ベラルーシ共和国-1


2023.08.09-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230829-YHZITRLTIFKUBCSFE2VAEFWN44/
ワグネルの国外追放を要求 ベラルーシに周辺国

  ポーランドとバルト3国はベラルーシに対し、同国に駐留するロシア民間軍事会社ワグネルの戦闘員を直ちに国外追放するよう要請した。ポーランドのカミンスキ内務・行政相が28日、明らかにした。ベラルーシと国境を接するポーランドとバルト3国のリトアニア、ラトビアは、国境の一部を閉鎖したり、周辺の軍部隊を増員したりするなど警戒を強めている。

  カミンスキ氏は同日、バルト3国の内相らと会談しベラルーシの脅威について協議。その後の記者会見で「ベラルーシとの国境で重大な事態が発生したら、私たちは直ちに報復し、全ての国境を閉鎖する」と強調した。
  ポーランドのモラウィエツキ首相は24日、ワグネルの創設者プリゴジン氏が死亡すれば、ワグネルがロシアのプーチン大統領の指揮下に入るため、脅威はさらに高まるとの認識を示していた。(共同)


2023.08.26-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230826-FXIVKNGT45OIHCOHH3QPTDMTPA/
プーチン氏の仕業ではない ベラルーシ大統領が擁護 プリゴジン氏搭乗機の墜落

  ベラルーシのルカシェンコ大統領は25日、ロシア民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏が搭乗機の墜落で死亡したとみられることについて「プーチン大統領がやったとは思えない」と述べ、6月に起こした反乱の結果としてプリゴジン氏が政権側に抹殺されたとの見方を否定した。国営ベルタ通信が伝えた。

  ルカシェンコ氏は「誰がやったのかはわからない」とした上で「私はプーチン氏の人柄を知っている。もっと小さな問題についても慎重で、なかなか決断しない人物だ」と記者団に述べた。プリゴジン氏がベラルーシ側に身の安全の保証を頼んだことはなかったとし「そもそも自分にはそうする義務はない」と指摘した。
  また、現在ベラルーシ国内で軍の訓練などに従事しているワグネルの戦闘員は同国内で仕事を続けるとも述べた。ルカシェンコ氏は反乱を起こした翌日にプリゴジン氏を電話で説得しモスクワへの進軍をやめさせた経緯がある。(共同)


2023.08.18-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230818-YEFZEAHDGBKVJBJP5AMIE6S3SU/
露の侵攻参加要請を否定 ベラルーシ大統領「ばかげている」

  ベラルーシのルカシェンコ大統領は、ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻にベラルーシを参加させようとしているとの見方を「全くばかげている」と否定した。ウクライナ人ジャーナリストによるインタビューでの発言を大統領府が17日発表した。

  ルカシェンコ氏は、ロシアが「十分な人員と装備を持っている」と強調。侵攻参加は「何ももたらさない」と述べた。
  ロシアとウクライナは「交渉を始めるべきだ」と主張。ロシアが併合したウクライナ東・南部の扱いも協議すべきだとしつつ、ロシアがクリミア返還に応じることはないとの見方を示した。
  ロシアの戦術核兵器のベラルーシ配備に関し「もしウクライナが侵略すれば、核やそれ以外の兵器で警告なしに中枢を攻撃する」と警告。「ウクライナ人が越境しなければ決して戦争に参加しない」とする一方で「同盟国ロシアを常に支援するつもりだ」と述べた。(共同)


2023.08.17-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230817-F5SK5LSL55J55BTYG32DKCFA5Q/
ベラルーシ大統領、中国国防相と会談 安全保障観「完全に一致」

  ベラルーシのルカシェンコ大統領は17日、同国を訪問した中国の李尚福国務委員兼国防相とミンスクで会談し、多極化した世界秩序や内政不干渉、領土の一体性確保などを支持する両国の安全保障観は「完全に一致している」と述べた。国営ベルタ通信が伝えた。

  ベラルーシ大統領府は同日、通信アプリを通じ、ベラルーシと中国の合同軍事演習が来年、それぞれの領内で実施されると発表した。
  タス通信によると会談で李氏は、今年3月にルカシェンコ氏が北京で習近平国家主席と会談した際の合意事項を実現し、今後の軍事協力を強化するのが訪問の目的だと述べた。李氏は16日にベラルーシを訪問、同国のフレニン国防相と会談した。(共同)


2023.07.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230715-DNGSEBUQE5MD7CYIVA3KR7RIBA/
ベラルーシ、兵士訓練でワグネルと合意 プーチン氏、プリゴジン氏排除の意向

  ベラルーシ国防省は14日、ロシアで武装反乱を起こした民間軍事会社「ワグネル」との間で「訓練と経験の伝達に向けたロードマップ」を策定したと発表した。同省はまた、首都ミンスクから南東約100キロの都市オシポビチで、ワグネル戦闘員を教官としたベラルーシ兵の訓練を開始したことも明らかにした。

  これに先立ち、反乱の調停に関与したベラルーシのルカシェンコ大統領はワグネルに宿営地を提供すると表明。プーチン露大統領もワグネル戦闘員に対し、希望すればベラルーシに行くことを認めていた。ロードマップの策定はベラルーシによるワグネル受け入れの一環とみられる。
  一方、反乱収束後の6月29日にプーチン氏とワグネルトップのプリゴジン氏や同社幹部らとの間で行われた会談に関し、プーチン氏は「プリゴジン氏ではなく指揮官らと会いたかった」と明かした。露経済紙コメルサントが13日に行ったプーチン氏とのインタビュー内容を伝えた。
  プーチン氏が同紙に語ったところでは、会談ではワグネル側に対し、プリゴジン氏ではない現場指揮官に従って業務を続けることを提案。プリゴジン氏は「部下はそうした決定を承服しない」と述べたが、同氏の後ろに座っていた幹部の多くがプーチン氏の提案にうなずいていたという。


2023.06.29-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230629-FVAKNAN4NFLYFIOXLCNDPSMHQM/
ベラルーシ、露と核で齟齬 ワグネル調停で強気か

  ロシアがベラルーシに配備するとした戦術核兵器について、ルカシェンコ・ベラルーシ大統領「わが国はロシアの同意なく核兵器を使用できる」との認識を示した。ロシアは核兵器の使用権が自国にあるとしており、齟齬(そご)が浮かび上がっている形だ。ルカシェンコ氏は露民間軍事会社「ワグネル」の武装反乱を調停したことで強気の姿勢に出ている可能性があり、両国の確執に発展することも考えられる

  ベラルーシ国営ベルタ通信によると、ルカシェンコ氏は27日、国内行事での演説で、露戦術核の「かなりの部分」が既に自国領内に運び込まれたと表明。その上で、核の使用権はロシア側にあるとみる欧米の観測は「でたらめだ。核はわれわれの兵器であり、われわれがそれを使えるだろう」などと述べた。「軍と諜報機関に核使用の手続きを策定するよう命じている」とも明らかにした。
  プーチン露大統領は従来、ベラルーシへの核配備について「譲渡ではない」と説明。ただ、ルカシェンコ氏は3月の年次教書演説で「核の運用と管理はベラルーシが行う」と述べ、見解の相違を示唆した。
  ショイグ露国防相は5月下旬、ベラルーシを訪問し、核の使用権がロシア側にあると定める共同文書に署名した。しかし、ワグネルの反乱で調停役を担い、プーチン氏に恩を売った形となったルカシェンコ氏は、核使用権をベラルーシにも与えるよう再びロシアを揺さぶり始めた可能性がある。

  約30年間にわたってベラルーシに君臨するルカシェンコ氏は長年、ロシアと欧州の双方から利益を引き出そうと「風見鶏」のように振る舞い、プーチン氏との関係はしばしば緊張した。ルカシェンコ氏はしかし、2020年に大規模デモで窮地に立たされ、プーチン政権の支援で持ちこたえた。これ以降は、ウクライナ侵略への直接参戦は避けつつも、プーチン氏に対して従順になった経緯がある。ワグネルの武装反乱を受け、ロシアとベラルーシの関係が再び注視される状況となってきた。


2023.06.29-Yahoo!Japanニュース(日テレNWES)-https://news.yahoo.co.jp/articles/349457c7f65e4c11d3bde8b6cc349c286e6143a4
「虫けらのようにつぶされるぞ」 ルカシェンコ大統領によるプリゴジン氏“説得”舞台裏

  民間軍事会社「ワグネル」の創設者プリゴジン氏がロシアで起こした反乱について、その収束に至るまでの舞台裏の一部をベラルーシのルカシェンコ大統領が明かしました。
  ベラルーシ ルカシェンコ大統領(27日)普通の言葉よりも汚い言葉のほうが10倍も多かった。汚い言葉でののしりながら話した」 ベラルーシのルカシェンコ大統領が、“汚い言葉”で話し合ったという相手は、ロシアへの反乱を起こした、民間軍事会社「ワグネル」創設者プリゴジン氏です。

  反乱の際、首都モスクワへと進軍したワグネルは、200キロに迫ったところで急きょ、撤退。そうするよう説得したのが、ルカシェンコ大統領でした。
  ベラルーシ ルカシェンコ大統領 「彼は非常に衝動的だった」
   27日、ルカシェンコ大統領が語ったのは、“プリゴジンの乱”の収束にいたるまでの舞台裏の一部です。 ルカシェンコ大統領はプーチン大統領から愛称で呼ばれるほど深い仲で、当時、電話で相談を受けていたといいます。
  ●電話でのやりとり(ルカシェンコ大統領による) ・・・ロシア プーチン大統領 「サーシャ(ルカシェンコ氏の愛称)無駄だ、彼(プリゴジン氏)は電話にも出ないし、誰とも話そうとしない」 ・・・ベラルーシ ルカシェンコ大統領 「彼はどこにいるんだ?」 ・・・ロシア プーチン大統領 「(ロシアの)ロストフナドヌーだよ」 ・・・ベラルーシ ルカシェンコ大統領 「彼と連絡を取ってみるから、電話番号を教えてくれ」 プリゴジン氏と連絡が取れず、武力による解決を急ごうとするプーチン大統領に対し、ルカシェンコ大統領が仲介を申し出たということです。
  ベラルーシ ルカシェンコ大統領 「私はプーチン大統領に急がないよう勧めた。プリゴジン氏や彼の司令官たちと『話をしよう』と言った」 そしてルカシェンコ大統領は、プリゴジン氏との電話に成功しました。
  ●電話でのやりとり(ルカシェンコ大統領による) ・・・ワグネル創設者 プリゴジン氏 「ショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長を引き渡させてくれ」 ・・・ベラルーシ ルカシェンコ大統領 「(ロシアが)引き渡すことはないだろう」 ・・・ワグネル創設者 プリゴジン氏 「彼らは私たちの首を絞めようとしている。だから、モスクワに進軍するんだ」 ・・・ベラルーシ ルカシェンコ大統領 「モスクワに向かう途中で虫けらのようにつぶされるぞ」 ルカシェンコ大統領は、プリゴジン氏に対しこのように警告したといいます。その後も交渉を重ね、ベラルーシに連れて行き安全を保証することで、事態収束につながったとしています。 ・・・プリゴジン氏は、ベラルーシにいるとされます。今後、プーチン大統領との関係はどうなるのでしょうか。
(6月28日放送『news zero』より)


2023.06.17-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230616/k10014102011000.html
プーチン大統領「最初の戦術核兵器 ベラルーシ領内に搬入」

  ロシアのプーチン大統領は、ロシアの戦術核兵器の隣国ベラルーシへの配備について、搬入がすでに始まっていると初めて明らかにしました。年内には配備が完了するという見通しを示し、核による威嚇を強めた形です。

