アメリカ2021年大統領ジョン・バイデン-1



2021.02.05-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210205/k10012851101000.html
米 バイデン大統領「最も重大な競争相手」中国に対抗姿勢強調

  アメリカのバイデン大統領は外交方針について演説し、中国を「最も重大な競争相手」と位置づけたうえで、「アメリカの繁栄や民主的な価値観への挑戦に直接、対処する」として、経済、安全保障、人権、知的財産などの分野で対抗していく姿勢を強調しました。

  バイデン大統領は4日、包括的な外交方針について国務省で初めて演説しました。
  演説ではまず「アメリカに肩を並べようとする中国の野心や民主主義を傷つけようとするロシアの決意といった権威主義の増長に向き合わなければならない」と述べました。
  そのうえで中国を「最も重大な競争相手」と呼び、「アメリカの繁栄や安全保障、民主的な価値観への挑戦に直接、対処する」と述べ、具体的に「経済の悪用と攻撃的で威圧的な行動、人権と知的財産、グローバル・ガバナンスへの攻撃」を挙げて、これらの分野で中国に対抗していく姿勢を強調しました。
  一方で「アメリカの国益に利する場合は中国政府と協力していく用意はある」とも述べ、新型コロナウイルスや気候変動、核拡散といった世界的な課題への対応を念頭に、中国との協力も探る考えを示しました。
  また演説では、各国との同盟を「アメリカの最もすばらしい財産だ」としたうえで、日本をヨーロッパなどの同盟国や韓国、オーストラリアとともに「最も関係の深い友好国」と呼び、改めて連携を強化していく方針を強調しました。
  さらにバイデン大統領は、外交政策ではアメリカの中産階級の利益を踏まえると強調し、貿易面では国内の雇用や産業の保護を重視する考えを示しました。
バイデン大統領 外交演説の要旨
【同盟関係】
  「アメリカは戻ってきた。対外政策の中心に外交が戻ってきた」としたうえで、同盟国との関係を修復し再び国際社会に関与するとしました。
そのうえで「権威主義を進め、アメリカに肩を並べようとする野心を持った中国や、アメリカの民主主義を妨害し傷つけようとするロシアに向き合わなければならない」と述べました。
  日本をヨーロッパの同盟国や韓国、オーストラリアなどとともに「最も関係の深い友好国と呼び、改めて連携を強化していくと述べました。
  新型コロナウイルスや気候変動、核拡散など地球規模の課題についても、各国が協力することによってのみ解決できるとしました。
【中国】
  「最も重大な競争相手」としたうえで、「アメリカの繁栄や安全保障、民主的な価値観への挑戦に直接対処する」と述べました。
  「経済の悪用と攻撃的で威圧的な行動、人権と知的財産、グローバル・ガバナンスへの攻撃」に対抗していくとしました。
  一方で、「アメリカの国益にかなうのであれば中国政府と協力していく用意はある」とも述べました。
【ロシア】
  米ロ両国の核軍縮条約「新START」の5年間延長に合意したことについて「国益のためには、敵対する相手や競争相手にも関与しなければならない」としました。
  一方で、選挙への介入やサイバー攻撃、ロシア国民への毒による攻撃などは許さないと、プーチン大統領に電話で伝えたとしたうえで「前任者とは全く異なるやり方」だとしました。
  野党勢力の指導者のナワリヌイ氏の収監は、政治的な動機によるもので、アメリカや国際社会にとって深い懸念となっているとして、無条件での即時釈放を求めました。
【米軍展開政策】
  世界に展開するアメリカ軍の態勢を見直す方針を表明しました。
  ドイツに駐留するアメリカ軍の削減計画も当面は停止するとしました。
(アジア太平洋地域に駐留するアメリカ軍については直接言及せず)。
【イエメン政策】
  中東のイエメンで続く内戦を「終わらせなければならない」としました。
  サウジアラビアが主導する軍事作戦への支援を停止すると表明。
  イエメン問題を扱う特使の任命を明らかにし、国連と連携して内戦の終結を目指す考えを示しました。
【労働者を意識した外交】
  外交を進めるに当たって、「アメリカの労働者家庭のことを常に頭においておかなければらならない」と述べ「中産階級のための外交政策」を掲げました。
【ミャンマー】
  クーデターを起こした軍に、掌握した権力を放棄し、拘束した人々を解放するよう求めたうえで、各国と連携して民主主義の回復を支援するとともに関係者の責任を問うとしました。
中国「協力すべき分野多い」
  アメリカのバイデン大統領の外交方針の演説について、中国外務省の汪文斌報道官は、5日の記者会見で「両国には意見の違いが存在するが、共通の利益のほうがはるかに大きい。新型コロナウイルスや気候変動などの世界的な挑戦を前に、両国が協力しなければならない分野は少なくなることはなく、さらに多くなっている」と指摘しました。
  そのうえで、「アメリカには、両国民の民意と時代の潮流にしたがい、中国を客観的かつ理性的にとらえ、建設的な対中政策をとるよう望む」と述べました。
  一方で、「中国はアメリカと衝突や対抗はせず、互いに尊重し協力する関係を発展させることに力を入れるが、同時に、国家の主権や安全、発展の利益は断固として守る」と述べ、主権などに関わる問題では一歩も譲らない立場を強調しました。
  中国のアメリカへの姿勢をめぐっては、今月1日、外交を統括する楊潔※チ政治局委員がオンラインのイベントで演説し、トランプ前政権の対中国政策について、「誤った政策を採用した」と批判していました。
  そのうえで楊氏は、バイデン政権に対しては、新疆ウイグル自治区などの問題で干渉すれば、米中の協力にも影響を及ぼすおそれがあるとけん制する一方で、「関係を予測可能で建設的な発展の軌道に戻すことが中国とアメリカ双方の仕事だ」と述べ、関係改善に向けた取り組みを呼びかけていました。(※「チ」は、竹かんむりに褫のつくり。)

中国に対するバイデン政権の動き
  バイデン政権は外交、安全保障、貿易、人権などの分野で中国の行動を批判するとともに、厳しく対応していく姿勢を示しています。
  バイデン大統領は、就任式に台湾当局の代表機関「駐米台北経済文化代表処」の蕭美琴代表を招待し、台湾側は大使に当たる代表が正式な招待を受けて就任式に出席するのは1979年にアメリカとの外交関係がなくなって以来初めてだとして歓迎しました。
  また、政権発足から3日後の先月23日には、アメリカ国務省が台湾に関する声明を発表し、中国に対して「台湾への軍事、外交、経済による圧力を停止し、民主的に選ばれた台湾の代表者との対話を進める」ことを強く求めました。
  また、ブリンケン国務長官は先月27日の会見で、中国の新疆ウイグル自治区での少数民族政策を、民族などの集団に破壊する意図を持って危害を加えるいわゆるジェノサイドだとしたトランプ前政権の認定に同意する認識を改めて表明しました。
  バイデン大統領は、ヨーロッパの同盟国やオーストラリアの首脳との電話会談で、多くの課題とともに中国への対応を協議していて、先月28日の菅総理大臣との電話会談では沖縄県の尖閣諸島がアメリカによる防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象であることを明確にしています。
  軍事面では、オースティン国防長官が就任前の議会の公聴会で中国への対応が最も重要な懸案だとしていて、4日には政権発足後初めてアメリカ軍海軍の駆逐艦が台湾海峡を通過したと発表しました。
  ホワイトハウスで安全保障問題を担当するサリバン大統領補佐官は4日、バイデン大統領の外交演説を前にした会見で「中国の不公正な貿易慣行がアメリカの雇用に害を与えている」と述べ、知的財産権の侵害や特定の産業への補助金の問題などで中国に対応を迫る考えを示しています。

