ブラジル連邦共和国の問題-1


2024.08.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240810-LQJMGLDZGZNZTDG4GNHH7GIVVE/
旅客機墜落、乗員乗客61人全員死亡 機体は住宅街に墜落 ブラジル・サンパウロ州

  ブラジル南東部サンパウロ州ビニェドで9日、乗客乗員計61人を乗せた旅客機が墜落した。地元メディアによると、全員が死亡した。ボエパス航空が運航し、南部パラナ州カスカベルからサンパウロ近郊のグアルリョス空港に向かっていた。

  近隣住民が撮影したとみられる動画には、旅客機がらせんを描くように落下する様子が写っていた。ボエパス航空によると、出発前、旅客機に問題はなかった。機体は住宅街に墜落し、大破して炎上した。一部の住宅が損傷したが、住民に被害は確認されていない
  地元メディアは、現役パイロットの分析として「翼や部品の損傷などで制御を失った可能性がある」と報じた。警察や航空当局が事故原因を調べている。


2024.07.26-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240726-ENXAZGSKRNK2DONCGD3L6ULHF4/
ブラジル政府、日本人迫害を謝罪 戦中戦後の強制退去、収監 移民の名誉回復

  ブラジル政府は25日、第2次大戦中に日本人移民を「敵性外国人」と見なして居住地から強制退去させた「サントス事件」と、戦後の動乱に伴うアンシエッタ島での収監について誤りだったと認め、国として初めて公式に謝罪した。人権・市民権省恩赦委員会のアルメイダ委員長が日本語で「ブラジル政府は先祖迫害の許しを求めます」と述べ、深く頭を下げた。

  来年の戦後80年を前に、日本人移民の名誉回復につながる重要な節目となった。恩赦委は政府の諮問機関。戦後の軍事政権下で起きた政治的迫害を主な審議対象にしており、戦中の事件で謝罪するのは異例だ。アルメイダ氏は「日本人移民を迫害したブラジル政府の誤りを認め、国の名のもとに謝罪する」と語った。
  ブラジルは1943年、サンパウロ州で敵国人として日本人移民ら約6500人に自宅からの立ち退きを迫り、収容所や内陸の居住地に送り込んだ。サントス事件と呼ばれ、沖縄県出身者が多かった。(共同)


2024.05.06-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240506-FOVYPQ2PZNIQVPJGIV2JFAG7MQ/
日系ブラジル人はなぜ「移民化」したか 「多文化共生」先駆け、偽装戸籍で「孫」1千人も

  「移民」と日本人の平成史は、日系ブラジル人らの「デカセギ」ブームにより本格化した。日系人とは、かつて中南米などへ移民した日本人の子孫。わが国に定住する「移民」の先駆けとして、一時は30万人を超えた。それは日本人にとって「多文化共生」の始まりでもあった

街宣車放火、機動隊出動
  日系ブラジル人が多く暮らす愛知県豊田市の「保見(ほみ)団地」。住民約6700人のうち外国人が約3800人で57%を占める。85%以上はトヨタ関連の工場などで働く日系ブラジル人だ
  現在は穏やかな郊外団地の風景が広がるが、かつては日系ブラジル人らによるごみ出しのルール違反や違法駐車、深夜の騒音などをめぐり日本人住民との軋轢が深刻化していた。
  1999(平成11)年、一部のブラジル人と右翼関係者のトラブルから大型街宣車が放火され、両者がにらみ合う中で機動隊が出動する騒ぎとなった。住民の一人は「右翼と暴走族が連日『外国人は出ていけ』と叫んでいた。ごみ団地と呼ばれ、最悪の時期だった」と語る。
  団地は当初、「多文化共生のモデルケース」とも呼ばれたが、軋轢の時期をへて、現在もなお模索が続く日本人住民が減る一方、外国人住民は横ばいで推移、2017年からは外国人の数が上回っている
空前のデカセギブーム
  デカセギブームが起きたのは、1990年の改正入管難民法施行がきっかけだった。かつて海外に移民した日本人の子孫に「定住者」という在留資格が与えられたためだ
  元法務省入国管理局長で日本大教授も務めた高宅茂氏(73)は「日系人の受け入れは、わが国との地縁・血縁的関係を考慮したもので、いわゆる外国人労働者や移民の受け入れではなかった」と説明する。
  ただ、在留資格が最長5年で更新可能な上、就労に制限がなかったため、高宅氏は「結果的に多くの日系人が『就労目的の外国人』として来日し、滞在が長期化して『移民化』が起きた」
  背景には、80年代後半のバブル景気による人手不足と、ブラジル側の経済破綻があった。ブラジル側も日系人の日本での就労を目指しており、日系人の多いサンパウロ州の日系2世の州議会議員が来日し、自民党国会議員らに陳情していたという。
  日本ではバングラデシュ人やパキスタン人の不法就労も問題化していたが、筑波大の明石純一教授(移民政策)は「政治的な働きかけかどうかはわからないが、国内での日系人の法的地位を安定させる目的と、日系人のほうが他民族より受け入れやすいという単純な考え方もあったのではないか」と推測する。
  一方で、デカセギブームが過熱する中、日系と無関係のブラジル人やペルー人らが「戸籍」や「出生証明書」を偽造し、日系人になりすまして来日する「偽装日系人」が問題化。2000年代に大阪入国管理局が調査したところ、これらの偽造により1人の日本人の高齢男性に「子供」が多数いて、こうした記録だけをたどっていくと「孫」が1千人いることになるケースもあった。
日本語なしで在留OK
  90年施行の法整備は、「平成の大改正」とも呼ばれ、現在の外国人受け入れの基本的な考え方にもなっているという。
  過去に適用事例はなかったものの、入国時に「永住者」の在留資格を与える規定を削除永住者の資格を得るには、まず別の在留資格で日本に滞在することを求めるようにした。これは、わが国が直接的に「移民」を受け入れないことを明確化したものだ
  在留資格制度が整備され、「雇った側」の責任も問われる不法就労助長罪も新設されたが、就労に制限のない「定住者」である日系人は対象外だった。
  「移民化」した日系ブラジル人は、保見団地がある愛知県や、浜松市、群馬県大泉町など自動車産業の企業城下町に集住。自治体は日本語教育や外国語による情報提供など、それまで経験したことのない生活支援に追われるようになった
  入管関係者は「中国人や韓国人は留学などで来日して日本語を学ぶが、日系人は『日本人の子孫』という位置づけのため、学歴や職歴は一切不問の上、極端にいえば日本語を学ぼうとしなくてもいつまでも在留できた」と説明。
  「初めて日本語の通じない外国人が長期在留する事態が生じた」

