香港の問題-1


2024.09.26-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240926-G4FP4C5LSZOZBBQJ6WJ6N75SDM/
香港の民主化デモ「雨傘運動」から10年 活動家らが都内でシンポ「精神死なず」

  香港で2014年に発生した大規模民主化デモ「雨傘運動」から10年を迎え、東大駒場キャンパス(東京都目黒区)で26日、記念シンポジウムが開かれた。運動を指導した活動家らが来日して参加「運動の精神は死んではいない。いつか香港の民主化が実現すると信じている」と訴えた。

  デモで香港の金融街セントラル(中環)占拠を指導、その後実刑判決を受け服役した陳健民・元香港中文大副教授「雨傘運動は、多数の学生らが集まった歴史的な抗議運動で、多くの香港の若者が香港人アイデンティティーを持つきっかけとなった」と振り返った。
  陳氏は19年の香港反政府デモにも触れ「雨傘運動が進化した。今後、民主化運動がさらに発展し復活する可能性もある」と期待を込めた。
  学生らは2014年9月下旬から12月まで「真の普通選挙」を求め幹線道路などを占拠、警察の催涙スプレーから身を守るために使った雨傘が象徴となった。(共同)


2024.04.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240402-CUWZD5KZLNP3RP7SDQZ2F7YXRA/
蘋果日報創業者の国安法裁判で〝日本ルート〟審理 A氏「共謀者」、周庭氏も焦点
(藤本欣也)

  中国に批判的な香港紙として知られた蘋果(ひんか)日報(アップルデイリー)の創業者、黎智英(れいちえい)(ジミー・ライ)氏(76)香港国家安全維持法(国安法)を巡る裁判で、共謀者の一人としてA元衆院議員(49)が名指しされた。検察側は、日本国内での政治活動を犯罪の構成要件として立証する構えだ裁判では香港民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)氏(27)の言動にも改めて焦点が当たる中、〝日本ルート〟などの審理が進んでいる。

米国ルート 元国防副長官に送金
  昨年12月18日に始まった裁判は50回を超えた。結審まで約80回の審理が見込まれている。現在、検察側証人として、30代の香港民主活動家、李宇軒氏(国安法違反の罪で起訴され勾留中)の証言が続いている。
  検察側の冒頭陳述などによると、黎氏は2019年夏、「外国に香港問題への介入を求める」目的で、秘書らを通じて李氏に米、英、日本の政治家とのネットワークの形成を指示。李氏は米国のリック・スコット上院議員(共和党)、トッド・ヤング上院議員(同)らと面会したほか、英国の人権活動家、ルーク・ド・プルフォード氏(保守党)らと交流した。
  このうち、米国ルートでは黎氏も自ら19年7月に訪米し、当時のペンス副大統領、ポンぺオ国務長官と面会、中国や香港当局者への制裁を呼びかけた。
  黎氏はウォルフォウィッツ元米国防副長官とも親交があり、検察側によると、13~17年に黎氏の銀行口座から計約176万香港ドル(約3400万円)がウォルフォウィッツ氏側に送金されているという。
日本ルート 法案めぐりA氏支持
  日本ルートの開拓は19年11月、米国で中国、香港当局者への制裁を可能にする「香港人権・民主主義法」が成立すると本格化した。
  米国にはすでに、深刻な人権侵害に関与した個人・団体に制裁を科す「マグニツキー法」がある。英国にも同種の法律が整備されているが、日本にはない。日本版マグニツキー法案の早期成立を目指していたのが当時、議員のA氏だった。
  検察側によると、李氏は20年初め、東京でA氏と面会し、A氏への支持を表明。知人の日本の国会議員3人にもメールでA氏への支持を求めた。
  20年6月の国安法施行が近づくと動きは加速。李氏は、プルフォード氏が創設に関わった「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)」への参加をA氏に働きかけ、A氏はIPACの共同議長に就任した。
  7月にはプルフォード氏とA氏らが会談。検察側は、中国や香港への制裁を可能にする日本版マグニツキー法案について謀議したと主張し、プルフォード氏とA氏を黎氏の共謀者として名指しした。
朝日と日経に全面広告
  検察側が日本ルートで特別に言及したのが20年夏ごろ、在日香港人組織と日本の国会議員らが開催した集会だった。李氏は「香港にいる周庭氏がビデオメッセージで(A氏らが早期成立を目指す)法案への支持を求めた」と証言した。
  李氏はまた、香港のデモへの支持などを国際社会に呼びかけるため、各国の新聞に政治広告を出す活動を展開。クラウドファンディングで資金を集めると同時に、黎氏の支援も受けながら、20以上のメディアに政治広告を載せ、計980万香港ドル(約1億9千万円)を支払ったとされる。
  そのうち19年6月28日付の朝日新聞紙面に「香港人は戦う、守るべきもののために。」、同年8月19日付の日経新聞紙面には「自由のため 香港と共に」というメッセージ入りの全面広告を掲載。李氏は朝日に約700万円、日経に約2千万円を支払ったという。
取り調べ室から叫び声との報道
  検察側はその活動に、日本語が堪能な周氏も関与したとみている。証拠として周氏と日経社員のメールを押収するなどした。
  周氏は20年8月、黎氏、李氏とともに国安法違反の疑いで逮捕された。黎氏と李氏は起訴されたが、起訴されないまま保釈された周氏は昨年9月、カナダに留学。周氏は今後、起訴される可能性はあるものの、昨年末、香港に戻らないことを宣言し事実上亡命した。
  李氏は保釈中、台湾に密航しようとして海上で中国当局に拘束された。その後、中国本土で取り調べを受けた李氏の部屋から「叫び声がしばしば聞こえた」と報じられた。黎氏側は「拷問で得られた供述は認められない」と主張している。(藤本欣也)

