アメリカの問題-1
2025.12.07-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20251207-N44UCB35GRMXPEXEFYLYW6EX6Q/
米国防総省が優先課題4項目を発表「役割果たさない同盟国は結果伴う」防衛費で警告
【ワシントン=坂本一之】ヘグセス国防長官は
6日、西部カリフォルニア州で演説し、
国防総省の優先課題として①米本土・西半球の防衛②力による対中抑止③同盟国の負担拡大④米防衛産業の強化-に取り組む方針を打ち出した。
同4項目を反映した国防政策の指針「国家防衛戦略(NDS)」を近く発表する。同盟国に対する防衛費の増額要求を巡り「集団防衛で自らの役割を果たさない同盟国は結果が伴う」と述べ、警告した。
ヘグセス氏は負担の分担に関し、北大西洋条約機構(NATO)が6月に合意した防衛費を国内総生産(GDP)比3・5%、インフラ整備なども合わせた防衛支出を同5%とする目標を「新たな基準」だと説明した。
韓国が10月末に開いた米韓首脳会談の共同文書で防衛費を同3・5%に増額する計画を明示したことに触れ、「他のインド太平洋の同盟国も追随すると楽観している」と述べた。名指しを避けつつ、日本などに改めて増額を促した形だ。
増額や戦力強化などに取り組むイスラエルや韓国などの「模範的な同盟国は恩恵を受ける」とし、
応じない国が不利益を被る可能性を示唆した。
「ただ乗りは許さない」と強調している。
対中抑止について「中国を支配することではなく、中国が米国や同盟国を支配する能力を有しない」状況を確保することだと指摘。米国が中国にとっての脅威でないことを示しながら、米軍の能力を認識させて侵略を抑止する考えを示した。
米軍が第1列島線(九州沖-沖縄-台湾-フィリピン)やインド太平洋全域に戦力を持続的に展開できる態勢も保つ。
トランプ政権は「中国と互いに尊重する関係や安定した平和を追求している」と述べ、
軍対話を拡大し衝突回避や緊張緩和を目指すとした。
米本土・西半球の防衛を巡っては、開発を進める次世代ミサイル防衛システム「ゴールデン・ドーム」が「ゲームチェンジャー」となり、
防衛態勢が大きく強化されることをアピールした。
カリブ海などで進める「麻薬運搬船」への攻撃を踏まえ、「麻薬テロリストに安全な避難場所は西半球に存在しない」と述べ、
国境管理の強化を掲げた。
2025.12.06-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20251206-XBLVPXHNQBO2XFAX5SJF6LB65E/
米安保戦略、欧州に警告「文明の抹消に直面」 ウクライナ停戦で「非現実的な期待」酷評も
【パリ=三井美奈】トランプ米政権は
5日までに発表した「国家安全保障戦略(NSS)」で、欧州が「文明の抹消」に直面していると明記し、
同盟国としての資質立て直しを促す方針を示した。
ウクライナ停戦協議でも、欧州側への不満をあらわにした。
NSSは、欧州連合(EU)の官僚主義が国家主権や自由を損なっていると指摘。欧州で続く移民流入や少子化も「文明の抹消」の原因として列挙した。大陸欧州は世界経済で急速に重みを失っており、「このままでは20年後、存在感が減退する」と警告した。
ウクライナ停戦をめぐっては、米国が欧州の経済悪化を防ぎ、対ロシア戦略を再構築させようとしているのに、
「現実味のない期待を抱く」欧州人の抵抗にあっていると記した。そのうえで
「かつての偉大な欧州を取り戻す」ため、
EU路線に抵抗する各国の右派勢力を支援する立場を掲げた。
NSSに対する欧州側の衝撃は強く、ドイツのワーデフール外相は5日の記者会見で「外部からの助言はいらない」と不快感をあらわにした。
2025.12.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20251205-L5SVBJBNWVKZTLTVQZA7LL7L2Q/
「米国第一」路線維持、同盟国に負担要求の一方で中朝への警戒感弱まる 米国家安保戦略
【ワシントン=坂本一之】米ホワイトハウスが発表した第2次トランプ政権の「国家安全保障戦略(NSS)」は、
第1次政権が2017年に発表したNSSで示した「米国第一」に基づく基本路線を維持した。ただ
同盟国に防衛費増額を求める姿勢を大幅に強め、北朝鮮や中国に対する警戒感は弱まっている。
第1次政権のNSSから大幅に記述量が増えたのは、同盟国に対する防衛負担の要求だ。原則の1つとして「公平」を掲げ、「ただ乗り」は容認しないと強調。同盟国に対し防衛費を国内総生産(GDP)比で「大幅」に増額するよう求めた。
「西太平洋における軍事プレゼンスの強化」を表明するなど同盟国重視を示す一方で、日本や韓国、オーストラリアなどの国名を明記して防衛費増額の必要性を強調した。
また、トランプ大統領が昨年の大統領選で掲げた国境対策強化の一環として米軍がカリブ海などで続ける「麻薬運搬船」への攻撃を踏まえ、南北アメリカ大陸を中心とする「西半球」に関して手厚く書き込んでいる。
一方、
北朝鮮に関する言及はなかった。
第1次政権のNSSでは表紙の次の頁から北朝鮮の脅威に言及し、核や弾道ミサイル、サイバーなど具体的な脅威を説明していた。また、中国を巡っては第1列島線周辺でのパワーバランスや台湾、南シナ海などの課題を列挙しつつも、中国を軍事的脅威と明確に名指ししなかった。
トランプ氏が北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記や
中国の習近平国家主席との首脳会談を重視する中、中朝への過度な刺激を回避したとみられる。
205.11.28-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20251128-VCQOA64VHFLL3MCOSPBHMUK7QQ/
米露、12月初旬にもウクライナ和平巡り協議へ プーチン氏発表、和平案の受諾可否を判断
(小野田雄一)
ロシアによるウクライナ侵略戦争の和平協議を巡り、
プーチン露大統領は27日、米代表団が来週前半にも訪露し、ロシア側と協議すると明らかにした。
米国がウクライナに提示した当初の和平案が修正されたことについては詳しい評価を避けつつも、「米国はロシアの立場をある程度考慮しているはずだ。ロシアは具体的な問題を真剣に話し合う用意がある」と述べた。
プーチン氏は同日、中央アジア・キルギスで露主導の軍事同盟「集団安全保障条約機構(CSTO)」の首脳会議に出席。会議後の記者会見で発言した。修正された和平案を検討し、受諾の可否を判断する方針を示した形だ。プーチン氏は修正前の米和平案を、将来的な和平合意の「基盤になり得る」と評価していた。
プーチン氏は一方で「ウクライナ軍が支配地域から撤退すれば戦闘は終わる。そうしないなら
ロシアは武力で撤退させるだけだ」と主張。
ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ南部クリミア半島と東・南部4州の帰属が対米協議の焦点になるとの見通しも示した。
ロシアは一部ウクライナ領の帰属変更を和平の必須条件と位置付けているとみられる。
(小野田雄一)
2025.11.25-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20251125-3XK5TCWWMRLFJJGZ6F5LLAYKVI/
米国がミャンマー移民保護終了 一時資格を延長せず 「もはや指定条件満たしていない」
米国土安全保障省は
24日、ミャンマーから米国に避難した移民向けの一時保護資格(TPS)を終了すると発表した。
25日に官報で公示。60日後に資格を失い、強制送還される可能性がある。
バイデン前政権が人道的な配慮から制度を推進していたが、トランプ政権は適用期間を延長しなかった。
TPSは母国で内戦や災害などが起きた移民らに米国での滞在や就労を許可する制度。国土安保省の通知では、ノーム長官がミャンマーについて「もはや指定条件を満たしていないと判断した」と説明した。
ロイター通信によると、ミャンマーからはTPSに基づき4千人近くが米国に滞在している。バイデン前政権は昨年5月にTPSの適用を18カ月延長していた。
CBSテレビによると、
トランプ政権は既にアフガニスタンやベネズエラなどから避難した移民のTPSを取り消している。
(共同)
2025.11.21-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20251121-RBVVAADKX5L5RMGF2Z55Y3KR5Q/
米、エヌビディア製半導体違法輸出で中国人ら4人起訴 AI用、6億円で
米司法省は20日、米半導体大手エヌビディア製の画像処理用半導体を違法に中国へ輸出した疑いで、中国人2人を含む計4人を逮捕し、4人は起訴されたと発表した。この半導体は人工知能(AI)用で対中輸出規制の対象。輸出先を偽るなどしていたという。
司法省は「中国はAI分野で世界をリードするため、米国の先端技術を手に入れようとしている」と指摘した。
他に訴追されたのは香港出身の米国人ら。司法省によると、4人は共謀し、2023年から今年にかけて、タイとマレーシア経由で半導体を中国に密輸したとされる。容疑者らには中国側から少なくとも389万ドル(約6億1000万円)が送金されていたという。