  ピークの2007年に約30万人いた日系ブラジル人は、翌08年のリーマン・ショックの余波で「派遣切り」などに遭った。日本政府は、職を失い再就職もできなかった日系人を対象に、希望者に30万円の飛行機代を出して帰国を促進、約8万人が帰国した。
  神奈川県に住む日系ブラジル人2世の男性は「あのとき出稼ぎ目的の人は帰国し、残った者は日本で頑張る覚悟を決めた」と話す。
  現在、わが国の在留外国人約341万人のうち、日系ブラジル人は約21万人。ピーク時は中国、韓国に次ぎ3番目だったが、現在は5番目となっている
  保見団地では2020年、多文化共生を目指して描かれた壁画アートが落書きされた。建造物損壊容疑で逮捕されたのは、共生の相手となるはずの日系ブラジル人住民の男だった。男は容疑を否認、その後不起訴処分となり、動機はわかっていない



2023.12.07-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231207-5EN4FFA66NCTHEGKXVV6IYMJOU/
チャットGPTが15秒で作った条例が議会で可決、ブラジルで物議醸す
(黒沢潤)

  生成AI(人工知能)の「チャットGPT」を使って短時間で作成された条例ブラジルの市議会で可決されたことが明らかになり、物議を醸しているAI利用を伏せて条例案を議会に提出した議員は、AIを巡る倫理論議を巻き起こすのが狙いだったと話すが、非難の声が噴出している。

  異例の条例が成立したのは、ブラジル南部第2の都市、ポルトアレグレ(人口約130万人)の市議会。住民宅の水道メーターが盗難に遭った場合、無償で交換が行われるという内容だ。
  条例案は議員36人の満場一致で可決され、先月23日から施行された。ところが、米紙ワシントン・ポスト(電子版)などによると、条例案を提案したハミル・ホザリウ市議が可決成立から6日後、AIのみで作成したことを暴露し、騒動へと発展した。
  250字の指示で、わずか15秒後に条例案が完成。同案は委員会で審議されたとはいえ、表現の一部が修正された程度で内容はほぼ当初通りになったという。ホザリウ氏は「AIが作ったブラジル初の条例」と胸を張る。
「政治家の数が減る」可能性
  同氏の行為については肯定する声もあるが、反発の声も広がっている。アミウトン・ソスメイヤー市議会議長は一定の理解を示しつつも、「危険な前例になる」と警鐘を鳴らした。
  AI利用を伏せたまま条例案を提出したことについて、ホザリウ氏は「(他の議員が)先入観を持ったままでは、可決が阻止されると考えた」とした上で、「偉大な技術革新の状況について議論を巻き起こすためのものだった」と狙いを強調。
  AIは自身が考えもしなかった内容を含む条例案を作った、と明かすとともに、「政治家や公務員の時間を節約し、彼らが真に何をすべきかに焦点を与えるものだ」と強調した。また、AIによって「政治家の数が減る可能性」についても言及した。
  生成AIは偽情報・画像の拡散につながるとして、問題視されることも少なくないブラジルでは今秋、連邦裁判所判事がチャットGPTを使って判決文を作成したとして、司法当局から事情聴取された例がある。(黒沢潤)


2023.10.05-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231005-Y74EBU2EA5L4BEGNQBJCW4LFKY/
フジモリ元大統領恩赦要求 無実と健康悪化訴え

  南米ペルーのアルベルト・フジモリ元大統領(85)は4日、自身の人身保護請求を巡る裁判所の審理にオンラインで出廷禁錮25年の刑で服役中の人権侵害事件について無実を訴え、健康状態が「悪化している」として恩赦を要求した。現地メディアが報じた。

  フジモリ氏は、在任中に左翼ゲリラと間違えられた市民らが軍特殊部隊に殺害された事件などで2010年に判決が確定し、服役中。17年12月に高齢や病気を理由に人道的恩赦を与えられ釈放されたが、最高裁が18年10月に遺族の訴えを受けて恩赦を取り消したフジモリ氏は19年、入院を経て再収監された。
  フジモリ氏は「恩赦の取り消しは全く不当で根拠がない」「私は完全に無実だ」などと強調。殺害に関与した部隊は「非合法に」動いたと主張した。(共同)


2023.01.12-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230112-XKECHCGVTBPORPV6FP4JHA46UQ/
襲撃で1400人超逮捕 ブラジル、前大統領派捜査

  ブラジルの首都ブラジリアで起きた連邦議会や大統領府への襲撃事件で、国家司法審議会は11日までに、関与した1418人が逮捕されたと発表した。これまでに高齢や健康上の理由などで約600人が釈放されたとしている。

  襲撃したのは主に右派ボルソナロ前大統領の支持者で、昨年10月にボルソナロ氏が敗北した選挙結果に抗議し暴徒化した。当局はボルソナロ氏支持層が襲撃に資金援助したとみて経緯を捜査している。
  1418人のうち222人は襲撃現場で逮捕、他はブラジリアの陸軍前に居座り、拘束されていた。
  襲撃したとされる約4千人の中には地方からバスで来た人もおり、主要紙グロボによると、そのうちの一人は北東部サルバドルからブラジリアに行くために何者かから400レアル(約1万円)を受け取ったと当局の調べに対し供述した。(共同)


2023.01.09-Yahoo!Japanニュース(毎日新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/c8c421866911f073dd4b72aa78df34b11806fb4f
「選挙はいかさま」怒るボルソナロ氏支持者 ブラジル議会襲撃ルポ
【ブラジリア中村聡也】

  南米ブラジルの右派ボルソナロ前大統領の支持者らによる連邦議会や大統領府などへの襲撃事件。発生当日の8日、深夜に記者は首都ブラジリアに入った。連邦議会などへ続く主要幹線道路は治安当局に封鎖され、現場付近は小康状態となっていたが、街中には左派のルラ大統領に対する怒りをあらわにするボルソナロ氏支持者らの姿があった。

