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アメリカと中国-1



2021.06.10-BBC NEWS JAPAN-https://www.bbc.com/japanese/57423311
バイデン氏、トランプ政権の「TikTok禁止」令を撤回

  アメリカのジョー・バイデン大統領は9日、中国の動画共有アプリTikTokとメッセージアプリ微信(​ウィーチャット)の米国内での使用を禁止したドナルド・トランプ前政権の大統領令を取り消すと発表した

  今後はこの大統領令に代わって米商務省が、中国など「外国の敵の管轄下」にある者が設計・開発したアプリを精査していくという。
  バイデン氏はアプリがアメリカに国家安全保障上のリスクをもたらすかどうか、「証拠に基づくアプローチ」を用いて確認する必要があると述べた。
  TikTok側はこの件についてコメントしていない。


2021.06.02-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/article/20210602-2XV4DZ4TJZK4NE6FODYKV5QCQQ/
NBA選手に契約解消促す 米議会、新疆産で中国3社

  【ワシントン=黒瀬悦成】中国の人権状況を監視している米議会の超党派組織中国問題に関する米連邦議会・行政府委員会」(CECC)は1日、米プロバスケットボールNBAの選手らに対し、中国のスポーツ用品メーカー3社が新疆ウイグル自治区産の綿の使用をやめない場合、スポンサー契約を解消するよう要請した。

  CECC議長のマークリー上院議員(民主党)と共同議長のマクガバン下院議員(同)がNBA選手会(NBPA)のポール会長とロバーツ事務局長あてに送った書簡によると、問題の中国メーカーは、「ANTA」「LI―NING」「PEAK」のブランドを展開する3社
  書簡は、自治区の綿はイスラム教徒少数民族のウイグル族らを強制的に働かせて栽培されているとし、米税関・国境警備局が自治区産の製品の輸入を差し止める「違反商品保留命令」を発布した根拠になっていると指摘した。

  その上で、「新疆産の綿は、現地での抑圧の代名詞だ」と断じ、多くの世界的なアパレル企業が自治区で栽培された綿を使うのを停止したにもかかわらず、問題の3社は使用を続け、強制労働に加担している可能性が高いと強調した。
  書簡は「NBPAは選手らに対し、自治区で進行中のジェノサイド(民族大量虐殺)の実態や、自身がスポンサー契約しているブランドに強制労働がどう関わっているかを周知してもらいたい」と訴えた。


2021.05.29-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB291890Z20C21A5000000/
米「中国漁船で強制労働」 操業企業からの輸入禁止へ

  【ワシントン=共同】マヨルカス米国土安全保障長官は28日、中国漁船団で強制労働が行われているとして、国土安全保障省傘下の税関・国境警備局(CBP)が漁船団を操業する水産会社からのマグロなど水産物の輸入を禁止する措置を取ったと発表した。マヨルカス氏によると漁船団の強制労働を対象とした措置は初めて。

  CBPは強制労働が指摘される中国新疆ウイグル自治区産の綿製品を巡り、衣料品店「ユニクロ」の男性用シャツの輸入を差し止めるなど取り締まりを強化している。CBPによると、今回対象となったのは中国・大連市が拠点の「大連遠洋漁業金槍魚釣有限公司」で、ホームページによると同社はマグロを日本の市場でも販売している。
  同社は32隻の漁船を操業。雇われたインドネシア人労働者らは暴力を受けたり、給料の差し止めや借金による束縛を受けたりしていたという。
  マヨルカス氏は電話記者会見で「米国は強制労働によって生み出された商品を容認しない」と強調。今後も強制労働に関する調査を継続し、米国への輸入禁止措置を使い対応する考えを示した。


2021.05.27-朝日新聞 DIGITAL-https://www.asahi.com/articles/ASP5W4WFSP5WUHBI019.html
ウイルス流出説 バイデン氏、追加調査を公にした意図

  新型コロナウイルスの起源をめぐり、バイデン米大統領が26日、中国の研究所から流出した可能性に触れ、情報機関に追加調査を指示したことを明らかにした。
  米大統領が情報機関への指示を公に発表したのは異例の対応といえる。情報機関は常にホワイトハウスと緊密な連携のもとで動いているが、安全保障上、その具体的な指示内容を表にすることはほとんどない。バイデン氏は今回の指示を公表して調査期間を区切ることで、事実解明に向けた強い意思表示をするとともに、中国にも政治的なメッセージを送る狙いがあったとみられる。

  もともと中国の武漢ウイルス研究所を発生源とする見方は、トランプ前政権内で早い段階から主張されてきた。米国内で新型コロナウイルスが急速に拡大してから約1カ月後の2020年4月の記者会見で、トランプ米大統領(当時)は「研究所から発生したという説がある」と述べ、科学者や情報機関が流出説を調査していると明らかにした。
トランプ氏の退陣後も消えず
  トランプ氏とともに流出説を唱えていたポンペオ国務長官(当時)も政権最終盤の1月15日、国務省から「武漢ウイルス研究所の活動」と題した声明を発表。新型コロナウイルスが確認される以前の19年秋、武漢ウイルス研究所の研究員数人が病気にかかり、新型コロナとインフルエンザに似た症状を発症したという情報があることを明らかにし、「米政府は(それを)信じるに足る理由を持っている」と記した。

  ただし、トランプ氏やポンペオ氏らは新型コロナを「中国ウイルス」「武漢ウイルス」と呼び、新型コロナをめぐる政権の失政を中国の責任に転嫁しようという動きを繰り返していたため、流出説はトランプ氏らの政治的動機が色濃く反映されているという見方が強かった。国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長ら公衆衛生専門家や民主党は流出説を懐疑的に見る人々が多かった。

  ところがその後も流出説は続く。トランプ政権で米疾病対策センター(CDC)所長を務めたロバート・レッドフィールド氏は3月の米CNNのインタビューで、研究所がウイルスの起源である可能性が「極めて高い」と語り、「この説を信じない人がいてもかまわない。しかし、最終的に科学によって解明されるだろう」と指摘。CDC前トップの発言だけに、流出説に再び注目が集まった。

  一方、バイデン政権も発足後、新型コロナをめぐる中国の対応に強い不満を募らせていた中国が武漢で新型コロナ感染が拡大し始めた初期段階で各国と情報を共有しなかったことを繰り返し批判。世界保健機関(WHO)は3月、新型コロナの発生源をめぐる調査報告書を発表し「(武漢の)研究所から(ウイルスが)流出した可能性は極めて低い」と結論づけたが、バイデン政権は「中国政府が明らかに報告書の執筆を手助けした」(ブリンケン国務長官)と信頼度が極めて低いと受け止めた。


2021.05.01-産経新聞 THE SANKEI NEWS -https://www.sankei.com/world/news/210501/wor2105010004-n1.html
中国の知財保護「不十分」 米報告書、マスクなど偽造品も批判

  【ワシントン=塩原永久】米通商代表部(USTR)は4月30日、貿易相手による知的財産権保護の状況を分析した報告書を発表した。重大な懸念がある「優先監視国」に中国やインドなど9カ国を指定。中国については、知財保護に向けた抜本的な取り組みが「不十分だ」と批判し、対策強化を求めた。

  米中は昨年2月、「第1段階」貿易協定を発効させた。報告書は、中国が協定に沿って、知財保護関連の法改正や規制強化を進めていると認める一方、関連制度を「効果的に履行」することが重要だと強調。「状況を改善させる根本的な変革には不十分だ」と断じ、一層の対応を求めた。

  新型コロナウイルスの感染拡大にともない、高性能マスク「N95」やコロナ検査キット、消毒剤などの偽造品が、中国から大量に出回ったと分析。世界最大の中国オンライン通販市場で偽造品の問題が悪化していることに懸念を示した

  一方、欧州連合(EU)が、産地名を知財と位置付けて保護する「地理的表示(GI)」制度を強化していることに、「強い懸念」を表明した。GI導入が広がれば、米国の乳製品メーカーが、イタリアの地名に由来する「パルメザンチーズ」の名称を商品に使えなくなるなど、影響が出る。そのため、報告書は、米産品の輸出に「障壁を課す」ものだと問題視した。

  優先監視国は中印のほかにロシア、インドネシア、アルゼンチンなど。優先監視国に次ぐ「監視国」にはメキシコやカナダ、タイ、ベトナム、トルコなど23カ国を指定した。
  報告書は米通商法スペシャル301条(知的財産権の保護条項)を根拠にしてUSTRが毎年春に公表している。


2021.04.15-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN150AT0V10C21A4000000/
米、対テロから中国へシフト アフガン撤収表明

  【ワシントン=中村亮】バイデン米大統領は14日、約20年間に及ぶアフガニスタン戦争を終結させ、駐留米軍を9月11日までに撤収する方針を正式表明した。迷走を重ねて膨大な時間とカネを注ぎ込んだ「テロとの戦い」から、中国への対抗に一段と軸足を移す。
  15日にブリンケン米国務長官がアフガニスタンを訪問し、ガニ大統領に米国の撤収方針を伝えた。AP通信によると、ガニ氏は「米国の決定を尊重する」と応じた。会談で、ブリンケン氏は両国関係は「変化している」とも述べた。
  バイデン氏は14日の演説で、「いま直面する課題に対処する必要がある」と、アフガンからの撤収理由に言及した。テロとの戦いは米国の最重要課題ではなくなったとの認識をにじませた。
  代わりに「ますます自己主張を強める中国」との戦略的競争を課題にあげた。「我々は厳しい競争に対処するため米国の競争力(の向上)を支援すべきだ」と強調した。
  中国の台頭に対処する上で、テロとの戦いは足かせとなってきた。オバマ政権は2011年にイラクからの撤収を実現したが、過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭を招き、14年に再派兵を強いられた。16年のアフガン撤収計画も治安悪化を受けて撤回した。トランプ政権もアフガンやシリアからの完全撤収を訴えたが未完に終わった。

  米ブラウン大は米国が01年以降、テロとの戦いに少なくとも6.4兆ドル(約700兆円)をつぎ込んだと推計する。日本の国家予算のおよそ7年分に相当する。
  アフガン戦争には約2兆ドルを投じたが、迷走を重ねた。01年9月11日の米同時テロを受けてブッシュ政権が軍事介入に踏み切り、ピーク時には一時10万人の米兵が駐留した。11年5月に国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者を殺害したものの、反政府武装勢力タリバンは抵抗を続け、テロの芽は世界に散らばったままだ。

  単純比較は難しいが、インド太平洋軍が今年3月に議会に対してアジア地域での軍事力強化のために要求した予算は今後6年間で273億ドルにとどまる。アフガンからの完全撤収が実現すれば、資金や兵力をアジア太平洋地域に振り分けることができる。
  米軍の立て直しは不可欠だ。対中戦略はテロとの戦いと2つの点で大きく異なる。大規模な戦力を持たないテロ組織に対して、陸軍や海兵隊は制海権の維持を考慮する必要はなかったが、中国に対しては艦船の進軍を制止するため地上配備型の対艦ミサイルの配備などが必要になる。

  もう一つの違いは時間軸だ。対テロ戦では米軍が時間をかけて部隊を準備できたが、中国は先制攻撃を排除せず素早く作戦を完了する戦略を持つとされる。インド太平洋軍の説明では有事の際に米軍が西海岸から西太平洋に部隊を集めるのに約3週間かかり不利だ。
  インド太平洋軍は沖縄からフィリピンを結ぶ「第1列島線」に沿ってミサイル網を築く構想を掲げる。アジアに前方展開する部隊が戦闘序盤に対艦・対空ミサイルを駆使して中国軍に打撃を与え、部隊集結の時間を稼ぐ狙いがある。
  この構想にはフィリピンやインドネシアなどのアジア諸国との協調が前提となる。米国のミサイル部隊を受け入れれば中国の攻撃対象となり、経済で報復を受けるリスクも高まる。対中包囲網の実現にはハードルが高いのも実情だ。


2021.04.12-産経新聞 THE SANKEI NWES-https://www.sankei.com/world/news/210412/wor2104120015-n1.html
「軍事力をカードに」 米台交流強化方針に中国紙反発

【北京=三塚聖平】中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は12日付の社説で、米国務省が発表した台湾当局者との接触制限緩和の新指針に対して挑発だ」と反発し、中国側は「今後、軍事力をカードとして効果的に使う」と強調した。中国は、台湾を核心的利益」と位置付けており、米側の措置への対抗策として、台湾への軍事圧力を強めるとみられる。

  社説は、米国の措置に対し「適切な報復が必要だ」と主張した。中国軍の戦闘機が台湾海峡の中間線を越えて飛行する事態も増えているが、「台湾本島への接近度合いを増やすこともできる」と主張。その上で、台湾上空を飛行することも「十分に準備している」との見方を示した。
  さらに「極端な状況下では」と注釈をつけながらも、「軍事手段を使って台湾問題を解決することが切り札になる」と威圧した。
  軍事以外にも「外交カードや経済カードなどもある」と指摘。台湾と外交関係がある国を断交させることも「難しくはない」と警告した。
  習近平指導部は、バイデン米政権と台湾が接近を強めていることにいらだちを強めている。


2021.04.12-産経新聞 THE NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/210412/wor2104120003-n1.html
中国の台湾侵攻は「重大な間違い」と警告、米国務長官

  【ワシントン=黒瀬悦成】ブリンケン米国務長官は11日、NBCテレビの報道番組に出演し、中国が台湾を軍事侵攻した場合のバイデン政権の対応に関し、「米国には台湾の自衛力確保を明記した台湾関係法に基づく(台湾支援の)重大な責任がある」と述べ、中国に対し「武力で現状の変更を図ることは重大な間違いだ」と警告した。

  ブリンケン氏は「中国が台湾に対して攻撃的な行動を強め、台湾海峡の緊張を高めていることを真に懸念している」とし、米国には台湾支援に加え、「西太平洋の平和と安全保障を維持してく責務がある」と強調した。
  中国が軍事侵攻した場合に米軍が介入するかどうかについては、「仮定の問題には立ち入らない」と述べるにとどめた。
  同氏はまた、中国政府による新疆(しんきょう)ウイグル自治区での人権侵害は「ジェノサイド(民族大量虐殺)」であるとの認識を改めて示した。米企業が中国政府による同自治区などでの人権侵害に加担するような商業活動を行わないようにする一方、同自治区で製造された製品を輸入しないなどの具体的措置を講じていく必要があると訴えた。


2021.04.02-gooニュース(産経新聞)-https://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/asia/sankei-wor2104020022.html
中国、ミャンマー問題でASEAN接近 米欧の「干渉」排除に道筋

  【北京=三塚聖平、シンガポール=森浩】中国の王毅(おう・き)国務委員兼外相は2日までに、訪中したシンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピンの各国外相と相次いで会談し、国軍がクーデターで実権を握ったミャンマー情勢について協議した。中国は、「内政不干渉」を掲げる東南アジア諸国連合(ASEAN)に結束したミャンマー対応を促し、米欧の干渉を排除することに一定の道筋をつけたようだ。

  中国外務省によると、王氏は1日に福建省でマレーシアのヒシャムディン外相と会談。王氏は会談後の記者会見で、ミャンマー情勢の沈静化に向けたASEAN首脳による特別会議の早期開催に支持を表明した。
  王氏は会見で「国際社会は、内政不干渉という国際関係の基本準則の堅持を前提とすべきだ」と強調。その上でミャンマー国軍への制裁を呼びかける米欧を念頭に、「出しゃばって恣意(しい)的に圧力をかけるべきでない」と発言した。
  王氏は2日、インドネシアのルトノ外相とも会談し、両者は「ASEANの枠組みの中でミャンマー各方面が政治解決を追求するように力づけ、ミャンマーへの内政干渉を避ける」ことで一致した。
  中国外務省の華春瑩(か・しゅんえい)報道官は2日の記者会見で「ミャンマー問題で、中国には東南アジア各国と多くの共通認識がある」と強調。一方で、国軍に抗議するデモ参加者が多数殺害されていることについては暴力と流血の衝突は、誰の利益にも合致しない」と述べるにとどめ、関係が強い国軍への批判は避け続けている。

  今回の4カ国外相の訪中は、足並みの乱れが続いてきたASEAN加盟国の側にも、ミャンマー情勢の収束に向けて中国との連携を模索する動きが広がっていることを意味する。
  シンガポールのバラクリシュナン外相は1日、王氏との会談を受け、記者団に「緊張の緩和、暴力の停止などわれわれの願いは中国と共有されている。内政不干渉の原則を尊重すべきであることにも同意した」とコメントした。中国と歩調を合わせる姿勢を鮮明にした形だ。
  ASEANはミャンマー情勢をめぐり、3月2日に特別外相会議を開催したが、踏み込んだ対応は打ち出せなかった。シンガポールやインドネシアが弾圧を重く見て国軍批判を強めても、タイやカンボジアが「内政問題だ」と静観する姿勢を崩さないためだ。

  現在、インドネシアのジョコ大統領が提唱してミャンマー問題を協議する首脳会議開催に向けた調整が進んでおり、月内にも開催される見通しだ。実現すれば、国軍への一定の圧力にはなるが、どこまで実効性を伴うかは未知数だ。
  ASEANは混乱を深めたくないとの思惑から、ミャンマー制裁には否定的だ。制裁を次々と発動して強硬姿勢を鮮明にする米国より、国軍に一定の配慮を示す中国の方が協力を求めやすい相手だといえる。
  中国への過度の接近には、南シナ海問題で中国と対立する加盟国を中心に警戒論がある。ただ、ASEANとして国軍に対して打つ手が乏しい以上、「やむを得ない」(シンガポール外交筋)との見方が強い。
  中国はASEAN各国との関係を強化するため、新型コロナウイルスワクチンを交渉の「カード」として使っている。王氏は、マレーシアやインドネシアとの会談で「ワクチン協力の深化」を相次ぎ表明。経済面でも、地域的な包括的経済連携(RCEP)の早期発効などで協力する姿勢を強調している。


2021.03.24-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210324/wor2103240025-n1.html
米軍、台湾侵攻に深刻な危機感 日本などと対中抑止強化へ

  【ワシントン=黒瀬悦成】米インド太平洋軍の次期司令官に指名されたアキリーノ太平洋艦隊司令官が「中国による台湾侵攻は大多数が考えるより間近だ」とした上院公聴会での証言は、中国の軍事的脅威が高まっていることに対する米軍の深刻な危機感を反映している。米軍は、日本など地域の同盟諸国との連携を強化して対中抑止力の向上を図っていく考えだ。

  アキリーノ氏は、中国による台湾への軍事侵攻はインド太平洋地域における最も危険度の高い懸念だ」と述べた上で、中国がインドとの国境紛争や香港での民主派弾圧、ウイグル問題で「私たちが想定するよりも早期に攻撃的な行動をとってきた」と指摘した。
  台湾に関しても、中国の侵攻の時期については「見方に幅がある」としつつ、切迫感をもって迅速に対応する必要性を強調した。「日付変更線以西で同盟・パートナー諸国と連携して即応部隊を展開することが重要だ」とも訴えた。

  デービッドソン太平洋軍司令官は9日の上院公聴会で、中国が向こう6年以内に台湾に侵攻するとの見通しを示していた。米軍事専門家などの間では、ロシアが2014年2月のソチ五輪が終了した直後にクリミア半島に侵攻したことを例に、中国も来年2月の北京五輪終了後の春に台湾を侵攻する恐れがあるとの見方が出ている

  アキリーノ氏は、この点に関し聞かれると、天候などを勘案すれば軍事的には春が侵攻に「比較的適した天候だ」としつつ、実際に侵攻に踏み切る可能性については言及を避けた。
  米国が軍事戦略的観点から中国による台湾の武力統一を重大視するのは、台湾が海上交通の要衝に位置していることに加え、米国が中国の台湾統一を許せば、日本などインド太平洋地域の同盟諸国からの信頼を失いかねないためだ。


2021.03.20-朝日新聞 DIJITAL-https://www.asahi.com/articles/ASP3N6X2XP3NUHBI012.html
「米国は上から目線」外交トップ会談、荒ぶる中国代表

  バイデン政権下で初めて開かれた米中外交トップ同士の会談は、同盟国と圧力を強める米国と、対等な関係に持ち込もうとする中国の思惑が衝突する展開となった。根本的な課題では双方の溝は深く、国際社会を巻き込む長期的な対立が避けられない情勢だ。(ワシントン=大島隆、北京=冨名腰隆)

  「厳しく、直接的な対話になると予期していたし、実際にそうなった」
  サリバン米大統領補佐官は会談後に記者団にこう語った。また、ブリンケン米国務長官は、米国が問題提起をした
際の中国の反応を「防御的」とした上で「何の驚きもない」と強調した。政権高官の一人は「中国政府は時に、米国の公式見解と水面下でのメッセージは異なると考えがちだ。我々はこれを早めに打ち消し、公での言葉と同じメッセージを直接伝える必要があると考えた」と説明する。

