防災の問題-1



2022.12.16-沖縄タイムス(KYODO)-https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1074585
雑居ビル火災備え退避区画を整備 消防庁と国交省が指針

  総務省消防庁と国土交通省は16日、避難路が一つしかない雑居ビルでの火災を想定し、一時的に逃げ込める「退避区画」に関する指針を公表した。不燃材料で仕切り、煙を遮る機能があるドアを設置。避難時は互いに声をかけて行動し、ドアを確実に閉めて煙の流入を防ぐ。

  大阪・北新地のビル放火事件を受け、他に避難方法がない場合、避難路から遠い部屋の耐火性を高めて一時的にこもることができるようにする。
  避難の指針によると、逃げ遅れる人が出ないよう退避区画の位置を把握しているテナント従業員らが声をかけて誘導し、全員が入ったのを確認してからドアを封鎖する。(共同通信)


北新地ビル放火殺人事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


  北新地ビル放火殺人事件は、2021年令和3年)12月17日大阪府大阪市北区曽根崎新地一丁目(通称:北新地)の「堂島北ビル」4階で発生した放火事件
概要
  2021年12月17日10時20分ごろ、大阪府大阪市北区曽根崎新地一丁目にて「ビルの4階が燃えている」と119番通報があり、消防車両80台が出動した[4]。現場は「堂島北ビル」で4階部分の約25 m2が焼損し、火はおよそ30分後にほぼ消し止められた。
  火元と見られる4階には心療内科精神科などを専門とするクリニック「働く人の西梅田こころとからだのクリニック」があった。放火の疑いがあり、警察の捜査と消防が調査を行った結果、放火と立証された。また、その放火を行った犯人がビル内で見つかった重傷者(その後、蘇生後脳症で死亡)であることが判明した。
被害状況
 ・死亡者:27名(20 - 60代・男性14名・女性12名)(被疑者Aを含む)。   ・負傷者:1名(中等症)。
  死亡・負傷した28名のうち、27人は心肺停止状態で全員がビルの4階で発見され、6階から救出された1人は中等症の症状。心肺停止状態だった大半は、クリニック奥の診察室や隣接する大部屋の周辺で倒れていた。当日中に死亡が確認された24人については、司法解剖の結果から全員が一酸化炭素中毒が死因とみられている。21日午前2時50分頃、治療を受けていた女性が死亡した。翌2022年3月7日午前0時25分頃、意識不明の女性が死亡し、事件当時心肺停止だった26人全員が死亡した。
  府警は死亡者について、18日以降、身元の判明した者の氏名・年齢・職業を公表した。そのなかには、クリニックの院長も含まれている。なおその他の死亡者については、クリニックの患者か、患者ではないクリニックのスタッフなどかについては、個人情報に当たるとして公表しなかった。
  建物被害については、焼損範囲は4階部分の25 m2ほどであり、特にクリニックの出入り口付近が激しく燃えたとみられている。
火災の推移
  ・10:18 - 消防が火災を覚知。   ・10:46 - 火災を鎮圧。   ・11:50 - 消防庁災害対策本部を設置(第2次応急体制)。   ・13:00 - 消防法第35条の2に基づく消防庁長官調査の実施のため、消防庁職員4名・消防研究センター5名を派遣。   ・17:04 - 鎮火
捜査
  大阪府警察本部は、目撃者の証言などから放火の疑いがあると判断。火災当日に殺人現住建造物等放火の疑いで天満警察署捜査本部を設置して捜査を開始した。19日未明、府警はクリニックの元患者で、現場から心肺停止の状態で搬送された男が事件に関与した疑いがあると特定。男は蘇生したものの重篤な状態で、府警は逮捕状の請求を見送っていたが、事案の重大性を鑑みたとして異例の判断により男の氏名を公表。また顔写真、事件当日の防犯カメラ映像を公開した。
  クリニックの待合室に居て逃げ出した患者2人は、男がエレベーターから降りてクリニックに入り、待合室の床に紙袋を置いて蹴り倒すと中から液体が流れ出し、その付近から強く火が燃え上がったと証言している。クリニック内の防犯カメラの映像には、男が大きな紙袋2つを両手に持ち、受け付けを済ませた後に出入り口付近に置いた紙袋を蹴り倒してしゃがみ込み、ライターのようなもので点火する様子が映っていた。
  男の所持品からは、他に催涙スプレー2本も見つかっている他、現場には焼けたオイルライターが落ちていた[19]。近くにはストーブがあったとの報道もある。出火後も逃げる素振りも見せなかったこの男は、出火直後に両手を広げて立ちはだかる様子や、外に逃げる人を捕まえようとする姿が防犯カメラに映っていた。