これに対し、中国の外交を統括する楊潔※チ政治局委員は、今月1日、アメリカの団体が主催したオンラインのイベントで演説し、バイデン政権に対して「関係を予測可能で建設的な発展の軌道に戻すことが中国とアメリカ双方の仕事だ。中国にはアメリカと協力する用意がある」と述べる一方、「アメリカは香港、チベット、新疆ウイグル自治区のことで干渉をやめるべきだ。これらは越えてはならないレッドラインであり、越えればアメリカの利益を損なう」と述べて、新疆ウイグル自治区などの問題で干渉すれば米中の協力にも影響を及ぼすとけん制しています。(※「チ」は、竹かんむりに褫のつくり。)
アジア政策のキーマン その戦略は
  バイデン政権の対中国、アジア政策の鍵を握る一人がホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議に新設されたインド太平洋調整官のカート・キャンベル氏です。
  キャンベル氏は、クリントン政権で国防次官補代理として沖縄の普天間基地の移設問題に関わり、オバマ政権では国務次官補としてアジアを重視する政策を担いました。
  バイデン政権もアジア重視の姿勢を示していて、インド太平洋調整官のポストの新設とキャンベル氏の起用で、同盟国や友好国と協力して対中国政策を推進する柱としたいねらいとみられます。
  そのキャンベル氏は政権発足直前の先月12日、外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」に「アジアの秩序の立て直しにアメリカは何をすべきか」と題した論文を寄稿しました。
  この中でキャンベル氏は、アメリカがインド太平洋地域で直面する課題として、中国の経済的、軍事的な台頭とトランプ前大統領の政策による同盟関係の弱体化、人権問題への対応などをあげています。
  そのうえで、アメリカが取るべき3つの戦略を提示しています。
  まず軍事面で、力の均衡を修復して中国軍に対抗するため、無人の攻撃機や潜水艇などの開発を進めるとともに、アメリカ軍を日本や韓国に加えて東南アジアやインド洋にも分散して配備する重要性を訴えたうえで、アジア太平洋地域の国々が軍事や情報面で連携するよう促すべきだとしています。
  次に、この地域の各国が認める国際的な枠組みを再構築するため、アメリカとして中国の前向きな関与を引き出すとともに、中国が秩序を乱す行動に出た場合に罰する方法を関係国と一緒に考案する必要があるとしています。
  そして、アジア太平洋地域だけでなくヨーロッパ諸国を含むより広い連携を目指すべきだとして、貿易や技術面などではイギリス政府が提唱するG7=主要7か国にインド、オーストラリア、韓国を加えたD10と呼ばれる10の民主主義国家の枠組みを活用するほか、軍事面ではアメリカ、日本、インド、オーストラリアの「QUAD=クワッド」と呼ばれる4か国の枠組みで対処し、インフラ投資では日本とインドと協力して、人権問題では香港やウイグル族への中国の政策を批判する国々と連携していくべきだと訴えています。
藤崎元駐米大使「同盟関係重視するアメリカが戻ってきた」
  外交方針を示したバイデン大統領の演説について、元駐米大使の藤崎一郎さんは、3つのメッセージがあったとし「まず同盟国との関係を重視するアメリカの外交が世界に戻ってきたということ。次に、ブリンケン国務長官の発言は自分の発言同様であり、一心同体であると明確にしたこと。そして、これまで予算面などで冷遇されてきた国務省の外交官に対し『あなたたちが外交を支える人だ』と伝えたことだ」と指摘しました。
  また、バイデン政権が今後、中国に対してどう臨むかについて藤崎さんは「印象的だったのはロシアとイラン、それに北朝鮮は『脅威だ』と言った一方、中国は『競争相手』として明確に分けたことだ。イランの非核化や、気候変動など協力すべき分野は中国と協力するが、知的所有権や法の支配に従わなければ対応するという『是々非々主義』が非常に明確に出ていた。中国を一方的に敵と見なしていたトランプ政権とは位置づけを変えているため、より複雑な外交が展開されるのではないか」と述べました。
  そして「日本もアメリカと意思疎通を十分にはかり、どこで緩急をつけるのかよく見ていく必要がある」と指摘しました。
  さらに、ホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議に新設されたインド太平洋調整官に就任したカート・キャンベル氏について「修羅場に強く、中国との交渉など困った時に投入される人だ。いろいろなところに乗り込んでまとめ役を担い、解決策を見いだす辣腕の人であり、アジアにいちばん強い、民主党の切り札という形で入ってきたのではないか」と分析しました。
専門家「中国への厳しい姿勢を再確認」
  アメリカの安全保障政策に詳しい笹川平和財団の渡部恒雄上席研究員は、バイデン大統領の外交演説について、中国に厳しく向き合うことを再確認したとしたうえで、「トランプ大統領は通商問題には厳しく安全保障や人権問題などにはあまり関心を示さなかったが、バイデン大統領は通商、人権、民主化、さらに安全保障の問題にも関心を持ち、総合的に理解していることを示した」と指摘しました。
  そのうえで、バイデン大統領が強調した同盟国との協力について「今後は中国の行動を変えさせるためにどうすればいいのかをアメリカと同盟国で話し合い、同盟国には何ができるのかを求めてくることになる。アメリカの指示で動くのではなく自主性が問われると思う」と分析しました。
  さらに今は、ミャンマーで起きたクーデターへの対応で対中国政策が問われていると指摘し「アメリカはミャンマーに経済制裁を戻すということで圧力をかけているが、これによりアメリカのミャンマーへの影響力が弱まり、国際社会とのつながりを切ってしまうことで中国と近づかせることにもつながりかねない。いつどのようにしてそのバランスをとって同盟国やパートナーと話しをするのか。対中強硬政策の度合いとやり方が問われることになる」と話しました。
  また、オバマ政権とバイデン政権の対中国政策の変化について「当時、中国が突きつける挑戦は一部の専門家にしか見えていなかった。しかしトランプ政権の4年間に中国が見せた姿勢への懸念はアメリカ全体で大きくなっている。オバマ政権時代と今のアメリカ人の中国を見る目が全く違うことが厳しい政策の背景にある」と分析しています。


2021.01.30-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/210130/wor2101300003-n1.html
【バイデン新政権】サリバン補佐官、中国に「ウイグルや香港、台湾の対価を支払わせる」と強調

  【ワシントン=黒瀬悦成】サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は29日、ワシントンの政策研究機関「米国平和研究所」(USIP)で講演し、「中国に対し、新疆ウイグル自治区や香港での振る舞いや、台湾への敵意や脅迫への対価を払わせ、行動をとる準備をすべきだ」と述べ、バイデン政権が中国に厳然とした対応を取っていくことを強調した。
  サリバン氏は中国への対抗策としてまず、中国による「自国の(統治)方式の方が米国よりも優れている」とする主張を封じるため、米国内での人種間の不平等や経済格差の是正を通して、「米国の民主主義の根本的な基盤の立て直し」を進めると表明した。

