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核の先制不使用に関する議論の経緯と課題
原子力発電問題-1


2023.12.27-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231227-YAZHYSH5NJJ57BCYMHXY6DZF3Y/
原子力発電所7基再稼働 関西電力もテロ対策に難航の過去
(牛島 要平)

  原子力規制委員会が、テロ対策不備で事実上の運転禁止命令を出していた東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)について命令を解除した。原子力発電所の稼働が比較的順調で、今年9月までに、廃炉を決めたものを除く原発全7基が再稼働した関西電力その関電でもテロ対策工事は難航し、期限切れで稼働を止めた事例もあった

  関電のテロ対策の「特定重大事故等対処施設」(特重施設)を巡っては、原発7基のうち6基で定められた期限より運用開始が遅れ、その間は稼働を停止した。
  特に美浜原発3号機(福井県美浜町)は、運転開始40年超の原発として国内で初めて令和3年6月に再稼働したが、その時点では特重施設が未完成だった。原発本体の工事計画認可後「5年以内」という期限の同年10月25日にも運用が間に合わず、約10カ月間の停止を余儀なくされた。
  遅れた原因として、規制委の審査過程でテロ対策施設の設置場所を変更するよう注文が付き、新たに山を削って造成するなどの想定外の大規模工事を求められた実情がある。九州電力など他の電力会社でも同様の事態が発生した
  今後も安全審査への対応は電力会社にとって重要課題だ。関電の水田仁副社長(原子力事業本部長)は「新規制基準で求められる施設が増え、審査対応も含めてマンパワーが必要な状況になっている。(若手作業員らへの)教育もしていかなければならない」と話す。
  最近では、高浜原発3号機(同県高浜町)で今年9月からの定期検査で蒸気発生器の配管の損傷が見つかり、調査報告書を規制委に提出したうえで、今月22日に原子炉を起動した。再稼働後も電力の安定供給に向けて気の抜けない状態が続く


2023.12.23-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231223-C7H6CBRBKVO6FCJOIQRNTDH43E/
日本産禁輸のまま 福島沖で漁やめぬ中国 処理水放出4カ月
(桑村朋、北京 三塚聖平)

  東京電力福島第1原発処理水の海洋放出が開始されたのを受け、中国政府が日本産水産物の輸入を全面的に停止してから24日で4カ月となる。中国漁船は処理水放出開始後も福島や北海道沖の北太平洋でサバなどの漁を続けており、同じ海域で漁をする日本漁船の「日本産」は禁輸しつつ、「中国産」は国内で流通させるという矛盾した状況を生んでいる。

  水産庁によると、中国漁船は日本の排他的経済水域(EEZ)の外側で操業し、イワシやサバなどを漁獲。例年通りなら年末にかけて自国に引き上げる見通しだ担当者は「正確な数は把握できないが、例年と比べても中国漁船の数に変化はないと話す。
  処理水を「核汚染水」と表現し、安全性が確認できないとして日本産水産物の禁輸を続ける中国だが、日本にほど近い漁場での漁は止めていない
  日本のEEZ内でも放出開始後、イカやカニの好漁場である日本海大和堆周辺で中国の違法漁船が散見されるという。先の担当者は「中国が日本近海で獲れた魚を問題視しつつ、中国産として扱う姿勢は矛盾している」と指摘し、今後も外交ルートを通じて禁輸の解除を求めていくとした。
  一方、全国さんま棒受網漁業協同組合(東京)の担当者は「サンマ漁の中国漁船は9月下旬にいなくなった」と明かす。北太平洋漁業委員会(NPFC)で定めた国・地域ごとの漁獲枠に達したためとみられるが、処理水放出後も漁を続けていたことに変わりはない
  中国当局が日本産水産物の全面禁輸措置を解除するめどは立っておらず、中国国内では日本料理店の苦境が続いている

  「核汚染水の影響は大きい。夏から商売はずっと悪い」。北京市内の海鮮市場で水産物業者の女性は弱り切った表情を見せた。北京の日本料理店などに食材を卸しているが、放出開始後から客足は減ったままだという。「北京の日本料理店はどこも状況はよくないようだ」と嘆く。
  北京中心部にある日本料理店の女性マネジャーも「客足は減ったままだ。常連客で何とか持ちこたえているが苦しい」と苦境を語った。景気が低迷して消費者が財布のひもを締めているところに、処理水問題で日本料理や海鮮を敬遠する客が少なくないという。
  北京の日本料理店で働く日本人男性は「水産物は中国産などに切り替えたが、質を維持するのに苦労している」と事情を語った。
  中国税関総署によると、中国が10月に日本から輸入した水産物の総額は前年同月比99・3%減の240万元(約4800万円)。北京の日系食品会社幹部は「水産物以外の日本の食品も打撃を受けていて、厳しいムードがいつ終わるのか全く分からない」と嘆く。(桑村朋、北京 三塚聖平)


2023.12.04-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASRD45W3MRCZULBH006.html?iref=comtop_Tech_science_01
運転禁止命令の柏崎刈羽原発 規制委が検査報告書案を6日に公表へ
(佐々木凌)

  東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)でテロ対策の不備が相次ぎ、原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令を受けている問題で、規制委は4日、検査項目とした課題が改善したとする報告を受けた。6日の定例会で報告書の案を公表し、命令解除の可否を判断するための対応を議論する。

  規制委は4日の非公開の会合で、事務局の原子力規制庁の担当者から、柏崎刈羽原発の不正侵入対策や東電自身によるチェック体制の整備といった課題がすべて改善したとの報告を受けた
  これまでの検査はのべ4268時間で、想定していたのべ2千時間の2倍超。課題として残っていた誤警報が多くなる荒天時の対応について、訓練に立ち会った結果、問題は確認されなかったという。こうした状況を規制庁がまとめた検査報告書の案に対し、委員から異論は出なかったという。
  山中伸介委員長は、規制庁による報告書案に加え、自らの現地調査や東電社長との面談を踏まえて命令解除の可否を判断する方針を示してきた。6日の定例会で、こうした対応を議論する。
  柏崎刈羽原発では、外部からの不正侵入を検知できない状態だったり、社員が他人のIDカードで中央制御室に入ったりする問題が相次いで発覚規制委は2021年4月、柏崎刈羽原発に対して核燃料の移動を禁止する是正措置命令を出した。命令が解除されないと再稼働できない状況にある。今年5月には課題が残っているとして、検査の延長を決めていた。
(佐々木凌)


2023.11.08-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231108-YMO5NTUUHJOJRGMAMOBFUX6MAA/
相模原でメタンガス発電所が開所式 食品廃棄物由来の燃料使用

  食品リサイクルを手掛ける「日本フードエコロジーセンター」(相模原市)などが設立した発電会社「さがみはらバイオガスパワー」(同)は8日、食品廃棄物由来のメタンガスを燃料にする発電所(同)の開所式を実施した。市は同日、両社と持続可能な開発目標(SDGs)の普及啓発などに関する連携協定を締結した。

  日本フードエコロジーセンターは食品廃棄物を飼料に加工する事業を行っており、発電所ではこれまで飼料に加工できなかった油や塩分の多い廃棄物を発酵させてメタンガスをつくり、発電の燃料にする。
  売電収入などで、年間で2億数千万円の売上高を見込んでいる建設費用は約11億円で、横浜銀行などの金融機関が資金調達で協力したという。
  日本フードエコロジーセンターは近郊の食品工場やスーパーなど約180カ所から食品廃棄物を集めており、リサイクルできないものは焼却処分していた。両社と市の連携協定の項目にはSDGsの普及啓発や、脱炭素社会の推進などが盛り込まれており、本村賢太郎市長は「この地から持続可能な相模原を発信していく」とあいさつした。


2023.11.02-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231102-FYISZPRTKNJLJBCL2J2QZVGWZQ/
中国、廃液問題で東電批判 安全性に疑問と主張

  中国外務省の汪文斌報道官は1日の記者会見で、東京電力福島第1原発で作業員が放射性物質を含む廃液を浴びた問題に関し「東電は長きにわたり市民を欺いてきた」などと批判、原発処理水の海洋放出計画の安全を担保できるのかと疑問を呈した。

  今回の問題が「長期的で有効な国際モニタリング態勢構築の必要性を浮き彫りにした」と強調。国際原子力機関(IAEA)日本を厳しく監督する責任を果たすべきだと改めて主張した。(北京 共同)


2023.11.01-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20231101/k00/00m/040/072000c
川内原発1、2号機の運転延長を認可 最長で60年可能 規制委
【高橋由衣】

  原子力規制委員会は1日、2024年以降に運転開始から40年を迎える九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)について、最長20年の運転延長を認可した。延長が認められた原発は5、6基目で、九電管内では初めて

  原発の寿命を巡っては、60年超運転を可能にする「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」が今年5月に成立した。しかし同法の完全施行は25年6月のため、今回は旧制度に基づく最長60年の認可となる。
  1号機は24年7月、2号機は25年11月にそれぞれ稼働から40年を迎える。九電は、40年超運転に必要な特別点検を実施し、原子炉などの重要設備の劣化状況に問題がないと判断。規制委も九電の評価を認めた。
  ただし今回の認可を受けても、25年6月までに、GX関連法に基づく新制度で定められた「長期施設管理計画」を策定し、規制委の認可を受ける必要がある。計画はその後も最長10年ごとに認可が必要で、運転開始から60年を迎える前には「追加点検」を実施した上で、改めて規制委の審査が必要になる。
  これまでに、関西電力高浜原発1、2号機(福井県)▽関電美浜原発3号機(同)▽日本原子力発電東海第2原発(茨城県)――が40年超の運転延長認可を受けている。【高橋由衣】
【高橋由衣】

2023.10.30-朝日新聞-https://www.asahi.com/articles/ASRBZ6DN2RBZULBH00N.html?iref=comtop_7_03
福島第一原発の廃液飛散量を修正 約100ミリ→数リットルでした
(佐々木凌)

  東京電力福島第一原発の多核種除去設備(ALPS=アルプス)配管を洗浄作業中に汚染廃液を浴び、協力会社の作業員2人が入院した問題で、東電は30日、飛び散った廃液の量は数リットルだったと発表した。発生当初は約100ミリリットルと説明していた。

  東電によると、25日午前10時40分ごろ、多核種除去設備の建屋内で、汚染水が通る配管に硝酸液を流して洗浄していたところ、廃液をタンクに流すホースが抜け、廃液が飛び散った。20代と40代の男性2人が除染と経過観察のため入院していたが、28日に退院した。ともに汚染した部位の皮膚の外傷は確認されておらず、体調にも特段の変化はないという。
  東電は、入院した2人のほかに現場で作業をしていた3人への聞き取り結果から、飛び散った量を約100ミリリットルと判断。その後、退院した2人に元請け企業を通じて聞き取り調査をした結果、数リットルだったことが明らかになったという。
  東電は30日の記者会見で、具体的な飛び散った量については「計算できず、分からない」と説明した。 また、東電は入院した2人について、1次請け企業の作業員と説明していたが、3次請け企業だったことを明らかにした。
  東電の担当者は「正しい情報が収集できていなかった。おわびして訂正し、原因と対策を確認したい」と話した。
  さらに、この2人らに指示を出す班長は当日病欠しており、代わりに2次請けの監督者が入っていたが、廃液が飛び散った時は別の作業現場にいて立ち会っていなかったことも明かした。東電は「責任者は作業中に現場にいなければならないという社内ルールが守られていなかった」と説明した。(佐々木凌)