  ブラジリアの軍施設近くの一般道。タクシーを降りて近づくと、街頭の明かりの下で、大柄な男性が地べたに座りこんでいた。話しかけると、「我々の国旗が、共産主義者によって汚されている」。サンパウロ州の自営業の男性(42)は、そう吐き捨てるように言った。
  8日日中の一連の襲撃の様子は、ニュースやSNS(ネット交流サービス)を通じて瞬く間に世界に広まった。ボルソナロ氏の顔がプリントされた白いTシャツを着たこの男性は襲撃に参加した一人。
  記者に示したスマートフォンに映っていたのは、連邦議会内の議員の椅子に笑顔で座る自身の姿だった。
  「選挙はいかさまだ。ボルソナロはブラジルを立て直した。ルラになれば全てが破壊される」。襲撃に加わった動機を男性はそう語った。友人2人も襲撃に参加し、連邦議会などに侵入したが、治安当局に拘束されたという。「俺は逃げてきた。今夜は野宿だ」と話した。
  軍施設の近くには他にも数十人が集まっており、記者のインタビューに応じた人々は口々に、ルラ氏を「共産主義者」「泥棒」とののしった。中には「なぜお前の取材に答えなければならないのか」と記者に怒りをぶつける人もいた。
  昨年10月の大統領決選投票で、ルラ氏とボルソナロ氏の得票率の差はわずか1.8ポイントだった。ボルソナロ氏の支持者は決選投票直後から、トラックで幹線道路を封鎖したり、各地の軍施設前で、選挙の無効を訴えて軍の介入を求めるデモを展開12月にはブラジリアでバスや車に放火したり、連邦警察本部に侵入しようとしたりした集団がいたほか、爆発物を仕掛けた容疑での逮捕者も出た。それでも、ルラ氏が1月1日に大統領に就任した時点で、抗議の勢いは弱まったとみられていた
◇ルラ氏への不信感根強く  
  だが、今回の襲撃事件は、ボルソナロ氏支持者らのルラ氏とルラ氏が所属する与党・労働者党に対する不信感の根強さと、国内の分断の深さを改めて示したといえる。
  2003~10年に大統領を務めたルラ氏は、贈収賄事件で18年に有罪判決を受けて約1年半収監された。その後に連邦最高裁が、判決を下した南部クリチバの裁判所には管轄権がなかったとして判決無効の判断を示したが、疑惑は晴れていない労働者党の後任大統領のルセフ氏も16年に不正会計問題で弾劾され、失職した。一連の経緯は保守派の市民らの強い怒りを買った。
  今回の襲撃をツイッターで批判したボルソナロ氏だが、大統領選前から、現行の電子投票方式では「不正が行われる」と繰り返し主張。今も正式に大統領選の敗北を認めていないことも、支持者らが抗議行動を正当化する材料になった可能性がある。
  世論調査ダッタフォーリャの昨年12月31日発表の調査によると、ルラ氏がボルソナロ氏よりも「良い政権をつくる」と答えた割合は51%一方、「悪い政権をつくる」は31%で、「変わらない」は13%だった。スタート時の政権として期待値が十分高いとまでは言い切れず、有権者の分断状況が続いている。
◇米連邦議会襲撃と「類似」
  民間シンクタンク「ジェトゥリオ・バルガス財団」(FGV)所属の研究者、マルコ・テイシェイラ氏(政治学)は今回の襲撃事件について「民主主義の安定と人命が危険にさらされた。ブラジルにとって悲劇としか言いようがない」と明言。
  「ボルソナロ氏の支持者は、ルラ氏を追いやるため、正義を捨て、ルールを捨て、秩序を捨てた」と憤った。
  また、テイシェイラ氏は、今回の襲撃が21年1月に米国で起きたトランプ前大統領の支持者らによる連邦議会襲撃事件と「非常に類似している」とも指摘。
  「ボルソナロ氏の支持者のやり方は非民主的なクーデターそのものだ。(ルラ新政権は)発生の経緯を十分検証して対策を講じない限り、暴挙に再び乗り出す『ボルソナリスタ』と呼ばれるボルソナロ氏の熱狂的な支持者は、今後も生き残り続けるだろう」と警鐘を鳴らした。



2022.10.31-BBC NEWS JAPAN-https://www.bbc.com/japanese/63452273
ブラジル大統領選、左派のルラ元大統領が勝利 現職ボルソナロ氏破る

  ブラジルで30日、大統領選の決選投票があり、左派のルイス・イナシオ・「ルラ」・ダ・シルヴァ元大統領(77)が勝利した。現職で極右のジャイル・ボルソナロ大統領(67)は再選を果たせなかった。

  政治的に正反対の立場にある宿敵同士が、国を二分して戦った。開票の結果、ルラ氏が50.9%の票を獲得した。新大統領は来年1月1日に就任する
  労働者党のルラ氏は、2003年から2期8年大統領を務めた。通算3期目となる政権運営を担う。2017年に汚職で有罪となり、前回2018年の大統領選は服役中のため立候補を禁止されていた同氏にとって、驚異的な復活となった。

  大統領選は今月2日に最初の投開票があったが、当選に必要な有効票の50%以上を獲得した候補者がいなかった。そのため、最多得票を得た2候補の間で、30日に決選投票が行われた。
飢餓撲滅や差別解消を約束
  勝利を決めたルラ氏は、支持者に向かって演説し、「まず、神に感謝したい」と述べた。そして、今回の選挙はブラジルの非常に異なる2つのビジョンの激突だったが、勝ったのはブラジル国民だとした。
  ルラ氏はまた、ブラジル国民はよい暮らし、よい食事、仕事、教育を望んでいると主張。「ブラジル国民が欲しいのは銃ではなく本だ」、「銃を置く時だ。そもそも銃を抜いてはならなかった」と訴えた。
  ボルソナロ政権は、全国で銃規制法を緩和し、国民の銃の所有率が上昇している。ルラ氏は、国民が望んでいるのは再び希望を持つことだと付け加えた。
  ルラ氏はさらに、人種差別に取り組むと表明。白人、黒人、先住民が、同じ権利と機会を持てるようにするとした。
  そして、「平和、民主主義、尊厳」をブラジルに望むとした。また、「2つのブラジル」など存在しないとし、「私たちは1つの国民だ」と強調した。

