アメリカ-ウクライナ-1
2023.03.04-BBC NEWS COM.-https://www.bbc.com/japanese/64832553
アメリカ、ウクライナに砲弾などの追加軍事支援発表 在庫不足が懸念される中
アメリカは3日、ウクライナに4億ドル(約540億円)規模の追加軍事支援を行うと発表した。
ロシアとの激しい戦闘で激減しているとされる砲弾・弾薬を補うのが狙い。
アントニー・ブリンケン米国務長官は追加支援について、「
ウクライナが非常に効果的に使用している」
高精度の米製高機動ロケット砲システム「ハイマース」のロケット砲や、榴弾砲が含まれると説明した。
「
この軍事支援パッケージには、ウクライナが自国を守るために非常に効果的に使用しているアメリカ提供の『ハイマース』や、榴弾砲のための追加の弾薬も含まれる」と、ブリンケン氏は3日の声明で述べた。
さらに、
「ブラッドリー歩兵戦闘車用の弾薬や架橋戦車、解体用弾薬や装備、そのほかの保守・訓練支援など」も提供する予定だと付け加えた。「ハイマース」は昨年末のウクライナ軍の電撃的反撃作戦において、非常に有効であることが証明された。この作戦ではハルキウ州のほぼ全域がウクライナ側の支配下に戻った。
こうしたウクライナ軍の前進や、南部の街ヘルソンの解放は、ロシア軍が昨年4月に首都キーウ周辺から撤退して以降で最も大きな前線の変化だった。
ブリンケン氏は声明で、ウクライナの主権と領土一体性を守るため、「アメリカも、ウクライナ支援に向けて世界への働きかけを続ける」と強調した。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は先に、「ロシアを止める」には大砲や砲弾が必要だと強調していた。
アメリカは今後予想されるウクライナ側の攻撃に備えて、戦術的な橋を架ける移動式の装備なども提供する。ウクライナの軍関係者や専門家の多くが、今後数週間のうちに作戦が開始される可能性を示唆している。
2023.02.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230204-GRVN7ZFTVVPT5L2LLN5OFQPM6M/
米 射程150キロのロケット弾供与 ウクライナ支援2900億円
【ワシントン=坂本一之】
米国防総省は3日、ロシアの侵略を受けるウクライナに対し、初となる
長射程のロケット弾「GLSDB」の供与を含む約21億7500万ドル(約2900億円)の追加軍事支援をすると発表した。春先ともされるロシア軍の大規模攻勢に備え、ウクライナ軍の装備を強化する。
GLSDBの射程は約150キロで、高機動ロケット砲システム「ハイマース」から発射できる。
ウクライナ軍が現在ハイマースで使っているものに比べると2倍近い射程とされ、
これまで届かなかった標的やロシアの支配地域の深部を攻撃できるようになる。
国防総省のライダー報道官は同日の記者会見で、GLSDBの供与に関し「ウクライナが自国を防衛するための作戦とロシアによる占領地の奪還を可能にする」と指摘した。
追加軍事支援では携帯型対戦車ミサイル「ジャベリン」や対無人機システム、地対空ミサイルの発射機なども供与する。ブリンケン国務長官は声明で「ウクライナ国民を守るために重要な防空や対無人機の能力が含まれる」と強調した。
米国のウクライナ軍事支援は昨年2月のロシアによる侵攻開始後、計293億ドルに達した。
バイデン政権は、ウクライナが求める射程約300キロの地対地ミサイルATACMSの供与については、ロシアへの直接攻撃に使われる可能性を懸念し慎重に検討している。
2023.01.26-BBC NEWS JAPAN-https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-64408689
【解説】 ウクライナへの米戦車の供与、ロシアによる春の攻勢に間に合うのか
アメリカは25日、米軍の主力戦車「M1エイブラムス」をウクライナに供与すると発表した。この戦車によりウクライナの軍事力は大幅にアップグレードされる。ただ、
ロシアとの戦争の次なる局面に何らかの変化をもたらすことはなさそうだ。
米国防総省は長らく、
「M1エイブラムス」は
ウクライナの戦場での運用には適さないと主張してきた。ところが
突如その主張を一転させ、ウクライナに同戦車を送ることを決定した。この発表が、戦車供与をめぐる他国の判断に影響をもたらしている。