(共同)
2025.11.21-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20251121-RMLBPIXQBNITBIOMBYMI4LRHFE/
チェイニー元米副大統領の葬儀にトランプ氏は招かれず ワシントンで葬儀、超党派で追悼
3日に84歳で死去した
米共和党のディック・チェイニー元副大統領の葬儀が
20日、首都ワシントンのワシントン大聖堂で営まれた。
民主党のバイデン前大統領らも参列し超党派で追悼。AP通信によると、
共和党のトランプ大統領とバンス副大統領は招待されず、確執が改めて浮き彫りになった。
トランプ氏はチェイニー氏の死去に沈黙を保っている。20日にワシントンのイベントで登壇したバンス氏は哀悼の意を示し「政治的な不一致はあったが、彼は米国のために尽くした」と語った。
二人三脚で政権を運営したブッシュ(子)元大統領は弔辞で「米国とその利益を守るためにどこまでも献身した副大統領だった」と言及。長女リズ・チェイニー元下院議員は
「党よりも米国人としての結束を優先しなければならないことを知っていた」とし、
トランプ政権下で党派対立や社会の分断が深まっていることを遠回しに批判した
チェイニー氏は2020年大統領選で不正があったとするトランプ氏の主張や、
トランプ氏支持者による議会襲撃事件を非難。
24年大統領選ではリズ氏と共に、民主党候補のハリス前副大統領に投票すると表明した。
(共同)
2025.10.26-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20251026-4OWAW7G2SVLTZJUB36ITRKQDVQ/
北朝鮮外相が露、ベラルーシ訪問へ トランプ氏の日韓歴訪を牽制 米朝首脳会談は見送りか
【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の朝鮮中央通信は26日、崔善姫(チェ・ソンヒ)外相がロシアとベラルーシを訪問すると報じた。
両国の外務省の招請を受けたとしている。日程など詳細は明らかにしなかった。崔氏の訪露は昨年10~11月以来で、約1年ぶり。北朝鮮外相のベラルーシ訪問は2015年以来となる。
北朝鮮としては今回の訪露により、軍事協力を深めるプーチン露政権との連携強化を確認することで、26~30日に日本や韓国などアジアを歴訪するトランプ米大統領の動きを牽制(けんせい)する狙いもありそうだ。
トランプ氏は、最初の訪問地のマレーシアに向かう専用機内で北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記から「連絡があれば会う」と述べるなど、金氏との会談に意欲を示す。南北対話の再開を目指す韓国の李在明(イ・ジェミョン)政権内では、トランプ氏が訪韓中に南北軍事境界線がある板門店(パンムンジョム)で金氏と対面での会談を行うことを期待する声も出ている。
ただ、金政権で対米外交を統括する崔氏が、この時期に全く別の外遊日程をこなす見通しとなり、
米朝首脳会談が実現する可能性は低くなったとの観測が韓国で高まっている。
2025.10.19-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20251019-DATYFCGHGJLOXNFWPONRHX4ZJU/
ロ、ドネツク割譲を要求 米に停戦条件提示と報道 見返りに一部地域の支配放棄示唆
米紙ワシントン・ポスト電子版は
18日、ロシアのプーチン大統領が16日のトランプ大統領との電話会談で、侵攻するウクライナでの停戦条件として東部ドネツク州全域の割譲を求めたと報じた。見返りに南部ザポリージャとヘルソン両州の一部地域の支配を放棄する考えを示唆したという。複数の米政府高官の話としている。
米ロ首脳はハンガリーの首都ブダペストでの対面会談を計画しており、領土問題が協議される可能性がある。ウクライナは一切の領土割譲に応じない考えを示している。
トランプ氏は17日に実施したウクライナのゼレンスキー大統領との会談後、交流サイト(SNS)で現在の前線を凍結して戦闘を停止するよう双方に求めた。ワシントン・ポストの報道が事実なら、
領土を巡り米ロの間でも立場の違いが浮き彫りになった形だ。
(共同)
2025.10.18-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20251018-EJQOYDS7WVNCNAR3ZALXOCJEXI/
米財務長官が中国副首相とマレーシアで会談へ 5回目の閣僚級協議、首脳会談へ地ならし
ベセント米財務長官は
17日、中国の何立峰副首相と来週マレーシアで会談する計画だと述べた。
今月末に韓国で予定するトランプ大統領と中国の習近平国家主席との会談を控え、輸出管理規制など対立点を巡って協議し、
地ならしを目指す。両国の閣僚級貿易協議は5回目となり、双方がどこまで歩み寄れるかが焦点となる。
ベセント氏は、中国がレアアース(希土類)の輸出規制を発表したことで「一方的に事態をエスカレートさせた」と批判。ただ、今週事務レベルの協議を重ねたことで、緊張が「沈静化した」との認識も示した。
トランプ氏は17日、習氏との会談に改めて意欲を示した上で「両国にとって良い合意ができると思う」と自信を見せた。関係は良好だとして「中国も会いたがっているはずだ」と語った。
トランプ氏は、レアアース規制への対抗措置として100%の追加関税を表明し、
両国間の緊張が一気に高まった。その後、
発動回避を示唆する発言をしたり、中国が大豆輸入を止めたことへの「報復」を持ち出したりと、駆け引きとも読み取れる動きを続けている。
(共同)
2025.10.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20251016-2WM3OW3UYJMAPPYMDWUXFPBO6I/
ウクライナ支援国会合、ドローン積極供与で一致 米長官「露に侵略継続の代償払わせる」
【ブリュッセル=黒瀬悦成】ヒーリー英国防相とドイツのピストリウス国防相は
5日、ロシアに侵略されたウクライナへの軍事支援を巡る関係国の国防相級会合をブリュッセルの北大西洋条約機構(NATO)本部で開いた。
会合では、ロシアがウクライナに対するドローン攻撃を激化させているのに対抗するため、関係国がドローンを増産してウクライナに積極的に供与することを確認した。
ヒーリー氏は会合後の記者会見で、英国が過去6カ月間に8万5千機のドローンをウクライナに供与したと明らかにした。また、ドローンの増産に向けて今年6億ポンド(1213億円)を投資したとしている。
英メディアによると、ロシアは8月に4100機、9月に5500機の自爆型ドローンをウクライナに向けて発進させた。今月中旬までの発進数も2400機に達している。冬季を前に電力などエネルギー施設に対する攻撃も激化しており、ウクライナのシュミハリ国防相は関係国に対して防空能力の強化に向けた支援を要請した。
一方、ヘグセス米国防長官は、ウクライナ戦争はトランプ米大統領の在任中に終わらせるとし、戦いが終結に至らない場合は米国および同盟諸国が
「ロシアに対して侵略継続の代償を科す」と強調した。
ウクライナ支援国会合は2022年4月、バイデン前米政権の主導で独西部のラムシュタイン米空軍基地で初開催され、今回で31回目。トランプ政権発足後は今年2月の会合を英国が主催し、4月の会合から英独の共催となっている。
2025.10.07-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20251007-EVKXGGKMHZOUHCTI5KEOWDCKXE/
ドローン、欧米は原発、軍事施設上空など飛行禁止 中国製排除も
(ワシントン 坂本一之、北京 三塚聖平)
米国では連邦航空局(FAA)がドローンの規制を所管し、機体登録や飛行禁止区域の設定などをしている。原子力発電所といった重要インフラや軍事施設など、国家の安全保障に関わる施設の上空の飛行を禁止。首都ではホワイトハウスや連邦議会議事堂などの上空も規制されている。
また、中国の支配下にある企業など特定の外国企業が製造するドローンを連邦政府が調達・使用することを法律で禁止。トランプ米大統領は6月、ドローン対応の強化や技術革新を図る複数の大統領令に署名した。対ドローン防衛を強化するとともに、商業分野で優位に立つ中国への依存度を引き下げる方針だ。
欧州では、欧州連合(EU)の欧州航空安全庁(EASA)が共通規則をまとめ、各国が軍事施設や原発など具体的な規制区域を設定している。
中国は2024年1月、「無人航空機飛行管理暫定条例」を施行し、所有者の実名登録や「管制空域」を国が設定できるようにした。管制対象は空港や国境、軍事関連区域、原子力施設、発電所、ガソリンスタンド、港湾、高速道路、鉄道、電波天文台、重要な革命史跡など多岐にわたる。
公安当局は違反ドローンに「処置」を行え、破壊措置も含まれるようだ。「国家の重大活動」時に管制空域を追加できるため、北京では全国人民代表大会の期間、全市で飛行が禁止される。
その一方、ドローンによる配送などを「低空経済」と名付け、成長産業の柱の一つとする。経済規模は30年に2兆元(約41兆円)に達するとされる。
(ワシントン 坂本一之、北京 三塚聖平)