  政権の立ち位置を明確にする意味で、米側は会談で目的を達した形だ。会談に向けたバイデン政権の準備も、そのまま政権の対中戦略を映し出している。米中会談に先立ち、初の日米豪印首脳協議を開いたほか、ブリンケン氏を日韓に、オースティン国防長官を日韓印にそれぞれ派遣。特に日本とは、中国を名指しで批判する共同声明を発表し、対中での連携をアピールした。これらはすべて、アジアでの同盟関係を再構築し「強い立場」で米中会談に臨むためだった。

  一方で、一連の会談からは米国のこれからの課題も浮かび上がった。
  日本とは対照的に、中国との関係にも配慮する韓国との共同声明には、中国に関する言及が一切なかったインドも国境問題などを抱えつつも、対中包囲網づくりとは一定の距離を置く。中国側の楊潔篪(ヤンチエチー)共産党政治局員も米中会談の冒頭で「日韓は中国の第2、第3の貿易相手国で、ASEANは今や最大の貿易相手国だ」と経済的な結びつきを誇示して牽制(けんせい)した。

  もう一つの課題は、中国に対する強い立場を確保するためにも不可欠と位置づけている、国内経済や民主主義社会の立て直しだ。
  バイデン政権は対中関係を優位な立場から進めるためにも、まずは国内の再建を急ぐ。サリバン氏は会談前、政権の経済対策や新型コロナワクチン接種の進展などを挙げ「政権のこれまでの取り組みを踏まえ、強い立場で中国との会談にのぞむ」と話していた。

  しかし楊氏は会談で、中国の貧困層の減少や新型コロナ対策での成果を強調したうえで、米大統領選挙をめぐる混乱や黒人暴行死事件を念頭に「多くの米国人が自国の民主主義を信頼していない」「米国は自国の人権問題にもっと取り組むべきだ」などと挑発的な発言を繰り返した。米側はブリンケン氏が「我々も完璧ではないが、問題を隠しはしない」と反論する場面もあった。
  「民主主義が攻撃にさらされている」と危機を訴えるバイデン大統領は、世界全体だけでなく自国の民主主義の再生にも取り組むとしている。ただ、安定した民主主義社会の基盤となる中間層の再構築や、社会の分断の解消は、一朝一夕には解決できない長期課題だ。バイデン政権は国内政策と外交政策を一体で進める方針を示しており、今後の対中国での通商や先端技術に関する政策でも、国内の立て直しに直結する政策を推進する構えだ。

  アキリーノ氏は、仮に中国軍が台湾に基地を前進配置させた場合、軍事的な影響範囲が拡大し、「フィリピンを含む同盟・パートナー諸国を脅かし、地域全体に挑戦を仕掛けてくるようになる」と警告した。
  一方、中国の海軍力が「このままでは米軍を上回る」(デービッドソン氏)と指摘されていることに関しては「米海軍は地球上で最も強力だ」と指摘した上で、中国への対抗に向け、現行の296隻体制を51年までに405隻体制にする昨年末公表の新建艦計画を支持する立場を示した。


2021.03.20-REUTERS COM-https://jp.reuters.com/article/tesla-china-idJPKBN2BB2F6
中国軍がテスラ車使用制限、安全保障理由に 米に対抗か=関係者

  [19日 ロイター] - 中国軍当局は、米電気自動車(EV)大手テスラの車両に搭載されるカメラを巡るセキュリティー上の懸念を理由に、軍集合住宅への車両乗り入れを禁止した。関係者2人が明らかにした。

  米国との緊張が高まる中、中国はテスラに対する監視を強めており、米国が国家安全保障を理由に中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)に行っている措置と同様のものだとアナリストは指摘している。
  軍当局の指示は、テスラ車を所有する関係者に対して、軍の敷地外に車両を駐車するように通達し、今週通知されたという。
  最初に報じた米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、中国政府が軍、機密産業の国有企業、主要機関の職員によるテスラ車使用を制限していると伝えた。
  テスラ株は、19日の取引でに一時2%近く下落したが、その後プラス圏に戻した。
  テスラは2019年、上海に初の海外工場を建設。昨年は中国で14万7445台を販売し、総販売台数の30%を占めた。一方、中国国内では地元メーカーとの競争が激化している。


2021.03.20-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210320/wor2103200009-n1.html
米中、主要議題は物別れ 外交トップ初会談終わる

  【ワシントン=黒瀬悦成】米アラスカ州で行われた米中外交トップのブリンケン国務長官と中国の楊潔 共産党政治局員らによる会談は19日、予定された2日間の日程を終えて終了した。ブリンケン氏は「中国の行動に対して米国と同盟諸国が抱く重大な懸念を伝達した」と強調。一方、会談に参加した中国の王毅国務委員兼外相は「中国の主権を守る決意を侮るなと伝えた」としており、中国による人権弾圧や経済的威圧といった主要議題に関する米中の主張はすれ違いに終わったとみられる。
  米中の外交トップによる直接会談は初めて。会談の結果を踏まえた共同声明は発表されなかった。
  ブリンケン氏は記者団に対し、会談では新疆ウイグル自治区やチベット自治区での人権侵害や香港での民主派弾圧、台湾情勢や中国による対米サイバー攻撃など根本的に対立する分野」に関し、「明確かつ直接的に問題提起したところ、むきになって反論してきた」と述べた。
  また、イランや北朝鮮の核問題、アフガニスタン情勢、気候変動問題では米中の利害が交差した」と語り、これらの分野で協力に向けた可能性を模索することを明らかにした。

  中国がトランプ前政権下で発動された制裁関税の緩和など経済・貿易関係の改善を求めていることに関しては、「議会や同盟諸国と緊密に協議していることを伝えた」とし、いかなる措置をとるにせよ「米国の労働者と産業の利益を全面的に保護し増進させる方策をとる」と強調した。
  一方、中国国営テレビCGTNによると楊氏は会談後、記者団に「会談は率直かつ建設的で有益だった」としつつ、「米中関係を健全かつ安定的に前進させるには『紛争回避』の政策をとるべきだ」とし、米国の対中圧力を牽制した。


2021.03.20-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN19DYW0Z10C21A3000000/
台湾・香港問題で平行線、米中協議 2日間の日程終了

  ワシントン=永沢毅、北京=羽田野主】ブリンケン米国務長官と中国の外交担当トップ、楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員は19日、アラスカ州アンカレジでの2日間の協議を終えた。ブリンケン氏は新疆ウイグルや香港、台湾で懸念を伝えたことを明らかにした。楊氏は「核心的利益だ」と反発し、議論は平行線に終わった。

  2日目の協議は現地時間19日午前(日本時間20日未明)に開き、ブリンケン氏は終了後、内容を記者団に説明した。ウイグルや香港、チベット、台湾、サイバー問題について取り上げ、中国側から「想定通りの反論があった」と語った。

  中国国営の新華社通信によると、楊氏は台湾問題を巡りいかなる妥協の余地もない」と強調した。米国による台湾への武器売却や米政府関係者の台湾訪問を直ちにやめるよう要求し、「中国の限界線を突破しようと試すのはやめよ」と訴えた。
  中国側の発表によると「米国は(中国大陸と台湾は一つの国とする)一つの中国の原則を重ねて表明した」と指摘した。香港問題を巡っても楊氏は「選挙制度をいかによくするかは中国の内政だ。外国に干渉する権利はない」と主張した。米国の制裁も撤回するよう求めた。

  一方、ブリンケン氏は北朝鮮やイラン、アフガニスタン、気候変動問題では「利益を共有する点がある」と述べ、接点がある可能性を示唆した。中国側も協調する姿勢をみせた。中国側は米中で気候変動に関するワーキンググループを立ち上げることで一致したと伝え、今回の協議で唯一の合意点だったとみられる。
  経済、貿易、ハイテクを巡る課題に関しては「米議会や同盟国、友好国と緊密に相談しながら検証しているところだ」と中国側に伝えたことを明らかにした。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は今回の協議を踏まえて「同盟国、友好国と協議を続ける」と強調した。
  中国側は「中米双方がハイレベル戦略を巡る意思疎通を続けることを希望している」と発表し、対話の継続に期待を示した。ただ具体的な日程や今後の頻度などには触れていない。
  日本が重視する沖縄県・尖閣諸島周辺への中国公船の領海侵入が提起されたかどうかは明らかになっていない。初日の18日は冒頭発言が1時間超に及び、報道陣を前に人権問題などで応酬を繰り広げる異例の展開となった。バイデン大統領はホワイトハウスで記者団に「国務長官をとても誇りに思う」とブリンケン氏の初日の対応を評価した。
  中国は対米関係の安定をめざし、米中対立の緩和への糸口を探っている。ただ楊氏は18日の協議でウイグルや台湾問題などを「内政干渉」だとして米国の要求を拒絶、黒人差別などを引き合いに米国の民主主義にこそ問題があると指摘した。中国共産党の創立100年など重要な政治イベントを前に、少なくとも表向きは米国に譲歩するような姿勢はみせられないと判断しているとみられる。
  バイデン政権で米中高官による直接協議は初めてで、中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相も同席した。


2021.02.11-NHKNEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210211/k10012860971000.html
米中首脳が初の電話会談 バイデン大統領は中国側に懸念表明

  アメリカのバイデン大統領は、就任後初めて中国の習近平国家主席と電話で会談し、中国が台湾などに対し独断的な行為を強めているとして懸念を表明しました。これに対し、習主席は両国の関係改善を呼びかけた一方で、台湾などの問題は中国の内政だとしてアメリカをけん制しました。

  ホワイトハウスは10日夜、日本時間の11日午前、バイデン大統領が中国の習近平国家主席と電話会談を行ったと発表しました。
  それによりますと、バイデン大統領は「中国の経済面での威圧的で不公正な行いや、香港への統制強化、新疆ウイグル自治区での人権侵害、それに台湾への対応など地域で独断的な行為を強めていることに懸念を表明した」としています。

  一方、中国外務省によりますと、習主席は会談の中で「両国の協力が唯一の正しい選択だ」として、トランプ前政権で悪化した両国の関係改善を呼びかけ、外交や経済、軍事などを話し合う新たな対話メカニズムの構築を提案したということです。
  しかし、習主席はバイデン大統領が示した懸念に対しては「台湾、香港、新疆ウイグル自治区などの問題は中国の内政であり、主権と領土の保全に関わるアメリカは中国の核心的利益を尊重し、慎重に行動すべきだ」として、けん制しました。
  両首脳は今回の会談で関係改善に向けた糸口を探ったものの、台湾や香港などの問題をめぐっては両国の立場の違いが改めて鮮明になりました。
中国国営メディア 速報で伝える
  これまでのところ、中国政府から公式な発表はありませんが、国営の中国中央テレビは、習近平国家主席が11日、アメリカのバイデン大統領と電話会談を行ったと速報で伝えました。
  両首脳は米中の2国間の関係や重大な国際問題、地域の問題について意見を交わしたとしています。

米大統領 電話会談後ツイッター「米の利益になる場合には協力」
  アメリカのバイデン大統領は、中国の習近平国家主席との電話会談のあと、自身のツイッターに「中国の不公正な経済慣行や人権侵害、それに、台湾への威圧について懸念を伝えた。アメリカ国民の利益になる場合には中国と協力すると話した」などと投稿し、中国への厳しい対応は継続しつつ、相互利益も模索する姿勢を示しました。


2021.02.08-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/210208/mcb2102081142010-n1.htm
バイデン米大統領、中国とは「厳しい競争」強調 「賢く手ごわい」と習氏評

  【ワシントン=黒瀬悦成】バイデン米大統領は7日放映のCBSテレビのインタビューで「中国とは紛争を起こす必要はないが、厳しい競争を展開することになる」と述べ、中国に対して厳しい姿勢で臨んでいくと改めて表明した。

  バイデン氏は中国への対応で「トランプ(前大統領)のような方法はとらない」と述べ、米国独自の判断で中国と取引を行う手法を排し、「国際ルールに焦点を当てて取り組んでいく」とした。

  7日までに実現していない中国の習近平国家主席との電話会談については「これまで機会がなかったが、電話をかけない理由はない。話すべき話題はたくさんある」と語った。
   習氏との関係では「彼をよく知っている。(オバマ政権の)副大統領だったときに計約25時間も個人的に話している。他国のどの首脳よりも習氏と多く会っているそうだ」とした。
   また、習氏は賢く手ごわいとしつつ、習氏の強権的な政治手法を念頭に「彼自身は民主主義的な性質は持ち合わせていない」と評した。
   一方、イラン核合意に米国が復帰するには、イランが核合意で容認された量を超えたウラン濃縮の停止に応じることが前提条件になると語った。


2021.02.04-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210204/k10012849981000.html
米駆逐艦の台湾海峡通過が明らかに バイデン政権発足後初

  アメリカ海軍の駆逐艦が4日、台湾海峡を通過しました。アメリカの軍艦による台湾海峡の通過が明らかになるのはバイデン政権の発足後初めてで、軍事専門家は「台湾との関係を強化してきたトランプ前政権の姿勢を基本的に踏襲することを示し、中国をけん制するねらいがある」と指摘しています。
  アメリカ海軍の第7艦隊は4日、駆逐艦「ジョン・マケイン」が台湾海峡を通過したと発表しました。第7艦隊は「国際法にのっとった航行であり、自由で開かれたインド太平洋に関与する姿勢を示すものだ」としています。
  台湾の国防部もこれを確認し、「アメリカの軍艦1隻が台湾海峡を北から南に向かって通過した。一般の航行任務だ」としています。
  台湾との関係強化を進めたトランプ前政権のもとでは、アメリカの軍艦が台湾海峡を通過する頻度も上がり、去年は13回通過したことが明らかになっていますが、バイデン政権の発足後に通過が明らかになるのは、今回が初めてです。
  台湾の軍事専門家は「バイデン政権もトランプ前政権の姿勢を基本的に踏襲することを示すことで、台湾や周辺諸国を安心させ、中国をけん制するねらいがある」と指摘しています。
中国「米に建設的な役割望む」
  これについて中国外務省の汪文斌報道官は4日の記者会見で「中国はアメリカの軍艦が台湾海峡を通過したことを注視し、すべての経過を把握している。中国は引き続き高度な警戒を保ち、あらゆる脅威や挑発に対応し、断固として国家の主権と領土を守る。アメリカには地域の平和と安定のために建設的な役割を果たすことを望む」と述べ、アメリカの動きをけん制しました。


2021.02.01-Yahoo!Japanニュース(Japan News-depht)-https://news.yahoo.co.jp/articles/51dc0ca52c7fa5d1f442a76dd8a667f0b7ea1fa6
バイデン大統領「中国ウイルス」呼称禁止

  アメリカのジョセフ・バイデン新大統領は中国の武漢で発生した新型コロナウイルスを「中国ウイルス」、あるいは「武漢ウイルス」と呼んではならないとする大統領令を出した。このウイルスを発生地名で呼ぶことは中国系などのアジア系アメリカ人への差別や憎悪を生む、という理由からだという。
  だがアメリカ国内では中国の習近平政権の同ウイルス感染拡大の隠蔽工作への非難が強く、国際保健機関(WHO)の調査団がちょうどいま武漢での現地調査を始めた段階であり、バイデン大統領のコロナウイルスと中国との切り離しに近いこの措置はすでに激しい反対論をも招くにいたった。

   バイデン大統領はトランプ政権の政策を逆転させる新政策を議会の承認の不要な大統領令によってつぎつぎに打ち出し始めた。1月26日にはコロナウイルス大感染の結果、中国発のウイルスのアメリカでの蔓延が中国系などアジア系米人、さらにはアメリカ領の太平洋諸島民に対する不当な偏見や差別を生んでいるという前提からその種の差別を非難する大統領令を発布した。
  同命令はアジア系市民らに対するコロナウイルスを契機とする「人種差別、外国人嫌い、非寛容を糾弾する」と述べていた。 ニューヨーク市などでは中国の武漢で発生したコロナウイルスの大感染に対して、アジア系アメリカ人を中国に重ねて非難するという不当な差別事例が報告されていたことを受けての措置だとされている。
  バイデン大統領はその大統領令の一部として新型コロナウイルスの呼称に関する覚書を発表した。以下のような内容だった。
   「コロナウイルス感染症に関してその起源の地理的な場所への言及を含む政治指導者の言動がこの種の外国人嫌いの感情を広める役割を果たしたことを連邦政府は認めねばならない。その種の言動がアジア系アメリカ人らへの根拠のない恐怖を煽り、言われのない汚名を広めて、いじめや嫌がらせ、憎悪犯罪を増加させたのだ」
  以上の大統領覚書の結果、連邦政府各省庁の公式文書では「中国ウイルス」「武漢ウイルス」という表現はすべて使用禁止となる。コロナウイルスをその起源の地理的な場所によって言及するということは、明白に「中国ウイルス」とか「武漢ウイルス」という呼称を使うことを指していたからだ。

  バイデン大統領の覚書にある「政治指導者」とは実名こそあげていないが、トランプ大統領やトランプ政権の高官であることは明らかだった。トランプ大統領はアメリカでのコロナ拡大が激しくなった2020年3月ごろから公式の記者会見でも「中国ウイルス」とか「武漢ウイルス」という言葉を使うようになった。ホワイトハウスの会見でも当初、用意された発表文草案の「コロナウイルス」という用語をあえて「コロナ」という部分を消して、「中国」という言葉に入れ替えた記録も残っている。

  しかし国際的となった感染症の名称にその発生源の地名、国名を使うという慣行はこれまできわめて一般的だったともいえる。たとえば「スペイン風邪」「日本脳炎」「エボラ熱」「中東呼吸器症」などである。

  バイデン大統領のこの措置に対して保守系の政治評論家ベン・ワインガルテン氏はニュース雑誌のニュースウィーク1月29日号への寄稿で激しい反対を表明した。「バイデン氏の『中国ウイルス』呼称禁止は国家安全保障への脅威の予兆だ」という見出しのこの論文は、国際的な感染症、流行病をその発生源の地名、国名で呼ぶことはすでに確立された慣行だと述べ、そもそも「中国」という国名は人種や民族を指していないから、人種差別、民族差別の理由にはならないと、主張していた。
   ワインガルテン氏の同論文はさらに、中国発の新型コロナウイルスの場合、とくに中国政府の当初の情報の隠蔽や虚偽の情報拡散が国際的な感染を増大したという責任を明確にするうえでも、「中国」という呼称の使用は重要だと強調していた。同論文はさらにバイデン政権のこの措置は中国政府を最も喜ばせると指摘して、同政権がこんごトランプ政権のとった対中強硬政策をつぎつぎに撤回していくだろうとの予測をも打ち出していた。バイデン政権のこうした対中融和の姿勢はアメリカの国家安全保障にとっての脅威になる、という主張でもあった。 もしそうなれば、日本にも重大な余波が押し寄せることとなろう。



2020.12.31-Yahoo!Japanニュース-https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20150611-00046571/
21世紀は中国の世紀になる?・・・(木村正人)

購買力平価ベースのGDPでは米国を追い抜いた中国
 オバマ米政権にアジア政策を提言している米民主党系知日派の重鎮、ハーバード大学のジョセフ・ナイ特別功労教授(78)が「米国の世紀は終わったのか?」と題して英大学ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスや英王立国際問題研究所(チャタムハウス)で講演した。
 国際通貨基金(IMF)の統計によると、購買力平価(PPP)で見た国内総生産(GDP)で中国は昨年、米国を追い越して世界ナンバーワンになった。英紙フィナンシャル・タイムズは、21世紀は中国の世紀になるとばかりに「大きなターニングポイント」と強調した。

 PPPはそれぞれの国の生活水準を比べる時に便利かもしれないが、貿易はその時々の為替相場に基づいて行われる。実際のGDP比較では米中経済の間にはまだ開きがある。とは言え、PPPベースのGDPで米中が逆転したことは米国に大きな衝撃を与えた。
 歴史的なトレンドを見ると、中国と米国のGDPがいずれ逆転するのは避けられそうにない。しかしナイ教授は(1)経済(2)軍事力(3)ソフト・パワー(社会の価値観、文化的な存在感、政治体制などが持つ影響力)による国力で比較すると、少なくとも今後20~30年は米国の世紀は続くという。
米国の衰退恐怖症