■黎智英氏の裁判
  起訴状などによると、黎氏は、香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例改正案」への抗議デモが香港で本格化した2019年6月、「香港の民主化」を実現するため中国や香港当局に圧力をかける好機と判断蘋果日報幹部らと共謀して、同紙などを通じ市民に中国や香港当局への憎悪などをあおった同紙幹部らと共謀して、同紙などを通じ外国政府に中国や香港への制裁などを求めた外国の政治家らと共謀して、外国政府に中国や香港への制裁などを求めた-とされる。
  検察側は、が刑事罪行条例で規定された「扇動出版物発行などの共謀罪」、が香港国家安全維持法で規定された「外国または域外勢力と結託し、国家の安全に危害を加える罪」に当たると主張。今年1月2日の罪状認否で黎氏は3つの罪全てについて無罪を主張した。


2024.03.20-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240320-FAPLZLJINRNKDCD6SF3ZDROSHA/
香港の国家安全条例 中国が海外からの批判に反発 「強い不満と断固とした反対」

  【北京=三塚聖平】中国外務省の林剣(りん・けん)報道官は20日の記者会見で、香港立法会(議会)が可決した国家安全条例について「香港が発展する安全の基礎をさらに固める」と主張した。海外から出ている批判や懸念を「中傷」と一蹴し「強い不満と断固とした反対」を表明し、反発した。

  香港に高度の自治を認めた「一国二制度」にとって「重要な一里塚の意義がある」と発言。「安全は発展の前提で、放置は繁栄の礎だ」とも述べた。


2024.03.19-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240319-RCXNSGRHBJPY3O7A5G4C7W466M/
香港国家安全条例「あいまい」「厳罰化」特徴 制定でさらに萎縮広がる恐れ
(藤本欣也)

  香港政府にとって20年以上の懸案だった「国家安全条例」が19日成立した。同条例は罪を構成する要件があいまいで、報道やビジネス活動に支障をきたす可能性が指摘されている。また、香港国家安全維持法(国安法)などの現行法より厳罰化の傾向にあり、香港社会で今後、萎縮ムードがさらに広がりかねない

