量子の世界-1



2022.11.04-Yahoo!Japanニュース(幻冬舎)-https://news.yahoo.co.jp/articles/9a18ac1cdd0b986ef2abab8a762e65ff9f869676
ミサイル実験を軽視しすぎ?核より怖い北朝鮮の電磁パルス攻撃
(1)
  北朝鮮がロシアの技術を利用してEMP(Electromagnetic Pulse)兵器をすでに完成させているという報告書が発表されました。北朝鮮のEMP攻撃シナリオとは。元・陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和氏が著書『日本はすでに戦時下にある すべての領域が戦場になる「全領域戦」のリアル』(ワニプラス)で解説します。

プライ博士の報告書「北朝鮮EMPの脅威」
  プライ博士が2021年6月に発表した報告書「北朝鮮:EMPの脅威 北朝鮮のEMP攻撃能力」の主要点を以下に紹介する。 電磁パルス(EMP:Electromagnetic Pulse)攻撃とは、核爆発などにより強力な電磁波(ガンマ線など)を発生させることで、電子機器に過負荷をかけ、誤作動を発生させ、破壊することを目的とした攻撃である。
  EMP攻撃は、パソコン、電車、飛行機、自動車、電力網、通信網、衛星通信、電気制御された水道やガスのインフラなど、対象地域のすべての電子機器に致命的な打撃をもたらす。

  北朝鮮はロシアの技術を使って「スーパーEMP弾」の開発を完了した 北朝鮮はすでにロシアの技術を使った「スーパーEMP弾」の開発を完了した。
  スーパーEMP弾は、高レベルのガンマ線を発生させる数キロトン程度の小型・軽量のEMP兵器だ。2004年、ロシアのスーパーEMP弾開発に関与したふたりの将軍が「ロシアのスーパーEMP弾の技術が北朝鮮に流れた。北朝鮮が数年以内にそれを完成する可能性が高い」と警告したが、その警告は現実のものになった。
  2006年、北朝鮮はスーパーEMP弾と思われる装置の最初の核実験をおこなった。この装置の爆発力は約1~2キロトンと非常に低かったため、ほとんどの専門家は、この核実験は失敗であると一蹴した。しかし、その核爆発はスーパーEMP弾の実験だったのだ。
  2009年には、2回目の北朝鮮の核実験がおこなわれたが、韓国では6~9キロトンと推定していて、スーパーEMP弾の爆発力と一致している。
  2013年2月12日におこなわれた3回目の北朝鮮の核実験も、韓国では6~9キロトンと推定された低爆発力で、これもまたスーパーEMP弾と一致している。
  2011年には、ロナルド・バージェス米国国防情報局長官が上院軍事委員会で、北朝鮮は弾道ミサイルに搭載する核兵器の弾頭化に成功したと証言した。これにより、北朝鮮の小規模な核実験が実際には成功であったことが確認された。 ジェームズ・ウルジー元中央情報局(CIA)長官も2014年の議会報告書で、〈ロシアが2004年から北朝鮮のEMP弾開発を支援した。〉と指摘している。
  また、北朝鮮の『労働新聞』は2017年9月、金正恩国務委員長が核兵器研究所を訪問し、「戦略的な目的で、高高度で爆発させて広大な地域に影響を与えるスーパーEMP攻撃をおこなうことができる」と発言したと報じている。 以上の一連の証言や報道により、北朝鮮がロシアのスーパーEMP弾をコピーしたEMP兵器を完成させたことは明らかだ。
  西側は北朝鮮の核ミサイルの実験やEMPの脅威を軽視してきた 2012年12月12日の衛星「光明星3号」の発射と周回の成功によって示されるように、北朝鮮は核兵器を米国に届けることができる。これに対し、北朝鮮の脅威、例えば北朝鮮がミサイル発射のために弾頭を小型化することや、米国に深刻な核の脅威をもたらすのに十分正確なミサイルを開発することには、まだ数年かかるという見解がマスコミや政策立案者の間で広まっている。
  しかし、北朝鮮は2017年夏、米国のすべての都市を標的にできる大陸間弾道ミサイル(ICBM)および水素爆弾の開発を実証して世界を驚かせた。北朝鮮は現在、米国にとって致命的な核の脅威だ。先述のように彼らは、一撃で米国に甚大な被害を与える特別な種類の核兵器(スーパーEMP兵器)をもっているのだ。
   米国情報機関のアナリストは2017年、北朝鮮の核兵器の推定数を大幅に上方修正して約20から60であるとし、北朝鮮はミサイル発射用の弾頭を小型化できると結論付けた。
  韓国当局は2017年4月30日、「北朝鮮による4月29日の中距離ミサイル発射実験は、高度72㎞で意図的に爆発させたものであり、世界的に報道されているような失敗ではない」と述べ、スーパーEMP兵器の実験であったことを示唆した。
  北朝鮮は2017年9月3日、6回目の地下核爆発実験の間に、ほかの水素爆弾の実験をしたと主張したが、その爆発力は約250キロ~328キロトンだとされ、これは広島原爆の約25倍の威力である。
  北朝鮮の国営メディアは、「2017年9月の水素爆弾はスーパーEMP弾であり、数十キロトンから数百キロトンまで爆発力を調整できる」と報じている。 北朝鮮はまた、2017年9月の水爆実験の直後に、スーパーEMP兵器を正確に記述した技術報告書「核兵器のEMPの力」も発表している。
(2)
韓国との再統一、日本への復讐、そして
  EMP攻撃シナリオ プライ博士は、2020年6月18日の論考のなかで、「(世界は武漢ウイルスで右往左往している場合ではない。というのも、)中国は長年、EMP攻撃を計画してきた。中国のEMP攻撃こそ脅威なのだ」と主張している。
  プライ博士の報告書「核EMP攻撃シナリオと諸兵種連合サイバー戦」は、EMP攻撃は現実的な脅威であり、中国やロシアの軍事教義(ドクトリン)の文書で公然と議論されていることを明らかにしている。
  例えば、ロシアのウラジミール・スリプチェンコ大将は2000年、彼の本『非接触戦争』(未訳)でEMPを使用するモスクワの意図を最初に開示している。 中国の軍事教義も同様であり、「コンピュータネットワークが攻撃を受けて破壊されるとすぐに、国家は麻痺状態に陥り、国民の生活は停止するだろう」「情報化時代の米国を含む西側諸国の軍事力に対抗し、EMP兵器を構築すべきだ」と主張している。
   北朝鮮も、地下核実験に続いて、核EMP攻撃をおこなうと脅迫している。 プライ博士は、「情報システムとコンピュータ化された技術に依存するようになったため、米国はこの新しいタイプの戦争に対してとくに脆弱だ」「私たちの社会がもっとも技術的に進歩しており、したがってもっとも攻撃を受けやすい社会だ。驚くべきことは、私たちの敵がEMP攻撃を核戦争の行為とみなしていないことだ」と警告している。
  北朝鮮による日本と韓国に対するEMP攻撃シナリオ 北朝鮮はICBM(または衛星)によって米国をEMP攻撃することが可能であり、北朝鮮の中距離弾道ミサイル(IRBM)またはノドンのような準中距離弾道ミサイル(MRBM)によって日本、グアム、フィリピンを、そして短距離弾道ミサイル(SRBM)によって韓国をEMP攻撃することが可能である。
  プライ博士は、報告書「核EMP攻撃シナリオと諸兵種連合サイバー戦」で、中国や北朝鮮によるEMP攻撃シナリオを発表しているが、ここでは、北朝鮮の日本に対するEMP攻撃シナリオを紹介する。
  このシナリオでは、北朝鮮が日本にEMP攻撃をおこなって、日本への復讐、世界に北朝鮮を大国として認識させるというふたつのもっとも重要な外交政策目標を達成するという想定がなされている。
  北朝鮮のEMP攻撃シナリオのひとつでは、北朝鮮が日本と韓国にEMP攻撃をおこなって、韓国との再統一、日本への復讐、世界に北朝鮮を大国として認識させるという3つのもっとも重要な外交政策目標を達成するという想定がなされている。
  韓国の征服は北朝鮮の政治軍事指導者の宿願であり、北朝鮮の存在の主な理由だ。 北朝鮮の生産と活動のほとんどは、強制と力によって韓国との統一を達成するための準備にむけられる。 第二次世界大戦中の日本の朝鮮占領に対する復讐は、北朝鮮のメディアと政府の声明で毎日扱われているテーマだ。
  北朝鮮が韓国を征服するためには日本との戦争が必要なのだ。というのも北朝鮮は、朝鮮戦争の経験から、日本が米国と韓国を守る同盟軍にとって不可欠な準備地域であったため、日本との戦争が必要だと認識しているからだ。
  北朝鮮は自らが世界の大国であることを証明するために、国際法を無視して核ミサイルをテストし、配備している。北朝鮮の戦略は、核戦争の恐怖を高め、米国とその同盟国を従属させるために、「核による恫喝」を通じて韓国と日本に対する米国の安全保障協力関係を断つことだ

