アメリカ選挙-1
2024.11.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241107-O7DR7CO4INNWTO4MOUDRNFOEXM/?outputType=theme_uspe
トランプ氏当選にケントさん「民主党への怒りの表れ」 パックンさんは「この結果に怒り」
(聞き手 宮崎秀太)
米大統領選で
勝利した共和党のトランプ前大統領(78)による本格的な政権移行がスタートし、その挙動に世界の注目が集まっている。だが、
返り咲きが実現した「またトラ」に対する評価はさまざまだ。ともに米国出身で日本で活動している、米カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバートさんとお笑いコンビ「パックンマックン」のパックンとして知られるパトリック・ハーランさんに話を聞いた。
ケントさん「荒れた米国立て直すはず」
トランプ氏が敗れた州でもハリス氏との差はわずかで、民主党の非常識な政策に国民の怒りが表れたと感じる。
バイデン政権がメキシコとの国境を開放した結果、不法移民が大量に流入した。インフレも悪化の一途をたどった結果、製造業を中心に新規雇用は大きく減少した。
トランプ政権は荒れてしまったアメリカを立て直してくれるだろう。国境封鎖による不法移民の流入阻止や減税政策はもちろん、中国による台湾への軍事干渉阻止へ向けても動いてほしい。
日本を含め諸外国には関税引き上げを明言しているが、日米間には自由貿易協定があり、大きな影響は受けないのではないか。ただ、安倍晋三元首相のようにトランプ氏と細部まで話し合える政治家が日本にいないことが懸念点だ。
パックンさん「移民強制送還に反発も」
半分以上の国民がトランプ氏に票を投じたことに怒りを覚えている。前大統領任期中に「1度も戦争が起きていない」と主張しているが、ロシアのウクライナ侵略や中東のパレスチナ問題の引き金になったのはトランプ氏だ。
トランプ政権がまず取り組むのは移民政策だろう。当面は、バイデン政権が終盤に打ち出した国境強化策を引き継ぐとみられる。しかし、移民の中には建設業など重要な職業に就いている人も多い。彼らを一斉に強制送還することは困難だし、反発も起こるだろう。
日本に対しては、為替に介入して円高を促し、関税引き上げや在日米軍の駐留経費負担の増額にも着手するとみられる。また、北朝鮮やロシアなどに対し、融和的な姿勢を示すことも懸念され、課題は多そうだ
(聞き手 宮崎秀太)
2024.11.07-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241107-3SEPAWHVGNFG5KX3UZFEGAA5AQ/?outputType=theme_uspe
「死ぬまで続くショック」「民主主義の危機」 トランプ氏当選で国内リベラル派意気消沈
米大統領選で
共和党のトランプ前大統領が当選を決めた。
緊密な外交関係がある日本でも関心は高いが、目立つのは「アンチトランプ」のリベラル派とみられる有識者らのため息と憤り。民主主義の手続きに則った米国民による選挙の結果に対して「民主主義の危機」と訴える姿勢に疑問の声も上がる。
トランプ氏の当選が現実味を帯びた6日夕、明治大教授(異文化間コミュニケーション)の海野素央さんは民放テレビ番組で「民主主義の危機」「民主主義の弱体化」と繰り返し、「歴史に残る選挙でこういう結果が出ていることを私たちは直視しなければならない」と締めくくった。海野さんは2008年以降の米大統領選で、研究の一環として民主党陣営のスタッフを務めていたことを公言している。
「トランプ勝利を想定していた」という米国出身でお笑い芸人のパトリック・ハーラン(パックン)さんは「いざふたを開けてみると、やっぱりショック」とBSテレビ番組で心情を吐露し、トランプ氏について「金正恩(キム・ジョンウン)とラブレターを交換している」「プーチンともラブラブな状態」などと揶揄。今回の選挙でもハリス氏が制したリベラル派の牙城・マサチューセッツ州にあるハーバード大の卒業者らしく「死ぬまで続くショック」とため息を漏らした。
「非大学進学者たちが共和党支持」
思想家の内田樹(たつる)さんはX(旧ツイッター)に「世界は多極化・カオス化し、『一寸先は闇』の時代に突入します」と投稿。「とりあえずアメリカでは知性と道義性が決定的な政治的価値であるという信念は失われました。自分たちが何を失ったか、彼らはいつ気づくでしょうか」。
受け入れたくない現実を拒否したがるのは米国でも同じだ。大統領選の報道番組で女性コメンテーターは「国内に大きな隔たりがある」とした上で、「労働者階級で非大学進学の人たちが共和党支持に傾いている」と学歴差別とも受け取れる発言をした。
