アメリカとイスラエル-1


2020.2.7-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200207/k10012276131000.html
米 中東和平案きっかけに衝突や襲撃相次ぐ4人死亡

アメリカのトランプ政権がイスラエル寄りの姿勢を鮮明にした中東和平案を発表したことをきっかけに、反発するパレスチナ側とイスラエル軍との間で衝突や襲撃事件が相次ぎ、この2日間で合わせてパレスチナ人4人が死亡、イスラエル兵13人がけがをし、緊張が高まっています。
  アメリカのトランプ政権は先月、イスラエルとパレスチナの長年の紛争を解決するためとして独自の和平案を発表しましたが、イスラエル寄りの姿勢を鮮明にした内容だったため、パレスチナ側は断固拒否するとして抗議デモを呼びかけています。
  パレスチナ暫定自治区のヘブロンでは5日夕方、パレスチナ側が抗議デモを行い、若者数十人が火炎瓶などをイスラエル軍に向けて投げつけたのに対し、イスラエル軍は実弾を発砲し、17歳のパレスチナ人の少年が胸を撃たれて死亡しました。
  これに対し、6日未明、エルサレムでパレスチナ人が乗っていたと見られる車がイスラエル兵が集まっていたところに突っ込み、12人がけがをしました。
  6日は、さらに別の3か所でイスラエル軍とデモ隊の衝突やパレスチナ人によると見られるイスラエル兵への実弾発砲が相次ぎ、この2日間で合わせてパレスチナ人4人が死亡し、イスラエル兵13人がけがをしました。
  緊張の高まりを受けて、イスラエル軍はパレスチナに展開する部隊を増強していて、7日の金曜礼拝に合わせて双方の間で衝突がエスカレートすることが懸念されます。
米高官 国連安保理に中東和平案を説明
  一方、アメリカのトランプ大統領の娘婿で中東問題を担当するクシュナー特別顧問は6日、ニューヨークにあるアメリカの国連代表部に国連安全保障理事会のメンバー国の大使らを招いて昼食会を開いて、トランプ政権の中東和平案について説明しました。
  会合の前後、クシュナー特別顧問は代表部の外で待ち構える記者団の質問にいっさい答えませんでしたが、イギリスの国連大使は「興味深い議論だった」と述べたうえで、イギリスの立場は変わらないとして占領地の併合を認める和平案を支持しない考えを示しました
  また、ロシアの国連大使も「和平案を真剣に議論するためには、パレスチナ側が受け入れることが必要だ」と述べました。
  一方、ドミニカ共和国の国連大使は「クシュナー氏は国際社会の支持を欲している。この案に対して私は批判されていると話していたが、少なくとも案を出したのだから批判されるべきでない」と述べて一定の理解を示しました。
  来週11日には安保理で、パレスチナ暫定自治政府のアッバス議長が出席して対応を協議する会合が開かれる予定で、トランプ政権の中東和平案に安保理各国が立場を明確に示すのか注目されます。


2020.1.29-NHK NEWS WEB-https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/900/420228.html
「パレスチナ和平と難民支援」(キャッチ!ワールドアイ)

(西海)
特集ワールドアイズです。先ほど、お伝えしたように、アメリカのトランプ大統領が、28日、新たな中東和平案を発表しました。
(藤田)
ただイスラエルによる占領を追認するイスラエル寄りの内容となっていて、パレスチナ側は強く反発しています。
(西海Q1)
きょうは、トランプ大統領の中東和平案と、パレスチナ難民の支援についてお伝えします。スタジオには出川解説委員です。
まず、発表された中東和平案、どう評価しますか。

出川A1)
イスラエル側のこれまでの主張を一方的に認めた内容です。11月の大統領選挙で再選を目指すトランプ大統領の選挙キャンペーンにはなっても、長年にわたるイスラエルとパレスチナの紛争を解決に導くものとはならないでしょう。