2025.10.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20251005-KCTUXYVANRNILBTYZQNOCH47HI/
米国務省、高市早苗氏の自民総裁選出で「安全保障や経済連携を期待」
米国務省の報道担当者は
4日、自民党新総裁に高市早苗前経済安全保障担当相が選出されたことを受けて
「米国と日米の安全保障や経済的な利益を推進するため、引き続き連携していくことを期待している」と述べた。
日米同盟については、「インド太平洋地域と世界全体の平和や安全、繁栄の礎だ」と指摘、かつてないほど強固になっていると強調した。
2025.10.03-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20251003-6Y54AKITMFLJVEOYAQIQ4A6EL4/
米政府機関閉鎖「民主党に責任」、各省HPで主張展開 公務員の政治活動禁止に抵触指摘
米政府予算をめぐって与野党が折り合えず一部政府機関が閉鎖に陥ったことを受け、各省がホームページ(HP)で野党民主党に責任を押しつける主張を展開している。
共和党のトランプ大統領の発言に沿った動きで、公務員の職権を利用した政治活動を禁止する「ハッチ法」に違反しているとの指摘も出ている。
住宅都市開発省はトップ画面で「議会の急進左派が政府を閉鎖した」と強調。司法省は「民主党が政府機関を閉鎖した」と明記し、国務省も「民主党主導の政府閉鎖により、更新が制限される」と記載した。
ホワイトハウスのHPは閉鎖開始からの経過時間を表示する時計を載せ「国民は民主党の行動に賛成していない」と断じた。
国防総省は責任の所在に直接触れず、つなぎ予算が成立するまで「軍関係者は無給で通常業務を続ける」とした。
(共同)
2025.10.02-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20251002-S2FTUJATJBMVTLT2DFQLX32BYE/
NFLスーパーボウル出演決定の人気歌手にトランプ支持派が怒り スペイン語歌詞に不満
来年2月の米スポーツ界最大の祭典、プロフットボールNFLのスーパーボウルで、
人気歌手バッド・バニーさん(31)のハーフタイムショーへの出演が決まり、トランプ大統領を支持する「MAGA」派が怒っている。
トランプ氏に批判的で、曲の歌詞がほとんどスペイン語だからだ。
「理解できない」「最も視聴率の高いイベントの一つで英語以外の曲が認められてはならない」。NFLが先月、出演を発表すると、MAGA派がSNSに相次ぎ不満をぶちまけた。
バニーさんはスペイン語が主要言語の米領プエルトリコ出身。昨年の大統領選でトランプ氏の支持者がプエルトリコを「ごみの島」と呼んだ後、民主党候補だったハリス前副大統領への支持を表明した。
今夏発表したミュージックビデオにトランプ氏に似た声が「米国の移民に謝りたい」と語る場面があり、不法移民に厳しい同氏をやゆした。
(共同)
2025.09.22-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20250922-DBOVU6EYLBJ6VPXPEDHYBQBWPM/
米国防総省、重要情報の報道は事前承認を 新規制にメディア反発「独立した報道消し去る」
米国防総省は
21日までに、政府が承認していない重要情報を報じた記者に対し、取材許可証を取り消す可能性があるとする指針を新たに示した。複数のメディアが伝えた。
トランプ米政権の「報道弾圧」だとしてメディア各社は一斉に反発した。
ロイター通信によると、国防総省は19日付文書で「説明責任と公共の信頼を促進するため引き続き透明性確保に取り組む」と強調。トランプ大統領の指示で「国防総省」を「戦争省」と呼ぶ表現に従って、「戦争省の情報は適切な手続きを経た後で公表されるべきだ」と訴えた。「情報」には、機密扱いではないものも含まれる。
ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズなど主要メディアは指針を非難。メディア関係者でつくる「ナショナル・プレス・クラブ」は「軍に関する独立した報道は
民主主義には不可欠だ」とする声明を発表し
「今回の措置は独立した報道を消し去る」と訴え、即時撤回を要求した。
(共同)
2025.09.20-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20250920-VOIPETNLOZIYJPHI2DHOAQE6QM/
米中首脳会談は10月末のAPECで 来年早期にトランプ氏が訪中 習氏と電話会談で合意
【ワシントン=坂本一之、北京=三塚聖平】トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は
19日、電話会談し、10月末に韓国で開幕するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で対面による米中首脳会談を開き、来年の早い時期にトランプ氏が訪中することで一致した。
トランプ氏がSNSで明らかにした。両首脳は中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米事業売却などについても協議した。
トランプ氏はSNSで、習氏との電話会談は「非常に生産的」だったと指摘。第2次トランプ政権下で初となる習氏との対面会談をAPECで実施し、トランプ氏の訪中とともに習氏が「適切な時期」に訪米することでも一致したことを明らかにした。
電話会談では、米中貿易や麻薬性鎮痛剤フェンタニルの米流入問題、ロシアとウクライナの戦争終結の必要性なども協議。トランプ氏はティックトックの問題も含めて「進展があった」と強調した。
米中両政府はスペインで14日と15日に行った閣僚級貿易協議で、ティックトックの米事業売却に関する枠組みで一致し、19日の首脳電話会談で合意を目指すことを確認していた。
中国国営新華社通信によると、習氏はティックトックの米事業売却に関し、「中国政府は企業の希望を尊重する」と述べた。中国の法律に一致した解決策に達することが「喜ばしい」との意向も示した。
米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、ティックトックの米事業売却を巡る枠組みは、アプリを運営する米国法人を立ち上げて同法人の株式約80%を米国の投資家らが保有し、残りを中国側が保有。米側の株式売却先にはIT大手のオラクルを含む企業などが候補にあがっているという。
一方、習氏は電話会談で、米側に「一方的な貿易制限措置を取ることは避けるべきだ」と求めた。
「中国企業が米国で投資をするために開放的で公平、非差別的なビジネス環境を提供することを望む」と注文を付けた。また、
今年で対日戦勝80年を迎えたことに関し、習氏は「中国と米国は第二次大戦で共に戦った盟友だ」と指摘。「米国など反ファシズムの同盟国が中国の抗日戦争に提供した貴重な後押しを中国人民は忘れない」とも強調した。
2025.07.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20250703-VJJVOTSKDFOKNAZUDOWBRHLW34/
米国防総省、対イラン攻撃で核開発計画「1~2年遅らせた」 必要な部品も破壊と説明
【ワシントン=坂本一之】米国防総省のパーネル報道官は2日の記者会見で、米軍が6月に実施したイラン核施設3カ所への攻撃に関し、イランの核開発計画を「1~2年遅らせた」との見方を示した。
得られた情報や分析を踏まえ、対象となった施設は「完全に破壊された」と指摘。
核兵器を「製造するために必要な部品」も破壊したと説明した。
米軍はイラン時間22日、トランプ大統領の指示を受けてイラン中部のフォルドゥ、ナタンズの核施設に対し地下施設を攻撃できる地中貫通弾(バンカーバスター)で攻撃。中部イスファハンの核施設に対しても巡航ミサイル「トマホーク」で攻撃した。
また、米国務省のブルース報道官は2日の記者会見で、
イランが国際原子力機関(IAEA)への協力を停止したことについて
「容認できない」と批判し、イランに「全面的な協力」を求めた。
2025.06.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20250624-62R7FMWT2FNNHGVUCQ5S65PJYE/
米、イランが短距離・中距離弾道ミサイルで米軍基地攻撃と説明 「死傷者報告なし」
【ワシントン=坂本一之】米国防当局者は
23日、イランによるカタールのアル・ウデイド米空軍基地へのミサイル攻撃に関し「短距離と中距離の弾道ミサイルで攻撃を受けた」と明らかにした。
同基地に駐留する米兵に関し現時点で死傷者の報告はないとしている。
当局者は「状況を注意深く監視している」と述べた。
2025.06.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20250623-L2USPBZBDZN63NA34N2RSZHX7Q/
バンス米副大統領「イランの核開発計画と戦っている」全面戦争望まず、「限定的攻撃」強調
バンス米副大統領は22日、NBCテレビの番組で、
米軍によるイラン核施設攻撃について「イランと戦争をしているのではなく、イランの核開発計画と戦っている」と述べ、