  また、欧州やアジアの同盟・パートナー諸国と連携し、「自由で繁栄し、公平な社会」の構築を進めるほか、人工知能や量子計算などの先端技術分野での競争で優位に立つと訴えた。日米とオーストラリア、インドの4カ国で構成される「クワッド」による協力は「インド太平洋地域における米政策の基礎となる」とも指摘した。欧州諸国との関係でも、「中国に対する取り組みが最優先の課題となる」とした。

  一方、サリバン氏はイラン情勢に関し、「イランはトランプ前政権が核合意から離脱して以降、核兵器保有に確実に近づいた。弾道ミサイル技術も過去4年間で劇的に進化した」と語り、外交交渉でイランの核開発計画を封じ込める必要があると強調した。
  サリバン氏は、イランに核合意を順守させた上で、弾道ミサイルの開発制限や、イランによる周辺諸国の親イラン系武装勢力へのテロ支援の停止に向け取り組むとした。

  バイデン政権は29日、国務省のイラン担当の特別代表にロバート・マレー氏を任命した。ロイター通信によるとマレー氏は同日、イラン核合意の参加国である英仏独の高官らと今後の対応に関し協議した。


2021.01.26-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM250VH0V20C21A1000000/
ウイグル 米中の新たな火種に

  トランプ前米政権で国務長官を務めたポンペオ氏は退任間際の19日、中国政府による新疆ウイグル自治区における少数民族ウイグル族らへの弾圧を国際法上の犯罪となる「ジェノサイド(民族大量虐殺)」に認定すると発表した。バイデン新大統領が次期国務長官に指名したブリンケン氏もこれに同意すると明言している。

  米国は大統領が交代する先行きを見通しづらい時期に、中国が内陸部で行っている残虐行為にどこの国よりも最も厳しい表現を用いた。これを受けてバイデン政権と中国との間で緊張が高まり、2国間関係がさらに困難な状況に陥りそうだ。
  ポンペオ氏による「ジェノサイド」という文言の使用は、正式な法的判断を示すものではない。イスラム教徒が多数を占めるウイグル族への中国の弾圧に対して、制裁を発動するためのさらなる行動をバイデン氏が義務付けられるわけではない。
  トランプ前政権はすでに中国の様々な政府機関や企業、当局者に対して経済的な制裁を科しているほか、査証(ビザ)の発給を制限している。新疆ウイグル自治区トップの陳全国・共産党委員会書記も制裁の対象に含まれる。同氏は党政治局員だ。今月には、同自治区の主要産品である綿製品とトマトや関連製品の輸入を米国は禁じた。生産するにあたり、中国がウイグル族に強制労働を課した疑いがあるためだ。

  しかし、ポンペオ氏のジェノサイド認定発言とブリンケン氏の同意は、米国のウイグル問題を巡る姿勢の変化を示している。同自治区では、ウイグル族を含むイスラム教徒100万人以上が「過激思想を矯正」するために強制的に施設に収容されている(過激思想とは実際には、民族の文化や教義に誇りを示すことを指す場合が多い)。そしてウイグル族の人口増加を抑制するため、女性には不妊手術や中絶手術を強要している。
「ジェノサイド(民族大量虐殺)」には広義の解釈も
  国務省の法律家らは、「ジェノサイド」が適切な文言かどうかについて協議をした。ジェノサイドは辞書では通常、人々や民族の大量虐殺と定義されており、新疆ウイグル自治区で中国による大量虐殺があったという訴えはない。だが、国連総会で採択された「集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約(ジェノサイド条約)」の定義はかなり幅広く、殺害の事実がなかったとしてもジェノサイドに当たることがある。
  たとえば「出生を防止することを意図する措置」は国家的、民族的、人種的または宗教的な集団の「全部または一部を破壊する」意図をもって行われる限り、ジェノサイドに当たる。したがって、そうした意図をもって集団の一員に「深刻な精神的危害」を加えることもジェノサイドの一種ということになる。
  世界各国の政府は長い間、ジェノサイド条約の定義を字義通りに解釈することには消極的だった。おそらくは、該当する事例がかなり多くなるためだろう。米国務省は従来、辞書の定義に該当する事例のみをジェノサイドとみなし、ルワンダの少数派ツチ族の大虐殺や過激派組織「イスラム国」(IS)による少数派ヤジディ教徒の虐殺をジェノサイドとしていた。
  しかし、国務省当局者によると、新疆ウイグル自治区でどれほど不妊手術が強制されているかが2020年に明らかになり、国務省の一部では「ジェノサイド」と呼ぶのが適切であると判断されるようになった。
  ポンペオ氏はその判断を公表する日として、退任前に丸1日執務に当たる最後の日を選んだ。つまり、その後の事態に自身で対処する必要はなく、日和見主義との印象を発言の受け手に与えた。ポンペオ氏は24年の大統領選に出馬する可能性がある。
中国は猛反発するがバイデン新政権を批判せず
  中国は猛反発している。米国の「常軌を逸した」行動に対して21日、ポンペオ氏らトランプ政権の幹部など28人に制裁を科した。中国本土や香港、マカオへの入境を禁じ、中国での経済活動も制限した。
  中国外務省の華春瑩報道局長は、ポンペオ氏が「笑いものや道化」になっていると断じたが、新政権への批判は避けた。中国政府内部では、バイデン氏が人権問題ではないにせよ、対中強硬路線を見直して米中関係に落ち着きを取り戻してくれるのではないかと期待しているのかもしれない。
  それでも、米国がジェノサイドという言葉を使用した今、他の西側諸国も米国にならうかどうかが焦点になる。引き続き「人道に対する罪」といった言葉を使うことを選ぶ国もあるだろう。ポンペオ氏も使ったことがあり、中国側にとってはとうていやり過ごすことはできない。中国政府は現地の実態に即して議論するよりは、言い回しについて議論したほうがましだと考えているのは間違いない。
  世界がどんな言葉を使うにせよ、ウイグル族に対する中国の弾圧を止めさせるのは難しい。カナダと英国は今月、中身が薄いところはあるものの、強制労働の関与が疑われる商品の輸入を禁止する措置を講じると発表した。だが、米国に追随して中国に制裁を科す国はなお出ていないし、中国の責任を問おうとした国際機関もない。
  多国籍企業の多くは沈黙を守りつつ、サプライチェーンから新疆ウイグル自治区を外そうとしているものの、その点について自社の公式の立場を明確にしている企業はほんの一握りだ。欧州連合(EU)が昨年12月に中国と締結することで大筋合意した投資協定では、中国は強制労働を禁じる国際労働機関(ILO)の関連条約の批准を目指すと形ばかりの約束をするにとどまっている。
バイデン氏がウイグル族への弾圧阻止に動くのかが焦点に
  バイデン氏は、中国にウイグル族への弾圧を止めるようより強く求めていく可能性があるが、トランプ氏はこの問題には関心がなかったようだ。ジョン・ボルトン元大統領補佐官(国家安全保障担当)によると、トランプ氏は19年に中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席に対して、ウイグル族の収容施設を建設することは「正しいことなので進めるべきだ」と言ったという。
  米国はトランプ政権の下で国連人権理事会から脱退したが、バイデン政権で復帰するとみられている。人権理事会ではこれまで、新疆ウイグル自治区における中国の弾圧に対して決議案が提出されたことはないが、バイデン氏が後押しすればそれも変わる可能性がある。
  トランプ前政権のムニューシン財務長官は、通商問題に人権問題を持ち込むことに対して消極的だった。ポンペオ氏の下で働いていた関係者によれば、国務省は中国の当局者と政府機関など計10程度の人物と団体に制裁を科すよう提案していたが、財務省は米中関係への影響を懸念して発動しなかったという。
  制裁案の対象には、新疆の治安などを主管する新疆政法委員会も入っていた。トランプ政権は強大な力を持つ同委員会に制裁を科さなかったが、バイデン政権下では財務省も意見を変える可能性がある。
  北京では22年2月に冬季五輪が開催される。人権団体は大会へのボイコットを求め、米上院には開催国の変更を求める議員もいる。バイデン政権はこうした要請に対する態度を明らかにしていないが、いずれにしても、五輪参加や現地観戦を見送る選手やファンが出てくるかもしれない。


