ホルムズ海峡 他



2019.8.6-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/politics/news/190806/plt1908060004-n1.html
ホルムズに自衛隊「独自派遣」 政府検討 哨戒機で警戒監視

政府が中東・ホルムズ海峡での航行の安全確保に関し、自衛隊の独自派遣を軸に検討していることが分かった。米国が呼びかける有志連合への参加は法的なハードルが高い上、イランとの関係悪化も避けられないため、自衛隊単独での警戒監視や情報収集などを通じ日本の役割を果たす方針だ。複数の政府関係者が5日、明らかにした。
 派遣する場合は、海上自衛隊のP3C哨戒機などが有力で、護衛艦といった艦船は送らない方向だ。艦船の場合、軍事衝突に直接巻き込まれるなどの可能性があるため。活動は防衛省設置法の「調査・研究」に基づく情報収集や警戒監視などが想定されている。
 派遣地域はホルムズ海峡のほか、海賊対策にあたるため自衛隊が拠点を置いているアフリカ東部ジブチに近いバベルマンデブ海峡も選択肢に浮上している。
 米国は日本を含む同盟諸国に対し、ホルムズ海峡などでの航行の安全確保に向けた有志連合への参加を呼びかけている。ただ、日本には法的な課題が大きい。海賊対処法は他国船を含めた民間船舶を警護できるが、海賊対策に限られる。政府は6月にホルムズ海峡で日本のタンカーを攻撃した主体を特定しておらず、根拠にするのは難しい。
 自衛隊法に基づく海上警備行動は、日本と無関係の外国船舶は護衛できず、武器使用の権限も正当防衛や緊急避難など警察権の範囲に限られる。安全保障関連法に規定される重要影響事態や存立危機事態には厳格な歯止めがあり、認定される可能性は低い。
 イランとの関係悪化も懸念される。政府関係者は「米国が主導する有志連合に加わればイランとの関係が損なわれ、かえってエネルギー安全保障が脅かされる可能性もある」と語る。

 一方、原油輸入の9割近くを中東に頼る日本にとって重要なシーレーン(海上交通路)のホルムズ海峡で何も対応しないわけにはいかず、単独で空から収集した情報を米国や有志連合に提供する形で貢献する案が有力となっている。政府は現地の情勢を注視しながら、引き続き具体的な対応策を検討している。


日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約
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日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約は、日本国アメリカ合衆国安全保障のため、日本本土にアメリカ軍在日米軍)が駐留することなどを定めた二国間条約のことである。1960年昭和35年)1月19日に、ワシントンD.C.で締結された。いわゆる日米同盟の根幹を成す条約であり、条約には「日米地位協定」が付属している。ただし、日本において日米関係を「同盟」と表現するのが一般化したのは、1980年代になってからのことである。
形式的には1951年(昭和26年)に署名され翌1952年(昭和27年)に発効した旧安保条約を失効させ、新たな条約として締約・批准されたが、実質的には安保条約の改定とみなされている。この条約に基づき、在日米軍としてアメリカ軍の日本駐留を引き続き認めた。60年安保条約、新安保条約(しんあんぽじょうやく)などともいわれる。新・旧条約を特段区別しない場合の通称は日米安全保障条約日米安保条約

米国下院で「日本側に有利過ぎる」と批判された日米安保条約

日米地位協定第24条において、米軍の維持経費は「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」と規定されている。旧ソ連(現在のほぼ独立国家共同体構成国、主にロシアに相当)を主な脅威としていた日米安全保障の本質は冷戦終結と共に変化しているが、条約部分に決定的な変化は無い。また日米安全保障条約は、日本側が正常な軍事力を持つまで……として締結された経緯もあり、アメリカ側には日本を防衛する事を必要とされるが、日本側は必ずしもアメリカを防衛することは必要では無い状態になっている。これは日本側の憲法解釈(政府見解)上の制約で、個別的自衛権の行使は日米両国共に可能だが、集団的自衛権の場合は日本は憲法に抵触する恐れがあるという政策を採っている。抵触するかどうかについては議論が続いており、結論は出ていない。この事実を日本の二重保険外交と解釈し、日本はアメリカに対する防衛責務を負っていないのに、アメリカから防衛されている状態ではアメリカの潜在的敵国と軍事的協調をとれる余地を残している、との批判が米議会にあったことも事実である。また、アメリカ側は日本に対して集団的自衛権を行使出来ると明言しており、費用面からも、軍事的負担がアメリカ側に多いと、日米安全保障条約はアメリカで時として非難される。
だが実際のところ、日米安全保障条約の信頼を失墜させるほどの行為は日米両国共にとっていないので、こう言った批判は、やはり米国でも少数派に留まっている。

