日本とウクライナ-1
2024.02.19-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20240219-KVHUPSYZGJIERC4NI73QHSNNQQ/
官民でウクライナ支援、日本政府「対岸の火事でない」 国際機運盛り上げ狙う
(岡田美月)
政府は、
ロシアによるウクライナ侵略開始から24日で2年となるのに合わせ、19日に
「日ウクライナ経済復興推進会議」を開き、
官民一体で強力に支援を続ける姿勢を打ち出した。
ウクライナ支援の国際的な機運を再び盛り上げたい考えだ。背景には、ウクライナがロシアに敗北することがあれば安全保障上、日本にも重大な影響が及ぶとの危機感がある。
「ロシアに侵略されたウクライナが復興を成し遂げ、活力を取り戻すことは、日本、そして国際社会全体の利益だ」
岸田文雄首相は会議で、ウクライナ支援の重要性を強調した。
「復興は長い取り組みになる。先進7カ国(G7)をはじめとする各国と緊密に連携し、国際機関を含むパートナーと協力していく」とも呼びかけた。
首相は昨年5月に広島市で開催したG7首脳会議(広島サミット)に
ゼレンスキー大統領を招くなど、
G7で結束してウクライナを支援する姿勢を打ち出してきた。ロシア軍の侵略が長期化する中、ウクライナが抵抗を続けるには長期の支援が欠かせない。ただ、米欧諸国では「支援疲れ」も指摘される。
日本が復興会議で民間企業の進出を後押しするのは、武器などの軍事物資の輸出に制約がある上、政府中心の支援にも限界があるからだ。
日本のこれまでの支援は、国際協力機構(JICA)を通じた地雷除去やがれき処理、G7と連携した財政援助が中心で、
民間企業の参画は新たな分野になる。
ウクライナ側も日本企業の技術力などに期待を寄せており、日本政府関係者は「今回の会議で復興に必要な枠組みが全てそろう」と語る。
ただ、
戦闘が続く中、日本企業が現地で事業を実際に進めることができるかが課題だ。
国内の一部には能登半島地震の復旧・復興が急務となる中で外国を支援することを疑問視する声もある。
もっとも、
自国の主権と独立を守るために露軍の侵略にあらがうウクライナを見捨てれば、中国などに対し「力による一方的な現状変更が許される」との誤ったメッセージを与えかねない。外務省幹部は
「対岸の火事ではない。その原点を忘れてはいけない」と訴える。
(岡田美月)