方で、お笑い芸人のほんこんさんはXに「(トランプ氏に)米国民が単純に扇動されたみたいに聞こえる (当選を決めたのは)政策やろ」と投稿。
エジプト出身のタレント、フィフィさんもXで
「選挙速報、どこもスタジオがお通夜で、現状を受け入れられず、コメンテーターがまだ必死にトランプを貶しまくっていてみっともない、なぜアメリカ国民の声をフラットに伝えられない?」と投稿した。
2024.11.07-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241107-5B23M7JHEFLVBEXTYYYXSPBENQ/?outputType=theme_uspe
ハリス氏の敗因探る民主党 理念先行型の争点設定が不発、バイデン氏を糾弾の声も
【ワシントン=大内清】5日の
米大統領選で、
共和党候補のトランプ前大統領(78)が選挙人の獲得数だけでなく総得票数でも民主党候補のハリス副大統領(60)を大きく上回ったことに同党では衝撃が広がった。争点設定やメッセージの発信手段などさまざまな角度からの敗因分析が始まる一方、米メディアによれば、選挙戦から撤退した7月まで
再選にこだわったバイデン大統領(81)の責任を問う声も高まりつつある。
マイノリティーの支持揺らぐ
各種出口調査によると、ハリス氏は女性票では2020年前回選のバイデン氏をやや上回るか同程度を獲得したものの、男性票は数ポイント下落。黒人やヒスパニック(中南米系)、アジア系の得票は軒並み低下した。
もともと民主党は高学歴でリベラルな白人や、人種的マイノリティー(少数派)を支持基盤としてきた。しかし今回はそれが盤石ではないことが露呈した格好だ。
たとえば長年、民主党の地盤とされてきた東部ニュージャージー州の場合、前回選ではバイデン氏がトランプ氏に得票率で約16ポイント差をつけて勝利したが、今回はわずか約5ポイント差に縮んだ。民主党の大票田である西部カリフォルニア州でも、前回選では約29ポイント差あったリードが今回は開票率58%時点で約17ポイント差にとどまっている。
「勇気ある決断」一転
ハリス氏は今回の選挙で、民主主義の価値を守ることや、トランプ1期目政権で進んだ司法の保守化で脅かされる人工妊娠中絶の権利を保護することを主要争点に据えた。出口調査では「民主主義」を最も重視するとした人が「経済」を上回り、一定の成果もみられた。
ただ、選挙戦ではトランプ氏も「不法移民による不正投票で選挙の信頼性が損なわれている」などと主張しており、「民主主義」を最重要争点に挙げた人の中にはトランプ氏支持者も多かったと考えられる。ハリス陣営による理念先行型の争点設定は、全体としては不発に終わったといえる。
こうした中、CNNテレビによると、ハリス氏の陣営関係者には
「バイデン氏が早期に選挙戦から撤退していれば、ハリス氏の政策や人柄をもっと有権者に浸透させられた」との恨み節があるという。
これまでバイデン氏の撤退表明は民主党内で「勇気ある決断」と称賛されてきたが、現在は火種となっている。
2024.11.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241105-O5G2HJTKSZLLFP45O7HKHOCX24/
米大統領選、投票始まる ハリス氏「民主主義を守る」 トランプ氏「移民侵略終わらせる」
【フィラデルフィア=大内清、グランドラピッズ=平田雄介】米大統領選は
5日、各州で投票が始まった。
これに先立つ4日夜、女性初の大統領を目指す民主党候補のハリス副大統領(60)は激戦地の東部ペンシルベニア州フィラデルフィアで、返り咲きを狙う共和党候補のトランプ前大統領(78)は中西部ミシガン州グランドラピッズでそれぞれ選挙戦最後の集会を開き、支持を呼びかけた。
ハリス氏が最後の演説場所に選んだのは、映画『ロッキー』で再起をかける主人公のトレーニング場所で有名な石段前。ハリス氏は「民主主義を守る」と繰り返し、「意見が異なる人も含むすべての米国民のための大統領になる」と訴えた。トランプ氏の名は一度も口にしなかったが、直感での決定が目立つトランプ氏との違いをアピールするため、「専門家に耳を傾ける」とも語った。
対照的に、トランプ氏は演説で何度もハリス氏の名前に言及し、「噓つきだ」と非難。支持者もハリス氏に対するブーイングで応えた。
またトランプ氏は最重要課題と位置付ける移民問題で、「就任初日に侵略は終わり、米国は復活する。11月5日を米国解放の日にする」と述べた。
フロリダ大の調査によると、
期日前投票を済ませた有権者は4日夜時点で8200万人を超えた。