      渡部 悦和 前・富士通システム統合研究所安全保障研究所長 元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー 元陸上自衛隊東部方面総監
渡部 悦和




2020.4.1-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/main/topics/main-36641-t.html
新型コロナウイルスの大きさは?

基本的な単位  (1マイクロメートル=0.001ミリメートル)

新型コロナウイルス=0.1マイクロメートル

細菌=1マイクロメートル
ウイルスが含まれた唾液などの飛沫=5マイクロメートル
花粉=30マイクロメートル

一般的なマスクの間隙=5マイクロメートル


Gakken-キッズネット-https://kids.gakken.co.jp/kagaku/nandemo/anything0908_2/

空気について調べちゃおう etc.・・・

2019.8.7-TOSHIBA-https://www.toshiba-clip.com/detail/7685
量子コンピューター研究から生まれた 組合せ最適化の新解法

物流網構築や渋滞緩和、新薬開発など、様々なジャンルにおよぶ社会問題を解決するには、膨大な組合せパターンの中から目的に合ったものを見つけ出す「組合せ最適化問題」と呼ばれる難問を解く必要がある。そこで期待されているのが量子コンピューターの活用だ。このほど東芝は、量子コンピューターの研究を通して、従来のコンピューター(古典コンピューター)で高速に組合せ最適化問題を解く新たな解法(アルゴリズム)を発見した。
量子コンピューターを使わずとも各分野の社会課題を解決できるとなれば、世の中に与える影響は計り知れない。著名な米国オンライン科学雑誌「Science Advances」に論文が掲載され、国内外から注目を集める新解法「シミュレーテッド分岐アルゴリズム」の全容、そして今後の展望をひもといていこう。
「組合せ最適化問題」とは何か
物事を効率化するためには、数多くの選択肢から、最良の組合せを選択する必要がある。これが「組合せ最適化問題」だ。例えば昨今、慢性的な人手不足が問題視される物流業界では、できるだけ短い走行距離で配送できる輸送経路が求められるし、渋滞緩和のためには各自動車がスムーズに走行できるルートを採る必要がある。
しかし、問題の規模が大きくなるほど、組合せの総数も爆発的に大きくなり、最大限の効果が得られる解をはじき出すことは困難になる。この「組合せ爆発」のために、組合せ最適化問題は難問として知られる。
例えば、セールスマンが複数の都市の全てを1回ずつ訪問して出発点に戻る際に、移動距離が最小になる経路を求める「巡回セースルマン問題」と言われるものがある。10都市を回るルートでも181,440通りあり、30都市、50都市にもなると途方もない数字になり、通常の計算機では追いつかないレベルになる。その中から最適なルートを導き出すにはとてつもない時間がかかり、現実的には不可能に近いとされている。
「問題が大規模になるほど、しらみつぶしに最良の組合せを見つけることは難しくなります。物流網構築や渋滞緩和はもちろん、効能が最も高くなる分子の組合せを求める新薬開発や、低リスクで高い収益性のある株の組合せを求める金融ポートフォリオ作成などはその典型例です。
こうした膨大な組合せを持つ課題が、社会やビジネスにおいて無数に存在しています」

