カザフスタン共和国-1
2024.12.31-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241231-MW4VQVK5IZPVPHWEWCKYMDCWCA/
アゼル機墜落から1週間、原因解明・証拠隠滅の有無焦点に 調査結果がゆがむ懸念も
(小野田雄一)
カザフスタン西部アクタウ近郊で起きたアゼルバイジャン航空機の墜落は
1月1日に発生から1週間を迎える。この間、
同機はロシア軍の防空ミサイルの誤射で墜落したとの観測が支配的になった。ロシアが誤射の証拠隠滅を図ろうとした疑惑も指摘された。
カザフ政府などが墜落原因の調査を進めるが、調査にはロシアも加わっており、どのような結論が示されるか予断を許さない状況だ。
鳥と衝突し操縦不能との暫定的な見方
墜落は12月25日に発生した。アゼルバイジャンから露南部グロズヌイに向かっていた同機は露上空で
「鳥と衝突し、操縦不能になった」と報告。カスピ海対岸のアクタウに向かったが墜落した。
機長を含むアゼルバイジャン人とロシア人、カザフ人計38人が死亡した。
アゼルバイジャン航空や露航空当局は当初、鳥との衝突が墜落原因になった可能性があるとの暫定的な見方を示した。
しかし、
機体に弾痕のような無数の穴が残っていた上、生存者も「爆発音を聞いた」と証言。
グロズヌイ周辺では当時、露軍がウクライナ軍のドローン(無人機)に対する防空活動を行っていたことから、
同機は防空ミサイルで誤射されたとの観測が強まった。
機長はミサイルが機体付近で爆発した衝撃を鳥の衝突と誤認した可能性がある。
アゼルバイジャンのアリエフ大統領は29日、露軍による誤射という「事実が確立されつつある」と述べ、
ロシアは罪を認めるべきだと訴えた。
両者の主張に食い違い
今回の墜落を巡り、欧州メディアは26日、アゼルバイジャン政府筋が「機体トラブルにより機長はグロズヌイとは別の露国内空港への緊急着陸を求めたが、ロシアが拒否し、アクタウへの飛行を命じた」と話したと報じた。一部メディアは「ロシアは誤射の証拠を消すため同機をカスピ海に墜落させようと考えた」との疑いを示した。
一方、露航空当局高官は27日、「ロシアは別の国内空港への着陸を提案したが、機長がアクタウに向かうと決めた」と主張。両者の主張が食い違っており、墜落原因に加え、この点も真相解明されるかが注目される。
誤射の可能性には言及せず
カザフ政府によると、墜落原因の調査にはカザフやロシア、アゼルバイジャンの専門家ら計17人が参加。カザフは「ロシアが参加しても調査の客観性や公平性に影響は出ない」と説明している。
だが、ロシアは旧ソ連圏で「盟主」の立場にあることから、カザフメディアは、ロシアの意向で調査結果がゆがめられる恐れも排除できないとの見方を示唆している。
プーチン露大統領は28日、「露上空で悲劇が起きた」とアリエフ氏に謝罪し、ロシアの一定の責任を認めたが、誤射の可能性には言及しなかった。
(小野田雄一)
2024.12.27-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241227-AJLGZWRKBBJQJAD6LGHTC5GGGM/
アゼルバイジャン機墜落「露軍が撃墜」説が支配的に 事実ならロシアに大打撃
(小野田雄一)
カザフスタン西部アクタウ近郊で起きたアゼルバイジャン航空機の墜落は、
同機がロシア軍の防空ミサイルで撃墜されたとの観測が支配的になりつつある。仮に同機が露軍によって撃墜されたことが確認された場合、
ロシアが受ける政治的打撃は大きい。原因究明に乗り出したカザフ政府などが今後、どのような調査結果を示すかが焦点となる。
欧州の国際テレビ局「ユーロニュース」は26日、
アゼルバイジャン政府筋が同機について「露軍の地対空ミサイルで撃墜された」と話したと報道。アゼルバイジャンメディアも26日、同国政府筋が同様の暫定調査結果を明かしたと伝えた。
墜落は25日に発生。同機はアゼルバイジャンの首都バクーから
露南部チェチェン共和国グロズヌイに向かっていたが、グロズヌイの空港から「濃霧」を理由に着陸を拒否され、アクタウに向かった。これと前後して機体トラブルが起き、アクタウ近郊で墜落した。
墜落で乗員乗客67人のうち機長を含む38人が死亡した。
機長は機体トラブルについて
「鳥の群れと衝突した」と地上に報告。これを受け、アゼルバイジャン航空は当初、
同機が鳥と衝突して墜落したとする暫定的な見方を示した。
ただ、
墜落後の機体は尾翼などに弾痕のような無数の穴が開いていることが確認された。
機体トラブルの発生後に乗客が機内から撮影した動画にも、主翼部分が損傷した様子が映っていた。穴は防空ミサイルが付近で爆発した航空機に残る痕跡と酷似していると指摘され、撃墜説が浮上した。
さらに、チェチェン当局が墜落に先立ち
「ウクライナ軍のドローン(無人機)を防空システムで撃退している」としてグロズヌイの空港の発着を一時停止していたことや、