米軍が日本に駐留し続ける事の意義2008年(平成20年)2月13日ホワイトハウス報道官デイナ・ペリーノは「米国はどこに居ようとどこに基地を持とうと、それはそれらの国々から招かれてのことだ。世界のどの米軍基地でも撤去を求められているとは承知していない。もし求められれば恐らく我々は撤退するだろう」と述べた(ダナ・ペリノ発言、「恒久的基地は世界のどこにもない」AFP通信電)。
ただし、世界的には、米軍自身が戦略的に必要と考える地域で現地の国民が駐屯に反対した場合には、駐留と引き換えの経済協力を提案し、あるいはパナマ侵攻グレナダ侵攻死の部隊の活動などに見られるように、反対勢力には経済制裁や対外工作機関(中央情報局など)による非公然活動(スキャンダル暴露や暗殺など)、場合によっては軍事介入などのさまざまな妨害をちらつかせ、「アメとムチ」を使って駐留を維持するとされるという説もある。またディック・チェイニーは国防長官当時の1992年(平成4年)、議会で「米軍が日本にいるのは、日本を防衛するためではない。米軍が必要とあらば、常に出動できる前方基地として使用できるようにするため。加えて日本は駐留経費の75%を負担してくれる」とまで発言している(思いやり予算)。
日本が米軍の駐留費用を負担する意味があるかとの疑問が日本共産党などから出されている。他国では米軍が全て駐留費用を負担し、かつ米軍に制限がかけられている例も数多く存在する(アイスランドなどは逆に駐留費の全額負担を持ちかけた末に拒否され米軍は撤退している)。カタールにおいては米軍はカタール政府の同意がないとカタール国内の米軍基地から物資を持ち出せない。

日本国内の認識
沖縄県在日米軍#沖縄県の基地問題」も参照
沖縄県の在日米軍基地が日本の国土面積に占める割合は1割以下だが、在日米軍基地面積の7割以上(ただし自衛隊との共用地を除いた米軍専用地の割合)が沖縄県に集中している事で、本土(沖縄県を除く他の46都道府県全体)と比べて不公平だとする意見や、在日米軍基地の必要性についても疑問視する意見が、沖縄県には多数ある。また、在日米軍基地近隣の騒音問題がある。
2010年(平成22年)5月に、毎日新聞琉球新報が沖縄県民を対象に行ったアンケートによると、同条約を「平和友好条約に改めるべき」が55%、「破棄すべき」が14%、「維持すべき」は7%だった。

識者
時事通信社解説委員の田崎史郎は、2017年2月10日に行われた日米首脳会談のニュースに触れ、中国が領有権を主張する尖閣諸島を巡っては、安倍晋三首相が首脳会談後の記者会見で、日米安保条約5条の適用対象であると首脳間で確認したと説明。トランプ氏が会談でどのように発言したかは不明だが、共同声明に「日米安保条約第5条が尖閣諸島に適用される」と明記したことに対して、日本の防衛において日米安保は無くてはならない条約。日米関係に隙間を空けてはならないと答えた
評論家の大井篤1960年(昭和35年)の条約改定にあたり、日米安全保障条約のもつ抑止効果を積極的に追求するべきであると結論付けた
元外務省局長の孫崎享は、日米安保は日本の利益を守るためにあるのではなく、存在意義はまったくないと述べている。また孫崎は、集団的自衛権について米国が日本を戦闘に巻き込むのが狙いと述べている。

世論調査
内閣府が2010年(平成22年)1月におこなった世論調査では、同条約が日本の平和と安全に「役立っている」との回答が76.4%、「役立っていない」との回答が16.2%となった。また「日本の安全を守るためにはどのような方法をとるべきだと思うか」との問いには「現状どおり日米の安全保障体制と自衛隊で日本の安全を守る」との回答が77.3%、「日米安全保障条約をやめて、自衛隊だけで日本の安全を守る」が9.9%、「日米安全保障条約をやめて、自衛隊も縮小または廃止する」が4.2%となった。

集団的自衛権との関係
従来の日本国憲法第9条解釈と日米安全保障条約では、安保条約第5条で米国に日本防衛で米兵を出してもらう借りで、第6条で日本国内に米軍基地の土地で返す事を1960年の安保条約改定時には、「人(米軍)と物(日本)とのバーターと言われ、安保条約は、5条と6条によって対等な関係とされた。米軍が日本を守るのに、日本の自衛隊は米軍を守れないから集団的自衛権を行使する第2次安倍内閣の憲法新解釈を、民主党江崎孝参議院議員は2014年6月の参議院決算委員会で「集団的自衛権を容認するなら(従来と比べて日本側にとっては)在日米軍の分だけ負担が重くなる」と基地提供を認める安保条約6条の削除を迫ったが、安倍晋三首相は「条約を変える考えは毛頭ない。」と応えた。

2019.8.1-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASM816GN1M81UHBI03T.html
有志連合、独は参加せず 外相が明言、外交解決を優先

 ドイツのマース外相は7月31日、中東のホルムズ海峡などを航行する船舶の安全を確保するため、米国が主導してつくろうとしている「有志連合」について、「参加しない」と述べた。訪問先のワルシャワでの発言として、独DPA通信などが伝えた。同海峡での緊張をこれ以上高めないためとの趣旨で、米国とは一線を画す姿勢を明確にした。
 米国は日本やドイツなど同盟国に対し、船舶を守るための具体的な貢献をするよう促している。ドイツは、米国がイランに対して最大限の圧力を掛けようとしていることには「くみしない」との姿勢で、これまでも外交的解決の方針を繰り返してきた。