  ロシアのプーチン大統領は16日、みずからの出身地でもある第2の都市、サンクトペテルブルクで開かれた国際会議の中で、ロシアの戦術核兵器の隣国ベラルーシへの配備について「最初の戦術核兵器がベラルーシ領内に搬入された」と述べ、戦術核兵器の搬入がすでに始まっていると初めて明らかにしました。
  そして、年内には配備が完了するという見通しを示した上で「これは抑止力であり、戦略的にわれわれを打ち負かそうと考える国々がこの事実を忘れないようにするためだ」と述べ、ウクライナが反転攻勢を進める中、軍事支援を続ける欧米に対して核による威嚇を強めた形です。
  これに先だってプーチン大統領は6月9日に行った、同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領との会談で、7月7日か8日に保管施設を完成させたあと、直ちに戦術核兵器の配備を開始するとしていました。
  一方でプーチン大統領は、核兵器の使用について「国家の存続に対する脅威があれば理論的には可能だが、われわれにはその必要性がない」と述べ、現時点で核兵器を使う考えはないとする立場を改めて強調しました。
ウクライナ軍の反転攻勢にも強気の姿勢
  ウクライナ軍は、東部ドネツク州や南部ザポリージャ州で反転攻勢を進め、着実に前進しているとする一方で、ロシア側による激しい攻撃に直面していることも認めていて、双方の攻防が激しくなっているとみられます。
  プーチン大統領は16日、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで開かれた「国際経済フォーラム」の全体会合で、反転攻勢をめぐる司会者の質問に対し「ウクライナ軍はその目的を達成できていない」と述べ、ロシアが撃退していると重ねて主張しました。
  そして、ウクライナは長期戦で自国の軍備を使い果たすとした上で「彼らの兵器はすべて外から持ち込まれたもので、それでは長く戦えない。ウクライナ軍に勝ち目はない」と主張して、強気の姿勢を示しました。
国防費増額の方針示す
  一方、プーチン大統領は演説で「防衛と安全保障を強化し、兵器を購入するためには追加の資金が必要であり、ロシアの主権を守るためにはこれを行う義務がある」と述べ、ウクライナへの侵攻を続ける中、国防費を増額する方針を示しました。
  また、ロシアのことしのGDP=国内総生産は最大で2%まで成長する見通しだと主張したうえで「これによって、ロシア経済は世界の主要国の中での地位を維持できる」と述べ、欧米の経済制裁が強化される中でも、ロシアは経済面でも存在感を示していくと強調しました。
  また、中国やインドなどとの関係強化をアピールした上で、17日にアフリカ諸国の首脳との会談を控える中「アフリカにも大きなチャンスがある」と述べ、新興国や途上国との連携を強めていく考えを強調しました。
米国務長官「ロシア 核兵器使用の兆候ない」
  プーチン大統領が隣国ベラルーシへのロシアの戦術核兵器の搬入がすでに始まっていると明らかにしたことについて、アメリカのブリンケン国務長官は16日の記者会見で「引き続き状況を注意深く監視していく」と述べました。
  その上で「ロシアが核兵器を使用する準備を進めているという兆候は見られない」と述べ、アメリカの核の態勢を変更する理由は見当たらないとする見解を示しました。
  また、ホワイトハウスの報道担当者は記者団に対し「プーチン大統領による、核に関するこのような発言は非常に無責任だ」と述べて非難するとともに、アメリカとしてNATO=北大西洋条約機構加盟国の防衛への関与は揺るぎないと改めて強調しました。
専門家「新興国・途上国との関係強化を加速」
  ロシアのプーチン政権がウクライナ侵攻を続ける中で、開催している大規模な国際経済会議について、国立の研究機関の専門家はNHKのインタビューに対し、ロシアは中国や「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国や途上国との関係強化の動きを加速させていると指摘しました。
  侵攻を続けるロシアに対し、欧米など各国は経済制裁を強め、ロシア市場から国際的な企業の撤退が相次いでいます。
  こうした状況についてロシア科学アカデミーの中国・現代アジア研究所、キリル・ババエフ所長は「ロシアビジネスを東方に方向転換させ、新たなパートナーとしてアジア、アフリカ、ラテンアメリカを模索している。去年からこの動きが加速している」と指摘しました。
  そのうえでロシアが期待する中国について「中ロ関係は発展の最高潮にある。中国のロシアへの姿勢は、リスクに対する懸念から可能性への期待に移行している。中国の政権側からロシアとビジネスしてもよいというシグナルがみられる」と述べ、欧米の制裁が強まる中でも中国側からも経済協力の動きが進んでいるという認識を示しました。
  また「グローバル・サウス」との関係について「かつてソビエトはアフリカ市場に非常に積極的だったが、ロシアは現在、この流れに復帰しようとしている」と指摘しています。
  さらに、欧米による制裁でロシアがドル決済から締め出される動きを踏まえて「国際間の決済でBRICS=新興5か国はドルをやめた決済に移行しようと積極的に協議している。近いうちに何らかの決定が生まれる可能性もある」と述べ、アメリカに対抗してロシアや中国などが加わるBRICSの通貨で決済するシステム作りが進むという見方を示しました。


2023.05.26-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230526-XZGUOCYDBJIK5FVHCYB53ZANVQ/
ロシア戦術核移転「始まった」 ベラルーシ大統領が表明

  ロシアの戦術核兵器配備受け入れで正式合意したベラルーシのルカシェンコ大統領は25日、自国の準備を整えたとし「移転が始まった」と明らかにした。訪問先のモスクワでロシアメディアに話した。戦術核が既にベラルーシ領内にあるのかとの質問には「可能性はある」と答え、明言を避けた。

  配備される核兵器の数や場所についてもプーチン大統領と合意したと述べたが、具体的には明かさなかった。保管上の安全については「われわれが責任を負う」とし、管理に自信を示した。
  ロシアのショイグ国防相とベラルーシのフレニン国防相は25日、ベラルーシの首都ミンスクでロシアの戦術核をベラルーシ領内に配備する合意文書に署名した。ショイグ氏は、ロシアが引き続き核兵器運用の決定を行うと述べ、核拡散防止条約(NPT)に抵触しないと強調した。
  プーチン氏は3月、欧米の対ウクライナ軍事支援強化に対抗し、国家統合を進めるベラルーシへの戦術核配備を決めたと表明。7月1日までに保管施設が完成すると述べた。(共同)


2023.05.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230525-QFO4M7UKQRNKTA6NVULN2D4KHU/
ベラルーシに戦術核 露が管理権、文書署名

  ロシアが戦術核兵器を同盟国ベラルーシに配備すると決定した問題で、ショイグ露国防相は25日、ベラルーシの首都ミンスクでフレニン国防相と会談し、同国内での核兵器の管理規則を定めた共同文書に署名した。タス通信によると、ショイグ氏は署名に際し「核兵器の管理と使用に関する決定権はロシア側に残る」と指摘。ベラルーシへの核配備は両国が加盟する核拡散防止条約(NPT)に違反しないとも主張した。

  ロシアは従来、ベラルーシへの核配備について「譲渡ではなく配備だ」と主張してきた。この日の文書への署名で、核兵器の管理権がロシア側にあることを明文化したものとみられる。
  ベラルーシのルカシェンコ大統領は25日、プーチン露大統領から対応する法令に署名したことを聞かされたとし、「既に核弾頭の移送は始まった」と述べた。露国営テレビでの発言をタス通信が伝えた。
  ウクライナ侵略を続けるロシアは、北大西洋条約機構(NATO)圏に接するベラルーシに核兵器を配備して欧米側を威圧し、ウクライナへの軍事支援を躊躇(ちゅうちょ)させる狙いだとみられている。一方、米国やNATOはロシアの脅しに屈せず、支援を続ける構えだ。
  ベラルーシへの核配備を巡っては、プーチン氏が昨年6月、ルカシェンコ氏の要請に応じるとの形で、核弾頭を搭載可能な短距離弾道ミサイル「イスカンデルM」を供与するほか、ベラルーシ空軍機を核搭載仕様に改修する方針を表明。ルカシェンコ氏は同年12月、供与されたイスカンデルMを実戦配備し、空軍機の改修も完了したと発表した。
  プーチン氏は今年3月、ベラルーシに戦術核を配備すると表明。7月1日までに核兵器の貯蔵施設をベラルーシに建設するとした。


2023.03.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230302-3UC4WCGCUVL2NKEEF5IKC5655M/
武力衝突の長期化懸念 中国、ベラルーシとの共同声明を公表
(三塚聖平)

  【北京=三塚聖平】中国外務省は2日、習近平国家主席とベラルーシのルカシェンコ大統領が1日に署名した共同声明の全文を公表した。ウクライナ問題に関し「できるだけ早くウクライナが平和を取り戻し、危機の激化を避けることを期待する」と表明。同時に「地域の武力衝突が長引く」ことに懸念を示した。

  首脳会談は1日に行われ、ルカシェンコ氏は中国が2月24日に発表した早期和平案を評価した。共同声明では「双方は、地域の平和を回復するために努力したい」と強調した。
  また、両国は「互いの核心的利益に関わる問題について、相互に断固として支持する」ことを確認した。ベラルーシ側は「いかなる形の『台湾独立』にも反対する」とし、中国側は「ベラルーシが政治的安定と経済発展を守るための努力を支持する」と訴えた。中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に関する協力深化も盛り込んだ。


2023.03.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230301-V2K7DZW7QJMDBID2MVKKGAEG6U/
ベラルーシ大統領、中国の和平案を評価 習氏と会談

  【北京=三塚聖平】中国の習近平国家主席は1日、ベラルーシのルカシェンコ大統領と北京の人民大会堂で会談した。両首脳はロシアが侵略するウクライナ情勢を巡って意見交換。習氏は米欧や日本によるロシアやベラルーシへの制裁に反対する立場を示し、ルカシェンコ氏は中国が2月24日に発表した早期和平案を評価した。

  中国はロシアとウクライナに和平協議を呼び掛けており、ロシアと同盟関係にあるベラルーシの支持を取り付けることで、和平姿勢のアピールを狙った中国もベラルーシもともに米国から圧力を受けており、両国で連携して圧力に対抗する思惑もある。
  両首脳は戦略的パートナーシップの発展に向けた共同声明に署名し、経済や科学技術など幅広い分野に関する協力文書の締結に立ち会った。
  中国国営新華社通信によると、習氏はウクライナを巡る早期和平案に関して、「中国の立場の核心は和平と対話の促進にある」と主張した。同時に、米欧の制裁を念頭に「関係国は世界経済の政治化、道具化をやめるべきだ」と牽制(けんせい)した。
  ベラルーシ国営ベルタ通信によると、ルカシェンコ氏は「世界的な対立に勝者はいない。そのことを中国は最近、国際社会に訴えた。ベラルーシは国際安全保障に関する中国のイニシアチブを完全に支持する」と表明した。
  ルカシェンコ氏は中国との関係を強化し、米欧の制裁による経済悪化を抑えたい考えとみられる。また、ルカシェンコ氏はウクライナ戦争への参戦に追い込まれる事態を警戒しているとされ、和平案を提示した中国を支持することでロシアとのバランスをとり、ロシアからの参戦圧力をかわそうとしている可能性がある。
  米欧諸国は、ロシアのウクライナ侵略を支えるために中国が殺傷兵器を供与する可能性を懸念。米シンクタンクは、中国からロシアへの武器供与でベラルーシが「制裁回避の手助け」を行う可能性があるとの見方を示しているが、首脳会談で対露支援を協議したかは明らかになっていない。


2023.03.01-NEWS PICKS-https://newspicks.com/news/8164260/body/
ベラルーシ大統領訪中=習主席とウクライナ情勢議論へ
【時事通信社】

  【北京時事】ベラルーシのルカシェンコ大統領は28日、中国訪問の日程を開始した。ベラルーシは、ロシアの同盟国で、同国によるウクライナ侵攻を支持している。ルカシェンコ氏は3月2日までの日程で訪中。習近平国家主席と会談し、ウクライナ情勢や経済協力について意見交換する見通しだ。 
【時事通信社】


2023.02.27-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230227-BGKTURRLJVNFDJA3KJSTCDPKVY/
ベラルーシの飛行場で爆発情報 ロシア軍空中警戒管制機が損傷か

  ウクライナ侵略を続けるロシアと軍事同盟を結ぶベラルーシ同国軍の活動を監視している有志グループ「ベラルーシのガユン」は26日、交流サイト(SNS)を通じ、首都ミンスク近郊のマチュリシチ飛行場で2回の爆発が起きたと報告した。同国の反体制派組織「BYPOL」は、停機中だった露軍の空中警戒管制機「A50」が爆発で深刻な損傷を受けたとした。

  ロシアやベラルーシは爆発に言及しておらず、詳細や真偽は不明。ベラルーシのガユンは、爆発はドローン(無人機)2機によるものだとする情報があると指摘。BYPOLは、露軍の妨害を狙ったベラルーシ国内のパルチザン組織が関与したとの見方を示した。
  BYPOLは、ルカシェンコ大統領の6選が発表された2020年のベラルーシ大統領選での不正開票疑惑を巡って大規模な抗議デモが起きた際、武力鎮圧に反対して退職した治安当局高官らが創設。同国政権内に情報網を持つとされる。
  ウクライナ侵略でベラルーシは露軍に侵攻開始拠点を提供。現在もウクライナにミサイル攻撃を行う露軍機の発着拠点の一つとなっている。ウクライナメディアによると、A50は露軍機によるミサイル攻撃に合わせ、周辺空域を監視する任務に就いている。
  ルカシェンコ氏はベラルーシの対ウクライナ参戦を否定する一方、自国が攻撃された場合は参戦も辞さないと主張。ウクライナは、露軍がウクライナ軍からの攻撃を捏造(ねつぞう)する「偽旗作戦」を用い、ベラルーシを参戦させる可能性もあると警戒している
  一方、前線の戦況を巡り、ウクライナ軍参謀本部は26日、最激戦地である東部ドネツク州バフムトやリマン方面で露軍が前進を試みたが、ウクライナ軍が撃退したと発表した。



2022.12.30-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20221230-CSBK6SSXD5JMPAIMM44T3BZULU/
ベラルーシへのミサイル落下認める ウクライナ