アゼルバイジャン航空が墜落原因の判明までグロズヌイへの飛行を禁止したことも、同機が露軍の防空ミサイルで撃墜されたとの観測を補強した。
露軍事メディアは、機体トラブルが発生したのはグロズヌイの空港から18キロ離れた上空2400メートルの場所で、
付近に露軍の防空システムが配備されていたと報告。「機長は機体付近で防空ミサイルが爆発した衝撃を鳥の衝突と勘違いした可能性がある」とした。
露独立系メディアは「グロズヌイの空港は『濃霧』を理由に墜落機に着陸を拒否したが、
本当の理由はドローン攻撃だった可能性がある」と指摘。アゼルバイジャンメディアも、ロシア側が誤射を隠蔽するため同機をカスピ海に墜落させる意図で対岸のアクタウへの飛行を命じたと伝えた。
今回の墜落の犠牲者はロシア人のほか、アゼルバイジャン人やカザフ人らロシアが友好国とする旧ソ連諸国の国民だ。
仮に露軍の防空ミサイルが墜落原因だったとする調査結果が出ればロシアには大打撃となる。
ロシアを巡っては2014年、ウクライナ東部紛争で、ロシアと一体の親露派武装勢力が露製地対空ミサイルの誤射で
マレーシア航空機を撃墜する事件が起きていた。
(小野田雄一)
2024.12.26-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241226-PP6HT42P4ZPETBY7VEP7L2EGKU/
旅客機墜落は「ロシア軍が撃墜」とアゼルバイジャン政府筋 ドローン迎撃ミサイル誤射か
(小野田雄一)
カザフスタン西部アクタウ近郊で起きたアゼルバイジャン航空機の墜落で、
欧州に拠点を置く国際テレビ局「ユーロニュース」は26日、アゼルバイジャン政府当局者が同機について「ロシア軍の地対空ミサイルで撃墜された」と話したと伝えた。当局者はまた、
露軍の地対空ミサイルはウクライナ軍のドローン(無人機)を迎撃するために発射されたものだとする見方も示したという。
アゼルバイジャンメディアも26日、同国政府当局者が、同機は露軍の地対空ミサイルシステム「パンツァーリS」により撃墜されたとする暫定的な調査結果を明らかにしたと伝えた。
26日夕(日本時間26日夜)時点でロシア側はこうした報道についてコメントしていない。
墜落は25日に発生。同機はアゼルバイジャンの首都バクーから露南部チェチェン共和国グロズヌイに向かっていたが、グロズヌイの空港から「濃霧」を理由に着陸を認められなかったため、アクタウの空港に向かうことになった。その最中に機体トラブルが発生し、アクタウ近郊で墜落したとされる。墜落で乗員乗客67人のうち、パイロットを含む38人が死亡した。カザフ政府などが墜落原因を調査している。
墜落を巡り、アゼルバイジャン航空は当初、同機が鳥と衝突して機体が損傷し、墜落したとする暫定的な見方を示した。ただ、墜落後の機体に弾痕のような無数の穴が残っていたことや、墜落に先立ちチェチェン当局が「ウクライナ軍のドローンを防空システムで迎撃している」と発表していたことから、
露軍の防空システムで誤射されたとの観測も浮上していた
(小野田雄一)
2024.12.26-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20241226-QYMEN7V3XFIQ5DVT6GQ2KW4SYU/
ロシア軍のミサイル誤射説も浮上-カザフスタンの旅客機墜落-死者は38人に
(小野田雄一)
中央アジアの旧ソ連構成国カザフスタン西部アクタウ近郊で25日に起きたアゼルバイジャン航空機の墜落で、
カザフ政府は同日、乗員乗客67人のうち38人が死亡したと発表した。生存者29人は病院に搬送された。カザフメディアが伝えた。
墜落原因を巡っては、鳥との衝突のほか、ロシア軍の防空ミサイルに誤射された可能性なども指摘され、カザフ当局は「現時点で断定できない」として専門家による調査に乗り出した。
同機はアゼルバイジャンの首都バクーから露南部グロズヌイに向かっていた。カスピ海上空で緊急信号を発信し、進路を変更してアクタウの空港に着陸を試みたものの、墜落したとされる。乗員は全員アゼルバイジャン人で、乗客としてアゼルバイジャン人のほかロシア人やカザフ人、キルギス人が搭乗していた。
墜落原因を巡り、アゼルバイジャン航空は当初、同機が鳥と衝突したとする暫定的な見方を発表。カザフメディアも「エンジンに鳥が衝突した後、機内で酸素ボンベが爆発した」とする生存者の証言を伝えた。
ただ、その後、墜落した機体に弾痕のような複数の穴が開いていたとする映像が拡散。一部メディアは、軍事専門家の間で「ウクライナ軍のドローンが着弾した」「ドローンを迎撃中の露軍の防空ミサイルに誤射された」などの可能性が指摘されていると伝えた。グロズヌイでは同日、ウクライナ軍のドローン攻撃があり、露軍の防空システムが稼働していたという。
撃墜説が浮上したことに対し、カザフ政府高官は「早急に結論を出すべきではない」として専門家による原因究明を急ぐと表明。アゼルバイジャンのアリエフ大統領も「さまざまな墜落原因が指摘されており、徹底的に調査すべきだ」と述べた。
(小野田雄一)