こうした組合せ最適化問題は以前から存在するが、その解法が課題とされていた。最適解を求めるための計算は、「イジング問題」という標準問題に置き換えて行うことが研究者の中では通例だ。現在、様々な方式が研究され、イジング問題専用の計算機の開発が進んでいる。ただ、従来の古典コンピューターを使った方式は、膨大な変数を持つ大規模計算に対応できるものの、並列計算による高速化が原理的に困難であるとされる一方で、量子コンピューターは並列計算が可能ながら、大規模計算が不得手という問題があった。(注1:「イジングモデル」と呼ばれる磁石の最も単純なモデルにおいて、そのエネルギー最小の状態を求める、一種の組合せ最適化問題。)
そのため、解法を得ることができれば社会的にも産業的にも絶大なメリットが得られるのは間違いないが、現状では計算処理が極めて困難とされるのが組合せ最適化問題なのだ。
「これまで、超電導回路やレーザーを用いた専用計算機(量子コンピューター)による研究が進められてきましたが、量子コンピューターの本格的な実用化はまだ先で、おまけに多くのコストが必要です。そこで様々な手法が研究される中、並列計算によって高速処理を行なう現行の計算機を駆使して高速な組合せ最適化を可能とするのが、今回開発した『シミュレーテッド分岐アルゴリズム』です」(後藤氏)
東芝社内で長年にわたり量子コンピューターの研究に取り組んできた後藤氏によれば、このアルゴリズムは量子力学のロジックにインスパイアされて生まれたものであるという。


2019.10.25-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191024/k10012146191000.html
スパコンで1万年かかる計算を3分20秒で? 量子コンピューター

大手IT企業「グーグル」の研究者などのチームは、次世代のコンピューターとして注目される量子コンピューターが、従来のコンピューターをはるかに上回る性能を持つことを実証したとする論文を発表し、複雑な計算が必要とされる医薬品の合成や、経済・金融分野への応用など、実用化に向けた期待が高まっています。
  アメリカの大手IT企業「グーグル」などの研究チームは、23日付けのイギリスの科学雑誌、「ネイチャー」に、量子コンピューターについての論文を掲載しました。
  それによりますと、実験用に開発したプロセッサーを使って、乱数を生成する問題を計算させたところ、従来のコンピューターではおよそ1万年かかるという結果が出ましたが、量子コンピューターは3分20秒で計算を終わらせたということです。
  量子コンピューターは、理論的には従来のコンピューターでは不可能な計算ができるとされていましたが、実証されたのは今回の研究が初めてだとみられ、グーグルは、実用化に向けた「大きな飛躍だ」としています。
  将来的には、より複雑な計算が必要な医薬品の合成や、経済や金融分野の予測などへの応用が期待されていて、開発競争が今後、さらに激しくなりそうです。
「コンピューターの世界の新たな可能性開いた」
  子コンピューターは、従来のコンピューターとは異なる仕組みに基づいて計算を行います。
  従来のコンピューターは、「0」または「1」のいずれかの状態の組み合わせで計算します。
  これに対し、量子コンピューターは量子力学の原理に基づき、「0でも1でもある」という「重ね合わせ」の状態も利用。
より多くの情報を扱うことができて、理論上は従来のコンピューターをはるかに超える性能を実現できるとされてきました。
  しかし、実際に計算を行える量子コンピューターを開発するには、技術的に解決しなくてはならない問題が数多くあり、従来のコンピューターにはできない計算が本当にできるのかは証明されていませんでした。
  今回の研究は、量子コンピューターでなくてはとけない問題があることを実際に示し、その可能性を実証しました。
  マサチューセッツ工科大学のコンピューターの専門家は「ネイチャー」に寄せた記事で、初めて飛行機を飛行させたライト兄弟の業績になぞらえて「初めて量子コンピューターの超越性が示された」と評価しています。
  グーグルのサンダー・ピチャイCEOは「今回の成果はコンピューターの世界の新たな可能性を開いた」とコメントしています。一方で、今回の発表に関してはIBMなど一部の研究者から、検証の方法に疑義があがっているほか、計算で起きるエラーの訂正の手法や、新たな記録媒体の開発など、解決しなくてはならない課題が多くあり、従来のコンピューターのように一般に普及するまでには、まだ時間がかかる見通しです。
“暗号”めぐる不安も
不安もあります。
それが、インターネットなどあらゆる通信の分野で不可欠となっている暗号の技術をめぐってです。
暗号の技術は、どんどん複雑化していますが、桁違いの計算能力がある量子コンピューターが完成するといまの暗号は解かれてしまうと指摘されているのです。
暗号資産の価格急落 その背景は…
  論文が発表された23日、ビットコインなどのいわゆる仮想通貨=暗号資産の価格が一時、10%以上、急落しました。
  背景には、▽フェイスブックが計画していた暗号資産「リブラ」の発行を先送りする方針を示したことに加え、
▽量子コンピューターの開発によって、暗号資産を支える暗号技術が揺るがされるのではないかという懸念が広がったためとの見方が出ています。
  現在、インターネットなどの通信で使われている暗号技術は、巨大な数の素因数分解など、従来のコンピューターでは計算するのに現実的ではないほどの長い時間がかかる問題を応用して作られています。
  しかし、量子コンピューターがこうした計算を短い時間でとけるようになれば、暗号が解読される危険性が高まると指摘されています。
計算速度を飛躍的に向上させる量子コンピューターの出現は、私たちの生活をより便利にしてくれる可能性がある一方で、情報や通信の安全に対する脅威ともなり得ます。このため、量子コンピューターでも解読できない「耐量子コンピューター暗号」の技術開発も進められています。