  ルラ氏は、最も喫緊な目標に「もう一度」飢餓撲滅を挙げると述べた。前回のルラ政権と、その後継のジルマ・ルセフ政権(労働者党)は、飢餓撲滅を最優先の課題にしていた。
  ルラ氏は、ブラジルの何百万人もが十分な食事をしていないか、必要なカロリーやタンパク質を摂取できていないと指摘。そうした状況を普通のこととして受け入れてはいけないと主張した。
  その上で、飢餓撲滅はとてつもない挑戦で、あらゆる次元で国の再建が必要だとした。
  ルラ氏はまた、アマゾン熱帯雨林での森林伐採を無くすことを目指し、政府として戦うと表明した。違法行為を取り締まると誓い、「ブラジルと地球には、生きて呼吸するアマゾンが必要だ。まだ立っている1本の木は、違法に伐採された1トンの木材以上の価値がある」と述べた。
ルラ氏はどんな人なのか
  ルラ氏は、金属関連の労働者として働き、労働組合の指導者を務めた。1970年代に、労働者が賃上げを求め、軍事政権に異議を唱えたストライキが続くと、その存在が広く知られるようになった。そして20年前、変革を約束して大統領選に立候補。初当選を果たした。
  商品価格の上昇で国の収入が増え、それを高等教育や福祉などの分野に使い、何百万人もの国民を貧困からの脱出につなげた。
  しかし近年、ルラ氏率いる労働者党と同氏自身の汚職スキャンダルが浮上。評価が損なわれたルラ氏は2017年、禁錮9年の有罪判決を受けた。判決は4年後に取り消されたが、多くの国民がルラ氏を、公職にふさわしくない腐敗した政治家とみなすことになった
各国首脳が祝福
  ルラ氏の当選を、世界各国の首脳が祝福している。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、ツイッターでルラ氏の勝利を祝い、2人で「両国の友好の絆を新たにしていく」とした。
  アメリカのジョー・バイデン大統領は、当選が発表された直後、「自由、公正かつ信頼できる選挙」だったとし、ルラ氏に祝辞を送った。
  カナダのジャスティン・トルドー首相も、ツイッターでルラ氏の当選を祝福。選挙で最大の争点の1つとなった環境保護についても言及した。


2020.7.8-Yahoo!!Japanニュース(JIJI COM)-https://news.yahoo.co.jp/articles/81dee6e7460e4b1c140287c16b69b930157412d4
ブラジル大統領、新型コロナ陽性 「これが人生」、経済再開を強調

  【サンパウロ時事】新型コロナウイルスを「ちょっとした風邪」と軽んじてきたブラジルのボルソナロ大統領(65)は7日、首都ブラジリアの大統領公邸で記者団に対し、自身の新型コロナ検査で陽性反応が出たことを明らかにした。
  症状は軽く、公邸からビデオ会議などで執務を続けるという。
  ボルソナロ氏は「驚いていない。国民とダイナミックに触れあう仕事であることを考えると、既に感染したと思っていた」と述べた上で、「恐れる必要はない。これが人生だ」と強調した。同氏によると5日に体調不良を感じ、6日に疲労や筋肉痛、38度の発熱があったため検査を受けた。現在は新型コロナへの効果が証明されていない抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」を服用しているという。
   ボルソナロ氏はこれまで新型コロナを軽視し、「私はかつてスポーツをしていたから感染しても心配ない」などと述べていた。州や市が感染拡大防止策として進めた経済規制について、この日も「経済が機能しなければ自殺など別の原因で死ぬ人が出てくる」と批判した上で、州や市が耐えきれずに経済再開に動いている状況を指して「われわれが正しかったことが明らかになった」と胸を張った。
  ボルソナロ氏はたびたび公の場にマスクなしで登場。6月22日には裁判所から着用を命じられる一幕もあった。米独立記念日の今月4日には、外相らとともに駐ブラジル米大使公邸を訪問。マスクなしで大使らと談笑していた。
   最近のボルソナロ氏はマスクを着用するようになっており、7日の会見でもマスク姿で現れた。ただ、最後は外して意地を見せた。
   ブラジルでは7日までに約167万人の感染が確認され、約6万7000人が死亡。ともに米国に次いで世界で2番目に多い。 


2020.6.28-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200628/mcb2006280855002-n1.htm
アマゾン先住民にも新型コロナの脅威 低い医療水準、開発政策も悪影響

  【ワシントン=住井亨介】南米ブラジルでの新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。冬を迎えて感染者が100万人超となり、死者数も5万人を超えた。感染は熱帯雨林のアマゾン奥地にも広がりつつあり、先住民の絶滅につながりかねないとの指摘も出ている
  米CNN(電子版)によると、先住民に最初の死者が出たのは4月。アマゾン地域の村落に住んでいたヤノマミ族の少年(15)だったという。
  米誌ナショナル・ジオグラフィック(電子版)は、ブラジル先住民連合(APIB)発表の数字(6月9日)として、先住民の死者は262人に上ったと報道。新型コロナに感染した先住民の致死率は9・1%で、一般人の5・2%に対し約2倍となっているとしている。
  感染拡大の要因とみられているのが、貧しい医療態勢だ。CNNによると、先住民の村落から集中治療室(ICU)がある最も近い病院までの平均距離は315キロ村落の約1割は700~1千キロ以上離れたところにある。医薬品の供給も十分ではなく、先住民は主に伝統的なハーブ薬などで治療をしている状況だ。
  もう一つの原因は、ボルソナロ政権が進めるアマゾン開発の影響だ。ブラジルからの報道によると、国立宇宙研究所(INPE)は4月のアマゾンでの森林伐採面積が前年同月比64%増となったと発表した。
  経済重視を掲げるボルソナロ大統領は、森林消失に関する研究機関のデータを「嘘だ」と否定。厳しく規制されてきた開発に前のめりだとして批判を浴びている。

  保護政策の後退で木材調達のほか地下資源の採掘などを目的にアマゾンへの不法侵入者が増えており、感染症に脆弱(ぜいじゃく)な先住民へ新型コロナの感染を広げているという。こうした侵入者への対策は新型コロナの影響で後手に回っており、先住民は二重の脅威に追い詰められている形だ。

  「大量虐殺の恐怖といっても過言ではない」。ブラジルの気候科学者カルロス・ノブレ氏は英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)に対してこう語った上で、「先住民への感染拡大の恐れと不法侵入者の脅威は大変なものであり、もし止められなければ先住民の文化が終焉することになる」と指摘している。

アマゾンの先住民 ブラジルには、約300部族の先住民がいるといわれる。先住民の文化保護などを担う国立先住民基金(FUNAI)によると、約460カ所ある先住民保護区は国土の約12%を占め、アマゾン地帯に集中している。


2020.6.8-Bloomberg-https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-06-08/QBKVY5T0G1LA01
ブラジル、コロナ累計データ公表中止-死者数でイタリア抜いた直後