 欧州側は英国が中心となり、船舶の共同護衛などを提案している。ドイツ政府報道官は「英仏とも緊密な連携をとっている」とするが、英提案に同調するかどうかは明言していない。(ベルリン=野島淳)


2019.7.29-ZAQ ZAQ by 夕刊フジ-https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190729/pol1907290003-n1.html
中谷元防衛相「ホルムズ海峡に自衛隊派遣を」 米の「有志連合」構想めぐり

自民党の中谷元(げん)元防衛相は28日、フジテレビ系の報道番組「日曜報道THE PRIME」に出演し、ホルムズ海峡周辺でのタンカー護衛に向けた米国の「有志連合」構想について、自衛隊法に定められた海上警備行動を発令し、「速やかに自衛隊の派遣を決断すべきだ」と述べた。
 「有志連合」構想をめぐっては、マイク・ポンペオ米国務長官が25日、米FOXニュースのインタビューに、英国、フランス、ドイツ、ノルウェー、日本、韓国、オーストラリアの順に国名を挙げ、「原油などが通過するこの海域で利益を得ているすべての国は、自国の利益だけではなく、自由で開かれた航行を守るために、有志連合に参加する必要がある」と語っていた。
 日本政府は派遣に慎重な姿勢を崩さないが、中谷氏は「派遣を躊躇(ちゅうちょ)することは国益を損なう」とも語った。


2019.7.29-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190729/wor1907290011-n1.html
有志連合が向かう要衝「バベルマンデブ海峡」とは-(カイロ 佐藤貴生)

トランプ米政権が有志連合を結成してイラン沖のホルムズ海峡とともに、船舶を護衛する意向を示したバベルマンデブ海峡。同海峡の重要性についてQ&Aで解説する。
Q:バベルマンデブ海峡はどんな場所か
A:アラビア半島南西部イエメンとアフリカ東部の間にあり、最も狭い地点は幅約30キロ。インド洋と地中海を結ぶ紅海の南の入り口に位置しており、北上すればスエズ運河に至る。紅海はアジアと欧州を結ぶ最短ルートで、周辺海域は年間2万隻の貨物船が航行する。ホルムズ海峡と並ぶ国際物流の要衝だ。

Q:護衛が必要なのか
A:イエメンではイランの影響下にあるイスラム教シーア派の民兵組織「フーシ派」と、親米のサウジアラビアなどの介入で内戦が続く。フーシ派は昨年夏、紅海を航行していたサウジの原油タンカー2隻を襲撃し、サウジはタンカーの海峡利用を一時停止した。今春以降のイランとの軍事的緊張の高まりを受け、米政権が懸念を強めた可能性もある。

Q:地政学上の重要性は
A:イエメン対岸のアフリカ東部には小国ジブチがある。米軍がサハラ砂漠以南のアフリカで唯一の基地を持ち、ソマリアやイエメンにおける反テロ作戦を展開しているといわれる。ジブチでは2017年夏、中国軍も基地の運用を開始。アフリカで買い付けたエネルギーの集積地になるといった見方もあったが、火力演習を行うなど、真意をめぐっては議論も出ている。

Q:日本との関係は
A:海峡周辺では日本に関連する年間2千隻の商船が航行しているとされ、日本にとっても航行の安全は不可欠だ。周辺海域では商船を襲う海賊が出没するなど治安が不安定なため、日本の自衛隊も11年からジブチに拠点を確保、米英などと国際的な海賊対処活動を行っている。(カイロ 佐藤貴生)


2019.7.27-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://special.sankei.com/f/international/article/20190727/0001.html
ホルムズ海峡緊迫 原油依存度約8割、国内企業は対応苦

米国は日本に、イラン沖ホルムズ海峡などでのタンカー護衛に向けた有志連合への参加を要請した。日本は、輸入原油の約8割が同海峡を通過する「当事者」だ。同海峡付近で日本の海運会社が運航するタンカーが攻撃されて約1カ月半となるが、原油調達などに関わる国内企業は、安全対策のコストが上昇し苦慮している。ただ、調達先の代替は難しい。企業側は、イランへの挑発とならないような慎重な姿勢と外交努力を政府に期待している。
 先月13日のタンカー攻撃以降、商船三井は攻撃現場海域から約20キロ離れたコースを航行するよう指示。日本郵船なども付近を最大速度で航行させている。燃費は悪化するが、安全航行のため、「背に腹はかえられない」という。