2019.4..9-https://www.google.com/search?sxsrf

水の気体蒸気は単体の水分子が自由に動ける状態となっており
水分子単体で空間を激しく動き回って(熱運動して)います。
つまり、大きさとしては水分子1個が浮遊しているため
水分子1個分の大きさ 約0.38nm(ナノメートル)の大きさとなります。
大きさは 3nm(3×10⁻⁹m)(3ナノメートル)です。 DNAは、炭素や、リン酸、窒素、水素、酸素などよくしっている原子から構成されています。


2017.09.20-NHK マガジン(NHK NEWS WEB)-https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/6009.html
“電磁パルス攻撃”ってなに?

  「われわれの水爆は広大な地域に『超強力電磁パルス攻撃』まで加えられる」。6回目の核実験を強行した9月3日。北朝鮮の国営メディアは「電磁パルス攻撃」という聞き慣れない言葉を使って日本やアメリカを威嚇しました。
「電磁パルス攻撃ってなに?」取材を進めると、社会インフラの破壊など大きな影響があるという指摘がある一方で、専門家によって、さまざまな見方があることがわかりました。
「電磁パルス攻撃」は本当に脅威なのか。そしてどのような対策が必要なのでしょうか。
(政治部記者 防衛省担当 西井建介)
電磁波で飛行機墜落?原発停止?
  電磁パルス攻撃は元陸上自衛隊化学学校長の鬼塚隆志氏によると「高高度」と言われる地上30キロから400キロで核爆弾を爆発させ発生するガンマ線(γ線)を利用して、安全保障や社会インフラに影響を与えようというものです。

  放射線の1つであるガンマ線(γ線)は空気中の分子と衝突することで電子を発生させ、最終的に強烈な電磁波となって地上に押し寄せます。電磁波は、人体に直接の影響を与えないものの、電力や通信に障害を生じさせます。その範囲は広く、例えば、東京上空30キロで、広島に落とされた原爆の3分の2程度の核爆弾を爆発させると、範囲は半径およそ600キロに及び、ほぼ本州の全域で停電が発生すると鬼塚氏は指摘します。
  復旧には数か月から数年かかり、その間、交通機関はマヒし、流通も遮断され、食料などの物資は入ってこなくなります。水も出なくなり、医療機器も動かず、命に関わる事態も発生します。コンピューターは制御できなくなり、飛行機が墜落したり、化学工場が爆発したりする危険性もあるといいます。
  さらに鬼塚氏が懸念するのが原子力発電所への影響です。福島第一原発の事故は電源を喪失し事態の悪化を招きましたが、それと同じ現象が起こるおそれもあると言うのです。鬼塚氏はこんなエピソードを明かしました。
  「電磁パルス攻撃が話題になり、最初に私に電話をかけてきたのは実は東京電力です。病院の関係者やさまざまな企業からも問い合わせがあり、対策を急ぐべきだと思います」
対策は可能か
  重要なインフラや施設を電磁波から守るためには鬼塚氏は金属製の防護壁で覆ったり地下に移したりする対策が考えられるとしていますが、すべて実行すれば膨大な費用がかかります。
  「アメリカでは優先的に防護する施設や、被害を受けた場合に復旧させる施設の優先順位を決めており、日本も同じように対策をすべきだ」と鬼塚氏は訴えています。
「本当に脅威か」疑問投げかける専門家も
  一方で、電磁パルス攻撃はさらに研究や実験を重ねなければ分からない部分が多い分野で、冷静な対応が必要だという専門家もいます。その1人が核軍縮を研究するため核実験などの膨大な資料を調べてきた防衛研究所の一政祐行主任研究官です。
  一政氏によりますと、記録が残っている電磁パルス攻撃の実証実験は過去に数えるほどしかありません。それがアメリカとソビエトがいずれも1962年に行った核実験です。
  ソビエトの実験では上空290キロで核爆発させたところ、地上の電力ケーブルや送電設備などに火災が生じたという記録がありますが、詳細は明らかになっていません。
  またアメリカの実験では太平洋の離島の上空400キロで水爆を爆発させたところ、およそ1400キロ離れたハワイ諸島で停電が起きたとされています。
軍事力として使えない?
  これについて一政氏はハワイ諸島では街灯が消え、警報装置が誤作動して鳴り響いたなどという記録が残っている一方で、停電は1時間余りで復旧したという記録も残っていると言います。
  さらに一政氏はその後、アメリカやソビエトが電磁パルス攻撃の完成に向けた研究を進めていないということが、電磁パルス攻撃が軍事力として有効でないと判断された証左だと指摘します
  一政氏は「電磁パルスが電力網や電子機器などに影響を及ぼすことは事実だと考えられますが、55年前の話を持ってきて『文明が崩壊する』とか『19世紀の生活に逆戻りする』という議論はなかなか想像しにくいところがあります。電磁パルス攻撃には、常に懐疑論と脅威論がありますが、懐疑論があまり取り上げられていないように思います」と脅威を正しく見極めたうえで、対策を行う必要があると強調します
政府「万が一に備える」
  電磁パルス攻撃への注目が高まる中、政府も対策の検討に乗り出しています。
  菅官房長官は「万が一の事態に備えて、政府全体で必要な対策を検討していきたい」と表明。9月8日には内閣官房や防衛省に加え、経済産業省や国土交通省といった重要インフラを所管する府省庁の担当者が集まり会議を開催しました。