  立法会(議会)周辺ではこの日、対テロ部隊が動員されるなど厳戒態勢が敷かれ、不測の事態に備えた。 香港基本法(ミニ憲法)23条は国家安全条例を香港自らが定めなければならないと規定している。香港政府は同条例の早期制定を目指したものの、2003年に約50万人の反対デモが起き、制定を断念した経緯がある。
  成立した国家安全条例には、国家秘密の窃取やスパイ活動、反逆、扇動、海外勢力による香港への干渉などの罪が規定された。立法会の審議などで指摘されたのは、条文などの定義のあいまいさだ。たとえば「海外勢力」について外国政府や地方当局、政党、政治組織、国際組織などと規定されているが、国際組織には非政府組織(NGO)など広範な団体を含めることが可能。海外勢力干渉罪では、こうした勢力が中国・香港の政策や立法、司法に影響を与えたり、選挙に干渉したりすることを禁じている
  「国家秘密」もあいまいだ。中国や香港の重大政策の秘密、中国国防・外交・国家安全に関する秘密、中国や香港の科学技術の秘密に加え、中国や香港の経済・社会発展に関する秘密と規定されている。経済・社会発展の秘密とは何を意味するのか判然としない
  国家安全条例では、こうした国家秘密の窃取や暴露を犯罪としており、メディアの取材活動やビジネス活動に規制がかかる可能性がある。 また同条例では、中国・香港当局への憎悪、蔑視をあおる行為を禁じているが、現行法では最高刑が禁錮2年なのに対し、同条例では同7年、さらに海外勢力が関与していれば同10年と刑期が厳しくなる
  国安法違反で起訴された香港紙、蘋果(ひんか)日報の紙面を所持しているだけで、扇動刊行物所有の罪とみなされ、現行法より重い3年以下の禁錮刑に科せられる可能性もある。(藤本欣也)


2024.02.27-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240227-BNZGATPS4NLZJH3CBHZKRCNTEI/
周庭氏、3年ぶりにユーチューブに動画投稿 刑務所生活語る 「届かなかった手紙」の謎

  香港の民主活動家でカナダに留学している周庭(アグネス・チョウ)氏(27)が26日、約3年ぶりに動画投稿サイト「ユーチューブ」の自身のチャンネルを更新した。

  周氏は約23分の動画(日本語訳付き)の中で、服役していた香港の刑務所での生活などを紹介。東野圭吾の本を20冊以上読んだことや、獄中で毎日手紙を書いていたが、6月4日に書いた手紙だけが友人に届かなかったことなどを明かした。6月4日は1989年に北京で天安門事件が起きた日。周氏は「政治や敏感な話とは関係のない、刑務所での出来事を書いた手紙でした…今でもなぜなのか分かりません」などと語った。
  周氏は2020年12月、無許可集会を扇動した罪などで禁錮10月の実刑判決を受け、香港の刑務所で半年余り服役していた。
  周氏は昨年9月に香港を離れてカナダの大学院に留学中。香港警察は今月上旬、香港国家安全維持法(国安法)違反の容疑でも逮捕され保釈中の周氏が保釈条件を破ったなどとして、指名手配したことを明らかにしている。


2024.01.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240110-LERB7BF2VFJSZBRUOTBMAENCP4/
蘋果日報への弾圧 言論封じの裁判許されぬ

  中国政府に批判的な香港紙として知られた蘋果(ひんか)日報(アップルデイリー)の創業者で、香港国家安全維持法(国安法)違反の罪で起訴された黎智英(れいちえい)(ジミー・ライ)氏の審理が本格化した。香港民主化運動(2019~20年)の弾圧を象徴する裁判である

  香港は高度な自治を保障された「一国二制度」のはずで、報道の自由が認められていなければならない。それらを奪う国安法が、中国の習近平政権の主導で制定され、運用されていること自体、決して許されない。黎氏の起訴も、裁判も到底容認できないと、国際社会は声を上げるべきだ。
  黎氏が問われているのは、国安法で規定された「外国または域外勢力と結託し国家の安全に危害を加える罪」2件と、刑事罪行条例違反の罪(扇動出版物発行などの共謀罪)である。
  いずれも、報道の自由を攻撃する香港当局と、その背後にいる中国政府の姿勢を反映している。黎氏が起訴内容の全てを否認し、全面的に争う姿勢を見せたのは当然だ。
  そもそも裁判で審理が尽くされるかどうか極めて疑わしい。習政権は黎氏を19年の反香港政府・反中国共産党デモの最大の首謀者とみなしている黎氏に重い判決を言い渡すことがすでに決まっているとの疑いも払拭できない。国安法の最高刑は終身刑である。
  裁判の審理が公開されない可能性も懸念されている。国安法第41条で「国家の秘密や公共の秩序」に関わる場合、「審理の一部あるいは全部を非公開にすることができる」と規定している。
  審理の公開は、公正な裁判を確保するために欠くことのできない原則だ。中国本土では、民主活動家など政治犯の裁判の場合、メディアや外交官はもちろん、家族さえ傍聴できない秘密裁判が横行している。黎氏の審理の非公開化は断じて認められない
  黎氏は著名な香港民主活動家であり、英国籍も持っている。香港当局は、黎氏の裁判に対する国際社会の関心が非常に高いことを忘れてはならない
  20年6月の国安法施行後、香港の国際的な評価は下がり続けている。秘密裁判が決して許されないことを、香港当局も中国政府も認識すべきだ



