戦争の問題



2019.9.19-日本経済新聞-https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49965070Z10C19A9CR0000/
遺骨600人分取り違えか 厚労省、専門家指摘も公表せず

厚生労働省による戦没者遺骨収集事業を巡り、第2次大戦後のシベリア抑留で亡くなった日本人の遺骨を外国人のものと取り違えていた問題で、既に判明している16人分も含め、ロシア国内で収集した約600人分が日本人のものではない可能性があることが19日、関係者への取材で分かった。専門家が数年以上前から疑いを指摘していたが、同省は公表せず、ロシア側にも伝えていなかった。
この問題では、ロシアのザバイカル地方で収集した遺骨16人分について、日本人のものではないなどとするDNA型鑑定の結果が昨年8月に出ていたことが、今年7月に判明。他にも取り違えの疑いが浮上していたことなどから、厚労省が調査を進めていた。関係者によると、収集した遺骨のDNA型鑑定結果などを確認する専門家の鑑定人会議で、日本人のものではない可能性が度々指摘されていた。
戦没者遺骨収集事業を巡っては、フィリピンで現地住民の遺骨が含まれている可能性が報道され、2010年から18年まで一時中断。厚労省は「戦没者のものとは考えにくい骨もあった」とする検証報告書などを公表した。〔共同〕


2019.9.15-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://www.sankei.com/world/news/190915/wor1909150016-n1.html
【ベルリンの壁崩壊30年】(3)欧州平和の幻影 対露抑止より対話 (独北東部ルプミン 宮下日出男)
(1)
「欧州連合(EU)vs偽情報」。EUが運営するこんな名前のサイトはロシアが絡む偽情報の監視が目的だ。7月には露メディアの「米国の意向に反する欧州諸国には北大西洋条約機構(NATO)の部隊活用もありえる」という報道を取り上げ、フェイク(偽)ニュースだと反論。2015年の開設以降、発見した偽情報は6千件を超える。
 2014年のウクライナ・クリミア半島併合以降、欧州にとりロシアの脅威は強まった。新型ミサイル開発など軍事的手段だけでなく、偽情報で世論の分断を図る手法は16年米大統領選でも使われ、欧米にとりその脅威は「すでに常態化した」(EU幹部)。特に懸念された5月の欧州議会選では、1月から選挙時期までに前年同期の倍となる約1千件が把握された。
 「社会を刺し貫く手段は最も危険だ」。東西分断時代のドイツで情報が果たした役割を知るカルステン・フォイクト元独連邦議会議員(78)はいう。
 だが、独北東部ルプミンには欧州とロシアの緊張と裏腹な光景があった。ロシアから天然ガスを直接ドイツに送る海底パイプライン「ノルドストリーム2」の建設現場だ。バルト海沿いの敷地には多くの巨大パイプが設置されていた。
 露国営ガス企業ガスプロムが事業を主導し、ドイツなどの企業も協力。稼働中のパイプラインに並行して敷設され、年内完工を目指す。ガスはドイツ経由で欧州諸国にも供給され、事業会社担当者は「欧州のための事業だ」と強調する。
 事業への逆風は強い。EUはガスを外交圧力の手段に用いられるのを避けるため露産ガスへの依存低下と供給源の多様化を目指すが、米国ではトランプ大統領が「ドイツがロシアの人質になる」と批判し、議会も超党派で制裁を準備する。EUでも東欧を中心に反発や疑問は強い。
 メルケル独首相は「政治的要素を考慮する」と認めたが、私企業による「純粋な経済事業」として、建設を止めようとしない。
(2)
「政治的意味がある。だからノルドストリームに賛成だ」。そう語るのは東西ドイツ統一を果たしたコール元首相の外交顧問だったホルスト・テルチク氏(79)。ロシアを含む欧州の戦争の歴史を踏まえれば、「欧州の持続的な平和はロシアとの対決でなく、ロシアとともにしか構築できない」とみるためだ。
 テルチク氏はそのために対話や協力関係の継続が不可欠で、ノルドストリームはその一環とする。対露経済制裁にも反対だ。ドイツではロシアと敵対しても孤立させないのが「大半の政党のコンセンサス」(フォイクト氏)で、世論も7割以上がノルドストリームを支持。「ロシアにはもっと接近すべきだ」との意見も5割を超える。
 制裁導入を主導するなど厳しい態度をとるメルケル氏も「対話の糸を切ってはならない」とし、ロシアを欧州に引きつけるためノルドストリームなど経済関係維持は必要だとする。
 だが、「ジャーマン・マーシャル基金」のヤン・テヒャウ上級研究員はドイツが対話重視に傾きがちな背景に、西独が1970年代に進めた「東方外交」と呼ばれる緊張緩和策への「過大評価」があるとみる。当時のブラント政権は「接近による変化」を掲げ、断絶していた東独など共産圏との関係正常化を推進した。
 ドイツでは米国との軍拡競争による旧ソ連の疲弊より東方外交の方が冷戦終結に貢献したとの見方が強いというが、テヒャウ氏は「東方外交は米国の強い核抑止力があり可能だった。抑止と対話は一つの戦略なのに、強い立場をとることを忘れている」と語る。
 独外交政策評議会のステファン・マイスター氏も、今のロシアに接近しても「政治的変化はもたらせられない」と強調。ドイツがロシアと対等な交渉をするには、ノルドストリームを「取引材料」にするほどの覚悟が必要と指摘した。(独北東部ルプミン 宮下日出男)