 1941年2月、米グラフ雑誌ライフの社説は「さあ、これから米国の偉大な世紀を築こう」と米国民に呼びかけた。1872年に英国経済を追い越した米国は二つの大戦を経て、米国の世紀を築いた。1950年、世界経済に占める米国のGDPは27.3%に達した。
 ナイ教授は、米国は常に「衰退恐怖症」にとりつかれていると指摘する。ソ連が人類初の人工衛星を打ち上げた1957年のスプートニク・ショック。ジャパン・アズ・ナンバーワンを恐れた80年代。そして2008年の世界金融危機。

 米国は英国支配から逃れるため共和国をつくったように「衰退恐怖症」をバネに国家をモデルチェンジしてきた。その結果、ライバルはことごとく米国の前に敗れ去った。18世紀後半の独立戦争で敗れた英国。第二次大戦で無条件降伏したドイツと日本。91年12月のソ連崩壊。91~93年、日本のバブル経済崩壊。
 しかし中国は米国を追い抜いて真の世界ナンバーワンになるパワーと可能性を秘めている。
 一方、米国はアフガニスタン、イラク戦争で疲弊し、米連邦議会は民主党と共和党の対立で停滞。ロシアのプーチン大統領はウクライナ危機を引き起こし、中国は南シナ海や東シナ海で米国の同盟国を揺さぶる。シリアとイラクで力をつける過激派組織「イスラム国」は世界各地にネットワークを広げている。
「中国はすでに米国を追い抜いている」
 米シンクタンク、ピュー・リサーチ・センターが昨年2~3月に米国内で行った世論調査では、「米国は世界ナンバーワン」と回答する割合は11年の38%から28%に急落。「米国は大国の一つ」と答える割合は53%から58%に増えた。

  昨年4月に「中国は米国を追い抜く、または、すでに追い抜いている?」と世界各地でアンケートをとったところ、欧州60%、中東52%、南米50%、アフリカ43%、アジア42%とすべての地域で「追い抜いている」が「追い抜いていない」を上回っていた。

それでも米国の経済的優位は揺るがない
 ナイ教授は新著『米国の世紀は終わったのか?』の中で、米国衰退論に対して丁寧に反論を試みている。米国は衰退していると世界が思い込めば、それだけ中国とロシアの増長を許すことになるという懸念がナイ教授にも米国にもある。
 ナイ教授は著書で、国際企業トップ500社の46%は米国人が所有し、25の世界ブランドのうち19が米国のものだと指摘する。シェール革命で中東への石油依存度は下がり、米国は2030年までにエネルギー純輸出国に転じる。これに対して中国は中東への石油依存度を強めているのに、シーレーン(海上交通路)の安全保障にコミットする能力をまだ獲得していない
 21世紀のカギを握る技術であるバイオテクノロジー、ナノテクノロジー、ICT(情報通信技術)で米国は先頭を走っている。中国の生産年齢人口はピークを過ぎているが、米国は移民に支えられ生産年齢人口は着実に増えている。
 中国の経済成長率は二桁から7%に下がったが、ローレンス・サマーズ元米財務長官は今後20年間の中国の平均成長率は3.9%と予測している。中国の輸出にはiPhoneも含まれているが、部品を組み立てているだけでほとんど付加価値を加えていない。
 中国経済が米国を「量」で追い越しても、「質」では米国は優位を保ち続けるというのがナイ教授の主張だ。
中国のソフトパワーは国家主導
 米国の国防費は中国の3倍近く、英国防省の予測によると2045年にはまだ米国は中国を上回っている。南シナ海や東シナ海で傍若無人に振る舞うことはできても、世界の安全保障にコミットしていく能力は中国にはない
 米国は東と西を大西洋と太平洋に囲まれているのに対し、中国は14カ国と国境を接し、近隣諸国と多くの領有権争いを抱えている。インド、ロシアなどの大国、日本や韓国のような米国の同盟国が周囲を取り囲む。
 ソフトパワーでは、中国は影響力を拡大している。中国は中国語や中国文化の教育・宣伝機関である孔子学院について2020年までに世界1千校に広げる計画だ。中国中央電視台(CCTV)も外国語放送を増やしている。
 海と陸のシルクロード構想と一体のアジアインフラ投資銀行(AIIB)には、英仏独など北大西洋条約機構(NATO)加盟国や中国と激しく領有権を争うフィリピン、ベトナムなども含め57カ国が参加した。
 中国のソフトパワーは国家に後押しされているのに対し、米国のそれは大学や大衆文化、民間財団など市民社会に支えらている。中国のような「政府のプロパガンダが信用されるのはまれだ」(ナイ教授)。
中国の人口13億人、米国は70億人を活用できる
 ナイ教授が「シンガポール建国の父」リー・クアンユー元首相に生前、米中の未来について尋ねたところ、「中国の人口は13億人だが、米国は70億人の才能を活用できる」という答えが返ってきた。米国ではハイテク起業の25%が移民によるもので、米誌フォーチュンの全米上位500社の40%が移民やその子供たちによって創業されている。
 中国が南シナ海や東シナ海で強引に振る舞えば、いくら孔子学院をつくっても近隣諸国の人心を遠ざけてしまう。21世紀は国境を超えたネットワーク力が大きなカギを握る。中国が大国として振る舞えば振る舞うほど、ネットワークの制約は大きくなる。
 一方、中国も現在、第一次大戦から第二次大戦にかけてのドイツ外交を徹底的に研究している。高圧的に突き進めば軍事的な衝突を招き、崩壊するリスクが増す。中国がGDPで米国を追い抜くまでにはまだ時間がある。軍事力となると30~40年先の話だ。
 地球温暖化や国際テロ、サイバー犯罪、パンデミック(感染症の世界的流行)など、米中が協力して取り組まなければならない課題は山積している。「米国の衰退は相対的なものであって、絶対的なものではない。中国の平和的な台頭を管理していく時間は十分にある」とナイ教授はいう。


2020.12.31-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/201231/wor2012310001-n1.html
中国の世紀にはならない 日米欧の知が世界の針路を語る

  令和2(2020)年、新型コロナウイルス禍が混沌(こんとん)に陥れた世界はこの先、どこへ向かうのだろうか。産経新聞はフランスの経済学者で欧州を代表する知識人のジャック・アタリ氏(77)と戦略論研究で世界的権威の米歴史学者、エドワード・ルトワック氏(78)、国際政治学者の細谷雄一氏(49)によるオンライン鼎談(ていだん)を開催し、世界と日本がとるべき針路を語ってもらった。3氏は、民主主義を守るためにも、加速する変革に積極的に対応していく姿勢が必要だと説いた。

  鼎談は7日に行われ、産経新聞の井口文彦執行役員兼東京編集局長が司会を務めた。アタリ、ルトワック、細谷の3氏は5月に、コロナ禍の影響を識者が語る連載「コロナ 知は語る」にも登場している。
   コロナ禍は現代の社会や経済など各分野で従来の価値観を揺さぶり、そのあり方に変革を迫る。3氏はこれに対し、人々の生活がコロナ禍以前の状態に戻ることはなく、また、戻ろうと考えるべきでもないとの認識で一致した。
   アタリ氏はその上で、医療や教育など「命」にかかわる分野を重視した経済・社会構造への転換を求め、「次の脅威に備える」よう訴えた。ルトワック氏は技術革新の加速に対し、「私たちはコントロールする術(すべ)を理解できていない」と警鐘を鳴らし、グーグルなど「GAFA(ガーファ)」と呼ばれる米IT大手4社による市場独占への対処など、政治レベルによる技術革新の管理を求めた。細谷氏は「アフターコロナに早く慣れた人や国が世界をリードする」と述べた。

 一方、国際社会ではいち早くウイルスを封じ込めた独裁体制の中国が、民主主義国家に対する「優位性」に自信を深め、米国主導の国際秩序への対抗姿勢と覇権奪取への意欲を鮮明にする。だが、3氏は民主主義の衰退と中国の覇権確立の可能性を明確に否定した。
  アタリ氏は独裁体制に付随する隠蔽(いんぺい)体質が感染拡大を招いたのであり、中国は封じ込めの成功例ではないと指摘。「中国は世界のリーダーになろうとするが、成功しない」と述べた。
  ルトワック氏は「民主主義国家はいつも弱く見えるが、歴史的に勝利を収めてきた」と語り、その理由について、独裁体制にはない自浄能力で「過ちを正してきたからだ」と強調した。
  細谷氏は「21世紀の形」が「2021年からの10年間で決まる」とする一方、「『中国の世紀』になるとは思っていない」と述べ、日米と欧州、インドを中心に民主主義国家が連携を深めれば、「民主主義は世界の中心的な流れであり続ける」と予測した。


2020.12.29-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/201229/wor2012290024-n1.html
バイデン氏、演説で「対中国で同盟国と連携」強調

  バイデン氏は、同盟諸国との結束を強化すれば「米国の立場は一層強固になる」と強調米中間の懸案として、インド太平洋地域の安全と繁栄の確保、米国の労働者や知的財産の保護などを挙げた。
  ロシア政府傘下のハッカー集団が実行したと疑われている米政府などへの大規模なサイバー侵入問題では、「新たな領域で高まる脅威への守りを固めなければならない」と語った。
  バイデン氏は一方、政権移行手続きについてトランプ政権から満足できる協力がなく、「安全保障分野での重要な情報が得られていない」と不満を表明した。特に、国防総省と行政管理予算局(OMB)でトランプ大統領に政治任用された高官による引き継ぎの妨害が目立つと指摘し、「これは責任放棄にほかならない」と非難した。
  バイデン氏はまた、政権移行チームは全世界に展開する米軍の態勢や活動、国防総省の予算計画などについても説明を受ける必要があるとしたほか、ロシアによるとみられるサイバー攻撃に関連し、「政権移行期に敵に隙を与えてはならない」と強調した。
  これに対し、ミラー国防長官代行は28日の声明で「国防当局者たちは高い職業意識で引き継ぎ作業を遂行している」と反論した。


2020.12.19-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/201219/wor2012190013-n1.html
米、中国ドローン最大手に禁輸 監視活動で人権侵害

  【ワシントン=塩原永久】米商務省は18日、小型無人機(ドローン)世界最大手の中国企業「DJI」を輸出禁止措置の対象に指定したと発表した。中国内外で大規模な人権抑圧につながる監視活動に使われていると判断。中国が国家戦略として重視する半導体メーカーなどとともに禁輸対象リストに加え、「悪意ある目的」(ポンペオ米国務長官)に米国技術が用いられるのを阻止する。
  同省は18日、中国の約60法人・個人を含む計77法人・個人を、輸出禁止対象となる「エンティティー・リスト」に指定した。
  製品が中国の軍事力強化に役立っているとして、中国半導体受託製造大手「中芯国際集成電路製造(SMIC)」もリストに指定。回路線幅10ナノメートル以下の最先端半導体製造に必要とする製品のSMICへの供給を例外なく禁止した。中国政府が進めるハイテク振興策を妨げる狙いとみられる。
  DJIは世界シェアが7割前後で、日系の関連部品メーカーが禁輸措置の影響を受ける可能性がある。
  トランプ米政権は新疆ウイグル自治区などでの抑圧行為を問題視している。当局による監視活動に利用されているとみるドローン企業に加えて、遺伝子情報の収集・解析に関係する医療用材料企業など、計4社を今回、禁輸リストに指定した。


2020.12.08-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201208/k10012751701000.html
米トランプ政権 中国全人代の幹部14人に制裁 香港の議員問題で

  アメリカのトランプ政権は、香港の議員の資格を失わせる基準を決め、自治を損なったなどとして中国の全人代=全国人民代表大会の常務委員会の幹部14人に対して、資産凍結などの制裁を科すと発表し、中国への圧力を一層強めています。
  中国の全人代=全国人民代表大会の常務委員会は先月、香港の議会にあたる立法会の議員について、中国の安全に危害を加えるなどした場合は議員資格を失うとする基準を決め民主派議員4人が資格を失効させられました。
  これについてアメリカのトランプ政権は、7日、全人代常務委員会の王晨副委員長ら14人の副委員長に対し、香港の自治を損なったとして制裁を科すと発表しました。
  14人は家族も含めてアメリカへの渡航が禁止されるほか、アメリカ国内の資産が凍結され、アメリカ人との取り引きも禁止されます。
  ポンペイオ国務長官は声明を発表し、「中国が国際的な約束を完全に無視していることを表す恥知らずな行為であり、責任を取らせる」と非難し、香港の自治を損なわないよう、改めて求めました。
  トランプ政権は、先週も中国共産党員と家族に発給するビザの期間を大幅に短くすると発表するなど、大統領選挙のあとも中国への圧力を一層強めています。
中国 米の制裁に反発
  これについて、中国外務省の華春瑩報道官はアメリカ側の発表に先立って、7日の記者会見で「香港の事柄は中国の内政であり、いかなる国もとやかく言ったり、干渉したりする権利はない。アメリカには、中国の内政への干渉をやめるよう求める」と述べ、反発しました。
  そのうえで、「アメリカが独断専行するのであれば、中国は必ず、断固、対抗措置をとる」と強調しました。
中国外務省 米臨時代理大使を緊急に呼び抗議
  中国外務省の鄭沢光次官は、北京に駐在するアメリカ大使館のロバート・フォーデン臨時代理大使を緊急に呼び出して抗議しました。
  中国外務省によりますと、この中で鄭次官は「アメリカの行為は中国の内政に著しく干渉して両国関係を破壊するものであり、中国は強い憤りを示すとともに厳しく非難する」として強く反発しました。
  そのうえで「中国政府が外部勢力による香港への干渉に反対する決意は揺らぐことはなく、アメリカは直ちに決定を撤回し、香港に手出しすることをやめるよう忠告する」として、対応しだいで報復措置をとる考えを示唆しました。


2020.12.04-dmenu ニュース-http://topics.smt.docomo.ne.jp/article/bloomberg/business/bloomberg-QKS97ODWX2PT01?fm=latestnews
米国防総省、中国企業のブラックリストにCNOOCなど4社追加

  (ブルームバーグ): 米国防総省中国人民解放軍が保有または統制している中国企業のリストを拡大し、新たに4企業を追加した。対象企業は米当局による精査が厳しくなり、制裁を受ける可能性もある。米政権移行期間中における米中両国の対立が続いている
  国防総省によると、追加された企業は中国海洋石油(CNOOC)と中芯国際集成電路製造(SMIC)、中建科工集団、中国国際工程諮詢の4社
  トランプ政権は今年、人民解放軍とつながりのある中国企業31社を米政権として初めてリストアップした。これら企業には華為技術(ファーウェイ)や杭州海康威視数字技術のほか、多くの国有企業が含まれる。
  米国防総省は声明で今回の措置について「中国の軍と民間の融合発展戦略を浮かび上がらせ、これを阻止するために決定した」などと説明した。
(©2020 Bloomberg L.P.)


2020.12.04-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/201204/wor2012040007-n1.html
米、中国共産党員のビザを大幅制限 最大10年を1カ月に

  【ワシントン=黒瀬悦成】米国務省当局者は3日、中国共産党員およびその家族に対し、米国入国のための査証(ビザ)の有効期限を大幅に短縮する新たな制限措置を設けたと明らかにした。商用・観光ビザに関し、これまで最大10年間だった有効期限を1カ月に短縮する。
  同省当局者は新たな措置に関し「中国共産党の悪影響から米国を守るためだ」と説明し、トランプ政権が進めている中国締め付け策であることを強調した。
  同省当局者はまた、「中国共産党およびその党員は政治宣伝や経済的威迫などの悪質な行為を通じて米国人に影響を与えるため、米国内で積極的に活動している」と批判した。
  中国共産党が米国に工作員を派遣し、中国に批判的な活動をしている中国人や中国系米国人を露骨に監視し、脅迫し、本国に報告していると指摘した。
  さらに「米国は過去何十年間も共産党に対して米国の諸機関や企業への自由で制限のない接触を認めてきたが、こうした権利は中国にいる米国民には認められていない」とした。
  「自由な社会や経済との交流や、西洋の技術へのアクセスは中国の発展に貢献したのは確実だが、中国はその間、マルクスレーニン主義思想を強固にし、自由世界と一層敵対するようになった」とも非難した。
  トランプ政権は「戦略的競争相手」に位置付ける中国との対決姿勢を決定的に強め、米大学などに設置されている中国語教育機関「孔子学院」の締め出しに向けた措置を強化したほか、中国高官が米国の大学や州政府機関、地方自治体を自由に訪れるのを制限する措置を取っている。


2020.12.04-JIJI COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2020120400312&g=int
ポンペオ米長官、有罪判決は「政治的迫害」 周庭氏ら香港民主派支持

  【ワシントン時事】ポンペオ米国務長官は3日、香港民主活動家の周庭氏や黄之鋒氏らが有罪判決を受けたことなどに関し声明で、「政治的迫害」と批判した。その上で「反対意見を沈黙させるために法廷を利用するのは、権威主義体制の特質だ」と指弾した。

  ポンペオ氏は、周氏らのような平和的に権利擁護を訴える人々をたたえる自由で開かれた制度から、香港は歴史的に恩恵を受けてきたと指摘。その上で「われわれは周氏らや香港市民、すべての中国市民を支持する」と強調した。


2020.11.28-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/economy/news/201128/ecn2011280008-n1.html
米主導のハイテク管理網に難題 中国の輸出管理法

  【ワシントン=塩原永久】中国の輸出管理法は、米国内で、米政府が強化したハイテク分野の輸出管理制度に対抗するものだと受け止められている。米次期大統領に就任する見通しとなったバイデン前副大統領は、対中政策で友好国との連携を重視する方針だが、中国の新法施行で、貿易管理をめぐる関係国との政策調整が難しくなる可能性がある。
  トランプ米政権は、ハイテク製品が中国で軍事転用されないよう、日欧などの関係国企業にも適用される輸出規制を強化してきた。
  中国の新法も適用範囲が海外企業に及ぶ内容で、米国では、「米政府による輸出管理の権限に対抗する目的がある」(米議会調査局)と分析されている。
  新法は中国の規制が及ぶ対象製品を定義する「用語に曖昧さが残されている」(米通商弁護士)と指摘されている。新法は懲罰的な措置も発動でき、米企業を含む海外企業は中国当局の判断次第で罰則を受けかねない側面がある。

  バイデン次期米政権は、同盟国や友好国と足並みをそろえて中国包囲網を築く意向とされる。関係国には「中国への対抗措置を一方的に実施したトランプ政権よりも、政策協調を強く迫られる可能性がある」(在ワシントン通商筋)との見方がある。ただ、中国との経済関係を維持したい国々に、米政府がどこまで厳しく政策面の同調を求められるかは不透明だ。中国は輸出管理法を駆使して、こうした国々に揺さぶりをかけることもできるためだ。
  中国は経済支援をてこに途上国への影響力拡大にも精力的だ。バイデン次期政権は、同盟国と連携して効果の高い貿易管理の国際枠組みを整備したり、途上国支援の強化を通じた「経済外交」を進めたりすることで、より多くの国を巻き込みながら、米国主導の国際秩序づくりを推し進めることが求められそうだ。


2020.11.24-産経新聞 THE SANKEI NEWS -https://www.sankei.com/economy/news/201124/ecn2011240004-n1.html
TikTok対抗の新機能 米スナップチャットが導入

  写真や動画を友人と共有するアプリ「スナップチャット」を運営する米スナップは23日、利用者が作成した短編動画を公開できる機能を米国などで導入したと発表した。中国企業が運営する動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」に対抗するため、似た機能を取り入れた。
  スナップは新機能「スポットライト」で、人気動画を投稿した利用者に毎日100万ドル(約1億円)以上を分配するとしている。不適切な利用を防ぐため、動画内容はスナップ側が審査する。公開のコメントも受け付けない。新機能を導入したのは、北米や欧州、オセアニアの11カ国。今後、他国にも広げる方針。
  ティックトックで人気の短編動画の公開機能を巡り、米交流サイト大手フェイスブックが8月、傘下の写真や動画の共有アプリ、インスタグラムで新機能「リール」を追加したと発表。米グーグル傘下の動画投稿サイトのユーチューブも9月に試行を始めた。(共同)


2020.11.03-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/201103/mcb2011030013006-n1.htm
習近平氏、米圧力に「反撃能力」 対中依存向上を指示

  【北京=三塚聖平】米国による中国との経済関係のデカップリング(切り離し)や対中制裁強化といった圧力に備え、中国の習近平国家主席が今年4月の共産党の会議で、世界の対中依存度を高めて外国による供給停止への有力な反撃能力」を整えるよう指示したことが2日までに明らかになった。今月1日発行の党理論誌「求是」が演説内容を掲載した。

