アメリカ対中国(経済戦争)-1


2020.2.14-福井新聞-
米中、制裁関税の税率引き下げ-第1合意発効、貿易摩擦は休戦

【ワシントン共同】米国は14日午前0時(日本時間午後2時)すぎ、テレビや衣服など中国からの輸入品1200億ドル(約13兆2千億円)分に対する制裁関税の税率を15%から半分に引き下げた。米中貿易協議の「第1段階」合意が発効し、中国も米国からの輸入品750億ドル分に課している関税率を半減。景気悪化を回避するため貿易摩擦は休戦に入る。
 米国の制裁緩和は2018年7月に追加関税を発動してから初めて。産業機械や日用品など2500億ドル分には25%の高関税を維持し、産業政策の見直しを迫る。これに対し中国は容易に譲歩しない構えだ。米中の対立解消の道筋は見えない。


2020年1月17日-東京新聞 TOKYO WEB-https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/202001/CK2020011702000172.html
米中貿易 第1段階署名 米国、制裁緩和 中国、輸入増 署名

米中両政府は十五日(日本時間十六日未明)、ワシントンで貿易協議「第一段階」の合意文書に署名した。米国は対中関税を引き下げ、中国は米国からの農産品などの輸入を二年で二千億ドル(約二十二兆円)増やす。貿易戦争の一時休戦で世界経済の減速懸念が和らぎそうだが、中国の国有企業改革といった構造問題は「第二段階」へと先送りとなった。
  二〇一八年七月に貿易戦争が始まってから米国が対中関税を引き下げるのは初めて。トランプ大統領と中国の劉鶴(りゅうかく)副首相が文書に署名した。トランプ氏は「公平で互恵的な貿易に向けた歴史的な一歩だ」と成果を強調。劉氏は「両国の意見の相違は話し合いで解決できる」との習近平(しゅうきんぺい)国家主席の書簡を読み上げた。
  トランプ氏は十一月に迫る大統領選をにらみ、中国への輸出増という通商政策の成果で、支持基盤の農家の支持をつなぎ留め、貿易赤字削減の公約実現をアピールしたい考え。中国側は貿易戦争の休戦で国内の景気悪化に歯止めをかける狙いだ。
 米国は昨年九月に発動した千二百億ドル相当の中国製品に対する制裁関税を現行の15%から7・5%に半減する。二月中旬に実施する。中国側は米国からの輸入拡大に加え、知的財産権保護強化や金融サービス開放などを実施する。合意に違反した場合、紛争を解決する方法も盛り込んだ。

産業補助金 第2弾の焦点
米国と中国が十五日署名した「第一段階」の合意で、世界経済を翻弄し続けてきた米中貿易摩擦は「一時休戦」となった。だが「第二段階」へ先送りとなった国有企業改革など中国の「国家資本主義」の根幹に関わる問題で中国が譲歩する見込みは薄く、今後の交渉次第では貿易摩擦が再燃する恐れもある。 (アメリカ総局・白石亘、中国総局・坪井千隼)

融和ムード演出
  「中国との公平で互恵的な貿易に向けた重要な一歩だ。私は大統領に立候補した際に強い行動を誓い、約束を守った」。トランプ大統領は十五日、ホワイトハウスで開かれた調印式で、中国に米国製品の輸入拡大を認めさせた成果を誇った。これに中国の劉鶴副首相も「今回の合意は米中だけでなく、世界のためになる」と融和ムードで応じた。
  二年近くに及ぶ貿易戦争の休戦を宣言した米中。大統領選が迫り、支持者向けに成果がほしいトランプ氏と景気減速に歯止めをかけたい中国の妥協の産物だ。ただ米国は中国の産業補助金など構造改革を先送りし、中国も三千七百億ドル(約四十兆円)相当の輸出品に関税を上乗せされたままで「米中関係の底流にある技術や安全保障を巡る対立は加速した」(米メディア)。
  米国は第二段階の交渉をにらみ、すでに中国包囲網づくりに動く。ライトハイザー米通商代表は十四日、ワシントンで日欧の貿易担当相と会合を開き、市場をゆがめる産業補助金に関し世界貿易機関(WTO)に規制強化を求めることで一致。過剰生産を行う産業などの補助金を厳しく規制する内容で、国際社会を巻き込み中国へ圧力を強める。