2023.10.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231015-7CEIB7GT7NLURDBWYTSH2DYZ7A/
IAEA海洋調査 中国は暴論撤回の機会だ

  東京電力福島第1原子力発電所からの処理水海洋放出の安全性への国際的な信頼感の醸成につなぎたい。
  国際原子力機関(IAEA)による第1原発周辺海域での科学調査が16日から約1週間実施される。調査項目は海水や海底土、海の生物の放射能レベルなどだ。

  処理水の放出は8月末に始まり、現在は2回目が実施中だ。初回と同じく7800トンが海底トンネルを通じ、1キロ沖に17日間をかけて流される。
  第1原発内の多核種除去設備(ALPS)で大半の放射性元素が除去され、極めて微弱な放射線を出すトリチウムだけが残るのが処理水だ。その放出は国際的な安全基準に即しており環境への影響はないとされる。だが中国政府は「核汚染水」と決めつけ、根拠を欠く中傷を続けている。初回の放出に合わせたホタテなど日本産水産物の不当な全面禁輸は今も続き、中国語での日本へのいやがらせ電話も多発した。
  放出後初となるIAEAの調査には「分析機関比較」という手法が導入されている点に注目したい。日本との共同作業で採取した魚などの試料をIAEAと日本の分析機関が個別に分析し、その結果を照合するので客観性が担保される仕組みだ。今回の調査にはIAEA海洋環境研究所のメンバーだけでなく、IAEAから指名されたカナダ、中国、韓国の分析機関の専門家も第1原発沖での試料採取段階から参加する。
  1回目の放出時から東電や水産庁などが海水やヒラメなどのトリチウム濃度を測定しているが、検出限界値未満の結果が続いており、中国の反日的で非科学的な批判からはほど遠い。
  日本政府のこれまでの対外的な説明で、世界の多くの国々が処理水海洋放出に問題がないことを認めてくれている。IAEAの分析機関比較によって、日本の主張の正しさが裏打ちされるのは間違いない。中国にとってこれまでの暴論の数々を撤回する好機ではないか。
  24日からは処理水放出に関するIAEAの別の調査団が来日し、関係省庁などと計画の全体評価につながる意見交換が行われる。政府は国際社会への積極的な情報発信に全力を挙げねばならない。海洋放出は廃炉の一環として今後30年間ほど続く長丁場の事業なのだ。


2023.10.11-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20231011-X5YLA76GIFNOHDP42JELGIJ55I/
IAEA、海洋試料採取へ 中国も参加、福島第1原発

  国際原子力機関(IAEA)は10日、東京電力福島第1原発の近くで海洋試料を採取するために、IAEAとカナダ、韓国、処理水の海洋放出に反対する中国の専門家らが来週訪日すると発表した。試料は、日本の環境モニタリングの裏付けなどに使われるという。

  16~23日の日程で、福島第1原発近くの沿岸の海水、海底堆積物、魚のサンプルを収集し、観察する。新しい試料の結果は、処理水の海洋放出の開始以降、海洋環境の放射性核種のレベルに変化があったかどうかを確定するために昨年の試料と比較する
  処理水の海洋放出を巡っては、中国は日本産水産物の禁輸を続け、放出を非難する立場も維持している。(共同)


2023.10.01-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20231001-C36CWKJIEFPNHOELH7QTOTRETI/
海水中のトリチウム、検出下限値未満 9月末採取

  東京電力は1日、福島第1原発周辺で9月30日に採取した海水に含まれる放射性物質トリチウム濃度を分析した結果、いずれも検出できる下限値未満だったと発表した。

  東電は原発から半径3キロ以内の10カ所で採取した海水を調べた。第1原発では8月24日に処理水の海洋放出を始め、初回分が9月11日に完了した。


2023.10.01-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/world/20231001-OYT1T50011/
「処理水」批判は中国のみ、ロシアも言及せず…IAEA総会で孤立印象づける

  【ウィーン=森井雄一】オーストリアの首都ウィーンで開かれた国際原子力機関(IAEA)の年次総会が9月30日未明(日本時間30日午前)、閉幕した。東京電力福島第一原子力発電所の処理水放出を批判したのは中国のみで、日本の取り組みを支持する声が上がるなど各国は理解を示した。

  処理水放出後、初めての総会で、初日の25日の総合討論では中国が処理水を「核汚染水」と呼んで批判したことに対し、高市科学技術相が反論するなど日本と中国の代表が応酬を繰り広げた。外務省関係者は中国の主張を「批判ありきの批判」と指摘した。
  3日間の総合討論で日本の取り組みや処理水放出を批判したのは中国だけだった。中国に歩調を合わせて日本産水産物の輸入制限を検討しているロシアも総合討論では言及せず、中国の孤立を印象づけた。処理水放出に「憂慮」を示したのもシリアだけだった。
   一方、ドイツやイタリア、オーストラリア、マレーシアなど13か国は、IAEAの監視体制や日本の情報公開の取り組みを評価した。
   29日には、日米韓など8か国が共同提出した北朝鮮の核開発を非難する決議が全会一致で採択された。総会ではラファエル・グロッシ事務局長の再任も正式に認められた。2期目の任期は12月から4年間。


2023.09.27-Yahoo!Japanニュース(産経新聞)-https://news.yahoo.co.jp/articles/ffe5e52a0e4d2f718a4ad0ac2856fb535a7eec9b
対馬市長、最終処分場の調査受け入れ拒否へ 市民の分断回避か
(牛島要平)

  原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(「核のごみ」)の最終処分場の選定を巡り長崎県対馬市の比田勝尚喜(ひたかつ・なおき)市長が27日午前10時から開かれる予定の市議会本会議で、処分場選定に必要な「文献調査」の受け入れを拒否することが同日、分かった。1次産業や観光業に対して風評被害をもたらす懸念が強く、市民の分断が深まるのを避けたとみられる。

  比田勝氏が周囲に伝えた。午後に記者会見を開き、判断の詳しい理由を説明する予定。 「核のごみ」とも呼ばれる高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定を巡っては、原子力発電環境整備機構(NUMO)が平成14年に調査受け入れの公募を開始した
  文献調査は3段階ある処分場設置に必要な調査の第1段階。北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村で令和2年11月から行われている。
  調査の上、国は最終処分場を1カ所に選定することを想定している。 対馬市では建設業団体が今年6月、調査受け入れを求める請願を市議会に提出。市議会は9月12日の本会議で同請願と、最終処分場について議論を求める市商工会の請願を賛成多数で採択する一方、市民団体や漁業協同組合が提出した反対の請願6件を賛成少数で不採択としていた。(牛島要平)


2023.09.27-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230927-PXYKY3NUEFPTRBD73T6QUQTSZI/
中国の新潟総領事、日本の魚に思わず「おいしい」…本国が釈明

  中国外務省の汪文斌副報道局長は27日の記者会見で、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出後に中国が禁輸した日本産水産物の対象に含まれる新潟の魚を「大変おいしかった」と評した崔為磊・駐新潟総領事による26日の着任記者会見での発言に関して釈明した。

  汪氏は会見を伝えた記事に「都合よく発言を切り取られた」と述べた。「おいしかった」との発言があったことは否定しなかった。「日本が核汚染のリスクを世界に押し付けることに中国は一貫して反対する」と改めて表明した。(共同)


2023.09.24-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230924/k10014204801000.html
処理水放出1か月 中国の日本産水産物の輸入停止 影響広がる

  東京電力福島第一原発にたまる処理水の海への放出が始まってから、24日で1か月となります。放出に反対する中国政府は、日本産の水産物の輸入を全面的に停止していて、日本からの輸入が大幅に減るなど影響が広がっています。

  中国政府は、福島第一原発にたまる処理水の放出に反対し、処理水を「核汚染水」と呼んで「直ちに放出をやめ、近隣諸国を含むすべての利害関係者と十分に意思疎通を図るべきだ」などと主張しています。中国では処理水の放出計画を受けて、7月以降、各地の税関当局が輸入規制を強化したほか、放出が始まった先月24日からは日本産の水産物の輸入を全面的に停止しました。
  その結果、先月の日本からの水産物の輸入額は、日本円でおよそ30億円となり、去年の同じ月と比べて67%余り減少するなど、影響が広がっています。
  処理水の放出直後には、北京にある日本大使館にレンガの破片が投げ込まれるなどしたため、中国国内でのデモが警戒されましたが、これまでのところ大きな抗議活動は伝えられていません。また国営メディアによる放出に反対するキャンペーン報道も放出から1か月がたち、次第に減ってきています。
  ただ日本政府関係者によりますと、北京にある日本大使館には、依然として1日に5000件から2万件程度、嫌がらせの電話がかかってきているということで、日本政府は中国側に対応を求めています。
中国の日本料理店でも影響続く
  中国が日本産の水産物の輸入を全面的に停止する中、現地にある日本料理店では、日本の水産物が仕入れられなくなり売り上げが大きく減るなどの影響が続いています。このうち、上海中心部にある、谷口義忠さんがオーナーシェフを務める日本料理店では、中国政府が日本産の水産物などの検査を厳しくする方針を示した7月上旬以降、日本からの水産物を全く仕入れられない状態が続いています。
  谷口さんは、日本から仕入れていた魚を、中国国内などで水揚げされた魚に代えましたが、日本産の魚とは品質や鮮度が違うため、調理方法を工夫するなどの対応を余儀なくされました。しかし処理水の海洋放出が始まった先月24日以降は、中国人の客は以前に比べて8割ほど減り、全体の売り上げも3割ほど落ちているということで厳しい経営が続いているといいます。谷口さんは、日本からの水産物の輸入再開にめどがたたないなか、日本料理でも使える品質や鮮度の水産物を自分の目で見つけようと、今月からは国内の海鮮市場を回り始めています。
  今月中旬には、沿海部・山東省煙台にある海鮮市場を訪れ、市場に並ぶ水産物の種類や鮮度などを確認し、刺身で食べられるカワハギやウニ、それに、イイダコなどを仕入れていました。谷口さんは、店に戻り、仕入れたイイダコを下ごしらえしてからゆで、酢みそをかけて提供していました。谷口さんは「日本人の料理人としてひと手間かけて日本料理を提供しています。厳しい状況は長く続くかもしれませんが経費も削減しながら今、手に入るもので、勝負するしかありません。下を向かずに納得できる料理を出していきたい」と話していました。
中国国内の水産物も消費落ち込みか
  中国では国内で水揚げされる水産物の消費も落ち込んでいるとみられ、現地の関係者から懸念の声が上がっています。このうち、中国国内有数の水揚げ量を誇る山東省にある海鮮市場を、今月中旬に訪れると、魚やさまざまな種類の貝などの水産物が並び、貝の殻をむく作業をしたり、買い付けに訪れたりする人の姿が見られました。
  水産物を販売する男性は「日本の『核汚染水』の影響が大きく、売れ行きはあまりよくないです」と話し、貝を販売する女性も「『核汚染水』が出ているのに、どうやったら、商売できると思いますか」と話していました。またカニなどを販売する女性は「日本が、放出している水をちゃんと処理しているのか知りませんが、しっかり対応するよう希望しています」と話していました。
  また国民の間にも中国で水揚げされる水産物への警戒感が広がっていて経済都市・上海では、海鮮を食べるのは避けているという声が聞かれました。
  このうち70代の女性は「以前は海鮮を食べることが、一番好きでしたが、『核汚染水』の体への影響を心配して、今は食べていません」と話したほか20代の女性も「上海で水揚げされた海鮮は、日本に近いので食べないようにしています」と話していました。また30代の男性は「みんな『核汚染』という言葉を敏感に捉えています。実際にどんな影響があるのか本当のところよくわかっていませんが国が『確実に影響がある』としている以上、影響はあるだろうから、できるだけ食べないようにしています」と話していました。