2023.12.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231229-54VXZ5EJHZPLZLXNR56QYOOPNY/
香港警察、周庭氏を指名手配へ 28日に出頭せず 保釈条件に違反

  香港警察は28日深夜(日本時間29日未明)、香港の民主活動家として日本でも知られた周庭(アグネス・チョウ)氏(27)が28日に警察に出頭せず保釈条件に違反したとして、周氏を全力を挙げて逮捕する方針を明らかにした。周氏は現在、カナダに滞在しており、近く指名手配するとみられる。

  周氏は2020年8月に香港国家安全維持法(国安法)違反の容疑で逮捕され、現在保釈中。保釈条件として警察に定期的に出頭する義務があり、その期日が今月28日に迫っていた。
  周氏は3日、交流サイト(SNS)を通じて、今年9月に香港を離れてカナダの大学院に留学していることを公表し、自由を失いたくないなどの理由から「恐らく香港には一生戻らない」と述べていた。
  香港警察は今月中旬、周氏が期日通りに出頭しなければ逃亡犯として指名手配し、懸賞金をかけて情報提供を呼びかける方針を示している。
  周氏は、19年6月の無許可集会を扇動した罪などで禁錮10月の判決を受けて服役。21年6月に出所していた。


2023.12.14-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASRDG7R5PRDGUHBI03D.html?iref=comtop_7_05
応じなければ「指名手配」 香港警察、カナダの周庭氏に帰国求める
(台北=石田耕一郎)

  香港警察は14日、留学先のカナダから香港に戻らないことを明らかにした民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏(27)に対し、「帰国して警察に出頭しない場合、指名手配する」とする方針を明らかにした。

  周氏は2020年8月に香港国家安全維持法(国安法)に違反したとして逮捕された後、保釈された。だが、起訴されるかの処分が決まっておらず、3カ月に1度、出頭することを求められていた。
  今年9月、警察の許可を得て留学のためにカナダに出国し、12月末に帰国して出頭する必要があった。いったんは航空券も用意したが、身の安全を考慮し、今月3日に将来にわたって帰国しないことを公表した。
  香港警察はこれまでにも、海外に逃れた民主活動家らに対し、高額の懸賞金を設けたり、香港の実家を捜索したりしている。(台北=石田耕一郎)


2023.12.11-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231211-KLZXAKLFURNXZJSCYTTUO46FNY/
結果ありきの選挙、冷めた目の香港市民
(阿古智子・東京大教授)(聞き手 桑村朋)

  香港区議会選の投票率は過去最低となる27・5%だったが、政府が必死に投票率アップ策を講じてやっとこの数字だった。公務員に投票を証明するカードを配って強制的に投票させるなどしたようだが、果たして自分の意思で投票した市民がどこまでいたのか候補者が親中派ばかりの結果ありきの選挙で、民主的な機能を果たしたとは到底思えない。香港国家安全維持法(国安法)施行以降の政府に多くの市民が冷めた見方を持っていることが改めて分かった選挙だった。