2019年6月ホルムズ海峡タンカー攻撃事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ホルムズ海峡タンカー攻撃事件は、2019年6月13日の現地時間早朝に中東のホルムズ海峡付近で日本とノルウェーの海運会社が運航するタンカーが襲撃を受けた事件。 日本の国華産業所有のタンカー「コクカ・カレイジャス(Kokuka Courageous)」とノルウェーのフロントライン社所有のタンカー「フロント・アルタイル(Front Altair)」がリムペットマイン(吸着型水雷)もしくは飛来物による攻撃を受け、両船で火災が発生した。 アメリカとイランの軍関係者は攻撃後各船から乗組員を救助するなどの対応を行った。この攻撃事件は、2019年5月のオマーン湾での事件の1ヵ月後、そしてドナルド・トランプ米大統領との仲介をすべく安倍晋三首相がイランの最高指導者アリー・ハーメネイー(ハメネイ師)と会談した同日に発生した。
 イランとアメリカの間の緊張が高まる中で発生した事件で、アメリカは攻撃の責任はイランにあると非難した。サウジアラビアとイギリスはアメリカを支持したが、日本とドイツはイランに責任があることの証拠について更なる調査を求めた。イランはこの疑惑を否定し、米国が虚偽の情報を広め戦争を挑発していると非難した
背景
 2019年5月と6月の2度の事件は、イラン・米国・サウジアラビア間で緊張が高まるさなかに発生した。2018年5月8日、米国はイランとの包括的共同行動計画英語版(イラン核合意)から撤退し、イランの核計画に対する制裁を復活、イランに対して「最大限の圧力をかける」キャンペーンを開始した。これに対してイランは、毎日約1,720万バレル、世界の石油消費量の約20パーセントが輸送される海運の要衝であるホルムズ海峡を閉鎖すると脅迫した。制裁の結果、イランの石油生産量は史上最低を記録したが、サウジアラビアが供給を維持したため価格はおおむね安定したままだった[17]。英BBCによると、イランに対する米国の制裁は「イラン経済の急激な低迷を招き、通貨価値を記録的な最低値に押し下げ、年間のインフレ率を4倍にし、外国人投資家を追い払い、抗議行動を引き起こした」。米トランプ大統領は、イランに対し核開発計画に関する協議を行うことを申し出、制裁措置を解除して経済の安定に寄与することを望んでいると述べたが、イランとの軍事衝突の可能性は除外しなかった。イラン側は、米国は新たな交渉を開始する前に、まず核合意に復帰しなければならないと述べた
 イラン・イラク戦争の際、イラクが1981年にペルシャ湾で「タンカー戦争」を始めたことに対しイランは1984年に反撃を始め、1987年にアメリカはクウェートのタンカーを守るためにアーネスト・ウィル作戦を開始した。2019年5月5日、米国家安全保障問題担当大統領補佐官ジョン・ボルトンは、諜報機関からイランの米軍攻撃計画について報告を受け、米国がイランに「明確なメッセージを送る」ためにエイブラハム・リンカーン率いる空母打撃群とB-52爆撃機4機を配備したと発表した
 6月のタンカー襲撃事件は、2019年5月のオマーン湾事件のほぼ1ヵ月後に発生している。国際的捜査の結果では、5月の事件はサウジアラビア・アラブ首長国連邦・ノルウェーの石油タンカー4隻を標的とするリムペットマイン設置作戦で、「ステート・アクター(state actor、国家側の行為者)」による攻撃とされた。米諜報部はこれをイランの攻撃であると非難し、両国間の緊張が高まった
今回の事故で損害を受けたのは、ノルウェーの会社が所有するタンカー、フロント・アルタイル(Front Altair)と、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦からの石油製品を運んでいた日本のコクカ・カレイジャス(Kokuka Courageous)の2隻だった。フロント・アルタイルはアブダビ国営石油(ADNOC)からのナフサを運んでいて、アラブ首長国連邦のルワイス  (Ruwais) から台湾へ向けて航行中であった。一方のコクカ・カレイジャスは、サウジアラビアのジュバイルとカタールのメサイードで搭載したメタノールをシンガポールに向けて輸送中であった
この事件は、安倍晋三首相が2日間の日程でイランを訪問中に発生した
安倍首相はドナルド・トランプ米大統領からイランの最高指導者ハメネイに宛てた親書を預かっていたが、ハメネイは受け取りを拒否し、「私はトランプ氏はメッセージ交換に値する人物とは考えていない。彼への返答は何もない。今も将来もだ。」と述べた。経済産業省によれば、標的となった船舶は「日本関連」の貨物を運んでいた
 攻撃内容2019年6月13日、フロント・アルタイルとコクカ・カレイジャスは、オマーン湾国際海域を南東に向かって通過航海中であった。アメリカ当局者によると、このときアメリカの無人航空機MQ-9 リーパーが湾を航行中の2隻の商船に接近するイラン船を複数観測している。無人機に向けて地対空ミサイルが発射されたが、命中しなかった。米軍によると、ミサイルはSA-7の改良型であり、イランの本土から発射された。無人機への攻撃後、フロント・アルタイルとコクカ・カレイジャス双方で爆発が発生した。フロント・アルタイルをチャーターしていた台湾中油は、6月13日のGMT04:00頃に「魚雷による攻撃を受けた可能性がある」と発表した。コクカ・カレイジャスの船体は右舷側喫水線の上を損傷したと報じられた。アメリカ海軍によると、フロントアルタイルからの遭難警報を02:12 GMT(現地時間06:12)に、コクカ・カレイジャスからはGMT 03:00(現地時間07:00)に受信した
 両船で火災が発生したが、所有者であるフロントライン社と国華産業(三菱ガス化学の関連会社)は両船の乗組員は全員避難に成功したと発表した。なお国営イラン通信(IRNA)は当初フロント・アルタイルが沈没したと報道したが、後にフロントライン社の広報担当者によって否定されている。他の報道では、今回の攻撃にリムペットマイン(吸着型水雷)が使用された可能性があることが示唆された。イラン側は、イランが両船の44人すべての乗組員を救助し、全員をイランに連れて行ったと発表した。しかし、アメリカ海軍は攻撃後に両船を支援し、一部の乗組員を救助したと発表した。米当局者は、ミサイル駆逐艦ベインブリッジが、燃えているコクカ・カレイジャスからタグボートによって救出された21人の乗組員を収容したと述べた
 ドバイへ向けて航行中であったオランダ船もコクカ・カレイジャスの乗組員21人(全員フィリピン国籍)を救助し、オランダの海運会社Acta Marineによって確認された。フロント・アルタイルの乗組員23人は、まず近くを航行中であった韓国船 Hyundai Dubaiによって救助された。韓国の現代商船(Hyundai Merchant Marine Company)はこの救助を確認し、救助された乗組員を後にイランの救助艇に引き渡したと述べた。 米国諜報部の報告によると、乗組員が脱出した直後にイランの軍用艇が救助船(複数)を囲み、救助された乗組員の監護権を引き渡すように伝えたという。民間の救助船のうちの1隻が最終的にこの要求に応じた
 フロント・アルタイルの乗組員23人は、イランの海軍艦船に移送され、イランの地方港で上陸した後イラン南部の都市バンダレ・アッバースに移送された。重大な損傷はあったが、どちらの石油タンカーも沈没はしなかった。アメリカ海軍は事件発生後にミサイル駆逐艦メイソンを事件の場所に向かわせた。
‪また、事件後の6月20日には、イスラム革命防衛隊はイランの領空内でアメリカの無人偵察機RQ-4を撃墜したと発表した。米軍も撃墜を認めたが、領空侵犯については否定しており、攻撃を強く非難している。‬

