スエーデン問題-1
2024.09.24-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240924-NGI4ALAO5NG2XFYFNYG4TA6MH4/
スウェーデン「500万円あげるから帰って」と移民の自主出国促す 北欧の寛容が様変わり
(三井美奈)
スウェーデン政府は
、自主帰国を決めた移民に対し、1人当たり最大35万クローナ(約490万円)を給付する新制度を発表した。
移民の出国を促すのが狙いで、2026年から実施する。寛容な難民受け入れを誇った北欧の人道大国は、大きく政策を転換した。
スウェーデンは現在、難民やその家族について、成人1人当たり1万クローナ(約14万円)を支給している。
今回の決定は金額を一気に35倍に増やすもの。政府は19日の声明で「社会統合できなかった人の自主帰還を促す」のが目的だと説明した。
現制度では給付金に1家族当たり4万クローナ(約56万円)の上限を設けているが、声明は新制度の詳細には言及していない。
発表を前に、ヨハン・フォシェル移民相は「われわれは移民政策におけるパラダイムシフト(価値観の大転換)のさなかにある」と訴えた。スウェーデンでは22年の総選挙で左派政権が下野し、8年ぶりに右派政権が発足。極右政党が閣外協力し、移民強硬策を進めている。
スウェーデンは1990年代に民族紛争が続いた旧ユーゴスラビアのほか、シリアやソマリアなどの紛争地から多くの難民を受け入れてきた。その結果、1千万人の全人口のうち、移民やその家族がおよそ2割を占めるようになった。白人社会に溶け込めず、ギャング団に加わる若者も多く、銃犯罪の増加が社会問題になっている。
スウェーデン紙によると、新制度はデンマークがモデルとなった。
デンマークは2010年以降、10万デンマーク・クローネ(約210万円)を超える給付金で、難民や移民の自主帰還を促している。
(三井美奈)
2024.04.10-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240410-IGIXVMCMS5IVDKAM7BJHQI27ME/
スウェーデン、中国人の女性記者に国外退去命令 「国家安全保障への深刻な脅威」
【ロンドン=黒瀬悦成】北欧スウェーデン当局は同国に住む57歳の中国人女性記者に対し、「国家安全保障に深刻な脅威を及ぼしている」として国外退去命令を出した。女性記者の弁護士が9日、ロイター通信に明らかにした。
スウェーデンは、治安機関SAPOが今年2月に中国とロシア、イランを「最大の安全保障上の脅威」と指摘するなど、中国への強硬姿勢を年々鮮明にしている。
女性記者の罪状は明かされていないが、スウェーデンの公共放送によると、
女性記者はウェブサイト上に記事を掲載し、ストックホルムの中国大使館から記事に絡んで報酬を受け取っていた。
女性記者はまた、スウェーデンを訪れた中国政府・企業の代表団の案内役を務め、スウェーデン政府高官らに引き合わせようとした。約20年前から同国に住み、現地の男性と結婚し、在留許可も得ていた。
スウェーデンは1950年、欧州の非共産国の中でいち早く中国と国交を結び、概して良好な関係を築いてきたが、習近平体制による権威主義的統治への批判を強めたことで関係が険悪化。中国の裁判所は2020年、中国生まれでスウェーデン国籍の作家、桂民海氏に対し、中国共産党批判の書籍を販売したとして懲役10年を言い渡した。
一方のスウェーデン政府は同年、国内8カ所にあった中国政府による中国語普及の国外拠点「孔子学院」を全て閉鎖したほか、複数の自治体が中国との姉妹都市交流を打ち切った。
2024.02.01-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20240201-TNGKSQEQMRLDHBBHJSFUYTQXAY/
スウェーデンのイスラエル大使館に手りゅう弾か 警察は警戒強化
スウェーデンの首都ストックホルムで1月31日、
イスラエル大使館の敷地内に手りゅう弾のような物が投げ込まれた。スウェーデン当局の爆発物処理班が破壊した。