2023.09.21-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230921-L3SOY4RG4JISJLJIDN5LIQIKLE/
中国、処理水放出巡りIAEAに「公正な態度を」

  【北京=三塚聖平】中国外務省は21日、馬朝旭(ば・ちょうきょく)外務次官が国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長と20日に米ニューヨークで会談したと発表した。馬氏は、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に関し、IAEAに「客観、公正、科学的な態度を堅持し、自らの責任に従って対処すべきだ」と求めた。

  馬氏は、日本政府が「中国を含む隣国や日本の民衆の反対の声を無視」して海洋放出を進めたと非難し、日本に対する「断固とした反対」を改めて表明。IAEAに対し「中国を含む国際社会の正当で合理的な懸念に実際の行動で応えるべきだ」と要求した。
  中国側の発表によると、グロッシ氏は「IAEAは中国の関連する立場と懸念を高度に重視している」と表明。その上で、IAEAとして「中立、客観的な立場」から処理水の対応に関わり、「中国側と密接な意思疎通と協力を維持する」との考えを示したという。
  中国は、処理水を「核汚染水」と呼んで海洋放出に反発し続けている。IAEAが7月に公表した処理水の海洋放出計画を「国際基準に合致する」とした包括報告書についても、中国外務省は報道官談話で「遺憾」を表明。報告書は全ての専門家の意見が反映できていないと主張している。


2023.09.15-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230915/k10014196781000.html
高浜原発2号機が再稼働 現制度で40年超えて再稼働は3例目 福井

  運転開始から40年を超えた福井県にある関西電力の高浜原子力発電所2号機は、およそ12年間運転を停止していましたが、15日午後、原子炉を起動して再稼働しました。原則40年に制限されている運転期間を超えて再稼働するのは全国で3例目です。

  福井県高浜町にある関西電力の高浜原発2号機は、運転開始から47年が経過していて、国内で廃炉になっていない原発の中で、ことし7月に再稼働した高浜原発1号機に次いで古い原発です。
  2011年11月から運転を停止していて、おととし4月、県が再稼働に同意しましたが、必要なテロ対策施設が未完成だったことなどから再稼働できていませんでした。
  この施設が先月完成し、国の検査などが終わったことから、15日に再稼働することになり、午後3時、中央制御室で関西電力の運転員がパネルを操作して核分裂反応を抑える制御棒を引き抜いて、原子炉を起動しました。
  東京電力福島第一原発の事故のあと原則40年に制限されている運転期間を超えて再稼働するのは、同じく福井県にある美浜原発3号機、高浜原発1号機に次いで、国内では3例目となります。
  関西電力によりますと、作業が順調に進めば16日朝には、原子炉で核分裂反応が連続する臨界状態に達し、今月20日には発電と送電を開始する見通しだということです。
関西電力社長「安全性最優先に緊張感持ち作業」
  関西電力の高浜原子力発電所2号機が再稼働したことについて、森望社長は、15日の記者会見で「東日本大震災後の新規制基準のもと、廃止を決定したプラントを除く当社のすべての原発が再稼働することになった。立地地域をはじめ、関係者の理解と協力に感謝するとともに、安全性を最優先に緊張感を持って作業を進めていく」と述べました。
  そのうえで、再稼働を受けた電気料金の見直しについては「われわれの置かれている燃料収支の動向といった経営環境など、総合的に分析をしたうえで慎重に判断していきたい」と述べ、慎重に検討していく考えを示しました。
国内の33基の原発 新基準合格で再稼働は12基
  現在、国内には33基の原子力発電所があり、このうち、原発事故のあと新しい規制基準の審査に合格して再稼働したのは、高浜原発2号機を加えて全国で12基となりました。全国ではこれまでに、
   九州電力が、鹿児島県にある川内原発1号機と2号機、佐賀県にある玄海原発3号機と4号機を、
   四国電力が、愛媛県にある伊方原発3号機を、
   関西電力が福井県にある高浜原発1号機から4号機、大飯原発3号機と4号機、美浜原発3号機を再稼働させています。
  再稼働したのは、いずれも西日本の電力会社の原発で、これまでのところ東日本で再稼働した原発はありません。
  政府は、脱炭素社会の実現やエネルギーの安定供給に向けて、原子力を最大限活用していく方針で、規制委員会の審査に合格した原発の再稼働を加速させるとしています。
制委員会の審査に合格して再稼働していない原発は5基あり、このうち、
   東北電力が、宮城県にある女川原発2号機を来年2月に、
   中国電力が、島根県にある島根原発2号機を来年8月に、それぞれ再稼働させる計画です。
  一方、茨城県にある、日本原子力発電の東海第二原発は、周辺自治体の避難計画の策定が終わっていないことなどから再稼働の時期が見通せていないほか、新潟県にある、東京電力の柏崎刈羽原発6号機と7号機はおととしテロ対策上の重大な不備が相次いで明らかになり、規制委員会から事実上の運転禁止命令が出され関連する検査が続いていて、再稼働の見通しは立っていません。


2023.09.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230915-BB6MH2ISOZPPFFFCSRRYFRS7TU/
<独自>原爆忌の大音量集会、反戦反核団体へ過料検討 負傷者発生「黙認」から転換
(倉持亮)

  広島原爆忌(8月6日)に反戦・反核団体が平和記念公園(広島市中区)で行った集会で負傷者が出たことを受け、広島市は、市公園条例が禁じる「迷惑行為」として団体側に過料を科す方向で検討を始めたことが分かった。団体は毎年行う集会で同条例に基づく許可申請をしておらず、これについても対応を見直す方針。松井一実市長が産経新聞の取材に文書で回答した。

  団体が集会の申請をしていないことを巡っては、市が「集会はデモ行進前の集合」と解釈し事実上黙認してきた。だが松井市長は、今回の負傷者の発生を受けて方針を転換し「(団体側に)結果責任を問う。こうした団体が原爆ドーム前に集まることがないよう適正に判断していきたい」と強調。集会の申請についても来年以降は団体側に求め、条件付きにするなどの規制も視野に入れた対応を担当課に指示した。
  市関係者によると、反戦・反核団体は「8・6ヒロシマ大行動実行委員会(大行動)」で、過激派として知られる「中核派」のメンバーらが含まれている毎年8月6日、同公園の原爆ドーム前で数百人が集まる集会を開催し、拡声器を使って演説。集会後は太鼓などを打ち鳴らしてデモ行進を行っている。
  集会は平和記念式典の会場近くで行われ、演説の音量が大きくなることもあるため参列者らが「慰霊の日にふさわしくない」と批判。「静かな8月6日を願う広島市民の会(市民の会)」を中心に抗議を繰り返してきた。
  こうした中で今年は、大行動がスクラムを組んで、警備の市職員をおしのけ規制線を破って入園しようとした際、市民の会側の男女2人が足の打撲や首の捻挫などのけがをした。2人は広島県警に相談し、県警が状況を調べている。
  市公園条例は4条で集会の場所や目的、期間、内容を記した申請書を市長あてに提出し、許可を得るよう規定。5条では「公園の利用者に迷惑を及ぼすような行為」を禁じている上、19条では違反者に5万円以下の過料を科すとしている。
  市が公園条例で過料を検討するのは初めてとなるため、対象や金額、弁明の機会をどのような形で設けるかなどを今後精査する。
  松井市長は「第4条の適正な運用も含め、県警とも連携しながら検討する」と回答。市緑政課の担当者は、大行動側から許可申請が出た場合「式典中は集会を中断するといった条件付きで許可を出すことなどを検討している。これは公園管理者に認められた権限であり可能ではないか」としている。
  大行動の集会への批判を受けて、市は令和3年6月に「式典を厳粛の中で行う」と規定した市平和推進基本条例を施行したが、罰則がないことから有名無実化している。
  福岡県警本部長や警察大学校長などを歴任した京都産業大の田村正博教授(社会安全政策)は「原爆ドーム前という限られた空間で、複数の団体が同じ時間に集まるため衝突が起きる。負傷者が出た以上、条件付きの許可は再発防止の選択肢として適切だろう」と話した。(倉持亮)


2023.09.15-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230915-5H37YXKIXJIPFPLQ26Y7Y3FNZY/
<独自>米、日本産ホタテに中国以外の加工施設仲介
(岡田美月)

  中国が東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を受けて日本産海産物の輸入を全面停止したことを巡り、在日米国大使館が日本の漁業者の独自支援に乗り出したことが分かった。輸出額が多い日本産ホタテの大半が中国で加工処理後に米国へ再輸出されることを踏まえ、米食品医薬品局(FDA)の登録を受けた台湾、タイ、ベトナムの加工施設への輸出を仲介し、ここから米に再輸出するルートを構築する。

  もともと、日本産のホタテは中国の施設で殻むきなどの加工をした後、米に再び輸出されるケースが多かった。米国が昨年1年間で、中国経由で輸入した日本産ホタテは1億ドル(約147億円)超にのぼる。今回、中国の全面禁輸措置に伴ってこのルートが使えなくなり、日本の漁業者の収入減が懸念されていた。
  今回、米が斡旋する施設では、中国と同様にホタテの加工ができるという。さらに、対米輸出向けの食品加工を行う際に必要となるFDAの登録を受けていることから、一連の輸出手続きもスムーズとなる。
  米大使館では、担当者が東北や北海道などを訪れ、漁協関係者らに3カ国・地域の施設を紹介している。米側には、不当な禁輸措置に対抗する日米の結束を示すとともに、中国経由で輸入する日本産海産物への影響を最小限に抑える狙いがある。
  「日本産海産物の全面禁輸という中国の行き過ぎた政治決断とは対照的に、米国は日本とともに立ち向かう」。エマニュエル駐日米大使は8月末に福島県相馬市を訪れ、日本を支持する声明も発表した。
  日米で重要物資のサプライチェーン(供給網)の強靱化を含む経済安全保障への対策が進む中、今回の禁輸措置は、供給網の脆弱性をあぶり出す機会となった。米政府はホタテを含む日本産海産物の大部分に関税をかけておらず、今後も日米間で海産物の流通の安定化を図りたい考えだ。
(岡田美月)


2023.09.15-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230915-TAKTJFETLBIS5O3PMQ6DBTKPHY/
国連人権理で処理水放出を批判 中国と北朝鮮「核汚染水」

  国連人権理事会で14日、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出について、中国と北朝鮮が「日本は核汚染水を一方的に太平洋に放出した」と批判した。日本は、国際原子力機関(IAEA)も処理水の海洋放出は問題ないと結論付けていると反論した。