2019.8.19-産経新聞 THE SANKEI NEWS-https://special.sankei.com/f/column/article/20190819/0001.html
第8部 宇宙の攻防(1) 米中戦争は宇宙から始まる

軍事情報を握る人工衛星を破壊せよ
宇宙が新たな戦場となりつつある。米国と中国の覇権争いが激化する中で人工衛星を攻撃し、陸海空の支配を狙う「宇宙戦争」が現実味を帯びてきた。はざまに立つ日本も対応を迫られる。
 地球を周回する中国の宇宙ステーションからレーザー砲が放たれ、米国の軍事衛星が次々と破壊される。通信網がまひし、機能不全に陥った米軍に「制宙権」を確保した中国軍が襲いかかる-。

日米の防衛関係者らの間で話題になった米国の近未来小説「ゴースト・フリート」の開戦シーンだ。小説ではこの後、中国軍は米ハワイを占領し、日本は中立を宣言。在日米軍は撤退し、用済みとなった戦闘機「F35」が沖縄に残される。
 現実離れした描写もあるが、防衛省関係者は「宇宙から戦闘が始まった点は注目に値する。たかが小説とは言い切れない」。背景にあるのは、自国の人工衛星が突然攻撃される「宇宙の真珠湾攻撃(スペース・パールハーバー)」への危機感だ。この第一撃が、戦争の帰趨(きすう)を決めかねない。
 高度に情報化された現代戦は人工衛星が不可欠だ。軍事通信、衛星利用測位システム(GPS)を通じた部隊の移動や巡航ミサイル攻撃、弾道ミサイルの早期警戒や地上の偵察など、多くの場面で鍵を握る。これらがまひすると陸海空軍は最新装備を生かせず、最悪の場合は敗戦に至る。核兵器の使用を含む核戦略も、厳重に秘匿された通信衛星の回線に支えられている。
 だが、人工衛星は守りが脆弱(ぜいじゃく)だ。直径数センチの物体が衝突しただけでも機能を失う。防御用の重い装甲は、打ち上げに膨大なエネルギーが必要になるため装備できない事情がある。
 衛星の機能はサイバー攻撃でも妨害できるが、難度は高い。これに対してミサイルや別の衛星による体当たり、電波妨害、レーザー照射などの攻撃は比較的容易で有効とされ、米中露などは多様な衛星攻撃兵器(ASAT)の開発を進めている。
 トランプ米大統領は今年2月、陸海空軍や海兵隊などと並ぶ組織として「宇宙軍」を来年創設するため、大統領令に署名した。その前段階となる宇宙統合軍を年内に立ち上げる。背景にあるのは「宇宙強国」を掲げて急速に追い上げる中国への焦りだ。

 習近平国家主席は2015年、宇宙やサイバー、電磁波などの戦闘領域を担う「戦略支援部隊」を人民解放軍に創設した。米科学者団体などによると、中国の偵察衛星や測位衛星の数は既に米国を上回る。16年には、解読が不可能とされる量子暗号通信の本格的な実験衛星を世界に先駆けて打ち上げた。圧倒的とされた米国の軍事的優位性は宇宙空間で崩れつつあるのだ。
 米国は中露を念頭に、宇宙における自国への攻撃を想定した対抗演習「スペースフラッグ」を17年から実施している。防衛省防衛研究所の福島康仁主任研究官(宇宙政策)は「宇宙を制することは、戦いの勝敗を決める重要な鍵だ。衛星への攻撃兵器は、国際社会にとって大きな脅威となり得る」と指摘する。