被害はなかったとみられる。地元紙アフトンブラデットが報じた。
警察は捜査に乗り出し、周辺での警戒を強化した。イスラエルの駐スウェーデン大使は「われわれはテロに屈しない」とX(旧ツイッター)に投稿した。
(共同)
2023.07.05-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230705-KSC77AWBQBIPRDPQU2OXTOYJMI/
スウェーデン、NATO加盟へ視界不良 トルコが聖典焼却で硬化
【ロンドン=板東和正】北欧スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟がなお難航している。
同国の「対テロ協力」を承認の条件にする加盟国トルコが、スウェーデンで最近起きたトルコへの抗議デモを受け態度を硬化させたためだ。
スウェーデンやNATOは11日のNATO首脳会議開幕までの加盟合意を目指すが先行きは不透明だ。
スウェーデンは昨年5月、ウクライナ侵略に伴うロシアの軍事的脅威の高まりを受け、隣国フィンランドとともに伝統の中立政策を転換してNATO加盟を申請した。正式加盟には全加盟国の批准が必要で、フィンランドは今年4月に正式加盟を実現。だが、スウェーデンの加盟にはトルコが難色を示し続けている。
トルコがスウェーデンの加盟を拒むのは、トルコの非合法組織「クルド労働者党」(PKK)やそれに連なる「テロリスト」を支援しているとみるためだ。
スウェーデンにはクルド系住民が多く暮らし、トルコのエルドアン大統領への抗議デモも頻発。そのためトルコ側はテロ対策の強化を求めていた。
スウェーデンはトルコの要望を受け6月1日、新たな反テロ法を施行した。過激派組織を支援などした個人に最高禁錮8年、テロ組織の指導者に終身刑を科す内容で、ビルストロム外相は「トルコの懸念を和らげるだろう」と歩み寄りを期待した。エルドアン氏も5月末に大統領再選を果たし、態度を軟化させやすくなったとの見方もあった。
だが、
法施行後もスウェーデンの首都ストックホルムではエルドアン氏への抗議デモが発生し、6月28日にはモスク(イスラム教礼拝所)前で男がイスラム教の聖典コーランを焼却。エルドアン氏は「テロリストのデモを許すなら、友好関係は決して築けない」と反発を強めた。
NATOは6日、スウェーデン、フィンランド、トルコと協議する。ストルテンベルグ事務総長は「スウェーデンを正式加盟国として迎えるときだ」と述べ、トルコの説得を試みる考えを示している。
一方、東欧の加盟国ハンガリーもスウェーデン加盟の批准を保留中。欧州連合(EU)内で強権政治を批判されるハンガリーのオルバン首相は、スウェーデンがハンガリーの民主主義の健全性に関し「噓」を広めていると批判。ハンガリーは経済的なつながりが強いトルコを重視しているともされ、ハンガリーのシーヤールトー外相は「トルコの姿勢に変化があれば(加盟の)手続きを遅らせない」と述べている。
2022.05.23-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/world/20220521-OYT1T50020/
バルト海に浮かぶ対ロシア最前線の離島、緊迫の防衛訓練…2児の母「愛する島は私たちが守る」
約200年にわたり軍事的な「中立」を維持したスウェーデンが、
ロシアの脅威の高まりを受け、北大西洋条約機構(NATO)に加盟申請した。欧州の安全保障を取り巻く状況が大きく変わる中、
バルト海の離島では住民有志で作る「
郷土防衛隊」
が軍とともに訓練を行っていた。(スウェーデン南部ゴットランド島 池田慶太、写真も)
ゴットランド島の新緑まぶしい演習場で5月中旬、銃を持った迷彩服の男女が茂みの中を駆け抜けた。陸軍兵士と一緒に射撃訓練に参加するのは、地域ごとに編成する「
防衛隊」の隊員らだ。隊員は会社員や店員、大工などそれぞれの職業を持ち、有事の際には陸軍と共に領土防衛に当たる。
ロシア軍のウクライナ侵攻後、スウェーデン軍は全国の「
防衛隊」に30日の追加訓練を指示した。隊員で2児の母のカミラ・セランダーさん(34)は「