全面戦争は望まない考えを示した。ヘグセス国防長官も同日の記者会見で攻撃の標的を「意図的に限定した」と強調した。一方、
トランプ政権が攻撃の目的とした主要核施設の完全破壊が達成されたかどうかは不透明だ。
ニューヨーク・タイムズ紙は22日、大型の特殊貫通弾(バンカーバスター)GBU57で攻撃を受けたイラン中部フォルドゥの地下核施設は完全な破壊には至らなかったとする米イスラエル両当局者の見方を報じた。トランプ大統領やヘグセス氏は攻撃の目的を果たしたと主張していた。
バンス氏は番組で、
核施設の完全な破壊を確信しているかと問われ「イランの核兵器開発を大幅に遅らせた」と述べるにとどめた。
ヘグセス氏の会見に同席した米軍のケイン統合参謀本部議長は核施設に極めて深刻な損害を与えたとしつつ、核開発能力が維持されるかどうかの判断は「時期尚早だ」と明言を避けた。
(共同)
2025.05.17-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20250516-LRB6YCTU3ZLMPLD2VCFNEVNZIE/
「米とサウジの関係強化は対イランの地ならし」 日本国際問題研究所の中川浩一氏
(聞き手 桑村朋)
トランプ米大統領の中東歴訪について、日本国際問題研究所の中川浩一氏に話を聞いた。詳細は以下の通り。
トランプ米大統領が事実上の初外遊先に1期目と同じサウジアラビアを選んだ意味は大きい。
米国経済にも資する原油価格引き下げを促し、巨額の対米投資を取り付けたことで、人権問題などを理由にバイデン政権時代に冷え切っていた両国関係の「黄金時代」の始まりを印象付けた。
「脱石油」を見据えて産業多角化を図るサウジのムハンマド皇太子にとっても「新しい中東」をアピールする機会となった。
「アラブの盟主」として
米国と過去最大規模の防衛契約も結び、長年対立してきたイランへの牽制(けんせい)にもなった。
トランプ氏は中東の安定を目指しているが、イランの核開発や武装組織への支援はこれに逆行する動きだ。今回のアラブ諸国訪問は経済連携の側面が強いが、イランとの核協議合意に向けた地ならしともとれる。
ただ、米国は対イランで有用な外交カードがなく、交渉成功の可能性は低い。もし交渉が失敗すれば、イスラエルが米国をたきつけてイランを再攻撃してもおかしくはない。地域の緊張が相当に高まる危険性がある。
対シリア制裁の全面解除も驚きだった。オバマ政権以降、米国はシリアに関与しない姿勢だったが、政情安定化を支援するとのメッセージだろうか。だが、過去のイラクのように米国的統治を押し付ければ、シリアは泥沼化する。ロシア・イランとの代理戦争に発展する恐れもあり、中東の安定が遠のきかねない。
今後はガザ侵攻を止めないイスラエルに対するアラブ諸国の態度が注目される。
トランプ氏はイスラエルとサウジの国交正常化を実現し、自身のレガシー(遺産)にしたい。
サウジが今回のディールの恩返しとして関係改善に動けば、中東のパワーバランスは大きく動くことになりそうだ。
(聞き手 桑村朋)
2025.05.06-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20250506-N2JXQRNQTRML5PLPCMJ5YWBYHU/
米ヘグセス国防長官、米軍の大将ポスト2割削減を指示 「指導力を最適化、合理化する」
【ワシントン=坂本一之】ヘグセス米国防長官は
5日、米軍の再編成として大将クラスのポストを最低でも2割削減するよう指示した。国防総省が同日、発表した。
ヘグセス氏は指示書で「余剰ポストを削減することで指導力を最適化、合理化する」と説明した。
ヘグセス氏は大将クラスに加え、司令部の再編などを通し将官ポストとして最低1割削減することも求めた。また、州兵に関しては将官ポストで最低2割削減する。AP通信によると、大将クラスは約44のポストがあり、将官に関しては約800のポストがある。
ヘグセス氏は米軍の幹部ポスト削減があっても、「世界で最も殺傷力の高い戦闘部隊としての地位を維持し、力による平和を達成する」と強調。
「高い効率性、革新性」を重視する姿勢を示した。
2025.05.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20250502-JDXY3724BJNUPL5B4SMBLUKAKA/
ウォルツ米大統領補佐官が1日に退任か、米報道 空爆計画協議のアプリに編集長を〝招待〟
【ワシントン=塩原永久】複数の米メディアは1日、
ウォルツ米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が退任する見通しになったと報じた。
ウォルツ氏は、イエメン攻撃計画が通信アプリから米メディアに情報流出した問題で、批判を浴びていた。
米CBSテレビは、ウォン大統領筆頭副補佐官もトランプ政権を離れると伝えた。ウォン氏は第1次トランプ政権で米朝交渉を担当し、北朝鮮問題に詳しい。ウォルツ氏は1日にも退任するとしている。
ウォルツ氏を巡っては今年3月、イエメンの親イラン民兵組織フーシ派への空爆計画について、政権幹部らが共有する通信アプリ「シグナル」のグループチャットを立ち上げたが、ウォルツ氏とみられるアカウントから誤って米誌編集長が招待され、計画が共有されていた。
2025.04.03-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20250403-4RU4IRR4XJOTFIEJ3LSHDP5RCU/
ウォルツ米大統領補佐官 一般アプリを日常利用 安保政策巡る機微情報協議も 米報道
米ニュースサイト、ポリティコは2日、
ウォルツ大統領補佐官が率いる国家安全保障チームが
ウクライナやパレスチナ自治区ガザ、中国などに関する政策を巡り、日常的に一般アプリ「シグナル」でやりとりしていたと報じた。
少なくとも20以上のチャットグループがあり「機微な情報」も含まれていたとしている。
ウォルツ氏はシグナルのチャットグループに米誌記者を誤って招き、イエメンの武装組織フーシ派への空爆計画を協議したことが発覚。その後も情報管理の甘さを指摘する報道が続いており、批判が強まるのは確実だ。
ポリティコによると、
ウォルツ氏らは欧州やアフリカに関する政策も協議していた。グループに入っていた関係者は
「国家安全保障に関するあらゆる話題でチャットを立ち上げることは日常茶飯事だった」と話している。
(共同)
2025.04.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20250403-2LTUXGA5WZMRHPFACCHEZ2U3QE/
米自動車関税が発動へ 25%の追加措置 日本車に逆風強く 米国産の使用促進も目指す
【ワシントン=塩原永久】米国への自動車と主要部品の輸入品に25%の追加関税を課す措置が、米東部時間3日未明(日本時間3日午後)に発効する。
日本からの輸出品も対象になり、
自動車を基幹産業とする日本経済への打撃が見込まれる。
トランプ米大統領は米国の自動車産業の再興を目指す意向で、今後、米国製部品を優遇する仕組みの導入にも取り組む。
米国は普通車に2・5%の関税を課しており、新たな関税の発効後は税率が11倍になる。一部のトラックは現在の25%が50%になる。対象の部品にエンジンやトランスミッション(変速機)などが含まれたが、徴税は最大1カ月遅らせる。
米政府は、第1次トランプ政権の2019年に輸入車の流入を「安全保障上の脅威」と認定した判断を根拠にして、新たな関税措置を発動した。
自由貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定」で無税となる部品は、当面、追加関税の適用外とする。米政府は関税対象部品を拡大する検討を1カ月以内に進める。米国産の使用割合が低い部品に高い税率を課す仕組みにするとしている。
米政府によると、2024年の新車販売台数の半数近い800万台程度が輸入車だった。最多がメキシコからの約296万台。日本は約138万台を持ち込んでいる。
2025.03.04-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20250304-WTL76RZQ5VI3XJH2VMASOHTFRA/
ルビオ米国務長官が和平交渉への意欲を強調 英、チェコの外相に電話で伝える
ルビオ米国務長官は
3日、ラミー英外相と電話し、米国にはウクライナとロシアの和平交渉を仲介する意欲があると改めて強調した。
英国と連携を続ける方針を確認した。
ルビオ氏はチェコのリパフスキー外相とも電話し、戦争終結に向けたトランプ大統領の決意を伝達した。
(共同)
2025.02.21-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20250221-FSXWPYUYLNOAXJ2VMWQKURZBEI/
ゼレンスキー氏に「不満」 トランプ氏、希少資源供与に合意なく 米特使は会見拒否
ウォルツ米大統領補佐官は
20日、ウクライナのゼレンスキー大統領が米国への希少な鉱物資源供与に合意せず、トランプ大統領が不満で「非常にいら立っている」と記者会見で述べた。