2021.01.15-Nwesweek日本(REUTER)-https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/01/post-95402.php
中国、ウイグル族「虐殺」の可能性 米国内で迫害行為も=米議会委員会

  中国問題に関する米連邦議会・行政府委員会(CECC)は14日公表した報告書で、中国が新疆ウイグル自治区でウイグル族などイスラム教徒の少数民族に対し「ジェノサイド(民族大量虐殺)」を犯した可能性があるとの見解を示した。
  同自治区で「非人道的犯罪、おそらくジェノサイドが発生している」という新たな証拠が過去1年間に示されたとしている。
  また、中国が米国でウイグル族への嫌がらせ行為をしているとも非難した。
  ワシントンの中国大使館は14日、CECCは「中国を中傷するため、あらゆるうそをでっち上げることに執着している」とし、疑惑を否定した。
  大使館の報道官は「いわゆる『ジェノサイド』は、反中勢力が意図的に広めたうわさで、中国の信用を傷つけるための茶番だ」と述べた。
  CECCは米政府に対し、新疆ウイグル自治区で「残虐行為が行われているかどうか」正式な判断を求めた。政府は昨年12月27日に可決された法案に基づき、90日以内に判断を下す必要がある。
  ポンペオ国務長官は認定する方向で検討してきたが、当局者らは現在の政局混迷を踏まえ、バイデン次期大統領の就任までに判断が発表される可能性は低いとみている。
  国務省はコメント要請に応じていない。CECCの共同委員長を務める民主党のジム・マクガバン下院議員は、過去1年間の中国による人権侵害は「衝撃的で前代未聞」とし、議会と次期政権に対し、中国の責任を追及すよう求めた。


2021.01.07-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210107/k10012801871000.html
香港 民主派前議員ら53人逮捕 米国務長官 関係者の制裁検討

  香港で議会にあたる立法会の民主派の前議員や区議会議員など合わせて53人が警察に逮捕されたことについて、アメリカのポンペイオ国務長官は「激しい憤りを覚える」と強く非難したうえで、関係者への制裁を検討することを明らかにしました。
  香港の警察は6日、去年9月に予定されていた立法会の議員選挙に向けて民主派が実施した予備選挙に関連して、政府の機能を妨害し国家の転覆をねらったとして、反政府的な動きを取り締まる香港国家安全維持法に違反した疑いで、合わせて53人を逮捕しました。
  これについて、アメリカのポンペイオ国務長官は6日、声明を発表し「激しい憤りを覚えるとともに、中国共産党が自国民と法の支配を軽視していることを再確認させるものだ」と強く非難しました。
  そのうえで「アメリカは香港の人々に対する攻撃の実行に関わったあらゆる個人や団体への制裁や規制を検討する」として、関係者への制裁を検討することを明らかにしました。
  また、ポンペイオ長官は同じ声明を通じて、クラフト国連大使が近く台湾を訪問すると発表しました。
  アメリカからは去年8月、1979年の台湾との断交以来最高位の高官としてアザー厚生長官が台湾を訪問しています。
  クラフト大使はそれに次ぐ高官の訪問となり、アメリカとしては台湾との関係を強めることで、中国を強くけん制するねらいがあるとみられます。
中国外務省報道官 声明を強く非難
  アメリカのポンペイオ国務長官の声明について、中国外務省の華春瑩報道官は7日の記者会見で、香港の法治への干渉やアメリカと台湾の公的な往来には断固反対するとしたうえで「トランプ政権の一部の反中政治家が最後の狂気を演じている」と強く非難しました。
  そのうえで「アメリカには、中国の内政への干渉をすぐにやめ、中国の利益を損なったり中米関係を壊したりしないよう求める。中国はあらゆる必要な措置をとる。アメリカは間違った行為によって必ず大きな代償を払うことになるだろう」と述べアメリカをけん制しました。





2020.01.22-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20210122/k00/00m/030/333000c
バイデン政権、新STARTを5年延長の意向 米露唯一の核軍縮の枠組み、維持へ

  米ホワイトハウスのサキ報道官は21日の記者会見で、米露の新戦略兵器削減条約(新START)について、バイデン新政権が条約の規定上最長である5年間延長する意向を明らかにした。ロシア側も前向きな姿勢を示しており、米露間で唯一残された核軍縮の枠組みは、維持される見通しとなった。

  条約は2月5日に失効期限を迎える。サキ氏は会見で「バイデン大統領は条約が米国の安全保障上の利益にかなうと明確にしてきた。ロシアとの関係が敵対的である今こそ、延長に意味がある」と述べた。バイデン氏はこれまで「条約の延長を追求する」としていたが、延長期間は明確にしていなかった。
  露外務省は、バイデン氏が大統領に就任した20日、5年の延長を求める声明を出している。ロイター通信によると、ロシアのペスコフ大統領報道官は22日、米国の意向を歓迎する一方、米側からの具体的な提案内容の検討が重要との見方を示した。延長が決まれば、米露はその期間を利用し、新たな軍備管理のあり方を協議するとみられる。

  一方で、サキ氏はロシアの関与が疑われている、昨年12月に発覚した大規模なサイバー攻撃2020年米大統領選への介入▽ロシアの反体制派指導者の毒殺未遂事件アフガニスタンでの米兵殺害に対する報奨金疑惑――を挙げ、バイデン氏が情報機関に「徹底した調査」を求めたことも明らかにした。条約延長で歩調を合わせるのとは別に、ロシアに厳しい態度で臨む姿勢を示した形だ。
  条約の延長を巡っては、トランプ前政権が条約とは別に、中国を含めた新たな軍備管理の枠組み構築を主張し、足踏み状態に陥った。
  ロシア側は20年10月、無条件での1年間延長を提案。しかし、トランプ前政権は合意の前提として、条約の対象外である短・中距離の戦術核を含む全ての核弾頭の凍結と、その履行状況の検証を要求した。これにロシア側が態度を硬化させ、交渉は暗礁に乗り上げた。
  条約は、米露で配備する戦略核弾頭数をそれぞれ1550発以下に削減することが柱で、両国は18年2月までに達成。互いに現地査察することや、データ交換などの検証措置も定められている。【ワシントン鈴木一生】

