ヤングケアラー問題



2021.4.12-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210412/k10012969771000.html
「ヤングケアラー」中学生の約17人に1人 国 初の実態調査

  家族の世話や介護などに追われる「ヤングケアラー」と呼ばれる子どもたち。その割合が、中学生のおよそ17人に1人に上ることが国の初めての実態調査で分かりました。

  家庭で、両親や祖父母、きょうだいの世話や介護などをしている子どもは「ヤングケアラー」と呼ばれ、厚生労働省と文部科学省は、去年12月からことし1月にかけて初めての実態調査を行いました。
  公立の中学校1000校と全日制の高校350校を抽出して2年生にインターネットでアンケートを行い、合わせておよそ1万3000人から回答を得ています。
  12日、国のプロジェクトチームの会合で調査結果が公表され、「世話をしている家族がいる」という生徒の割合は、中学生が5.7%でおよそ17人に1人、全日制の高校の生徒が4.1%でおよそ24人に1人でした。
  内容は、食事の準備や洗濯などの家事が多く、ほかにも、きょうだいを保育園に送迎したり、祖父母の介護や見守りをしたりと多岐にわたっています。
  世話にかけている時間は、平日1日の平均で、中学生が4時間、高校生は3.8時間でした。1日に7時間以上を世話に費やしている生徒が、1割を超えていたということです。
  「やりたくてもできないこと」を複数回答で尋ねたところ、中学生では「特にない」という回答が58%だった一方、「自分の時間が取れない」が20.1%、「宿題や勉強の時間が取れない」が16%、「睡眠が十分に取れない」と「友人と遊べない」がいずれも8.5%でした。
また、「進路の変更を考えざるをえないか、進路を変更した」という生徒が4.1%、「学校に行きたくても行けない」と答えた生徒が1.6%でした。
  一方で「相談した経験がない」という生徒が、中高生ともに6割を超えました。「誰かに相談するほどの悩みではないから」という理由が最も多く「相談しても状況が変わるとは思わない」という回答が続いています。
   プロジェクトチームは調査結果を踏まえ、来月までに支援策をまとめる方針です。
定時制や通信制の高校で割合高く
  今回、厚生労働省や文部科学省は、定時制や通信制の高校についても、規模を縮小したうえで調査を行っています。調査ではそれぞれの都道府県から1校ずつ抽出してインターネットでアンケートを行い、合わせておよそ800人から回答を得ました。
  その結果「世話をしている家族がいる」という生徒の割合は、定時制高校が8.5%でおよそ12人に1人、通信制高校が11%でおよそ9人に1人と、いずれも全日制の4.1%を上回っています。このうち通信制高校の生徒では、1日に7時間以上世話に費やしているという回答が24.5%を占めたということです。
  家族の世話をしている通信制の高校の生徒に「やりたくてもできないこと」を複数回答で尋ねたところ「自分の時間が取れない」が40.8%に上ったほか「友人と遊ぶことができない」が30.6%と、いずれも全日制の高校を大幅に上回りました。
  また「当初通っていた学校を辞めた」という生徒が12.2%、「アルバイトや仕事ができない」と答えた生徒が8.2%で、生活や学業に深刻な影響が出ています。
山本厚労副大臣「即効性のある対策を急ピッチで検討」
  山本厚生労働副大臣は、会合で「調査結果に衝撃を受けた。子どもらしい生活を送れず、誰にも相談できずに1人で耐えていることを想像すると、胸が締めつけられる思いになる。これまでヤングケアラーに着目した対策を打たなかったことが悔やまれるが、即効性のある対策を急ピッチで検討したい」と述べました。
加藤官房長官「実態踏まえ支援を検討」
  加藤官房長官は、午後の記者会見で「ヤングケアラーは、表面化しにくい構造になっていて、支援を検討するにあたっても、その実態を把握することがまず重要だ。今後、プロジェクトチームにおいて、調査結果も踏まえ、今後の支援に向けた論点や課題などを検討していくことにしている。政府として、実態も踏まえ、ヤングケアラーの支援について検討していく」と述べました。
小3から母親のケアをした女性は
  小学生のころから病気で体が動かない母親のケアをしたという女性は「当時は当たり前の生活と思っていました。つらいと思っても相談できる人もいなかったので、自分の気持ちを素直に話せる場所があればよかったと思います」と話しています。