衛星狙う宇宙戦、体当たり攻撃も 装備は、法制度は…日本どう対応
中国・北京。2015年9月、抗日戦争勝利70年の記念軍事パレードが各国の元首らを招いて天安門広場で行われた。注目を集めたのは迷彩色のミサイル「東風(DF)21D」。米空母を狙う兵器として知られるが、衛星攻撃ミサイルの元になったといわれる。中国・北京。2015年9月、抗日戦争勝利70年の記念軍事パレードが各国の元首らを招いて天安門広場で行われた。注目を集めたのは迷彩色のミサイル「東風(DF)21D」。米空母を狙う兵器として知られるが、衛星攻撃ミサイルの元になったといわれる。
 衛星を攻撃するミサイル技術は米国やロシア(旧ソ連)が冷戦期に確立。追い上げる中国は07年に衛星の破壊実験を行い技術力を実証した。その後も衛星を破壊しない形で発射実験を繰り返しており、米国防情報局(DIA)は今年2月に発表した報告書で「既に実戦配備している」とした。
 弾道ミサイルの発射を探知する早期警戒衛星は、高度3万6千キロの静止軌道を周回する。中国は13年、高度約3万キロに達するミサイルを発射しており、早期警戒衛星を攻撃できるミサイルの開発も時間の問題だ。米国の早期警戒衛星は、北朝鮮などの弾道ミサイルから日本を守るための要でもあり、大きな脅威となる。

 宇宙戦では他国の衛星に体当たりして攻撃する「キラー衛星」も威力を発揮する。中国は10年に地球近傍の低軌道で、16年には静止軌道で衛星同士の接近実験を行ったとされる。宇宙航空研究開発機構(JAXA)元国際部参事の辻野照久氏は「中国には非常時に国家総動員を行う体制があり、民間衛星による体当たりも想定される」と話す。
 「宇宙では、もはや米国が安全に作戦行動を実施する特権を行使できなくなった」。米宇宙統合軍の司令官に就くジェイ・レイモンド空軍大将は今年6月、上院軍事委員会の公聴会でこう強調した。
 衛星を攻撃するミサイル技術は米国やロシア(旧ソ連)が冷戦期に確立。追い上げる中国は07年に衛星の破壊実験を行い技術力を実証した。その後も衛星を破壊しない形で発射実験を繰り返しており、米国防情報局(DIA)は今年2月に発表した報告書で「既に実戦配備している」とした。
 弾道ミサイルの発射を探知する早期警戒衛星は、高度3万6千キロの静止軌道を周回する。中国は13年、高度約3万キロに達するミサイルを発射しており、早期警戒衛星を攻撃できるミサイルの開発も時間の問題だ。米国の早期警戒衛星は、北朝鮮などの弾道ミサイルから日本を守るための要でもあり、大きな脅威となる。
 宇宙戦では他国の衛星に体当たりして攻撃する「キラー衛星」も威力を発揮する。中国は10年に地球近傍の低軌道で、16年には静止軌道で衛星同士の接近実験を行ったとされる。宇宙航空研究開発機構(JAXA)元国際部参事の辻野照久氏は「中国には非常時に国家総動員を行う体制があり、民間衛星による体当たりも想定される」と話す。
 「宇宙では、もはや米国が安全に作戦行動を実施する特権を行使できなくなった」。米宇宙統合軍の司令官に就くジェイ・レイモンド空軍大将は今年6月、上院軍事委員会の公聴会でこう強調した。

米国の宇宙軍は東西冷戦下の1985年、旧ソ連の弾道ミサイルを宇宙空間などで破壊する「戦略防衛構想」(SDI)を進めていたレーガン政権下に設立されたのが始まりだ。通称「スターウォーズ計画」と呼ばれたが、米中枢同時テロを受けた米軍組織の見直しで2002年に解体され、核戦略などを担う戦略軍に吸収された。
 復活を決めたのは中露が宇宙への軍事的進出を鮮明にしているためだ。レイモンド大将は「中露は米軍が宇宙で衛星に依存しきっていることに着目している」と述べ、宇宙空間が米軍のアキレス腱(けん)になりつつあるとの見方を示した。
 衛星への攻撃は、ミサイルやキラー衛星を使うと大量の破片が宇宙ごみとしてまき散らされ、自国や第三国の衛星にも脅威となりかねない。そこで電波を使った通信妨害などの攻撃が現実的ともいわれる。
 ロシアは14年に介入したウクライナ紛争で、通信妨害によってウクライナ軍の軍用通信を遮断し、自軍の優勢を確保した。米紙は昨年、中国が南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島に電波妨害の装置を配備したと報じた。もしも配備が事実なら、南シナ海での有事に米軍の通信が阻害される恐れは十分にある。
 日本も遅ればせながら対応を本格化させた。昨年12月に決定した防衛計画の大綱では宇宙やサイバー、電磁波といった「新領域」での防衛力整備を強調。防衛省は「現代戦を遂行する上で、宇宙空間は死活的に重要だ」と明言する。
 日本が力を入れるのは衛星や宇宙ごみなどを地上から見張る宇宙状況監視(SSA)。日本の衛星に不審な物体が接近すれば、回避して被害を未然に防ぐ。現在はJAXAが行っているが、航空自衛隊も100人規模の専門部隊を発足させ、22年度に山口県でレーダーを稼働させる。衛星を攻撃するには軌道を正確に把握する必要があり、そのためにもSSAは不可欠だが、日本には衛星を攻撃する能力はほとんどない。
 宇宙での奇襲攻撃は地上と同様に国連憲章に違反するが、実際に起きる可能性は否定できない。自国の衛星が攻撃を受けた場合、米国は相手国のミサイル基地などを破壊する対抗措置が可能だが、日本は憲法9条や「武力行使の新3要件」などで宇宙は対象外とされており、経済制裁などの措置しかできない。
 多数の衛星が破壊され、自衛隊が完全にまひした場合、日本はどうするのか。宇宙戦をにらんだ装備や法制度に向け、議論を深める必要が出てきた。