新戦略兵器削減条約(新START)
  米露両首脳が2010年4月に調印し、11年2月に発効した。配備戦略核弾頭数を1550発以下、運搬手段の総数を800以下、うち配備数は700以下と規定。運搬手段は大陸間弾道ミサイル(ICBM)と潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機が対象となっている。


2021.01.22-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210122/k10012827821000.html
米バイデン大統領 “最優先課題” 新型コロナ国家戦略を発表

  アメリカのバイデン大統領は就任から一夜明けて、最優先課題と位置づける新型コロナウイルス対策の国家戦略を発表しました。また、ハリス副大統領はWHO=世界保健機関の事務局長と電話会談を行い、前の政権の政策を転換し、国際機関と連携しながらウイルス対策に当たる方針を強調しました。
  バイデン大統領は就任2日目となる21日、政権の最優先課題と位置づける新型コロナウイルス対策の国家戦略を発表しました。
  バイデン大統領は「死者の数は来月には50万人を超えるおそれがある」と述べ、感染拡大の現状に危機感をあらわにしました。
  戦略は、感染拡大の封じ込めやワクチン接種など7つの項目からなっていて、この中で公共交通機関などでのマスクの着用を求めるとともに、ワクチンについては接種できる施設を増やすなどして政権発足から100日で1億回分の接種を目指すなどとしています。
  また、海外からアメリカに航空機で向かう人に対して、事前の検査で陰性だったことを示すよう求めるなどとしています。

  この日、ホワイトハウスは、ハリス副大統領がWHOのテドロス事務局長と電話会談を行い、「WHOは新型ウイルスの封じ込めに欠かせない」として連携していく考えを伝えたことを明らかにしました。
  WHOをめぐって、バイデン政権はすでにトランプ前政権が打ち出していた脱退を撤回すると国連に通知しており、国際機関と協力しながらウイルス対策に臨む方針を示し、政策の転換を強調した形です。
新型コロナ対策 国家戦略の要旨
  アメリカのバイデン大統領は、「新型コロナウイルス対策と感染拡大に備えるための国家戦略」と題したおよそ200ページの文書を公表しました。戦略では、以下のように7つの目標を掲げ、それぞれについて実現に向けた政策を明記しています。
1 国民の信頼を取り戻す
▼ホワイトハウスに新型コロナウイルス対策の専門部署を設け、省庁間の調整をし、州政府などと連携する。▼科学に基づく情報提供を定期的に行う。▼政府は感染者数、検査数などデータを公表する。▼連邦政府は州政府、民間企業、地域などと連携する。▼世界レベルの公衆衛生教育を行う。
2 ワクチン接種を進める
▼安全で効果のあるワクチン、注射器などの物資を確保する。▼優先接種の対象をエッセンシャルワーカーと65歳以上に拡大するとともに接種のペースを加速させ、政権発足から100日で1億回分の接種を目指す。▼全米で接種できる施設を必要なだけ増やす。▼接種の難しい人やハイリスクの人に対応する。▼接種のための地方政府の費用を連邦政府が全額負担する。▼感染の深刻な地域で接種を進める。▼ワクチンの啓発活動を行う。▼ワクチンの供給や接種のデータ収集を強化する。▼ワクチンの安全性を監視する。▼接種できる医療関係者などを確保する。
3 感染を抑え込む
▼連邦政府の職員や、連邦政府の建物に入る人のほか、旅客機・鉄道など公共交通機関でのマスクの着用を求める。▼検査を拡大する。▼学校での検査態勢の支援、簡易検査の支援を行う。▼治療態勢を整備する。▼学校や職場の感染防止策を適切に評価し、活動の再開を判断するための基準をつくる。▼治療に当たる人員の確保に努める。▼政府はデータの収集や活用をより充実させるとともに、それらのデータを利用しやすい形にして公開する。
4 緊急援助を即時拡大し 国防生産法を適用する
▼各州の州兵の動員や物資の供給にかかる費用を連邦政府が負担する。▼検査やワクチン接種に必要で、かつ不足している物資を国防生産法などを適用して確保する。▼医療物資や薬などを十分に供給する。▼医療物資の国内生産を進める。▼特に重要な物資の分配計画を政府が作る。
学校・仕事・移動の安全な再開
▼就任後100日までに、幼稚園や小中学校の再開を目指し、政府が戦略をたてるとともに、必要な資金を提供する。▼保育所を財政的に支援する。▼大学の再開を支援する。▼安全な労働環境を守る。▼経済活動の再開に向けた感染対策の指針を示す。▼外国からの渡航者は出発前の検査で陰性であり、到着後に隔離期間を設けることを義務づける。
6 リスクの高い人を守り 人種・地域間の公平を促す
▼公平性を保つためのタスクフォースをつくる。▼リスクの高い人たちのデータの収集を強化する。▼検査や治療、ワクチン接種などに公平にアクセスできるようにする。▼質の高い医療へのアクセスを拡大する。▼支援が必要な地域の人員を確保する。▼生活困窮者などへの支援のためのセーフティーネットを強化する。▼エッセンシャルワーカーや障害のある人、持病のある人などを守るための感染予防策を示す。
7 アメリカの指導力を回復し 将来の脅威に備える
▼WHOからの脱退を撤回する。▼ワクチンの公平な分配のための国際的な枠組み「COVAXファシリティ」などに参加するとともに、人道支援を強化する。▼国連安全保障理事会の枠組みを利用して人道支援を強化するなどして、新型ウイルス対策における国際的な指導力を取り戻す。▼オバマ政権当時、ホワイトハウスの国家安全保障会議に置かれた感染症対策の高官を復活させる。
「GAFA」相次ぎ祝福のメッセージ
  アメリカではバイデン大統領の就任を受けて、「GAFA」とも呼ばれる大手IT企業が相次いで祝福のメッセージを発表しました。
  このうちアマゾン・ドット・コムは20日、バイデン大統領宛てのメッセージを公表し、新型コロナウイルスのワクチンの普及を後押しするため会社が持つ情報技術などを提供する用意があるとして協力を申し出ています。
  また、アップルのクックCEOとグーグルのピチャイCEOは、ツイッターに投稿し、大統領が地球温暖化対策や移民政策を転換したことを評価し連帯を表明しています。
  そしてフェイスブックのサンドバーグCOOは、ハリス副大統領が述べた「私は女性として最初の副大統領になるかもしれないが、決して最後にはならない」ということばを引用したうえで、「きょうほどそれを確信した日はない」と投稿し祝福しています。


2021.01.21-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210121/k10012825251000.html
米 バイデン氏が新大統領に就任「国民の結束に全身全霊を」

  アメリカの第46代大統領に民主党のジョー・バイデン氏が就任しました。バイデン新大統領は就任演説で「民主主義が勝利した。分断は深く現実のものだが、国民の結束に全身全霊を尽くす」と訴えました。
  大統領就任式は日本時間の21日未明、首都ワシントンの連邦議会議事堂の前で行われました。
  就任式は新旧大統領が顔をそろえるのが恒例ですが、トランプ前大統領は欠席し、ペンス前副大統領や歴代の大統領夫妻が参列するなか、民主党のジョー・バイデン氏が宣誓して第46代大統領に就任しました。
  バイデン新大統領は78歳、歴代大統領では最高齢となります。