「(アメリカの発表は)ドイツ製の戦車
『レオパルト2』を(ウクライナに)送ることをドイツに決断させ、
レオパルト戦車を保有する他国が供与するのを承認することにもつながった」と、米政府の元ウクライナ特使カート・ヴォルカー氏はBBCに語った。
西側諸国は
今後6〜8週間でウクライナの装甲車能力を増強し、今春に予想されるロシア軍の攻撃に備えられるよう支援したい考えだ。
だが、M1エイブラムスを戦地に輸送し、ウクライナ兵が同戦車を扱えるよう訓練を行うには、それよりもずっと長い時間がかかるだろう。
一方で、レオパルトは比較的早い配備が可能で、操作も簡単だ。
アメリカとドイツの当局者は、この2つの問題を公には関連付けてはいなかった。しかし両国は、同じ日に戦車供与を発表するよう調整。西側の同盟国間で拡大していた論争を解決したかたちとなった。
戦車供与が焦点に
開戦当初から、アメリカのバイデン政権とその同盟国はロシアを刺激してエスカレーションを招かないよう、兵器の供与を慎重に調整してきた。
ところがウクライナが一連の戦果を挙げたのを受け、各国はタブーを破るようになった。そしてロシアが再び攻勢をかけてくるとの見通しから、ウクライナ東部の開けた地形で戦うために特に必要な戦車に焦点が移っている。
ドイツ政府は一部の同盟国から、ドイツがレオパルト2を供与するか、他国からの供与を承認するよう圧力を受けるようになった。欧州各地には約2000台のレオパルト2が配備されている。
ドイツは、ロシアに対抗するための戦車を西側諸国で唯一ウクライナに配備する国とみなされることを嫌った。イギリス政府も英陸軍の主力戦車「チャレンジャー2」14台を供与すると表明したが、十分な数とはいえないものだった。
エイブラムスの供与を決めた背景
数日前まで、米国防総省の高官はM1エイブラムスの供与は選択肢にないと発言していた。
このハイテク戦車は世界トップクラスだが、高価なうえに取り扱いが複雑で、メンテナンスも難しい。広範な訓練も必要となる。その点についてはいまも変わっていない。しかし、ヨーロッパで生じた軋轢(あつれき)への対応については米政権内部で議論がなされ、
ここ数週間はジョー・バイデン米大統領とオラフ・ショルツ独首相が何度も電話で協議した。
米政府高官の1人は、バイデン氏は大西洋諸国の結束に重点を置いていると語った。「今回の決定は、我々がいかに同盟国やパートナーと一体化し、すべてのことを協調して行っているかを示すためのものだ」と、米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー報道官は述べた。
「ドイツによる短期的コミットメントと相まって、
エイブラムス戦車は長期的コミットメントを示している」と、ある米政府関係者は述べた。
戦地に届くのは何カ月も先か
2003年から2006年にかけてアメリカの駐ウクライナ大使を務めたジョン・ハーブスト氏は、この長期的コミットメントについてより現実的な見方を示している。「(米)政権は必ずしも戦車(の供与)に熱心ではなかった」
「しかし、政権は議論の流れを目の当たりにし、世間の認識を知った。ドイツを説得するために誠実に努力したのだと思う」
「ただ、それを実現するには
エイブラムスについて同意する必要があったので、そうした。米政権はそれを望んでいなかったので、エイブラムスは言ってみれば、ものすごく遅いウクライナ行きの船に乗っている状況だ」
いずれにせよ、
エイブラムスの配備には、
その複雑さと調達方法を考えると長い時間がかかるだろう。同戦車は国防総省の在庫から送られるのではなく、民間業者から購入することになる。
ウクライナに届くには何カ月か、もしかしたら1年くらい、かかるかもしれない。
こうした中、複数の軍事アナリストは
、ドイツのレオパルトが投入されることでウクライナの攻撃能力は大幅に高まるものの、
解決のための特効薬にはならないだろうと指摘。
歩兵隊や砲兵隊とともに統合軍に組み込む必要があるとしている。
このことは、
今回の供与が戦闘での形勢を逆転するゲームチェンジャーになり得るかどうかの重要な要素となるだろう。
また、兵器に関してゴールが再び変わるかどうかの指標にもなるかもしれない。
ゆくゆくは長距離ミサイルや戦闘機などの供与も必要だと判断することになるかもしれない。
(英語記事 What difference will the tanks for Ukraine make?)