 慶応大宇宙法研究センター副所長の青木節子教授(国際法)は「宇宙での武力攻撃について、どんなときに自衛権発動の要件にし得るのかを整理しておくことが大事だ」と提言する。


戦 争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

戦争とは、複数の集団の間での物理的暴力の行使を伴う紛争である。国際紛争の武力による解決である。対義語は対話。広義には内戦や反乱も含む(戦争一覧)。人類が、集団を形成するようになる有史以来、繰り返されてきたものである。銀行などが引受けた巨額の戦費は慢性的な租税負担となる。市民生活に対する制限と攻撃は個人の尊厳を蹂躙する。時代ごとの考え方によって違法性が認定されてきた21世紀に入り、地球規模で敷設されたITインフラを通して膨大な情報が世界中で流通するようになると、物理的な攻撃を伴わない国家間の争いが増加した。そのような争いの比喩として、情報戦,経済戦争,貿易戦争,サイバー戦争などという言葉も用いられるようになった。

概略
戦争とは軍事力を用いて様々な政治目的を達成しようとする行為(行為説)、または用いた結果生じる国家間の対立状態である(状態説)。一般に、国家もしくはそれに準ずる集団が、自衛や利益の確保を目的に武力を行使し、戦闘を起こす事。戦争は太古から続く人類の営みの側面であり、最も原始的かつ暴力的な紛争解決手段であると言える。
  政治だけでなく、経済地理文化技術など広範にわたる人間の活動が密接に関わっており、その歴史的な影響は非常に大きい。近代以降の戦争は陸海空軍等の軍隊のみの武力戦だけでなく、一般国民を広く巻き込む総力戦の様相を呈することもあり、外交戦、宣伝戦、謀略戦、経済戦、貿易戦、補給戦、技術戦、精神戦などの闘争を本質的に包括しており、相互に関係している。そして結果的には、その規模にもよるが、国際関係社会や経済など幅広い分野に破壊的な影響を与え、軍人民間人の人的被害からインフラの破壊、経済活動の阻害など社会のあらゆる部分に物的被害を与えることとなる。一方で、科学、技術、外交戦略論、組織論、戦術論、兵器武器の発展をもたらしてきた側面もある。また、軍需景気により生産設備に被害を受けなかった戦勝国第三国の経済が潤う場合もある(例:第一次世界大戦第二次世界大戦後の米国や第一次世界大戦後と朝鮮戦争後の日本)。また、戦争の敗北により近代オリンピックFIFAワールドカップ等のスポーツ国際大会への参加を禁じられるケースもある。
  今では、大規模戦争の多くが総力戦核戦争となり、勝敗に関わらず国家や国民をいたずらに消耗させる事から起こりにくくなっている。戦争による国家の成長は過去のものとなり、人道主義の観点からも忌避される傾向となっている。1928年のパリ不戦条約締結以降、国際法的に自衛戦争以外の侵略戦争は禁止されている。その発展や勝敗には原則的、法則的な事象が関連していると考えられており、軍事学において戦理や戦略・戦術理論の研究、戦闘教義の開発、兵器開発、定量的な作戦研究戦史研究などが行われている。国連憲章2条4項は戦争だけでなく武力の行使を一般的に禁止した。