根幹では譲らず
  「米農産物の輸入増加は、中国の消費者の需要を満たす。知的財産権保護も中国経済の発展に必要だ」。中国共産党機関紙「人民日報」は十六日、中国側が譲歩した輸入拡大や知財保護などを正当化する専門家の論評記事を掲載した。「米国に譲歩しすぎだ」との批判をかわす狙いだが、実際に妥協が可能な内容だったといえる。
  中国ではアフリカ豚コレラ(ASF)の感染拡大で豚肉が高騰。米農産物の輸入拡大は、社会不安につながりかねない食料価格を安定させることになる。知財保護強化は、官民ともに急速に科学技術水準を向上させる中国にとって「企業の新たなビジネスや、研究開発を促進する」(人民日報)。
  だが第一段階で先送りになった国有企業改革や産業補助金問題は、妥協の余地がほとんどない。国有企業を民間と同列に扱うことを迫った米国に対し、中国側は「国有企業の発展を妨げる」(中国国営の新華社通信)と反発。国有企業は共産党政権を支える基礎組織であり、譲歩は政権基盤を揺るがしかねないからだ。
  また中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」を巡る問題で焦点が当たった米中ハイテク争いも、「第二段階」の交渉を困難にさせる。中国政府は、税制優遇を含む産業補助金でハイテク産業育成を進めており、成長戦略や安全保障にからむ産業補助金問題での譲歩は、容易ではないとみられる。

米中貿易合意文書の骨子
▼企業秘密保護の強化で合意
▼中国は知的財産権保護の行動計画を公表
▼相手国企業への技術移転強要を禁止
▼中国は米産農畜産品の輸入手続きを簡素化
▼中国は保険分野の出資規制を撤廃
▼輸出競争力を得るための為替操作を回避
▼中国は今後の2年で、米国からの輸入を2017年比計2000億ドル(約22兆円)増加

 (ワシントン・共同)


2020.1.16-SankeiBiz-http://www.sankeibiz.jp/macro/news/200116/mca2001162030013-n1.htm
米中もろい「休戦協定」 管理貿易に批判も 第1段階合意

【ワシントン=塩原永久】米国と中国が署名した「第1段階」貿易協定は、火種を抱えた不安定な「休戦協定」といえる。米国が中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の締め付けを強め、第5世代(5G)通信技術や人工知能(AI)をめぐる米中の覇権争いは激化する一方だ。協定は中国に合意を順守させる仕組みを設けたが、これが機能しなければ、米国が「懲罰」として関税発動を再開する懸念が残る。

「華為をチェスの駒のように扱わない。安全保障問題が最優先だ」

米中が署名式を開いた15日、ムニューシン米財務長官は米CNBCテレビでそう話し、機密情報流出の懸念があるとみる中国製の排除策を緩めたり、華為問題を交渉材料にしたりする考えはないと強調した。
  ロイター通信は14日、華為への禁輸措置を発動した米商務省が、同社に対する輸出管理をさらに強化する検討をしていると伝えた。米国務省も、中国製を排除するよう求める各国への働きかけを続けており、米中両国はハイテク分野で火花を散らす。
  一方、米中が署名した貿易協定は、知的財産権の保護や技術移転強要の是正を盛り込んだ。中国政府の取り組みを検証できるようにし、紛争解決の手続きも定めている。閣僚級や次官級が定期的に協議し、違反があれば問題の深刻度に応じた対抗措置が認められる。
 ただ、違反の有無や対抗措置の妥当性は米中がそれぞれ判断し、対立が解消できなければ「協定からの脱退」(米政府高官)が最終手段となる。協定が無効となり米国が再び制裁関税を活用する可能性がある。


2020.1.16-JETRO(日本貿易振興機構-ジェトロ)-https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/01/db4ec6af45eab07d.html
米財務省、中国に対する為替操作国の認定を解除

米国財務省は1月13日、2019年下半期の報告書(為替政策報告書)を公表した。財務省は2019年8月5日、中国を為替操作国に認定していたが、今回の報告書において「現時点で中国を為替操作国に認定すべきではないと判断した」として、これを解除した。
  報告書では、米中両国は交渉を通じて、貿易と通貨の特定問題を含む第1弾の合意に達しており、この中で「中国は競争的な通貨切り下げを行わず、競争的な目的で為替レートを目標にしないという実効可能性のある約束」をし、「為替レートと外貨準備高に関する関連情報を公開することにも同意」しているとした。スティーブン・ムニューシン財務長官は、声明文において「中国は透明性と説明責任を推進しながら、競争的な通貨切り下げを行わないという実効可能性のある約束をした」と、解除の理由を説明した。
 為替操作国の認定を行うに当たっては、2015年貿易円滑化・貿易執行法に基づき、米国との物品貿易の輸出入総額が400億ドルを超える国・地域を対象に、
(1)大幅な対米貿易黒字(物品の対米貿易黒字額が年間200億ドル以上)、
(2)実質的な経常収支黒字(経常収支黒字額がGDP比2%以上)、
(3)持続的で一方的な為替介入(介入総額をGDP比2%以上かつ過去12カ月間のうち6カ月以上の介入実績)、