  バイデン新大統領は就任演説でまず「きょうはアメリカの日であり、民主主義の日だ。民主主義が勝利を収めた」と述べました。
  その上で「分断は深く現実のものだ。私は国民と国家の結束に全身全霊を尽くす。すべての国民に加わってほしい」と訴えました。
  さらに「共和と民主、地方と都市、保守とリベラルという無意味な争いをやめなければならない。相手に心を開けばできるはずだ」として「私はすべての国民の大統領になると誓う。私を支持してくれた人だけでなく、支持しなかった人のためにも同じように懸命に闘う」と強調しました。
  またバイデン新大統領は「同盟を修復し、再び世界に関与する」と述べ、国際協調を重視する姿勢を示しました。
  演説では終盤、新型コロナウイルスの犠牲者に黙とうをささげたあと、「今は試練の時にある。民主主義と真実への攻撃、猛威をふるうウイルス、格差の拡大、人種差別、気候変動に直面している。すべてに同時に向き合い、かつてないほど大きな責任を果たさなければならない」と指摘した上で「恐怖ではなく希望、分断ではなく結束、暗闇ではなく光の物語をともに紡ごう」と呼びかけました。
厳戒態勢の中の就任式
  就任式は、今月6日、トランプ氏の支持者らが首都ワシントンの連邦議会議事堂を一時占拠する事態が起きたことを受けて、首都ワシントンをはじめ、全米各州の議事堂などでも厳重な警備態勢がとられる中で行われました。
  これまでのところ、ワシントンをはじめ全米各地でも、過激な抗議行動といった大きな混乱は伝えられていません。
  バイデン新大統領はこのあと新型ウイルス対策や気候変動、移民政策などを巡る文書に署名し、トランプ前政権からの転換を打ち出す見通しですが、トランプ前大統領の支持者らの反発は強く、多くの難題にどう向き合うか、早くもその手腕が問われることになります。

  アメリカのバイデン新大統領の就任を受けて、菅総理大臣は、21日午前2時すぎ、みずからのツイッターに、お祝いのメッセージを投稿しました。
  メッセージは「バイデン大統領、ハリス副大統領、ご就任おめでとうございます。 日米は普遍的価値を共有する、強い絆で結ばれた同盟国です。日米同盟の強化や『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向け、今後バイデン大統領と協力していけることを楽しみにしています」と、日本語と英語でつづっています。

台湾の大使にあたる代表が就任式に招待される
  台湾の蔡英文総統は(さい・えいぶん)バイデン新大統領の就任式をうけて、祝福のメッセージをツイッターに投稿しました。この中で蔡総統は「あなたの政権がすべてにおいて成功を収めることを願っています。台湾は一緒に働く準備ができています」と述べました。

  台湾当局の代表機関「駐米台北経済文化代表処」は、蕭美琴代表が(しょう・びきん)バイデン新大統領就任式の実行委員会から招待を受けたと発表しました。台湾の与党・民進党によりますと、台湾の大使にあたる代表が正式な招待を受けて就任式に出席するのは1979年にアメリカと外交関係がなくなってから初めてだということです。蕭代表は就任式が始まる前、会場の連邦議会議事堂を背にして「民主主義は私たちの共通の言語であり、自由は私たちの共通の目標だ。次の政権と協力して互いの価値と利益を高めていくことを楽しみにしている」と話す動画をツイッターに投稿しました。
ロシア 核軍縮条約「新START」条約の延長呼びかける
  バイデン新大統領の就任に関連してロシア大統領府のペスコフ報道官は「ロシアはこれまで通りアメリカとの良好な関係を求め続ける。それに対応する政治的な意志があるかどうかはバイデン氏と彼のチームにかかっている」と述べ、トランプ前政権との間で悪化した関係を改善させられるかどうかはアメリカの出方次第だと強調しました。
  また、ロシア外務省はコメントを発表し、来月に失効が迫るアメリカとロシアの核軍縮条約「新START」をめぐって「前提条件なしに延長することは可能で、最長5年の延長が望ましい」として、条約の延長を呼びかけました。
  プーチン政権としては、「新START」をめぐる交渉をきっかけにバイデン新政権との対話を進める機運を高めたい考えとみられます。
  ただ、バイデン氏はこれまでプーチン大統領を「独裁者」などと呼んで繰り返し批判していて、ロシアではバイデン新政権がヨーロッパとの結束を取り戻しロシアに対していっそう強硬な政策をとるのではないかと警戒する見方が出ています。
英 ジョンソン首相 「ともに取り組む共通の課題」
  イギリスのジョンソン首相は20日、地元メディアとのインタビューでバイデン新大統領とハリス新副大統領に祝意を示した上で、「われわれはともに取り組んでいく共通の課題がある。新型コロナウイルスで受けた影響からの回復に向けて、国際社会がまとまっていく必要がある。気候変動への取り組みも重要だ」と述べました。またジョンソン首相は、バイデン新大統領がヨーロッパとの関係を重視しているという認識を示した上で、アメリカとの緊密な関係を築くことはイギリスの首相にとって重要な職務だと強調しました。
  一方、ジョンソン首相はツイッターにも「気候変動や新型コロナウイルス対策など私たちに関わる重要な課題についてアメリカのリーダーシップは不可欠だ。バイデン新大統領とともに仕事ができることを楽しみにしている」と投稿しました。
仏 マクロン大統領「パリ協定への復帰を歓迎 お帰りなさい」
  フランスのマクロン大統領はみずからのツイッターで「アメリカのパリ協定への復帰を歓迎する。お帰りなさい」と投稿し、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」に復帰する方針を示すバイデン新大統領が就任したことを歓迎しました。
  その上で「現代の課題はともに取り組むことで解決できる。ともに地球のために行動をとることが気候変動の結果を変えることができる」と述べてアメリカと連携を深めることに期待を示しました。
イタリア コンテ首相「共通の国際的な課題に取り組む」
  ことしのG20サミット=主要20か国の首脳会議で議長国を務めるイタリアのコンテ首相はみずからのツイッターで「きょうはアメリカ国内にとどまらず民主主義にとって偉大な日だ。イタリアはアメリカとともに共通の国際的な課題に取り組む準備はできている」と投稿してバイデン新大統領とハリス新副大統領の就任を祝福しました。
インド モディ首相「両国の戦略的パートナーシップを」
  インドのモディ首相はバイデン新大統領の就任についてツイッターで祝意を示し、「両国の戦略的パートナーシップを高めるためにともに働くことを楽しみにしています」と述べました。
  また、母親がインド出身でインドにゆかりのあるハリス新副大統領についても「ハリス氏の副大統領就任おめでとうございます。歴史的な出来事です。両国の関係をより強固なものにするために交流することを楽しみにしています」と祝福しました。


2021.01.21-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/special/presidential-election_2020/basic/profile/joe-biden.html
民主党:ジョー・バイデン(Joe Biden)