ウクライナとロシアを担当する米国のケロッグ特使は20日、キーウ(キエフ)でゼレンスキー氏と会談したが、会談後の共同記者会見を拒否した。
トランプ氏は19日、ロシアとウクライナの戦争終結に向けた米ロ主導の和平交渉を批判するゼレンスキー氏を「選挙をしない独裁者」と呼んだばかり。米国とウクライナの亀裂が広がっている。
ウォルツ氏は記者会見で「ウクライナの将来と安全保障のためには、米国の長期的な投資ほど良いものはない」と主張し、ゼレンスキー氏は希少鉱物資源の交渉に戻るべきだと訴えた。
ケロッグ氏とゼレンスキー氏が会談したウクライナ大統領府には国内外の記者が集まったが、会談の冒頭撮影だけが許可され、質問は禁じられた。ウクライナの大統領報道官は「米側がこの形式を決めた。記者会見はせず、声明もすぐには出さない」と述べた。
(共同)
2025.02.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20250215-JNC25466MBAAHNAI364GRKVPVQ/
「群衆に車突っ込み地域を粉々に」「制御不能な移民に終止符を」バンス氏演説移民問題全文
バンス米副大統領は14日、
ドイツでのミュンヘン安全保障会議で行った演説で、前日13日にアフガニスタン人の男が車で群衆に突っ込み約30人が負傷した事件に触れて移民問題を
「政治家の意思決定の結果だ」などと
批判。欧州側は猛反発した。演説の主要部分の概要や、移民問題に関する部分の全文は次の通り。
懸念するのは欧州の「内なる脅威」だ
本日お話ししたいことの一つは、われわれが共有する価値観だ。昨日の恐ろしい攻撃に動揺している中で、ドイツの人々のもてなしには、とても感銘を受けた。私が初めてミュンヘンへ来たのは、本日ここに一緒にいる妻との個人的な旅行だった。それ以来、私はミュンヘンの街を愛し、人々を愛している。
われわれは非常に動揺しており、われわれの思いと祈りはミュンヘンと共にある。この美しい地域社会で悪の影響を受けたすべての人と共にある。
もちろん、この会議は安全保障を議論するために集まったものだ。安全保障というと通常、外部の脅威を意味するだろう。本日、とても多くの偉大な軍の指導者が集まっている。だが、トランプ政権は欧州の安全保障を非常に懸念している。
ロシアとウクライナは合理的な解決に達することができるだろうし、今後数年間で欧州が自国の防衛力を強化することも重要だ。だが、私が欧州に対して最も懸念する脅威とは、ロシアではない。中国でもなく、他の外部の面々でもない。
懸念するのは、内なる脅威だ。欧州が、米国と共有すべき最も基本的な価値観から後退していることだ。
これは安全保障会議であり、皆さんは、新たな目標に沿って今後数年間で国防費をどの程度増やすつもりかについて議論の準備をしてきただろう。だが、そもそもわれわれが何を守っているのかを知らずに、予算編成の問題について考えられるだろうか。
自国民を導く声や意見、良心を恐れるとき、安全保障などあり得ない。欧州は多くの課題に直面している。だが、欧州が直面している危機、われわれ全員が共に直面している危機は、われわれ自身が作り出したものだ。
あと何度挫折しなければならないのか
この会議に集まった国々が直面しているすべての差し迫った課題の中で、大量移民ほど緊急な課題はない。現在、ドイツに住むほぼ5人に1人が海外から移民してきた。もちろん、史上最高数だ。米国でも同様で、過去最高を記録した。欧州連合(EU)域外からEUへ入国した移民の数は、2021年から22年の1年間だけで倍増した。もちろん、それ以降もはるかに高くなっている。
現在の状況は決して何もないところから現れたわけではない。10年といった期間に、欧州や世界中の政治家が行った一連の意思決定の結果だ。われわれは昨日、まさにこのミュンヘンで、彼らの決定がもたらした恐怖を目の当たりにした。ミュンヘンの美しい冬の一日を台なしにされた無残な犠牲者のことを考えずに、再びこの話を持ち出すことはできない。われわれの思いと祈りは彼らと共にあり、これからも彼らと共にあり続ける。
だが、そもそもなぜ、このようなことが起こったのだろうか。
今回の事件はひどい話だが、欧州ではあまりにも何度も耳にしてきたことであり、残念ながら米国でも何度も繰り返されてきた。難民申請者の多くは20代半ばの若者で、すでに警察は認識していることだが、その一人が群衆に車で突っ込み、地域社会を粉々にした。
連帯とは。われわれは、こんな恐ろしい挫折をあと何度経験しなければならないのか。われわれは進路を変え、共有すべき文明社会を新たな方向へと導くことはできないのか。
難民に門戸を開く投票した人はいない
欧州の有権者の中で、難民審査を待つ何百万人もの移民に門戸を開くために投票した人はいなかった。有権者は何に投票したのか。英国ではEU離脱(ブレグジット)に投票した。賛成か反対か意見表明した。
欧州全土で、制御不能な移民に終止符を打つと約束する政治指導者に投票する有権者が増えている。私はたまたまこれらの懸念の多くに同意するが、もちろん、あなたがたが私の意見に賛成する必要はない。
ただ、人々は自分の故郷を大切にしていると私は思う。人々は自分の夢を大切にしている。自分たちの安全や、自分自身と子供たちが生活していけるかどうかを気にかけている。
人々は賢明だ。私が政治に携わった短い期間に学んだ最も重要なことの一つだが、ダボス会議が開かれる山の向こう側での議論とは裏腹に、すべての国民は、一般的に自分たちを「教育を受けた動物」だとか「グローバル経済の交換可能な歯車」とは考えていない。彼らが指導者に振り回されたり、容赦なく無視されたりしたくないのは当たり前のことだ。こうした大きな問題に投票で決着をつけることが、民主主義の役割だ。
民意無視なら民主主義は生き残れない
米国であれドイツであれ欧州であれ、何百万人もの有権者に対し、彼らの考えや懸念、願望、救済を求める訴えは無効であり、考慮する価値さえない―そう人々に告げるなら、民主主義は生き残れない。
民主主義を信じることは、市民一人一人が知恵を持ち、発言権を持っていることを理解することだ。もしわれわれがその声に耳を傾けることを拒むなら、われわれの最も成功した戦いでさえ、ほとんど何も保証しないだろう。
欧州でも世界でも最も並外れた民主主義の擁護者の一人だった教皇、故ヨハネ・パウロ2世はかつてこう言われた。「恐れるな」と。われわれは、国民が指導者に賛成しない意見を表明したときでさえ、恐れるべきではない。皆さま、ありがとうございました。
幸運を祈ります。神のご加護を。
2025.01.07-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20250107-TK3MZSKTZFLS3COJPUXVH4NUZQ/
米議会がトランプ氏勝利を認定 就任初日に大統領令連発へ 議会襲撃4年
【ワシントン=坂本一之】米連邦議会は
6日、上下両院合同会議で2024年大統領選の結果を確定し、共和党のトランプ氏が勝利したと公式に認定した。
トランプ氏は第47代大統領として20日に就任し公約実現に向け初日から多数の大統領令を出す方針だ。
4年前は20年大統領選での不正を主張したトランプ氏の支持者らが議会を襲撃する事件が起きたが、今回は混乱なく大統領選の最終手続きを終えた。
合同会議では大統領選で敗れた民主党のハリス副大統領が上院議長として進行役を務め、トランプ氏の当選を宣言。共和党のバンス上院議員の副大統領当選も確定した。
大統領選は人口に基づき各州と首都ワシントンに割り当てられた選挙人計538人の過半数270人を獲得した候補が当選する。確定結果はトランプ氏が312人で、ハリス氏は226人だった。結果に異議を訴える声はなく、ハリス氏は同会議後、「平和的な権力移行は民主主義における最も重要な柱の1つだ」と述べた。
トランプ氏は会議に先立ち、自身の交流サイト(SNS)で「議会は偉大な大統領選の勝利を認定する。大事な瞬間だ」と強調した。就任初日にトランプ氏は不法移民・国境問題やエネルギーなどに関する多数の大統領令に署名する見込み。さらに、4年前の議会襲撃事件で訴追された支持者らを恩赦する考えも示している。
トランプ氏は20年大統領選での敗北後、「大規模な不正があった」と主張し続け、21年1月6日に支持者たちが選挙結果を覆そうと、勝者を認定する上下両院合同会議が開かれていた議会を襲撃した。議会襲撃事件を巡っては、トランプ氏に対する起訴を特別検察官が昨年11月に取り下げている。
2024.12.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241223-BX2U5WIFEFKAFHG4VSPCRPANUQ/
マスク氏、独クリスマス市死傷事件で「首相は退任を」とX攻撃 欧州、政治介入を警戒
【パリ=三井美奈】ドイツ東部マクデブルクで移民男性がクリスマス市に車で突入した事件を受け、
トランプ次期米大統領の側近で実業家イーロン・マスク氏が、独政府をX(旧ツイッター)で攻撃している。
ショルツ首相に「すぐに辞めよ」と促し、
移民排斥を訴える右派政党を支持した。マスク氏の「X砲」は欧州各国に広がり、政治介入への警戒感が高まっている。
この事件では9歳の子供を含む5人が死亡し、サウジアラビア出身の男(50)が逮捕された。
マスク氏は事件後まもなく、ショルツ氏を「無能なバカ」と呼び、
移民政策をなじった。そのうえで、ドイツ人右派インフルエンサーの投稿に反応し、