  両親と兄の4人暮らしだった里衣さん(35)は、小学3年生、9歳の頃から、こう原病を患う母親のケアを担いました。高熱やおう吐などの症状が続き、薬を飲んでもよくならない母親を少しでも助けたいという思いからでした。父や兄とともに、自分にできることはすべてやろうと、洗濯物の取り込みや、スーパーでおかずを買って食事を準備するなど、学校から帰宅すると毎日行うようになりました。その後、母親の症状はど悪化し、体を動かすのが難しくなっていきました。
  里衣さんは、母親の話し相手にもなり、自分の感情を抑えて、いつも「いい子」でいるように努め、励まし続けたといいます。しかし、中学生の頃には、吐き気やふらつきなど、みずからの体調も悪くなり、高校1年生のときには、ストレスからくるいわゆる「過呼吸症候群」と診断され、学校を休むことも増えました。
  体調が悪くても母親のケアは続けましたが、この生活が当たり前だと思っていたため、学校の先生などに相談することはありませんでした。
  里衣さんは「体調が悪化した背景に何があるのか、先生から聞かれたことはなく、しんどいと言うと甘えているように受け取られ、相談する気力がなくなりました」と話しています。
  里衣さんは、おととし母親が66歳で亡くなるまで、24年間ケアを続けました。里衣さんは「『いちばんつらいのはお母さんだ』と周りの大人に言われることが多く、自分の気持ちをありのままに話せる場所がありませんでした。思ったことを素直に話せる場所があればよかったと思います」と話しています。
専門家「自覚ない子も支援を」
  ヤングケアラーの問題に詳しい大阪歯科大学の濱島淑恵教授は、今回の調査結果について「一定の割合でケアをしている子どもが全国にいると分かったことの意義は非常に大きい。ただ、まだヤングケアラーということばが浸透していない中で、自分が該当すると理解していない子どもも多く、本当はもっといるのではないかと考える必要があり、氷山の一角ではないか」と指摘しています。
  そのうえで「問題の背景には、子どもだけでなく、親などが抱える家庭の大変さがあり、教育と福祉の連携が必須だ。学校や福祉の専門職の人たちが子どもの理解者となってケアの負担などについて話を聞くことが大切で、子ども食堂や学習支援の活動の場などで、ヤングケアラーの視点を持って子どもたちを見てほしい」と話しています。
  そして国に求める支援については「教育と福祉のエアポケットにはまり、これまでの縦割りの制度では対応できなかったので、包括的な法制度を早急に検討する必要がある」と指摘しています。


NHK 首都圏ナビ
知ってほしい ヤングケアラー

  「ヤングケアラー」とは、家族の介護やケア、身の回りの世話を担う18歳未満の子どものことです。
  その生活が“当たり前”で、自身が「ヤングケアラー」という認識がないという子どもも少なくありません。
  まずは実態を知ってほしいという思いで、このページに記事をまとめます

  「ヤングケアラー」のこと知っていますか。
  介護する子どものことですが、何歳までを「ヤングケアラー」と呼ぶのか、定義は何なのか。
  誰のどんな介護やケアを担うのか、実態はさまざまです。
  自分が「ヤングケアラー」だと知らなかったという人も少なくないので、どんな人が「ヤングケアラー」なのかまとめました。
  ・・・・・

ヤングケアラーとは
  厚生労働省などによりますと、「ヤングケアラーとは、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負って、本来、大人が担うような家族の介護やケア、身の回りの世話を担っている18歳未満の子どものことです。家族の中に介護を必要とする人がいる場合、それをサポートする大人がいないと、子どもが担わざるを得なくなります。
  具体的には、入浴やトイレの介助や身の回りの世話、それに買い物、料理、掃除、洗濯などの家事です。介護やケアが必要な人は、主に障害や病気のある親や祖父母が想定されますが、きょうだいやほかの親族の場合もあります。

こんな人がヤングケアラー
日本ケアラー連盟が、『こんな人がヤングケアラーです』と紹介している。
  障害や病気のある家族に代わり、買い物・料理・掃除・洗濯などの家事をしている。
  家族に代わり、幼いきょうだいの世話をしている。
  障害や病気のあるきょうだいの世話や見守りをしている。
  目を離せない家族の見守りや声かけなどの気づかいをしている。
  日本語が第一言語でない家族や障害のある家族のために通訳している。
  家計を支えるために労働をして、障害や病気のある家族を助けている。
  アルコール・薬物・ギャンブルなどの問題のある家族に対応している。
  がん・難病・精神疾患など慢性的な病気の家族の看病をしている。
  障害や病気のある家族の身の回りの世話をしている。
  障害や病気のある家族の入浴やトイレの介助をしている。
ヤングケアラーはどんな問題に直面?
  ヤングケアラーは家族の介護に追われることで、勉強時間や友人との時間が十分に取れなかったり、進路を変えざるを得なかったりする問題に直面するということです。
  しかし、家庭内での問題ということで、実態の把握が難しいうえ、当事者の子ども自身が、その生活が“当たり前”になっていて声を上げなかったり、困ったときにどこに助けを求めていいのか分からなかったりするケースも多く、表面化しづらくなっています。


ヤングケアラー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


  ヤングケアラー(英語: young carer)とは、通学や仕事のかたわら、障害病気のある親や祖父母、年下のきょうだいなどの介護や世話をしている18歳未満の子どもを指す。
  家族の病気や障害のために、長期のサポートや介護、見守りを必要とし、それを支える人手が十分にない時には、子どもであってもその役割を引き受けて、家族の世話をする状況
が生じる。介護のために学業に遅れが出たり、進学や就職を諦めたりするケースもあるといい、実態の把握が急がれている。