前副大統領-1942年11月20日生まれ 東部ペンシルベニア州出身
「将来は大統領に」
  東部ペンシルベニア州スクラントンで生まれたバイデン氏。
  10歳のときに、父親の仕事の都合で東部デラウェア州に移り住んだ。子どものころから、バイデン氏はきつ音に悩み、鏡を見て話し方の練習をしたことなどを明らかにしていて、集会でも、どのように克服しようとしたかについても語っている。
  バイデン氏は、大学時代に知り合った女性と24歳のときに結婚。当時、法律の勉強をしていたバイデン氏は、女性の母親から将来、就きたい職業について聞かれ「大統領」と答えたとか。
悲劇を乗り越えて議員へ
  バイデン氏は弁護士を経て、地元の郡議会議員を2年務めた後、1972年、当時29歳の若さで上院議員に初当選した。しかし、当選から僅か1か月後、クリスマスツリーを買いに出かけた当時の妻と1歳の娘を交通事故で亡くした。その際、同乗していた息子2人もけがをした。
  バイデン氏は、「絶望で自殺を選択する人の気持ちが分かったが、息子たちのことを考えて、生きるために戦うことにした」と、後に当時の心境について語っている。そのため、バイデン氏は当初、息子たちのために議員になることを辞めようかとも考えたが、周りのサポートもあり議員になることを決め、就任の際には、息子2人が入院していた病室で宣誓を行っている。
オバマ前大統領を支えた長年の経験
  2009年まで、36年にわたってデラウェア州の上院議員を務めたバイデン氏は、民主党中道派の重鎮として知られる。長年、司法委員会に在籍したほか、外交委員会にも所属して委員長も務め、外交・安全保障のエキスパートでもある。
  2009年に副大統領に就任してからは、外交経験が浅いオバマ前大統領を支えた。
  副大統領在任中、2011年と2013年に日本を訪れていて、東日本大震災の被災地、仙台を訪れて復興の現状を視察している。
再び襲った悲劇
  2015年、大統領選挙に立候補するかどうか検討している中、バイデン氏の長男が脳腫瘍で46歳の若さで亡くなった。息子はバイデン氏が大統領選挙に立候補することを望んでいたが、バイデン氏は立候補しないことを表明。
  当時の心境を振り返り、「息子の期待に応えようと勇気を出したかったが、家族を失った悲しみを経験しているだけに、大統領選挙を戦う気力があるかどうか分からなかった」と語っている。
3度目の正直?! 満を持して立候補
  息子の死から4年後、亡くなった息子の思いなどが決断を後押しし、2019年4月に大統領選挙に立候補した。集会でも家族を失った経験などを話し、医療保険の大切さを訴えて、同じ悲しみを抱える有権者との絆を築いてきた。
  実は今回の立候補は3回目。1987年に立候補したときは、演説の盗用を指摘され撤退。2008年のときには、予備選挙の序盤戦で支持を伸ばせず撤退している。
  今回の大統領選挙では、予備選挙が始まる前から、抜群の知名度と豊富な政治経験に加え、黒人層や労働組合からの支持も厚いことなどから、優位な選挙活動を進め支持率はトップを走っていた。
  しかし、77歳という年齢がネックになったほか、ほかの候補の勢いに押され、予備選挙の序盤戦のアイオワ州での党員集会では、4位と低迷し苦戦を強いられた。もしバイデン氏が、大統領選挙で勝利し、大統領に就任した場合、就任時の年齢は78歳。
  2017年1月に、当時アメリカ史上最高齢の70歳で就任したトランプ大統領の年齢を上回ることになる。
失言、そして、セクハラ疑惑
  バイデン氏は、失言が多いことでも知られていて、外国を批判する内容から、大統領選挙への立候補を表明する前から「選挙戦を戦っている」とうっかり述べたものまで、さまざま。
  バイデン氏は黒人層からの支持が厚いことでも知られているが、5月に、黒人の若者たちを中心に人気があるラジオ番組のインタビューで、「私とトランプのどちらを支持するか迷うようでは黒人ではない」と発言し、人種差別的だと批判された。
2019年8月には、アジア系とヒスパニック系の有権者が主催したアイオワ州での集会で、「貧しい家の子どもたちも白人の子どもたちのように輝いているし、才能を持っている」と発言し、差別的な発言だと批判を受けた。
  2019年4月には、複数の女性から過去に体を触られて不快な思いをしたなどとセクハラ被害を訴えられ、釈明に追い込まれた。
  2020年4月には、事務所の元スタッフの女性から過去に性的暴行を受けたと訴えられ、「事実ではない」と全面的に否定している。
  そんなバイデン氏は、トランプ大統領からは、「スリーピー・ジョー=寝ぼけたジョー」とあだ名を付けられ、ツイッターなどで繰り返し使われている。
大好物はアイスクリーム
  バイデン氏は、アイスクリームには目がないとも言われていて、民主党の候補者選びの選挙運動中にもアイスクリーム屋に立ち寄る姿が…
  2017年1月に、文民としては最高位となる自由勲章を受章した。
(国際部記者 近藤由香利)


2021.01.20-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210120/k10012824271000.html
バイデン新政権の顔ぶれ 政策や課題は

  アメリカの第46代大統領に就任する民主党のジョー・バイデン氏。新型コロナウイルスの感染拡大やアメリカ社会の分断など多くの難しい問題に直面するなか、どのような将来像を示すのかに大きな関心が集まっています。
  バイデン新政権の顔ぶれ、政策や課題をまとめました。
多様性を重視した顔ぶれ
  (※1月20日時点でまだ承認手続き中の人事もあります。)

  バイデン氏は新政権の閣僚人事について「アメリカ社会を反映したものにする」と強調し、その顔ぶれは多様性を重視したものとなっています。
  女性として初めて副大統領にハリス氏や、財務長官にイエレン氏を起用するなど、24の閣僚レベルのポストのうち、半分にあたる12のポストで女性を起用しています。
  選挙情報サイト「ファイブ・サーティー・エイト」によりますと、12人全員が議会で承認された場合、閣僚レベルのポストに女性が就いた数としては、クリントン政権とオバマ政権時代の8人を超えて、歴代の政権で最も多くなるということです。
  またバイデン氏は国防長官に黒人として初めてオースティン氏を、アメリカ先住民で初めての閣僚として内務長官にハーランド氏を指名しています。
  さらに、同性愛者を公表している初めての閣僚として運輸長官にブティジェッジ氏を指名していて、バイデン氏は歴代で最も多様性に富んだ政権だと強調しています。
  また、バイデン氏はワシントンでの政治経験も重視しています。
  国務長官にはブリンケン元国務副長官国家情報長官にはヘインズ元CIA副長官、さらに農務長官にはオバマ政権で同じポストを務めたビルサック氏を指名しています。
  ホワイトハウスの高官人事でも大統領補佐官にサリバン元副大統領補佐官、気候変動の問題を担当する新設の大統領特使にケリー元国務長官を起用しています。
  トランプ大統領が既成政治の打破を掲げ、政権発足時に外交経験が全くなかったティラーソン氏を国務長官に、大手金融機関、ゴールドマン・サックス出身のムニューシン氏を財務長官に指名するなど、政治経験のない人物を積極的に登用したのとは対照的です。
  一方で、新政権の閣僚や高官の多くがオバマ政権時代の要職経験者であることや、バイデン氏自身も副大統領を務めていたことから独自色に欠けるとして「オバマ政権の3期目」だとやゆする声もあります。