「ドイツを救えるのは、ドイツのための選択肢(AfD)だけ」と書き込んだ。
AfDは移民排斥を掲げ、政界で「極右」と異端視される政党。近年は支持率が急伸しており、ショルツ氏の中道左派与党、社会民主党(SPD)を脅かす存在だ。
ドイツでは来年2月に総選挙を控えており、
欧州連合(EU)のフランス人元欧州委員は「外国による介入ではないか」とXで疑念を示した。すると
マスク氏は「米国の介入のおかげで、あなたは今、ドイツ語やロシア語を話さずにいられる」と反論した。
第二次大戦で米軍がフランスを独ナチスの占領から救い、西側の一員とした歴史を忘れるな、という意味だ。
マスク氏の標的はドイツに留まらない。英労働党のスターマー政権にも矛先が向く。英政府が今秋、農業資産の相続で課税強化を打ち出すと、「英国はスターリンでいっぱい」と発信。旧ソ連の独裁者を引用して、増税を批判した。
独英の中道左派政権をたたく一方、移民削減を掲げるイタリアの右派政権は擁護する。伊裁判所が先月、メローニ首相の移民対策に人権侵害の恐れがあるとの判断を下すと、「判事は出て行け」と反発した。
マスク氏は電気自動車(EV)大手テスラなどを率いる大富豪で、世界的な人脈を持つ。その影響力の大きさから、今月22日付仏紙ルモンドは社説で「第二の米大統領になる」と予測。「どんな事象にも発言し、不安を招く影響力ではトランプ氏を上回る」と論じた。独誌シュピーゲルは
マスク氏を「自由民主主義の脅威」と位置付けた。
マスク氏はトランプ次期政権で「政府効率化省」トップに就任する予定。
国務長官にはルビオ上院議員が起用される予定だが、欧州では「マスク氏は外交でも重責を担う」との見方が強い。
トランプ氏が先月、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談をした際、同席させたと報じられたことが背景にある。
2024.12.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241215-HKL3N6Y4V5KKVCJJWTNQGW5DRM/
米国は露の延命に手を貸すな-日曜に書く 論説委員・斎藤勉
(さいとう つとむ)
「チキン・キーウ演説」
冷戦末期の1991年8月1日、ブッシュ米大統領(父)が演説でとんだ妄言を吐いた。ソ連からの独立機運が高揚していたウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪れ、最高会議の演壇からこう訴えかけたのだ。
「米国は遠く(モスクワ)から押し付けられた専制政治を地方の専制政治に置き換えるために独立を求める人々を助けることはない。独立と自由は同じではない。ロシアへの民族的憎悪から生まれた自殺的な民族主義の推進者は支援しない」・・・要するに、「ウクライナは独立するな」とクギを刺したのだ。この演説は猛烈な批判を呼び起こした。
米国の名コラムニスト、サファイア氏はブッシュ演説をウクライナ伝統の鶏肉料理の名前を取って「チキン・キーウ(キエフ風カツレツ)演説」と呼び、「ウクライナの独立を認めることの恐怖心が現れた」と指弾した。チキンには「臆病者」の意味もある。
ブッシュ氏はキーウ訪問の前日、モスクワで会談したゴルバチョフ・ソ連大統領から「ウクライナの独立要求は自殺に等しい民族主義だ」と警告され、演説でそのまま引用したのだ。
ウクライナ出身の歴史学者、ホダルコフスキー氏はその著書『ロシアの二〇世紀』で「核武装国家であるソ連が暴力的に分裂する可能性を憂慮した米国と英国がゴルバチョフを支援して連邦維持に手を貸すことにした。(ブッシュ)演説は米政府が(ウクライナ)現地の実情を全くわかっていないことを示していた」とあきれている。
「テロ」指定の脱露運動
果たして、歴史はブッシュ演説直後から「連邦維持」とは真逆の道へ急ピッチで動いた。8月24日、ウクライナは独立を宣言、12月1日の独立の賛否を問う国民投票では90%超が賛成した。そして12月25日、ソ連自体があっけなく消滅した。
ところが、
ソ連崩壊から31年後の2022年2月、「ロシアとウクライナは一体」との歴史的妄執に憑(つ)かれたプーチン露大統領がウクライナに侵攻した。
ブッシュ政権の最大の失敗は「核大国分裂の恐怖心」に目が曇り、ソ連共産党統治下で独裁者スターリンによる大粛清やハンガリー動乱、「プラハの春」弾圧…と数知れぬ「国家・国際犯罪」に手を染め続けてきた
「巨悪・ソ連」を救う方向へかじを切っていたことだ。
ソ連からの独立へ次々と立ち上がったバルト三国やウクライナなどの国民の民主化要求の実態を真剣に知ろうとも支えようともしていなかったのだ。
その政治的、道徳的怠慢が21世紀初め、「スターリンの再来」ともいうべきプーチン氏の独裁・恐怖体制を生んだといえる。
しかし、ロシア内部で虐げられ続けた少数民族や先住民族の民主的な独立国家を希求する声は息絶えてはいなかった。
ウクライナ侵攻から3カ月後の22年5月、国外に亡命中の反露政権活動家らが「脱露・独立」を唱える露史上初の運動体『ロシア後の自由な民族フォーラム』を立ち上げた。「侵略戦争でロシアが敗北、崩壊することを前提に、露連邦内で新たに41の諸民族の自由で民主的な独立国を誕生させる」と訴え、各国の協力を求めて世界を巡っている。
プーチン政権は今年11月、このフォーラムを「テロ組織」に指定した。
いかに神経を尖(とが)らせているかの証左だ。
「諸民族民主化を支えよ」
来年1月20日、ウクライナ戦争停戦仲介に意欲的なトランプ氏が米大統領に再登板する。
ロシアは交渉を睨(にら)み、有利な戦況を作り出そうと北朝鮮の援軍まで得て攻勢に拍車をかける。国内の労働力不足やインフレ、優秀な若者の国外流出も深刻だ。
問題は、
軍事・経済的苦境からプーチン政権が戦争でいよいよ追い詰められ「ロシア崩壊」に傾き始めた時、トランプ氏が「チキン・キーウ演説」の二の舞いを演じ、「露連邦維持」に手を貸してしまう危険性だ。
在日ウクライナ人国際政治学者、グレンコ・アンドリー氏はその懸念は口にしながらも、米・西側にこう提言する。
「米国にはプーチン氏打倒に賛成でも露連邦分裂はノーという人は多い。やはり世界一の核大国内部の暴発、新興独立国の独裁化や中国への隷属化の恐怖が主な理由だが、私の考えでは何の根拠もない。米・西側は露国内の諸民族民主化を全力で支援すべきだ。
そうすることで分裂後の独立諸国は進んで核を差し出すと思う。
世界にとって最も危険なのはロシアの存続だ」
(さいとう つとむ)
2024.11.14-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241114-PXX74R6SYFNKJHZ36TY77ILJNA/
米司法長官に「反民主」急先鋒ゲーツ氏 国家情報長官はギャバード元下院議員
【ワシントン=大内清】トランプ次期米大統領は13日、
次期政権の司法長官にマット・ゲーツ下院議員(43)=フロリダ州選出=を指名すると発表した。
ゲーツ氏はトランプ氏を熱烈に信奉する民主党批判の急先鋒。トランプ氏が主張してきた政敵への報復を主導する可能性がある。
司法長官は連邦捜査局(FBI)を所管し特別検察官の任命権限も持つ。高い政治的中立性が求められるが、
忠実なトランプ派のゲーツ氏が実際に就任すればトランプ氏の司法への影響力が強まりそうだ。
トランプ氏は選挙戦で、自身が起訴されたことへの報復としてバイデン大統領ら民主党要人を「訴追する」と宣言していた。
ゲーツ氏は未成年者への性的人身売買などの容疑でFBIの捜査対象となったこともあり、
人事承認に向けた上院公聴会で追及を受けるのは必至だ。
一方、
トランプ氏は同日、情報機関を統括する国家情報長官(DNI)に、ハワイ州選出の元下院議員で民主党から共和党にくら替えしたトゥルシー・ギャバード氏(43)を指名すると発表。
対中強硬派のルビオ上院議員(53)=フロリダ州選出=を国務長官に指名することも正式発表した。
2024.11.06-産経新聞(月刊正論)-https://www.sankei.com/article/20241103-C3RO34QH5JEHJNBPMMQRBKY3KU/?outputType=theme_monthly-seiron
トランプ氏、実は高学歴の白人富裕層も支持 ハリス氏はバラモンの娘、先祖に奴隷所有者 福井義高-正論12月号 「日本人が知らない大統領選」
次の米大統領は前大統領のドナルド・トランプか現副大統領のカマラ・ハリスか、選挙戦終盤になっても、どちらとも言えない状況が続いている。
ここでは、本誌発売後、
すぐにわかる選挙結果の予想ではなく、二人がどんな人物なのか、その支持基盤はどこにあるのか、さらには米国民の政治的関心はどの程度なのかについて述べてみたい。
2人の生い立ち
1946年に生まれたトランプは、ニューヨーク市の裕福な家庭の出ながら、父フレッドは学歴もなく一代で財をなした人物であり、トランプ家はブッシュ家のような名門ではない。トランプはアイビー・リーグの一角を担う名門ペンシルバニア大を卒業している。米国ではトップ校でも、有力OBなどの子弟を優先する「レガシー」入学が公然と行われているので、トランプもカネで入ったという主張がある。しかし、姉のメリアン(故人)が連邦高裁(控訴裁判所)判事だったことからみても、トランプは、本人が言うほどではないにせよ、かなり学力優秀だったのであろう。なお、ジョージ・W・ブッシュ(息子)元大統領は祖父(上院議員)や父(大統領)と同様、イェール大を卒業している。