という3つの基準が設定されている。
  今回の報告書では、前回と同様に、3つの基準全てに該当した国はなかったが、監視リストには、前回も取り上げられた中国、日本、韓国、ドイツ、イタリア、アイルランド、シンガポール、マレーシア、ベトナムの9カ国のほか、スイスが新たに加わり、計10カ国が監視対象とされた。
  中国については、(1)のみが該当していたが、米国の貿易赤字において巨大かつ不均衡な割合を占めると米国が判断したことから、引き続き監視対象とされた。報告書では、「市場開放をより進めるための断固たる措置を講じる必要がある」と指摘した
  日本、ドイツ、韓国、イタリア、マレーシアは引き続き(1)と(2)、シンガポールは(2)と(3)の2つの基準にそれぞれ該当していたことから、前回と同様に監視対象とされた。アイルランドとベトナムは今回(1)のみに該当していたが、前回報告書で(1)と(2)に該当していたことから、引き続き監視対象となった(注1)。スイスは(1)と(2)に該当していたことから、新たに監視対象追加とされた。(注2)また、次回報告書では、アイルランドが監視対象から外される可能性があるとした一方で、今回は監視対象とされていない台湾やタイについて主要基準に抵触する可能性があるとした。
  これに加えて、1988年包括通商競争力法に基づき、各国が国際収支の実効的な調整を妨げ、不公平な競争優位を得ることを目的として、自国通貨・米ドル間の為替レートを操作しているかどうかについても検討することとされている。しかし、この基準に照らして、今回は為替操作を行っていると認定される国はなかったとした。・・・・・
  (注1)監視リストに一度挙げられた国は、少なくとも向こう2回分(1年分)の報告書で対象国として取り上げられ、3つの基準にみられる改善が一時的なものでなく、永続的なものになっているかどうかについて評価される。
  (注2)スイスは、2016年10月から2018年10月までの報告書においても、監視対象とされていた。(権田直)


2020.1.15-SankeiBiz-https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200115/mcb2001151505027-n1.htm
米中「第1段階」合意 署名前から批判噴出 中国の構造改革先送り懸念

【ワシントン=塩原永久】米中両政府による貿易協議の「第1段階」合意の署名を15日に控え、米産業界や政界から合意内容への注文や批判がさっそく噴出している。中国による知的財産権保護などの構造改革が、第2段階の協議に先送りされるとの懸念が根深いためだ。11月の米大統領選挙に向けて、トランプ米大統領が防戦に回る局面も想定される。
  民主党は14日、上院トップのシューマー院内総務がトランプ大統領に、「弱い合意は米国労働者や企業に害を及ぼす」と指摘する書簡を送付したと発表した。
  シューマー氏は15日にホワイトハウスで署名を予定する米中合意で、中国に構造改革を確約させるとしてきた政権の取り組みが、不十分に終わるとの懸念を表明。中国による米農産品の大量購入を評価し、米政府が対中制裁関税の一部低減に応じる内容の第1段階合意は、トランプ政権が中国に大幅な譲歩をしたとの印象を与えかねない。
  トランプ氏の弾劾問題などで同氏と鋭く対立するシューマー氏だが、対中政策については“盟友”となってきた。米企業に対する知財窃取や技術移転の強制といった中国の貿易慣行を、シューマー氏は問題視。関税発動を辞さず中国に厳しく対処するトランプ氏に、エールを送ってきたのだ。
  それだけにシューマー氏は第1段階合意に関し、党派を超えてトランプ氏の対中交渉を称賛してきた自身の立場が「無駄骨になる」と危ぶむ。
  米産業界からも、中国に構造改革を迫る第2段階協議を急ぐよう求める声が出ている。米商工会議所のドナヒュー会頭は9日の年頭所見で、「まだ道は遠い。第2段階協議では、米企業を不利にしている中国の貿易・産業政策を是正させねばならない」と述べ、トランプ政権にくぎを刺した。
  一方、トランプ政権は「歴代政権がなし得なかった大きな成果だ」(経済閣僚)と合意内容を擁護する構えだ。だが、民主党や産業界が求める第2段階の合意について、トランプ氏は今月、ツイッターへの投稿で11月の大統領選後に先送りする考えを示した。ロイター通信によると、ムニューシン米財務長官は14日、第2段階での合意まで、計3700億ドル(約41兆円)の対中制裁関税を維持する意向を表明した。








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