バイデン新政権の政策や課題
  【外交・安全保障】
   バイデン氏は外交・安全保障政策ではトランプ大統領のアメリカ第一主義の姿勢から国際協調や同盟関係を重視する方針への転換を掲げ、国際社会で再び主導的な役割を果たすとしています。
▼気候変動
  バイデン氏は気候変動を安全保障上の脅威とみなし、その対応を新政権の優先課題に位置づけていて、トランプ政権下で離脱した地球温暖化の国際的な枠組み「パリ協定」に復帰し、取り組みを強化する方針です。
▼中国
  影響力の拡大をはかる中国への対応も最重要課題に掲げ、香港やウイグルなどをめぐる人権問題に厳しく対応し、海洋やサイバー、宇宙など軍事、安全保障の分野では日本をはじめ同盟国や友好国との連携を強化する姿勢を示しています。
  一方、気候変動など地球規模の課題では中国との協力を模索する考えも示唆しています。
  新政権で外交・安全保障を担う高官にはオバマ政権下で要職についていた専門家が多く、中国との関係を重視したオバマ政権との違いを打ち出していくのか、また中国に対抗しながら協力を引き出すことができるのかが、バイデン政権の対中国政策の大きな焦点となります。
▼イラン
  対イラン政策ではトランプ政権下で一方的に離脱した核合意に復帰する考えを示しています。
  バイデン氏は合意を離脱し制裁を強化したトランプ政権の対応はイランを核・ミサイル開発への道へと逆戻りさせ事態の悪化を招いたと批判しています。
  ただバイデン氏は復帰の条件にイランによる合意の順守を挙げているのに対し、イランは今月、合意に反して濃縮度20%のウランの製造を始めたと表明していて、アメリカの復帰は容易ではないという見方も出ています。
▼北朝鮮
  対北朝鮮政策ではバイデン氏はトランプ大統領の米朝首脳会談を通じたトップ外交を厳しく批判し、この間に北朝鮮がアメリカに届くICBM=大陸間弾道ミサイルの能力を高めたと指摘しています。
  バイデン氏はキム総書記を「悪党」と呼び、新政権ではみずからが直接、交渉することはせずに国務省やホワイトハウスの安全保障チームのもとで北朝鮮の非核化に向けた取り組みを再構築する方針とみられます。
  新政権の国務長官に指名されたブリンケン氏は北朝鮮を非核化交渉のテーブルにつかせるため日本など同盟国との連携を強化するとともに、北朝鮮の後ろ盾となっている中国に制裁の確実な実施を強く求めていく考えを示していて、どのように交渉にのぞむかが焦点となります。
  【経済・貿易】
  バイデン氏がまず、直面する難題が、新型コロナウイルスで傷ついたアメリカ経済の回復です。
  去年、夏ごろの経済活動の再開に伴って雇用環境は徐々に回復していましたが、冬を迎えて新型コロナウイルスの感染が再拡大したことにより、先月の雇用統計は農業分野以外の就業者が8か月ぶりに減少に転じました。
  失業者はいまも1000万人を超え、とりわけ、サービス産業で働いてきた若者や女性、それに黒人やヒスパニックの人たちは厳しい環境に置かれています。
  一方で株価は史上最高値の水準まで上昇し、実体経済とのかい離や、格差拡大への懸念が指摘されています。
  バイデン氏はこうした事態に対処するとして、先に発表した200兆円規模の追加の経済対策案を就任後すぐに実現したい考えです。
  バイデン新政権は、感染防止策を徹底しながら、国民生活も改善させていくという難しいテーマに取り組むことになります。
▼環境政策
  バイデン氏が厳しい雇用状況を改善させるための柱に掲げているのが、気候変動対策の推進です。
  任期の4年間で電気自動車や再生可能エネルギーの普及に向けた施策に2兆ドル、日本円で200兆円規模の巨額の投資を行い、新たな雇用を創出するとしています。
  ただ、急進的な政策に対しては、石油や天然ガス、それに、自動車産業からは警戒する声も上がっていて、国民の理解を得ながら政策を実行していけるかが課題になります。
▼貿易政策
  貿易政策についてバイデン氏は、中国を念頭に日本やヨーロッパ諸国といった民主主義国家で連携していくことや、雇用の保護につながる施策を重視していく方針を示しています。
  アメリカ第一主義を掲げた前のトランプ政権下では、雇用創出のために国内製品を優遇するとして、鉄鋼製品をはじめ、海外からの輸入品に高い関税を上乗せしたほか、製造業の空洞化につながったとして、NAFTA=北米自由貿易協定を見直しました。
  また、EU=ヨーロッパ連合には、産業補助金をめぐる問題で、特産のワインやチーズの関税を引き上げ、日本との間でも、牛肉などの市場開放を求める日米貿易協定を結びました。
  とりわけ、中国には、最大25%の関税上乗せを繰り返し発動し、貿易戦争と言われるまでに対立がエスカレートしたうえ、ファーウェイをはじめとした通信や半導体に関わる中国企業への締めつけも強化するなど強硬姿勢を鮮明にしました。
  こうした強硬な関税の引き上げに対し、バイデン氏は「懲罰的な手法はとらない」と言及しています。
  ただ、民主党は伝統的には共和党よりも保護主義的な傾向があり、バイデン氏も中国に対して発動している最大25%の制裁関税は「すぐに動かすつもりはない」とも述べています。
  また、バイデン氏は雇用を軽視したと批判されたオバマ政権時代の反省を踏まえ、海外で生産された製品に追加の税を課すなどとした「メード・イン・アメリカ税制」の導入も公約に掲げています。
  このため、トランプ政権が導入した輸入品に対する関税の大幅な引き上げや、自国優先の貿易協定などの保護主義的な政策をどこまで見直すのか注目されます。
【内政】
  バイデン氏は、新型コロナウイルス対策や感染拡大で悪化した経済の立て直し、それに人種問題の解消など、内政面でさまざまな課題に直面することになります。
  バイデン氏はとりわけ新型コロナウイルス対策を最優先課題と位置づけて集中的に取り組む方針で、
▼政権発足初日には政府が管理する施設などでのマスクの着用の義務化を大統領の権限で実行に移すための文書に署名するとしているほか、
▼民間企業に協力を求める「国防生産法」を活用してワクチンの製造を加速させ、就任後100日間で1億回分を接種できるようにする方針です。
  また、大きな課題となっているのがアメリカ社会の分断です。
  バイデン氏は、選挙後の勝利宣言で「分断ではなく、結束を目指す大統領になる」と述べるなど、国民に融和を呼びかけるとともにアメリカ社会の分断を解消すると繰り返し強調しています。
  しかし、連邦議会への乱入事件を受けて行われた世論調査でも共和党の支持者でバイデン氏を「選挙の正当な勝者」と考える人が19%にとどまるなど、社会の分断は深刻化しています。
  さらに連邦議会でも民主党と共和党との隔たりは大きく、上下両院のいずれも民主党が主導権を握ることになったとはいえ、バイデン氏が公約に掲げる気候変動対策や医療保険制度改革などについて議会で協力を得るのは、容易ではありません。
  さらに、身内である民主党内での結束も課題です。
  若者を中心に影響力を持つ「プログレッシブ」と呼ばれる党内の左派は、大統領選挙でバイデン氏の勝利に大きく貢献したことから党内での発言力を増していますが、社会保障費の増額や、軍事費の抑制を訴えるなど、中道派の議員との立場の違いも指摘されています。
  民主党内での路線対立は、今後、環境政策や通商政策などでも表面化する可能性があります。
  バイデン氏が目指す「融和」に向けて課題は多く、バイデン氏は政権発足直後から難しいかじ取りを迫られそうです。








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