  人権理が任命した「安全な飲用水と衛生を巡る人権」担当の特別報告者との会合で、在ジュネーブ中国代表部の陳旭大使は「特別報告者はこの問題への関心を高め、日本に対し海洋への放出中止を要求するよう求める」と発言。北朝鮮も中国と同様の主張をした上で「日本は国際社会を欺いている」と非難した。
  これに対し日本は、福島第1原発から1年間に放出される処理水の放射性物質トリチウムの量は、中国の秦山原発から排出されている量の10分の1に過ぎないなどと指摘。海洋放出開始後にIAEAが福島第1原発近くの海水を分析した結果でもトリチウムが制限値未満だったとし、科学的根拠に基づいて国際社会への説明を続けていくとした。(共同)


2023.09.11-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230911/k10014191801000.html
処理水 1回目の放出“計画どおり完了” 7800トン 東京電力

  東京電力は、先月24日に開始した、福島第一原子力発電所の処理水の海への放出について、1回目の放出が11日正午すぎに完了したと発表しました。作業の中断などトラブルはなく、タンク10基分7800トンを計画どおり放出したということで、今後、3週間程度かけて設備の点検などを行い、準備が整いしだい2回目の放出を始めることにしています。

  福島第一原発では、汚染水を処理したあとに残るトリチウムなどの放射性物質を含む処理水が、1000基余りのタンクに保管されていて、東京電力は先月24日から、政府の方針に従い、基準を下回る濃度に薄めて海への放出を始めました。
  放出は、一日当たりおよそ460トンの処理水に大量の海水を加えて行い、東京電力は、11日午後0時15分、1回目の放出を完了したと発表しました。設備の故障による中断などトラブルはなく、タンク10基に入っていた7800トンを計画どおり放出したということです。
  また、原発から3キロ以内の海域で毎日行っている10か所での海水のトリチウム濃度の分析では、これまでに検出された最大の値が1リットル当たり10ベクレルと、東京電力が放出の停止を判断するレベルの700ベクレルを大幅に下回っています。
  東京電力は、今後、3週間程度かけて設備の点検などを行い、準備が整いしだい2回目の放出を始めることにしていて、今年度は合わせて4回でタンク40基分の3万1200トンを放出する計画です。
松野官房長官「安全に進められるよう注視」
  松野官房長官は午後の記者会見で「これまでのモニタリングの結果なども踏まえ、計画どおり放出できており、安全に進められていると認識している。次回の放出時期については、現場での点検などを行った上で 今後、東京電力から示されると聞いているが、引き続き安全に進められるよう注視していきたい」と述べました。


2023.09.05-読売新聞-https:/ /www.yomiuri.co.jp/politics/20230905-OYT1T50135/
処理水放出で政府が反論書「トリチウム量は中国原発の10分の1」

  岸田首相は、東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を巡り、6日に始まる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議などの場で積極的に安全性を訴える方針だ。

  首相は5日、会議が開かれるインドネシアへの出発前、「透明性を持ち、国際原子力機関(IAEA)と協力しながら取り組んでいる我が国の取り組みについて、理解や協力が得られるよう説明を尽くす」と首相官邸で記者団に強調した。
  ASEAN関連首脳会議と、インドでの主要20か国・地域首脳会議(G20サミット)には、中国の 李強 首相が出席する見通しだ。岸田首相は一連の会議で李氏から科学的根拠に基づかない主張があれば、反論する。個別の会談なども呼びかけ、李氏に直接、日本産水産物の輸入停止措置の即時撤廃を働きかける考えだ。
  日本政府は4日には、世界貿易機関(WTO)に対し、輸入停止措置の撤廃を求める反論書を提出した
  反論書では、IAEAの継続的な関与のもとで、「モニタリング(監視)を重層的に実施している」と説明。海水の放射性物質トリチウム(三重水素)濃度は、計画の放出基準(1リットル当たり1500ベクレル未満)より大幅に低く、「現在までに問題が発生していない」と明記した。
  処理水に含まれる年間のトリチウム量は、中国の秦山原発の約10分の1だとも例示し、中国の措置は「科学的原則に基づくものとはみなせない」と厳しく批判した。


2023.08.11-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230811-LHWTPY63ENMRZICQ2O5B7X4XCU/
ザポロジエ原発で水漏れ 放射性物質の外部放出なし

  国際原子力機関(IAEA)は10日、ロシアが占拠するウクライナ南部のザポロジエ原発4号機の原子炉格納容器内にある蒸気発生器から水漏れを検出したと明らかにした。外部への放射性物質の放出はないとしている。

  ザポロジエ原発は6基の原子炉を備えている。原発を安全に保つために必要な水蒸気をつくる目的で、4号機は「高温停止」状態にしていたが、水漏れを受けて冷温停止させる。代わりに6号機を高温停止させる方針といい、IAEAは注意深く監視するとしている。(共同)


2023.08.08-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230808-Y6UQ6FC3ZFLULOXUH37Q5D46IM/
中国原発、処理水上限超え トリチウム、7割の地点で 公式資料で判明

  中国の原発から2021年に放出された排水に含まれる放射性物質トリチウムの量が計17カ所の観測地点のうち、7割を上回る13カ所で東京電力福島第1原発処理水の年間放出予定量の上限を超えていたことが8日、中国の公式資料で分かった。福島第1の処理水の最大10倍相当を排出した原発もあった。

  福島第1の処理水は溶け落ちた炉心に触れており、中国は危険だと大々的に宣伝。7月ごろから日本の水産物に対する全面的な放射性物質検査を始め、事実上の輸入規制を課す対抗措置を開始した。日本は中国の原発から出る放射性物質の状況を把握しているが通関検査の強化などは行っておらず、中国の対応の不合理さが改めて鮮明になった。
  中国の原発の運転状況や管理体制をまとめた原子力専門書「中国核能年鑑」によると、浙江省の秦山原発は21年に218兆ベクレルと、処理水の海洋放出計画が設ける年間上限「22兆ベクレル」の約10倍に当たるトリチウムを放出していた。(共同)


2023.07.18-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230718-3CTCYVBNBNJVTP6BGPKWPR3UNY/
首相、処理水で中国牽制 対北朝鮮、日米韓連携
(ドーハ 共同)

  岸田文雄首相は18日(日本時間同)、訪問先のカタールで開いた内外記者会見で、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を巡り日本批判を強める中国を牽制した。「科学的根拠に基づいた議論を行うよう強く求めていく」と述べた。弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮への対応に関し、日米、日米韓で緊密に連携し、国際社会と協力して対応すると強調した。

  処理水放出に関し、国際原子力機関(IAEA)の包括報告書で国際基準に合致しているとの結論が示されたと指摘。透明性を持って国際社会に丁寧に説明する考えを強調した。中国の習近平国家主席との首脳会談に意欲を示し「建設的、安定的な関係に向けて意見交換の場をつくっていきたい」と語った。
  9月のインドネシアでの東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議、インドでの20カ国・地域(G20)首脳会議に触れ「日本外交の取り組みを着実に進め、国際社会の安定と繁栄につなげる」と言明した。
(ドーハ 共同)


2023.07.14-東京新聞(KYODO)-https://www.tokyo-np.co.jp/article/263219?rct=politics
日中、原発処理水放出で応酬 「科学的視点」「独断専行」

  【ジャカルタ共同】林芳正外相は14日、訪問先のインドネシアで、中国外交担当トップの王毅共産党政治局員と会談した。王氏は東電福島第1原発の処理水海洋放出を巡り「核汚染水の海洋放出は人類の命と健康に関わる」と主張し「独断専行してはならない」とけん制。林氏は「中国とも科学的観点から意思疎通をする用意がある」と反論し、応酬を繰り広げた。首脳レベルを含め日中間で対話を継続する重要性では一致した。

  日本側は処理水放出に関し、IAEAの包括報告書や国際基準にのっとり実施する方針。王氏は「各国の懸念や専門家の異なる意見を直視し、各種の対処方法を科学的に検討すべきだ」と要求した。
   林氏は日本周辺での中国の軍事活動活発化に重大な懸念を表明。王氏は「日本は中国を最大の戦略的挑戦と位置付け、中国の『脅威』を誇張している」と反発した。
   林氏は青少年交流に加え、地方、議会、経済の各分野の交流を推進したいと述べ、王氏は賛意を表明。「中国は各レベルでの接触継続や経済往来、文化交流に対してオープンだ」と強調した。


2023.07.13-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230713-X3YSS24CE5LWNGVAAIPBPDEUGE/
EU、日本食品規制撤廃 原発事故後の10県産

  欧州連合(EU)は13日、東京電力福島第1原発事故後に日本産食品に課してきた輸入規制の撤廃を発表した。福島県など10県の一部食品を対象に義務付けてきた放射性物質の検査証明書を不要とする。EUの撤廃により規制を維持するのは中国や韓国など11カ国・地域まで縮小する。

  日本とEUがベルギーで13日に開いた定期首脳協議の共同声明に明記した。岸田文雄首相は共同記者会見で「被災地の復興を大きく後押しするもので、高く評価し歓迎する」と述べた。
  EUが規制対象としているのは岩手、宮城、山形、福島、茨城、群馬、新潟、山梨、長野、静岡の10県。規制品目を段階的に縮小してきており、現在は福島県の一部の水産物や野生のキノコ類、宮城県の一部の山菜類などに検査証明書を求めている。


2023.07.09-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230709-WN7VJHKD4VN7XA2CL7W7NJJS4Y/
韓国野党が処理水報告書でIAEA事務局長を非難

  【ソウル=桜井紀雄】国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は9日、ソウルの国会で、最大野党「共に民主党」の議員らと面談し、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出計画について「国際的な安全基準に合致する」と結論付けた包括報告書に関して説明した。同党議員は「最初から中立性や客観性を失い、日本側に偏って検証を行った」とIAEAの報告書を激しく非難した。

  日本との関係を重視する尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、IAEAの報告書を「尊重」するとし、7日には、処理水放出が韓国海域に及ぼす影響はほとんどないとする独自の検証結果を発表した。一方で、共に民主党は「核汚染水の海洋投棄」だなどとして、尹政権や日本を非難するキャンペーンを連日繰り広げている。
  グロッシ氏は同党との面談で、処理水放出について「われわれが導き出した結論は国際安全基準に合致する方式だという点を改めて申し上げる」と言及。計画通りの放出が行われるよう福島にIAEAの現地事務所を開設して監視を続ける方針も説明した。
  これに対し、共に民主党議員は「IAEAの立場は一貫して汚染水の海洋放出支持だった」と指摘。「周辺国への影響をきちんと調査せず、あらかじめ結論を決めた検証で、日本に合わせた調査」だったとし、「非常に遺憾に思う」と述べた
  国会の外では、処理水放出やIAEAの報告書に反対するデモが行われ、面談会場にまでデモ隊の叫び声が響き渡った。グロッシ氏が7日夜に韓国に到着した際も大勢のデモ隊が空港に押しかけ、警察ともみ合いになるなど一時、騒然となった。


2023.07.09-産経新聞(KYODO)-https://www.sankei.com/article/20230709-WLAHE456OZI5NBHGEDE5OVCMRA/
日韓首脳、リトアニアで会談へ 処理水について協議

  韓国大統領府は9日、リトアニアで11~12日に開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に合わせ、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と岸田文雄首相が首脳会談を行うと発表した。大統領府関係者によると、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出計画について協議。韓国側は「国民の健康と安全を最優先する」との立場を伝えるという。