  ロシアの同盟国ベラルーシの領内に29日午前、ウクライナの防空ミサイル「S300」が落下したと報じられた問題で、ウクライナ国防省は同日、「露軍のミサイル攻撃に対処した結果だ」とする声明を発表し、自軍のミサイルが迷走してベラルーシ領内に入ったことを事実上認めた。その上で「客観的な調査を行う用意がある」と表明した。

  ベラルーシ国営ベルタ通信によると、ミサイルが落下したのは南西部ブレスト州。関係当局の調査により、ベラルーシの防空システムで撃墜されたものだと判明した。ベラルーシは外交ルートを通じウクライナに抗議、再発防止を求めた。
  ウクライナは、ロシアがベラルーシをウクライナ侵略に参戦させるためにウクライナからの攻撃をでっちあげる「偽旗作戦」を用いる可能性があると警戒してきた。今回の問題でベラルーシが参戦する可能性は現時点で低いとみられる
  S300は旧ソ連製で、露軍・ウクライナ軍の双方が運用。露軍は29日午前、ウクライナ各地に大規模なミサイル攻撃を行い、一部が電力インフラなどに着弾した。キーウ(キエフ)州当局は同日夕、25万人が電力供給を失ったと発表。南部オデッサ州でも45万人が電力供給を断たれた。
  ウクライナのゼレンスキー大統領は同日のビデオ声明で「ロシアはミサイル攻撃というテロ行為を続けることで自分自身を追いつめている」と指摘した。


2022.12.14-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20221214-LDSZ2OK2MFPSTFDTZ6L4FHJQ6E/
ベラルーシ軍が「緊急点検」 露と連携した陽動戦術か

  ロシアの同盟国、ベラルーシの国防省は13日、ルカシェンコ大統領の指示により、同国軍の「緊急の戦闘準備点検」を開始したと発表した。同国内で軍の動きを監視しているグループも同日、同国軍の一部部隊がウクライナ国境方面に移動したと指摘した。これらの動きは、ウクライナ軍の注意をベラルーシ方面に引き付けるためのロシアと連携した陽動戦術の一環だとする見方が強いが、ウクライナは警戒を緩めていない。

  ベラルーシの動きについて、ウクライナ国家安全保障防衛会議のダニロフ書記は13日、「仮にベラルーシが侵略に加わる場合でも、われわれはあらゆる備えができている」と指摘。ウクライナ国境警備当局幹部も同日、「ベラルーシ方面には十分な防衛線が構築されている」と強調した。ウクライナメディアが伝えた。
  ウクライナの北方に位置するベラルーシは露軍の侵攻開始拠点の一つとなり、現在もミサイルの発射拠点となっている。ルカシェンコ氏は対ウクライナ参戦を否定する一方、10月に露軍との合同部隊の創設を発表するなど、参戦を示唆するような動きを見せてきた。
  米シンクタンク「戦争研究所」は今月11日、ベラルーシはロシアに協力し、ウクライナ軍の戦力を分散させるための「情報作戦」を展開していると指摘。ベラルーシ軍は小規模な上、ルカシェンコ氏は参戦による国内の反発を警戒しているとし、「ベラルーシが参戦する可能性は極めて低い」と評価した。


2022.10.17-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20221017-UIZ2L3EGSBL2ROAVD44WRNFPM4/
ベラルーシ、対ウクライナ参戦示唆 ロシアの陽動戦術か

  ロシアの同盟国ベラルーシがウクライナ侵略への参戦を示唆する動きを見せているベラルーシのルカシェンコ大統領は最近、露軍との合同部隊の編成を開始したと発表。軍に「戦闘準備点検」を指示したほか、国内に「テロ警戒態勢」を敷いたとも明らかにした。一連の動きはウクライナ軍の戦力分散を狙ったロシアの「陽動戦術」だとする見方が強いが、ウクライナ側は警戒を緩めていない

  ベラルーシ国営ベルタ通信によると、ルカシェンコ氏は10日、北大西洋条約機構(NATO)側からの軍事的脅威が強まっていると主張し、「プーチン露大統領と両国合同部隊の編成に合意した」と表明。部隊には露軍から9千人以上が参加するとされ、15日に第1陣がベラルーシ入りした。
  ウクライナ外務省は9日、ベラルーシ外務省から「わが国への攻撃をウクライナが計画している」との文書を渡されたと発表し、「事実でない」と反論。ベラルーシへの警戒を呼び起こすためのロシアの計略である可能性があるとした。
  11日にはベラルーシ国防省が「大統領命令で軍の戦闘準備点検を開始した」と発表。ルカシェンコ氏は14日、訪問先のカザフスタンで「国内にテロ警戒態勢を導入した」と表明した。同態勢の詳細は不明だ。
  ルカシェンコ氏は7日にロシアでプーチン氏と会談しており、一連の動きはプーチン氏の意向を受けたものである公算が大きい。
  だが、ベラルーシの参戦には懐疑的な見方が強い。ルカシェンコ氏は従来、基地の提供などでロシアを支援する一方、派兵を否定。同氏は参戦した場合の追加制裁や国内の不安定化を懸念しており、ロシアとの摩擦を避けつつ、自国が当事者となる事態も回避する思惑だとみられている。


2022.10.10-Yahoo!Japanニュース(JIJI COM)-https://news.yahoo.co.jp/articles/38dad570336d3335c3bba70c10ba2a9aec1282f2
ベラルーシ、ロシアと合同部隊展開 「ウクライナ領から攻撃」警戒

  ベラルーシルカシェンコ大統領は10日、ロシアのウクライナ侵攻を背景とした北大西洋条約機構(NATO)との緊張に鑑み、ロシアと合同の地域部隊を展開することで合意したと明らかにした。

   軍・治安機関との会合での発言として、国営ベルタ通信が伝えた。具体的な活動地域は不明。
   ルカシェンコ氏はこの中で「非公式チャンネルで、ウクライナ領からベラルーシに攻撃があるという警告を受けた」と主張。「クリミア橋(の爆発)を再現する」という内容だったとして、対応の必要性を訴えた。


2022.05.17-朝日新聞-https://www.asahi.com/international/reuters/CRWKCN2N2246.html
旧ソ連団結なら「地獄の制裁避けられた」、ベラルーシ大統領が訴え

  [16日 ロイター] - ベラルーシのルカシェンコ大統領は16日に開かれたロシア主導の軍事同盟「集団安全保障条約機構(CSTO)」の首脳会議で、各国が団結するよう呼びかけ、欧米がウクライナ紛争を長引かせロシアをできるだけ弱体化させようとしていると非難した。

  モスクワで開催された首脳会議には、ロシアのプーチン大統領のほか、アルメニア、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの首脳が出席した。
  ルカシェンコ氏は、CSTO各国が一致団結して声を上げていれば、ベラルーシとロシアに対する「地獄のような制裁」は回避できただろうと指摘。その上で、「統一戦線がなければ、欧米は旧ソ連諸国に圧力を強めるだろう」と訴えた。


2022.05.11-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220511-XZ3HGELNNNL43IZDFSAP7U6QHQ/
ベラルーシ大統領「ロシアの侵攻失敗」の認識示唆か SNSで憶測

  ロシアの同盟国、ベラルーシのルカシェンコ大統領が、ロシアのウクライナ侵攻は失敗に終わるとの認識を示したとも取れる発言をし、ロシア語圏のメディアやSNS(交流サイト)上で話題となっている。

  ベラルーシ国営ベルタ通信によると、ルカシェンコ氏は9日、同国で開かれた第二次大戦の対ドイツ戦勝記念式典の後、「自国内で領土や家族、子供のために戦う国民を打ち負かすのは不可能だ」と述べた。発言は、報道陣が「北大西洋条約機構(NATO)側がベラルーシへの軍事圧力を強めている」とし、それに対するルカシェンコ氏の見解を尋ねた際のものだが、露SNS上などでは「暗にロシアを批判したのではないか」との憶測が広がった。
  憶測の背景には、ルカシェンコ氏がロシアに忠誠を示しつつ、侵攻には否定的で、米欧側との決定的対立や国内の不安定化を招く参戦を巧妙に避けてきた-との見方が強いことがある。ベラルーシとウクライナは歴史的に、同じ東スラブ系のロシアを長兄とする「兄弟国」ともされてきた。
  米欧やウクライナの防衛当局は侵攻開始当初から、ロシアが「偽旗作戦」を用い、ベラルーシを参戦させる恐れがあると警戒。3月にはウクライナ国境警備隊が「露軍機が国境地帯のベラルーシ側を爆撃した」と発表し、ベラルーシの参戦が近いとの観測を示した。
  しかし、ベラルーシは爆撃の情報を否定。ウクライナ情報当局は、ベラルーシ軍が「現場部隊が前進命令に従わない」との口実で、ロシアからの参戦要求を拒否しているとも発表した。

  ルカシェンコ氏もこれまで、国内会議などで「露軍は独力で目標を達成できる。助太刀は不要だ」と何度も発言。ロシアを持ち上げつつ、ベラルーシは参戦しない方針を示してきた。


2022.04.20-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20220420-BKX25Q4CUBJRTEDAVLT7NU2LN4/
「プーチン氏とも戦う」 ベラルーシ・ハッカー集団 ウクライナを側面支援

  【ロンドン=板東和正】ベラルーシの反体制ハッカー集団「サイバー・パルチザン」の広報担当者、ユリアナ・シェメトヴェッツ氏(28)が産経新聞のオンライン取材に応じ、ウクライナ侵攻で、ロシア軍が部隊などの輸送に使っているとされるベラルーシの鉄道システムへのサイバー攻撃に成功したと明らかにした。「ベラルーシの独裁政権だけではなく、プーチン露大統領とも戦う」とし、ウクライナの露軍への抵抗を側面支援する意向を示した

  サイバー・パルチザンは2020年、強権的なベラルーシのルカシェンコ大統領に対抗するために結成された。鉄道などインフラへのサイバー攻撃で高い技術を有しているとされる。
  シェメトヴェッツ氏によると、ハッカーらは昨年末にはベラルーシの鉄道システムに侵入し、同国に露軍が部隊を派遣した今年1月にサイバー攻撃を開始、その移動を妨害した。同氏は攻撃について「『われわれはベラルーシ国内に露軍が入ることを受け入れていない』とのメッセージだ」と語った

  サイバー・パルチザンは露軍のウクライナ侵攻開始後も攻撃を続け、鉄道は手動による運行管理を強いられたという。その結果、ウクライナに向けた露軍の部隊などの輸送が遅れ、「ウクライナ軍が首都の防衛態勢を強化する時間を得ることにつながった」と、成果を強調した。

  ハッカーらは引き続き鉄道システムに侵入した状態にあり、再度の攻撃の可能性を指摘。「ロシアのインフラに直接攻撃することはない」とする一方、ウクライナ側にはロシアへのサイバー攻撃に有用な情報や知見を提供しているという。

  サイバー・パルチザンには現在、約60人が在籍。実際の攻撃に参加するのはこのうち10人ほどで、データ解析や攻撃に使用するツールの作成を担う人材もいる。メンバーにはベラルーシの国民だけでなく、他国の出身者も含まれる。ベラルーシ当局に摘発される恐れもあることから、その居場所は明らかにされていない。シェメトヴェッツ氏自身は同国国外にいる。
  シェメトヴェッツ氏は「より複雑な攻撃を行うためには、多くの人員が必要だ」とし、今後、他国の人材をさらに集める考えを示した。支援者から暗号資産で寄付を受け、運営資金としているという。
  同氏はロシアやベラルーシを念頭に「独裁政権は人々に暴力を振るい、恐怖を与える」とし、「サイバー技術を含む知識を駆使して反撃するしかない」と訴えた。同時に「サイバー攻撃がエスカレートする可能性は常にあるが、地上で起こる戦争ほど有害な結果を生み出していない」とも主張した。


2022.02.28-JIJI .COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2022022800717&g=int
ベラルーシ、ウクライナに派兵か ロシアに加勢の準備―米報道

  【ワシントン時事】米紙ワシントン・ポスト(電子版)は2月27日、米政府当局者の話として、ベラルーシのルカシェンコ政権がロシア軍を支援するため、ウクライナに派兵する準備を整えているとの見方を明らかにした。同28日にもウクライナに部隊を送る可能性がある。

   ベラルーシは合同演習名目でロシア軍を自国に招き、そのままウクライナ北方から侵攻するルートを提供した。米国防総省によると、このルートで首都キエフに侵攻するロシア軍はウクライナ軍による頑強な抵抗に加え、燃料不足などの問題が生じて進軍が停滞。ただ、ベラルーシ軍が加勢すれば、戦局が大きく動く可能性がある。



2021.11.22-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/a1f3a57e55d4cf77447b2d1293964ba02dd872d8
欧州移民めぐり緊張続く ベラルーシ当局が暴行

  【モスクワ=小野田雄一】欧州連合(EU)への移住を望む中東などの人々がベラルーシに入国し、ポーランド国境で立ち往生している問題は、帰国作業が始まるなど状況悪化に一定の歯止めがかかっている。