  トランプ米政権は今年8月、米国から中国の通信関連の事業を全面的に排除することを目指す政策構想クリーン・ネットワーク」を発表。通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)などの排除に動く。習指導部としては、11月3日の米大統領選を目前に発言を公表することで、選挙結果にかかわらず米国に対抗しうる態勢を築いていく決意を示す狙いとみられる。
  求是によると、習氏は「国際的な産業チェーンのわが国との依存関係を強め、外国が供給を止めることに対する強力な反撃・抑止能力を作らなければならない」と号令をかけた。この発言を行ったのは、新型コロナウイルスの国内での感染拡大に歯止めがかかったと判断してまだ間もない4月10日だったという。
  また、習氏は「優位な産業の、世界をリードする地位を高め、『切り札』となる技術を磨かなければならない」とし、高速鉄道や電力・通信設備、新エネルギーなどの分野で国際競争力を強化する方針を示した。
  習氏は、サプライチェーン(供給網)を「政治化、武器化することに断固として反対する」とも強調した。トランプ政権が中国企業の排除を各国に呼び掛け、「中国包囲網」の形成を積極的に進めようとしていることを念頭に置いた発言とみられる。
  トランプ政権はハイテク分野で中国との競争に勝ち抜くことを重視しており、中国による知的財産の窃取を強く非難している。大統領選でトランプ大統領と戦うバイデン前副大統領も同様の姿勢で、習体制としてはどちらが勝利しても米中対立が長期化すると想定していると指摘される。
 10月下旬に開かれた党の重要会議、第19期中央委員会第5回総会(5中総会)のコミュニケもイノベーション(技術革新)能力の向上などをうたった。米国に頼らずとも自立できるよう先端技術などに関する産業基盤の底上げや、代替的なサプライチェーンの確保を図る姿勢を強めている。


2020.10.16-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201016/k10012666981000.html
ポンペイオ長官 米国内の「孔子学院」全施設の年内閉鎖を要求

  アメリカのポンペイオ国務長官は、中国政府が関与しアメリカ国内にも設置されている中国語の教育施設「孔子学院」について、学生や生徒に悪影響を与えるとしてすべての施設の年内閉鎖を求めていると明らかにしました。
  ポンペイオ国務長官は、今月、全米50州の教育当局や大学に書簡を送り、国内の大学などに設置されている中国語の教育施設「孔子学院」について「中国政府の宣伝機関だ」と指摘し、警戒を呼びかけました。
  これについてポンペイオ長官は15日、地方のラジオ局の取材に対して「孔子学院」がアメリカの学生や生徒に悪影響を与えると非難したうえで、すべての「孔子学院」の年内閉鎖を求めていると明らかにしました。
  「孔子学院」は、全米に75か所あると見られていますが、近年は、政府や議会の懸念を受けて閉鎖も相次いでいます。
  ポンペイオ長官による書簡を受けて、ニューハンプシャー州の教育当局は声明を発表し、連邦政府による警告に理解を示しながらも、閉鎖するかどうかは各大学や教育機関の判断だとしていて、今後閉鎖がさらに進むのかどうかが焦点です。
  ポンペイオ長官は、この日、大統領選挙で勝敗に大きな影響を与える激戦州のフロリダ州やミシガン州などのラジオ局の取材を受けて、トランプ政権の中国政策や中東政策をアピールしていて、外交面から選挙戦を支援する動きを強めています。


2020.10.17-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/201017/wor2010170014-n1.html
中国、輸出規制の新法12月施行 全人代常務委可決、米圧力に対抗

   【北京=三塚聖平】中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は17日に開いた会議で、国家の安全に関わる技術や物資の輸出を制限する新法輸出規制法」を可決した。中国メディアによると12月1日に施行する。ハイテク分野をめぐるトランプ米政権との対立が深刻化する中で、新たな対抗手段を整えるのが狙いとみられ、米中の報復合戦がさらに過熱する恐れがある。
   国営新華社通信などによると、同法は「国家の安全と利益を守る」ことを目的に掲げ、国の安全に関わる技術や物資、軍事転用が可能な技術などを当局がリスト化して輸出を制限することが柱だ。輸出規制措置を乱用して中国の安全や利益を損ねる国や地域に対し、対等な措置を講じることができると規定している。
   米国が中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への半導体輸出を全面的に禁じる新規制を9月に施行するなど、中国企業への圧力を強めていることに対抗するものとみられる。中国は先端技術の海外移転に関する規制強化策も8月に発表するなど、米国を念頭に置いた対抗措置を相次いで打ち出している。
   輸出規制法では、対象が「国家安全」という概念で広範囲に及ぶことから、施行されれば日本企業の事業にも影響を与える可能性がある。同法に違反すれば中国国外の組織と個人も法的責任を追及すると明記されているため、各国の企業が懸念を強めている。


2020.9.28-JIJI COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2020092800148&g=int
TikTok禁止差し止め 米連邦地裁が命令―配信継続へ

  【ワシントン時事】米首都ワシントンの連邦地裁は27日中国発の短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」をめぐり、トランプ政権が同日夜に設定した米国での配信禁止措置を暫定的に差し止める命令を下した。中国の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」への措置と同様に、司法が土壇場で待ったをかけた形で、配信は当面継続される。
  米政権、TikTok禁止の正当性訴え 地裁は27日までに判断
  トランプ大統領は中国へ情報が流出する国家安全保障上の懸念を理由に、大統領令でティックトック米国事業の「売却」か「禁止」を要求。これに対してティックトック側は禁止措置の差し止めを求める訴訟を起こしている。
  地裁の文書によると、アプリの新規ダウンロードや更新を27日午後11時59分(日本時間28日午後0時59分)から禁じる措置を差し止めたが、11月12日に予定される利用全面禁止について「今回は」対象に含めなかった。
  米商務省は声明で「政府は差し止め命令を順守する」と述べつつ、異議申し立ても視野に大統領令の正当性を訴えていくと強調。ティックトックは、米ソフトウエア大手オラクルなどと進める提携交渉の正式合意に向けて「米政権と対話を続ける」とした。
  トランプ氏は今月19日、ティックトックとオラクルなどの提携を大筋で承認。交渉の進展を理由にアプリの禁止措置を当初予定の20日から27日に見送ったが、米事業を引き継ぐ新会社の主導権争いが続いている。
  ウィーチャットの運営禁止を求めた大統領令についても、サンフランシスコの連邦地裁が20日の執行直前に差し止めを命じていた。


2020.9.24-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://special.sankei.com/a/international/article/20200924/0002.html
東南アジアの大河でも米中対立 「メコン川水量低下」で批判の応酬

  【シンガポール=森浩】米国と中国が東南アジアのメコン川地域をめぐって対立を深めている。米国が昨年起きた同川の水量低下は上流にある中国のダムの影響であると指摘したのに対し、中国側は「科学的根拠がない」と反論した。南シナ海に注ぐ同川の流域は日米などのインド太平洋戦略、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」のいずれにとっても重要な地域。米中ともに影響力を拡大させたい思惑もあり、新たな対立の舞台となっている。
  「(中国のダムが)流域の何千万もの人々の生活に悪影響を与えている」。米国のスティルウェル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は15日の会見で、メコン川の水量低下について中国を厳しく批判した。


2020.9.24-ZaqZaq by 夕刊フジ(産経新聞)-https://www.zakzak.co.jp/soc/news/200924/for2009240008-n1.html
中国空軍がグアムの米軍基地模した目標を攻撃するプロパガンダ動画を公開 米空軍は反発 米映画「パクリ」の指摘も

 【ワシントン=黒瀬悦成】中国空軍が今月中旬、グアムのアンダーセン米空軍基地に似せた標的を中国空軍機が攻撃するプロパガンダ動画を公開し、米太平洋空軍は23日、「地域を抑圧し、脅し上げようとする人民解放軍の策動だ」と批判する声明を発表した。
 問題の動画は約2分15秒の短編で、19日に、中国版ツイッターの微博(ウェイボー)で公開された。閲覧者らがネット上で拡散したため、現在はユーチューブなどでも視聴可能だ。
 動画では、核爆弾を搭載可能な中国空軍の戦略爆撃機「H-6K(戦神)」が夜明けとともに砂漠の中の基地から出撃し、グアムの基地とみられる攻撃目標に上空からミサイルを撃ち込んで爆発炎上させる。
 また、攻撃シーンでイラク戦争を描いた「ハート・ロッカー」やアクション大作の「ザ・ロック」などのハリウッド映画の映像を使用していることも判明し、ネット上で「盗作」との指摘も相次いでいる
 アンダーセン空軍基地は米軍のインド太平洋戦略の重要拠点で、米中の軍事衝突が起きた場合は、真っ先に中国の攻撃目標になるとみられている。
 太平洋空軍は声明で「わが軍の人員と装備、そして同盟・パートナー諸国の安全の維持は最重要事項だ」と指摘し、中国に対する備えを引き続き固めていく立場を強調した。(産経新聞)


2020.9.21-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/421cb3706ab6790e1ddfc80f20183d53751833f6
バイトダンス、TikTok新法人に過半出資へ 中国紙は「最悪の事態回避」と評価

  【北京=三塚聖平】中国IT企業、北京字節跳動科技(バイトダンス)は21日に声明を発表し、傘下の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業について、同事業を引き継ぐ新法人はバイトダンスの子会社になるとの認識を示した。米オラクルなど複数の米国企業が新法人に過半出資するとの見通しが伝えられていたが、米側との認識に食い違いが生じている可能性もある。
  声明は、新設する「ティックトック・グローバル」の株式の80%をバイトダンスが保有することになり、同社が経営支配権を失うという見方は「噂」だと否定した。ロイター通信は、バイトダンスの株式の41%を米国の投資家が持っているため、この間接的な保有分を考慮すれば、新法人は株式の過半数を米側が保有することになるという複数の関係者の見方を伝えた。
  中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は21日の記者会見で、ティックトックの米国事業をめぐる動きについて「企業の特定のビジネス活動にはコメントしない」と述べるにとどめた。共産党機関紙、人民日報系の環球時報は21日付の社説で、米側が承認した提携案は「米国への完全売却など最悪の事態を回避した」と評価した。


2020.9.18-Yahoo!Japanニュース-AFP・BBC NEWS/JIJI.COM-https://news.yahoo.co.jp/articles/7a652da6c6e57bd8a29ed01f3246e17f36b16672
米、TikTokのDLとウィーチャットの使用を20日から禁止へ

AFP=時事】(更新)米政府は18日、人気の中国系の動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」のダウンロードと、対話および支払いアプリ「微信(WeChat、ウィーチャット)」の使用を、20日から禁止するよう命じた。商務省が発表した。国家安全保障を脅かすと説明している。

これにより両アプリは、アップル(Apple)およびグーグル(Google)のオンラインストアから排除されることになる。  ウィルバー・ロス(Wilbur Ross)商務長官は、「中国共産党はこれらのアプリを、国家安全保障や外交政策、米国経済を脅かすために使用する手段と動機とを明示した」と指摘した。【翻訳編集】
AFPBB News


2020.9.14-Yahoo!Japanニュース(REUTERSロイター)-https://news.yahoo.co.jp/articles/4d8ffa6b5fa689f5a73bd750aacd694bd627b890
TikTok米事業売却せず、オラクルとの提携目指す=関係者

[13日 ロイター] - 中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)は13日、短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米事業について、売却はせずに、米ソフトウエア大手オラクル<ORCL.N>とのパートナーシップ締結を目指すことを決めた。事情に詳しい関係者がロイターに語った。
  米国での利用禁止を回避し、中国政府の要求も満たす解決策になることに望みをかけているという。 トランプ米大統領は8月、TikTokの米事業を売却しなければ、同サービスを禁止すると警告。バイトダンスは売却に向け、オラクルのほか、マイクロソフト<MSFT.O>が主導するコンソーシアム(企業連合)と協議を進めてきた。 TikTokは短いダンス動画の投稿によく使われるアプリで、10代の若者を中心に米国で人気が高い。
  ただ、米政府当局者らは利用者情報が中国政府に渡っている可能性に懸念を示してきた

   中国政府は先月、先端技術の海外移転に関する規制を強化。この対象にTikTokが利用者に勧めるコンテンツを選ぶためのアルゴリズムが含まれているため、米国事業売却を巡る交渉にも大きな影響が及んでいた。ロイターは先週、中国政府はTikTokの米事業が強制売却されるよりは閉鎖を望んでいると報じた。
  バイトダンスの案によると、オラクルはバイトダンスの技術パートナーとなり、TikTokの米国のユーザーデータの管理を任されるという。オラクルはまた、TikTokの米資産の一部を保有するための交渉も行っているという。

  オラクルのラリー・エリソン会長は、テック業界では数少ないトランプ氏支持者。オラクルはデータ処理技術は強いが、ソーシャルメディア分野の経験はなく、顧客ももっぱら企業だ。
   米IT(情報技術)企業が米国内でTikTokの大部分を保有することを望むトランプ氏がこの取引を承認するかどうかは明らかではない。米規制当局の対米外国投資委員会(CFIUS)がバイトダンスとオラクルによる交渉の監督役を担っている。
   関係筋によると、バイトダンスは、CFIUSが2年前に承認した中国泛海控股集団による米保険会社ジェンワース・ファイナンシャルの買収が、同社が提案しているオラクルとの合意形態の良い先例になっていると主張する構えだという。
  中国泛海は、ジェンワースの米国内の保険契約者のデータの管理を米国に本拠地を置く外部企業に任せることで合意。これと同じ方法を取れば、TikTokの米国の利用者データも安全が確保されると訴える見通しだという
  バイトダンスとオラクルからのコメントは得られていない。ホワイトハウスはコメントを控えた。 マイクロソフトはこれより前、同事業について、バイトダンスから同社には売却しないと通告を受けたと発表していた。
  TikTok買収でマイクロソフトと連携していた米小売り大手ウォルマート<WMT.N>は13日、引き続きTikTokへの投資に関心があり、バイトダンス経営陣、その他の関係者とさらに協議する方針を示した。


2020.9.8-ZaqZaq by 夕刊フジ(産経新聞)-https://www.zakzak.co.jp/soc/news/200908/for2009080004-n1.html
中国、米メディアへの記者証更新停止 対抗措置か

  【北京=三塚聖平】中国政府が、中国に駐在する米メディア記者の記者証更新を停止していることが7日、明らかになった。CNNなど複数の米メディアの記者が対象になっており、米政府による中国メディアへの制限措置に対抗したものとみられる。
   CNNによると、このほど記者証の更新を中国当局に申請した米メディアの記者が、手続きが継続中だとする書簡を受け取った。また、新たな査証(ビザ)は通常の1年ではなく2カ月だったという。中国では通常、駐在記者がビザの発給を受けるには、事前に外務省に記者証を申請する必要がある。
   米中間では、メディアをめぐる対立が激化している。中国政府は2月、米紙ウォールストリート・ジャーナルが掲載した新型コロナウイルスに関するコラムに反発し、同紙の北京駐在記者3人の記者証を取り消した。それに対し米政府は5月、中国人記者が米国滞在の際に必要な報道ビザの有効期限を90日間に制限する措置を打ち出した。
   中国外務省の華春瑩(か・しゅんえい)報道官は7日にツイッターで、「中国の記者が米国で公正に扱われれば、米記者との協力を喜んで続けたい」と投稿した。(産経新聞)


2020.9.2-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/4fbac9533fcf3b07aebf85771c473b24a7f062ea
米国防総省報告書 中国が世界各地で兵站拠点ネットワークの確保目指す

  【ワシントン=黒瀬悦成】米国防総省は1日、中国の軍事力に関する議会向け年次報告書を公表した。報告書は、中国軍が世界展開を視野に各地で兵站拠点の構築を目指していると指摘し、これまでに南太平洋のバヌアツとソロモン諸島、アフリカのナミビアに対し補給のための軍事拠点の設置を提案した可能性が高いとの見方を示した。
  報告書は、中国による海外拠点の確保は太平洋からインド洋を経て中東、アフリカ諸国に至る海上交通路の確保が目的であるとし、ほかにもタイ、シンガポール、インドネシア、ミャンマー、パキスタン、スリランカ、アラブ首長国連邦(UAE)、ケニア、タンザニア、セーシェル、アンゴラ、タジキスタンの12カ国にも拠点設置を検討中とみられると指摘した。
   中国がこれらの国々に拠点を構築しネットワーク化を進めれば、米国の「自由で開かれたインド太平洋戦略」や米軍の世界展開戦略とぶつかり合うのは必至とみられる。
   報告書は、中国の拠点構築が米軍の作戦行動を阻害、中国軍の対米作戦を支える役割を担う公算が大きいと分析した。軍事専門家の間では、これらの拠点が海外での米軍の動向に関する情報収集に活用される恐れがあるとの指摘もある。
   中国軍は2017年、アフリカ東部ジブチに初の海外軍事拠点となる補給基地を設置。報告書は、ジブチ駐屯の中国軍がレーザー照射や無人機で米軍機の飛行の妨害を図ったとした。


2020.9.2-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200902/k10012595921000.html
米国防総省 中国は核弾頭200個超配備 今後10年で倍増の可能性

  アメリカ国防総省は、中国の軍事動向を分析した報告書で、中国は運用可能な核弾頭を200個以上配備しており、今後10年間でその数を2倍以上に増やす可能性があるという見通しを明らかにしました。

  アメリカ国防総省は1日、中国の軍事動向を分析したことしの年次報告書を発表しました。
  報告書では、中国が保有する核弾頭の数の推計を初めて明らかにし、「現在のところ運用可能な核弾頭を200個以上配備していて、今後10年間でその数を少なくとも倍増させる可能性がある」という見通しを示しました。
  また、こうした核弾頭の搭載が可能で在日アメリカ軍基地を射程に入れる中距離弾道ミサイルや巡航ミサイルの数も増やしていると指摘しています。
  アメリカは、ロシアとの核軍縮条約「新START」の有効期限が来年2月に迫る中、中国も条約に参加するよう求めているのに対し、中国は核戦力が大幅に抑えられる条約には参加しない方針を示しています。
  国防総省で中国問題を担当するスブラジア次官補代理は、報告書の発表に合わせて会見し「保有する弾頭の数だけでは中国の複雑な脅威の全体像は示せない。中国は潜水艦や航空機に搭載できる核ミサイルも開発し、地下から発射する大陸間弾道ミサイルの整備も進めようとしている」と述べ、中国の戦力拡大に警戒していく考えを示しました。


2020.8.28-読売新聞-https://news.yahoo.co.jp/articles/aa3c24c7f3351a8fd90191f60fc9318d6ec98c1d
米、南シナ海での中国ミサイル発射に懸念「情勢を一層不安定化」

  【ワシントン=蒔田一彦、北京=中川孝之】米国防総省は27日、中国軍が南シナ海のパラセル(西沙)諸島周辺で軍事演習を行い、弾道ミサイルを発射したことに対する声明を発表し、「南シナ海情勢を一層不安定化させる」として「懸念」を表明した。
  声明では、ミサイル発射を含む今回の軍事演習について、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)が南シナ海での紛争防止を目的に2002年に署名した行動宣言」に違反するとの見方を示した。さらに、「中国の行動は南シナ海を軍事化しないという約束や、米国の『自由で開かれたインド太平洋地域』の考えに反する」と指摘した。
   その上で、全ての関係国に対し、「航行の自由を脅かし、南シナ海の係争を悪化させかねない軍事行動を取らない」ように求めた。
   米国防当局者によると、中国軍は現地時間26日、軍事演習の一環として中距離弾道ミサイル4発を中国の大陸部から発射し、南シナ海の海南島とパラセル諸島の間の海域に着弾させた。米国は、南シナ海における中国の海洋権益主張を認めない姿勢を強めている。

   一方、中国軍で南シナ海を管轄する南部戦区の報道官は、米軍のミサイル駆逐艦「マスティン」が27日にパラセル諸島周辺を航行したと発表し、「米国は南シナ海の国際航行の秩序を壊している」と主張した。中国軍の艦艇や軍用機がマスティンを監視したといい、報道官は「米国は(中米両軍の)不測の衝突を避けるため、南シナ海での挑発をただちに停止すべきだ」と警告した。


2020.8.26-Yahoo!Japanニュース(JIJI.COM)-https://news.yahoo.co.jp/articles/f2cc6b975e900d292f89955bb2b7dcfc69385eae
米、南シナ海軍事化でビザ制限 中国24社に禁輸制裁

  【ワシントン時事】ポンペオ米国務長官は26日、中国による南シナ海の埋め立てや軍事拠点化などに関与した中国人に対してビザ(査証)制限を実施すると発表した。
   制裁対象者の近親者にも適用される可能性がある。
   これに関連して米商務省も、米国企業からの製品輸出を禁じる海外企業リストに中国企業24社を加えると発表した。国営企業「中国交通建設」の子会社など建設、通信、造船など幅広い業種が含まれる。
   ポンペオ氏は声明で、中国政府は2013年以降、国営企業を使い、南シナ海の係争地で約1200ヘクタール以上を埋め立て、「地域を不安定化させている」と非難。その上で「米国は、中国が南シナ海での威圧的行動を中止するまで行動する」と警告した。
   トランプ政権は7月、中国が南シナ海の大部分で主張する領有権について「完全に違法だ」と否定。新型コロナウイルスの感染拡大や中国による香港の統制強化などを受けて対中強硬姿勢を強める中、南シナ海情勢をめぐっても厳しい対応を取る方針を示していた。 