とくに、双方が帰属を激しく争ってきた聖地エルサレムについて、「イスラエルの主権下にある首都であり、分割されることはない」と認めました。そのうえで、東エルサレムではなく、イスラエルが建設した分離壁の外側にあるエルサレムの周辺地区をパレスチナ国家の首都にするとしています。
次に、パレスチナ国家を樹立するうえで、最大の障害となるユダヤ人入植地のほとんどをイスラエルに併合する。つまり、イスラエルの主権を認めています。これらの点は、これまでの国連安保理決議やパレスチナ側の主張を、ほぼ無視した内容です。パレスチナ側がこの提案を真剣に検討し、トランプ政権が仲介する和平交渉のテーブルに着くとは思えません。
(藤田Q2)
一方のイスラエルのネタニヤフ首相にとっては、大きな援護射撃となりますね。
(出川A2)
はい。ネタニヤフ首相は、ホワイトハウスでの記者会見で、「トランプ大統領の和平案は、世紀のチャンスであり、イスラエルは、このチャンスを逃さず、取り組んでいきたい」と述べ、和平案を歓迎する意向を示しました。
3月に首相続投をかけた議会選挙に臨むネタニヤフ氏は、この日、収賄や背任の罪で、イスラエルの検察当局に起訴されただけに、トランプ大統領の和平案は、大きな助けとなります。去年4月と9月に行われた議会選挙で、ネタニヤフ首相は、いずれも連立協議に失敗し、3度目の議会選挙は、文字通り政治生命をかけたものとなります。
一方、イスラエルの最大野党のガンツ代表も、今回の発表に合わせてホワイトハウスに招かれました。どちらが首相に就任しても、トランプ大統領の和平案に同意すると考えられます。
(西海Q3)
パレスチナ側は、早速、激しく反発していますね。
(出川A3)
はい。パレスチナ暫定自治政府のアッバス議長は、直ちにテレビ演説を行い、「聖地エルサレムは売り物ではない。トランプ大統領の和平案は、必ず失敗する」と述べ、トランプ大統領とネタニヤフ首相を非難しました。
アッバス議長は、対立関係にあるイスラム原理主義組織「ハマス」のハニーヤ最高幹部と電話会談するなど、ハマスなどとも連帯して、抗議行動を繰り広げる構えです。
先日来日した、アッバス議長の側近、PLO・パレスチナ解放機構のアブホリ難民問題局長は、パレスチナ側の基本方針について、次のように話しています。(PLO・アブホリ難民問題局長)
「われわれは、アメリカとイスラエルに屈服せず、固有の権利は放棄しない。“2国家共存”を支持し、エルサレムと難民の問題では妥協しない」。
イスラエルとパレスチナの和平交渉が頓挫したツケを一番多く払わされているのは、パレスチナ難民です。
(藤田Q4)
それは、どういうことですか。
(出川A4)
トランプ政権は、イスラエルとの交渉に応じようとしないパレスチナの指導部に圧力をかけるため、UNRWA・国連パレスチナ難民救済事業機関への資金拠出を停止しています。アメリカはそれまでUNRWAの予算の3分の1を負担していただけに、UNRWAは、深刻な財政難に追い込まれました。
ガザ地区、ヨルダン川西岸地区、そして、ヨルダン、シリア、レバノンで暮らす、合わせて550万人のパレスチナ難民の暮らしを支える活動に大きな支障が出ています。
日本など他の国からの臨時の資金提供で何とかつないでいるものの、このままでは、UNRWAが運営するおよそ700の学校、140の診療所、そして、食料支援の活動を来年以降も続けることはできません。
(PLO・アブホリ難民問題局長)
「これらの支援が途絶えたら、この地域が混乱し、爆発するおそれがある」。
こうした中、日本のJICA・国際協力機構が3年前から行ってきた、パレスチナ難民への支援が注目されています。(藤田Q5)
どのような支援なのでしょうか。
(出川A5)
「住民参加型」、つまり、難民が自ら計画立案に参加する支援活動となっていることです。「パレスチナ難民キャンプ改善プロジェクト」と呼ばれ、ヨルダン川西岸地区にある24の難民キャンプのうち、3つのキャンプで、住民たちが委員会をつくり、話し合いを重ね、具体的な改善計画を立てます。
従来は、少数の男性のリーダーが、住民の幅広い意見を聞かずに進めていたのとは異なり、このプロジェクトでは、女性、若者、障害者、貧困者など、恩恵を受ける住民の代表が計画づくりに参加し、彼らの要望が直接反映されるしくみです。計画を実行するための費用の計算や資金集めも行います。
こうして実現したのは、たとえば、難民キャンプのホールに、車いす用のスロープを設置したり、公園を整備して、子どもたちが安心して遊べる遊具を設置したり、傷んで危険な道路を補修したりすることです。
(PLO・アブホリ難民問題局長)
「女性や障害者、若者などのグループそれぞれが役割を担っている。当局と住民との間に信頼や一体感が生まれ、人々に希望を与えている」。
パレスチナ当局とJICAは、今後4年間で、新たに12の難民キャンプで、このプロジェクトを展開する計画です。
72年前、イスラエル建国にともなって発生したパレスチナ難民は、その後の戦争と占領で大幅に増大し、子や孫の代となって、増え続けています。ところが、難民問題を解決するはずだった和平交渉は頓挫し、長年のキャンプ生活で、住民の間に絶望感や「あきらめ感」が充満しています。自ら暮らしを良くしようという前向きな気持ちを定着させてゆくことができれば、和平への希望を将来につないでゆくことになります。
(西海Q6)
現在、中東では、イラン情勢やシリアの内戦などにスポットが当たり、パレスチナ問題は、以前ほど、国際社会の関心を集めなくなったとも指摘されます。パレスチナ側は、どんな戦略を立てていますか。
(出川A6)
国際政治という観点からも、パレスチナには逆風が吹いています。イスラエルでは、占領地の返還に反対し、入植活動を推進する右派や極右勢力の優勢が続き、当面は、何度選挙をやっても、パレスチナとの和平に積極的な政権は現れないかもしれません。
和平の仲介役アメリカは、トランプ大統領が、11月の選挙で再選を果たそうと、一段とイスラエル寄りの政策を打ち出そうとしています。しかし、アブホリ局長の発言は、あくまで強気でした。
(PLO・アブホリ難民問題局長)
「トランプが再選されてもされなくても、彼の和平案には屈服しない。われわれは70年間耐えてきたが、さらに70年間耐える覚悟がある」。
国家独立の悲願が達成される日を思い描きながら、国際社会の理解と支援をバックに、何十年先までも耐え忍ぼうという決意が伺えました。日本を含む国際社会は、パレスチナの人々の希望の炎を絶やさないよう、自立を後押しする支援を続けてゆく責任があると感じました。
(出川 展恒 解説委員)








このTopに戻る







monomousu   もの申す
TOPにもどる
最近のニュース