  ただ、ベラルーシ当局による暴行の証言や、ベラルーシがEU側への不法越境を手助けしているとする情報が出るなど、緊張はなお続いている
  移住希望者の多くの出身地とされるイラクは18日、帰国便を編成。立ち往生していた推計2~3千人のうち約400人が帰国した。残る人々もベラルーシが設置した臨時の避難所に収容されるなどしている
  国営ベルタ通信によると、同国のルカシェンコ大統領は22日、新たな帰国便を準備すると発表した。 ただ、帰国したイラク国民は「ベラルーシ当局に暴行された」と証言。ロイター通信によると、ポーランドは19日、ベラルーシが避難所から人々を再び国境に連れ戻し、国境警備隊を妨害して強制的に越境させていると非難した。


2021.11.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20211110-LL4JAERP2ZPK5FOBBNGID2FAYY/
露、難民流入問題でEUを批判

  【モスクワ=小野田雄一】旧ソ連構成国のベラルーシに入国した中東などからの移民や難民欧州連合(EU)を目指してポーランドの国境に押し寄せている問題で、ロシアのペスコフ大統領報道官は10日、「欧州は以前、難民受け入れという高尚な人道的理念を掲げていたが、今回はそうしようとしない」と述べ、難民の流入阻止に向けた対策を強化しているポーランドやEUを批判した。タス通信が伝えた。

  ペスコフ氏はまた、ポーランドがベラルーシとの国境封鎖を検討していることについて「ベラルーシを窒息させる試みだ」とし、友好関係にある隣国ベラルーシを擁護した。ベラルーシが移民をEUに対する「政治的武器」として使っており、ロシアも背後で関与しているとのEU側の見方について、ペスコフ氏は「無責任で受け入れられない」と反発した。
  ロイター通信によると、ドイツのメルケル首相は10日、プーチン露大統領と電話で会談し、EUへの難民流入問題でロシアからベラルーシに働きかけるよう要請した。


2021.11.05-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/0a82154afd53d068f5ac77efbe85140ad34438d0
露、ベラルーシ統合を強化 28項目の合意文書

  【モスクワ=小野田雄一】ロシアのプーチン大統領と隣国ベラルーシのルカシェンコ大統領は4日、オンライン形式での両国合同会議に出席し、エネルギー市場の統合など、経済面を中心に両国の一体化を進めるとする28項目の統合プログラムを承認した。露主要メディアが伝えた。

   プーチン露政権は、両国が合意している連合国家の枠組みに基づき、最終的にベラルーシの実質的な併合を目指しているとされ、経済分野での統合をその布石としたい考えだ。ただ、ルカシェンコ氏はかねて「国家の主権は維持する」としており、ロシアも政治的な統合には現時点で慎重な姿勢を示している。 統合プログラムは、石油や天然ガス、石油製品市場の単一化や、同一の規制の適用など28項目を列挙している。
  今後、両国政府が具体化に向けた作業を行う。 ベラルーシはロシアから輸入した原油を精製し、石油製品を輸出することで外貨を得てきたほか、天然ガスもロシアに依存する。市場統合で資源価格が露国内と同一になれば、ベラルーシにはメリットが大きい。 両大統領はまた、欧米との対立激化を背景に、合同の軍事ドクトリンを20年ぶりに改定した。
   両国は1999年、連合国家の創設条約に署名したが、主権喪失を恐れるルカシェンコ氏の抵抗で有名無実化していた。ルカシェンコ政権は昨年8月、大統領選の不正に抗議する大規模デモを弾圧したことで欧米との関係を悪化させ、ロシアに急接近している。プーチン露政権はこれを機に、ベラルーシとの統合深化を急ぎたい考えだ。


2021.09.07-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210907/k10013248831000.html
ベラルーシ 反政権派の女性幹部らに実刑判決 欧米から批判の声

  ベラルーシで、強権的なルカシェンコ大統領の退陣を求めて拘束された反政権派の幹部に対しベラルーシの裁判所は懲役11年の実刑判決を言い渡し、欧米からは政権側への批判の声が上がっています。

  ベラルーシでは、去年8月に行われた大統領選挙が不正だったとして、ルカシェンコ大統領の退陣を求める抗議活動が全国に拡大し、マリヤ・コレスニコワ氏は、強権的な政権に抗議する反政権派組織の女性幹部として注目されました。
  これに対し、政権側は反政権派組織への圧力を強め組織のメンバーは国外に逃れることを余儀なくされていましたが、コレスニコワ氏は首都ミンスクにとどまり、政権交代を訴え、去年9月、当局に拘束されました。

  ミンスクの裁判所は6日、コレスニコワ氏に対して国家権力を違法に奪うことを共謀した罪などで懲役11年の実刑判決を言い渡し、また、反政権派の別の幹部にも懲役10年の実刑判決を言い渡しました。
  これに対し、アメリカのブリンケン国務長官は「政治的な動機によるもので、恥ずべき判決だ」と厳しく批判しているほか、EU=ヨーロッパ連合の報道官も「政権が国民の人権や自由を軽視し続けていて遺憾だ」として、拘束されている政治犯やジャーナリストを速やかに釈放するよう求めています。
  一方、ルカシェンコ大統領は、9日には後ろ盾となっているロシアのプーチン大統領と会談する予定で、欧米側の相次ぐ批判にもかかわらず強気の姿勢を崩していません。


2021.08.09-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20210809-2TGSCA6JRBMLRONKLNGG7VGB5U/
ベラルーシ混乱1年 進む政治浄化 欧米の制裁、効果見えず

  【モスクワ=小野田雄一】旧ソ連構成国のベラルーシは9日、独裁体制を敷くルカシェンコ大統領の6選が発表され、大規模な抗議デモが発生した大統領選から1年を迎えた。デモを力で粉砕した政権側はこの1年、反体制派の国外追放や投獄、メディアへの言論弾圧など政治浄化を加速欧米は制裁で圧力をかけているが、隣国ロシアによる経済支援もあり、ルカシェンコ政権を揺るがすほどの効果を上げられていない

  「反体制派は他国を後ろ盾に国内社会を分断させようとしている」。ルカシェンコ氏は7月末、政府関連の会議でそう指摘。「言論の自由が過激派を生み出したとも述べ、反体制派への弾圧を正当化した。

  昨年8月9日の大統領選で、政権側はロシア系銀行元頭取のババリコ氏、元政権幹部のツェプカロ氏ら有力な対立候補を「立候補要件の不適格」を理由に事前に排除。ルカシェンコ氏と女性候補のチハノフスカヤ氏との事実上の一騎打ちとなった。中央選管が同日、ルカシェンコ氏の「圧勝」を発表すると、開票不正を主張する多数の国民が同日夜から数カ月にわたって全国で抗議デモを続けた。

  政権は治安部隊を使ってデモを弾圧。約5千人を拘束し、約600人を刑事訴追した。ツェプカロ氏とチハノフスカヤ氏は弾圧を恐れ国外に脱出。ババリコ氏は今年7月、汚職罪などで禁錮14年を言い渡された。政権側は言論弾圧も強めている。5月、国内最大の非政府系オンラインメディア「トゥト・バイ」への接続を遮断。複数の従業員を拘束し、資産を押収した。報道を通じてデモを支援した同メディアへの報復とみられている。同月にはアイルランド旅客機をベラルーシに強制着陸させ、搭乗していた反体制派ジャーナリストを拘束した。


2021.07.09-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/210709/mcb2107092324013-n1.htm
ベラルーシ、難民放出でEUに報復 陸路リトアニアへ

  【モスクワ支局】欧州連合(EU)の小国リトアニア(人口約270万人)に向けて中東などからの移民・難民を意図的に放出しているとして、EUがベラルーシを非難している。ベラルーシのルカシェンコ政権は5月、反体制派ジャーナリストの拘束を目的にアイルランド旅客機を強制着陸させ、EUから制裁を発動された。難民らを事実上の武器にしてEUに報復している形だ。

  ベラルーシから陸路でリトアニアに入る不法移民・難民は6月以降に急増。ロイター通信によれば、7月の最初の1週間だけで約780人が確認された。リトアニアで昨年1年間に拘束された不法移民・難民は81人とされ、流入が急増した衝撃は大きい。リトアニア政府は今月2日に緊急事態を宣言した。

  リトアニアのナウセーダ大統領は「故意に政治的道具として移民らを送っている」とルカシェンコ政権を非難。EUのミシェル大統領も「ベラルーシがリトアニアを含むEUを試し、圧力をかける目的で不法移民を利用しているのは明白だ」と述べ、リトアニアを支援する意向を示した。
   リトアニア当局によれば、イラクやシリア、トルコといった国々からの移民・難民が目立つ。ベラルーシの「旅行会社」が首都ミンスクへの航空便を斡旋(あっせん)するなど、各国から移民・難民を意図的に呼び込んでいるという。

  EUは強制着陸事件などを受け、ベラルーシの主要産品であるカリウム肥料や石油製品の取引を制限する経済制裁を発動している。


2021.06.23-Yahoo!Japanニュース(日テレ News)-https://news.yahoo.co.jp/articles/8b68cd2d626b53dc383e3dff5721ec370364a300
中国がベラルーシへの制裁を批判「内政干渉だ」

  アメリカやEU(ヨーロッパ連合)がベラルーシへの追加制裁を発表したことについて、中国外務省は内政干渉だ」などと批判しました。

   中国外務省は22日の会見で、「一国主義的な制裁を科し、また制裁で脅すことに中国は一貫して反対だ」としたうえで、「外国勢力がベラルーシの内政問題に干渉することに反対する」と述べました。
   また、「ベラルーシが自国の情勢に基づいて自ら選んだ路線は尊重されるべきだ」と主張しました。
   ベラルーシでは5月、当局が旅客機を強制着陸させ、ルカシェンコ政権に批判的なジャーナリストが拘束されました。
   アメリカとイギリス、カナダ、EUは今月21日、ベラルーシへの追加制裁を発表しています。


2021.06.22-東京新聞-https://www.tokyo-np.co.jp/article/112036
EUと英、米、カナダが同時に対ベラルーシ追加制裁を発表 旅客機の強制着陸問題で

  【パリ=谷悠己】欧州連合(EU)加盟国間を飛行中の旅客機を強制着陸させ反政権派記者を拘束したベラルーシに対しEUと英国、米国、カナダが21日、同時に追加制裁を発表した。民主派への弾圧を強めるルカシェンコ政権に民主主義国が足並みをそろえて対峙する姿勢を強調した形で、EUは初の経済制裁も準備する。

  ルクセンブルクで開いた外相会合で制裁を決定したEUは、渡航制限や加盟国内での資産を凍結する対象リストに大臣2人ら78人と8団体を追加した。
  EU外相らは反政権派リーダーのチハノフスカヤ氏とも会談。外相会合後に記者会見したボレル外交安全保障上級代表によると、輸出制限などの経済制裁を検討しているEUに同氏は対象候補の企業リストを提供したという。石油やたばこ、肥料など政権の資金源となっている業界を照準に、24、25日の首脳会談での決定を目指す。
  米国もルカシェンコ大統領側近の報道官ら16人と5団体を制裁リストに追加。4人と1団体を新たに制裁する英国もEUと同様に経済制裁を準備する。
  EUと米英加の4者は21日、「人権と自由、国際法への攻撃を続けるルカシェンコ政権への深い憂慮を共有している」との共同声明を発表した。


2021.05.28-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/article/20210528-NCS2WKLKSVNYJNAR76UI4DD37M/
「爆弾情報」主張に矛盾 ベラルーシ、虚偽の疑い

  ベラルーシで旅客機が緊急着陸した原因について、ルカシェンコ大統領はスイスから同機に爆弾が仕掛けられた」との情報があり、これを機長に伝えた結果だと主張している。だがこの「スイス情報」がメールで届いたのは、ベラルーシ当局が同機を着陸に向かわせた後だったことが28日までに分かった。ロイター通信が報じた。ルカシェンコ氏の主張に矛盾が生じた。搭乗していた反政権派ジャーナリストの拘束が、当初からの目的だった疑いが強まった

  ルカシェンコ氏は26日、「スイス情報」説を展開し、着陸を強制した事実はないと主張していた。同機は目的地リトアニアのビリニュスに近づいていたが、ベラルーシ当局の勧告で方向転換し、ミンスクに着陸した。しかし、ロンドンを拠点とする調査グループは、問題のメールが送信されたのは「ベラルーシの航空当局が旅客機に爆弾情報を伝えた24分後だった」との情報を公開した。(共同)


2021.05.25-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210525/k10013049811000.html
EU ベラルーシに制裁で合意 米大統領も対抗措置の検討を指示

  旧ソビエトのベラルーシの当局が国際線の旅客機を着陸させ、反政権派のジャーナリストを拘束したことを受けて、EU=ヨーロッパ連合は、ベラルーシの航空機によるEU上空の飛行の禁止などの制裁を科すことで合意しました。また、アメリカのバイデン大統領も対抗措置の検討を指示したとしていて、国際的な批判が強まっています。