2020.8.26-Yahoo!Japanニュース(REUTERSロータス」)-https://news.yahoo.co.jp/articles/1abad0703afb7ca3fa728811baf5a3d79c45aa2f
中国、米軍機の演習区域侵入を非難 「不測事態の恐れも」

  [香港 25日 ロイター] - 中国は25日、同国が実弾演習を行う飛行禁止区域に米軍のU2偵察機が侵入したとして、米国に強く抗議した。 中国がこれまでも米国の監視活動を非難する一方、米国は中国航空機による「危険な」妨害活動を指摘してきた。監視活動は定期的に行われるが、中国が公言することは珍しい。
  中国国防省は、実弾演習を行っていた人民解放軍北部戦区の飛行禁止区域でU2偵察機が許可なく飛行し、「正常な演習訓練活動を著しく妨害した」と指摘。誤解や判断ミス、海空での「不測の事態」を引き起こしかねないと非難した。米国が海空の行動に関する米中間のルールや国際的な基準に反していると主張し、「この種の挑発行動を即刻停止し、実際の行動で地域の平和と安定を守るよう要求する」と強調した。
  これに対し、米軍は声明で、U2偵察機の飛行はインド太平洋地域で行われており、航空機の飛行に関する国際ルールと規則で認められた範囲内」との認識を表明。「太平洋空軍は今後も、国際法で認められた場所でわれわれが選んだ時間に飛行と任務を続けていく」とした。
  U2偵察機は7万フィート(約2万1000メートル)以上の高高度で飛行できるため、飛行禁止区域に入ることなく偵察活動を行うことは可能。中国はU2偵察機が侵入した場所を具体的に明らかにしていないが、現在の演習は渤海で行っている
  また、黄海と南シナ海でも演習中。 米中は、貿易から人権までさまざまな問題で関係が悪化している。米国はまた、領有権を巡る対立が続く南シナ海や中国が自国の領土の一部と主張する台湾に関して中国軍が攻撃的な動きを取っていると主張する。
  2001年4月には中国の戦闘機が米偵察機と接触し墜落。中国の操縦士は死亡し、米機は海南島に緊急着陸した。米国側の乗務員24人は米国が中国に謝罪するまで11日間拘束された。


2020.8.24-auヘッドライン-https://news.headlines.auone.jp/stories/domestic/economy/13664393?genreid=4&subgenreid=17&articleid=13664393&cpid=10130017
トランプ氏再選なら米中摩擦先鋭化も 保護主義的な政策が続く公算

  トランプ米大統領は2期目の公約で、経済政策でも中国への強硬な姿勢を示した。再選されれば、米中貿易摩擦の一段の激化が見込まれ、日本企業も影響を受ける懸念がある。トランプ政権の通商政策には、突然に関税引き上げを持ち出すといった「不確実性」が目立った。再選後も同じ手法が取られる可能性が高く、日本は引き続きトランプ氏に振り回される展開も予想される。
   公約には、「中国から100万人分の製造業の雇用を取り戻す」という内容が盛り込まれた。トランプ氏は「海外から国内に雇用を戻すことを拒否する米企業に関税を課す」と発言しており、事実上の罰則で企業への圧力を強めて国内生産を促し、雇用を増やす政策を取るとみられる。公約では「中国に新型コロナを世界に拡散させた責任を取らせる」ともしており、米中対立が先鋭化すれば、両国に拠点がある日本企業は、海外戦略の練り直しを迫れそうだ。貿易摩擦が景気悪化につながれば、経済規模の大きな両国だけに、世界中にその影響が波及する懸念もある
   新型コロナの蔓延(まんえん)により、自国内に医療品や食料を抱え込む国が増えており、世界で保護主義的な動きが強まっている。そもそもトランプ政権の通商政策は保護主義色が強かっただけに、再選されれば、日本が恩恵を受ける自由貿易体制には逆風となりかねない。
   もっとも、SMBC日興証券の末沢豪謙金融財政アナリストは、「トランプ、バイデン両氏のどちらが当選しても、保護主義的な政策を取るだろう」と予想する。東部から中西部に広がる「ラストベルト(さびついた工業地帯)」での得票が勝敗を分けるといわれ、国内製造業の振興を重視する姿勢は両氏に共通しているからだ。バイデン氏が当選しても議会の意向を受け、中国への強硬姿勢も維持されると見られている。
(高橋寛次)


2020.8.17-産経新聞 SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/200817/wor2008170011-n1.html
米のTikTok売却命令に「暴力的な強奪」と中国外務省が反発

  【北京=三塚聖平】中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は17日の記者会見で、トランプ米大統領が中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業を90日以内に売却するよう命じたことを受け、「強盗の論理と政治的な私欲による暴力的な強奪だ」と米側を非難した。
  趙氏は「国家安全保障は、米国以外の企業を理不尽かつ横暴に抑圧するための宝剣になっている」と主張。米側の一連の措置を「いじめ」だと主張して「直ちに誤りを正し、中国への中傷や他国企業への理不尽な抑圧を停止するよう強く促す」と牽制(けんせい)した。
  中国政府は、ティックトックなど米政府による中国のアプリ排除に反発している。15日に予定されていた米国と中国が締結した「第1段階」の貿易協定をめぐる閣僚級会議が延期されたとロイター通信が報じたが、アプリ排除問題が延期の背景にあるとの見方もある


2020.8.14-gooニュース(産経新聞)-https://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/asia/sankei-wor2008140011.html
米、中国にあらゆる分野で圧力 孔子学院を締め付け

  ポンペオ米国務長官が13日発表した「孔子学院米国センター」に対する締め付けの強化は、トランプ政権が習近平国家主席率いる中国共産党体制に対して経済、外交・安全保障、人権などあらゆる分野で圧力をかけ、既存の国際秩序を脅かす一連の態度の変更を要求する立場を改めて打ち出したものだ。
  トランプ大統領は11日、FOXラジオとのインタビューで習氏について「かつては素晴らしい関係だったが、現在の気持ちは違う」と述べ、中国が新型コロナウイルスへの対応を誤って感染を全世界に拡大させ、米国にも甚大な被害を与えたことで、中国に対する見方が完全に冷却化したとの認識を明らかにした。
  トランプ氏は、中国との貿易交渉を進展させたい思惑から、昨年までは中国を徹底的に追い詰めることに慎重な姿勢ものぞかせていた。しかし、同氏は現在、政権の経済成長路線を中国がウイルス拡散で根底から覆したとして憤りを強め、全面対決に方針を転換。最近では「中国との貿易協議再開に関心はない」と繰り返し明言している。
  ただ米国にとり厄介なのは、中国の影響力が既に米国の経済、政治、社会に深く浸透していることだ。
  東欧4カ国を歴訪中のポンペオ氏は12日、チェコ上院での演説で、「今起きている事態は『第二次冷戦』ではない。中国共産党の脅威が突きつける課題は、旧ソ連との冷戦よりもはるかに厳しい」と警告した。(ワシントン 黒瀬悦成)


2020.8.13-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200813/mcb2008130600012-n1.htm
米国「自国を優先」中国「外交の武器」 コロナワクチン争奪で激突
(1)
  米国と中国が新型コロナウイルスのワクチン開発・確保に向けて、しのぎを削っている。ワクチンは感染拡大の再燃防止と同時に経済活動の正常化に欠かせない。いち早い経済回復は世界に対する影響力の維持・拡大にもつながる。国を挙げ、巨費を投じる両大国の争いは、世界をも巻き込んでいる。

米、自国・他国を問わず契約へ100億ドル
  米バイオ企業モデルナは11日、開発中の新型コロナウイルスのワクチンについて、1億回分を米政府に供給する合意を発表した。契約額は最大15億2500万ドル(約1600億円)。同社のワクチンは臨床試験(治験)の最終段階である第3段階にあり、ロイター通信によると、結果は11月までに出る可能性がある。
  合意は完成直後には不足が予想されるワクチンの確保などのため、トランプ米大統領が立ち上げた「ワープスピード作戦」の一環。トランプ政権は約100億ドル(約1兆670億円)を投じて、自国、他国を問わず開発企業を支援し、優先的に供給を受ける契約の締結に奔走している。
  「米国民(のワクチン接種)が最優先だ」。米政府高官はこう語り、トランプ政権下で目立つ「自国主義」をここでもあからさまにしている。
  すでに米企業のジョンソン&ジョンソン(提供資金10億ドル)から1億回分、ノババックス(同16億ドル)から1億回分、ファイザーなどからも1億回分(同19億5000万ドル)を受けることで合意。国外でも、英アストラゼネカなどから3億回分(同12億ドル)、仏サノフィなどから1億回分(同21億ドル)の供給を取り付けた。

  コロナ禍で米国は経済的に大きな打撃を受けた。米食品医薬品局(FDA)のゴットリーブ元長官は米紙への寄稿で、最初にワクチンを確保できた国がいち早く経済を再建させ、国際的な影響力も高められると、ワクチンを押さえる重要性を説明。米軍の活動にも影響が出た経緯があるだけに、「今や公衆衛生は国家安全保障の一部をなす」と強調した。
  ワクチン確保を急ぐトランプ政権の念頭には、米国と覇を競う中国が最初にワクチン開発に成功することへの警戒もある。ナバロ大統領補佐官は4月、中国がコロナ流行初期に関連情報の提供を拒んだのは、開発競争で先行するためだった可能性があるとし、「中国を打ち負かす」と対抗心をあらわにした。
  米司法省は7月下旬、中国政府の委託を受けた中国人ハッカー2人の起訴を発表した。ワクチンや治療薬の開発データを狙い米企業への侵入を図るなどしたとされ、米中のせめぎあいはサイバー空間にも広がる。
  ただ、米国の動きには波紋も広がっている。自国優先の「ワクチン・ナショナリズム」が幅を利かせないよう、世界保健機関(WHO)はワクチンの公正な配分を目指すが、WHO脱退を通告した米国は国際協調に背を向ける

   自国優先の取り組みには国内でも「グローバルな公衆衛生政策と相いれない」(米専門家)との懸念は強い。だがワクチン争奪を規制する国際的取り決めはないという。(ワシントン 塩原永久)

中国、「支援外交」展開の思惑
  中国は政府の掛け声の下、官民一体で新型コロナウイルスのワクチン開発を急いでいる。コロナ対応で出た国内の不満解消のほか、マスクなどの提供を通じた支援外交の延長として「ワクチン外交」を展開しようとの思惑も垣間見える。
  中国メディアによると、中国製薬会社の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)は7月21日、世界で2番目に感染者が多いブラジルで、ワクチンの臨床試験(治験)第3段階を始めた。国有企業の中国医薬集団(シノファーム)もアラブ首長国連邦(UAE)で第3段階に入っている。同社は年末までにワクチンを市場に出せる可能性があるとの見通しを示す。
  新興製薬会社の康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)は軍の後押しを受け開発に取り組み、6月下旬には人民解放軍で使用する承認を得た。
  中国のワクチン開発の動きは素早かった。中国国営新華社通信によると、国内の感染が深刻な1月下旬には、中国疾病予防コントロールセンターの幹部が開発に着手していると表明。習近平国家主席は3月、医療機関を視察し、早期の治験と市場投入を指示した。李克強首相は6月、ワクチン開発などへの投資額が官民で100億元(約1530億円)を上回る見通しを説明。感染症対策のため1兆元の特別国債発行の財政措置もとる。
(2)
  生産準備にも余念がない。シノファームは国内で2億回分以上の年産能力を確保する見込み。カンシノは1億~2億回分を目指し、シノバックは国内で1億回分、ブラジルでも1億2000万回分の生産権を得ることになった。中国で10社以上が生産体制を整備し、政府はワクチンの産業化加速を指導する方針だ。
  中国は感染拡大を押さえ込んだが、経済活動の大幅制限などで国民の反発が高まった。感染の完全な終息宣言を早期に出せるか否かは、習政権の基盤を改めて固める上で重要。開発を急ぐのはワクチンがそのために欠かせないためだ。
  ワクチンは外交の武器ともなりうる。習氏は6月、アフリカ各国首脳とのテレビ会議で「ワクチンの実用化後、いち早くアフリカ諸国の使用を実現する」と強調した。米欧のワクチン争奪戦で入手が困難視される開発途上国を助け、影響力を広げようとの狙いがにじむ。5月のWHO総会では、中国のワクチンを「世界の公共財」にするとも述べた。
  フィリピンも中国のワクチンの優先利用を求め、中国側は「友好的な隣国であり、考慮したい」(汪文斌(おうぶんひん)外務省報道官)と前向きな姿勢だ。実現すれば、フィリピンが中国と争う南シナ海の領有権の主張を控える可能性も指摘されている。(北京 三塚聖平)

欧州も危機感、囲い込みへ
  新型コロナウイルスのワクチン開発・供給で国際協調を重視する欧州諸国も、ワクチン囲い込みに乗り出した。米国の動きで「うかうかできない」と危機感を高めたためとみられる。
  英政府は7月29日、仏サノフィなどが共同開発中のワクチン6000万回分の供給を受けることで合意したと発表。シャーマ民間企業・エネルギー・産業戦略相は「(ワクチンへの)アクセスを早めに押さえるのは重要だ」と強調した。
  英国は英アストラゼネカ(1億回分)などからもワクチン供給の約束を得ており、欧州連合(EU)は7月31日、サノフィから3億回分を確保する予備交渉に合意した。英製薬業関係者は「米国がワクチン獲得を急ぐので、うかうかしていたら国民に配れなくなるとの焦燥感がある」とみる。
  一方、ワクチン獲得競争に対し、WHOは「ワクチン・ナショナリズムは助けにならない」(テドロス事務局長)と懸念を深める。
  WHOはワクチンや治療薬などを世界に行き渡らせる計画を立て、今後1年で313億ドル(約3兆3400億円)が必要と試算。このうち約180億ドルを、中低所得国向けを含むワクチン確保に充てる考えで各国に協力を呼びかけるが、集まった資金は34億ドルにとどまっているという。
  欧州ではロシアが11日、臨床試験(治験)第3段階を省いて国産ワクチンを承認。早期承認により世界の医薬品市場で主導権を握ろうとの思惑も指摘される。(ロンドン 板東和正)


2020.8.10-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200810/k10012561391000.html
中国 香港制裁に対抗 米議員らに制裁科すと発表

  中国政府は、アメリカのトランプ政権が、香港政府のトップ、林鄭月娥行政長官ら11人に制裁を科したことに対抗して、対中強硬派として知られる上院議員など11人に対し、制裁を科すと発表しました。
  アメリカのトランプ政権は今月7日、香港の自治を損ね、香港市民の表現や集会の自由を制約したなどとして、香港政府のトップ、林鄭月娥行政長官や、中国政府の高官など11人に対し、アメリカ国内の資産を凍結する制裁を科したと発表しました。
  これに対し、中国外務省の趙立堅報道官は10日の記者会見で「アメリカの行為は、香港に公然と介入し、中国の内政に著しく干渉するものだ」と強く非難しました。
  そのうえで、これに対抗して、対中強硬派として知られるマルコ・ルビオ上院議員やテッド・クルーズ上院議員など、上下両院の議員やNGOの幹部ら合わせて11人に対し、10日付けで制裁を科すと発表しました。
  一方で、制裁の具体的な内容は明らかにしていません。米中両国は、このところ、香港の問題に加え、ウイグル族の問題などでも、互いに制裁を科す応酬が続いているほか、先月には、双方の在外公館を閉鎖しあうなど対立が激しさを増しています。
香港政府 中国の対抗措置を歓迎
  中国政府が、対中強硬派として知られるアメリカの上院議員ら11人に対し、対抗措置をとったことについて香港政府が声明を発表し「先日アメリカが取った措置に対し、香港の市民は中国の人民と同様、憤慨している。中央政府の措置は中国の利益を守るために必要なもので、香港政府はこれを全力で支持し、全面的に協力する」としています。


2020.8.8-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200808/k10012557911000.html
米トランプ政権 香港政府トップら11人に制裁科したと発表

  アメリカのトランプ政権は、香港政府のトップ林鄭月娥行政長官をはじめ、中国政府の高官ら11人に対し、香港の自治を損ねたなどとして制裁を科したと発表しました。中国への圧力を一段と強めています。
  アメリカ財務省は7日、声明を発表し、▼香港政府のトップ林鄭月娥行政長官や▼香港警察のトップなど香港政府の幹部に加えて▼中国政府で香港の問題を担当する香港マカオ事務弁公室のトップ夏宝竜主任ら中国政府の高官など、あわせて11人に対しアメリカ国内の資産を凍結する制裁を科したことを明らかにしました。
  制裁は香港での反政府的な動きを取り締まる香港国家安全維持法に対抗し、トランプ大統領が先月署名した大統領令に基づくとしています。
  声明は林鄭長官について「自由と民主的なプロセスへの弾圧という中国政府の政策を履行する最高責任者だ」と批判するとともに、11人はいずれも香港の自治を損ね、香港市民の表現や集会の自由を制約したと非難しています。
  ムニューシン財務長官は声明のなかで「アメリカは香港市民と共にあり、香港の自治を損なう者を対象に我々が持つ手段と権限を行使していく」と強調しました。
  また、ポンペイオ国務長官も声明を発表し、「今回のアメリカの措置は、香港当局の行動は受け入れられず、中国共産党は一国二制度を維持するという約束に反しているという、明確なメッセージを送るためのものだ」として、習近平指導部を強くけん制しました。
  トランプ政権は、香港国家安全維持法の施行を受け、香港に認めてきた経済や貿易などの優遇措置を撤廃するなど、中国への圧力を強めており、ことし11月の大統領選挙も見据え、対中強硬姿勢を一段と鮮明にしています。


2020.8.6-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62348950W0A800C2MM0000/
米、中国の通信企業排除へ新指針 アプリなど5分野

  【ワシントン=中村亮】米国務省は5日、個人や企業情報を守るため国内通信分野での中国企業の排除に向けた新たな指針を発表した。中国製アプリの排除を米配信事業者に促し、中国企業が関与するクラウドサービスの利用は望ましくないとの見方を示した。
  新指針は従来掲げてきた「クリーンネットワーク計画」を拡充したもの。通信キャリア、アプリストア、スマートフォンのアプリ、クラウドサービス、海底ケーブルの5分野で中国企業の排除を目指す。
  ポンペオ国務長官は声明で「中国製アプリはプライバシーを脅かし、コンピューターウイルスを広めて、政治的宣伝や偽情報を拡散している」と批判した。アプリストアを運営するアップルやグーグルを念頭に信頼できない中国製アプリを排除するよう促した。
  米政権は中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)に対し、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業を9月15日までに売却するよう求めている。今回の措置に強制力はないが、ティックトック以外のアプリの排除を辞さない構えを鮮明にした。ポンペオ氏は5日の記者会見で対話アプリ「微信(ウィーチャット)」をあげて「米国民の個人情報に対して大きな脅威だ」と重ねて主張した。
  トランプ政権は米国の巨大テック企業について「中国共産党と協力しすぎている」(バー司法長官)と批判してきた。今回の新指針に法的な強制力はないが、中国と距離を取るよう一段と圧力をかける狙いがある。
  さらにポンペオ氏は米国内で中国企業が関わるクラウドサービスもやり玉にあげた。アリババ集団や百度(バイドゥ)、騰訊控股(テンセント)を名指しして「外国の敵がアクセスできるクラウドシステムに米国民にとって最も重要な個人情報や企業の知的財産を保管すべきではない」と訴えた。
  世界をつなぐ海底ケーブル計画についても「中国に情報を不正入手させてはならない」と主張した。米政権は米国とアジアを結ぶ海底ケーブル計画に関し、中国政府の影響力が強まる香港との接続に反対する方針を示している。中国の通信事業者が米国の通信ネットワークに接続させないようにする方針も示した。


2020.8.1-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200801/k10012545141000.html
「TikTok アメリカ国内で禁止」トランプ大統領