  今は香港を離れた民主派らの穴を埋めるように中国本土から人が流入し、政府の支援で公共住宅に優先的に入ったり、補助金をもらったりしている人もいる。こうした優遇策に不満も出ているが、批判は許されない。中国の環境に慣れた移住者が増えれば、選挙で香港の実態が見えなくなる恐れもある。
  今後は「一国二制度」の崩壊がより目に見える形で表れてきそうだ。選挙で当局に抗議した民主派が逮捕されたが、少しの批判も封殺される言論統制の厳しさを示す事件だ。状況は国安法施行時より悪化しているが、中国が民主化しない限り改善しないだろう
  民主的に社会を動かそうとしてきた香港市民の心はそう簡単に変わらない。元民主活動家の周庭氏も愛国教育を受けさせられたが、カナダに亡命し「世界が香港に関心をと勇気をもって訴えた。そうした声を横目に「愛国者統治」を掲げ、選挙で自分らに背かない議員ばかりを集める政府が滑稽に見えて仕方ない。
(聞き手 桑村朋)


2023.12.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231204-OTXEYIDZINO5DPQYD27BT3NQNM/
周庭さん、カナダの大学院に留学 「一生香港に戻らない」と亡命宣言
(藤本欣也)

  日本語が堪能な香港の民主活動家として知られた周庭(アグネス・チョウ)さん(27)が9月に香港を離れ、カナダの大学院に留学していたことが分かった。交流サイト(SNS)で3日、明らかにしたもので、トロントに在住する周さんは「香港には一生戻ることはない」と事実上の亡命を宣言した。

PTSDに
  周さんは、2014年の香港民主化運動「雨傘運動」の際に普通選挙の実現を求めて闘った民主活動家として知られる。香港の「民主の女神」のような存在だった。19年に大規模化した反香港政府・反中国共産党デモの際にも、得意の日本語を駆使して民主派の情報発信を行っていた。
  しかし20年8月に、香港国家安全維持法(国安法)違反の容疑で逮捕。その後、無許可集会を扇動した罪などで、禁錮10月の実刑判決を受けた。21年6月に出所した後は沈黙を貫いていた
  周さんはSNSで、出所後、再び警察に逮捕され連行されるのではないかといった不安などに駆られ、大泣きしたり、ふるえが止まらなかったり、恐怖におびえたりする日々が続いたと明かした医師の診断で、パニック障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)、鬱(うつ)病であることが分かったという。
当局の交換条件
  今年に入り、このままじっとしているより外国に留学したいと考えるようになり、当たってみたところカナダの大学院が受け入れてくれることになった
  しかし、周さんは出所後もパスポートを当局に没収され、自由に海外渡航できない状態が続いていた。このため、香港の国安当局に申請すると、これまで政治活動に関与してきたことを後悔し再びかかわらない民主活動家たちと連絡を取らない-ことなどを約束する書面の提出を求められた


  周さんは、もし妥協することを断れば「勉学のチャンスを失うか、警察署から出られなくなるかだった」と振り返っている。
  もう1つ条件があった。それはパスポートを返却する代わりに、国安担当者とともに香港に隣接する中国本土の深圳に行くことだった周さんに「拒絶する権利」はなく、8月、5人の国安担当者と深圳に向かった。周さんは「夢にまで見ていた香港からの出境が、まさか中国大陸行きになるとは」と思ったという。
  深圳では改革開放などの展覧会に連れて行かれ、中国共産党や歴代指導者の業績を見学させられた。香港に戻った後、「祖国の偉大な発展を理解させてくれた警察に感謝します」との文書を書かされたという。
自由の貴重さ
  こうして周さんが香港からトロントに向かったのは9月。パスポートは出発の1日前に受け取った今月末には香港に戻るつもりで航空券も購入していた。警察への報告義務があったためだ。しかし「香港の状況や自らの安全、健康などを考慮して、戻らないことを決めた。恐らく一生戻ることはない」という。
  この数年、恐怖から逃れる自由がどれだけ貴重なのかを切実に感じている」「言いたいことも言えるし、したいこともできる」「自由は得難いものだ」 3日、27歳の誕生日を自由な空の下で迎えた周さんは、現在の心境をこうつづっている。
(藤本欣也)


2023.12.01-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231201-P4HIDLASRNOW3O5CKOGDARJ4E4/
「処理に時間」と香港紙 安保記者、北京で消息不明