  ベラルーシの当局は23日、領空を通過していた国際線の旅客機を首都ミンスクの空港に着陸させ、搭乗していた反政権派のジャーナリスト、ロマン・プロタセビッチ氏を拘束しました。
  ベラルーシ側は着陸を命じた理由について爆発物を仕掛けられた情報があったとしていますが、爆発物は見つかっていません。
  これを受けてEUは24日、首脳会議で対応を協議し、プロタセビッチ氏の即時解放を求めたうえで、ベラルーシの航空会社の航空機によるEU上空の飛行や、EU域内の空港への着陸を禁じるなどの制裁を科すことで合意しました。
  記者会見で、フォンデアライエン委員長は「民主主義と表現の自由、EUの主権への攻撃であり、こうした非道なふるまいには強い対応が必要だ」と述べました。
バイデン大統領「最も強いことばで非難する」
  ベラルーシの当局による旅客機の強制着陸と、反政権派のジャーナリストのプロタセビッチ氏の拘束を受けて、アメリカのバイデン大統領は24日、声明を発表し「国際規律に対する侮辱でありアメリカは最も強いことばで非難する」と批判しました。
  そのうえで、プロタセビッチ氏の動画は強要されたものだと指摘し「反政権派と報道の自由に対する恥ずべき攻撃だ」として、プロタセビッチ氏とともにルカシェンコ政権下で政治犯として不当に拘束されているとする数百人の解放を求めました。
  さらにバイデン大統領は一連の事実関係について、国際的な調査を求めるとともに、EU=ヨーロッパ連合が制裁で合意したことを支持する姿勢を示しました。そして「EUや同盟国、国際機関と緊密に連携し、関係者の責任を問うための適切な選択肢を検討するよう担当者に指示した」として、アメリカ政府としての対抗措置の検討を指示したと明らかにしました。
  ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は24日、ベラルーシの反政権派のチハノフスカヤ氏と電話で会談して強い支持を伝え、ベラルーシ政府の責任を問うと表明しています。
加藤官房長官「拘束は不当 即時釈放を」
  加藤官房長官は、午後の記者会見で「今回のベラルーシ当局による民間航空機の強制着陸は、国際民間航空条約に反する疑いがあり、さらに特定の乗客を恣意的(しいてき)に拘束したことは不当であり、日本政府としてはこれらのベラルーシ政府の行動を強く非難し、ベラルーシ政府に対し、拘束されたジャーナリストの即時釈放を求める立場だ」と述べました。
  そのうえで「今後、国際的な議論においても、引き続きEUやアメリカをはじめとする国際社会と緊密に連携を図って対応していく考えだ」と述べました。
ロシアは慎重な姿勢
  ベラルーシの当局が国際線の旅客機を着陸させ、反政権派のジャーナリストを拘束したことについて、ロシアのラブロフ外相は24日「ベラルーシは必要な情報を提供する用意がある。重要なのは、状況を冷静に評価することだ」と述べ、欧米が批判を強める中、ベラルーシを擁護しました。
  一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は、ベラルーシ当局の手法について「国際的な基準に合うか合わないかを評価するのは国際航空当局だ。私はコメントできない」と述べ、明確な評価を避けました。
  今回の拘束の評価をめぐって、ロシアは、ルカシェンコ政権への国際的な批判が強まれば、その後ろ盾であるプーチン政権に非難の矛先が向くおそれもあることから、慎重な姿勢を見せています。


2021.05.24-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20210524/k00/00m/030/270000c
ベラルーシ「強制」着陸 反体制派、拘束前に「自分は死刑になる」

  ベラルーシ当局は23日、領空を飛行中のギリシャ発リトアニア行き旅客機に戦闘機を発進させて緊急着陸させ、搭乗していた反体制派活動家を拘束した。当局は「爆発物が機内にある」との情報が寄せられたとしているが、拘束するために強制的に着陸させた可能性が高い。現地メディアなどによると、ベラルーシのルカシェンコ大統領が指示したという。欧米諸国からは「国家によるハイジャック」などの強い非難が相次いでいる。

  緊急着陸したのはリトアニアの首都ビリニュスに向かっていたアイルランドの格安航空会社「ライアンエア」の旅客機。ベラルーシの航空管制当局から「最も近い」首都ミンスクの空港への着陸を指示された。ベラルーシ空軍の戦闘機が着陸を誘導した。

  着陸後の捜索で爆発物は見つからず、ベラルーシ当局は「虚偽の情報だった」として捜査を始めたと発表。同機は23日夜にビリニュスに到着した。
   旅客機には12カ国の120人以上が搭乗しており、このうちポーランドを拠点にルカシェンコ政権を批判するインターネットメディア「NEXTA(ネフタ)」の元編集長ロマン・プロタセビッチ氏(26)らが拘束された。

  ベラルーシ当局は、ルカシェンコ氏が6選を果たしたと発表された2020年8月の大統領選後に大規模抗議活動を組織したなどとしてプロタセビッチ氏を起訴。有罪になれば禁錮15年の刑が下される可能性がある。同氏は拘束前、乗客に「自分は死刑になる」と話したという。
  緊急着陸について、大統領選でルカシェンコ氏の対立候補だったチハノフスカヤ氏は、反体制派を拘束するための「特殊作戦だった」と指摘国際民間航空機関(ICAO)は、国際航空のルールを定めたシカゴ条約に違反する可能性があるとして「深い懸念」を表明した。

  欧州連合(EU)域内では加盟国を結ぶ便が強制的に着陸させられたことに前例のない国家テロ(ポーランドのモラウィエツキ首相)などの非難が相次いだ。フォンデアライエン欧州委員長はツイッターに「ハイジャックの責任者は制裁を科されるべきだ」と投稿。EUは24日の首脳会議で追加制裁を含めた対応を協議する。
  米国のブリンケン国務長官も「米国民を含む乗客の命を危険にさらした」と強く非難。プロタセビッチ氏の釈放と国際的な調査を呼びかけた。
  一方、ベラルーシ外務省の報道官は24日、一連の対応は「国際的な規則に完全に合致している」とし、欧米諸国の批判に「何の裏付けもない」と反論した。【モスクワ前谷宏】


2021.02.24-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210224/wor2102240026-n1.html
ベラルーシ大規模デモ半年 居座る独裁者、露の支援で弾圧に邁進
(1)
  ロシアの隣国ベラルーシで昨年8月、大統領選の不正に抗議する大規模な反政権デモが起きてから半年余りが過ぎた。プーチン露政権の支持を得たベラルーシの独裁者、ルカシェンコ大統領は反体制派の弾圧に邁進(まいしん)し、大統領退陣を求める抗議行動は縮小した。今後は、ベラルーシの統合強化を狙うプーチン政権とルカシェンコ氏の駆け引きが焦点の一つとなりそうだ。

  ルカシェンコ氏は22日、露南部ソチでプーチン露大統領と会談。プーチン氏に支援への感謝を表明したほか、ともにスキーをするなどしてロシアとの良好な関係を誇示した。
  ルカシェンコ氏はこれに先立つ11日、各界の代表を政権主導で集めた「全ベラルーシ人民会議」を開催し、自身の正統性を演出した。反体制派は会議に参加していない。ルカシェンコ氏はこの会議でも「基本的な経済パートナー、戦略的同盟国はロシアだ」とロシア重視を鮮明にした。
  ベラルーシでは昨年8月、大統領選でルカシェンコ氏の「6選」が発表されると、大がかりな選挙不正に抗議する10万~20万人規模のデモが毎週のように発生した。治安当局は10月末までに延べ約1万6千人のデモ参加者を拘束し反体制派幹部らは軒並み刑事訴追されたり、国外退去を余儀なくされたりした。
(2)
  欧州連合(EU)や米国などは不正選挙とその後の弾圧を非難し、ルカシェンコ政権幹部らに制裁を発動。欧州議会は、人権や民主主義の擁護活動をたたえるサハロフ賞をベラルーシの反体制派に授与した。
  これに対し、ルカシェンコ氏支持を鮮明にしたのがロシアだった。プーチン政権は昨年9月に15億ドル(約1577億円)のベラルーシ向け融資を表明したほか、11月には両国の治安機関が協力するとの合意を結んだ。背景には、ベラルーシに親欧米政権が誕生したり、ベラルーシの反体制運動が露国内に波及したりすることをプーチン政権が恐れた事情がある。

  ロシアはベラルーシと「連合国家」形成で合意しながら、主権喪失を恐れるルカシェンコ氏の抵抗で実質的な統合が進まないことに不満を抱いてきた。このため、今後はルカシェンコ氏支持で「貸し」をつくったプーチン政権が、ベラルーシ統合に向けた圧力を強める可能性がある。

  ルカシェンコ氏は大統領選後、反体制運動を緩和する目的で「大統領権限を縮小する憲法改正を行い、改憲後に退任する」と公約した。ただ、今月11日の演説では「年内に改憲草案を準備し、来年初めに国民投票を行う」としつつ、「政情の正常化と現政権メンバーの安全の保証」が退任の条件だとした。

  ルカシェンコ氏が居座りを続けた場合には、退陣を求めて抗議行動が再燃する可能性も排除されない。プーチン政権がルカシェンコ氏を「御しづらい」と判断すれば、自国に都合のよい後継者に政権を禅譲させる展開も考えられる



2020.9.8-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63586670Y0A900C2FF8000/
ベラルーシ反体制派、国境で拘束 国外退去に抵抗か

  【モスクワ=小川知世】独裁的なルカシェンコ大統領への抗議が続くベラルーシで、反体制派幹部のコレスニコワ氏が隣国ウクライナとの国境付近で当局に拘束されたことが8日、分かった。政権は抗議の収束に向けて反体制派の中心人物に国外退去を迫っており、抵抗した同氏を拘束した可能性がある。
  国営通信ベルタなど複数のメディアが国境警備当局の話として報じた。
  コレスニコワ氏は反体制派と市民代表が政権交代に向けて組織した「調整評議会」のメンバーで、国内に残る反体制派の代表的な存在だった。
  独立系メディアによると、コレスニコワ氏7日午前に首都ミンスクで、覆面を付けた男らに車両に押し込まれて拉致されるのを目撃された。同氏や調整評議会の関係者ら計3人が音信不通となり、当局が拘束したとの見方が強まっていた。
  ベラルーシ当局によると、3人は8日早朝に国境地帯に車で現れた。国境警備隊がコレスニコワ氏を拘束し、残る2人はウクライナに出国した。同国の内務次官は8日、3人が強制的に出国を迫られたとフェイスブックで説明した。インタファクス通信は情報筋の話として、コレスニコワ氏がパスポートを破って出国を拒否したと伝えた。
  同国では8月9日の大統領選以降、ルカシェンコ氏の退陣を求める抗議が続く。政権は反体制派の中心人物に圧力をかけ、排除を試みてきた。
  大統領選でルカシェンコ氏と争った反体制派のチハノフスカヤ氏は選挙後にリトアニアへ出国を余儀なくされた。調整評議会の別の幹部もポーランドに出国した。出国しなければ長期にわたって投獄すると脅されたという。コレスニコワ氏は圧力を受けても国内にとどまる意向を示していた。
  欧州は懸念を強めている。欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表は7日「当局が一段と無法なやり方で市民を脅し続けている」と非難声明を出した。独英外相もコレスニコワ氏らの安全の確保を訴えた。政権はロシアを後ろ盾に抗議への圧力を再び強めており、強硬姿勢を崩す兆しは見えないままだ。


2020.8.20-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/5b7490a75d978ed9f3fe63e59356b46247469fa3
ベラルーシ混乱 露、政権側・デモ側両にらみ ルカシェンコ氏退陣も視野か

  【モスクワ=小野田雄一】9日の大統領選をめぐる反体制派の抗議デモが続くベラルーシ情勢で、隣国ロシアのプーチン政権は、再選が発表されたルカシェンコ大統領への支援を表明する一方、デモ側への批判を抑制するなど慎重な構えを見せている。ロシアはルカシェンコ氏が早期退陣に追い込まれる可能性も見据え、どちらか一方に肩入れするのを避けているとみられている。
   ラブロフ露外相は19日、露国営テレビのインタビューで、「ベラルーシ大統領選は理想的なものではなかった」と述べ、デモ側への理解を表明し、ルカシェンコ政権とデモ側双方に自制と直接対話を求めた。
   ロシアは、北大西洋条約機構(NATO)など欧米側との緩衝地帯として重要視するベラルーシが、親欧米派住民のデモで親露派政権が倒れたウクライナと同じシナリオをたどることを警戒。ウクライナ政変の背後には欧米側の関与があったとみているロシアは、ベラルーシでも反体制派と欧米側が結びついて政権転覆を図る事態を恐れている。
   実際、プーチン露大統領は18日、デモ側への支持を表明しているフランスとドイツに対し、「ベラルーシへのいかなる内政干渉も容認できない」と伝えた。  ただ、今のところベラルーシのデモはウクライナの政変とは事情が異なっている。ウクライナでは「ロシア離れ・欧米接近」という国が進む方向の選択が争点となったが、ベラルーシのデモは再選挙やルカシェンコ氏の退陣を求め、対露関係は問題となっていない。このためロシアは、反体制派と欧米諸国の接近を牽制しつつも、ルカシェンコ氏が退陣に追い込まれた場合の両国関係も念頭に、反体制派との敵対を避けようとしているようだ。
  ベラルーシのデモでは、経済低迷やルカシェンコ氏の長期独裁に対する国民の不満が、大統領選の不正開票疑惑を契機に爆発した。デモには明確な指導者が不在で、今後、拡大するか沈静化するかは予測困難だ。ロシアはデモの推移やルカシェンコ政権の行方を見極めつつ、対応を検討していくとみられる。
   19日付の露経済紙ベドモスチは「ロシアとベラルーシが『ルカシェンコ氏の早期退陣の代わりに後継者は反体制派勢力から出さない』など、双方に有益な選択肢を協議している可能性がある」との見方を伝えた。