ロシアの戦争をテレビで見ると怖いが、愛する島は私たちが守る」と力を込めた。
人口約6万人のゴットランド島はリゾート地だが、バルト海を隔てて南東約300キロ・メートル先にはロシアの飛び地カリーニングラードがある。露軍と向き合う前線の島には、スウェーデン陸軍の約300人の部隊が駐留する。
カリーニングラードには1月、上陸作戦を任務とする強襲揚陸艦3隻が寄港した。このため軍内部で緊張が高まった。
スウェーデン軍は島の駐留部隊を倍増させ、戦闘機や軍艦がバルト海に展開した。揚陸艦はその後、ウクライナ攻撃に参戦するため黒海に向かったが、島の警戒態勢は約1か月続いた。
ゴットランド連隊のマグナス・フリクバル司令官は「プーチン(露大統領)はウクライナで政治目標達成のために軍を使っている。ロシアがスウェーデンの脅威であることは明らかだ」と警戒する。
島は古くから
軍事戦略上の要衝だった。
島から首都のストックホルムまでは約190キロ・メートル。島を拠点にすれば、北欧やバルト諸国などに兵力を容易に展開できる。19世紀初めには帝政ロシアとスウェーデン王国との戦いで、ロシアに一時占領されたこともある。
フリクバル司令官はA4判の地図を広げ、「
ロシアが島を奪えばNATO軍のバルト海への接近を阻止できる。しかも島を取り戻すのは困難だろう」と解説した。
スウェーデンは、軍事的な「中立」を貫く一方、
練度の高い軍隊を維持し続けた。しかし、冷戦が終わりロシアの脅威が和らぐと、軍の縮小を決定。島に駐留していた部隊は2005年に完全に撤退した。
ところが、
ロシアによるウクライナ南部クリミア併合でロシアへの脅威認識が一気に強まった。スウェーデン軍は17年に島への駐留を再開し、廃止した徴兵制も復活させた。
島では現在、防衛基盤の強化が急ピッチで進む。島北部では軍艦が長期停泊できるように港湾の改良を計画中で、対空ミサイルの配備も予定するという。
2022.05.16-JIJI COM-https://www.jiji.com/jc/article?k=2022051600103&g=int
スウェーデンも加盟申請へ 中立転換、NATOに
【ロンドン時事】
スウェーデンの与党・社会民主労働党は15日、
同国の北大西洋条約機構(NATO)加盟を支持する方針を発表した。左派の同党は加盟反対の立場だったが、ロシアのウクライナ侵攻を受けて支持へ転換。隣国フィンランド政府も加盟方針を決めており、
北欧の中立2カ国が「ロシアの脅威」に対処するためそろって西側軍事同盟に加わる方向となった。
スウェーデンは軍事中立を伝統とし、米主導で欧州の集団防衛を担うNATOと距離を置いてきた。しかし、ウクライナ侵攻で国民の加盟支持が増大。与党内では意見が割れたが、
フィンランドが15日に先行して加盟申請を発表し、
これに追随する形で党執行部会が申請支持を決めた。ただ、同党は声明で「
核兵器と恒久基地の領内設置については留保する」とも付け加えた。
社民労働党を率いるアンデション首相は「国の安全のためには加盟申請が最善だ」と主張。「バルト海沿岸で唯一の非加盟国となれば非常に弱い立場に追い込まれる」として、
フィンランドと共に加盟を求めることが重要だと述べた。
2022.05.12-REUTERS-https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-nato-sweden-idJPKCN2MY0ZZ
スウェーデン、NATO加盟を来週申請へ=現地紙
[ストックホルム 12日 ロイター] -
スウェーデン紙エクスプレッセンは12日、政府が北大西洋条約機構(NATO)への加盟を来週申請する計画と伝えた。
報道によると、議会は16日に安全保障状況について討議し、
アンデション首相が臨時閣議を開催して加盟申請を正式に決定する。想定外の事態が発生しなければ、申請書がNATOに直接送られる。
また13日に予定されている全党による安全保障政策の検討は、
ロシアがスウェーデンに侵攻しようとした場合、NATO加盟が抑止力として機能すると結論付ける見込みという。
「スウェーデンのNATO加盟は軍事衝突の敷居を上げ、北欧での紛争を予防する効果がある」としている。