  香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストで安全保障を担当し、北京に出張した後に消息が不明になった女性記者陳敏莉(ミニー・チャン)氏について、香港紙、明報(電子版)は1日、サウスチャイナ紙が「北京におり、個人的な事柄を処理する時間が必要だ」と回答したと報じた。

  サウスチャイナ紙は陳氏の家族から聞いたとしており「今のところは安全だ」との見解を明らかにした。一方で同紙は「記者の安全は、わが社にとって非常に重要だ。引き続き家族と連絡を取り、必要な協力を行う」と説明したという。
  知人らによると、陳氏は北京で10月末に開かれた安保関連の「香山フォーラム」を取材。11月1日に北京にいる陳氏と連絡を取った後、消息が分からなくなった。陳氏は中国の安保政策に詳しいことで知られ、知人らは当局の調べを受けている恐れがあるとして心配している。(共同)


2023.11.03-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20231103/k00/00m/030/168000c
日本留学中の投稿で香港人女性に実刑判決 独立主張 香港裁判所
【台北・林哲平】

  日本の大学に留学中に香港独立を求める内容をSNSに投稿したとして香港人女性が刑事罪行条例違反(扇動を意図する行為)に問われた裁判で、香港の裁判所は3日、禁錮2月の実刑判決を言い渡した。香港メディアが報じた。香港では中国に批判的な言論に対する締め付けが強まっているが、香港人による域外での言論が処罰されるのは異例

  女性は2018年から22年の間に「香港独立が唯一の道」「テロ組織共産党」といった主張の文章や画像13件をフェイスブックやインスタグラムに投稿。うち11件は日本留学時のものだった
  判決では投稿の頻度は高くないものの、削除せずネット上に残したことで人を扇動する恐れがあったとした。 女性は今年3月、身分証を更新するために一時帰郷していた際に香港国家安全維持法違反(国家分裂扇動)容疑で逮捕された。6月の起訴段階で罪名が切り替えられた【台北・林哲平】


2023.06.28-Yahoo!Japanニュース(KYODO)-https://news.yahoo.co.jp/articles/025f22da9a0b311509bf7a02210efeb8ed378be9
国安法3年、中国化が進む香港 海外移住止まらず、労働力不足に

  【香港共同】香港で民主派排除や反政府活動の取り締まりを目的とした香港国家安全維持法(国安法)が施行されて30日で3年となる。デモが抑え込まれただけでなく、政党や民主派団体が解散に追い込まれ「香港の中国化」が日々強まっている

   国安法などの適用範囲は拡大され、民主派抑圧の動きは継続。海外移住の流れが止まらず、少子高齢化も相まって労働力不足に直面し、当局は中国からの労働者受け入れ強化にかじを切った
   3月時点で、国家安全に危害を与える活動に関わったとして計243人が逮捕され、うち約140人が同法違反罪などで起訴された。3月には日本留学中の香港人がインターネットで行った香港独立などの言論が理由で、帰省後に国安法の国家分裂扇動容疑で逮捕された。
  起訴は刑事罪行条例違反罪が適用されたが、同罪は海外での行為にも適用できるとの規定はなく、専門家からは「以前はこうした適用はなかった。乱用だ」との指摘が上がる。
  5月のメーデーに、労働団体が民主化運動とは無関係のデモの申請をしたが、警察の圧力で取り下げた


2023.03.03-6othメーテレ-https://www.nagoyatv.com/news/kokusai.html?id=000289997
【続報】香港の高層ビルで火災 激しく燃え ジェット機で消火も

  香港の繁華街にある高層ビルで火災が起き、今も燃え続けています。これまでに2人が病院に搬送されました。

  香港のサウスチャイナモーニングポストによりますと、2日午後11時ごろ、香港九龍地区の繁華街にある建設中の高層ビルで竹でできた足場などが燃える火災が発生しました。  ジェット機2機が出動し消火活動にあたりましたがビルは現在も燃え続けています。
  隣接する建物4棟にも燃え広がりましたがすぐに鎮火されました
  この火事で2人が病院に搬送されましたが詳しい容体は分かっていません。
  現場付近にはショッピングモールや住宅街があり消防は近隣住民らに窓やドアを閉め落ち着いて行動するよう呼び掛けています。







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