2020.8.20-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200820/k10012574941000.html
EU 緊急首脳会議でベラルーシへの制裁を承認 近く発動へ

  大統領選挙のあと混乱が続く旧ソビエトのベラルーシ情勢をめぐって、EU=ヨーロッパ連合は緊急の首脳会議を開き、ベラルーシへの制裁を承認するとともに、市民や報道の自由を支援するため資金援助を行うと発表しました。
  ベラルーシでは今月9日の大統領選挙でルカシェンコ大統領が6選を決めたとしたのに対して退陣を求める抗議デモやストライキが続いています。
  EUは、当局がデモの参加者に暴力を加えた上、選挙そのものも公正に行われなかったとして19日、緊急の首脳会議をオンラインで開き対応を協議しました。
  その結果、各国首脳は市民への暴力も選挙結果も認められないとして透明性のある調査が必要だとの認識で一致するとともに、外相レベルで合意していた当局者への制裁を承認し、近く発動することで合意しました。
  さらに各国首脳は、民主的に行われる政権交代を支持するとともに、「第3国を含むすべての勢力はこのようなプロセスを支援しなければならないとして必要に応じて軍事的な支援を行う用意があるとするロシアをけん制しました。

  また、フォンデアライエン委員長は、ベラルーシの報道の自由を守るためのメディアへの支援や、新型コロナウイルスに対処するための医療体制の支援などに合わせて5300万ユーロ、日本円でおよそ67億円を拠出する考えを明らかにしました。


2020.8.17-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200817/mcb2008172133016-n1.htm
露、ベラルーシ支援に動く 「ウクライナ化」警戒

【モスクワ=小野田雄一】大統領選の不正疑惑で抗議デモが続くベラルーシをめぐり、ロシアがルカシェンコ大統領を支援する動きをみせはじめた。欧州連合(EU)がベラルーシへの制裁導入を決めるなど、ルカシェンコ氏への圧力が国内外で高まる中、体制転換により同国が「第2のウクライナ」化する動きを警戒し、抗議デモや欧米を牽制(けんせい)する狙いがありそうだ。

  ロシアのプーチン大統領とルカシェンコ氏は15、16日の連日、電話会談し、デモには「国外勢力の関与」の可能性があるとし、事態収束へ協力することで一致した。現地報道によると、ルカシェンコ氏は外国の軍事的脅威を受けた場合、「ロシアが全面支援する」と明らかにした。
  両国は露主導の「集団安全保障条約機構」(CSTO)に加盟。同機構は加盟国に国外勢力が介在した政権転覆などの脅威が発生した場合、軍事を含む相互援助を行うことを定める。
  ベラルーシでは9日の大統領選でルカシェンコ氏の6選が決まったとの結果に対し、不正を訴える抗議デモが全国で発生政権側は排除に乗り出し、参加者6千人以上を拘束した。デモ参加者に死者も出た。だが、デモは親政権色の強い国営企業にも波及し、首都ミンスクでは16日にも数万人規模のデモが発生、収束する気配は見えていない。
  一方、EUの外相理事会は14日、ルカシェンコ政権の対応を非難し、デモ弾圧や大統領選の不正に関わった当局者らに制裁を科す方針で一致。ミシェルEU大統領は17日、緊急のEU首脳会議を19日に開き、対応を協議すると発表した。
  ポンペオ米国務長官も東欧歴訪中の15日、ポーランドで「選挙は自由でも公正でもなかったと批判し、デモに参加する市民らを支える考えを示した
  ルカシェンコ氏は近年、ベラルーシへの影響力を持つロシアを牽制するため欧米との関係強化を模索し、ロシアとの関係は緊張もはらんでいたが、苦境に立たされ、助けを求めた形だ。
  ロシアとしてもベラルーシは北大西洋条約機構(NATO)の領域やEUとの間の緩衝地帯として重要であり、隣国ウクライナのように親露派政権が政変で倒れ、親欧米政権が誕生する事態は避けたい。ルカシェンコ氏に警戒心を持つものの、現体制の存続が望ましいと考えている。
  ロシアでも最近、極東で反政権デモが起きているだけに、プーチン氏としてはベラルーシの体制危機がロシアに波及することも懸念しているとみられる。


2020.8.10-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200810/k10012561111000.html
ベラルーシ大統領選 現職の6選確実 対立が先鋭化

  旧ソビエトのベラルーシで行われた大統領選挙で現職のルカシェンコ大統領の6選が確実となりました。しかし、対立候補は「大規模な改ざんが行われた」として選挙結果を認めない考えを示し、両者の対立が先鋭化しています。

  旧ソビエトのベラルーシで9日行われた大統領選挙は、強権的な統治を続け、6選を目指すルカシェンコ大統領に政治経験のない37歳の主婦、チハノフスカヤ氏などが挑む異例の展開となりました。
  中央選挙管理委員会は10日、開票率84%の時点の得票率を発表し、現職のルカシェンコ氏が80.2%、チハノフスカヤ氏が9.9%で、ルカシェンコ氏の6選が確実となりました。
  これについてチハノフスカヤ氏は10日、会見を開き、「大規模な改ざんが行われた」として、選挙結果を認めない考えを示しました。
  またチハノフスカヤ氏の支持者ら数千人は、投票終了後、首都ミンスクなどで「不正な選挙だ」と抗議の声をあげ、治安部隊がゴム弾や放水車を使ってデモ隊の排除に乗り出し、激しく衝突しました。
  抗議活動は10日未明まで続き、ベラルーシの人権団体などによりますと、1人が死亡、数十人がけがをし、全国でおよそ3000人が拘束されたということです。
  ルカシェンコ大統領は65歳で、1994年から5期26年にわたって大統領をつとめていますが、強権的な政治手法に加え、新型コロナウイルス対策では、「ウォッカを飲めばウイルスを除去できる」などと発言し、国民の批判が強まっていました。

  ベラルーシ大統領選挙の結果をめぐってチハノフスカヤ氏の陣営責任者は、9日行った記者会見で、開票終了後に投票所に貼り出された公式な書面を確認したところ、複数の投票所でチハノフスカヤ氏の得票がルカシェンコ大統領を上回っていたと指摘し結果は不正だと強調しました。
  それによりますと首都ミンスクにある投票所ではチハノフスカヤ氏の得票が1226票だったのに対してルカシェンコ大統領は394票となるなど、合わせて3か所の投票所でチハノフスカヤ氏が上回っていたことが確認できたということです。
  また、インターネットメディアは、投票所に貼り出された書面を撮影したとする写真を公表し、このうちミンスクにある別の投票所ではチハノフスカヤ氏はルカシェンコ大統領の得票の4倍にあたる1725票を獲得していたとしています。
  こうした報道を受けて、市民らは「チハノフスカヤさんが数%の得票率なんてありえない」などと書き込んでいます。さらに投票所の監視員だったアンナ・ススリナさんはヨーロッパメディアの取材に対して「投票所の学校に入ることすら許されなかった」と述べ投票の透明性は確保されなかったと当局の対応を批判しました。
ポーランド首相 緊急EU首脳会議を要求
  ベラルーシで、大統領選挙が不正だとして抗議活動を行っていた市民が治安部隊と激しく衝突したことを受けて、隣国ポーランドのモラウィエツキ首相は10日、声明を発表し「当局は改革を求める市民に対して武力を行使した。自由を求めるベラルーシの人々を支持すべきだ」と述べました。
  そのうえで、緊急のEU首脳会議を開いて対応を協議すべきだとして、EUのミシェル大統領やフォンデアライエン委員長に書簡を送ったことを明らかにしました。
中国 「鉄のように固い友好国」友好関係を強調
  ルカシェンコ大統領の当選が確実になった10日、中国の習近平国家主席はいち早く祝電を送り、中国外務省によりますと、「両国関係を極めて重視しており、ルカシェンコ大統領とともに手を携えて全面的な戦略的パートナーシップを推進していきたい」と述べました。
  また中国外務省の趙立堅報道官は10日の記者会見で、「全面的な戦略的パートナー、そして鉄のように固い友好国として、中国は一貫してベラルーシの人々の選択を尊重する」と述べ、特別なことばを使って友好関係を強調したうえで、「ともに努力してさまざまな分野での協力をさらに深めていきたい」と述べて、一層の関係強化に意欲を示しました。
プーチン大統領が祝電
  ルカシェンコ大統領の当選が確実になったことを受けて、隣国ロシアのプーチン大統領は10日、祝電を送り「経済や安全保障の分野でさらに協力関係を発展させることが、兄弟民族の利益にかなう」と祝意を伝えました。


2020.8.2-gooニュース(産経新聞)-https://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/sankei-wor2008020009.html
ベラルーシ大統領選まで1週間 揺らぐ独裁者、女性候補に支持結集

  【モスクワ=小野田雄一】ロシアの隣国、ベラルーシで9日に予定される大統領選(任期5年)まで1週間となった。主要な反体制派候補が排除され、現職のルカシェンコ大統領(65)が無風で6選を果たすとみられたが、ここにきて異変が起きている。政権が「脅威にあらず」と考えて出馬を認めた女性候補に反体制派の支持が結集され、うねりとなっているのだ。「欧州最後の独裁者と称されるルカシェンコ氏には大きな誤算となった
  ルカシェンコ氏との一騎打ちを演じているのは、人気ユーチューバーの夫を持つチハノフスカヤ氏(37)。夫が治安当局に拘束されたことから代理として急遽(きゅうきょ)出馬し、独裁打倒を訴えている。
  より有力とみられていた反体制派候補2人は7月中旬、中央選管によって「要件を満たさない」として立候補を却下されたが、チハノフスカヤ氏は出馬を認められた。排除された2候補の陣営はチハノフスカヤ氏支援に回り、結果的に同氏が反体制派の強力な統一候補となった。
  首都ミンスクでは7月30日、チハノフスカヤ氏を支持する集会に6万人以上(独立系団体集計)が参加。26年間にわたり強固な独裁体制が築かれてきたベラルーシでは異例の事態で、ロイター通信は「人口950万人の国で、1991年のソ連崩壊以降で最大の集会となった」と報じた。同氏を支持する運動は地方都市でも大きな盛り上がりを見せている。
  ルカシェンコ氏は94年から大統領の座にあり、国民の間では長期化する独裁や経済不振への不満が強まっている同氏が新型コロナウイルス感染症について「ウオッカを飲めば予防できる」などと主張し、何ら対策をとらなかったことも反政権機運を増幅させた。
  こうした情勢下で7月29日、プーチン露大統領に近い民間軍事会社(PMC)「ワグナー」の要員33人がベラルーシで治安当局に拘束され、波紋を広げている。同国治安当局は、多数のワグナー要員が大統領選の攪乱(かくらん)を狙って国内に潜入したと発表。ロシアは、これらの要員が経由地としてベラルーシに滞在していただけだと主張している。
  プーチン露政権は、両国の「統合深化」に難色を示してきたルカシェンコ氏に嫌悪感を抱く一方、ベラルーシの反体制派には欧米への親近感が強いことを警戒している


2020.7.13-産経新聞 SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/200713/wor2007130013-n1.html
ベラルーシ大統領選、現職が有力対抗馬を続々排除

  【モスクワ=小野田雄一】8月9日投開票のベラルーシ大統領選で、「欧州最後の独裁者」と呼ばれるルカシェンコ大統領(65)に批判的な候補の拘束や立候補登録の却下が相次いでいるずさんな新型コロナウイルス対応などで国内で反発を受けたルカシェンコ氏が、敗北への危機感から有力対抗馬の排除に乗り出したとの見方が強い。
  ルカシェンコ氏は1994年の大統領就任後、反体制派勢力やメディアを弾圧し、独裁を5期26年維持してきた。だが経済低迷などに加え、新型コロナ禍では「ウオッカを飲めば消毒になる」と述べて対策を事実上放棄。約6万4000人との同国の感染者数も国内外で過少申告が疑われている
  このため大統領選に向けては、ルカシェンコ氏の6選阻止を訴える候補に人気が集まり、近年にない盛り上がりを見せた。有力対抗馬とされたのはロシア系銀行の元頭取、ババリコ氏▽ルカシェンコ氏の元側近、ツェプカロ氏▽人気ユーチューバーのチハノフスキー氏-の3人だ。
  ババリコ氏は独裁やコロナ対策を批判し、ツェプカロ氏は「普通の民主国家化」を主張。チハノフスキー氏も「反ルカシェンコ」を掲げ支持を広げた。5月にインターネットで行われた非公式の世論調査では、ババリコ氏の支持率が50%を上回り、ツェプカロ、チハノフスキー両氏もそれぞれ10%を超えた。ルカシェンコ氏は5%台だった。
  だが、治安当局は5月末にチハノフスキー氏を警察官への暴行容疑で、ババリコ氏を6月中旬に資金洗浄容疑などで拘束した。ツェプカロ氏は今月上旬、立候補に必要な書類の不備を理由に中央選管から立候補登録を却下された。