  防衛省も研究に乗り出します。小野寺防衛大臣は記者会見で「どのような影響があるか知見が確定しているわけではなく、電磁パルス弾を開発、研究する中で対処能力の研究を積み重ねていきたい」と語りました。
  防衛省はこれまで実験室内で特殊な装置を使って電磁パルスを発生させ防護方法などを研究してきましたが、来年度からは本格的に予算を計上し、平成33年度には実際に「ミニ電磁パルス弾」を作成して上空で爆発させてどのような被害が出るか検証実験を行う計画です。
  北朝鮮が電磁パルス攻撃の実行能力を持っているのかどうかは不明です。しかし小野寺大臣も「北朝鮮にはそれなりの核保有国と認められる能力がある」と述べるなど、日本の安全保障に対する脅威のレベルが上がっていることは事実です。電磁パルス攻撃の研究はまだ緒に就いたばかりですが、政府には国民生活を危険にさらさない外交努力とともに、その脅威の解明を急ぎ、必要な情報を明らかにしてもらいたいと思います。



量子コンピュータ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

量子コンピュータ (りょうしコンピュータ、英語:quantum computer) は、量子力学的な重ね合わせを用いて並列性を実現するとされるコンピュータ。従来のコンピュータの論理ゲートに代えて、「量子ゲート」を用いて量子計算を行う原理のものについて研究がさかんであるが、他の方式についても研究・開発は行われている。
  いわゆる電子式など従来の一般的なコンピュータ(以下「古典コンピュータ」)の素子は、情報について、「0か1」などなんらかの2値をあらわすいずれかの状態しか持ち得ない「ビット」で扱う。量子コンピュータは「量子ビット」 (qubit; quantum bit、キュービット) により、重ね合わせ状態によって情報を扱う。
  数個の量子ビットがあれば状態が同時に計算され、重ね合わされた結果が得られる。しかし、重ね合わされた結果を観測してもランダムに選ばれた結果が1つ得られるだけで、古典コンピュータに対する高速性は得られない。高速性を得るには欲しい答えを高確率で求める工夫を施した量子コンピュータ専用のアルゴリズムが必須である。もし、数千qubitのハードウェアが実現した場合、この量子ビットを複数利用して、量子コンピュータは古典コンピュータでは実現し得ない規模の並列コンピューティングが実現すると言われる。
  量子コンピュータの能力については、計算理論上の議論と、実際に実現されつつある現実の機械についての議論がある。計算能力の節を参照。現実の機械の能力については実際の項を参照。

理論(詳細は「w:Quantum complexity theory」、「計算複雑性理論」、および「複雑性クラス」を参照)
ヴァジラーニらは、量子チューリングマシンと古典チューリングマシンの計算可能性が等価であることを示した。したがって、計算可能性の点では既存のあらゆるコンピュータと量子チューリングマシンは変わらない。つまり、量子チューリングマシンで「計算可能」な問題は古典チューリングマシンでも「計算可能」であるし、古典チューリングマシンで「計算可能」でない問題は量子チューリングマシンでも「計算可能」でない。(なお、ここで「計算可能」というのは、計算理論の専門用語であって、「原理的に解くことができない」というような表現から一般の人がイメージするような素朴な印象はおそらくたいていは正確ではない)
計算可能性の理論に関しては以上のようであるのだが、では、計算複雑性の理論としてはどうだろうか、というのが関心のある所であろう。
量子コンピュータは容易に古典コンピュータをエミュレートすることが可能であるため、古典コンピュータで速く解ける問題(汎用問題)は、量子コンピュータでも同程度以上に速く解くことができる。よって汎用問題について、量子コンピュータは古典コンピュータ「以上」に強力な計算速度を持つ。ただし、同程度は可能だとしても、「大幅に上回る」かどうかはよくわかっていない。また、「大幅に上回る」問題の範囲についても、「より大きい」かどうかはよくわかっていない。量子コンピュータに関係する複雑性クラスBQPがある。BQPとNPの関係は明確ではないが、BQPのほうが大きいだろうと考えられ、2010年代ころより、NPを含むPHにBQPが含まれない、ということを示唆する結果がいくつか示されてきている。
実際
量子ゲートマシンは理論的には古典コンピューターをシミュレート出来るとされるが、現実には古典ゲートによる小規模演算器もシミュレート出来ない。 そのため、量子ゲートマシンの利用には専用アルゴリズム開発が必ず伴う。Googleは量子ゲートマシンの高速性が2017年末までに実証されると予想した。古典コンピューターよりも実際の量子ゲートマシンの方が高速に解ける問題が存在することを、量子超越性と呼び、このような問題の探索が続けられている。2019年10月23日、Googleは、ランダムに作った量子回路の出力結果を推定すると言う問題で、量子超越性を実証したと発表した。
量子ゲートマシン上で素因数分解を行うショアのアルゴリズムは、2001年にIBMが世界で初めて15(=3×5)の分解に成功した。2012年にブリストル大学が21(=3×7)の素因数分解を行い記録を更新したが、22以上の数の素因数分解の報告はない(2019年9月時点)。
2017年現在始まっているIBM Qなどではごく限られた数の量子ビットしか扱えない。重ね合わせ状態を保ちデータを記憶する量子メモリが実現されていない事、量子複製不可能定理により、計算結果を使いまわすことができない事、複数の量子コンピューターを接続し計算規模を大きくする技術が実現していない事、量子ゲートに起因する誤差が蓄積する事などから、計算大規模化が困難である。従って、現状では、与えられた問題を解くことに使われる状態ではなく、既に提案されている小規模な量子アルゴリズムの実証から始め、量子コンピュータで得ける有用な問題の模索が続いている。
量子コンピュータとしては、量子ゲート型以外に、D-Waveなどの量子アニーリングやその他いくつかのタイプが提案されている、量子イジングマシンはQUBO(制約のない二値二次式の最適化)に特化した専用計算機と言える。


