス禍の感染防止対策により季節性の病原体から遠ざかってきたことで、多くの人は抵抗力が下がった状態にあると指摘。こうした〝免疫負債〟を抱えた国内に病原菌が持ち込まれれば「感染拡大につながる恐れがある」と話す。
発熱治まっても咳
  高橋氏によると、マイコプラズマ肺炎は感染しても比較的軽い症状で済み、その人が持つ免疫力で自然治癒することも多い。そのため、感染に気づかず出歩き、周囲にうつしてしまう恐れがある。患者による菌の排出期間は1カ月~1カ月半ほどと長いという。
  やっかいなのは、この病原菌が気道の粘膜上皮を痛める性質を持つことだといい、発熱などの症状が治まっても咳が続く患者が目立つ。人によっては激しい咳に変わり、ぜんそくのような「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」といった異常な呼吸音を伴うまでに悪化してしまうこともある。肺機能の低下に見舞われた患者の報告もあるという。
手洗い、うがい、マスクを
  ワクチンはなく、治療にはマクロライド系抗生剤などが使われるが、気になる情報もある。国立感染症研究所によると、中国はマクロライド系抗生剤への耐性率が高いことで知られる。今年報告されているマイコプラズマ肺炎の原因となる細菌も遺伝子変異により、一定の「薬剤耐性」を持つ可能性が指摘されているという。
  中国では以前から抗生剤の過剰使用が懸念されており、マイコプラズマ肺炎で入院が必要な子供が増えている背景には、抗生剤が効きにくいという深刻な問題が潜んでいる恐れもある。
  一方、日本では、医薬品の供給不足が深刻だ。「マクロライド系抗生剤は入手が難しい状況。今まさに患者が増えている溶連菌感染症に用いるペニシリン系の抗生剤なども手に入りにくい」と高橋氏。別の種類の薬を処方して様子をみるしかないが、完全には治りにくく、症状がぶり返すケースもあるなど、対応に苦慮する。
  高橋氏は「今のままでは、マイコプラズマ肺炎の患者が治療を希望しても、『適切な薬を出せない』といったことが起こりかねない。手洗いや咳症状がある人はマスクをするなど、基本的な感染対策を心がけてほしい」と呼びかけている。(三宅陽子)


2023.08.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230818-7ZWLC2A7DZL7BNWFTMLLJBXTLM/
チフス菌を扱う職員がチフス発症 国立感染症研究所、経路は不明

  国立感染症研究所は18日、チフス菌を扱う職員が腸チフスを発症したと発表した。研究で感染したかどうかは不明で、保健所が経路を調査中。感染研は菌の取り扱いが適切だったかどうか「確認中」としている。
高橋謙造
  腸チフスはコレラと同じ感染症法の「3類」で、感染者の届け出が義務付けられている。感染研によると、職員は東京都新宿区の研究所でチフス菌の予防法や治療法を研究。11日に発熱や腹痛の症状で医療機関を受診して入院し、15日に診断された。ほかの感染者は確認されていない。
  腸チフスを発症すると39度を超える発熱や頭痛、下痢などの症状が出る。感染者の便に汚染された食品や水を介してうつり、衛生環境の悪い新興国でまん延している。







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