事件後処理
 事件の後、コクカ・カレイジャスはアラブ首長国連邦のカルバ港に曳航された。コクカ・カレイジャスとフロント・アルタイル両船の海難救助活動にはオランダのボスカリス社が当たることとなった
 6月15日、フロント・アルタイルの乗組員はイランのバンダレ・アッバース発のイラン航空便でアラブ首長国連邦のドバイに移動した。フロントライン社のCEOであるRobert Hvide Macleodは「全員イランで非常によく看護されており、皆調子が良い」と語った
コクカ・カレイジャスの乗組員21人は救助された後にアメリカ海軍の第5艦隊によって船に戻った
フロント・アルタイルはアラブ首長国連邦のホルファッカン港に曳航された。両船とも貨物を荷降ろしし、専門チームによる損害査定を受ける予定である。

攻撃責任の所在
 事件の当日、米国務長官マイク・ポンペオはイランがこの攻撃に責任を負っていると述べた。ポンペオはこの評価を「諜報、使用された武器、専門家の意見」および「船舶に対するイランの最近の同様の攻撃」に基づいて行ったとした。ニューヨーク・タイムズ紙は、(米国からの)直接の反撃を回避するのに十分な曖昧さを保てる場合、イランがアメリカに対抗するためにこのような攻撃を行い得るだろうとする専門家の見解を報じた。これに対しイラン政府は一切の責任を否定し、疑惑を批判した。米国防長官代行パトリック・シャナハンは、米国は情報の機密扱いを一部解除し解放することによって、「この国際問題への国際的合意形成」を望んでいると述べた。
 6月13日、米軍は、現地時間の午後4時10分にイラン革命防衛隊の隊員がリムペットマインの不発弾をコクカ・カレイジャスから除去していることを示すとする動画を公開した。動画に映る巡視艇は、イスラム革命防衛隊海軍が使用している巡視艇と型式とサイズが一致し、シェブロンパターンとセンターコンソールも同じであった。イランは、米国の非難には根拠がないとした。
 6月14日、海運会社国華産業の堅田豊社長は、乗組員は「飛来物でやられたと言っている。彼らは自分の目でそれを見た」と説明し、「2発目を目撃した乗組員もいる」と述べた。また「攻撃を受けた場所は水面よりだいぶ上。魚雷や機雷であれば海面より上で損害を受けることはない」「機雷ではなく砲弾のようなものではないか」としたが、一方でこれは「単なる仮定または推測」とも述べた。
 また6月14日、タスニム通信は、ホルモズガーン州の港湾長が初期調査の結果技術的な理由で火災が発生したことを示し、外部の物体がどちらかの船に当たったという証拠はないと述べたと報じた
 イランの国連代表部は米国とその地域の同盟国に対し「この地域での迷惑な計画と偽旗作戦をやめさせる」との声明を発表した。アナリストのフランソワ・ハイスブール (François Heisbourg) は、「ヨーロッパには米国の動機について多くの疑念があります。海という環境は特に情報操作がしやすい - トンキン湾事件を思い出してください。」と述べた。アナリストのアンソニー・コーデスマンは「ISIS(ダーイシュ)が共通の2つの敵国 - アメリカとイラン - を敵対させるきっかけとして攻撃を実行した可能性、あるいは、サウジアラビアとアラブ首長国連邦がイランへの圧力を増大させるために事件を起こした可能性」を提起した