  ブラジルは6日から新型コロナウイルスの累計の感染者数と死者数の公表を取りやめた。ボルソナロ大統領は同国が新型コロナの新たな中心地となった現状への不快感を募らせている。
  同国が6日に公表した直近24時間の新型コロナ感染症(COVID19)による死者は904人、新規感染者は2万7075人だった。4日のデータでブラジルの累計死者数はイタリアを上回っていた。
  6日から同国保健省ウェブサイトに掲載される新型コロナ関連データは、直近の24時間の感染者・死者数などに限られ、累計と致死率は削除された。これまでは新規感染者・死者を含む日付と地域ごとの数値が掲載されていた
  4月に更迭されたマンデッタ元保健相は6日のウェブキャストで、「保健の観点からはこれは悲劇だ」と発言。「情報を開示しなければ国家による害の方が新型コロナよりも大きくなる」と非難した。


2020.6.3-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200603/k10012456201000.html
ブラジル 新型コロナ感染が世界最悪に それでも経済活動は再開

  南米のブラジルでは2日、新型コロナウイルスの感染が新たに確認された人がおよそ2万9000人に上り、死者も1200人以上増え、一日当たりでは、いずれも国別で最も多くなりました。こうした状況でも最大都市サンパウロでは今月から経済活動が段階的に再開され、さらなる感染の拡大が懸念されています。
  ブラジルでは「ファベーラ」と呼ばれる、人口が過密な貧困地区を中心に感染が急速に拡大し、政府によりますと、2日の時点で、
感染者は2万8936人増えて55万5383人
死者も1262人増えて3万1199人に上っています。
  一日当たりの新規の感染者・死者の数は、ともにアメリカを上回り、ブラジルが国別で最も多くなりました
  状況が最も深刻なのがサンパウロですが、医療の受け入れ態勢が整ったなどとして、今月から一部の地域で大型ショッピングセンターの営業が認められるなど経済活動が再開されました。
  WHO世界保健機関はブラジルは感染のピークには達していないと指摘しており、今後さらなる感染の拡大が懸念されています。
  ブラジルの経済活動の再開にあたっては、再開を強く主張してきたボルソナロ大統領の支持者と、それに反対する市民の間で各地で衝突が起き、混乱も広がっています。
イタリアからの帰国者が発端 ブラジルでコロナ感染の経緯
  ブラジルで初めての感染が発表されたのは2月26日。出張先のイタリアから帰国したサンパウロに住む61歳の男性でした。
  その後、3月の初めには、アメリカのトランプ大統領とブラジルのボルソナロ大統領が面会した際に同席していたブラジル政府の高官が、新型コロナウイルスに感染していることがわかりました感染は海外渡航歴のある中間層以上を中心に徐々に広がり、3月20日にブラジル政府は非常事態を宣言
  中国や日本、EU=ヨーロッパ連合などからの入国を制限する措置をとりましたがこの時点では、確認された感染者は600人程度にとどまっていました。
  ボルソナロ大統領は、新型コロナウイルスについて「軽いインフルエンザかただのかぜ程度だ。マスコミは恐怖をあおっている」と発言し、経済活動は通常どおり続けるよう主張していました。
  一方、サンパウロやリオデジャネイロなど大都市がある州の知事は危機感を強め、ボルソナロ大統領の反対を押し切って3月23日から独自に外出禁止措置を発表。学校は休校し、レストランも閉鎖されました。
  その後、2か月以上にわたって外出禁止措置が続く中、感染は、当初の中間層以上の市民から、「ファベーラ」と呼ばれる貧困地区に暮らす市民へと広がって行きます。4月の末に死者の数が5000人を超えて中国を上回ると、先月に入り感染は急拡大。25日には1日当たりの死者数が800人を超え、アメリカを上回り国別で最も多くなりました。
  WHO=世界保健機関は2日、ブラジルについて、「まだ感染のピークには達していない」と指摘しています。こうした中、経済規模が最大のサンパウロ州は「患者を治療する体制が整った」として今月1日から経済活動の一部を再開しました。ただ、実情は、休業が長引き、このままでは生きていけないという市民からの痛切な訴えに州政府が押し切られた形です。
  南半球のブラジルは、これから冬を迎えます。ウイルスの特性についての解明がなされないまま、経済活動の再開に踏み切ったことで、感染拡大が一層、深刻化しかねないと懸念する声も上がっています。



2020.5.12-auヘッドライン(産経新聞)-https://news.headlines.auone.jp/stories/international
ブラジルが新型コロナの新たな“震源地”に 経済重視の大統領が「最大の脅威」

  【ニューヨーク=上塚真由】欧米の先進国が新型コロナウイルスの感染ピークを迎えた中、新興国が新たな感染の震源地となる懸念が高まっている。なかでも中南米の大国、ブラジルは先月から感染者が急増し死者が1万人を超えた。経済重視の同国のボルソナロ大統領は新型コロナをただの風邪」と呼び、規制派の州政府と対立するなど政治的混乱も表面化している。
   ブラジル保健省は11日、国内の感染者が16万8331人、死者は1万1519人となったと発表した。世界で感染者は8番目、死者は6番目に多い。米国や欧州の先進国と異なる点は感染の増加ペースが鈍化しておらず、9日には前日から新たに約1万人の感染が確認されたと発表。南半球に位置するブラジルはこれから冬を迎え、インフルエンザの流行期と重なって医療機関がさらにひっ迫する懸念が高まる。
   こうした中、ボルソナロ氏は11日、ジムと美容院を必要不可欠な事業と認定し、営業継続を認めると宣言。「人命の問題と職は同列に扱われるべきだ。経済活動がなければ生きていけず、医師も医薬品もない」と述べ、今後も規制を緩和していく方針を示した。
   ブラジルでは、州政府が独自に経済規制などの感染防止策を講じているが、ボルソナロ氏は、経済に多大な損害を与えているとして規制に反発し続けている。
   同氏は4月半ばに、新型コロナ対策をめぐり対立していたマンデッタ保健相を更迭。最も被害が深刻なサンパウロ州では3月24日から経済規制を実施し、5月11日に段階的に解除される予定だったが、感染に歯止めがかからず、州知事は5月末までの延長を決めた。サンパウロ市などでは「ブラジルを殺す犯罪行為だ」と州政府の姿勢を批判するボルソナロ氏に呼応する支持者によるデモ活動が広がっている。
   有力な英医学誌ランセットは9日、論説を掲載し、サンパウロやリオデジャネイロなど大都市がホットスポット(一大感染地)となっているが、集中治療室や換気装置が不十分な内陸部の小さな都市に感染が広がっている兆候がある」と警戒。「ブラジルの新型ウイルス封じ込めの最大の脅威はボルソナロ氏だ」と、新型コロナの脅威を軽視する姿勢を痛烈に非難した。