定義
戦争という概念国際法上の概念と軍事上の概念では差異があるため、区別して用いなければならない。
軍事的な観点から、戦争は軍事力の実質的な戦闘行動が実行されている状態を指す。その軍事力の主体はしばしば国家であるが、的な定義とは異なり、その実質的な能力を重視するため、国家ではなく武装勢力に対しても使用されている軍事力の規模によっては用いる場合がある。米軍では武力衝突のレベルを、比較的危機の程度が低く、平和維持活動や対テロリズム作戦などを展開する「紛争」と、比較的危機の程度が高く、大規模な武力行使を伴う戦闘作戦を展開する「戦争」と区別している。また米軍は紛争を規模によって三段階に分類しており、その中の「高強度紛争」は伝統的な戦争のレベルに該当する。
国際法において、戦争の当事者は一般的に国家であると考えられており、伝統的な慣習国際法の観点からは宣戦布告によって始まり、講和によって終結するものであると考えられる。しかし、歴史上宣戦布告が行われず「実質戦争状態」に突入した事例が存在するため、現在ではこの形式は重要視されていない。また国家以外の武装集団間での武力衝突は紛争と呼ばれ、たとえば民族間であれば「民族紛争」と呼ばれる。
  ただし、国家でない集団の対立にも「戦争」という語が用いられることはある。例えば、南北戦争において1861年イギリスが南軍に対して交戦団体承認を行っている。以下に具体的な例を挙げる。

内戦の当事者は一国内における政府と反逆者(反政府勢力や、革命などにより新政権樹立を目指す勢力・政治団体等も含まれる)である。厳密には国際法上の「戦争」ではない。ただし、既存政府側による交戦者承認があれば国際法上の戦争法規が適用される。
  独立戦争の当事者は全体としての国家と部分としての地域植民地である。これは内戦の一種であるという見方と、独立しようとする勢力を暫定的に国家とみなして国家間の対立とする見方が可能である。ただし、現代においては国連憲章にも謳われている人民自決権の概念が国際社会の根本的な価値として認められたことからも、植民地支配及び外国による占領に対し並びに人種差別体制に対する武力紛争の場合は内戦(非国際武力紛争)ではなく国際的武力紛争として扱われる。これに伴い、国家間に適用される国際人道法ならびに戦争法規が適用されることになる。
歴史学関連では、戦争の定義を共有することは難しい。例えば、文化人類学の戦争の定義の一例は、組織があって命令(指揮)と服従の関係を持つ集団と集団との戦い。考古学では、考古資料にもとづいて認めることのできる多数の殺傷を伴いうる集団間の武力衝突としている

戦争の近代化
帝国主義に基づく植民地支配は富の集積を実現し、英国産業革命を実現できた。それによって工業の発達が軍艦銃器の性能を引き上げた。軍事技術の発達は戦争の形態を大きく変化させる。グスタフ2世アドルフ (スウェーデン王)は軍事改革の中で常備軍の制度を確立し、その後の戦争のあり方を基礎付けた。また計画的な兵站や規律を保つための軍事教育などもこのころに整備され、各国で同様の制度が採用されるようになる。特に歩兵の重要性が小銃の開発により高まったことは、完璧な陣形や規律正しさを軍隊の各兵員に求めることになる。また火砲の登場により砲兵という兵科が確立されたのもこの時代であり、戦略や戦術、軍事土木工学などの分野も大きな前進を見る。近代が、さらなる戦争の拡大につながると考える人が、非常に多数派である。

ナポレオン戦争
フランスで起こったフランス革命国民国家の体制をもたらして中央集権に基づく徴兵制によって、軍隊の大規模化を可能とした。そしてナポレオン・ボナパルトはこれまでの戦略作戦戦術の抜本的な合理化を行う改革に取り組み、国家総力戦の体制の原型を整えた。さらに銃器火砲などの兵器の発展が被害者数を甚大なものとし、ナポレオンはこのような高度な軍事力を運用して殲滅戦を行い、ナポレオン戦争においてはヨーロッパ大陸のほとんどを支配するに至った。このナポレオンの戦争指導はアメリカ南北戦争やその後の軍事研究に大きな影響を残す。

世界大戦
第一次世界大戦第二次世界大戦では戦争はただの武力戦ではなくなり、国家がその経済力・技術力などの国力を総動員し、非常に多大な消費が長期間にわたるという新しい戦争の形態である国家総力戦が発生した。その戦争形態を維持する必要性から「国家総力戦体制」と呼ばれる戦時体制が出現することになる。
第一次世界大戦はナポレオン的な攻撃による短期決戦を目指して、両勢力が約200万という大兵力を動員したものの、塹壕と機関銃による防衛線を突破することができず、戦争の長期化と大規模化が決定付けられた。結果的にはこのような大戦争によりもたらされる経済的または心理的な損害により、各国は深刻な社会的混乱や政治的な打撃を被った。このような戦争を繰り返さないためにも国際連盟を通じた戦争の抑制が企図されたがアメリカは参加せず、またドイツは莫大な賠償金により経済的な打撃を受ける。第二次世界大戦においては再び大規模な戦争が繰り返され、この大戦ではせん滅的な長期戦に展開して一次世界大戦の二倍の戦死者が出た。また航空機の発達によって航空作戦が実施されるようになり、航空機による戦略爆撃戦闘員だけでなく民間人にも多数の被害者が出ることとなり、政治的または経済的な混乱が長期間にわたって続いた。