概説
  成蹊大学文学部教授澁谷智子は、ヤングケアラーを 「家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている、18歳未満の子ども」と定義している。
  ヤングケアラーの存在は知られていながら、人数や実態は長い間把握できていなかった。毎日新聞社が2020年3月に総務省の2017年就業構造基本調査を独自に分析し、家族などの介護を担っている15~19歳の若者は2017年時点で推計37,000人、そのうち約8割が通学しながら、週4日以上、勉強と介護を両立させていると明らかにした。15歳未満のヤングケアラーはこの分析には含まれておらず、実態はさらに多いとされる。

  三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2019年に実施した「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」によると、以下の実態が明らかになった。
   ・ヤングケアラーの家族構成は「ひとり親と子ども」が48.6%と最多。家族構成員の少なさから、介護にも協力をせざるを得ない状況がある。
   ・ヤングケアラーの学校生活への影響に関する設問では、「学校などにもあまり行けていない(休みがちなど)」と回答した人が31.2%。家族の介護が原因で「遅刻が多い」「授業に集中できない」「学校へ通ってはいるものの部活動に参加できない」など、学校へは通っているけれど何らかの支障があると感じている人も27.4%。
   ・「自分はヤングケアラーと認識していない」は44.5%、「わからない」が41.1%。8割以上の人が、自分自身をヤングケアラーと認識していない
   ・子どもが家庭で行っているケアを支援する人の有無については、「なし」が54.3%。学年別にみると、学年があがるにつれ「なし」の割合が高くなっている。半数以上のヤングケアラーが、支援者なしの孤立状態で介護を行っている
  上記調査では、ヤングケアラーである子どもは、本来守られるべき子ども自身の権利を守られていない子どもであるとして、以下の提言を行っている。
   ・「ヤングケアラー」の概念の周知と、「ヤングケアラー」に対する偏見等の払拭
   ・ケアすること自体を否定せず、「ヤングケアラー」の選択肢を広げられるような支援が必要
   ・「ヤングケアラー」を含めた家族支援に関する制度上の位置づけが必要
   ・子どもがケアを担わなくても済むような施策・対応の充実
   ・「ヤングケアラー」の子どものメンタル面へのサポートの必要性
   ・「ヤングケアラー」への支援は多層的に
自治体等の取組み
  ヤングケアラーの実態を把握しやすい立場にあるのは、ヤングケアラー本人が通っている学校の教師である。しかし、実際には多くの学校、教育委員会は、家庭のことは個人情報の問題もあり、本人から話がないと踏み込めないという方針が多い。当のヤングケアラーも、学校のような同質性の高い集団では、周囲に合わせるのが苦しくなってくること、友人たちに介護の話をしても、共感してもらうことは難しいことから、誰にも話せずに孤立を深めていく悪循環に陥ってしまう。こうしたことから実態把握が難しく、問題が表面化しにくい。立正大学教授の森田久美子は「学校がヤングケアラーを早く見つけ、家族の世話を託せる福祉サービスにつなぐことが必要だ」と指摘する。

  埼玉県では2020年3月、全国で初めてとなるヤングケアラーを支援するための条例「ケアラー支援条例」が成立した。学校や教育委員会に、ヤングケアラーと思われる児童、生徒の生活状況、支援の必要性の確認を義務づけ、相談に応じたり、支援機関に取り次いだりするものとしている。社会全体で支えることでケアラーの孤立を防ぐ仕組みづくりを目指すもので、ヤングケアラーの教育機会の確保も含まれている。

  厚生労働省は、2020年(令和2年)12月に初の実態調査を始める方針を固めた。同省は自治体や教育委員会などを通じ、該当する小中高生の人数や介護の内容を調べ、家族構成や学校生活などへの影響のほか、親が自分の世話をさせることで事実上のネグレクト(育児放棄)に当たる事例がないかどうかなども調べる。この調査の結果が2021年(令和3年)4月12日に公表され、全国の中学2年生の6%、高校2年生の4%がヤングケアラーに該当すると発表し、この2学年だけで約10万人に上ると推計している。世話をする家族がいる生徒にその続き柄を尋ねたところ、「きょうだい」が最多で中2が62%、高2が44%、「父母」は中2が24%、高2が30%だった。平日の世話にかかった時間は、1日平均で約4時間、7時間以上も1割に上り、このうち4人に1人が「健康状態がよくない」と回答した。調査結果を受けて政府は「政府として、しっかりと実態を踏まえ、ヤングケアラーの支援について検討していく考えだ」と述べた。
海外の状況
  オーストラリアでは27万2千人のヤングケアラーが存在すると推定されており、各州に支援団体が組織されている。 また、イギリスでは70万人のヤングケアラーが存在する。 各国でヤングケアラーの定義は異なり、オーストラリアでは25歳以下、イギリスでは18歳以下が対象となっている。





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