2019.9.2-産経新聞-THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190902/wor1909020012-n1.html
ブラジル大統領、アマゾン火災の支援めぐりマクロン氏と不和

【ワシントン=住井亨介】世界最大の熱帯雨林がある南米アマゾン地域の火災で、対応に消極的だったブラジルのボルソナロ大統領が、軍を投入した消火活動など対策に本腰を入れ始めた。ただ、8月の先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)で議論された国際支援の受け入れをめぐっては、フランスのマクロン大統領との間で確執が表面化。両首脳の不和が消火活動にも影響しかねない状況になっている。
 フランスで開かれたG7サミットでは、アマゾン森林火災の消火支援のため2000万ドル(約21億円)を拠出することが表明された。
 しかしボルソナロ氏は、支援の受け取りに消極的な姿勢をとっている。温暖化対策に熱心なマクロン氏が、ボルソナロ氏は温暖化対策を実行していない「嘘つき」だと批判したことに反発しているためで、マクロン氏が発言を撤回しない限り支援を受け入れない考えを示した
 直後に大統領報道官が、使途をブラジルが決定することを条件に支援を受け入れる-と修正したが、関係は修復されていない。そもそもボルソナロ政権は、先進国がアマゾン開発に批判的なのはブラジルの経済発展を阻害するためだとみており、他国からの“干渉”への不信感は根強い。
 また、ロイター通信は米国家安全保障会議(NSC)のマーキー報道官の話として、米国はG7の支援拠出に賛成しておらず、ブラジルに直接支援を行うと報じており、G7側にも足並みの乱れが出ている。
 一方でボルソナロ氏は、自身に友好的な国からの支援の受け入れには前向きだ。ロイターなどによると、英国から1000万ポンド(約13億円)の支援を受けたほか、消火活動のため航空機を提供するというチリ、イスラエルの申し出を受け入れた。
自身と同様に気候変動に懐疑的なトランプ米大統領からは「ボルソナロ氏は火災に懸命に取り組んでいる。米国は完全に支援する」とツイッターで激励され、「ありがとう、大統領。消火活動は成功している」と応じた。マクロン氏への態度とは違いが際立っている。
 ブラジル国立宇宙研究所(INPE)によると、今年1月1日から8月29日までの同国全体の森林火災は約8万7千件で、前年同期比の76%増。ボルソナロ氏は、9月6日にコロンビアで開催されるアマゾン近接諸国の緊急首脳会議で国際的な連携を協議する。


2019.8.27-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190826/k10012049371000.html
アマゾン大規模森林火災 日本も消火や森林保全で支援へ

南米の熱帯雨林、アマゾンでの大規模な森林火災を受けて、河野外務大臣はブラジルのアラウージョ外相と電話で会談し、消火に向けた取り組みや今後の森林保全について、必要な支援を行う考えを伝えました。南米の熱帯雨林、アマゾンでは森林火災が記録的なペースで発生していて、軍など4万4000人が消火活動にあたっていますが、収束のめどはたっていません。

こうした事態を受け、河野外務大臣は26日午前、ブラジルのアラウージョ外相と電話で会談し、現状についての説明を受けました。
  そのうえで河野大臣は「ブラジル側の意向を踏まえ、まずは消火のためにできることを検討したい。中長期的な森林保全の協力についても、引き続きブラジルと連携していきたい」と述べ、必要な支援を行う考えを伝えました。

G7 森林再生に21億円支援で合意議長国
フランスのマクロン大統領は、26日、チリのピニェラ大統領と共同で記者会見にのぞみ、南米アマゾンの熱帯雨林で多発している森林火災について関係国に日本円にして合わせて21億円の資金を支援することでG7各国が合意したことを明らかにしました。
  これについてマクロン大統領は、「これから9月に国連総会が開かれるまで熱帯雨林の周辺国、それぞれが持つ主権と役割を尊重しながら、森林の再生に向けた取り組みを立ち上げる」と述べました。
  さらに、ピニェラ大統領は、「9月に開かれる国連総会でアマゾンの熱帯雨林がまたがる南米諸国と、G7各国が一緒になって熱帯雨林を守るための調整を促して行きたい」と述べこの地域の生物多様性を保護し、森林を再生していく意向を示しました。


2019年5月8日-NHK NEWS WEB
ブラジルで警察官の誤射急増 市民の被害相次ぐ


  治安の悪化が深刻化する南米のブラジルで、パトロール中の警察官が市民を誤って射殺する事故が急増していて、国民の間で懸念が広がっています。
  ブラジルで警察の行動を監視しているNGO団体は7日までに、凶悪犯罪に対応するためだとして警察官が必要以上に銃を発砲し、流れ弾に当たるなどして市民が犠牲になる事故が増えているという調査結果を発表しました。
  それによりますと、去年1年間で警察官が銃を発砲して容疑者などを殺害したのは、少なくとも5000人余りに上りましたが、その多くは罪のない市民だったとしています。また、リオデジャネイロ州ではことし1月からの3か月間で、多くの市民を含む434人が射殺されたということです。
  警察官に射殺された市民の数は、ことしに入っても増え続けていて、NGO団体は独自に統計を取り始めた1998年以降、最悪のペースだとしています。
  その背景として団体では、増加する犯罪に対して警察が過剰に反応し、バスの車内や人通りの多い場所で発砲したり、不審だとみなした人に向けて警告なしに発砲したりしているためだと分析しています。
  ブラジルのボルソナロ大統領は治安を改善させるためだとして、銃の規制を大幅に緩和する方針を打ち出していますが、国民の間では銃を所持する人が増えれば逆に治安が悪化し、警察官の誤射による犠牲者も増えるのではないかと懸念が広がっています。