冷戦期
世界大戦の反省から国際連合などの国際機関が発展して戦争の抑制が図られるものの、アメリカとソビエトの台頭、さらに大量破壊兵器の登場によって核兵器ミサイルによる核戦争の可能性を生み出した。また現代的な軍事技術の開発が躍進的に進んだことから現代の戦争の勝敗は科学技術の開発に大きく左右されるようになっている。しかし同時に従来の正規軍による軍事作戦とは異なる革命または反乱という“非対称の戦争”が行われるようになり不正規戦争と呼ばれるようになる。核戦争へと発展しないように限定的かつ段階的な軍事力が行使される戦争として限定戦争朝鮮戦争ベトナム戦争ソ連によるアフガン侵攻など)が行われるに至っている。

冷戦後
  冷戦後はイデオロギーの対立というよりも民族宗教の対立による内戦が世界各地で勃発するようになり、形態はかつての伝統的な戦争よりも複雑多様化している(ボスニア紛争など)。特にイスラム原理主義民族主義によるテロ先進国を悩ませ、それに対する報復戦争や内戦が起きる事態となっている(アメリカによるアフガン侵攻、イラク戦争チェチェン紛争など)。
  2つの世界大戦以後から冷戦期にかけて、領土の占有を最終目的とする形態の戦争は減少し、特に冷戦後は、政治体制や宗教体制を自陣の望むものとするための戦争や紛争が主体となっている

戦争の本性
戦争にどのように勝利するのかではなく、戦争とは何なのかという問題を考察するためには戦争の内部の構造がどのようになっており、どのような原理が認められるのかを明らかにすることが必要である。古代の戦争学的な論考に、哲学者プラトンの『国家』があり、その中で哲学者ソクラテスはさまざまな領域の職人、専門家によって構成された自足的な国家を想定しているが、国家が成立したとしても人間の欲求は際限なく拡大し続けるために、自足する以上の資源を求めて他の共同体に対して戦争が発生すると論じている。これは戦争の根本を国家に求める見方であり、実際に軍事史においても国家は戦争の主要な行為主体であった。しかしこれは戦争の限定された本質を明らかにしているに過ぎない。

闘争
そもそも戦争が成り立つ以前に、人間がなぜ対立するのかという問題がある。社会学者ヴェーバーの『社会学の根本概念』によれば、ある主体が相手の抵抗を排除してでも自分自身の意志を達成しようとする意図に方向付けられた社会的関係が闘争であると定義する。またこの闘争は物理的暴力に基づいた闘争や闘争手段を非暴力的なものに限定した平和的な闘争に分類できる。このような闘争が社会の中で発生する根本的な理由について政治思想家ホッブズは『リヴァイアサン』において国家や政治団体が存在しない自然状態を想定している。つまり各個人がそれぞれ等しく自己保存の法則に従って生活資源を獲得するため、また敵の攻撃を予防するために、結果として万人の万人に対する闘争が生じることになる。闘争において常に暴力が使用されるとは限らない。暴力によって相手を抹消しなくとも、交渉や協力によって争点を解決することは原理的に不可能ではない。しかし経済学者マルサスが『人口論』で述べているように、人口は生活手段の分量を超えて常に増大されるため、その過剰人口の出現は疫病、飢餓、戦争などの積極的制限によって調整されるために闘争は流血の事態にまで発展することになる。なぜなら生存が脅かされる事態は人間にとって常に極限状況であり、社会全体にとっても闘争を暴力化させる重大な動機でありうるものである。

暴力
暴力とは万人が持つ個人の身体的、精神的な諸力の中でも他者に対して強制的に働きかける力に限定することができる。これは政治思想家アーレントの定義であり、暴力は他者との相互作用を通じて行使する必要はなく、その機能は相手を殺害することである。しかし戦争における暴力を論考した研究では、暴力を通じてある種の相互作用が発生することが論考されている。この領域における古典的な著作に軍事学者クラウゼヴィッツの『戦争論』がある。戦争を特徴付ける最も重要な要素として着目されるべきは暴力である。クラウゼヴィッツによれば暴力は三種類の相互作用をもたらすものであり、それは相互に敵対的感情と敵対的意図を拡大させる第1の相互作用、相手を撃滅しようとする第2の相互作用、そして戦闘手段を敵と拮抗させようとする第3の相互作用である。これら相互作用を前提として考えれば、戦争における暴力は無制限に拡大する理論的な必然性がある。つまり集団間の戦争を想定すれば、それは暴力の性質に従って相互に暴力手段を拡大し続けながら相手を攻撃し続け、またそのための敵意を増大させ続けることになる。クラウゼヴィッツはこのような戦争の理念型を絶対戦争と呼んだ。しかし同時にこのような形態の戦争は現実の戦争で出現しているわけではない。その理由として絶対戦争と並んで提起されているものが政治目的の着眼点である。つまり戦争の無制限的な暴力化を抑制するものとして政治的制約が作用しており、戦争の性質を規定しているというものである。このことを端的に表現するクラウゼヴィッツの命題が「戦争とは他の手段を以ってする政治の延長である」というものである。