一方、1964年生まれのハリスは両親とも学者である。ジャマイカ出身の父ドナルドは経済学者で、西海岸を代表する名門カリフォルニア大バークレー校(UCバークレー)で博士号を取得し、スタンフォード大の教授を務めた(現在は名誉教授)。インド出身の母シャマラ・ゴプラン(故人)もUCバークレーで博士号を取得した生物医学者で、かつて原爆開発を担ったローレンス・バークレー国立研究所の研究員であった。
極めて知的な両親のもとに生まれながら、ハリスはあまり学力優秀ではなかったようである。両親離婚後、母に育てられたハリスは、ハワード大という難関とはいえない大学に進学している。この大学はもともと黒人のために設立され、人種差別が公的に否定される前には学力優秀な黒人が入学したことで知られる。しかし、米国で「アファーマティブ・アクション」と呼ばれるマイノリティー、とくに黒人を優遇する政策が採用された後、つまりハリスの世代では、トップの黒人学生が目指す大学ではなくなっていた。
ハリスは大学卒業後、ロースクールに進学するけれども、やはり一流とは言い難いカリフォルニア大ヘイスティングス(現サンフランシスコ)校に入っている。同じ「カリフォルニア大」といっても、両親の母校バークレー校やロサンゼルス校(UCLA)と比べ、かなり「格落ち」である。
同い年でともに黒人女性のリーダーと目される存在ながら、ハリスとバラク・オバマ元大統領夫人のミシェルは、ある意味、対照的である。黒人労働者家庭出身のミシェル・ロビンソン(旧姓)はアイビー・リーグの名門プリンストン大を卒業後、ハーバード・ロースクールに進み、修了後に同窓のバラクと出会っている。ただし、『ニューズウィーク』(2008年2月25日号)が指摘しているように、アファーマティブ・アクションが採用されていたとはいえ、ミシェルの成績ではトップ校は無理と高校では判断されていた。成績優秀かつバスケットボールのスター選手だった兄クレイグがさきにプリンストン大に進学していたことが背景にあったと思われる。
多感な青春時代、学力相応の黒人大学に進学したハリスと、自分より明らかに学力が高い白人・アジア系クラスメイトに囲まれたミシェルとどちらが幸せだったであろうか。また、そうした体験が二人の人生にどのような影響を及ぼしたのか、興味深い論点である。
さて、ハリスは米国で差別されてきた黒人であることを強調するけれども、事実はそう単純ではない。まず、ハリスの父ドナルドは祖先に白人奴隷保有者がいることを父自ら認めている。ドナルドの世代で大学に進学しているということは、ジャマイカでは恵まれた家庭出身だったのであろう(米国に来る前ロンドン大にも留学している)。さらに、母シャマラはインドのカースト最上位バラモン(ブラーミン)出身である。インド本国では米国同様、差別されてきたグループを優遇する政策が取られ、バラモン出身者は逆に不利に扱われる。それを逃れるため、米国のインド系エリートにはバラモン出身が多くなっている。ハリスの母もその一例である。
母はインドでは差別する側のバラモン、父は白人の血をひくジャマイカ人という、ともに米国の奴隷制とは無関係な、博士号を持つエリートであり、ハリスは到底逆境のなかで育ったとはいえない。そもそも、「ワンドロップ・ルール」すなわち一滴でも黒人の血が入っていれば「黒人」とみなす米国以外であれば、黒人の血が半分に満たないハリスは「黒人」とみなされない可能性がある。
カリフォルニア州検察官だったハリスの政界への進出を語るうえで、カリフォルニア民主党の大立者ウィリー・ブラウンとの関係に触れないわけにはいかない。のちにサンフランシスコ市長となるブラウンが州下院議長を務めていた1990年代半ば、ハリスは、別居していたとは言え既婚者で30歳年上のブラウンと交際し、同時期に複数の公職に任命されている。ハリスが2020年大統領選に向けて、民主党有力候補として出馬表明する直前の2019年1月15日、ブラウンは『サンフランシスコ・クロニクル』に寄稿し、ハリスに便宜を図ったことを認め、「だからどうした」(So
what)と述べている。
偶然が左右する大統領選
米国政治の特徴としてまず挙げられるのが、その安定度の高さである。日本や欧州では既成政党が没落し、新たな政党が国政選挙で議席を得ることは珍しくない。フランスの国民連合やドイツのAfDのように、既成勢力からは目の敵にされながらも、大政党になった例もある。ところが米国では19世紀以来、民主・共和の二大政党制が強固で、別の政党が割り込む可能性はないといってよい。実際には両党以外の政党が存在し、大統領選挙にも複数が立候補しており、すべてが泡沫候補というわけでもない。たとえば、今回も出馬しているリバタリアン党候補は、2016年の大統領選では全米で3%、前回2020年の選挙でも1%の支持を得ており、後述する米国の選挙制度ゆえ、その影響は無視できない。
米国の二大政党制は自然とそうなっているというより、政治を安定させるため、社会的合意の上に人為的に維持されているともいえる。大手メディアは両党以外の政党を無視し、他党の候補は討論会にも呼ばれない。
そして、この二大政党それぞれへの支持も安定している。大統領選と同時に行われる、小選挙区制の下で全議席が改選(任期2年)される下院では、実際競い合っているのは全体の1割程度でしかない(『USニューズ&ワールド・レポート』2024年9月27日付電子版)。そのため、日本や欧州でみられるような大政党が大敗するという事態は生じない。
米国では大統領選は全国での得票数を競うのではなく、州単位で勝った候補が(ほぼ人口に比例にして)州に割り当てられる選挙人全員を獲得し、その総数で当落が決まるため、全国での得票数で勝っても当選できるとは限らず、その裏返しとして、得票数で負けても当選する可能性がある。実は、2000年から2020年までの6回で共和党候補が得票数で上回ったのは1回(2004年のブッシュ再選)だけで、共和党が勝った2000年(ブッシュ)と2016年(トランプ)も得票数では民主党候補が上回っていた。
全国得票数ではなく選挙人の数で決まる制度の下、ほとんどの州でどちらの党の候補が勝つかほぼ確定しているので、実際の争いは両者の支持が拮抗する少数の激戦州で決まる。したがって、第三党候補の得票が勝敗を左右する可能性が大いにあるのだ。2020年の選挙では得票率1%未満の票差だった州が三つあり、すべてバイデンが勝った。もし逆にトランプが勝っていれば、選挙人の総数は同じであった。しかも、三州すべてで今回も立候補しているリバタリアン党候補の得票率は1%を超えていたのである。大接戦だった2000年選挙の勝敗は、わずか500票差でブッシュがフロリダ州を制したことで決まったけれど、緑の党のラルフ・ネーダーは10万票獲得しており、別の二人の候補の得票数もそれぞれ1万票を超えていた。
要するに、米大統領選は第三党候補が選挙結果を左右する存在であるばかりでなく、全国得票数からみれば、誤差の範囲ともいえる票差で勝敗が決まるのである。
誰がトランプ支持者なのか
さて、トランプは政界アウトサイダーとして、共和党エスタブリッシュメントに挑戦し、ある意味、「共和党をぶっ壊した」。しかし、
表のデータで示した通り、2020年にジョー・バイデンに再選を阻止されたトランプと、2012年に現職のオバマに敗れた共和党主流派で反トランプのミット・ロムニーは全体の得票率のみならず、カテゴリー別でみても得票率はほとんど同じであった。
まず、ロムニーもトランプも、全体ではともに47%の得票率であった。以下「トランプ得票率(ロムニー得票率)」として記す。性別でみると、ともに男性53%(52%)が女性42%(44%)を10%前後、上回っている。また、結婚の有無では、結婚している有権者53%(56%)がしていない有権者40%(35%)を大幅に上回っている。
人種別に見ると、白人は58%(59%)で6割が共和党候補に投票するものの、非白人では民主党候補の圧勝である。それでも、黒人は12%(6%)でトランプの得票率のほうが高く、ヒスパニックでも32%(27%)でやはりトランプの方が高かった。トランプは日本でも白人至上主義者であるかのように報道され、南部国境からの主にヒスパニックの移民制限を強く主張することから、ロムニーに比べて黒人やヒスパニックの得票率が大幅に低下したのかと言えば、全くそんなことはなく、むしろ支持を増やしているのである。
家計収入でみると、10万ドル未満は43%(44%)、10万ドル以上は54%(54%)で、所得の低い層は民主党、高い層は共和党が強いという伝統的パターンは変わらない。トランプの支持者は白人貧困層というのが通説化しているけれども、豊かな白人はトランプ支持を公言しないだけで、実際には投票しているということである。ただし、通説も全く誤りというわけではない。白人の学歴別でみると、非大卒は67%(61%)でトランプの方が高い一方、大卒は48%(56%)でトランプの方が低かった。とはいえ、大卒でも半分はトランプを支持しているのである。所得が高く、学歴が高いほど、「隠れトランプ」が多いのだ。
データが示すのは、米国有権者の投票パターンが候補者の個性や主張にそれほど影響されないという、米国政治の安定性である。
政治に無関心な米国人