ブラジル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ブラジル連邦共和国、通称ブラジルは、南アメリカに位置する連邦共和制国家である。南米大陸で最大の面積を占め、ウルグアイアルゼンチンパラグアイボリビアペルーコロンビアベネズエラガイアナスリナムフランス領ギアナ(つまりチリエクアドル以外の全ての南米諸国)と国境を接している。また、大西洋上のフェルナンド・デ・ノローニャ諸島、トリンダージ島・マルティン・ヴァス島、サンペドロ・サンパウロ群島もブラジル領に属する。その国土面積は日本の22.5倍で、アメリカ合衆国よりは約110万km2小さいが、ロシアを除いたヨーロッパ全土より大きく、インドパキスタンバングラデシュの三国を合わせた面積の約2倍に相当する。首都はブラジリア
  南アメリカ大陸最大の面積を擁する国家であると同時にラテンアメリカ最大の領土、人口を擁する国家で、面積は世界第5位である。南北アメリカ大陸で唯一のポルトガル語圏の国であり、同時に世界最大のポルトガル語使用人口を擁する国でもある。公用語はポルトガル語ではあるがスペイン語も比較的通じる。ラテンアメリカ最大の経済規模であり、同時に世界で7番目の経済規模でもある。
  ブラジルは北部は赤道直下で、全体的に海流等の影響もあり気候は大変温暖であり、中南米最多の人口と経済規模である。
日本との関係(詳細は「日伯関係」を参照)
  日本との外交関係は1895年の修好通商航海条約調印から始まり、1897年に両国内に公使館を開設。1908年6月には日本からの本格的移民が開始され、笠戸丸がサントスに入港した。その後第二次世界大戦中の断交状態(ブラジルは連合国として参戦)と1950年代初頭の国交回復を経て、常に活発な人的、経済的交流が行われており、その距離の遠さにも関わらず世界各国の中でも特に日本との縁が非常に深い国である。
  1908年に最初の本格的な集団移民、いわゆる「笠戸丸移民」が到着して以降、第一次世界大戦期や第二次世界大戦を経て、1950年代に日本政府の後援による移民が停止されるまでにブラジルに渡った日本人移民の子孫は5世、6世の世代になり、サンパウロの世界最大級の日本人街リベルダージ」を中心に、海外で最大の日系人社会(約150万人)を持つなどブラジル社会に完全に溶け込んでいる。
  1923年から1940年まで、五島出身のドミンゴス中村長八神父が初の海外派遣日本人宣教師として、サンパウロ州マットグロッソ州パラナ州、そして
     ミナスジェライス州南部の計4州で活躍した。「生ける聖人」と呼ばれており、現在、列福調査が進められている。日系ブラジル人は政治や経済などで、高い地位に就くものも多い他、特に長年の農業における高い貢献は非常に高い評価を得ている。2007年2月には、2世のジュンイチ・サイトウ空軍大将が空軍総司令官に任命され、ブラジル軍の最高位ポストに就いた初の日系人となった。
  また、1950年代以降、日本の高度経済成長期にかけて東芝トヨタ自動車東京海上日動コマツヤクルト本社日本航空など、重工業から金融、サービス業や運送業に至るまで、様々な業種の日本企業がサンパウロを中心に数百社進出しており、世界でも有数の規模の日本人学校サンパウロ日本人学校など、ブラジル国内に複数の日本人学校がある他、日本においてもブラジルの音楽やスポーツ、料理などの文化が広く親しまれており、また、両国間の人的交流が活発にあるなどその関係は非常に深いものがある。在留邦人は約6万人(2010年)、在日ブラジル人は約23万人(2010年、外務省)である。
  1962年に両国による合弁事業であるウジミナス製鉄所へのODAによる融資を行って以降、電気や港湾、衛生設備など、各種インフラの充実を中心とした0DAが継続的に行われている。しかしながら、ブラジルが工業国であり比較的インフラが整っていることから、近年はインフラでも環境、衛生関係の技術的要素に特化されたものとなっている。
人種と民族
  ブラジル人は大きく4つのグループに分かれる。トゥピー・グアラニー語族の言葉を話す先住民 グアラニー人、アマゾン先住民など)、植民当時のポルトガル系、アフリカからの黒人奴隷の子孫(アフリカ系ブラジル人)、そして19世紀半ばからブラジルに定住するためにポルトガル以外のヨーロッパ中近東日本を中心としたアジア諸国からやってきた移民である。
  ヨーロッパ系ブラジル人の多くは元ポルトガル人で、植民地時代はポルトガル人と原住民、黒人奴隷との雑婚が常態であった。独立後に続くイタリア人スペイン人ポルトガル人ドイツ人ポーランド人ウクライナ人ロシア人アシュケナジムユダヤ人などのヨーロッパ系や、日本人アラブ人シリア人レバノン人)、中国人などのアジア系の移民の波や、独立後も続いた黒人奴隷の流入がブラジルの多様な民族と文化の形成に貢献し続けている。尚、ヨーロッパ系ブラジル人は移民数で最多を占めたイタリア系が最多ともいわれている。今や混血が進んでおり正確なことは曖昧で把握できない。
  ただし北東部はアフリカ系ブラジル人ムラート(白人と黒人との混血)が多く、南部は主にドイツ系ポーランド系ウクライナ系をはじめとする
  中東欧系住民が、南西部はイタリア系スペイン系ポルトガル系アラブ系日系をはじめとして、サンパウロ州のコーヒーブームにより現存するほぼ全てのエスニシティの移民が流入していたなど、地域差も見られる。白人人口は半数を割り込み、「黒人」「混血」が過半数を占めた