  米中の対立が激しさを増すなか、アメリカのトランプ大統領は中国企業が提供する世界的に人気の動画共有アプリ「TikTok」に関して「アメリカ国内で禁止するつもりだ」と述べ、現地時間の1日にも大統領権限で禁止のための措置を取る意向を明らかにしました。
  トランプ政権は中国企業が提供する動画共有アプリ「TikTok」に関して、利用者の個人情報が中国政府に悪用されるおそれがあるとして、利用の禁止を含めて対応を検討しています。
  これについてトランプ大統領は31日夜、専用機内で同行記者団に対し、「アメリカ国内で禁止するつもりだ」と述べ、アメリカでの運営を禁じる考えを示しました。
  そのうえで「私にはその権限がある」として、現地時間の1日にも大統領権限で禁止のための何らかの措置をとる意向を明らかにしました。
  一方、アメリカの複数のメディアは大手IT企業のマイクロソフトが「TikTok」のアメリカでの事業の買収に向け交渉していると報じましたが、トランプ大統領はこれには賛同しない考えを示したということです。
  トランプ政権はこのところ中国への圧力を強めていて、激しさを増す両国の対立が世界的に人気のアプリにまで及んだ形です。
  ただ「TikTok」には各国でも懸念の声があがっていて、トランプ大統領が禁止に踏み切れば、各国の対応にも影響を与えそうです。


2020.7.24-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200724/k10012531011000.html
中国 成都の米総領事館の閉鎖を通知 アメリカへの対抗措置

  中国政府は24日、アメリカ政府がテキサス州ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を命じたことに対抗して、四川省成都にあるアメリカ総領事館を閉鎖するようアメリカ側に通知したと発表し、両国の関係悪化は深刻さを増しています。
  中国外務省は、内陸部の四川省成都にあるアメリカ総領事館の設置許可を取り消し、一切の業務を停止するよう、24日午前、アメリカ側に通知したと発表しました。
  これについて汪文斌報道官は24日の記者会見で、「アメリカ側が21日に突然、テキサス州ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を要求してきた。これは国際法や国際関係の基本原則に違反し、両国関係を著しく破壊するものだ」と強く非難したうえで、アメリカ総領事館の閉鎖は「いわれのない行為への正当な対応だ」として、対抗措置であることを明らかにしました。
  そして、今回の措置に至った責任について、「完全にアメリカ側にある」と指摘し、ヒューストンの中国総領事館の閉鎖を撤回し、両国関係を正常な状態に戻すよう求めました。
  また、「成都のアメリカ総領事館員の中には、その資格と異なる活動をしている人がいて、中国の内政に干渉し、中国の安全や利益を損なっている」と指摘し、アメリカ側をけん制しました。
  一方、アメリカのポンペイオ国務長官が23日の演説で、習近平国家主席を名指しして、「全体主義のイデオロギーの信奉者だ」などと強く非難したことについて、汪報道官は、「中国共産党と中国の社会制度を悪意をもって攻撃したものだ。事実をねじ曲げ、イデオロギー的な偏見に満ちている」と激しく反発するなど、両国の関係悪化は深刻さを増しています
成都の総領事館 チベット情勢や人民解放軍分析の拠点
  成都のアメリカ総領事館は1985年に設置され、当初はアメリカ人職員6人の小さな総領事館でしたが、現在は、アメリカ人職員50人余り、中国人スタッフおよそ150人を抱える規模に拡大しています。
  四川省のほか、隣接する大都市の重慶市を含む中国南西部を管轄するとしていますが、とりわけ、中国が人権を抑圧していると指摘されるチベット自治区の情勢や、この地域に強力な部隊を展開する人民解放軍の動向を分析するうえで重要な拠点になっているとみられます。
  成都の総領事館は過去にも米中の外交問題の舞台となっています。
  2012年2月、当時、重慶市の警察トップも兼ねていた副市長が、上司で重慶市トップの薄煕来氏と対立し、総領事館にアメリカへの亡命を求めて駆け込みました
  アメリカは亡命の受け入れを拒みましたが、これがきっかけとなって共産党最高指導部入りを目指していた薄氏は失脚しました。
  この事件をめぐっては、習近平指導部がその年の秋に発足したあと権力集中を急速に進めるきっかけとなったとされています。


2020.7.24-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61896950U0A720C2000000/
米、中国共産党を標的に 強権路線の修正迫る
体制間競争が本格化へ

  【ワシントン=永沢毅】ポンペオ米国務長官は23日の演説で、対中包囲網の構築を通じて中国に強権路線の修正を迫る方針を鮮明にした。トランプ政権には中国共産党の体制そのものに問題の根源があるとの認識が強まりつつある。「新冷戦」とも目される米中対立は新たな段階に入る。

  ポンペオ氏はトランプ政権の対中強硬派の代表格だ。その演説には、複数の点で米国の対中政策が節目にあると印象づける仕掛けがある。その1つは、その舞台として1972年に電撃訪中して対中外交を切り開いたニクソン元大統領ゆかりの博物館を選んだことだ。
  「中国が変わらなければ世界は安全にはならない」「(中国に門戸を開いたことで)フランケンシュタインを作ってしまったのではないかと心配している」――。演説でもニクソン氏の過去の発言などを引用した。
  ニクソン政権で始まった米国のいわゆる「関与政策」に終止符を打とうとするトランプ政権の方針が浮き彫りになった。欧州訪問から時間をおかず、博物館のある西部カリフォルニア州までポンペオ氏がわざわざ足を運んだのはそのためだ。

  もう一つは旧ソ連への言及の多さだ。レーガン元大統領が「信頼せよ、しかし確かめよ」の原則にそって冷戦下でソ連に向き合ったと指摘。「中国に関していうなら『信頼するな、そして確かめよ』になる」との見解を打ち出した。
  「中国共産党はソ連と同じ過ちを繰り返している」とも述べ、その強権主義が潜在的な同盟国を遠ざけているとの認識を示した。冷戦での勝利を意識し、新冷戦とも言われる中国との新たな体制間競争に打ち勝つ決意を示す機会にしたいとの意図がうかがえる。
  ポンペオ氏は「世界の自由国家は、より創造的かつ断固とした方法で中国共産党の態度を変えさせなくてはならない」と宣言した。これまでも中国共産党の体制を問題視する発言を繰り返してきたが、これだけの舞台装置を整えて強権路線の修正を要求したのは初めてだ。トランプ政権としての本気度を表す。
  ただ、対中包囲網の構築は道半ばだ。次世代通信規格5G」からの中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)排除で英国が米国と同調し、フランスも足並みをそろえるとの報道もある。
  ポンペオ氏は演説で「ある北大西洋条約機構(NATO)同盟国は、中国政府が市場へのアクセスを制限することを恐れている」と不満をあらわにした。中国と経済関係の深いドイツやイタリアを念頭においている可能性がある。
  明言はしないが、ポンペオ氏は中国の体制転換を視野に入れているフシがある。演説の場には1989年の中国の天安門事件で民主化運動の学生リーダーらを招き、「自由を愛する中国の国民を元気づけなければいけない」と力説したのがその証左だ。
  「そんなことは言っていない」。ポンペオ氏はFOXニュースのインタビューで、体制転換をめざしているように聞こえるとの質問をこうかわした。憲法改正で国家主席の任期を撤廃し、長期支配をめざす習近平(シー・ジンピン)氏がその行動を改める兆しはみえない。
  在外公館の閉鎖を巡る応酬も続いている。収束のきっかけをつかめない米中対立はチキンレースの様相を呈している


2020.7.22-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200722/k10012528841000.html
「米が総領事館の閉鎖要求」と中国が非難 対抗措置の考え表明

  中国政府は、アメリカ政府がテキサス州ヒューストンにある中国の総領事館を閉鎖するよう要求してきたことを明らかにし、アメリカ側を強く非難するとともに、対抗措置を取る考えを強調しました
  中国外務省の汪文斌報道官は22日の定例記者会見で、中国メディアからの「アメリカ・ヒューストンの総領事館が、24日までの閉鎖と総領事館員の退去を求められたのは本当か」という質問に対し、「アメリカ側が21日に突然、ヒューストンの総領事館の閉鎖を要求してきた」と明らかにしました。
  そのうえで「これは一方的な政治的挑戦で、国際法の基本的ルールや両国の領事条約の規定に違反するものであり、故意に、そして横暴に両国関係を破壊するものだ」と強く非難しました。
  さらに「アメリカ側に直ちに誤った決定を撤回するよう求める。さもなければ、中国政府は必ず断固とした措置を取る」と述べ、対抗措置を取る考えを強調しました。
  ただ、汪報道官は、アメリカ側が総領事館の閉鎖を求めてきた理由については明らかにしませんでした。
国務省報道官 閉鎖を命じたことを認める
  これについて、アメリカ国務省のオータガス報道官は、ロイター通信の取材に対し、アメリカ政府がテキサス州ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を命じたことを認めました。
  理由については「アメリカの知的財産と個人情報を保護するためだ」としているということです。


2020.7.21-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200721/k10012525501000.html
米政府 “ウイグル族の人権を侵害” 中国企業などに制裁

  アメリカ政府は、中国のウイグル族に対する大規模な拘束や生体情報の収集に関わり人権を侵害しているとして、中国の合わせて11の企業と組織に制裁を科すと発表しました。
  アメリカ商務省は20日、車両部品を製造する中国の「今創集団」や生体の研究機関など、合わせて11の企業と組織を新たに制裁対象に加えると発表しました。
  これらの会社などは、大規模な拘束や強制労働、強制的な生体情報の収集や遺伝子の解析を行って、ウイグル族の人権侵害に関与しているとされ、アメリカ企業との取り引きが事実上禁止されます。
  ロス商務長官は「今回の行動は少数民族に対する卑劣な行為にアメリカ企業の商品と技術が使用されないことを保証するものだ」とする声明を出しました。
  商務省は去年10月以降、中国の監視カメラメーカーなど合わせて37の企業と組織に対して同様の制裁措置を発動しています。
  トランプ政権は、新型コロナウイルスや香港の問題、通信機器大手ファーウェイなどハイテク分野で、中国との対立を深めていて、中国企業に対する締めつけを強化しています


2020.7.16-CNN-https://www.cnn.co.jp/tech/35156859.html
米、ファーウェイなど中国ハイテク企業の従業員にビザ制限

ワシントン(CNN) 米国務省のポンペオ長官は15日、華為技術(ファーウェイ)など中国のハイテク企業の従業員に対するビザ制限を発表した。
  ポンペオ長官は国務省で行った記者会見で、「ファーウェイのような中国のテクノロジー企業は、世界で人権侵害を行っている政権を物質的に支援している」と主張、そうした企業の特定の従業員に対してビザ制限を課すと表明した。
  ビザ制限の対象とする従業員の氏名や人数は明らかにしなかった。
  同日発表した声明の中でポンペオ長官は、「当該の外国人の入国が、『米国の外交政策にとって深刻な悪影響を及ぼす可能性があると国務省が信じるに足る理由があれば、特定の従業員の米国への入国資格を認めない」としている。
  ファーウェイについては中国共産党の監視国家の一機関」と位置づけ、「ファーウェイとの取引は、人権侵害者との取引になるという認識について、世界中の通信会社が検討しなければならない」と強調した。
  この前日にはトランプ大統領が、香港の民主主義弾圧目的とみなされている中国の措置に関連して、対中制裁を盛り込んだ法案と大統領令に署名していた。トランプ大統領はさらに、中国が新型コロナウイルスを世界中に解き放ったとして非難していた。
  ポンペオ長官は15日、政治紙「ザ・ヒル」の取材に対し、ファーウェイ以外のハイテク企業に対する制限も検討していると述べ、「ティックトックであれ、他の中国のコミュニケーションプラットフォームやアプリやインフラであれ、当政権は、米国民の情報が中国共産党の手に渡る事態から国民を守る必要性を深刻に受け止めている」と語った。


2020.7.15-BBC news Japan-https://www.bbc.com/japanese/53413341
トランプ氏、香港の優遇措置を廃止 大統領令に署名

  ドナルド・トランプ米大統領は14日、香港に対する優遇措置を廃止する大統領令に署名した。中国が香港国家安全維持法(国安法)を成立させたことを受け、トランプ政権は中国への強硬姿勢を強めている。
  トランプ氏はホワイトハウスの記者会見で、「香港は今後、中国大陸と同様に扱われる」と述べた。「特別な恩恵も、特別な経済的待遇も、注意が必要な技術の輸出もなくなる
  トランプ氏はまた、香港市民の権利を弾圧する中国当局者には制裁を科せる、香港自治法にも署名した。
貿易に暗雲
  優遇措置の廃止により、香港で事業を行う1300以上の米企業が対応に苦慮する可能性がある香港に査証(ビザ)なしで渡航できていた米国民が、今後はビザの規制を受けることも考えられる。
  香港とアメリカ間の低率の関税は消滅するとみられ、年間数百億ドル規模の両国の貿易は今後が危ぶまれている

  アナリストらからは、香港の世界的な金融ハブとしての地位と、中国にとっての国際金融市場への玄関口としての役割が損なわれるだろうとの見方が出ている
  BBCのアジアビジネス担当、カリシュマ・ヴァスワニ編集委員は、香港には低い税率、地理的な利便性、通貨の兌換(だかん)性が残っていることから、米企業などの国際企業がすぐに姿を消すわけではないだろうとする、コンサルタントの見方を紹介。
  ただ、香港でビジネスをするのは厄介だとのイメージが広がれば、中国大陸やシンガポールに移転する動きが出るかもしれないと説明した。

  イギリスの植民地だった香港では、中国大陸にはない自由が認められている。しかし、中国政府によって国安法が施行されたことで、1984年の英中共同声明で合意された一国二制度が終わりを迎えると、多くの香港市民が感じている
  国安法は中国政府批判を違法としており、1997年の香港返還以降で、香港の政治状況に最も大きな変化をもたらしている。

  トランプ氏が署名した香港自治法は、連邦議会が今月初め、超党派で可決していた。同氏はこの法律によって、「圧制的な」国安法をめぐり、中国当局の責任を問うことができると述べた。また、記者からの質問に答えて、中国の習近平国家主席と協議する予定はないと話した。
米中関係の現状
  米中関係はここ数カ月、緊張が高まっている
  アメリカでは11月の大統領選挙が迫りつつあり、トランプ氏と民主党候補ジョー・バイデン前副大統領は互いに、中国に対して弱腰だと相手を批判している。
  米政府は13日、中国の南シナ海での海洋進出について、近隣諸国への威圧だと非難
  トランプ氏は10日、中国の新型コロナウイルス対策を理由に、同国との貿易合意が「第2段階」に至るかは疑わしいと、大統領専用機エアフォース・ワン内で記者団に述べた。
  「中国との関係は深刻なダメージを受けている」、「中国はこの伝染病を止めることができた。止めることができたのに、そうしなかった
  アメリカは先週、世界保健機関(WHO)からの脱退を国連に正式通告した。トランプ氏はWHOについて、中国の影響下にあると非難していた。
  同じ週には、中国の新疆ウイグル自治区で少数派のイスラム教徒の人権を侵害したとして、中国当局者に対する制裁措置を米政府が発表した


2020.7.2-産経新聞 SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/world/news/200702/wor2007020008-n1.html
「米国対中国でなく、自由主義対権威主義をめぐる懸案」 米下院、対中制裁法案可決

  【ワシントン=黒瀬悦成】米下院本会議は1日、香港に約束されていた「高度な自治」の抑圧に関与した中国当局者や組織、金融機関に対して米政府が制裁を科すことを求める「香港自治法案」を全会一致で可決した。同法案は上院で可決済みだが、下院で一部内容を修正したため上院で改めて採決する。上院でも可決されればトランプ大統領の署名を経て成立する。
  法案は、中国が反体制活動家の取り締まり強化などを目的とする「香港国家安全維持法」を施行したのを受け、米議会として中国の強権的な行動に対抗していく狙いがある。
 
  民主党のペロシ下院議長は採決に先立ち、下院外交委員会の香港情勢をめぐる公聴会に出席し、国家安全維持法の施行は「香港の一国二制度の原則の死を意味する。香港の住民に約束された自由を抹殺するものだ」と非難した。
  下院議長が公聴会で発言するのは異例とされる
  下院外交委員会では同日、中国の行動を非難するとともに、国連に香港問題に関する特別報告者を設置するようトランプ政権に働きかけを求めることなどを盛り込んだ決議案が提出された。
  一方、ポンペオ国務長官は1日の記者会見で、香港国家安全維持法の施行に「深い懸念」を表明し、香港に対する優遇措置の廃止を進めていく考えを改めて表明した。
  ポンペオ氏はまた、「これは米国対中国の懸案ではない。自由主義対権威主義をめぐる懸案だ」と訴え、同盟諸国などと中国の脅威への対処に向けた「地球規模の連携を築くことが重要だ」と強調した。
  香港自治法案は、香港の「高度な自治」を認めた1984年の中英共同宣言香港基本法を順守しなかった個人や組織に加え、これらの個人や組織と取引のある金融機関に関し毎年報告するよう国務省に求めた。
  また、大統領に対しては報告の記載対象の資産凍結やビザ(査証)発給停止などの制裁を科すよう求めた。報告された金融機関には米金融機関からの融資を禁じるよう求めている。


2020.6.29-産経新聞 SANKEI NEWS WEB-https://www.sankei.com/economy/news/200629/ecn2006290003-n1.html
米、中国企業排除を強化 保安検査も、欧州に要請

  【ワシントン=黒瀬悦成】米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は28日、トランプ米政権が欧州諸国に対し、中国共産党体制の影響下にある保安検査装置製造大手「同方威視技術(ニュークテック)」の製品を採用しないよう要請していると伝えた。
  トランプ政権は、第5世代(5G)移動通信システム分野で躍進が目立つ中国通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」に関しても、欧州諸国に対して自国のネットワークから排除するよう要請しており、中国によるハイテク覇権確立の阻止に向けて欧州との連携を強化したい考えだ。
  ニュークテックは、空港や港湾、国交検問所での貨物や荷物、旅行者の保安検査装置を欧州諸国に低価格で納入し、急速にシェアを拡大している。
  米政府は、ニュークテックなどの中国保安検査機器メーカーが傘下のネットワークを介して企業・個人情報を盗み取る恐れがあると指摘。同紙が確認した国務省の文書はニュークテックがこうした情報を中国当局に提供する可能性があると指摘したとしている。
  米当局は空港でのニュークテック製品の使用を禁止し、港湾の貨物検査でも中国のシステムを採用していないという。
  一方、フィンランドの税関は今月、ロシア国境での貨物検査でニュークテックの製品採用を決定した。米国が反対したものの、同社以外の入札企業がなかったためとしている。
  ニュークテックは同紙に対し、同社の経営は中国政府から独立しているとし、「集めたデータは顧客が保有するので安全上のリスクはない」と強調した。


2020.6.27-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200627/amp/k10012485911000.html
香港国家安全維持法案 関与の中国当局者 米国への入国制限

アメリカのトランプ政権は、中国が香港での反政府的な動きを取り締まる法案の審議を進めるなど、香港の高度な自治を損ねているとして、こうした措置に深く関わった中国政府の当局者のアメリカへの入国を制限する措置を発表しました。
  中国は香港での反政府的な動きを取り締まる香港国家安全維持法案の審議を進めていて、28日に開く全人代=全国人民代表大会の常務委員会で可決する可能性が出ています。
  この法案に強く反対するアメリカ、トランプ政権のポンペイオ国務長官は26日、声明を発表し、「中国政府はこの法案をはじめ、香港の高度な自治を尊重する義務を果たさず、人権と自由を損ねている」と批判しました。
  そのうえで、こうした措置に深く関わった中国政府の当局者と元当局者、それにその家族に対して、アメリカがビザの発給を制限すると明らかにしました。国務省はNHKの取材に対し、入国制限の対象者の名前は明らかにしないと答えました。
  一方、ポンペイオ長官は「アメリカは香港をめぐる今後の対応について引き続き検討する」として、追加の措置をとることも示唆しました。
  トランプ大統領は先月、中国が法整備を決めたことを受けて当局者への制裁など対抗措置をとる方針を発表していましたが、具体的な措置をとったのは初めてで、中国の法案の審議を強くけん制した形です。
  これに対し、ワシントンにある中国大使館は26日、ツイッターに報道担当者の反論を投稿し、「中国はアメリカの誤った決定に強く反対する。直ちに決定を撤回し、中国への内政干渉をやめるよう強く求める」と反発しています。


2020.6.18-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200618/k10012474721000.html
トランプ大統領「ウイグル人権法案」署名 中国反発必至の情勢