米国政治について語るうえで忘れてはならないのは、そもそも米国人は一般的に政治に興味がないことである。もっとも関心が高い選挙である大統領選でも、この半世紀で投票率が6割を超えたのは、前回2020年だけである。さらに、より重大な問題として、産経本紙拙稿(2021年12月30日付朝刊)で論じたように、米国人は自国政治について驚くほど無知なのだ。たとえば、オバマ政権下の2014年中間選挙前の世論調査での、上院・下院それぞれ多数党はどちらかという質問に、上院も下院も、正答4割、誤答2割、わからない4割であった(正答は上院が民主党、下院が共和党)。選択肢が二党しかないなか、正答の多くが当てずっぽうだったと思われるので、本当に知っていたのは2~3割であろう。より身近な経済問題でも、失業率はいくらかという4択の質問(3、6、9、12%)で、正答(6%)3割、誤答5割、わからない2割であった。誤答のほとんどが9か12%だったので、正答から当てずっぽうの分を差し引けば、有権者の大半が実態より経済状態が悪い(失業率が高い)と誤って認識していたか、どんな状況か知らなかったことになる。
米国では憲法上、州そして議会や裁判所の権限が大きいため、内政における大統領の裁量の余地はそれほど大きくない。一方、米国以外にも大きな影響を与える軍事介入も含めた外交は、大統領の専権事項といってよい。しかし、その大統領が、ここで示したように、政治に無知な国民のパターン化された投票行動の下、ごく少数の有権者の気まぐれに左右されて選ばれるという現実を前提として、米国政治を語る必要があることだけは確かである。(敬称略)(
月刊「正論」12月号から)
ふくい・よしたか
青山学院大学教授。昭和37年生まれ。東京大学法学部卒業。米カーネギー・メロン大学Ph.D.。
月刊正論について
日本の自由な社会と健全な民主主義を守るという信条に基づき、昭和48(1973)年10月に創刊した雑誌「正論」は、創刊50年を迎えました。「多数意見に迎合せず、また少数意見におもねず(ママ)、真に国民のための世論提起が本誌の願い」との創刊時の信念を受け継いできました。政治、経済、社会、国際問題から文化までの幅広い分野で、執筆陣が多角的な視点から主張を展開します。
2024.08.10.-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240810-6NEU2ESWDVOA7F2Q5XWVEQFHNQ/
米、対ベラルーシ追加制裁 大統領専用機差し押さえ 企業など14団体と19個人
米政府は9日、ウクライナ侵攻を続けるロシアに軍事支援をしているとして、ベラルーシに拠点がある企業など14団体と19個人を制裁対象に追加した。
米国内の資産を凍結する。強権支配を続けるルカシェンコ大統領の専用機1機を差し押さえの対象にした。
米国と英国、カナダと欧州連合(EU)は、不正が指摘された2020年のベラルーシ大統領選から4年となった9日に共同声明を発表した。
ルカシェンコ政権が「弾圧を続けている」と非難し、約1400人の政治犯の即時釈放を要求した。
(共同)
2024.07.18-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240718-SVJH3G6DHBOKNMM5UMQWT4HCSY/
米共和党バンス氏の「英国は核保有したイスラム主義国家」発言に英与野党が猛反発
【ロンドン=黒瀬悦成】米共和党全国大会で大統領選の同党副大統領候補に選ばれたバンス上院議員が
スターマー英労働党政権を「核兵器を持ったイスラム主義国家」と呼んだことに対し、
英政界で反発が広がっている。
11月の大統領選でバンス氏とトランプ前大統領が勝利した場合、これまで「テロとの戦い」やロシアに侵略されたウクライナへの支援で緊密に連携してきた米英の「特別な関係」に亀裂が入りかねないとの懸念も出始めた。
バンス氏の発言は、ワシントンで先週開かれた保守派の会合で飛び出した。これに対し、パキスタン移民の子孫である保守党のワルシ上院議員は英紙インディペンデント(電子版)への寄稿で「バンス氏は無知な人種差別発言で英国をおとしめた」と
非難した。
労働党のレーナー副首相はテレビ番組で
バンス氏の認識を否定し「彼は過去にも多くの低俗な発言をしてきた」と一蹴した。
影の退役軍人相を務める保守党のボウイ下院議員も「労働党の同僚たちに対して極めて侮辱的だ」と強く批判した。
英メディアの間では
労働党所属のイスラム教徒のカーン・ロンドン市長(労働党)が過去にトランプ氏を「差別主義者」と批判したことへの
意趣返しだとする指摘もある。
一方、
トランプ氏の友人として知られる右派政党「リフォームUK」のファラージ議員はバンス氏の発言に同意しないとしつつ「労働党政権の外にイスラム主義者がいるのは事実だ」と主張した。
2024.07.17-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240717-W3NK4YQMTNOTFA23DZAH7TFNWE/
米軍、IS44人を殺害、166人拘束 イラクとシリアで1~6月
米中央軍は
16日、イラクとシリアで1~6月に実施した過激派組織「イスラム国」(IS)に対する米主導の作戦が196回に上ったと発表した。
ISメンバー44人を殺害し、166人を拘束した。
(共同)
2024.07.16-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240716-NNWSXELZKFJZHGTYO2CHYHUBOY/
ヘイリー元国連大使が共和党大会出席へ トランプ氏銃撃事件で結束訴えか 米メディア報道
【ミルウォーキー=渡辺浩生】米中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーで15日開幕する共和党全国大会に、
トランプ前大統領と大統領選の党候補指名を争ったヘイリー元国連大使が出席することが明らかになった。米ブルームバーグ通信など複数のメディアが報じた。
トランプ氏は、13日に東部ペンシルベニア州の選挙集会で演説中に銃撃された事件を受け、
「結束がかつてなく重要なときだ」とSNS投稿を通じて訴えている。
ヘイリー氏の出席もトランプ氏が自ら要請したとされる。
ヘイリー氏は大会2日目の16日にスピーチし、トランプ氏支持と党内融和を訴えるとみられる。
ヘイリー氏は11月の大統領選に向けて1月から始まった予備選・党員集会でトランプ氏と候補指名を競い、3月に撤退。しかし、その後の予備選でも一定の得票を続けて存在感を見せた。
トランプ氏にとり、無党派層を含めヘイリー氏を支持する「反トランプ票」の獲得が、本選の課題となっている。
2024.07.03-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240703-YJFAHXNQNFMFPIQC3OFWFRFS2I/
バイデン氏討論会の「衝撃波」 中露や北朝鮮などが挑発に出る危険も浮上 米専門家
【ワシントン=渡辺浩生】バイデン米大統領が6月27日の討論会で顕著な衰えを露呈したことは、米国外交を指揮する大統領の指導力への対外的な信認の低下を招き、
結託を強める中国やロシア、北朝鮮、イランといった現状変更勢力に新たな挑発や干渉の隙を与えかねない、との見方が出ている。
討論会後、本人や家族、陣営幹部は選挙戦の継続を訴え、大口寄付者や民主党支持層に広がる選挙戦撤退論を抑えるのに躍起になっている。
だが、
同盟諸国にも不安は広がっている。米国際政治学者のウォルター・ラッセル・ミード氏は1日の米紙ウォールストリート・ジャーナルのコラムで、同盟諸国に
「バイデン氏の討論会のパフォーマンスは衝撃波をも送った」と指摘した。
ブリンケン国務長官は1日、米シンクタンクの行事に出演し、
「世界中の世論調査をみれば、米国の指導力への信頼度は(現政権発足後の)過去3年半で劇的に向上した」と強調した。今回の討論会を契機に、世界秩序を主導する米国の指導力への不安払拭に努めた形だ。
しかし、ミード氏は
「討論はバイデン政権の耐久力と指導力の両方の信任をむしばんでいる」と指摘。大統領は脆(ぜい)弱(じゃく)だとの認識が拡散する最悪のシナリオとして「外国指導者が(軍事力を含む)米国のパワーに挑戦する」ことを挙げた。
ミード氏が先例として挙げたのは、
ブッシュ元大統領が2期目末期の2008年、金融危機への対処に追われていたさなかにプーチン露大統領が踏み切ったジョージア侵攻だ。大統領選があった年でもある。
討論会で、バイデン氏はトランプ前大統領から外交・安全保障で追及を受けた。
トランプ氏は「われわれは、第三次世界大戦に誰が想像するよりも近づいている。彼(バイデン氏)はわれわれをそこに追い込もうとしている」とたたみかけた。
誇張は否めないが、狙いは、
2021年のアフガニスタンからの米軍撤退が招いた混乱、翌22年のロシアのウクライナ侵略の抑止失敗から連想されるバイデン氏の「弱腰」の外交姿勢の危うさを追及することにある。
ミード氏を含む保守系の外交専門家は、
現政権下で中露、北朝鮮、イランの現状変更勢力に対する米国の抑止力が低下したことを一貫して問題視してきた。
討論会後の米国政治と指導力を巡る未曽有の混乱が抑止力を一段と弱めた可能性がある。
プーチン氏、中国の習近平国家主席、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記ら「悪の枢軸」の指導者が現状変更を狙って「劇的な動きに出る」(ミード氏)リスクは無視できない。