空気
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


空気とは、地球大気圏の最下層を構成している気体で、人類が暮らしている中で身の回りにあるものをいう。
  一般に空気は、無色透明で、複数の気体の混合物からなり、その組成は約8割が窒素、約2割が酸素でほぼ一定である。また水蒸気が含まれるがその濃度は場所により大きく異なる。工学など空気を利用・研究する分野では、水蒸気を除いた乾燥空気と水蒸気を含めた湿潤空気を使い分ける。

用法
  地球を覆う気体の層を「大気圏」といい、その気体そのものを日常会話や工業分野などでは「空気」、気象学など地球科学の分野では「大気」とも呼ぶ。ふつう日常会話で「空気」という場合には、人間が暮らしている中で身の回りに存在する地上の空気を指し、場合によっては飛行機が航行する高度のような上空の空気を指す。一方、地球科学においては同じものを「大気」という。
その他の用法
  なお日本語における「空気」には、その場にいる人々の気分やその場の雰囲気という意味もある。(詳細は「場の空気」を参照)
空気は目に見えず、その他感覚にふれることもなく、普段はその存在を意識することもないが、常に身の回りにあり、無くてはならない存在であることから、ごく親しい仲のことを「空気のような」と表現することがある。最近の若者の俗語では「あいつは空気だから」といった使い方もする。こちらのほうは、存在感のなさを揶揄した否定的な用法である。
物性
  乾燥した空気1 L重さは、セ氏0度、1気圧(1 atm)のときに1.293 gである[1]。1 Lで1 gというと一見小さいようであるが、垂直に数十kmも積み重なることで、地表付近の空気には大きな重さ(圧力)がかかる。1気圧は1.033 kgf/cm2なので、地表では1 cm2あたりおよそ1 kgの圧力が加わっていることになる。
  なお、風速、つまり空気の移動速度が大きくなるにつれ、衝突する空気の総量が増え、大きな風圧が生じることになる。帆船ヨットウィンドサーフィンなどはこれを利用して大きな推力を得ているわけであるし、台風などでは巨大な破壊力となる。
  また、空気は流体であり、空気の中を進む物体には揚力抗力(空気抵抗)が生じる。飛行機は大きな揚力を得ることで空気中を飛揚する。

  
密度(0 ℃ 1 atm) 1.293 kg/m3
平均モル質量 28.966 g/mol
熱膨張率(100 ℃ 1 atm) 0.003671 /K
  常温常圧の空気はほぼ理想気体として振る舞い、t [℃]における空気の密度ρ [kg/m3]は、大気圧をP [atm]、水蒸気圧をe [atm]とする。
  また、セ氏0度、1気圧の乾燥空気における音速は331.45 m/s、セ氏15度では約340 m/sである。
  1気圧における近似的な値だが、乾燥空気の熱伝導率はセ氏0度 - 25度の間で約0.024 W・m-1・K-1 とほとんど変わらない
  また、1気圧の乾燥空気の電気伝導率(導電率)はエアロゾルの量により大きく変わり、2.9×10−15(エアロゾル濃) - 7.88×10−15(エアロゾル薄) Ω-1・m-1(または S/m)程度であるという研究報告がある
成分
  地球の大気は窒素、酸素のほか多数の微量成分で構成される。1cm3あたり3×1019個の分子が含まれる。以下に国際標準大気(1975)[12]における、海面付近(1気圧)の、エアロゾル等の微粒子を除いた清浄な乾燥空気の組成を解説する。
  (*)を付けた成分は、呼吸光合成などの生物の活動、車や工場の排気ガスなどの産業活動、空気中で起こる光化学反応に伴う合成・分解により、場所により大きく変動する。
  実際の空気中で最も変動するのは水蒸気であり、最大で4%程度、低いときは0%近くまで低下する。全球地表平均では約0.4%となる(下表には含まない)。 
  (+)をつけた成分は、人為的に排出される成分であり、濃度が近年著しく変化しているものである。主に産業革命以降完全に人為的に排出されて大気中に残存した成分と、もともと自然界で排出されていたが産業革命以降人為的に大量に排出されて濃度が高まった成分とがある。
  数値の右の(>)は、その値が通常の空気における最大値であることを示す。「1ppm>」であれば、最大1ppm、通常はそれ以下であることを意味している。
  