政治面
イラン
 事件が報道された後、イラン外相モハンマド・ジャヴァード・ザリーフは、Twitterで「今朝起きたとみられる出来事は"疑わしい"という言葉では言い尽くせない」と述べた。またこの襲撃を「Bチーム」による妨害外交の一環だと説明した。イランの国連代表部は、アメリカ合衆国とその同盟国に対し「この地域での迷惑な計画と偽旗作戦を止める」よう要求した声明を発表した
アメリカ合衆国
 米国の当局者は攻撃の責任はイランにあると非難しており、国務長官マイク・ポンペオは米国は「当該地域における勢力と利益を守るだろう」と述べている。またトランプ大統領はFOXニュースのインタビューを受けた際、攻撃の責任はイランにあると断言し、イランを「テロの国("a nation of terror")」と呼んだ。サウジアラビア外務大臣アーディル・アル=ジュベイル(アラビア語版、英語版)は、「イランにはこうした事を行った歴史がある」と述べ、ポンペオに同意した。イギリス外務・英連邦省も米政府の評価と同意見で、オマーン湾での石油タンカーへの2度の攻撃はイランの責任とし、ジェレミー・ハント外相はイランの行動を「非常に愚か」と述べた。イラン国連代表部は、イラン政府は攻撃に対して責任があるという米国の主張を「断固として拒絶し」、「可能な限り最も強い言葉で」非難したとして、米国の非難に応酬した。
 2020年の米大統領選候補バーニー・サンダース上院議員は、イランとの戦争は「米国、イラン、地域および世界にとって紛れもない災害になるだろう」と付け加えながら、この事件を「徹底的に調査」するよう求めた。同じく民主党の2020年大統領選候補エリザベス・ウォーレン上院議員はサンダースに同調し、「イランとの戦争へ向けた動きを非常に憂慮している」と述べた
6月17日、イスラエルのマアリヴ紙は、国連本部の外交筋がイランに対する戦術的攻撃、つまり核計画に関連するイランの施設への空爆を実施するというアメリカの計画を明らかにしたと報道した

その他の国
サウジアラビア王太子ムハンマド・ビン・サルマーンは攻撃の責任はイランにあると非難した。サウジアラビアのエネルギー大臣ハーリド・アブドゥルアズィーズ・アル=ファーリハは、この事件に対して「迅速かつ決定的な対応」を求めた。サウジアラビア外務大臣アーディル・アル=ジュベイルは、「イランにはこうした事を行った歴史がある」と述べ、米国の立場に対する支持を表明した
イスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフは、この事件で「世界は米国を支援する必要がある」と述べた。
英国外務省は「6月13日にイラン軍の一部であるイスラム革命防衛隊が2隻のタンカーを襲撃したことはほぼ確実だ。国家であれ非政府組織であれ、これができる組織はほかに考えられない」とする声明を出した。ジェレミー・ハント英外務大臣は、「当然、同盟国のアメリカを信じることが我々の出発点である」そしてイギリスは「冷静かつ慎重に独自の評価を行う」と述べた。英外務省はまた、イランがオマーン湾の2019年5月の事件を画策したとして非難し、「フジャイラの港近くで4隻の石油タンカーが標的となった5月12日の襲撃事件に対するUAE主導の調査では、事件は訓練されたステート・アクター(state actor、国家側の行為者)によって行われた。イランがこの攻撃の責任を負っていると確信している」と述べた。しかしこの立場に対し、「信頼できる証拠」の存在に疑問を投げかける野党党首のジェレミー・コービンは異議を唱えている
ドイツ政府は「エスカレーションのスパイラルは避けなければならない」と主張した。 米中央軍が公表した動画についてドイツのハイコ・マース外相は「最終的な評価をするにはこれでは十分ではない」と述べた。一方、イタリアのエンツォ・モアヴェロ・ミラネージ外相は、「世界に平和と安定のための道を見出す余地があると思う」と述べた
中国の習近平国家主席は上海協力機構の会議席上でイランの大統領ハサン・ロウハーニーに、事件の進展にかかわらず中国はイランとの関係を促進するだろうと語った。ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務副大臣は「拙速に結論を出すことや、ロシアが糾弾したくない人たちを糾弾する試み」がないようにと警告した。

2019年6月14日、ノルウェーのイーネ・エーリクセン・ソーライデ外務大臣は「ノルウェー側としては、調査の最終結果を待っている」「すべての関係者が自制し、問題がエスカレートする原因をつくるような行動を避けるよう促す」と述べた。ノルウェー外務省はこの攻撃によって当該地域の緊張が高まると考え、 ノルウェー海事局はオマーン湾にいる5隻のノルウェー船に警告を出した
日本の安倍晋三首相は、2019年6月14日夜の記者会見でタンカー2隻への攻撃を「断固非難する」と述べたが、攻撃国名については言及しなかった。安倍首相のこの発言は、ドナルド・トランプ大統領との電話会談の後に行われた。公開された動画を確認した後、安倍に近い情報筋は「これらがイランであることを明確に証明するものではない」および「疑惑を主張したのが米国であっても、私たちはそれをそのまま信じるとは言えない」と述べた