政治
戦争は単なる暴力的な闘争状況であるだけでなく、本質的に政治が連関しているというクラウゼヴィッツの考察は政治学者シュミットによってより思想的に発展された。シュミットは独自の友敵理論を展開する中で政治的な概念には常に闘争的な意味があり、不可避的に敵と味方に区分されると論じる。このような政治観はマキアヴェッリの政治思想やマルクスの階級闘争などにも認められるものである。シュミットによれば政治に内在する敵と味方の二分法はさらに敵概念の詳細に注意することで深めることができる。シュミットは『パルチザンの理論』において三種類の敵を導入しており、すなわち因習的で形式的な性質を持つ在来的な敵、実際的な性質を伴う現実の敵、犯罪者という性格を持つ絶対的な敵である。在来的な敵は人道的なルールに基づいた国家間の戦争における敵であり、現実の敵とは自らの実存にとって脅威となる敵、そして絶対的な敵とは相手を文明や階級、民族に対する犯罪者として差別化される敵である。戦争において相手がどのような特性を持つ敵なのかによって、政治目的は相手に僅かな制裁を加えるように軍事的手段を制限することも、また相手の存在を根本的に抹消させる軍事的手段を拡大させることも可能にするのである。戦争にとって政治の重要性は普遍的なものであり、戦争の規模、期間、列度、その影響は政治の状況や機能によって左右されると考えられる。

戦争の原因
戦争は人間社会における対立によって生じるものであり、何らかの意志や理由を伴う。しかし戦争の原因についての一般理論は未だ完成されていない。その発生の過程にはさまざまな要因、誘因、環境が有機的に起因するは確かであり、無政府状態、勢力均衡、攻撃・防御バランス、好戦的イデオロギーナショナリズム、誤認などの多くの理論が提唱されている。ここではいくつかの戦争の原因として考えられている学術考察または理論について述べる。(戦争哲学をも参照)

国際統計
軍事史上の戦争を調べて、その戦争を開始する直接的な要因に注目して統計化すれば大まかに長期的な不満、国内的な混乱、軍事的な優位、軍事的な劣位、以上の四つに分類できると言われる

  ・長期的な不満とは領土問題、国境問題、地方の独立要求など、長期的に慢性化した不満を指す。この例としては日露戦争パレスティナ問題中東戦争などが挙げられる。
  ・国内的な混乱とは国内の民族間対立、反政府運動など、国内における諸勢力の対立による収集不可能な事態を指す。この例としてフランス革命ルワンダ内戦などが挙げられる。
  ・軍事的な優位とは、軍事力が非常に優位にあると認識し、戦争を簡単に解決できると考えることである。政府世論にとってその認識が戦争開始の判断材料となる場合があるが、その優位の認識が実際軍事力を把握していない現実性のないものであった場合、開戦しても予想通りの戦果を挙げることができず、戦争が長期化、悪化する可能性が高い。この例として冬戦争独ソ戦朝鮮戦争イラン・イラク戦争が挙げられる。
  ・軍事的な劣位とは、軍事力が非常に劣位にあると認識し、先制攻撃だけが残された手段であると考えることである。この認識によって政府や国民が恐怖や焦りに支配され、軍事的優劣や戦争遂行の見通しを忘れてしまい、戦争開始を決断する場合がある。この例として奴隷反乱インディアン戦争太平洋戦争などが挙げられる。

侵略と防衛
軍事学において戦争はその作戦戦略の差異を主体別に見て侵略と防衛の二つの作用が衝突して発生するものであると考えられる。 まず侵略には法的な定義も存在するが、軍事的な定義としては外敵または内敵によって軍事力が先制行使され、侵入(invasion)、攻撃(attack)などの攻勢の作戦行動が実行されることである。一方で防衛は狭義には侵略に反応してこれを排除するために軍事力が使用され、防御後退などの防勢の作戦行動が実行されることであり、広義には抑止活動をも含む。