  韓国政府は7日、処理水放出計画の安全性に関する独自の検証結果を公表した。処理水に含まれる放射性物質の濃度が「国際基準に合致することを確認した」として、放出容認の立場を表明している。(共同)


2023.07.04-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230704-RYVLIGEL3RM7HGD5JU764XXLRY/
福島第1処理水の海洋放出、IAEA「国際的安全基準に合致」と報告

  岸田文雄首相は4日、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長と官邸で面会し、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出計画への評価を盛り込んだ包括報告書を受け取った。IAEAは報告書で、放出は「国際的な安全基準に合致する」と結論付けた。政府は、科学的な安全性の裏付けとなる報告書の内容を国内外に発信するとともに、「夏頃」とする放出開始時期の検討に入る。

  首相はグロッシ氏との面会で、「日本や世界の人々の健康や環境に悪影響のある放出を認めることはない。科学的根拠に基づき、高い透明性を持って国内外に丁寧に説明していきたい」と述べた。
  IAEAが4日発表した報告書は「包括的な評価に基づき、東電や日本政府による活動は国際的な安全基準に合致する」として、放出計画に問題はないとした。また、海洋放出が人や環境に与える放射線の影響について、「処理水の性質を考慮すれば、無視できるものと判断した」と説明した。
  放出開始後もIAEAが「日本に関与する」と明記し、「安全評価やモニタリングを継続し、国際社会に透明性と安心を提供していく」と強調した。報告書は、調査団が複数回の現地調査を経て、2年近くかけてまとめた。
  グロッシ氏は4日、都内で記者会見し、東電が実施する放射性物質の測定について、「サンプルの採取手順や分析方法も的確で信頼できる」と評価した。
  放出計画では、放射性物質トリチウムの濃度が国の規制基準(1リットル当たり6万ベクレル)の40分の1未満になるよう海水で薄め、海底トンネルを通して原発の沖約1キロで放出する。


2023.06.13-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230612-BWBVYP44LNOY7B7WQ4V7IUOUYQ/
関西電力、使用済みMOX燃料「県外搬出」の奇策
(牛島要平)

  国と電気事業連合会が目指す原子力発電所の使用済みプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の再処理に向けた実証実験で、関西電力が福井県内の原発の使用済み核燃料を2020年代後半にフランスへ搬出することになった。関電は、使用済み核燃料の中間貯蔵施設を今年末までに県外選定する約束を守れなかった場合の原発停止を免れるとの認識だ。ただ、核燃料を継続的に搬出できるかは不透明で、「ウルトラC」ともいえる解決策に地元の理解が得られるか疑問はぬぐえない

  使用済み燃料を処理して再利用する「核燃料サイクル」は国の原子力政策の柱。21年10月に閣議決定した第6次エネルギー基本計画は、使用済みMOX燃料の処理・処分について「30年代後半の技術確立をめどに研究開発に取り組む」とした。
  一方で、中間貯蔵施設の選定問題は関電に黒雲のようにのしかかってきた。これまでも、青森県むつ市の他社施設を共同利用する案が浮上したものの、むつ市の猛反発を受けた経緯もある。今回、電事連の実証実験で使用済みMOX燃料を搬出する役割を担うことで、意外なところに打開の糸口を見出したといえる。
  ただ、懸念がすぐに解消するわけではない。電事連の計画では、使用済みMOX燃料は仏オラノ社の工場で30年代初頭に再処理の実証実験を行うが、世界最先端の技術で、現時点でオラノ社も使用済みMOX燃料の再処理を実用化するに至っていない状態だ。
  また、関電は廃炉を決めた原発を除く原発7基で、年約130トンの使用済み核燃料が発生し、敷地内のプールで貯蔵しているという。約5~7年で満杯になる計算で、関電の計画では「30年ごろに使用済み核燃料の中間貯蔵を2千トン規模で操業開始」としている。森望社長は福井県の杉本達治知事との面談で「今回の搬出だけでは不十分。あらゆる可能性を追求する」とも述べた。
  長期的に燃料を搬出する絵はまだ描けていない。県側の理解を得るために、関電には引き続き具体的な方策を示す取り組みが求められる。(牛島要平)


2023.05.31-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230531-33IKGGINVZPH3PHQJKLTHIWYWE/
GX法成立、原発「最大60年超」運転可能に

  60年を超える原子力発電所の運転延長を可能にする「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」が31日の参院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。

  同法は、電気事業法や原子炉等規制法(炉規法)、原子力基本法など5本をまとめた束ねたもので、原発の運転期間を「原則40年、最長60年」とする現行ルールの大枠は維持している。一方で、原子力規制委員会の安全審査や裁判所の仮処分命令などで停止した期間は算入せず、実質的に60年超の運転を可能にした


2023.05.24-社団法人 環境金融研究機構-https://rief-jp.org/ct13/135760
浮体式原発開発プロジェクトを推進する英スタートアップ企業に、今治造船、尾道造船等の日本企業13社が合計8000万㌦(約100億円)出資。日本にも導入目指す(RIEF)

  英海洋・原発開発のスタートアップ企業のコアパワー(CORE POWER :  ロンドン)は22日、同社が開発する浮体式原子力発電開発プロジェクトに、日本の今治造船や尾道造船等の13社が参加すると発表した。日本企業は全体で約8000万㌦(約100億円)の第三者割当を引き受けて出資した。同社が開発する浮体式原発では、加熱した塩にウランを溶け込ませて核分裂による熱エネルギーを得る「溶融塩高速炉(MCFR)」を採用するとしており、小型化と安全性が高いとしている。早ければ2026年にデモンストレーション用の躯体を開発し、30〜32年には商業化を目指すとしている。

  コアパワー社は2018年設立の海運コンサル等を軸とするスタートアップ企業。CEOのMikal Bøe氏は海運ビジネスで30年の経験を持つ。メンバーの多くが海運事業や海運エンジニアリングの専門家と、大学院卒等の若いエンジニア等が中心。
  同社は溶融塩原子炉(MSR)を先端原子炉として位置付けている。溶融塩炉は、塩を400度以上加熱して液体にし、そこに低濃度ウラン(あるいはトリウム)を溶け込ませ、溶け込んだウランが核分裂して発生する熱エネルギーを得てタービンを回す仕組みだ溶融塩は燃料であるだけでなく冷却剤でもあるため、熱くなると反応速度が落ちることから、異常発熱等が生じた場合でもメルトダウンを避けられるとされる

  日本経済新聞の報道では、同社が開発する浮体式原発について、溶融塩高速炉(MCFR)としている。MSRは1964~69年に米国で実験炉が開発されたが、実用化には至っていない。英国やフランス、カナダ等では引き続き開発計画が進行している。一方のMCFRは、ビルゲイツ氏が主導するテラパワー等が2016年に設計したとされる。だが、詳細は未発表となっている。
  同報道では、コアパワーは、テラパワーや電力・ガス事業の米サザン・カンパニー、核燃料サイクルの仏オラノの4社で共同してMCFRでの浮体式原発を開発中としている。そうだとすると、今回の日本企業の出資は、これら4社の開発計画を資金面から支援する形になる。またコアパワー社は、日本の造船会社等の海洋技術を浮体式原発の建設に活用したいとしている
  2026年をメドとするデモンストレーション用の躯体は日本円で約500億円の建造費を見込んでいるという。順調に開発が進むと、2030~32年の間に商業化設備を投入する計画を立てている。同社では開発した浮体式原発について、まず海外での展開を試みたうえで、日本市場への導入も検討する考えとしている。

  同社では、MCR ないしMCFRの技術特性から、原子炉のメルトダウンが起きにくいというメリットに加えて、浮体式にすることで、東京電力福島第一原発が被災したような地震の影響を受けにくい点、建設費が陸上の原発に比べほぼ半分で済むほか、建設期間も70%短縮できる点をアピールしている。
  ただ、MCRないしMCFRについては溶媒である塩の腐食性が高く、圧力容器や配管の腐食による脆化の対策が、既存の軽水炉等に比べて困難との指摘がある。地震対策や津波対策についても、「沖合に設置すれば耐えやすい」とするが、その耐久性は、地震、津波の規模による。仮に操業中に津波が発生したり、洋上の発電所から使用済み廃棄物を搬出中に地震が起きる場合等の海洋汚染リスクは甚大になる
  陸上に比べて、立地がし易いとする点も議論が必要だ。海洋の場合でも、沿岸部の自治体や住民等からの反対は容易に予想される。漁業権との調整も簡単ではない。東電福島事故の影響で、中国、韓国等を含めた近隣海域の国々が放射能汚染リスクに強く反応したのは、海洋汚染への懸念からだった
  福島事故を起こし、壊れたままの原子炉の処理の見通しがいまだに立っておらず、政府による汚染水海洋放水計画が内外の注目を集め続ける中で、「浮体式原子炉」を日本の海洋に展開するという計画に、内外から拍手が起きるのか、不協和音が高まるのか。普通に考えると、どちらかはすぐにわかると思われるが


2023.05.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230502-CAPNGAGFDNLGPMEOBDOHTOERHA/
<特報>日仏、高速炉開発で協力 共同声明の全容判明

  日本とフランスの両政府が最終調整している原子力エネルギー分野における協力に関する共同声明の全容が2日、分かった。欧州を歴訪中の西村康稔経済産業相が3日、パリでパニエリュナシェ仏エネルギー移行相と会談し、署名する。次世代革新炉のうち発電時に生じる放射性廃棄物の量が減少する「高速炉」の研究開発に向けた協力強化などが柱となる。

  西村氏は会談で、日本政府が脱炭素に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)関連で高速炉実証炉開発事業に令和5年度から3年間で460億円(3億ユーロ相当)を充てることを伝える。
  共同声明には日仏両国の行動計画として、高速炉など次世代革新炉の研究開発協力、原子炉の長期運転に向けた協力、部品や核燃料を含む原子力サプライチェーン(供給網)の構築、原子力技術や人材の維持・強化が盛り込まれる方向だ。
  高速炉は使用済み核燃料を処理して再利用する「核燃料サイクル」で主要な役割を担うとして期待がかかっている。高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)の廃炉が決まり壁にぶつかっているが、政府は昨年12月、高速炉開発の「戦略ロードマップ」を改訂し、2028(令和10)年ごろに技術を実証し経済性の見通しを得るための「実証炉」の概念設計をまとめるとした。2040年代半ばごろの運転開始を見込んでいる。
  フランスや米国で研究開発が進んでおり、資金調達での協力や知見の共有、日本の計画に助言を求めることも想定されている。

  ロシアによるウクライナ侵略に伴うエネルギー危機を踏まえ、岸田文雄首相は安定供給と脱炭素の両立に向けて原子力を最大限活用するとしており、日仏両国の協力強化は強い後押しとなりそうだ。


2023.05.01-NHK NEWS WEB (福島NEWS WEB)-https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20230501/6050022545.html
飯舘村 帰還困難区域の一部 避難指示が解除

  東京電力福島第一原子力発電所の事故影響で避難指示が出された福島県飯舘村の帰還困難区域のうち、一部の避難指示が1日、解除されました。
  これで原発周辺の6つの町と村に設定された「特定復興再生拠点区域」で、住民が居住できる地域に出されていた避難指示はすべて解除されました。