その他の機関
国連安全保障理事会は6月13日、この事件に関する非公開の会合を開いた。
国際独立タンカー船主協会の会長であるパウロ・ダミコ(Paulo d'Amico)は、この地域の他の船舶とその乗組員の安全性に対する懸念を表明した。また、事件の結果、ホルムズ海峡を通る輸送はさらなる損害に対する懸念のため遅延した。
 アラブ連盟事務局長アハマド・アブルゲイトは、国連安全保障理事会に対し、責任ある者に対して措置を講じ、海上安全保障を維持するよう求めた。 6月14日にニューヨークの国連本部でアントニオ・グテーレス国連事務総長と会談した後、アブルゲイトは「責任の所在を明確にする必要があると考えている ...事実はやがて明らかになるだろう。時間の問題だ」とした。また、米国がイランがこの攻撃に関与していると非難している中、アブルゲイトは次のようにも述べた。「私からイランの人々への呼びかけだ。イランの兄弟たちよ、用心して引き返せ。あなた方がこの対立を推し進めるたなら、結果誰もが無傷では済まなくなる」。

経済面
1ヵ月にわたる価格下落傾向であった原油価格は、事件後、はじめ4%も上昇したが、その後2%の上昇に落ち着いた。襲撃事件の結果ホルムズ海峡における原油出荷量が減少したためで、石油価格の上昇は石油の供給に関する不確実性に起因するものである。6月17日に石油の価格は以前の減少傾向に戻り、1.7%下がった。
貨物船の保険額もこの事件に呼応して上昇しており、このため石油価格は今後上昇する可能性がある。ブルームバーグでは、ペルシャ湾における戦争リスク保険料は5月の事件後にすでに増加していたおり、スーパータンカーの場合は50,000ドルから185,000ドルに急上昇したと報じられた
また、日本でも海運最大手の日本郵船で、内藤忠顕代表取締役社長をトップとする対策本部が設置され、ホルムズ海峡付近では、全速力で通過するようにするとの指示がなされるなど、輸送体制の見直しが行われた


バブ・エル・マンデブ海峡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

バブ・エル・マンデブ海峡は、アラビア半島南西部のイエメンと東アフリカのエリトリア、ジブチ国境付近の海峡である。この海峡で紅海とアデン湾を分け、その先のアラビア海へと続いている。マンデブ海峡 (Mandeb Strait) と呼称されることも多い。
海峡の幅は30kmほどしかなく、しかも東部にはペリム島(イエメン領)、西部にはサワビ諸島(ジブチ領)があり、航路はさらに限られる。
名の由来はアラビア語の「涙の門」である。これは海峡の幅が狭くまた潮の流れが急で、しかも毎年11月から数ヶ月ほどは季節風が強くインド洋の方向から地中海の方へ向けて吹くため、地中海からインド洋へ航海する帆船にとっては海峡を通過するのが極めて困難だったことを表して「涙の門」と船乗りから呼ばれたものと伝えられる。また名前の由来にはもうひとつアラビアとアフリカを分断した大地震の伝説に由来するという説もある。

世界の航海・海運や地政学上の重要な海峡(チョークポイント)であり、イギリス、フランス、イタリアが競って周囲を植民地にしていった。第四次中東戦争中はエジプト海軍が駆逐艦2隻を同海峡に派遣し、(当時友好国同士であった)イランからイスラエル向け石油の流通を海上封鎖した。この海峡に面するジブチには現在も、フランスやアメリカ合衆国、日本、中国などが部隊派遣や拠点展開を行っている。
2018年7月26日、サウジアラビアで原油の積み出しを行ったタンカー2隻がイエメン沖で反政府勢力フーシからの攻撃を受けた。このためサウジアラビア政府は、安全を確保するため翌月8月5日まで海峡を通過する石油輸送の停止を行った

出アフリカ
約20万年前に東アフリカの大地溝帯で誕生した現生人類は、約7万年前の最終氷期の始まりにより気候が乾燥化し、草原および狩りの獲物が減少したために移住を余儀なくされ、海水準が降下したためにバブ・エル・マンデブ海峡の幅が11kmほどに縮まった時に、海峡を通じてアラビア半島南部へ渡ったとする仮説がある。
当時もアラビア半島内陸部には砂漠が広がり、人類の生存に適していなかった一方で、海水準の低下によりアラビア半島南部沿岸は今よりも陸地が広く、インド洋のモンスーンを水源とする、淡水の湧くオアシスが点在し、それを頼りに海岸沿いに移動したとされる。現在のイエメンからオマーンにかけての陸地に、約7万年前から約1万2000年前までの間、人類が住んでいた痕跡がある。オマーンには現在でも当時の名残を思わせるドファール山地が存在する。アラビア半島を海岸沿いに反時計周りに移動すれば、ペルシャ湾へと到達する。ペルシャ湾は現在平均水深50mほどの浅い内海で、当時はホルムズ海峡のあたりまで、周囲から河川が流れ込む水と緑の豊かな陸地(峡谷)だったと考えられている。人類はそこからさらにメソポタミアやヨーロッパやアジアやオーストラリアや南北アメリカに拡散したとされる。約1万2000年前に氷河期が終わり、海水準の上昇により海中に没したそれらの陸地を、「エデン」に比定する仮説もある。