立候補登録は14日まででババリコ、ツェプカロ両氏の出馬の可否は不透明。3人は「政治圧力だ」と反発している
   ルカシェンコ氏は一連の動きに「政治的な思惑はない」とするが、国内外では疑問視する向きが強い。西側外交筋は「ルカシェンコ氏が再選されたり、不正開票の疑いが強まったりすれば、抗議活動が起きて政情が不安定化する可能性もある」と分析している。


ベラルーシ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ベラルーシ共和国は、東ヨーロッパに位置する共和制国家。日本語では白ロシアとも呼ばれる。東にロシア連邦、南にウクライナ、西にポーランド、北西にリトアニア、ラトビアと国境を接する、世界最北の内陸国である。首都はミンスク。ソビエト連邦から独立した。ソ連崩壊で独立前のソ連時代、国際連合にはウクライナと共に、ソ連とは別枠で加盟していた。

地理
ベラルーシは内陸国で、国土の大部分が低地であり、最高点のジャルジンスカヤ丘陵でも海抜345mである。最低点はネマン川の海抜90mである。国土の20%を占めるなど湿原が豊富で、南部に最大の湿原であるポレーシエ湿地がある。約1万1000もの湖があり、それを突き通すように、北部を通るダウガバ川、西部を通るネマン川、東部を通るドニエプル川とその支流であるプリピャチ川ベレジナ川ソジ川などの主要河川がある。気候はおおむね温暖で湿度が高いが、東部は冷涼で、大陸性気候の特徴が見られる。
ベラルーシの主な天然資源は森林で、国土の45.3%もの面積を占めている。その他に泥炭花崗岩泥灰岩チョークが採れる。少量の石油天然ガスも産出されるが、国内需要を満たす規模ではなく、エネルギー資源の大半をロシアからの輸入に依存している。
民族
住民はベラルーシ人が83.7%、ロシア人が8.3%、ポーランド人が3.1%、ウクライナ人が1.7%、ユダヤ人が0.1%である(2009年)。かつては首都ミンスクの人口のうち、ユダヤ人やポーランド人が多数を占めていた時期もあるなど、多民族が共存してきた歴史がある。
隣国ウクライナではウクライナ人民族主義が非常に強く、国内に民族対立を抱え、結果的に2014年には深刻な内戦に陥った。これと比較して、ベラルーシでは民族主義的な意識は低く、ベラルーシ人とロシア人などとの民族間対立等は起きていない。いまなおミンスクには巨大なレーニン像が残るなどソビエト時代を肯定的にとらえる国民性もある。
言語
ベラルーシでは、ベラルーシ語ロシア語の二つの言語が国家語として憲法に規定されている。ベラルーシで最も広く使われる言語はロシア語であり、家庭内では人口の70%に使用されており、ベラルーシ語が家庭内で使用される割合は23%となっている。ベラルーシ語はロシア語ほど広く使用されないにもかかわらず、人口の53.2%が自身の母語を問われた際にベラルーシ語を選んでおり、ロシア語を母語とするのは41.5%にとどまっている。ベラルーシの教育ではベラルーシ語とロシア語いずれも原則必修とされており、ベラルーシ人はおおむね両方の言語を一定の水準で使用することができる。会話の中でベラルーシ語とロシア語のどちらともとれない曖昧な話し方はしばしば見られ、こうした口語はトラシャンカ(干草に藁を混ぜた飼料の意)と呼ばれている。ほか、ポーランド語ウクライナ語東イディッシュ語を話す少数派も存在する。
宗教
宗教は東方正教会が80%である。その他ローマ・カトリックプロテスタントなどが信仰されている(1997年推計)。ロシア正教古儀式派ポモールツィベロクリニツキー派ベグロポポーフツィなどの信徒も存在する。
婚姻
婚姻時、改姓せず夫婦別姓とすることも、いずれかの姓に統一し同姓とすることも、複合姓とすることも可能である。
歴史
ルーシの公国とモンゴル侵攻(詳細は「モンゴルのルーシ侵攻」を参照)
6-8世紀にスラヴ民族が移住開始したと一般に言われていたが、近年では古代から既にスラヴ民族はこの地に定住し続けていたという説が有力である。
9世紀のキエフ・ルーシの一部だったポロツク公国がベラルーシの始まりとされる。バルト海黒海を結ぶ通商路として繁栄した。
10-11世紀にポロツク公国は版図を拡大し、 キエフ・ルーシやノヴゴロド公国と争った。南部には10世紀末にトゥーロフ公国が成立。一時、モンゴルに征服される
12世紀から13世紀前半には10前後の公国が存在し、ベラルーシ人の民族意識が高まり、団結してドイツ騎士団モンゴル帝国と戦った。13世紀までにベラルーシの地域(ルーシと呼ばれる地域の北半)の公国はすべてリトアニア大公国に併合される。リトアニア大公国における貴族の大多数は実はリトアニア人リトアニア語母語とする人々)ではなくベラルーシ人(当時はルーシ人、のちリトヴィン人ベラルーシ語版と呼ばれた)で、リトアニア大公国の公用言語リトアニア語ではなくベラルーシ語(当時は通常はルーシ語と呼ばれ、さらに、リトアニア大公国の官庁で使用された公式言語であることから官庁スラヴ語とも呼ばれた)が使われる。
ポーランド・リトアニア共和国(詳細は「ポーランド・リトアニア共和国」を参照)
1385年クレヴォの合同によりポーランド・リトアニア合同が成立すると、ベラルーシを含むリトアニア大公国全域の貴族の間で文化母語の自発的な「ポーランド化」が始まる。クレヴォの合同後最初のリトアニア大公であるヴィータウタス1430年に没すると、リトアニア大公国貴族によるポーランドの文化と言語の受容が加速した。1569年ルブリンの合同により物的同君連合としての単一国家である「ポーランド・リトアニア共和国」が成立するとこの地域の文化のポーランド化がさらに進み、リトアニア人とベラルーシ人を含むリトアニア大公国のほぼすべての貴族がポーランド化した。この「ポーランドへの同化」現象は1795年までの三度にわたるポーランド分割によりベラルーシ地域がロシア帝国に併合されるまで続いた。この間、貴族層の家系の大半とその他ルーシ人の多くはこの時代までにローマ・カトリック改宗を済ませ、母語もポーランド語を使用するようになっていたが、相変わらずルーシ語を母語とし東方正教会を信仰していた者も農民層を中心に多数いた。
ロシア帝国支配下(詳細は「ロシア帝国」および「ロシア帝国の歴史」を参照)
その後、ロシア帝国に支配されていた時代は、地方自治レベルでは旧ポーランド・リトアニア共和国の貴族(ほとんどがローマ・カトリック教徒)たちに一定の権限が許されていた。その間貴族たちはポーランド・リトアニア共和国の独立を目指す蜂起を2度起こした。1830年11月に行われた大蜂起(十一月蜂起)が失敗に終わると、貴族たちを中心にポーランド系の多くの人々がロシア帝国を脱出し、西ヨーロッパやアメリカ大陸の各国へ亡命した(これは「大亡命」と呼ばれる)。それでも民主ポーランドを復活させようとする人々は1863年に2度目の大蜂起(一月蜂起)を起こす。これがロシア帝国によって再び鎮圧されると、ポーランド貴族や商工民やインテリはキリスト教徒であるかユダヤ教徒であるかを問わず徹底的な迫害に遭った。その結果、この地域の中産階級以上の人々(ほぼすべてがポーランド人 - ポーランド化した家系の人々 - であった)は亡命するか、あるいは財産を没収されてほとんど無産者となり、中産階級そのものが滅亡した。その結果、ベラルーシに残った人々の大半は農民となり、ロシア帝国による直接支配が進んだ。ベラルーシの農民の大半はポーランド語を話すローマ・カトリック教会信者か、ルーシ語を話す東方正教会信者かのどちらかであった。前者(すなわちルーシ人からポーランド人となった者)はポーランドに近い西部に多く、後者(ルーシ人でい続けた者)はロシアに近い東部に多かった。
  一月蜂起以後はロシア帝国によるポーランド人(キリスト教徒とユダヤ教徒の間)分断政策が開始され、ロシア帝国から俗に「リトアニアのユダヤ人(リトヴァク)」と呼ばれるロシア系(東欧系)ユダヤ人たちが大量に送り込まれた。リトヴァクたちは14世紀の昔からずっとポーランドにいた西欧系ユダヤ人(ユダヤ教徒のポーランド人)とは文化も習慣も言語もかなり異なる人々で、ポーランドのキリスト教徒とユダヤ教徒の両方から嫌われる存在だったが、あまりに大量に移住してきたのでこの地域の人口動態を大きく変えてしまう事態になった。(この段落部分は、通常の理解とは異なる。通説的には次の通り。ベラルーシのユダヤ人は、ポーランドが呼び寄せた西欧ユダヤが、リトアニアとの合同により(リトアニア領内だった)ベラルーシに拡散したものが中心である(Lithuanian Jews)。その頃ロシアはユダヤ人の移住を認めていなかったので、領内にはほとんどいなかった。その後、ロシアがポーランド分割によりベラルーシを含む旧ポーランド・リトアニアの一部を領有した結果、ロシアは国内にユダヤ人を抱え込むことになったが、その後も分割領有前のロシア領内にはユダヤ人の立ち入りを認めなかった。)このルーシ農民階層、リトヴァク、そして後にロシアから大量に移住してくるロシア人の3者が、後のソヴィエト連邦(ソ連)ベラルーシ共和国の主要民族となり、特に最初の2者はソ連の無宗教政策によって完全に融合してしまうのである。
ソビエト連邦(詳細は「ソビエト連邦」を参照)(詳細は「独ソ戦」を参照)
1917年ロシア革命が起こり、そして第一次世界大戦の間占領していたドイツ軍の占領が終わった後、1918年には史上初の独立国となるベラルーシ人民共和国が樹立される。しかしこの政権は短命に終わり、1919年には白ロシア・ソビエト社会主義共和国が成立し、1922年にはソビエト社会主義共和国連邦に加盟する。この頃に起こったポーランド・ソビエト戦争の結果成立したリガ条約により西半分がポーランドに割譲された。
  1939年9月の第二次世界大戦の勃発により、ソ連軍ナチス・ドイツに続いてポーランドに侵攻。ポーランド東半分の占領と共に、リガ条約により割譲されていた領土を白ロシアに編入した。1941年からの独ソ戦(大祖国戦争)では激戦地となり、ブレスト要塞ミンスクの戦いを経てドイツ国防軍に占領された後、1944年バグラチオン作戦により奪回された。ハティニ虐殺など、ドイツは苛酷な統治を行った。対独反攻作戦において、ソ連軍は白ロシア戦線と呼ばれる方面軍を組織した。
1945年に第二次世界大戦が終わると、ポツダム会談での取り決めによってソ連とポーランドの国境が西へ移動され、ベラルーシ全域がソ連領ベラルーシ共和国となり、この地域に住むポーランド系住民は西方へ追放された。この追放をソ連や現在のロシア共和国では「移住」と呼ぶ。これにより、ベラルーシ共和国は家系がポーランド化せずにルーシ人(ベラルーシ人)だった者か、あるいは19世紀にロシアから大量に移住してきた東欧ユダヤ系の家系の者、あるいはその混血ばかりの国家となったが、さらにロシア共和国などから多数のロシア人が移住してきた。
  1986年4月26日、ベラルーシ共和国の南のウクライナ最北部にあるチェルノブイリ原子力発電所事故が発生し、おりからの南風に乗って放射性物質が国境を越え、南東部のホミェリ(ゴメリ)州を中心とする地域に大きな被害が及び、同州に限定すると、1991年以降は世界的平均の100倍以上にも達している。一方、非常に軽度の汚染州であるビテプスク州では1993年以降0件のままであることから、原発事故による汚染と甲状腺がんの相関性が認められる[9]。(チェルノブイリ原子力発電所を参照)。
ソビエト連邦崩壊に伴う独立
1990年7月27日に独立宣言(主権宣言)を行い、1991年8月25日に独立が承認された。同年の12月8日にはベラルーシ最西部のベロヴェーシの森で、ロシアのボリス・エリツィン、ウクライナのレオニード・クラフチュク、ベラルーシのスタニスラフ・シュシケビッチの三者の間でソビエト連邦の解体を宣言、独立国家共同体 (CIS) 創設に関する協定が締結された。9月15日には国名が白ロシアから正式にベラルーシ共和国となった。
ルカシェンコ政権