  飯舘村は、原発事故の影響で一時、全域に避難指示が出され、南部の長泥地区は、事故から12年たっても立ち入りを厳しく制限される帰還困難区域に指定されてきました。
  この地区のうち、およそ17%が国や村が先行して除染やインフラ整備を進める「特定復興再生拠点区域」に設定され、1日午前10時に避難指示が解除されました。また、隣接する拠点区域外の公園の避難指示も人が居住しないことなどを条件に同時に解除されました。
  拠点区域に通じる道路のゲートは、住民が見守る中、開放され、「帰還困難区域」と書かれた看板が撤去されました。
  これで、先行して除染などを実施する原発周辺の6つの町と村に設定された「特定復興再生拠点区域」で、住民が居住できる地域に出されていた避難指示はすべて解除され、今後はこうした地域の復興や、いまだ避難指示が残る地域の復興のあり方が課題になります。
  飯舘村の杉岡誠村長は「拠点区域の避難指示が解除され、感慨深い。きょうを新たなスタートとして住民とともに長泥地区を発展させていきたい」と話していました。
【村で生活再開させる住民】
  鴫原清三さん(68)は、長泥地区の特定復興再生拠点区域に自宅があります。今はおよそ50キロ離れた避難先の福島市で暮らしていますが、原発事故前に行っていた花の栽培を国の実証事業に協力する形で長泥地区で再開させ、避難先から車で1時間ほどかけて毎週、通ってきました。これまでは、自宅を訪れる際には通行証の提示が、自宅に泊まるには事前登録が必要でしたが、1日からは自由に訪れて寝泊まりできるようになりました。
  鴫原さんは、村での生活を再開させたいと拠点区域の避難指示解除の時期が決まったあと、去年12月ごろから自宅の畳やクロスを張り替えるなどのリフォームを始め、30日終わったということです。
  今後は、避難先と村の2か所を拠点に、週の半分ほどを村で過ごしたいとしています。
  鴫原さんは「避難指示解除は一歩前進です。小さな頃から住んでいたところなのでやはりここに住みたいと思っていました。ここに住めば長生きできそうな気がします。ここで花を育てて花があふれるふるさとにするのが今の夢です」と話していました。


2023.04.27-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20230427-CN3PZEHNTFMH3JEKO7TKND7HFI/
原発60年超運転可能とする法案、衆院通過

  60年を超える原子力発電所の運転延長を可能にする「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」が27日の衆院本会議で、自民、公明、日本維新の会、国民民主各党の賛成多数で可決された。立憲民主党と共産党は反対した。参院に送付され、今国会で成立する見込みだ。
  岸田文雄政権は既存の原発を最大限活用する方針で、法改正により温暖化ガスの排出削減と電力の安定供給の両立を目指す。東京電力福島第1原発事故を踏まえた原発政策の大きな転換点となる。

  法案は、電気事業法や原子炉等規制法(炉規法)原子力基本法など5本をまとめた「束ね法案」で、原子力基本法には原発活用を「国の責務」と明記した。
  原発の運転期間は、炉規法から経済産業省所管の電気事業法に移管する。「原則40年、最長60年」現行ルールの大枠は維持するが、原子力規制委員会の安全審査や裁判所の仮処分命令などで停止した期間は算入せず、実質的に60年超の運転を可能にする。
  炉規法には、原発の運転開始から30年を超える場合、最長10年ごとに規制委が施設の劣化状況など安全性を審査し、認可を受ければ運転可能とする新制度の導入を盛り込んだ。
  一方、参院で審議中の、脱炭素の取り組みを加速するための「GX推進法案」を巡っては、自民、立民、公明、維新、国民などが共同で修正案を提出。GXの推進で影響を受ける産業に配慮し、脱炭素社会への「公正な移行」を踏まえる文言を加え、27日の経済産業委員会で可決された。28日の参院本会議で可決後、衆院に戻される運びだ。


2023.03.13-毎日新聞-https://mainichi.jp/articles/20230313/k00/00m/040/214000c
九条の会、核廃絶、脱原発… 平和訴え続けた、大江健三郎さん
【春増翔太、島袋太輔】

  大江健三郎さんは平和と護憲や脱原発を巡る活動にも携わってきた。2004年6月には、自衛隊のイラク派遣や憲法改正議論の高まりを背景に、評論家の加藤周一さん、哲学者の鶴見俊輔さん(ともに故人)らとともに、「九条の会」を発足させた。

  16年から世話人として会の活動に関わる清水雅彦・日本体育大教授(憲法)は「平和運動の大先輩でもありショックだ。左や右といった政治的立場を超える、平和に強い関心を持った『良心的な作家』だった」と語った。
  最後に席を共にしたのは、日比谷野外音楽堂(東京都)で14年にあった集団的自衛権の行使容認に反対する市民集会。以来、直接会うことはなかったが「全国の各地域で7000の『九条の会』が立ち上がったのは、核兵器が使われた後の時代の平和を考え、憲法の堅持を訴えた大江さんたちの貢献があったから。これからの平和運動は私たちでもり立てていきたい」と話した。
  被爆者らの間にも惜しむ声が広がった。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)代表委員の田中熙巳(てるみ)さん(90)は「温和で口数の少ない方だったが、根底には被爆という理不尽に対する『怒り』があった。被爆者に対する連帯の思いを持ち続けてくれた人だった」と悼んだ。
  大江さんは1965年、被爆者や医師を取材した「ヒロシマ・ノート」(岩波新書)を出版。核兵器廃絶に向けた発信を続けた。80年代、被爆者救済を求めて日本被団協のメンバーらが東京・霞が関の厚生省(現厚生労働省)前で座り込みをした際には、ふらりと訪れ、「ご苦労様」と言いながら食べ物を差し入れてくれたという。田中さんは「虐げられる者に寄り添う方だった。被爆者がデモや集会を盛んにやっていた時代を知る方だけに大変寂しい」と話した。
  被爆者運動や証言、記録の保存活動に取り組むNPO法人「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」でも、大江さんは呼びかけ発起人の一人を務めた。「二度と被爆者を生まないために、被害の記録と記憶の継承こそが大事だ」と話していたといい、発足時は「受け継いで、さらに」と題した記念講演も引き受けてくれたという。
  伊藤和久事務局長は「広島、長崎の被爆被害に関心が深く、世界的に影響力のある方。私たちにとって何より心強い存在だった。残念の一言だ」と惜しんだ。
  大江さんは11年3月の東京電力福島第1原発事故後、一貫して脱原発も訴えてきた。福島での集会や東京でのデモに加わり、「原子力のエネルギーは必ず荒廃と犠牲を伴う」などと話していた。この年の9月、「さようなら原発」と銘打った脱原発の市民運動の呼びかけ人の一人として記者会見した際は「原発事故は広島や長崎に次ぐ事態。二度と起こさない決意で政治を動かす必要がある」と述べた。
  この会見に同席し、共に活動してきた作家の落合恵子さんは「現政権で軍拡や原発推進が行われようとしている中、どれほど大きな存在だったか。無念でならない」と話した。
  大江さんは今月21日に都内で開かれる予定の集会にも呼びかけ人として名前を連ねており、落合さんは「『憲法を守り、原発をなくす』という大江さんの言葉を大事にして、参加者に語りかけたい」と決意を語った。【春増翔太、島袋太輔】


2023.03.07-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/special/nuclear-power-plant_fukushima/news_02/article/article_01.html
原発処理水 迫る海洋放出 方法は?対策は?現地を訪ねた

  福島第一原発を訪ねるとすぐに目にとまるのは、巨大なタンクの数々だ。その数1000基余り。総容量はおよそ137万トンに及ぶ。保管されているのは、トリチウムなどの放射性物質を含む処理水だ。この水の放出開始が、ことし春から夏ごろと目前に迫っている。
  東京電力は国の基準を大幅に下回るよう薄めるというが、いったいどのように放出されるのか。2月、私たちはあらためて現地を取材した。
(科学文化部記者 橋口和門)
林立するタンク
  わたちが訪れたのは、タンクが建ち並ぶエリア。タンクの高さはおよそ15メートル。1基で1000トンの水をためることができる。敷地内には、ここ以外にも多くのタンクエリアがある。そのほとんどはすでに容量いっぱいの処理水をためていて、2023年2月時点では、総容量の96%にあたる132万トン余りにのぼっているという。東京ドームに水をためた場合の容量が約124万トンなので、すでにあふれている計算だ。
処理水はどうして増えるのか
  「処理水、処理水」と誰でも知っている言葉かのように使ってしまったが、処理水とはどんなもので、どうしてここまで増えてしまったのだろうか。メルトダウンを起こした1号機から3号機の原子炉やそれを覆う格納容器の内部には、溶け落ちて固まった核燃料がいまも残っている。
  この核燃料を冷やすために入れた水や、建屋内に流れ込んだ地下水や雨水が放射性物質に汚染され、いわゆる汚染水が発生している。その量は一時1日500トンにのぼっていたが、10年余りで5分の1に減少。それでも1日あたり100トン発生している。この汚染水がくみ上げられ、多核種除去設備、通称「ALPS(アルプス)」などに送られ、薬液による沈殿処理や活性炭などの吸着素材により大半の放射性物質が取り除かれる。この処理をほどこした水が処理水だ。
  現在は放射性物質の除去が十分でなく基準を超える水も多く残されているが、放出前には再度ALPSにかけて基準未満まで薄めるとしている。ただ、ALPSでは取り除けない放射性物質がある。「トリチウム」、日本語で三重水素と呼ばれる水素の仲間で、化学的な方法で水から分離して除去するのが難しい。このためそのまま処分することができず、タンクにためられてきた。
どうやって放出するのか
  今回の取材では、処理水を放出するために建設されている施設も見ることができた。放出前に処理水を海水と混ぜて薄め、一時的にためておく「立て坑」と呼ばれる施設だ。
  東京電力の計画では、海水で薄めてトリチウムの濃度を国の基準の40分の1となる1リットルあたり1500ベクレル未満まで下げるとしている。これはWHO=世界保健機関が示す飲料水の基準の7分の1程度にあたる。加えて放出開始後の当面の間は、海水と混ぜ合わせたあとにもトリチウムの濃度を測定した上で放出することにしていて、この測定作業には2か月程度かかる見込みだという。
  水はこの間、立て坑にとどめ置かれたあと、地下の入り口から海底トンネルの中を通って沖合1キロの地点で放出される。トンネルは貫通まで残りおよそ200メートルのところまで掘り進められているという。原発の敷地内からは、放出口の場所を示す海面に突き出た4本の鉄柱も確認することができた。
懸念にどう応える
  やはりもっとも気になるのは、風評被害などを懸念する地元の声にどのように応えようとしているのかということだ。実はトリチウムはふだんから世界中の原子力施設で放出されている。
  2022年時点では全国で再稼働している原発は西日本にある加圧水型と呼ばれるタイプのみだが、経済産業省によるとこのタイプの原発では年間で18兆~83兆ベクレルのトリチウムを放出しているという。さらに、青森県の六ヶ所村に建設中の使用済み核燃料を再処理する施設では、その100倍の放出が予定されているが、周辺の住民の被ばく量は年間20マイクロシーベルトと、一般の人の年間の被ばく限度である1ミリシーベルトの50分の1程度に抑えられると評価している
  これに対し福島第一原発で1年間に放出する量は、事故前通常の運転をしていたときに目安とされていた22兆ベクレルを下回る水準になるようにする計画だ。
  東京電力が実施したシミュレーションでは、トリチウムの濃度の上昇は周辺2キロから3キロの範囲にとどまり、沿岸で暮らす漁業者の年間の被ばく量は、1ミリシーベルトの6万分の1から1万分の1程度と試算された。ただ、やはり事故のイメージが強い福島第一原発からの放出はネガティブに捉えられかねず、政府は放出の安全性をテレビCMも含むさまざまな方法でPRしている。
処理水でヒラメを飼ってみた
  今回の取材で初めて訪れたのが「海洋生物飼育試験施設」だ。去年9月からアワビの稚貝や福島県沖でとれる「常磐もの」の代表格ヒラメなどを陸上の水槽で飼育している。それらを原発周辺の海水を入れた水槽と、海水で1リットルあたり1500ベクレル未満まで薄めた処理水の水槽にわけ、比較しているという。
  この取り組みによってどんなことを期待しているのか。トリチウムは水と同じ性質で、体内に長期間蓄積しないことが知られている。飼育を通してヒラメの体内に1500ベクレルを超えるような濃度のトリチウムがたまらないことを確認しているのだという。実際、これまでの分析では1100ベクレル程度で止まり、その後、通常の海水に戻すとトリチウムは検出できない値まで下がったという。
  さらに飼育するヒラメの様子は、YouTubeやTwitterで24時間配信している。