表1: 乾燥空気の主な組成(国際標準大気、1975年)
成分 化学式 体積比 割合(vol%) ppm ppb 備考
窒素 N2 78.084 780,840 -
酸素 O2 20.9476 209,476 -
アルゴン Ar 0.934 9,340 -
二酸化炭素 CO2 0.0390 390 - +*2011年の値
ネオン Ne 0.001818 18.18 -
ヘリウム He 0.000524 5.24 -
メタン CH4 0.000181 1.81 1813±2 +2011年の値
クリプトン Kr 0.000114 1.14 -
二酸化硫黄 SO2 0.0001> 1> -
水素 H2 0.00005 0.5 -
一酸化二窒素 N2O 0.000032 0.32 324.2±0.1 +*2011年の値
キセノン Xe 0.0000087 0.087 87
オゾン O3 0.000007> 0.07> 70>
二酸化窒素 NO2 0.000002> 0.02> 20>
ヨウ素 I2 0.000001> 0.01> 10>
表2: 乾燥空気の微量成分
成分 化学式 体積比割合(vol%) ppm ppb ppt 備考
クロロメタン CH3Cl 約0.000000055 - 0.55 約550 +* 2008年の値
ジクロロジフルオロメタン(CFC-12) CCl2F2 - - - 約540 + 2008年の値
トリクロロフルオロメタン(CFC-11) CCl3F - - - 約245 + 2008年の値
クロロジフルオロメタン(HCFC-22) CHClF2 - - - 約200 + 2008年の値
一酸化炭素 CO - - - 約91 +* 2008年の値
四塩化炭素 CCl4 - - - 約90 + 2008年の値
トリクロロトリフルオロエタン(CFC-113) C2Cl3F3 - - - 約75 + 2008年の値
1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a) C2H2F4 - - - 約50 + 2008年の値
1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン(HCFC-142b) CClF2CH3 - - - 約20 + 2008年の値
1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン(HCFC-141b) CCl2FCH3 - - - 約20 + 2008年の値
1,1,1-トリクロロエタン CH3CCl3 - - - 約10 + 2008年の値
1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a) C2H4F2 - - - 約4-9 + 2008年の値
六フッ化硫黄 SF6 - - - 約6.5 + 2008年の値
ブロモクロロジフルオロメタン(ハロン1211) CClBrF2 - - - 約4 + 2008年の値
ブロモトリフルオロメタン(ハロン1301) CBrF3 - - - 約3 + 2008年の値
アンモニア NH3 痕跡量 - - -
(地球大気がこのような成分に至った経緯については「地球の大気」を参照)
空気の利用
  産業用として圧縮空気はさまざまな場面で利用される。圧縮空気を原動力として用いる機械を空圧機械というが、圧縮機を用いたり使用者が手動で行ったりといくつかの方式がある。
  また純粋な空気の利用では、ボンベ等に充填した圧縮空気、低温下で液化させた液体空気も製造される。常圧ではおよそ-190℃で液化し、液体酸素の影響から液体の空気は淡い青味を帯びた色をしている。ボンベに充填する空気は一般的に、水蒸気や微粒子成分を取り除いた乾燥空気である。
  スキューバ・ダイビングで使用するタンクには圧縮空気が充填されているが、50m程度まで潜水する場合は、窒素酔いを避けるため、窒素分をヘリウムと置換した空気を用いる。
  また、窒素、酸素、二酸化炭素のほか、アルゴン、クリプトン、キセノン、ネオンなどの大気中に含まれる成分は、空気を利用して冷却・圧縮、化学吸着、膜分離等の方法で産業用に製造されるものがある。
空気の理解史
  古代ギリシャではすでに、エペンドクスルにより空気は4つの元素四大元素:水、地、火、空気)の1つとされ、アリステレス世界観として長く定着した(四元素説)。この考え方は中世ヨーロッパにも継承された。近代的な元素の概念が生まれた後も、相当期間、空気は元素の1つと考えられていた。空気とは性質が異なるさまざまな気体が発見されたが、それらは空気の化合物混合物だと考えられた。
  18世紀になると、アントワーヌ・ラヴォアジエが、空気が酸素窒素の混合物であることを示し、空気を元素とは考えなくなった。
游気の概念
空気を中国伝来の理気論の「気」と区別する別の語として「游気(ゆうき)」も使われた。游気は中国の游子六の書いた『天経或問』で使われた言葉で、オランダ科学書を通して、日本ではじめて近代ヨーロッパの科学を学んだ志築忠雄(1760-1806)が著書の中でたくさん用いた。志築は游気を水蒸気の意味でも用いており、今日の空気と全く同じというわけではなかった。志築は中国の陰陽五行説の影響も残していた。