  男は心肺停止の状態で病院に搬送され治療を受けたが、一酸化炭素中毒や顔などに重度の火傷を負い、さらに心肺停止の間に酸素が脳に供給されず低酸素脳症を発症していた。男は結局意識を回復せず、同月30日19時05分に死亡が確認された。この男は司法解剖に付され、死因は一酸化炭素中毒による蘇生後脳症(低酸素脳症)と確認された。被疑者の男が死亡したことにより、捜査本部による被疑者に対する直接の事情聴取が不可能となるなど、事件の全容解明へ向けた捜査に影響することは避けられなくなった。
  男の関係先からはクリニックの診察券が見つかっており、警察は通院していた患者と見ている。事件発生の30分ほど前には、紙袋を持参した男の自宅と見られる大阪市西淀川区の住宅で火災が発生しており、府警は関連性を調べている。21日には、2年前に発生した京都アニメーション放火殺人事件やその模倣である徳島県の地元アイドルグループのライブ会場となった雑居ビルで2021年3月に発生した放火殺人未遂事件に関する新聞記事の切り抜きなどが男の自宅から見つかっており、大阪府警は男が少なくとも5か月前からその事件に関心を持っており、その模倣であるか、関連性を調べている。
  また、同日に被疑者の自宅と見られる関係先の焼けた跡から「放火殺人」「大量殺人」「消火栓を塗る」などと書かれた紙片のメモも発見されて押収されたが、クリニックの防火扉や消火栓に開きにくくなるような細工が施され脱出および消火を困難にしていたこと、被疑者Aが脱出しようとした犠牲者に対して脱出経路を塞ぐように体当たりをしていたこと、現場や自宅から刃物が見つかったことなどから、捜査本部は前述の新聞記事の切り抜きとあわせて強い殺意と計画性を裏付ける証拠として捜査を進めている。
  2022年3月16日、大阪府警は被疑者Aを殺人と殺人未遂、現住建造物等放火などの疑いで書類送検し、捜査は終結した。
行政の動き
  19日、総務大臣金子恭之は、全国の消防に対し、今回の火災が発生したビルと同様に階段が一つしかなく、不特定多数が出入りする施設が3階以上に入居する雑居ビル約3万棟について、立ち入り調査を行うことを要請した。避難経路が確保されているかなどを調べ、調査結果を基に有識者会議で再発防止策を検討するとしている。
  また、18日までに大阪市消防局静岡市消防局福島県郡山消防本部などが独自にビルの緊急立ち入り検査を開始した。
反応
政界の対応
  ・内閣総理大臣岸田文雄は、火災について「大変悲惨な事件が発生した。まずは実態をしっかり把握し、原因・経緯について明らかにすることによって再発防止に努めなければならない」と述べ、弔意を表すと同時に被害者に対して支援を行うことを表明した。
  ・大阪府知事吉村洋文は、「亡くなった方のご冥福を心からお祈り申し上げます。現在も医療機関で懸命の救命活動が行われている。1人でも多くの命が救われることを願っている」と述べるとともにDMATを現地に派遣したことを明らかにした。また、Twitterにおいて「火災現場となったクリニックには、約600名の患者さんが通院されています。本日、大阪精神科診療所協会、大阪精神科病院協会に、当該クリニック通院患者さんの今後の診療対応につき各会員病院、診療所での協力を要請しました。こころの健康総合センター、各市町村、関係機関とも情報共有します。」とツイートした。
世界の反応
  ・イギリスBBCアメリカニューヨーク・タイムズドイツDPA通信韓国聯合ニュースなどの海外メディアが一斉に報じた。
  ・在大阪中華人民共和国総領事館は、Twitterアカウントで毎日新聞の記事を引用し、「17日大阪の繁華街のビルで火災が発生。死傷者多数、心を痛めている。衷心よりお見舞い申し上げる。これ以上人命が失われることがないよう祈っている。当館は中国国民の安否確認を急いでいる。」と声明を発表し、総領事の薛剣も「水火無情!速報によると、火災でなくなった方が24人に増えた。犠牲者の家族に衷心より哀悼の意を申し上げる。事件の調査結果に注意を払っている。」と哀悼の意を表明。また、駐大阪・神戸米国総領事館は、NHKニュースの記事を引用し、「大阪の繁華街の建物火災で多くの人命が失われたという悲劇的なニュースを見ました。私たちの思いと祈りは、犠牲になられた方々の家族と愛する人たちと共にあります。」と声明を発表。
備考   ・被疑者Aについては大阪市立北斎場で火葬されたが、2022年6月時点で遺骨の引き取り手が現れておらず、保管期限を過ぎたときは無縁仏となる







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