戦争の過程
戦争は永遠に続くものではなく、一定の段階を過ぎれば収束していく(ただし、ゲリラ戦や断続的なテロ攻撃は戦線を維持する必要がないため、戦争とは本質的に性質が異なる)。兵力や軍需物資の補填などの兵站能力的限界から、どのような国家、勢力でも激しい戦闘を長期間にわたって継続することは不可能であるからである。その発展の過程は無秩序に見えるが、ある程度の段階が存在していると考えられている

戦争のさまざまな局面
戦争には武力を用いた戦闘から、諜報・諜報活動、輸送、外交交渉など非常にさまざまな分野で争いが発生する。英語ではこのようなさまざまな闘争の局面を warfare と呼ぶ。ここでは戦争に伴って起こりうるさまざまな分野における闘争について述べる

外交交渉
外交交渉は戦争中には行われる場合と行われない場合があるが、戦争を収束させるためには絶対に避けては通れない争いである。講和や休戦を行うためには政府間の利害関係を調整する実務的な交渉が必要であり、またその過程には双方が国益を最大化するための交渉の駆け引きが行われる。また同盟やさまざまな支援を取り付けるための外交も戦争の行方に大きな影響を与える。(外交交渉を参照)

電子戦
電子戦とは通信機器などで用いられる電磁波を巡る争いである。平時においても情報収集などを目的とした電波の傍受や分析などの電子戦は行われているが、戦時においては指揮組織、通信拠点、SAM システムに対してより攻撃的なECMが実施される。現代の戦争においては非常に重要な通信手段は電磁波を用いたものが多く、また通信手段は指揮統率における要であるため、その重要性は大きい。日露戦争以降世界各国の軍隊が電子戦に対応する部隊を保有するようになっている。

謀略戦
謀略とは敵国の戦争指導を妨げる活動であり、一般的に極秘裏に遂行される。間接的には政治的・外交的・経済的・心理的な妨害活動があり、直接的には軍事的な破壊工作がある。破壊工作とは交通拠点、政府機関、生産施設、堤防、国境線などの重要拠点に対する爆発物などを用いた放火や爆破などの活動のことである。しばしば敵国に特殊部隊やスパイを送りこんで実行するが、秘密裏にかつ迅速に行われるために無効化が難しい。敵部隊の戦闘力の無力化などを目的とした戦闘とは性格が異なり、対反乱作戦や対テロ作戦に分類される。

心理戦
心理戦とは、テレビや新聞などを用いた広報活動、政党や思想団体の政治活動、学校教育などによって情報を計画的に活用し、民衆や組織の思想や考えを誘導し、自らに有利に動くように間接的に働きかけるさまざまな活動と、敵の同様の手段へ対抗する活動の総称である。戦争が開始されれば両国とも自国の正統性を主張し、支持を得ようと試みる。また相手国の国民に対して、自国に有利になるように反政府活動を支援したり、相手国の非人道性を宣伝することによって政権の行動を制限することなどが可能である。これは対ゲリラ作戦や対テロ作戦、政権転覆などさまざまな局面で実施される(心理戦を参照)。

軍備拡張競争
軍備拡張競争は軍備の量的な拡張と軍事技術の開発競争を言う。現代の戦争において勝利を納めるには、兵力や戦略のみならず、優秀な兵器が不可欠である。そのため、敵国・対立国より優れた兵器を多く保持することが重要になり、戦時中はもちろん平時においても、その開発・生産が活発に行われている。
  例えば、東西冷戦においては、米ソの直接対決こそなかったものの、核兵器戦車などの熾烈な開発競争が行われ(核兵器については、開発競争により核戦力の均衡が保たれていたからこそ現実に核戦争が起こらなかったとする見方もある)、代理戦争はそれらの兵器の実験場でもあった。また、人類を宇宙や月に送った宇宙開発競争も、ロケット技術が戦略核を搭載する大陸間弾道ミサイルなどのミサイル技術に直結していたことが大きな推進力となっていた。

国際法における戦争
戦争に関する国際法には大きく二つの体系がある。軍事力の行使が合法かどうかを定めている「開戦法規」 (jus ad bellum, ユス・アド・ベッルム)」と、戦争におけるさまざまな行為を規律する「交戦法規」 (jus ad bello, ユス・アド・ベッロ) の二つである。前者は国連憲章が基本的に根拠になっており、後者は「戦時国際法」「武力紛争法」「国際人道法」とも呼ばれ、その主な根拠となっている条約にジュネーブ条約などがある。一般的に戦争犯罪と呼ばれる行為とは、戦時国際法に違反する行為を指す。(極東国際軍事裁判におけるA級戦犯はこの戦時国際法とは無関係である)また戦時国際法は作戦領域から、陸戦法規、海戦法規、空戦法規に分類されることもある








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