理解はどこまで進んだか
  全国の人たちは、処理水の放出をどう捉えているのか。NHKは、2月10日から3日間、全国の18歳以上を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行った。調査の対象となったのは2483人。50%にあたる1229人から回答を得た。
  処理水を国の基準を下回る濃度に薄めたうえで海に放出する方針について賛否を聞いたところ、「賛成」が27%、「反対」が24%、「どちらともいえない」が41%だった。単純比較はできないものの、政府が放出方針を決定した直後の2年前に聞いたときとほぼ同じ結果になった
漁業者の受け止めは
  漁業者などの懸念は根強い。計画どおりであれば影響はほとんどないというものの、政府や東京電力が信用できるのか。全国の人が正確な情報を知らなければ再び福島の水産物などへの風評が広がるのではないか。
  政府と東京電力は2015年に「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」と表明している。政府は、理解を得るための取り組みに躍起だ。水産物の販路拡大の支援や、風評被害で需要が落ち込んだ場合に冷凍可能な水産物を買い取る事業などに充てる300億円の基金を設置。さらに、全漁連=全国漁業協同組合連合会の要望に応じる形で、長期的な事業継続に向けた漁場の開拓などの取り組みを支援する500億円の基金も新たに設けた。
  これを受けて全漁連は「信頼関係に向けての姿勢と重く受け止めた」とする談話を発表。ただ「このことのみで漁業者の理解が得られるものではなく、全国の漁業者・国民の理解を得られない海洋放出に反対であることは変わるものではない」としている。
知って考える
  実際に福島第一原発に訪れて取材すると、放出に向けた準備が着々と進められていることを実感した。
  東京で暮らしていると、事故を起こした原発の廃炉がいまも道半ばであり、その過程で生じた処理水が、復興を進める地域や漁業者との間に葛藤を生んでいることもつい忘れそうになる。言うまでもなく、福島で生み出された電気を使っていたのは首都圏で暮らす人たちであり、その電気でさまざまな産業が育まれ、効果は日本全国に波及してきた。
  全国の人たちに処理水とは何か知ってもらい、みずからの問題として考えてもらえるようにすることが重要だと感じた。


2023.03.03-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230303/k10013997331000.html
北陸電力志賀原発の敷地断層「活断層でない」規制委審査で了承

  石川県にある志賀原子力発電所の敷地内を通る断層について、「活断層ではない」とする北陸電力の主張が、原子力規制委員会の審査会合でおおむね了承されました。7年前、規制委員会の専門家会合が示した「将来動く可能性を否定できない」などとする見解を転換することになり、北陸電力が再稼働を目指す2号機の審査が進展することになります。

  志賀原発には1号機と2号機があり、7年前、原子力規制委員会の専門家会合が敷地内の断層の一部について、「将来動く可能性を否定できない」などとする見解をまとめました。断層の真上にある1号機は廃炉に、2号機も大幅な改修が必要になる可能性がありました。これに対し北陸電力は、地層に含まれる鉱物の状態から断層が動いた年代を把握する「鉱物脈法」と呼ばれる新たな手法を用いた評価を提示。
  600万年前より昔に生じたと推定される鉱物に断層による変形が見られないことなどから、敷地内の断層の活動性を否定できると主張してきました。
  原子力規制委員会の石渡明委員は、3日の審査会合で「新たに出された膨大なデータに基づいて評価し直したところ、将来活動する可能性のある断層ではないと判断できる、非常に説得力のある証拠が得られた」と述べました。
  そのうえで、審査会合では「おおむね妥当な検討がなされているものと評価する」として、「活断層ではない」という北陸電力の主張が了承されました。
  7年前の見解を転換することになり、2号機は審査が進展することになりますが、地震の揺れや津波といった自然災害の想定や、その対策など、多くの項目が残されています。
志賀原発の断層めぐる議論の経緯
  志賀原発2号機は、17年前の2006年に営業運転を開始しました。2011年に定期検査に入った直後、東日本大震災が発生し、以降は停止しています。福島での事故を教訓に新たに策定された規制基準に基づき、北陸電力が原子力規制委員会に適合性の審査を申請したのは2014年でした。
  その後、志賀原発の敷地内を通る断層が、将来動く可能性のある「活断層」かどうか、原子力規制委員会の専門家による会合や2号機の再稼働を目指す審査で議論されてきました。
  「活断層」かについては、規制委員会の専門家会合で議論され、2016年に評価書が取りまとめられました。
  このときは、1号機の真下を通る断層「S-1」と、   1号機と2号機の原子炉につながる冷却用配管の真下を通る断層について、評価しました。
  「Sー1」断層については、1号機の建設前に原子炉建屋のすぐ脇を掘って地層を調べるトレンチ調査のスケッチに記された地下の岩盤の亀裂と段差をもとに「将来動く可能性は否定できない」と指摘しました。また、
  冷却用配管の真下を通る断層についても、トレンチ調査による地層の状況などをもとに「将来、地盤を変形させる可能性がある」という見解を示しました。
  新しい原発の規制基準では、将来動く可能性のある断層の上に重要な設備の設置を認めておらず、結論が覆らないかぎり、1号機は再稼働できず廃炉に、1号機と2号機の原子炉につながる冷却用配管は移設や補強などの対応が必要になる可能性が出ました。
  一方で、こうした評価は建設当時の断層のスケッチなど限られたデータに基づいていて、より正確な評価をするにはさらに詳しい分析やデータが必要だとも指摘していました。

  これに対し北陸電力は、2号機の再稼働に向けて2014年に申請した審査の中で、これらの断層を含む敷地内の断層は、いずれも「将来動く可能性はない」と主張し、その根拠として「鉱物脈法」と呼ばれる新たな手法による評価を提示しました。
  原発の新しい規制基準では、12万年前から13万年前の「後期更新世」の時代よりもあとに動いたとみられる断層を「活断層」と定義していて、地層の状態から活動性の有無やずれ動いた年代を調べる手法が用いられます。
  一方で、志賀原発の場合、地層の変化が分かる資料が少ないことなどから、地層に含まれる鉱物が地下の熱などの影響で変質した時期を調べることで断層の年代を把握する手法を採用しました。
  審査の対象となった敷地内断層は10本あり、1本でも活断層だとされた場合、再稼働は認められないとされていました。
  北陸電力は、ボーリング調査で採取した試料などを分析した結果、600万年前より昔に生じたと推定される鉱物に断層によるずれや変形が見られないことなどから、いずれの断層も活動性を否定できると主張しました。
  これを受けて規制委員会は、現地調査をしました。断層周辺の地層の変化や、断層に含まれる鉱物の分析結果などを観察し、北陸電力の主張が妥当かどうか検討していました。
志賀原発の敷地内の断層と「鉱物脈法」
  志賀原子力発電所の敷地内には、原子炉建屋の真下を含めて複数の断層があります。原子力規制委員会は、このうち10本を対象に「活断層」かどうかの見極めを続け、1本でも「活断層」なら再稼働はできないという認識を示していました。これに対し北陸電力は、「活断層」ではない根拠として、「鉱物脈法」を使って得られたデータを示しました。
  「鉱物脈法」は、断層を横断して分布する鉱物を調べる手法で、これらにずれや変形が見られないとして、断層の活動性を否定しました。
北陸電力「大きな一歩」
  「活断層ではない」とする主張がおおむね了承されたことについて、北陸電力は「この審査結果は地元の皆さまの安心につながるものであり、再稼働に向けた審査のステップとして大きな一歩と受け止めている。今後も敷地周辺の断層や地震動、津波などの審査が継続されるが、今後の審査においても適切に対応し、地元の皆さまの了解を大前提に 1日も早い再稼働を目指していく」とコメントしています。
石川県 馳知事「丁寧、厳正かつ迅速な審査を行ってほしい」
  石川県の馳知事は「一段落がついたと受け止めている。再稼働に向け今後もまざまな審査が続くが、原子力規制委員会には丁寧、厳正かつ迅速な審査を行ってほしい」と述べました。一方、記者から「一刻も早い再稼働を求めるのか」と質問されたのに対し、馳知事は「一刻も早くということではない。丁寧であることと迅速であることは同じくらい重視している」と述べました。
原告団「審査方法は妥当だったのだろうか」
  一方、志賀原発の再稼働の差し止めを求めて訴えを起こしている原告団は「審査は十分尽くされたといえるのだろうか。審査方法は妥当だったのだろうか」としたうえで、「志賀原発が活断層に囲まれた原発であることが次々と明らかになる中、敷地内断層に限っては『活動性なし』と断言できるのか、周辺断層からの影響はないのか、よりいっそう慎重な審査と判断が求められるはずだ」などとしています。


2023.02.13-東京新聞-https://www.tokyo-np.co.jp/article/230990
原発運転60年超を石渡委員反対のまま多数決で決定 原子力規制委 独立性はどこへ…
(小野沢健太)


  原子力規制委員会は13日、臨時会を開き、原発の60年超運転に向けた新たな規制制度案を決定した。多数決で委員5人のうち4人が賛成、石渡明委員が反対を表明した。老朽原発の規制の在り方を大転換させる重要案件が、委員の意見が一致しないまま決められる異例の事態となり、拙速な決定には、賛成した委員からも疑問の声が上がる。(小野沢健太)