  アメリカのトランプ大統領は、中国でウイグル族への人権侵害があるとして、これに関わった中国の当局者に制裁を科す「ウイグル人権法案」に署名し、法律が成立しました。
  「ウイグル人権法」は、中国の新疆ウイグル自治区で、大勢のウイグル族の人たちが不当に拘束されているとして、アメリカ政府に対しウイグル族の人権侵害に関わった中国の当局者に制裁を科すよう求める内容で、先にアメリカ議会の上下両院で可決されていました。
  これについて、トランプ大統領は17日、法案に署名し、「ウイグル人権法」が成立しました。
  トランプ大統領を巡っては、元側近のボルトン前大統領補佐官が近く出版予定の著書のなかで中国の習近平国家主席に対し、ウイグル族を拘束する施設の建設を容認した疑いがあると記すなど中国国内の人権問題を軽視する姿勢が明らかになり、関心を集めています。
  一方、アメリカでは新型コロナウイルスの感染拡大で中国への反発が広がっていて、トランプ大統領は、このところ秋の大統領選挙に向けて強硬姿勢を示しています。
  ウイグル人権法について、中国政府は法律が成立すれば対抗措置を取る可能性を示唆していて、反発を強めるのは必至の情勢です
中国外務省「内政干渉で強い憤慨」
  アメリカのトランプ大統領が中国でウイグル族への人権侵害があるとして、これに関わった中国の当局者に制裁を科すウイグル人権法案」に署名したことについて、中国外務省は、声明を発表し「このいわゆる法案は、中国政府新疆ウイグル自治区への政策に悪質な攻撃をし、中国の内政に乱暴に干渉するものだ。中国政府は強い憤慨と断固とした反対を表明する」と激しく反発しました。
  そして、「アメリカが直ちに間違いを正すよう再度忠告する。さもなければ中国は必ず反撃し、生じるすべての結果はアメリカが完全に負わなければならない」として対抗措置を取ることも辞さない考えを示しました。


2020.6.2-産経新聞 SANKEI NEWS WEB-https://special.sankei.com/a/international/article/20200602/0002.html
米空母不在 あぶり出す現実

艦内感染で離脱、付け入る中国
  太平洋から米空母が消えた-。3月下旬、日本を含むインド太平洋の米同盟・パートナー諸国の安全保障を揺るがす事態が発生した。南シナ海で覇権的な行動を活発化させている中国を牽制(けんせい)するため同海域で作戦行動中だった米海軍の原子力空母セオドア・ルーズベルトの艦内で、新型コロナウイルス感染が起きていたことが判明したのだ。
  同艦は作戦を中止し、27日に米領グアムに緊急入港した。その時点で確認されていた感染者数は36人。その後も感染者は増え続け、乗組員1人が死亡。最終的に総員約4800人の約4分の1にあたる約1200人の感染が確認されるに至った。
がら空きの太平洋
  問題なのは、乗組員の大半が上陸してウイルス検査と隔離措置を受けた結果、同艦は5月20日までの55日間、グアムにくぎ付けになってしまったことだ。


2020.5.15-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59136260V10C20A5EAF000/
米上院、ウイグル人権法案を可決 中国の反発必至

  【ワシントン=永沢毅】米上院本会議は14日、中国新疆ウイグル自治区で少数民族ウイグル族を弾圧する中国の当局者に制裁を科すようトランプ米政権に求めるウイグル人権法案を全会一致で可決した。ウイグル問題は中国が妥協する余地のない「核心的利益」の1つで、反発を招くのは確実だ。
  法案は、米政府に弾圧や人権侵害に関わった人物のリストを作成して議会に報告するよう求め、それらの人物にビザ(査証)発給の停止や資産凍結といった制裁を科せるようにする内容だ。弾圧に用いる顔認証などの先端技術を使った製品の対中輸出の制限も提案している。
  法案の共同提出者のマルコ・ルビオ上院議員(共和党)は「中国共産党に恐ろしい所業の責任をとらせる」とツイートした。同氏は対中強硬派の議員の1人で知られる。
  下院も2019年12月に類似の法案を407対1の圧倒的な賛成多数で可決していた。上院は14日に可決した法案で内容を修正したため、トランプ大統領の署名を経て成立させるためには下院で改めて可決する必要がある。


2020.5.5-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200505/mcb2005051520010-n1.htm
中国がウイルス危険性隠蔽、医療物資買い占めのため 米政府の内部報告書 

  【ワシントン=黒瀬悦成】AP通信など米主要メディアは4日、米国土安全保障省が新型コロナウイルスに関し、中国が1月初旬の時点でウイルスの危険性を把握していながら、感染拡大の防止に必要なマスクなどの医療物資を海外から大量に買い占めるため、国際社会に意図的に公表しなかったとする内部報告書をまとめていたと報じた。
  トランプ大統領は3日、中国による感染拡大の責任に関し、米情報機関が4日にも調査結果を公表すると述べていたが、この報告書を指しているのかは明らかでない。
  トランプ氏は、ウイルス関連の情報を隠蔽し、感染を世界に拡大させた中国の責任を明確にし、制裁関税を含む「究極の懲罰」を課す意向を表明している。
  報告書は1日付。中国が1月下旬ごろまで世界保健機関(WHO)などに対し、新型コロナは人から人に感染することを知らせないなど危険性を隠しつつ、医療物資の輸入量を増やす一方、輸出量を減らして備蓄したと指摘した。
  中国はまた、一連の行為の発覚を防ぐため、公的には医療物資の輸出制限を否定し、輸出入データの公表を遅らせたとしている。報告書によれば、中国のマスクや手術着、手袋などの輸入量は1月に急増。一方で輸出量の低下も顕著で、いずれも常識的範囲を超えていたとしている。
  報告書は機密指定はされておらず、政府関係者が公務で閲覧するための「対外秘」扱いとなっている。


2020.4.16-Yahoo!!Japanニュース(JIJI COM)-https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200416-00000112-jij-n_ame
米で武漢研究所への疑念浮上 新型コロナ発生源めぐり

  【ワシントン時事】新型コロナウイルスをめぐり、中国湖北省武漢市の研究所で行われていたコウモリのコロナウイルス研究の危険性を指摘したり、「研究所が新型ウイルスの発生源」と指摘したりする米メディアの報道が相次いでいる。
  新型ウイルスは武漢市で最初に発生したが、中国側は発生源の特定を避けている。
   FOXテレビ(電子版)は15日、複数の関係筋の話として、新型コロナウイルスの起源は武漢市にある研究所だったと報じた。生物兵器として開発していたのではなく、中国のウイルス研究が米国と同等以上だと示すための取り組みだったという。関係筋は、ウイルスがコウモリから所員に感染し、それから武漢に広がったとの見方を示した。
   トランプ大統領は15日の記者会見でこの報道について聞かれ、「それについては話したくない。この恐ろしい状況の徹底的な調査をしている」と述べるにとどめ、確認を避けた。
   ワシントン・ポスト紙(同)も14日、米当局者が2018年1月に武漢のウイルス研究所を訪問した後、同研究所がコウモリのコロナウイルスに関する危険性の高い研究を行い、安全性の確保が十分でないと指摘する公電を送っていたと報じた。公電はこのウイルスが人間に感染し、重症急性呼吸器症候群(SARS)のような世界的流行を引き起こす危険性を警告していたという。
   一方、ニューヨーク・タイムズ紙(同)は11日、トランプ政権内に「研究所発生源説」を唱える高官がいるが、米情報機関はその証拠を得ていないと指摘している。


2020.4.3-msnニュース-https://www.msn.com/ja-jp/news/world/
自衛隊も注目する米海兵隊の大胆改革

世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るっているが、安全保障の分野でもこのウイルスの影響が徐々に出てきている。
  世界中が新型ウイルスと戦っている状況にもかかわらず、中国人民解放軍(PLA)は東シナ海や南シナ海などで活発な行動を継続している
  一方、米軍も、実力をつけてきた人民解放軍に対処するための将来に向けた変革の動きを加速している。
  米海兵隊は3月末に「2030年の戦力設計」(“Force Design 2030”)という米海兵隊総司令官デビッド・バーガー大将の署名入りの文書を発表した。
  バーガー大将は稀にみる改革派の将軍で、「我々は、漸進的な改善変更や旧来の能力の改善バージョンなどの中途半端な勧告を受け入れることはできない」と宣言し、海兵隊の大胆な改革を推進中である。
  「2030年の戦力設計」によると、中国の台頭などの新たな安全保障環境に効果的に対処する改革として、海兵隊員1万2000人の削減、戦車の全廃、陸上戦力の骨幹である歩兵大隊の削減、「F-35」の機数削減など大胆な削減を行う提案をしている。
  一方で、海軍前方展開部隊(Naval Expeditionary Forces)の強化、長距離対艦ミサイルや致死性の高い無人機システムの増強を提案している。
  この改革の結果は、日本の安全保障にも大きな影響を与えると予想されるため、本稿において紹介する。
  なお、本稿は、「2030年の戦力設計」だけではなく、バーガー大将の海兵隊改革のエッセンスが書かれた“Notes on Designing the Marine Corps of the Future”や“Commandant’s Planning Guidance”も参考にしている。
2018年の「国家防衛戦略」に基づく変革
  バーガー大将の改革案は、2018年に発表された国家防衛戦略(NDS)に基づいてること、インド太平洋地域における中国の脅威にいかに対処するかをウォーゲーム(軍事作戦のシミュレーション)や部隊実験などで実戦的に分析検討している点に特徴がある。
  2018年の「国家防衛戦略」は、海兵隊の任務の重点を中東のイスラム過激派(いわゆるイスラム国など)への対処から、インド太平洋における中国やロシアの脅威への対処へと転換した。
  米海兵隊は、内陸部から沿岸部へ、そして非国家主体から米軍と対等な競争相手(人民解放軍やロシア軍)へとミッションを大きくシフトさせる。
  つまり、米海兵隊は、イラク戦争やアフガニスタン戦争において、米陸軍とともに主として地上戦力として運用されてきた。しかし、米海兵隊は本来、米海軍の作戦を支援する海軍前方展開部隊としての本来の役割がある。
  バーガー大将の改革の核心は、海兵隊が陸上での作戦を重視するのではなく、米海軍と海兵隊との統合を強化し、海軍との全面的なパートナーシップの下で、海洋沿岸での歴史的な役割に回帰することだ。
米海兵隊の戦力設計の概要
  海兵隊の戦力設計に際し、「海兵隊に提供される予算は増えない」という前提を受け入れている。
  この前提の結果として、不可欠な新しい能力に資源を投入するためには、既存の部隊や兵器を削減しなければならない。
  部隊削減の最も合理的な方法は、歩兵大隊を削減するとともに、削減される歩兵大隊を支援する組織(直接支援火砲、地上機動部隊、攻撃支援航空、軽攻撃航空、支援対象となる地上部隊や航空戦闘部隊の規模に類似した能力を持つ戦闘サービス支援能力)も削減することである。
  主要な焦点が大国間の競争に移り、インド太平洋地域へ新たな焦点が置かれる中で、現在の軍隊は、新たな統合作戦構想、海軍および海兵隊の作戦構想(これについては後述する)を支援するために必要な以下のような能力が不足している。
  長射程の精密火力、中・長距離防空システム、短距離防空システム、情報・監視・偵察(ISR)、電子戦(EW)、殺傷能力と耐久能力が高い長距離無人機システム、海上民兵などを使った「グレーゾーン」戦略を追求する相手に対抗するのに適した殺傷力の低い装備が不足している。
  そして、将来の環境に不適な兵器がある。例えば、戦車、牽引火砲、殺傷力の低い短距離・低耐久性無人機システムだと分析している。
米海兵隊の2030年目標戦力
  何年も極秘で行われたウォーゲームを通じ、中国のミサイルや海軍力が太平洋地域での米軍の優位性を脅かしつつあると判明した。
  海軍前方展開部隊としての役割を予算の枠内で再構築するため、海兵隊は保有する戦車を削減し、軍用機を削減し、兵員総数を1万2000人削減し17万人程度に縮小する。
  バーガー大将は、「質を高めるために海兵隊の規模を縮小すべきだとの結論に至った」と述べている。
主要な目標戦力は以下の通り。
コマンド部隊(Command Element)・3個の法執行大隊(軍事警察大隊)の削減
地上戦闘部隊・ 海兵隊は、対テロ戦争の時代において、米陸軍とともに地上戦力として活動してきた。しかし、今は米海軍とともに海洋や海岸近くで作戦するという本来の任務へ回帰するという決心をした。そして、以下のような目標戦力を設定した。
・7個の歩兵連隊本部:8→7(1個歩兵連隊本部の削減)
・21個の歩兵大隊(現役):24→21(3個大隊の削減)
・6個の歩兵大隊(予備役):8→6(2個大隊の削減)
・残りの歩兵大隊の再設計:歩兵大隊当たりの削減数は約200人
・5個の砲兵中隊:21→5(16個中隊の削減)
・21個のロケット砲兵中隊):14→21(14個中隊の増加) この部隊は長射程の対艦ミサイルを含む部隊で、ウォーゲーム分析から得られた結果によると、この部隊のお陰で海兵隊の前方展開が容易になる。
・ゼロ戦車中隊:7→0(7個中隊と前方配置能力のすべてを削減) この能力は、将来の最優先課題に運用上適していないと結論づける。しかし、米陸軍は引き続き戦車を保有する。陸上戦闘における戦車の重要性を否定するものではない。
・12個の軽装甲偵察(LAR)中隊:9→12 (現在の部隊に比し3個中隊の増加)
・4個の強襲水陸両用中隊:6→4(2個中隊の削減) 歩兵大隊の削減などに伴い、これらを支える部隊も縮小する。
・3個の架橋中隊の削減 この能力は、主に持続的な陸上作戦に関連している。陸上作戦を回避して戦力を設計するという指針を考えると、この架橋能力は明らかに要求を超えている。
・2個のAA中隊の削減と水陸両用強襲輸送車(AAV)および水陸両用戦闘車両(ACV)の削減
航空戦闘部隊(Air Combat Element)
• 18個の現役攻撃戦闘機飛行隊 (VMFA):(F-35BとF-35C飛行機を各飛行隊当たり16機から10機まで削減)
• 14個の現役中型ティルトローター飛行隊(VMM):17→14(3個飛行隊の削減) 歩兵大隊の能力とそれに伴う戦闘支援の削減を考えると、残りのティルトローター部隊で十分である。
• 5個の重輸送ヘリコプター(HMH)中隊:8→5(3個中隊の削減) 5個飛行中隊は、海兵隊の要求及び承認された海軍コンセプトに記述されている将来の戦力を満たすのに十分な能力を提供する。
• 5個の軽攻撃ヘリコプター(HMLA)中隊:7→5(2個中隊の削減)
• 4個の航空給油輸送機(VMGR)中隊:3→4(1個中隊の増加)
• 6個の無人機(VMU)中隊:3→6(3個中隊の増加) 将来の「スタンドイン部隊(敵の脅威圏内に展開する部隊)」として、海兵隊は無人航空機システム(UAS)ファミリーを必要とする。
•海兵航空支援グループ(MWSG)の削減
戦力設計の前提となる作戦構想 海兵隊の戦力設計の前提になるのが作戦構想だ。
 海軍の作戦構想である「分散型海洋作戦(DMO: Distributed Maritime Operations)」、海兵隊と海軍の共同作戦構想である「競争環境下における沿岸作戦(LOCE: Littoral Operations in a Contested Environment)」、「前方展開前線基地作戦(EABO: Expeditionary Advanced Base Operations)」だ。
 海兵隊は敵の攻撃を阻止するため、中国のミサイル、航空機、海軍の兵器の攻撃可能範囲内で戦う部隊(Stand-in Forces)になる。
 バーガー大将が策定した計画の中核は、中国海軍と戦うことを任務とする新たな海軍前方展開部隊だ。
 海軍前方展開部隊は、米海軍の作戦を支援するために、小規模なチームに分散し、揚陸艇などで南シナ海や東シナ海に点在する離島や沿岸部に上陸し、前方展開前線基地(EAB: Expeditionary Advanced Bases)を設定する。
 図1にEABの一例を紹介するので参考にしてもらいたい。図の左側の島にEABが設定されている。
 EABは、敵の長距離精密火力の射程内の離島や沿岸地域に設定される。EABは中隊から大隊規模の小さな前方基地だ
 EABは敵の発見・対処が難しいため、艦艇や航空機よりも長い時間、敵地近くで作戦を行える。敵地近くに長くとどまることで、EABは敵の行動に制約を加える。例えば、対空・対艦攻撃を行い、敵のセンサーを無能力化し、敵の戦力を妨害・阻止する無人機を運用する。
 EABは、海洋ISR装備、沿岸防衛巡航ミサイル(CDCM)、対空ミサイル、戦術航空機のための前方武装給油拠点(FARPs)、滑走路、艦艇・潜水艦の弾薬補給拠点、哨戒艇基地として利用しうる。 これらの兵器や施設は、友軍のセンサーとミサイルの能力を高め、敵のターゲティングを複雑にする。また、重要な海洋地域をコントロールし、シーレーンや海のチョークポイントの安全を強化し、敵の利用を拒否する。 空中・海上・水面下で運用可能な無人システムを運用し、中国海軍がより広い太平洋に進出する直前に、対艦ミサイルで中国の艦艇を破壊する。そのデータは空軍や遠方から長距離ミサイルを発射する海軍部隊にも伝達される
敵の反撃を避けるため、海兵隊は遠隔操縦できる新世代の水陸両用艇を駆使し、48~72時間ごとに島から島へと移動する。他のチームは米戦艦からおとりの舟を使った欺騙(騙すこと)作戦を展開する。
 バーガー大将は、「海兵隊の新たな能力や戦術が人民解放軍に「極めて多くの問題」をもたらすことをウォーゲームが明らかにした」「小規模で常に動き回り、しかも敵と接触する能力を持つ、分散型の海軍前方展開部隊に対抗するのは非常に難しいだろう」と述べている。
米海兵隊改革への筆者の評価
海兵隊改革の動機となった最も大きな要因は脅威認識の変化だ。
 バーガー大将は、「中国の脅威は着実に増している。もし米軍が何もしなければ、われわれは追い抜かれるだろう」中国の脅威を強調しているが、その危機感は妥当だ。 2001年のニューヨーク同時多発テロ以来20年近く続く対テロ戦争を焦点としないで、急速に軍事力を増強し覇権を目指す中国に対して、これにいかに対処するかに焦点を当てたことは妥当である。 そして、米海兵隊が限られた予算の中で、米海軍の作戦を支援するという役割に回帰したことは妥当だと思う。
 人民解放軍の増強が最大の脅威になっている日本にとって、米海兵隊の改革を前向きに評価し、陸海空自衛隊の統合作戦と米軍との共同作戦の充実に向けた努力を継続すべきであろう。
戦車をすべて削減するという方針は非常に大胆だ。
 日本でも、「米海兵隊は戦車を全廃したのだから、陸上自衛隊も戦車を削減しろ」という暴論が出てきそうだ。 しかし、バーガー大将は、「海軍を支援する海兵隊には戦車は必要ないが、大量の戦車を持つ陸軍は必要だ」と発言していることに留意する必要がある。 主として陸上戦闘を遂行する陸上自衛隊や米陸軍と米海兵隊を同列に議論するのは不適切だ。 また、退役した海兵隊の将軍でバーガー大将の改革案を批判する者が少なくないことにも留意する必要がある。
 批判者は、「米海兵隊には多くの任務が付与される。中東、欧州、朝鮮半島などで海兵隊が陸上作戦を命じられた場合に戦車なしでは対応できなくなる。行き過ぎた改革には問題がある」と主張している。
海兵隊の作戦構想である前方展開前線基地作戦(EABO)の多くの要素は、自衛隊の南西防衛構想と共通点がある。
 例えば、離島を拠点とする対艦ミサイルや対空ミサイルにより、人民解放軍の作戦を妨害し、米海軍や米空軍の作戦を容易にするという構想(筆者は自衛隊が実施する人民解放軍に対するA2/ADと呼んでいる)は自衛隊と米海兵隊で共通のものだ。 また、離島における作戦のためにISR能力の向上、無人機システムの導入、長距離ミサイルなどが必要であるという主張には共通するものがある。 以上の諸点を勘案すると、自衛隊、特に陸上自衛隊は米海兵隊の大胆な改革から多くのことを学ぶべきであろう。
 そして、米海兵隊の大胆な改革を契機にして、日米同盟をさらに強化し、中国の脅威に日米共同で対抗すべきである。


2020.3.28-山陽新聞 サンデジdigital-https://www.sanyonews.jp/article/998072
米国の台湾外交支援法が成立 トランプ氏署名、中国反発

【ワシントン共同】トランプ米大統領は27日までに、中国の圧力で台湾と断交する国が相次いでいるのを受けて台湾を外交面で支援する法案に署名、同法は成立した。政権に対し、台湾の安全や繁栄を脅かす行動を取った国に、経済面などでの待遇見直しの検討を求めている。中国は反発しており、新たな火種となる可能性がある。
  同法は国務省に対し、台湾との外交強化の取り組みについて議会に毎年報告を要求。台湾の国際機関への加盟やオブザーバー資格での参加を支援すべきだとも強調しており、米国が働き掛けを活発化させることも予想される。