1994年に実施された大統領選挙では、ロシア連邦との統合を目指すなどの選挙公約を打ち出したアレクサンドル・ルカシェンコが当選した。ルカシェンコ大統領は1999年12月8日、ロシア連邦のボリス・エリツィン大統領(当時)と、将来の両国の政治・経済・軍事などの各分野においての統合を目指すロシア・ベラルーシ連邦国家創設条約に調印した。しかし、その後、プーチンがロシア連邦の新大統領として就任し、ベラルーシのロシアへの事実上の吸収合併を示唆する発言を繰り返すようになると、自らは初代「最高国家評議会議長(国家元首)」に就いて、ロシアには連合国家の閣僚会議議長(首相に相当)のポストを与えることでロシアの事実上の最高指導者になる野望を持っていたルカシェンコ大統領は反発するようになり、両国の統合は停滞した。その後も、ロシアがメドヴェージェフ大統領になっても、ロシアとベラルーシの関係悪化は続いた。
  メドヴェージェフから引き継いで再び大統領となったプーチンは、2018年においてもベラルーシに対して、エネルギー輸出などで圧力をかけながら国家統合を迫っている。ルカシェンコは協議には応じている一方で、「ロシアが西にある唯一の同盟国を失うのなら、彼らの責任だ」「両国の連合は平等な立場でのみ発展できる」と牽制。2019年11月17日にも「国家主権独立を脅かすような書類には署名しない」と発言した。
  2010年12月の大統領選挙では4選を果たしたものの、選挙後に野党の候補者が政権により拘束されるなど、野党勢力への弾圧は続いたことで、アメリカ合衆国欧州連合(EU)を中心とした西側諸国からの圧力を受け、国際的にも孤立を深めた。財政問題や経済不況が続く中、SNSなどでの呼びかけで、政権に抗議する一部の市民たちは無言で拍手をしながら街を練り歩くなど、ルカシェンコ政権への抗議運動が発生し始めているが、反政府運動は徹底的に厳しく取りしまられている。
  しかしながら、経済不況ながらもソ連時代から続く富の分配政策や物価の低価格設定などにより、国民の生活は一応の安定を保っていることと、実質的にはルカシェンコ派以外が政権を担う力は皆無であるため、アメリカ合衆国やEUが期待するのとは裏腹に反政府運動も一向に盛り上がらないのが現状である。また、2014年にはロシアとカザフスタンの提唱したユーラシア連合構想に加わってユーラシア経済連合創設条約に調印。ルカシェンコ大統領はロシアとある面では敵対しつつも連携し、中国反米イランベネズエラなどの中南米諸国などといった非欧米諸国を中心とした国と巧みな外交手腕で経済援助を獲得することで、自身の独裁体制を維持している。
政治
ベラルーシは三権分立共和制の国であるが、1996年ベラルーシ共和国憲法が改正され、行政の中心である大統領(任期5年)に非常に強い権限が与えられている。2004年に行われた国民投票により、憲法の大統領職の三選禁止規定が削除された。
  ベラルーシの議会二院制で、上院に相当する共和国院( 定員64名)と、下院に相当する代表者院 定員110名)からなる。議員は、共和国院は国内の6つの州とミンスク市の議会から8名ずつ選出、残り8名を大統領が指名する。代表者院は小選挙区制により選出され、任期は4年である。
  1994年以降、ルカシェンコが大統領の座に就いており、ヨーロッパ最後の独裁国家との批判を欧米諸国から受けている。アメリカなどの自由主義諸国との関係は良好ではなく(アメリカがベラルーシに経済制裁を科したため、2008年5月に国交を事実上断絶した、ジョージ・W・ブッシュ米大統領が定義した「悪の枢軸」の中の一国である(当初はイラクイラン北朝鮮だったが、その後拡大している)。また、コンドリーザ・ライス国務長官が定義した「専制の前線基地」の中の一国でもある)。
  2012年9月には、代表者院選挙が行われたが野党ボイコット。全議席が親ルカシェンコ政党に配分され、自身の強固な独裁体制の維持に成功した。ベラルーシは現在、ヨーロッパで唯一死刑制度が存在する国家である。
人権
非常に抑圧された国家の一つである。高齢者、未成年、障害者以外が職に就かず半年以上未納税の場合、平均月収程の罰金が課せられる、また失業者は社会奉仕が義務付けられている。公の場でのデモ、集会は厳しく規制されており、政治的な意見の表明や政権批判、大統領批判をすれば、逮捕・拘束される
  厳しい規制を逃れるために、ただ拍手をするだけのデモ活動を「拍手によって政治的な意見を表明した」と弾圧し、片手の参加者も拍手をしたと逮捕された。過去には聾唖者が「政治スローガンを叫んだ」として逮捕される事態が起きている。この片手による拍手逮捕は、2013年にルカシェンコ大統領とベラルーシ警察に対し、イグノーベル賞平和賞を受賞する事になった
経済
IMFの統計によると、2013年のベラルーシのGDPは717億ドルである。一人あたりのGDP(為替レート)は7,577ドルで、バルト三国を除く旧ソ連構成国の中では、ロシア (14,818ドル)、カザフスタン (12,843ドル) についで3番目であり、隣国ウクライナ (3,919ドル) の2倍である。
  1991年の独立後、他のCIS諸国と同様に市場経済化を推進していた。しかし、1995年に大統領に就任したルカシェンコは、「社会主義市場経済」を導入し社会主義政策を開始した。これに基づき、統制価格の導入や、政府による民間企業への介入により自国の製造業の保護に努める傍ら、ロシア関税同盟を結ぶなどの経済統合政策により、経済成長を実現させた。しかし、1998年8月に発生したロシア財政危機に伴い、1998年から1999年の2年連続で悪化し、激しいインフレーションや生産の低下に見舞われた。2000年1月1日にはデノミネーションが実施された。以降はロシア経済の急速な回復に支えられ順調な経済成長を続けているが、2016年7月には再びデノミネーションを実施している。
  対露経済統合はロシア側に政治、経済的に大きく左右される事、ベラルーシ側に大幅な貿易赤字をもたらすなど問題があり、近年はロシアに自国の産業が脅かされるとの警戒感から、経済統合政策は事実上停滞している。ただ、当分の間ベラルーシは西欧型の市場経済からは離れ続けると見られているが、2011年に入り、国内の経済状況が極度に悪化しており、ロシアがベラルーシの吸収合併へ向けた動きを加速させている。
  2009年5月29日、ロシアのアレクセイ・クドリン財務相は、ベラルーシが近い将来支払不能(すなわち破産)に陥るとの見方を示した。これは、ベラルーシが市場改革を行わず、ソ連型社会主義体制のままであることによる。天然資源にも乏しく、国家財政の基盤となるものが脆弱なのにも関わらず、ルカシェンコ個人の趣味であるアイスホッケー場を多数建設させたり、食品や生活用品の価格に税金をかけず、逆に国の補助金で安く抑えたりするなどの放漫財政を行っている。ただ、こうした政策を行っているからこそ、ルカシェンコによる独裁体制が支持されているという側面もあった。ルカシェンコ大統領は体制維持のためロシアと欧州連合(EU)を天秤にかけ、双方から経済支援を引き出すしたたかな外交を展開していた。しかし、この手法も2010年代に入ると、もはや通用しなくなった。
  まず、2010年6月21日より、ロシアのガスプロム天然ガスの代金未払いを理由にベラルーシへのガス供給の削減を開始した。しかし今度はベラルーシがガスプロムに対して「欧州向け天然ガスにおけるパイプラインの通過料が未払いであり、翌日(24日)の朝までに支払われなければ、欧州向け天然ガスの供給を全面的に停止する」と警告をした。これにより、『欧州を含めた、新たな天然ガス供給に関する紛争』が生じ、ルカシェンコ大統領は「ロシアとの間でガス戦争が始まった」と発言したが、6月24日にベラルーシ側が未払い代金を支払い、ガス戦争は早々と終結した。しかし、ベラルーシとロシア間で強いわだかまりが残る結果となった。
  そして、2010年12月にルカシェンコが四選を果たした直後から、2009年のロシアのクドリン財務相の予言通り、ベラルーシが経済危機に陥った。ロシア産石油・天然ガスの価格引き上げと、先述したバラマキ放漫財政に耐えられず、外貨準備が底をついた状況になっている。ベラルーシ各地の両替所では外貨を求める人々の長蛇の列ができ、物価高騰を恐れる庶民は商品買い占めに走っている状況となった。ロシア側はベラルーシの国営企業売却などを求めており、これによりベラルーシのインフラを掌握し、また、通貨をロシアルーブルにすべきだという意見も出ており、ベラルーシをロシアに事実上吸収合併しようとする動きを強めている。過去に「ロシアに泣きついて頭など下げない」(ロシアの経済支援棚上げについて)などといった強気の発言を繰り返してきた、「ヨーロッパ最後の独裁者」と呼ばれているルカシェンコ大統領は崖っぷちの状況に陥っている。この状態を打破するには、ルカシェンコが採用していたソ連型社会主義経済から、完全な市場経済社会へ向けた痛みを伴う大掛かりな改革が必要であるとされる。
  紆余曲折の末、ルカシェンコ大統領がロシア主導の「ユーラシア連合」への参加を表明し、その見返りにロシアは天然ガスを特別割引価格で提供、また、ガスパイプラインをロシアが買い取る協定が結ばれ、ベラルーシ経済がロシアに掌握された格好となった。
  だが、国営企業で働く従業員の賃金未払いや工場の操業停止など、深刻な経済状況は依然として続き、更に、ロシアは国営企業の民営化の遅れなどを理由にベラルーシへの資金援助を2013年に打ち切った。崖っぷちに追い込まれたルカシェンコ大統領は今度は中華人民共和国へ急接近、中国との間で15億ドルの経済投資協定を締結、中国は欧州進出の足掛かりを得ることができ、ベラルーシは財政破綻を回避できた。同時期には蘇州工業園区に倣った中国-ベラルーシ工業園区英語版も開設され、これによりベラルーシの軍事パレードでは中国の紅旗がパレードカーになって中国人民解放軍もベラルーシ軍とともに行進し、中国製武器の購入や弾道ミサイルを共同開発するなど経済的にも軍事的にも密接な関係が続いている。
  ベラルーシの鉱業は、原油、天然ガス、ソリゴルスクで採掘される岩塩(カリ塩 KCl)に限定されている。原油だけは自国内の消費量の数割を賄うことが可能である。農業では、類の生産に向く気象条件から世界第4位(150万トン、2002年)のライ麦を筆頭に、大麦燕麦の生産が盛ん。春小麦の栽培も見られる。工芸作物としては世界第5位(3万2000トン)である亜麻の生産が際立つ。工業は繊維業、化学工業(肥料)が盛ん。の生産量は世界第4位(8万トン)であり、カリ塩の採掘に支えられたカリ肥料の生産は世界第3位(369万トン)となっている。硝酸の生産量は世界第8位(88万トン)。
  第三次産業では、理工系教育を重視していた旧ソ連時代からの伝統で、情報技術(IT)分野の人材が豊富である。『World of Tanks』(WOT)を開発したウォーゲーミング社は1998年にベラルーシで創業した(法人登記を2011年にキプロスへ移した後も本社機能はミンスクにある)。ベラルーシ政府は2005年にIT企業への税制優遇プログラムを導入し、Viberなどを生み出した。ルカシェンコ大統領は2017年にデジタル産業育成令を発布した。
  ルカシェンコ独裁体制下で司法の独立が欠如していることから、企業が政府から不当な圧力を受け、特に破綻を追い込まれる問題が存在している。
貿易
2002年時点では輸入90億ドルに対し、輸出は81億ドルであり、わずかに入超である。主な輸入品は原油、機械類、鉄鉱。輸入相手国は、ロシア、ドイツ、ウクライナである。ロシアとの取引が65%を占める。主な輸出品は、石油製品、自動車、機械類であり、輸出相手国はロシア、ラトビアイギリスである。輸出ではロシアの占める割合は50%に留まる。日本との貿易では、乳製品を輸出(全体の44%)し、無線通信機器を輸入(全体の35%)している。
軍事
陸軍及び空軍・防空軍の二軍からなる国軍を有する。ベラルーシ国防省の管轄下にあり、大統領が最高指揮官となる。この他に準軍事組織として、内務省のベラルーシ国内軍ベラルーシ国家国境軍委員会がある。ロシアを中心とした集団安全保障条約に加盟しており、北大西洋条約機構(NATO)には加盟していないが、アフガニスタンへの国際治安支援部隊(ISAF)展開を支援するなど、部分的には協力を行っている。
国軍は1991年の独立に伴い、旧ソ連軍を改編して創設された。







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