2023.01.25-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/b384aa8546abe8ee19d8c31ce8f51fe7ba93f539
ロシア「米欧戦車を破壊」と強弁も…滲む焦りと苛立ち
ドイツが主力戦車「レオパルト2」のウクライナ供与を決め、
米国も主力戦車「エイブラムス」を供与する見通しとの報道に
ロシアは反発している。
ロシアは「米欧の戦車が供与されれば破壊する」「戦況に影響はない」などと強弁しながらも、実際には主力戦車の供与がウクライナによる将来的な反攻の加速につながることを危惧。ロシアの反発の背後に、焦りといらだちがあるのは確実だ。
米欧の主力戦車の供与に関し、アントノフ露駐米大使は「仮に供与された場合でも露軍に破壊されるのは確実だ」と強調。「戦車の供与を『防衛兵器』だとの名目で正当化することはできず、
ロシアへの新たな挑発になる」とも警告した。
タス通信が25日伝えた。 露下院国際問題委員会のスルツキー委員長も24日、交流サイト(SNS)を通じ、「前線で露軍が優勢になりつつあることに米欧が懸念を深めている証拠だ」と主張。その上で、米欧が供与してきた携帯型対戦車ミサイル「ジャベリン」や高機動ロケット砲システム「ハイマース」などは露軍の作戦を停止させられず、大半が破壊されたとも主張し、米欧の主力戦車も「同じ運命をたどる」などと述べた。
しかし現実には、
ジャベリンやハイマースなど米欧供与の兵器は露軍の前進を遅らせ、各地でのウクライナ軍の反攻を可能にした。 露軍は最前線に旧式戦車を投入するなど戦力の低下が進んでいるとされ、米欧の主力戦車への対抗手段は限られているのが実情だ。
米シンクタンク「戦争研究所」は24日、
主力戦車の供与は「
ウクライナ軍が露軍を敗退させ、領土を解放するのを助ける」と評価した。
ロシアはウクライナ侵略の開始当初から「ウクライナへの軍事支援は対露参戦とみなす可能性がある」と米欧を威嚇し、兵器供与を停止させようとしてきた。それにもかかわらず米欧が兵器供与を拡大し続けていることにもロシアはいらだちを強めている。
ウクライナは米欧の主力戦車を東部や南部の前線に投入し、領土奪還を進めたい構え。ただ、旧ソ連製兵器を主力としてきたウクライナ軍にとって、北大西洋条約機構(NATO)規格の主力戦車が実際に供与された場合、習熟訓練や修理・補給態勢の構築に一定の時間が必要となる。
主力戦車が実戦投入される前に戦果を拡大しようと露軍がさらに攻勢を強める可能性も排除されない。
2023.01.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230125-Q2ANKNKQSFNPDHJUGC2DXZLYOM/
米が主力戦車エイブラムス供与か、独はレオパルト2を ウクライナ歓迎
ウクライナが
米欧諸国に求めている主力戦車の供与を巡り、米政治紙ポリティコ(電子版)は24日、
バイデン米政権が主力戦車「エイブラムス」を供与する方針を固めつつあり、早ければ週内にも発表する可能性があるとする米当局者2人の話を伝えた。一方、
ドイツ誌シュピーゲル(同)は同日、ショルツ独政権も主力戦車「レオパルト2」を供与する方針を決めたと報じた。
これに先立ち、
北大西洋条約機構(NATO)加盟国のポーランドは24日、自国が保有するレオパルト2のウクライナ供与を承認するようドイツに正式に求めたと発表した。
レオパルト2の供与には製造国ドイツの承認が必要とされる。
一連の報道によると、
米国が検討している供与数は約30両。また、
ドイツは自国からの供与だけでなく、ほかの保有国による供与も認める方針だという。米独が主力戦車を供与した場合、ウクライナの戦力向上が見込まれる一方、ロシアがNATOへの敵視をさらに強めるのは確実だ。
報道を受け、ウクライナのイエルマーク大統領府長官は24日、交流サイト(SNS)上で「ウクライナの戦車兵は世界でも優れている。(主力戦車供与は)権威主義(ロシア)に対する民主主義の真の鉄拳になるだろう」と歓迎した。
ロシアは米欧による主力戦車供与について「戦況を変えず、戦闘の長期化を招いてウクライナにマイナスとなる」と主張している。
主力戦車の供与を巡っては、
先に英国が「チャレンジャー2」の供与を発表。一方、
米独両国は従来、NATOとロシアの直接衝突に発展する事態を警戒し、慎重姿勢を示してきた。20日にドイツで開かれたウクライナ支援国会合でもドイツはレオパルト2の供与に関する結論を先送りした。
ただ、最前線の
ウクライナ東部ドネツク州では露軍が攻勢を強めており、ポーランドやバルト3国など一部のNATO加盟国からは主力戦車を供与すべきだとの声が高まっていた。