宗教 (詳細は「ブラジルの宗教」および「en:Religion in Brazil」を参照)
  ブラジルは、世界で最も多くのカトリック人口を擁する国である。国民の約73%が、カトリックの信者で、これは1億1240万人に相当し、カルナヴァルなどをはじめとして現在も社会に強い影響を持つ。プロテスタント信者も1970年代より伝統的なルター派プレスビテリアンバプティストなどが増加し、近年はペンテコステ派やネオペンテコステ派も増加している。プロテスタントの信者は人口の15.4%となっている。
  ブラジル世論調査・統計機関(Ibope)の調査によると、有権者の27%は福音派信者だという、地理統計院(IBGE)のデータでの福音派信者の割合は1991年
     にはわずか8%、2010年でも22%だった。
  非キリスト教の少数宗教としてはマクンババトゥーケカンドンブレウンバンダなどアフリカの宗教に起原するアフロ・ブラジル宗教がある。ブラジルのイスラム教はアフリカからの黒人奴隷のイスラーム教徒によってもたらされたが、現在では主にアラブ系ブラジル人の移民によって信仰されており、約55のモスクとムスリムの宗教センターがあると見積もられている。アジアからも 仏教神道道教やさまざまな新宗教などがもたらされているが、日系人の大半がカトリック信者である。1923年から1940年まで、五島出身のドミンゴス中村長八神父サンパウロ州を中心に、日本人・日系人の間で初めて日本人カトリック宣教師として活躍した。
  日本発祥の宗教として創価学会の会員が存在するが、信者の大部分はブラジル生まれの非日系、非アジア系人である。他にも世界救世教、立正佼成会霊友会生長の家統一教会(韓国起源)などが布教活動をしている。無宗教者は人口の7.3%である。
カーニバル
  毎年2月頃の四旬節の前に、国中の市町村でカーニバル(ブラジルポルトガル語では"カルナヴァウ"と発音する)が祝われる。期間中は国中を挙げ、徹夜でサンバのリズムに乗って踊りまくる。リオのカーニバルといえば、一般的に死者が多いことで知られるが、これはに酔ったための喧嘩や飲酒運転による自動車事故、心臓麻痺などで毎年数百人規模の死者が出ることである、したがってカーニバル自体での死者が多いということではない。
  リオデジャネイロで行われるカーニバルは世界的に有名で、世界各国から多くの観光客を呼び寄せている。エスコーラ・デ・サンバ(Escola de Samba、千人単位の大規模なサンバチーム、以下「エスコーラ」と略称)単位によるパレードがサンボードロモというコンテスト会場で行われ、一番高い評価を得た。
    サンバチームが優勝する。いわゆるリオのカーニバルは、サンボードロモで行われるコンテストを指すことが多いが、それ以下の小規模なエスコーラやブロッコ・カルナヴァレスコ(Bloco Carnavalesco)などが、リオ・ブランコ通りなど街中やイパネマ海岸付近などをパレードすることも多い。なお、リオのカーニバルはサンバだけだと思われがちであるが、マルシャ(ブラジル版3拍子のマーチ)やポルカなども演奏されてい
経済 (詳細は「ブラジルの経済」を参照)
  IMFの調査によると、2013年GDPは2兆2,460億ドルであり、世界7位、南米では首位である。一方、一人当たりの名目GDPは11,173ドルであり、先進国と比較すると依然低い水準である。 建国以来長らく、イギリスアメリカ合衆国日本をはじめとする先進国からの重債務国であったが、ブラジルの支払い能力に応じたものであった。
  しかし、1956年に就任したジュセリーノ・クビシェッキ大統領は「50年の進歩を5年で」を掲げて開発政策を進め、内陸部のゴイアス州に新首都ブラジリアを建設し、1960年にリオデジャネイロから遷都した。クビシェッキは積極的な外資導入などにより日本やアメリカなど諸外国での評価は高かったものの、ブラジリア建設と遷都などの強引な手法、そして経済的な混乱を招いたことに対してブラジル国内では現在でも賛否が大きく分かれている。1968年から1973年にかけてはクビシェッキの狙い通り、「ブラジルの奇跡」と呼ばれる高度経済成長を達成したが、第一次オイル・ショックによって挫折を余儀なくされた。1970年代の経済政策の失敗により、外貨準備は底を尽き、さらに債務が激増していった。
  1980年代には中南米を襲った債務危機に直面し、メキシコアルゼンチンペルーと並ぶ財政破綻国家の一つとして数えられ、インフレと莫大な累積債務に苦しんだ。1980年半ばに入ると世界的な金利上昇を契機にブラジルはマイナス成長を記録した。南米随一の大国ブラジルとはいえ、ブラジルの国家財政は限界に達しており、1983年には対外債務不履行を宣言した。その結果海外資本の流入は途絶え、国内の投資も鈍化。さらに対外債務の負担によって公共赤字が増大し、更なるインフレを加速させる結果となる。
  1980年代の後半には1000%以上のインフレが起こり、1993年には2500パーセントという途方もないハイパーインフレを招いてしまい、ブラジル経済は破綻した。従業員へのチップは100万クルゼイロ(アメリカ・ドルの1ドル以下の価値)、安いホテルの宿泊料は1億クルゼイロという途方もない額で、事実上、通貨は紙切れ同然となり紙幣の枚数を数えることができないため、重さで換算していたほど。この間の混迷による中間層の多くは没落し、富裕層の海外脱出が続くなど経済は混迷の度を深めた。
  しかし、一向にインフレは止まらず、ハイパーインフレ期の末期にはアメリカ・ドルしか流通しなくなってしまった。苦渋の選択の末にブラジル政府は当時の通貨クルゼイロを、合計4回に亘ってデノミを行い、通貨の価値を実に2兆7500億分の1という切り下げを断行し、新通貨レアルに交代。1994年になって、新通貨レアルとともに「レアル・プラン」と呼ばれるドル・ペッグ制を導入することによって、ようやくハイパーインフレを抑えることに成功。
  その後、1999年に起こったブラジル通貨危機により、一時は国家破綻寸前まで陥るが、IMFと米国の緊急融資により、何とか破綻は回避された。その一方で隣国のアルゼンチンは2002年にデフォルトしている。金融危機を乗り越えると、カルドーゾ政権下で成長を遂げるようになり、ルーラ政権では発展途上国向けの貿易拡大が行われ、ブラジルは長く続いた累積債務問題の解消へ向かう。その後の経済の回復とともに2007年には国際通貨基金への債務を完済し、債務国から債権国に転じた。
  メルコスール南米共同体の加盟国で、現在ではロシア中華人民共和国インドと並んで「BRICs」と呼ばれる新興経済国群の一角に挙げられるまでに経済状態が復活した。重工業、中でも航空産業が盛んで、エンブラエルは現在、小型ジェット機市場の半分近いシェアを誇り、一大市場である欧米諸国や日本などのアジア各国をはじめとする世界各国へ輸出されているなど、その技術力は高い評価を得ている。
  公衆衛生・教育などの公共サービスや交通インフラの水準は先進諸国に比べ低く、沿岸部と大陸内部の経済的な格差や貧富の格差が大きいが、経済や財政の好転を背景に近年急速に改善されつつあり、貧困層の生活水準の底上げは内需の拡大にも貢献している。
  また、GDPにおける税の割合は30%を超えており、BRICs諸国で突出している。これは、貧困層への援助のために課税が行われているためであるが、高い税率に嫌気がさしている富裕層からは現政権に対して不満の声があがり始めている。。
  2014年からは経済が減速し、建設部門をはじめとする産業界の失業が続出、2015年にはマイナス成長(-3.5%)記録している。
  ペトロブラスの汚職問題(オペレーション・カー・ウォッシュ)など政治の混乱もこれに拍車をかけている。全般的に新興国の景気が低迷する中で、ブラジルの景気後退は特に強いとされる。大企業の業績低迷も深刻であり、国内主要15社の負債総額は1500億レアルにおよび、債務不履行の可能性があると危惧されている。







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