  現行の原子炉等規制法(炉規法)は原発の運転期間を「原則40年、最長60年」と定める。政府は昨年12月、再稼働の審査や司法判断などで停止した期間を運転年数から除外し、実質的に60年超運転を可能にする方針を決め、改正法案を今国会に提出する。運転期間の規定は、経済産業省が所管する電気事業法で改めて定める。
  規制委は、この方針に対応する新たな規制案について議論してきた。前回、8日の会合では4人の委員が改正方針に賛成したが、地質の専門家の石渡委員が「原則40年、最長60年」との規定が形式上は維持されることを踏まえ、「われわれが自ら進んで法改正する必要はない」などとして反対した。臨時会を開いて改めて議論することになった。
  この日、決定した新たな規制案は原発の運転開始から30年後を起点に10年以内ごとに劣化状況を審査、規制基準に適合していれば運転延長を認可する。
  臨時会で、石渡委員は2020年に規制委が示した「原発の運転期間は利用政策側(推進側)が判断する事柄で、規制委は意見を言う立場にない」とする見解について、「当時の委員会で、しっかりと議論されたとは言えない」と指摘。当時は、電力業界団体からの意見に対して示した見解であり、今回のように、運転期間を延長する法改正を前提につくられた見解ではないと説明した。ほかの委員らは見解の妥当性を強調。議論は平行線となったため山中伸介委員長が、委員一人一人に賛否を確認した。
◆政府と歩調、使命を放棄した規制委
  【解説】 原子力規制委員会が原発の60年超運転に向けた新規制案を多数決で決定したことは、反対の声に向き合わず性急に原発推進に踏み込む政府と歩調を合わせ、独立性を掲げる規制委の使命を放棄するものだ。
  規制委の運転期間見直しを巡る新制度の検討は、異例ずくめだった。山中伸介委員長は、委員長就任からわずか2日後の9月末、経済産業省の担当者を呼び出して意見聴取するよう指示。規制当局自らが推進側に近づいた。
  事務局は、その指示がある2カ月以上前の7月から非公開で経産省職員と情報交換を重ねていた。経産省が作成した資料については「作成者が公開の可否を判断するべきだ」として公開せず、規制委の内部資料も「恥ずかしい内容」との理由で黒塗りにした。推進側とのやりとりを明らかにする姿勢すら、まったく感じられない。
  再稼働を目指す原発の中で最も古いのは、関西電力高浜1号機(福井県)の48年。60年を超えるまでに10年以上あり、急いで制度を変更する必要はない。それでも結論を急ぐのは、今国会での制度変更を目指す政府のスケジュールに足並みをそろえるためだ。東京電力福島第一原発事故の教訓で、推進と規制を分離するために発足した規制委の理念が消え去ろうとしている。(小野沢健太)


2023.02.01-NHK NEWS WEB-https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230201/k10013967531000.html
高浜原発4号機の自動停止 制御棒装置不具合で点検作業中に発生

  福井県にある関西電力の高浜原子力発電所4号機で1月30日、原子炉が自動停止したトラブルで、当時、制御棒を動かす装置に不具合が見つかり、点検作業を行っていたことが分かりました。原子力規制庁は今回のトラブルに関係している可能性が高いとみて原因を調べています。

  福井県高浜町にある高浜原発4号機では、運転中だった30日の午後3時20分ごろ、原子炉内の核分裂の状態を示す中性子の量が急激に減少したという異常を知らせる信号が出て、原子炉が自動停止しました。
  1日の原子力規制委員会の会合では、事務局の原子力規制庁が関西電力からの報告として、トラブルが起きる5日前から当日にかけて、核分裂を抑える制御棒を炉心に出し入れするための装置で、故障を示す警報が合わせて3回出ていたと説明しました。
  規制庁によりますと、制御棒は電磁石の力で保持した爪にひっかけてつり上げていますが、電流の値が通常よりも低くなっていることが分かり、点検作業のため一部の電源を落としたところ、原子炉が自動停止したということです。
  原子力規制庁は、今回の自動停止が装置の不具合や作業と関係している可能性が高いとみて原因を調べています。
  原子力規制委員会の山中伸介委員長は「原子炉を『止める』という非常に重要な部位のトラブルなので、原因究明をするとともに緊張感を持って取り組んでほしい」と述べました。


2023.01.07-中日新聞-https://www.chunichi.co.jp/article/613485?rct=national
高浜原発施設火災は作業ミスが原因か 協力会社点検時

  関西電力高浜原発(福井県高浜町)の放射線管理区域外施設で昨年十二月に発生した火災で、関電は六日、協力会社従業員らの作業ミスが原因との見方を明らかにした。点検時に作業要領で定められた手順や確認を怠っていたという。

  関電によると、海水電解装置建屋で分電盤を点検後、アース線を取り外さないまま受電したため過剰な電流が流れ、アース線の被覆から発火したとみられる。作業要領では、作業責任者らが立ち会ってアース線の取り外しを確認した上で受電するはずだったが、守られていなかった。



2022.12.21-東京新聞-https://www.tokyo-np.co.jp/article/221362
原子力規制委が原発の60年超運転認める規制制度案を了承 長期運転の上限なくなる

  原子力規制委員会は21日の定例会合で、政府が検討する「原則40年、最長60年」と規定された原発の運転期間の見直しを巡り、60年超の運転を可能にする新たな規制制度の案を了承した。原発を積極活用する政府方針を追認した形で、東京電力福島第一原発事故後に定められた長期運転の上限がなくなる。
(増井のぞみ)

【関連記事】60年超の原発も運転容認 原子力規制委 仕組みの上では無期限も可能に

  規制委は意見公募(パブリックコメント)や電力会社からの意見聴取をした後、来年の通常国会に原子炉等規制法(炉規法)の改正案を提出する見通し。
  新たな規制制度では、運転開始から30年後を起点に設備の劣化状況を審査し、運転延長の可否を判断。これを10年以内ごとに繰り返す。審査でチェックする内容は、60年までは現行の審査とほぼ同じ。60年超の審査内容は未定で、今後に検討する。
  規制委の山中伸介委員長は記者会見で「60年以降の審査は、それぞれのプラント特有の項目を加える必要がある」と話した。
  経済産業省は原則40年、最長60年とする規定は維持した上で、再稼働に向けた審査などで停止した期間を運転年数から除外。実質的に60年超の運転を可能にする制度を検討している。

◆パブコメは22日~来年1月20日
  原子力規制委員会は、22日〜来年1月20日、60年を超えた原発の運転を可能にする規制の概要案について、意見公募(パブリックコメント)をインターネットと郵送で実施する。規制委のホームページの「法令・手続・文書」にある「パブリックコメント」で意見募集にアクセスすると、意見提出用紙や宛先などが紹介されている。ネットでは意見募集要領を確認後、意見を入力できる。


2022.11.29-赤旗-
ルール変え原発延命-経産省原案 廃炉建て替え新増設

  経済産業省は28日、岸田首相の原発推進方針を受けた今後の原子力政策の方向性をまとめた行動計画の原案を同省の審議会で示しました。次世代型原発の開発・建設の推進、「原則40年、最大60年」という原発の運転期間の現行ルールを変えて老朽原発を動かし続ける仕組みの整備などを盛り込んでいます。年内に決定しようとしています。

  2011年3月の東京電力福島第1原発事故後、政府は「可能な限り原発依存度を低減する」とうたい、新増設や建て替えは「想定していない」としていたのに、電力供給を口実に事故の教訓を忘れ、それらの判断を投げ捨てたもので、将来にわたり原発を使い続ける原発回帰方針です。
  原発の運転期間は、事故後に改定された原子炉等規制法で運転開始から原則40年とされ、規制委が認可した場合、1回に限り最長でさらに20年延長できると定められています。
  今回の原案では「原則40年、最大60年」とした上で、運転期間から新規制基準に基づく審査などによる停止期間を除くとしており、60年以上の運転が可能です。仮に審査で10年止まっていれば、その分を追加延長でき、最大70年運転できる仕組みです。経産省は来年の通常国会に関連法案の提出をねらっています。
  次世代型原発の開発・建設では、まずは廃炉を決めた原発での建て替えをその対象にするとした上で、実現に向け政府支援や事業環境整備の検討・具体化を進めるとしています。このほか再稼働の加速への取り組みや、普通の原発でウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使う「プルサーマル」を推進する自治体への交付金を創設するとしています。
  岸田首相は8月の政府のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で、原発の新増設や既存原発の最大限活用などを「政治決断を必要とする項目」として表明していました。


2022.11.21-読売新聞-https://www.yomiuri.co.jp/world/20221121-OYT1T50062/
ザポリージャ原発に多数の砲撃、施設の一部損傷…IAEA事務局長「危険なほど接近」

  【ベルリン=中西賢司】国際原子力機関(IAEA)によると、ロシア軍が占拠を続けるウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所の原子炉付近などで、19日夕から20日朝にかけて多数の砲撃があり、施設の一部などが損傷した。放射線量の異常や死傷者は報告されていない。IAEAのラファエル・グロッシ事務局長は攻撃の即時停止を訴えた。

  発表によると、砲撃は19日午後6時前に始まった。20日午前9時15分頃から55分頃までの間には、十数回の爆発があった。放射性廃棄物の貯蔵施設や原子炉につながる電気ケーブルなど数か所が被害を受けた。
  ウクライナの国営原子力企業エネルゴアトムは、露軍が20日朝に少なくとも12発の砲撃を行ったと発表した。一方、露国防省は20日、ウクライナ軍が19日に11発、20日朝に14発を発射したと主張した。
   グロッシ氏は「砲撃は危険なほど接近してきた。砲撃を行っているのが誰であれ、多くの人々の命を危険にさらしている」と述べ、原発一帯で武力攻撃を控える「安全保護地帯」を設定する必要性を改めて強調した。


2022.11.02-産経新聞-https://www.sankei.com/article/20221102-ZH5FZCTOIJI7BLP3DWVDFQQUBM/
原発劣化、評価を厳格化 電力各社は負担増

  運転期間が60年を超えた原子力発電所の安全をどう確保していくのか。原子力規制委員会が2日、この議論に一つの方向性を示した。素案では運転延長に必要な認可時期を現行よりも10年前倒し、以降最長10年ごとに審査と認可を繰り返す制度を導入する。米国のような80年運転の実現に道筋が示されたとはいえ、「最長10年ごと」という認可ルール変更の狙いは何か。(白岩賢太)

  「経年化が進んだ原子炉については審査に合格しづらくなるような制度設計が必要なのではないか」。2日の規制委会合で、委員から長期間運転した原発について、現行よりも厳しく審査する仕組みが必要との指摘が上がった。
  現行のルールでは、運転開始後30年の時点で、電力会社が10年ごとに劣化具合を調べる高経年化技術評価の実施と長期運転計画の策定を求めている。さらに運転延長する場合は40年よりも前に運転延長認可制度に基づき、規制委の審査を受ける必要がある。新制度案では電力会社に求める2つのルールを一本化し、運転開始から30年を起点に最長10年の間隔で2つの審査を行うことが提示された
  「最長10年」と明記した理由について、事務局の原子力規制庁は原子炉の劣化状態や保守管理の実施状況、個別の原子炉の状況などを勘案し、「前回の審査から10年を経過するよりも早いタイミングで劣化具合が評価できるよう考慮した」と説明。仮に5年おきで審査した場合、「原発設備の経年変化が見えにくい」(同庁担当者)という事情もある。
  逆に20年おきの審査で運転延長を認めた場合、規制が緩くなったとの印象を与えかねない。規制委の山中伸介委員長は「現行よりもはるかに厳しい規制となる」との認識を示したが、新制度が導入されれば電力各社の負担は大きくなる。
  規制委の方針について、電力会社の担当者は「60年超運転に道が開けたとはいえ、審査のたびに巨費を投じて安全対策を講じなければならない。費用対効果の面で60年超は現実的なのか。難しい経営判断となる」と本音を漏らした。







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ここは2022年11月~2023年12月27日のニュースです