2020.3.22-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/economy/news/200322/ecn2003220007-n1.html
【米中貿易摩擦2年】対中関税、米産業界から解除求める声強まる 新型コロナの直撃で苦境
(ワシントン 塩原永久)

トランプ米大統領が中国からの輸入品に追加関税を課す大統領令に署名してから、22日で2年。激化を続けた米中の貿易摩擦は、今年1月に第1段階の貿易協定に署名して「一時休戦」した。ただ、新型コロナウイルスの流行が中国から世界に広がる中、米中関係は緊張含みとなっている。
   トランプ氏は米中の「第1段階」貿易協定について「画期的な合意だ」と成果を誇示してきた。だが、新型コロナの打撃を受けた米産業界からは事業の重荷となる対中制裁関税の解除を求める声が強まっている。「第2段階」合意に向けた交渉カードとして政権が温存した関税が景気減速を加速させかねないジレンマをトランプ氏は抱えている。
   米政権は2月に発効した第1段階協定に沿って、中国が知的財産権保護などに取り組んでいるかを見守る構え。米通商代表部(USTR)は中国政府との紛争処理組織を立ち上げた。
   一方、米国は中国からの輸入品3700億ドル(約41兆円)分にかけた追加関税を維持。関税撤廃を求める中国を第2段階の協議に引き出すためだ。
   米景気は好調な消費に支えられて関税の逆風をしのいできた。だが、ここにきて新型コロナの直撃で米国では中小事業者を中心に深刻な経営不安が出てきた。
   中国からの輸入品に関税分が上乗せされるため、輸入業者はコスト負担が重くなる。米アパレル靴協会の幹部は「業界で年35億ドルの関税負担だ。ただちに関税を撤廃してほしい」と米テレビで訴えた。新型コロナで景気の下振れ懸念が強まる中、多くの産業団体が政権や議会に対して関税の撤廃や一時休止を働きかけている。
   トランプ氏は18日の記者会見で、関税撤廃について「理由がない」と否定した。ただ、対中関税を撤廃すれば国内の企業活動を後押しするのも間違いない。
   景気悪化の見通しが一段と深刻になれば、関税解除を条件とした「第2段階」協議を早期に始める機運が米国側から出てくるシナリオも想定される。
(ワシントン 塩原永久)


2020.3.14-CNN Co.JP-https://www.cnn.co.jp/world/35150824.html
中国高官、新型コロナは「米軍が武漢に持ち込んだ可能性」

香港(CNN) 中国外務省の趙立堅報道官は14日までに、新型コロナウイルスの問題に触れ、発生源は思い込まれているような湖北省武漢市ではなく米軍が持ち込んだ可能性があるとする見解をツイッターに投稿した。
  米疾病対策センター(CDC)のレッドフィールド所長が今月11日、米議会委員会で示した発言に言及し、そのビデオ映像も掲載した。同所長は米国内で発生した一部のインフルエンザの犠牲者と新型コロナウイルスの関係が後で判明したと述べていた。ただ、死亡の時期などには触れていなかった。
  趙氏はこれを受け、米国で「いつ感染が始まったのか? 何人が感染したのか? 病院名は? 透明性を! データの公開を!」などとツイートした。ただ、米軍の持ち込み説に関するさらなる根拠は明かさなかった。

米軍兵士の数百人は昨年10月、武漢市で開催された軍のスポーツ選手の国際競技大会に参加していた。中国外務省の別の報道官は13日、国際社会において新型肺炎の発生源については多様な意見が出ていると指摘。陰謀論めいた趙報道官の発言は中国政府の公式的な立場なのかの質問には答えず、中国は常に科学的かつ専門的な方法で対処すべきと考えているとした。
    報道官は今月4日の会見で、発生源について結論はまだ出ていないと表明。中国の著名な感染症の専門家は2月27日の会見で感染は最初に中国内で判明したたものウイルスの出所は中国でない可能性があるともしていた。
  趙報道官の上司でもある華春瑩報道局長は今月12日、ツイッター上でレッドフィールド所長の証言内容に触れ、「中国の新型コロナウイルスと呼ぶのは絶対的に間違いで不適切」とも主張していた。


2020.2.19-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/200219/wor2002190016-n1.html
米政権、中国国営メディア5社を「共産党プロパガンダ機関」認定

【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米政権は18日、中国の国営メディア5社を「中国共産党のプロパガンダ(政治宣伝)機関」と認定した。国務省は5社に対し、米国内にある外国の大使館や総領事館と同様に、米国で活動する従業員の名簿や雇用状況、米国内で保有・賃貸する不動産を届け出ることを義務付けた。
   米中は1月、貿易摩擦の緩和に向けた「第1段階」の合意文書に署名したが、今回の措置は米政権が中国の不適切な行為には厳然と対処していく構えを改めて打ち出したといえる。
   国務省によると、認定の対象となったのは新華社通信、外国語放送の中国環球電視網(CGTN)、ラジオ部門の中国国際放送、英字紙チャイナ・デーリーおよび同紙の傘下企業。
   国務省高官は今回の決定の理由について記者団に、中国政府がメディアに対する規制を強化していることや、習近平体制がこれら国営メディアを使って中国に都合の良い政治宣伝を一層積極的に展開しているためだと説明した。
  同省高官の一人は、中国政府による国営メディアに対する管理は「ますます厳格になっている」と強調。別の高官も「習近平体制になって、報道内容と編集権限に対する統制は厳しくなる一方だ」と指摘した。
   5社は、米国内で新たに不動産を購入または賃貸する際に、米政府から事前に了承を得ることも義務付けられた。
   一方、今回の措置を受け、中国政府が報復として欧米メディアに対する規制を強めてくる恐れもある。高官の一人は「外国メディアは中国国内で既に厳格な規制の下で仕事を強いられている」と語った上で、今回の措置は5社による米国内での活動を規制するものではないと説明した。


2020.2.14-福井新聞-https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020021401001221.html
米中、制裁関税の税率引き下げ-第1合意発効、貿易摩擦は休戦

【ワシントン共同】米国は14日午前0時(日本時間午後2時)すぎ、テレビや衣服など中国からの輸入品1200億ドル(約13兆2千億円)分に対する制裁関税の税率を15%から半分に引き下げた。米中貿易協議の「第1段階」合意が発効し、中国も米国からの輸入品750億ドル分に課している関税率を半減。景気悪化を回避するため貿易摩擦は休戦に入る。
 米国の制裁緩和は2018年7月に追加関税を発動してから初めて。産業機械や日用品など2500億ドル分には25%の高関税を維持し、産業政策の見直しを迫る。これに対し中国は容易に譲歩しない構えだ。米中の対立解消の道筋は見えない。


2020年1月17日-東京新聞 TOKYO WEB-https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/202001/CK2020011702000172.html
米中貿易 第1段階署名 米国、制裁緩和 中国、輸入増 署名

米中両政府は十五日(日本時間十六日未明)、ワシントンで貿易協議「第一段階」の合意文書に署名した。米国は対中関税を引き下げ、中国は米国からの農産品などの輸入を二年で二千億ドル(約二十二兆円)増やす。貿易戦争の一時休戦で世界経済の減速懸念が和らぎそうだが、中国の国有企業改革といった構造問題は「第二段階」へと先送りとなった。
  二〇一八年七月に貿易戦争が始まってから米国が対中関税を引き下げるのは初めて。トランプ大統領と中国の劉鶴(りゅうかく)副首相が文書に署名した。トランプ氏は「公平で互恵的な貿易に向けた歴史的な一歩だ」と成果を強調。劉氏は「両国の意見の相違は話し合いで解決できる」との習近平(しゅうきんぺい)国家主席の書簡を読み上げた。
  トランプ氏は十一月に迫る大統領選をにらみ、中国への輸出増という通商政策の成果で、支持基盤の農家の支持をつなぎ留め、貿易赤字削減の公約実現をアピールしたい考え。中国側は貿易戦争の休戦で国内の景気悪化に歯止めをかける狙いだ。
 米国は昨年九月に発動した千二百億ドル相当の中国製品に対する制裁関税を現行の15%から7・5%に半減する。二月中旬に実施する。中国側は米国からの輸入拡大に加え、知的財産権保護強化や金融サービス開放などを実施する。合意に違反した場合、紛争を解決する方法も盛り込んだ。

産業補助金 第2弾の焦点
米国と中国が十五日署名した「第一段階」の合意で、世界経済を翻弄し続けてきた米中貿易摩擦は「一時休戦」となった。だが「第二段階」へ先送りとなった国有企業改革など中国の「国家資本主義」の根幹に関わる問題で中国が譲歩する見込みは薄く、今後の交渉次第では貿易摩擦が再燃する恐れもある。 (アメリカ総局・白石亘、中国総局・坪井千隼)

融和ムード演出
  「中国との公平で互恵的な貿易に向けた重要な一歩だ。私は大統領に立候補した際に強い行動を誓い、約束を守った」。トランプ大統領は十五日、ホワイトハウスで開かれた調印式で、中国に米国製品の輸入拡大を認めさせた成果を誇った。これに中国の劉鶴副首相も「今回の合意は米中だけでなく、世界のためになる」と融和ムードで応じた。
  二年近くに及ぶ貿易戦争の休戦を宣言した米中。大統領選が迫り、支持者向けに成果がほしいトランプ氏と景気減速に歯止めをかけたい中国の妥協の産物だ。ただ米国は中国の産業補助金など構造改革を先送りし、中国も三千七百億ドル(約四十兆円)相当の輸出品に関税を上乗せされたままで「米中関係の底流にある技術や安全保障を巡る対立は加速した」(米メディア)。
  米国は第二段階の交渉をにらみ、すでに中国包囲網づくりに動く。ライトハイザー米通商代表は十四日、ワシントンで日欧の貿易担当相と会合を開き、市場をゆがめる産業補助金に関し世界貿易機関(WTO)に規制強化を求めることで一致。過剰生産を行う産業などの補助金を厳しく規制する内容で、国際社会を巻き込み中国へ圧力を強める。

根幹では譲らず
  「米農産物の輸入増加は、中国の消費者の需要を満たす。知的財産権保護も中国経済の発展に必要だ」。中国共産党機関紙「人民日報」は十六日、中国側が譲歩した輸入拡大や知財保護などを正当化する専門家の論評記事を掲載した。「米国に譲歩しすぎだ」との批判をかわす狙いだが、実際に妥協が可能な内容だったといえる。
  中国ではアフリカ豚コレラ(ASF)の感染拡大で豚肉が高騰。米農産物の輸入拡大は、社会不安につながりかねない食料価格を安定させることになる。知財保護強化は、官民ともに急速に科学技術水準を向上させる中国にとって「企業の新たなビジネスや、研究開発を促進する」(人民日報)。
  だが第一段階で先送りになった国有企業改革や産業補助金問題は、妥協の余地がほとんどない。国有企業を民間と同列に扱うことを迫った米国に対し、中国側は「国有企業の発展を妨げる」(中国国営の新華社通信)と反発。国有企業は共産党政権を支える基礎組織であり、譲歩は政権基盤を揺るがしかねないからだ。
  また中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」を巡る問題で焦点が当たった米中ハイテク争いも、「第二段階」の交渉を困難にさせる。中国政府は、税制優遇を含む産業補助金でハイテク産業育成を進めており、成長戦略や安全保障にからむ産業補助金問題での譲歩は、容易ではないとみられる。

米中貿易合意文書の骨子
▼企業秘密保護の強化で合意
▼中国は知的財産権保護の行動計画を公表
▼相手国企業への技術移転強要を禁止
▼中国は米産農畜産品の輸入手続きを簡素化
▼中国は保険分野の出資規制を撤廃
▼輸出競争力を得るための為替操作を回避
▼中国は今後の2年で、米国からの輸入を2017年比計2000億ドル(約22兆円)増加

 (ワシントン・共同)


2020.1.16-SankeiBiz-http://www.sankeibiz.jp/macro/news/200116/mca2001162030013-n1.htm
米中もろい「休戦協定」 管理貿易に批判も 第1段階合意

【ワシントン=塩原永久】米国と中国が署名した「第1段階」貿易協定は、火種を抱えた不安定な「休戦協定」といえる。米国が中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の締め付けを強め、第5世代(5G)通信技術や人工知能(AI)をめぐる米中の覇権争いは激化する一方だ。協定は中国に合意を順守させる仕組みを設けたが、これが機能しなければ、米国が「懲罰」として関税発動を再開する懸念が残る。

「華為をチェスの駒のように扱わない。安全保障問題が最優先だ」

米中が署名式を開いた15日、ムニューシン米財務長官は米CNBCテレビでそう話し、機密情報流出の懸念があるとみる中国製の排除策を緩めたり、華為問題を交渉材料にしたりする考えはないと強調した。
  ロイター通信は14日、華為への禁輸措置を発動した米商務省が、同社に対する輸出管理をさらに強化する検討をしていると伝えた。米国務省も、中国製を排除するよう求める各国への働きかけを続けており、米中両国はハイテク分野で火花を散らす。
  一方、米中が署名した貿易協定は、知的財産権の保護や技術移転強要の是正を盛り込んだ。中国政府の取り組みを検証できるようにし、紛争解決の手続きも定めている。閣僚級や次官級が定期的に協議し、違反があれば問題の深刻度に応じた対抗措置が認められる。
 ただ、違反の有無や対抗措置の妥当性は米中がそれぞれ判断し、対立が解消できなければ「協定からの脱退」(米政府高官)が最終手段となる。協定が無効となり米国が再び制裁関税を活用する可能性がある。


2020.1.16-JETRO(日本貿易振興機構-ジェトロ)-https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/01/db4ec6af45eab07d.html
米財務省、中国に対する為替操作国の認定を解除

米国財務省は1月13日、2019年下半期の報告書(為替政策報告書)を公表した。財務省は2019年8月5日、中国を為替操作国に認定していたが、今回の報告書において「現時点で中国を為替操作国に認定すべきではないと判断した」として、これを解除した。
  報告書では、米中両国は交渉を通じて、貿易と通貨の特定問題を含む第1弾の合意に達しており、この中で「中国は競争的な通貨切り下げを行わず、競争的な目的で為替レートを目標にしないという実効可能性のある約束」をし、「為替レートと外貨準備高に関する関連情報を公開することにも同意」しているとした。スティーブン・ムニューシン財務長官は、声明文において「中国は透明性と説明責任を推進しながら、競争的な通貨切り下げを行わないという実効可能性のある約束をした」と、解除の理由を説明した。
 為替操作国の認定を行うに当たっては、2015年貿易円滑化・貿易執行法に基づき、米国との物品貿易の輸出入総額が400億ドルを超える国・地域を対象に、
(1)大幅な対米貿易黒字(物品の対米貿易黒字額が年間200億ドル以上)、
(2)実質的な経常収支黒字(経常収支黒字額がGDP比2%以上)、
(3)持続的で一方的な為替介入(介入総額をGDP比2%以上かつ過去12カ月間のうち6カ月以上の介入実績)、

という3つの基準が設定されている。
  今回の報告書では、前回と同様に、3つの基準全てに該当した国はなかったが、監視リストには、前回も取り上げられた中国、日本、韓国、ドイツ、イタリア、アイルランド、シンガポール、マレーシア、ベトナムの9カ国のほか、スイスが新たに加わり、計10カ国が監視対象とされた。
  中国については、(1)のみが該当していたが、米国の貿易赤字において巨大かつ不均衡な割合を占めると米国が判断したことから、引き続き監視対象とされた。報告書では、「市場開放をより進めるための断固たる措置を講じる必要がある」と指摘した
  日本、ドイツ、韓国、イタリア、マレーシアは引き続き(1)と(2)、シンガポールは(2)と(3)の2つの基準にそれぞれ該当していたことから、前回と同様に監視対象とされた。アイルランドとベトナムは今回(1)のみに該当していたが、前回報告書で(1)と(2)に該当していたことから、引き続き監視対象となった(注1)。スイスは(1)と(2)に該当していたことから、新たに監視対象追加とされた。(注2)また、次回報告書では、アイルランドが監視対象から外される可能性があるとした一方で、今回は監視対象とされていない台湾やタイについて主要基準に抵触する可能性があるとした。
  これに加えて、1988年包括通商競争力法に基づき、各国が国際収支の実効的な調整を妨げ、不公平な競争優位を得ることを目的として、自国通貨・米ドル間の為替レートを操作しているかどうかについても検討することとされている。しかし、この基準に照らして、今回は為替操作を行っていると認定される国はなかったとした。・・・・・
  (注1)監視リストに一度挙げられた国は、少なくとも向こう2回分(1年分)の報告書で対象国として取り上げられ、3つの基準にみられる改善が一時的なものでなく、永続的なものになっているかどうかについて評価される。
  (注2)スイスは、2016年10月から2018年10月までの報告書においても、監視対象とされていた。(権田直)


2020.1.15-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200115/mcb2001151505027-n1.htm
米中「第1段階」合意 署名前から批判噴出 中国の構造改革先送り懸念

【ワシントン=塩原永久】米中両政府による貿易協議の「第1段階」合意の署名を15日に控え、米産業界や政界から合意内容への注文や批判がさっそく噴出している。中国による知的財産権保護などの構造改革が、第2段階の協議に先送りされるとの懸念が根深いためだ。11月の米大統領選挙に向けて、トランプ米大統領が防戦に回る局面も想定される。
  民主党は14日、上院トップのシューマー院内総務がトランプ大統領に、「弱い合意は米国労働者や企業に害を及ぼす」と指摘する書簡を送付したと発表した。
  シューマー氏は15日にホワイトハウスで署名を予定する米中合意で、中国に構造改革を確約させるとしてきた政権の取り組みが、不十分に終わるとの懸念を表明。中国による米農産品の大量購入を評価し、米政府が対中制裁関税の一部低減に応じる内容の第1段階合意は、トランプ政権が中国に大幅な譲歩をしたとの印象を与えかねない。
  トランプ氏の弾劾問題などで同氏と鋭く対立するシューマー氏だが、対中政策については“盟友”となってきた。米企業に対する知財窃取や技術移転の強制といった中国の貿易慣行を、シューマー氏は問題視。関税発動を辞さず中国に厳しく対処するトランプ氏に、エールを送ってきたのだ。
  それだけにシューマー氏は第1段階合意に関し、党派を超えてトランプ氏の対中交渉を称賛してきた自身の立場が「無駄骨になる」と危ぶむ。
  米産業界からも、中国に構造改革を迫る第2段階協議を急ぐよう求める声が出ている。米商工会議所のドナヒュー会頭は9日の年頭所見で、「まだ道は遠い。第2段階協議では、米企業を不利にしている中国の貿易・産業政策を是正させねばならない」と述べ、トランプ政権にくぎを刺した。
  一方、トランプ政権は「歴代政権がなし得なかった大きな成果だ」(経済閣僚)と合意内容を擁護する構えだ。だが、民主党や産業界が求める第2段階の合意について、トランプ氏は今月、ツイッターへの投稿で11月の大統領選後に先送りする考えを示した。ロイター通信によると、ムニューシン米財務長官は14日、第2段階での合意まで、計3700億ドル(約41兆円)の対中制裁関税を維持する意向を表明した。



2019.8.5-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/jiji/jiji26/
1からわかる!「米中貿易摩擦」(後編)影響は?今後は?

  日本にとって大事な貿易相手、米中の対立はどうなるの?壁となる「赤字」と「経済の仕組み」 2つの問題って何?日本への影響は?今後どうなるの?「米中貿易摩擦」の最低限抑えるべきポイントを学生リポーターが1から聞いてきました。
・・・



2019.8.5-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/jiji/jiji6/
1からわかる!「米中貿易摩擦」【前編】そもそもの経緯は?

  「世界経済にとっていちばんのインパクトがある」「行方を注視している」-「人事が選ぶマストニュース」のコーナーで多くの企業が取り上げた「米中貿易摩擦」。マストなニュース…、これは知らなきゃマズい…。国際情勢と経済の両方に詳しい布施谷博人デスクに1から聞きました。(取材日2019年3月17日、改訂版7月16日取材)

  事の起こりは、トランプ大統領になってからです。動きが表面化したのは1年前、2018年が最初です。
  最初にトランプ大統領が問題視したのは、中国で作る鉄鋼製品でした
  鉄の棒というか、ニュースなどで見かける真っ赤なもの。あれが中国で大量に作られて、すごく安く世界にばらまかれていると彼は問題視したんです。
  それで2018年3月、その鉄に「おれは関税をかけるぞ」と始まった。
  ・・・








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