電磁パルス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


  電磁パルス(英: electromagnetic pulse)は、パルス状の電磁波であり、EMPと略されることがある。
概要
  原理的にはパルス状の大電流によって発生させることができるが、特に地球の高層大気において核爆発により発生するものが、地上に著しい影響をもたらすものとして議論されるため、特にそれについて扱う。
  核爆発の強烈なガンマ線や、β線α線などの粒子線が高層大気中を通過すると、その相互作用によって、広域にわたって光電効果電離作用を発現させ、光電子オージェ電子イオンが多量に生成される。生成された電子は電子拡散を生じ、地磁気によって回転運動してシンクロトロン放射をしたり、物質との衝突によって制動放射を起こす事によって広い帯域の電磁波が放出される。また、一部の電子は地表に達してサージ電流を発生させる。これは低エネルギーの宇宙線による空気シャワーと同様の原理による。また影響範囲と強度に関しては、おおよそ、影響範囲の半径の逆二乗で弱くなるというトレードオフがある。すなわち、低高度の核爆発では電磁パルスの強度は強いが範囲が限定される。一方、高高度核爆発であれば広範囲に影響が出るが、その範囲のほとんどで強度は弱い。
  電磁パルスは、ケーブルアンテナ類に高エネルギーのサージ電流を発生させ、それらに接続された電子機器などに流れる過剰な電流によって、半導体電子回路に損傷を与えたり、一時的な誤動作を発生させる。軍事用の電子装置には、金属箔などでケーブルをシールドする、過負荷が予想される箇所に半導体の代わりの真空管を使うなど、電磁パルスに対する防護措置がされているものもある。特に、爆撃機核ミサイルは、自らの発射した核爆弾や、同じ目標に先行する核爆弾に破壊されないよう、防護措置がされていることが多い。
  原理的には、核爆発を起こさなくとも、コンデンサなどを使い電磁パルスを発生させることが可能である。そのため、非破壊・非殺傷兵器として敵の電子装備を麻痺させるEMP爆弾などが考案されているが、21世紀初頭の技術では核爆発によるものと違って小さな規模の電磁パルスしか発生できず、有効半径はせいぜい100 m程度だと言われている。なおアメリカ軍が開発を進めているといわれるが、公式には実用化はされていない。
高度別EMP
爆発分類 高度 発生機構 電界強度 到達範囲 周波数範囲
高々度 >40km 地磁気の影響 50kV/m DC - 数10MHz
高度 2 - 20km 空気密度の非対称性 10kV/m 中間 1MHz以下
地表 0 - 2km 空/地面の非対称性 100kV/m 局地的 1MHz以下
  雷の場合は周波数は1MHz以下で電界強度は10 - 数100kV/m程度である。パルスの立ち上がりは高高度核爆発の3桁ほど遅い。
一般的な特性
  電磁パルスは電磁エネルギーの瞬間的なバーストによって引き起こされる。その持続時間が短いため、ある周波数の範囲で伝搬すると考えることができる。
  電磁パルスは以下によって種類分けすることができる。
   ・エネルギーの種類 (電磁波、電場磁場電気伝導)。
   ・周波数の範囲またはスペクトル
   ・パルス波形:形状、持続時間、振幅。
  これらの内最後の二つ、つまり周波数の範囲あるいはスペクトルとパルス波形はフーリエ変換を介して相互に関係しているため、同じパルスを記述する2つの異なる方法と見なすことができる。
エネルギーの種類(詳細は「電磁気学」を参照)
  電磁パルスのエネルギーは以下の4つの形態で伝搬される。   電場  ・磁場  ・電磁波  ・電気伝導
  電磁エネルギーのほとんどの形態のパルスは常にほかの形態のパルスを伴うが、類型的なパルスでは一つの形態が支配的になる。一般的には長距離では電磁波のみが作用し、他は短距離でのみ作用する。ただし太陽フレアなどの例外もある。
周波数の範囲
  電磁エネルギーのパルスはDC(振動数ゼロ)から発信源の上限値までの多くの周波数が含まれている。電磁パルスとして定義される範囲は非電離放射線(赤外線、可視、紫外線)および電離放射線(X線およびガンマ線)範囲を除く。いくつかのタイプの電磁パルスは雷や閃光などの余波を残すがこれは空気を流れる電流による副作用であり、電磁パルスそのものの一部ではない。
パルスの波形
  パルスの波形は、その瞬間での振幅(電場の強さまたは電流)が時系列的にどのように変化するかを記述するものである。 実際のパルスはかなり複雑になる傾向があるので、単純化されたモデルがしばしば用いられる。 そのようなモデルは基本的にダイアグラム(線図)または数学的方程式のいずれかで示される。

  ほとんどの電磁パルスは非常に鋭い尖りを持ち、素早く最大レベルの振幅まで達する。古典的なモデルは急峻に上昇し、急速にピークに達し、その後ゆっくりと減衰する二重指数曲線である。しかしながら制御されたスイッチング回路からのパルスはしばしば矩形(方形)または「正方形」パルスの形態に近似する。またデジタルクロック回路などのパルス列では、波形は規則的な間隔で繰り返される。
  人為的な電磁パルス発生では通常、発信源と被害装置の間のカップリング(英語版)容量性カップリングなど)のために被害装置に適応する信号を発信する。カップリングは通常、比較的狭い周波数帯域で最も強く発生し、被害装置に特徴的な減衰正弦波(減衰振動)信号をもたらす。視覚的には一般的な減衰振動(不足減衰)と同様に正弦波を描きながら指数関数的に減衰する。減衰正弦波パルスは典型的には、カップリングの伝達特性のために以前のパルスよりもはるかに低いエネルギーと狭い周波数での伝搬という特徴を持つ。実際に電磁パルステスト装置は高エネルギーの脅威的なパルスを再現しようとするのではなく、これらの減衰正弦波を直接注入することがよくある。
影響
  軽度な電磁パルス、特にパルス列は低レベルの電気的ノイズまたは干渉を引き起こし、影響を受けやすい機器の動作に影響を与える
  1859年の太陽嵐では、ヨーロッパおよび北アメリカ全土の電報システムが停止、電信用の鉄塔から火花が発生するなどの被害が発生した。また20世紀半ばの一般的な問題としてガソリンエンジンの点火システムによって引き起こされる干渉がある。これはラジオにぱちぱちと音を鳴らし、テレビのスクリーン上にストライプを表示させた。 そのため国によっては車両メーカーに対して干渉低減抑制システムに適合させるための法律が導入された。

  高電圧の電磁パルスでは火花を誘発させることがある。例えばガソリンエンジン車に燃料を供給する際に静電気放電から生じることがある。このような火花は気化した燃料によって爆発を引き起こすことが知られており、それらを防ぐために予防措置を講じなければならない。
  エネルギーの大きい電磁パルスは被害装置に大きな電流や電圧を誘発させ、その機能を一時的に中断させたり、破壊することができる。
  落雷のような非常に大きな電磁パルスでは加熱効果や電流によって生成された非常に大きな磁場の破壊的効果のどちらかによって、樹木、建物および航空機などの物体に直接損傷を与えることもできる。 間接的な影響としては加熱による電気火災である。ほとんどの構造物およびシステムの設計には、雷に対する何らかの形の保護を必要とする。
  高エネルギーの電磁パルスの破壊力を利用するため、核戦争での先制攻撃用で、効果範囲の小さい戦略ミサイルや効果範囲を最大限まで大きくした戦略ミサイルを、それぞれ調整されて作られた核弾頭による電磁パルス兵器が、開発・製造された。







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