ホルムズ海峡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ホルムズ海峡は、ペルシア湾オマーン湾の間にある海峡である。北にイラン、南にオマーン飛び地に挟まれている。水深75m - 100m、最も狭いところでの幅は約33km。イラン本土近傍のゲシュム島ホルムズ島をはじめとして、複数のが海峡内にある。かつてこの付近にはホルムズ王国があり、15世紀鄭和が寄航した「忽魯謨斯」の比定地とされている

概要
ペルシア湾沿岸諸国で産出する石油の重要な搬出路であり、毎日1700万バレルの石油をタンカーが運ぶ。日本に来るタンカーの全体の8割、年間3400隻がこの海峡を通過する。船舶の衝突を避けるため幅3kmずつの航行出入レーンが設けられている。国際海峡であるがオマーン領であるため同ムサンダム半島の先にある小島のレーダーで航行を監視している。レーンは海峡通過後イラン・アラブ首長国連邦が領有権係争中の大トンブ・小トンブ島付近を通ることになる。

イラン・イラク戦争ではイラクハールク島の石油積み出し港とタンカーを攻撃してタンカー戦争が起き、当時のイラクのサッダーム・フセイン大統領はイランにホルムズ海峡封鎖で報復させることでアメリカの介入を画策したとされる。現在は、イランの核開発問題のため、イランと欧米・湾岸アラブ諸国との間で緊張が高まっており、アメリカ海軍が展開している。これに対抗して、イランも定期的に海峡で軍事演習を行っている。

ホルムズ海峡経由の原油輸送シェア
中東各地から原油を購入して自国に輸送する国は、ホルムズ海峡という地理的条件から、主としてアジア諸国が多い。そのなかでも人口大国、或いは自国に大規模な油田が無い国が同海峡のタンカー輸送が多い。
ホルムズ海峡経由の原油輸送シェア
2018年 資料:米国クリッパーデータ[3]
順位 国籍 シェア
1位 中華人民共和国の旗 中華人民共和国 18%
2位 インドの旗 インド 16%
3位 日本の旗 日本 14%
4位 大韓民国の旗 大韓民国 11%
5位 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 8%
海峡迂回パイプライン・・・アブダビ原油パイプライン
ホルムズ海峡は原油輸出の要衝であるため、中東の政情不安などで海峡が封鎖されると、世界の原油供給に多大な影響を及ぼしかねない。そのためUAEは、安定的な原油輸出を目的とする陸上パイプライン建設を国家戦略とし、アブダビ政府系の国際石油投資会社英語版(IPIC)が、アブダビ南方のハブシャン英語版油田からインド洋側のフジャイラ港までの約370kmをホルムズ海峡を迂回する形で接続するハブシャン=フジャイラ石油パイプライン英語版を2008年から建設し、2010年12月に試運転を開始した。輸送能力はUAEの原油生産量の7割に相当する日量150万バレル程度と言われる。なお、建設は中国企業が請負い、住友商事及び住友金属工業がパイプライン用の鋼管を受注している[4](他にドイツとインドの企業も受注している)。

東西パイプライン(ペトロライン)
East-West石油パイプラインの名で、サウジアラビアのペルシア湾岸側の都市アブカイクから同国を横断して紅海沿岸側の都市ヤンブーを結ぶ全長約 1,200kmのパイプライン。公称輸送能力は日量480万バレル

事故
2010年
商船三井 のタンカー「M.STAR」が原油27万トンを積載して同海峡(オマーン領内)を航行中に、2010年7月28日午前5時23分頃に右舷後方で衝撃があり、船の右舷後部に損傷が発生し、船橋にいた2等航海士1名が軽傷を負った事件が発生した。国土交通省海事局が原因調査に入りホルムズ海峡タンカー事故原因調査報告を発表したが、原因は特定できなかった。
2012年
2012年8月13日、ホルムズ海峡にてパナマ船籍で日本の商船三井が所有している原油タンカーOTOWASAN(315,000t)とアメリカ海軍イージス駆逐艦ポーター(8,315t)が衝突

事件
ホルムズ海峡タンカー攻撃事件
2019年6月13日、ホルムズ海峡を通行していた日本の国華産業所有のタンカー 「コクカ・カレイジャス」 とノルウェーのフロントライン所有のタンカー 「Front Altair(フロント・アルタイル)」が攻撃を受けた。フロント・アルタイルは爆発が起き、火災が発生。両タンカーの乗員は全員避難した。攻撃した勢力、方法共に調査中。








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